JP2007090567A - 真正性表示体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶層12とリップマンホログラム層15とを積層し、それぞれの層が反射する光の波長領域が重ならないようにした。このような真正性表示体101とすることにより、液晶層12の反射光とリップマンホログラム層15の再生する像とを、ともに鮮明に目視することができ、視認性及び意匠性を高めることができる。また、液晶層12とリップマンホログラム層15との双方のセキュリティ機能を使用することができ、偽造がより困難な真正性表示体101とすることができる。さらに、貼り替えることを防止する貼替防止構造を備えた。
【選択図】図1
Description
しかし、この種のホログラムは、近年の偽造技術の高度化や、ホログラム材料の入手が容易になったこと等から、一見よく似たホログラムラベルが偽造され、実際の運用において見過ごされてしまう恐れがあった。
そこで、ホログラムラベルと液晶フィルムとを併用すれば、偽造防止効果は向上すると考えられるが、これらをそれぞれ用意し、対象物に貼付すると、作業工数が増えるという問題があった。
しかし、特許文献1に示す識別用媒体では、コレステリック液晶は、入射光をレリーフホログラムへ反射する反射層としての機能しか有しておらず、真正か否かを識別する識別用の像を結ぶのはレリーフホログラムのみであり、偽造防止効果は向上しない。また、レリーフホログラムは、上述のように偽造され始めており、偽造防止効果が不十分であるという問題があった。
請求項1の発明は、反射光を用いた第1の真正性判定機能を有するコレステリック規則性を有する液晶層(12)と、反射光を用いた第2の真正性判定機能を有する体積型ホログラム層(15)と、を積層した真正性表示体であって、対象物に対して貼付可能とする貼付層(18)が、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層よりも裏面側に形成されており、前記貼付層により前記対象物に対して貼り付けられた後に前記対象物以外の対象物に対して貼り替えることを防止する貼替防止構造(12,14,15,18,101a,102a,103a,104a)を備えること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の真正性表示体において、前記貼替防止構造は、前記液晶層(12)及び前記体積型ホログラム層(15)に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層間の剥離強度よりも破断強度が小さい前記液晶層及び/又は前記体積型ホログラム層であること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の真正性表示体において、前記液晶層(12)及び/又は前記体積型ホログラム層(15)の破断強度は、真正性表示体を構成する他の層の破断強度よりも小さいこと、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の真正性表示体において、前記貼替防止構造は、前記体積型ホログラム層の観察側に隣接して設けられたホログラム観察側層と前記体積型ホログラム層との間の剥離強度をホログラム観察側剥離強度とし、前記体積型ホログラム層の観察側とは反対側である裏面側に隣接して設けられたホログラム裏面側層と前記体積型ホログラム層との間の剥離強度をホログラム裏面側剥離強度としたときに、前記ホログラム観察側剥離強度及び前記ホログラム裏面側剥離強度よりも破断強度が小さい前記体積型ホログラム層(15)であること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の真正性表示体において、前記ホログラム観察側剥離強度及び/又は前記ホログラム裏面側剥離強度は、パターンを形成するように部分的(14a)に剥離強度が異なっており、前記ホログラム観察側層と前記ホログラム裏面側層との間を剥離するときに、前記体積型ホログラム層が前記パターン状に破断すること、を特徴とする真正性表示体(101)である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の真正性表示体において、前記体積型ホログラム層(15)は、微粒子を感光材料100重量部に対して10〜100重量部含有していること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項7の発明は、請求項6に記載の真正性表示体において、前記微粒子は、無機微粒子であること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項8の発明は、請求項6に記載の真正性表示体において、前記微粒子は、プラスチック微粒子であること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項9の発明は、請求項1に記載の真正性表示体において、前記貼替防止構造は、前記液晶層(12)及び前記体積型ホログラム層(15)に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層間のいずれかの位置に設けられ、その両側の層間を接合する接合層(18,24)であり、前記接合層は、前記接合層部分が剥離されるときに、観察側の接合強度が裏面側の接合強度よりも強く観察側の層に残る第1の部分と、観察側の接合強度が裏面側の接合強度よりも弱く裏面側の層に残る第2の部分とを有していること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の真正性表示体において、前記接合層の観察側に設けられた層、及び/又は、前記接合層の裏面側に設けられた層には、前記接合層との間の接合強度を弱める層(18a,24a)が部分的に設けられていること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項11の発明は、請求項9に記載の真正性表示体において、前記接合層の観察側に設けられた層、及び/又は、前記接合層の裏面側に設けられた層には、前記接合層との間の接合強度を強める層が部分的に設けられていること、を特徴とする真正性表示体である。
請求項12の発明は、請求項1に記載の真正性表示体において、前記貼替防止構造は、前記液晶層(12)及び前記体積型ホログラム層(15)に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層間のいずれかの位置に設けられ、各層間を接合する接合層による接合強度よりも1%引っ張り強度が小さい前記体積型ホログラム層(15)であること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項13の発明は、請求項1に記載の真正性表示体において、前記貼替防止構造は、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層のいずれかに形成された切れ込み(101a,102a,103a,104a)であること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項14の発明は、請求項13に記載の真正性表示体において、前記切れ込み(101a,102a,103a,104a)は、前記液晶層(12)と前記体積型ホログラム層(15)とのうちの少なくとも一方に形成されていること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
請求項15の発明は、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の真正性表示体において、前記貼付層よりも裏面側に、剥離可能な剥離部材(19)が積層されていること、を特徴とする真正性表示体(101,102,103,104)である。
(1)反射光を用いた第1の真正性判定機能を有するコレステリック規則性を有する液晶層と、反射光を用いた第2の真正性判定機能を有する体積型ホログラム層とを積層し、貼付層により対象物に対して貼り付けられた後に対象物以外の対象物に対して貼り替えることを防止する貼替防止構造を備えるので、液晶層と体積型ホログラムとの双方による真正性の表示が可能であり、偽造防止効果が高く、偽造が極めて困難な真正性表示体の再利用を防止できる。
真正性表示体101は、保護層11、液晶層12、リップマンホログラム層15、粘着層(貼付層)18、セパレータ19等を備えている。
図2は、液晶層とリップマンホログラム層とを観察側から見た図である。図2(a)は、液晶層のみを目視した図であり、図2(b)は、液晶層の一部を、円偏光板を通して目視した図であり、図2(c)は、リップマンホログラム層のみを目視した図であり、図2(d)は、液晶層とリップマンホログラム層とを積層して目視した図であり、図2(e)は、図2(d)に示す、液晶層とリップマンホログラム層とを積層したものの一部を、円偏光板を通して目視した図である。
液晶層12は、コレステリック規則性を有し、反射光を用いた第1の真正性判定機能を有する層である。この液晶層12は、特定の波長領域の光であり、かつ、一方向の円偏光のみを反射し、その波長領域以外の光や、逆方向の円偏光は透過する。
液晶層12の液晶分子は、物理的な分子配列が、液晶分子のダイレクターが回転する螺旋構造をとっている。液晶層12は、このような液晶分子の物理的な分子配列に基づいて、一方向の円偏光成分と、これと逆回りの円偏光成分とを分離する偏光分離特性を有している。つまり、液晶層12において、入射した無偏光状態の光は、2つの偏光状態(右円偏光及び左円偏光)に分離され、一方は反射され、他方は透過される。この現象は、円偏光二色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における螺旋巻き方向を適宜選択すると、この螺旋巻き方向と同一の旋光方向を有する円偏光成分が選択的に反射される。
液晶層12は、支持基材層(易接着PET層)13の観察側の全面に均一に形成されており、正面から目視した場合に赤色に見える(なお、図2では、液晶層12が赤色に目視できる状態を網掛けにより示している)。
以下、液晶性組成物としてカイラルネマチック液晶を用いる場合を例に挙げて説明する。なお、カイラルネマチック液晶は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料とカイラル剤とを混合したものである。ここで、カイラル剤は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料の螺旋ピッチ長を制御し、液晶性組成物が全体としてコレステリック規則性を呈するようにするためのものである。また、このような液晶性組成物には、光重合開始剤や適当な添加剤が添加される。
この目的が達成される限り、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋構造を誘起できるものであれば、カイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されない。
さらに、液晶性組成物は支持基材層13上にそのまま塗布することも可能であるが、粘性を塗布装置に合わせたり、良好な配向状態を得る目的で有機溶媒等の適当な溶媒に溶解させてインキ化するようにしてもよい。
上述した塗布工程において、支持基材層13上に液晶性組成物を塗布し、液晶層12を形成した後、配向処理工程において、液晶層12をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持し、液晶層12中の液晶分子を配向させる。
図3は、コレステリック液晶構造を説明する図である。
図3において、液晶層12に入射する光は光線31Rであり、反射する光は、図3(a)では、光線33であり、図3(b)では、光線36である。図3(a)では、反射する光の方向は、ばらついており、図3(b)では、反射する光の主光線方向が揃っている。
本実施例において最終的に得られるべきコレステリック液晶構造は、図3(a)に示すように、複数の螺旋構造領域30の螺旋軸Lの方向が層内でばらついた配向状態となっている場合と、図3(b)に示すようなプラーナー配向状態となっている場合とがあるが、どちらの場合でも、配向処理は必要となる。すなわち、前者においては、コレステリック液晶構造中に複数の螺旋構造領域30を形成させるような配向処理が必要となり、後者においては、コレステリック液晶構造中に複数の螺旋構造領域30を形成させるような配向処理と、コレステリック液晶構造の液晶分子のダイレクターを支持基材層13上で一定方向に揃えるような配向処理とが必要となる。
乾燥後に配向状態が不十分であることが分かった場合には、適宜加熱時間を延長するようにするとよい。なお、このような乾燥処理において減圧乾燥の手法を用いる場合には、配向処理のために別途加熱処理を行うことが好ましい。
上述した配向処理工程において、液晶層12中の液晶分子を配向させた後、硬化処理工程において、液晶層12を硬化させ、液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造を固定化する。
硬化処理工程で用いられる方法としては、(1)液晶性組成物中の溶媒を乾燥させる方法、(2)加熱により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、(3)放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、及び(4)それらの方法を組み合わせた方法を用いることができる。
なお、支持基材層13上に形成された液晶層12を加熱する方法としては、加熱温度の均一性が得られれば特に限定はなく、ホットプレート上に密着して保持したり、ホットプレートとの間にわずかな気層を設けてホットプレートと平行になるように保持する方法を用いることができる。また、オーブンのような特定の空間全体を加熱する装置内に静置したり当該装置内を通過させる方法でもよい。なお、フィルムコーター等を用いる場合には、乾燥ゾーンを長くして加熱時間を十分にとることができるようにすることが好ましい。
加熱温度としては一般に、100℃以上の高温が必要となるが、支持基材層13の耐熱性から150℃程度までとすることが好ましい。ただし、耐熱性に特化したフィルム等を支持基材層13の材料として用いれば、150℃以上の高温での加熱も可能である。
液晶性組成物に添加される光重合開始剤の添加量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
以上のような一連の工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)を行うことにより、支持基材層13上に液晶層12を積層(固着)させることができる。
また、液晶層12は、右円偏光の光のみを反射するので、例えば、図2(b)に示すように、この液晶層12を、左円偏光のみを透過する円偏光板50等を通して目視した場合、液晶層12は、その反射色が見えなくなる。
このリップマンホログラム層15は、上下方向と左右方向との2方向の視点移動での像の切り替えが可能であり、立体感や奥行きのある像の再生が可能である。
本実施例のホログラム用材料に使用されるフォトポリマーは、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤を有するものである。
以下、このような体積型ホログラム記録用フォトポリマーの各構成材料について説明する。
本実施例に用いられる光重合性化合物について説明する。本実施例における光重合性化合物としては、光ラジカル重合性化合物であってもよく、光カチオン重合性化合物であってもよい。以下、光ラジカル重合性化合物及び光カチオン重合性化合物に分けて説明する。
(a.光ラジカル重合性化合物)
本実施例に用いられる光ラジカル重合性化合物としては、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラムを形成する際に、例えばレーザー照射等によって、後述する光ラジカル重合開始剤から発生した活性ラジカルの作用により重合する化合物であれば、特に限定されるものではないが、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物を使用することができる。例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物等をあげることができる。上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーの具体例を以下に示す。
さらに、メタクリル酸エステルとしては、上述したアクリル酸エステルに例示される化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、及び「アクリロイル」が「メタクリロイル」に変換された化合物が例示される。
さらにまた、上記光ラジカル重合性化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
本実施例に用いられる光カチオン重合性化合物は、エネルギー照射を受け、後述する光カチオン重合開始剤の分解により発生したブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合する化合物である。例えば、エポキシ環やオキセタン環等の環状エーテル類、チオエーテル類、ビニルエーテル類等をあげることができる。
上記エポキシ環を含有する化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド等が例示される。
また、上記光カチオン重合性化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
さらに、上記の光ラジカル重合性化合物及び光カチオン重合性化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
また、このような光カチオン重合性化合物は、上記光ラジカル重合性化合物の重合が、比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、常温で液状であることが好ましい。
本実施例に用いられる光重合性化合物は、後述するバインダー樹脂100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜300重量部の割合で使用するとよい。
ここで、体積型ホログラムは、例えばレーザー光又はコヒーレンス性の優れた光等によって光重合性化合物を重合させて干渉縞を形成し、像を形成するものである。従って、体積型ホログラム用樹脂組成物に光ラジカル重合性化合物及び光カチオン重合性化合物が含有されている場合には、それぞれにおける屈折率が異なるものが選択されて用いられるものであり、どちらの屈折率が大きいものであってもよい。本実施例においては、中でも材料選択性の面から光ラジカル重合性化合物の平均の屈折率が光カチオン重合性化合物より大きいものであることが好ましく、具体的には、平均の屈折率が0.02以上大きいことが好ましい。
これは、光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物との平均の屈折率の差が上記値より低い場合には、屈折率変調が不十分となり、高精細な像を形成することが困難となる可能性があるからである。ここでいう平均の屈折率とは、光カチオン重合性化合物又は光ラジカル重合性化合物を重合させた後の重合体について測定する屈折率の平均値をいう。なお、ここでの屈折率は、アッベ屈折率計により測定された値である。
次に、本実施例に用いられる光重合開始剤について説明する。本実施例における光重合開始剤としては、上述した光重合性化合物により種類が異なるものである。すなわち、光重合性化合物が光ラジカル重合性化合物である場合は、光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤を選択し、光重合性化合物が光カチオン重合性化合物である場合は、光重合開始剤は光カチオン重合開始剤を選択する必要がある。以下、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤に分けて説明する。
本実施例に用いられる光ラジカル重合開始剤としては、本実施例の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成する際に照射される例えばレーザー等によって、活性ラジカルを生成し、上記光ラジカル重合性化合物を重合させることが可能な開始剤であれば、特に限定されるものではない。例えば、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等を使用することができる。具体的には、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
本実施例に用いられる光カチオン重合開始剤としては、エネルギー照射によりブレンステッド酸やルイス酸を発生し、上記光カチオン重合性化合物を重合させるものであれば、特に限定されるものではない。体積型ホログラム用樹脂組成物が光ラジカル重合性化合物及び光カチオン重合性化合物を含有する場合、光カチオン重合性化合物は、特に上記光ラジカル重合性化合物を重合させる例えばレーザーやコヒーレンス性の優れた光等に対しては反応せず、その後全面に照射されるエネルギーによって感光するものであることが好ましい。これにより、上記光ラジカル重合性化合物が重合する際、光カチオン重合性化合物がほとんど反応しないまま存在させることができ、体積型ホログラムにおける大きな屈折率変調が得られるからである。
具体的には、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示される。さらに、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等も使用することができる。
本実施例において、光ラジカル重合開始剤としても、光カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示される。具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−t−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等が挙げられる。
また、上記の光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
さらに、光重合開始剤は、後述するバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の割合で使用するとよい。
次に、本実施例の体積型ホログラム用樹脂組成物に添加することができる添加剤について説明する。
(a.増感色素)
本実施例においては、体積型ホログラム用樹組成物が増感色素を含有することが好ましい。上記光重合性化合物及び光重合開始剤は、紫外線に活性であるものが多いが、増感色素を添加することにより可視光にも活性となり、可視レーザー光を用いて干渉縞を記録することが可能となるからである。
このような増感色素としては、干渉縞を記録する際に使用するレーザー光波長を考慮して選択されるものであるが、特に限定されるものではない。例えば、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素等を使用することができる。
また、上記クマリン系色素、ケトクマリン系色素としては、3−(2’−ベンゾイミダゾール)7−N,N−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
また、増感色素は、後述するバインダー樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜2重量部の割合で使用するとよい。
本実施例においては、体積型ホログラム用樹脂組成物がバインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂を含有することにより、成膜性、膜厚の均一性を向上させることができ、記録された干渉縞を安定に存在させることができるからである。
このようなバインダー樹脂としては、ポリメタアクリル酸エステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリビニルアルコール又はその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸との共重合体又はその半エステル等をあげることができる。また、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、及び酢酸ビニル等の共重合可能なモノマーからなる郡から選択される少なくとも1種のモノマーを重合させてなる共重合体を使用することもできる。さらに、側鎖に熱硬化又は光硬化可能な官能基を有するモノマーを重合させてなる共重合体も使用することができる。さらにまた、1種又は2種以上の混合物を用いることもできる。
さらに、バインダー樹脂としては、ゾルゲル反応を利用した有機−無機ハイブリッドポリマーを使用することもできる。例えば、下記一般式(6)で表される重合性基を有する有機金属化合物とビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。
Rm M(OR’)n ・・・(6)
ここで、MはSi、Ti、Zr、Zn、In、Sn、Al、Se等の金属、Rは炭素数1〜10のビニル基又は(メタ)アクリロイル基、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数である。
また、上記ビニルモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等をあげることができる。
M(OR”)k ・・・(7)
ここで、MはTi、Zr、Zn、In、Sn、Al、Se等の金属、R”は炭素数1〜10のアルキル基を表し、kは金属Mの価数である。
上記バインダー樹脂は、体積型ホログラム用組成物中に、通常15〜50重量%の範囲内、好ましくは20〜40重量%の範囲内で用いられる。
体積型ホログラム層の形成は、まず上記体積型ホログラム用樹脂組成物を、例えば目的とする基材フィルム上に、一般的なコーティング手段により塗布し、必要に応じて乾燥し、体積型ホログラム形成用層とする。また、体積型ホログラム形成用層は、例えば2枚のガラス板等の基材の間に体積型ホログラム用樹脂組成物を注入することによって形成されたものであってもよい。次に、上記体積型ホログラム形成用層に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光(コヒーレンス性の優れた光(例えば波長300〜1200nmの光))による露光によって、上述した光重合性化合物を重合させて、目的とする像の干渉縞を記録する。これにより、体積型ホログラム層が形成される。
また、体積型ホログラム用樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法を使用することができる。
また、屈折率変調の促進、光重合性化合物等の重合反応完結のために干渉露光後、紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。
図4は、リップマンホログラム層及び液晶層が反射する光の波長領域について説明する図である。
図4中の曲線Hは、リップマンホログラム層15が反射する反射光量の波長分布を示し、曲線Cは、液晶層12が反射する反射光量の波長分布を示している。
先に示した半値幅とは、リップマンホログラム層15の場合を例にして説明すると、反射光量のピーク値Aの半分(A/2)となる波長領域の幅であり、領域Dに示した範囲(半値幅20nm)である。従って、この半値幅に対応した波長領域523〜543nmの範囲の反射光量が多くなり、緑色以外の波長領域の反射光が含まれていたとしても、全体としては緑色に見える。
一方、液晶層12では、反射光量のピーク値Bの半分(B/2)となる領域Eに示した半値幅は70nmであり、波長領域605〜675nmの範囲の反射光量が多くなり、赤色に見えている。
従って、液晶層12が反射する光の波長領域と、リップマンホログラム層15が反射する光の波長領域とは、半値幅に対応する波長領域が全く重なっていない。これにより、液晶層12の反射光とリップマンホログラム層15の反射光が異なる色(本実施例では、赤色と緑色)で観察され、両者を鮮明に区別して視認できる。
なお、半値幅に対応する領域以外の領域において、液晶層12が反射する光の波長領域と、リップマンホログラム層15が反射する光の波長領域とが重なっていたとしても、半値幅に対応する領域が重なっていなければ、両者の反射光が異なる色として観察できる。
図5は、液晶層及びリップマンホログラム層の選択波長領域をずらした理由を説明する図である。
なお、図5では、説明を簡潔にするため、液晶層12とリップマンホログラム層15以外の層は省略して示している。
そのため、図2(d)に示すように、液晶層12による赤色の反射光(図5では光線B)とリップマンホログラム層15の緑色の像(図5では光線D)との双方が目視可能となる。また、2つの層の選択波長領域が異なることから、液晶層12による反射光とリップマンホログラム層15による像とを鮮明に目視できる。
さらに、2つの層の選択波長領域が一部重なっている場合でも、半値幅に対応する領域が重なっていなければ、液晶層12の反射光とリップマンホログラム層15の像とが鮮明に得られる。
本実施例によれば、液晶層12とリップマンホログラム層15とは、反射する光の波長領域が異なる。従って、本実施例のように液晶層12とリップマンホログラム層15とを積層した場合に、図2(d)に示すように、それぞれの層からの反射光を鮮明に目視できる。
また、液晶層12は、右円偏光の光を反射するので、例えば、左円偏光の光を透過する円偏光板50を通して見た場合には、図2(e)に示すように、リップマンホログラム層15の再生する像は目視できるが、液晶層12からの赤色の反射色が見えなくなる。この特徴により、例えば、本実施例の液晶層12の反射する光と同様な色の光を反射するフィルム等を用いて真正性表示体が偽造された場合にも、円偏光板50を用いることによりその真正性を判定することができる。
以上の判定方法は、液晶層12が反射する光の波長領域と、リップマンホログラム層15が回折する光の波長領域が重なっている場合でも、2つの光の半値幅の大きさや光利用効率が異なるため、波長領域が全く異なる場合と同様に、2つの光を個別に認識することは可能である。また、視認性を上げるために2つの光が観察できる角度をそれぞれ別々とすることも可能である。
具体例1及び具体例2は、対象物に容易に貼付可能なラベルとして使用可能な真正性表示体の層構成を示している。
(具体例1の層構成)
本発明による真正性表示体の実施例の具体例1の層構成について、図1を用いて説明する。
真正性表示体101は、観察側から裏面側へ、保護層11、液晶層12、支持基材層(易接着PET層)13、粘着層14、リップマンホログラム層15、粘着層16、基材層17、粘着層(貼付層)18、セパレータ19の順に積層されている。
保護層11は、真正性表示体101の表面を保護する層であり、最も観察側に積層されている。保護層11は、略透明であるので、保護層11を介して、コレステリック液晶層12の反射光及びリップマンホログラム層15の像を目視し、真正性の判定が行える。
保護層11は、観察側からの入射光の偏光を乱すことなく液晶層12の偏光分離機能を発揮させる必要があることから、複屈折の少ない材料を用いることが望ましい。例えば、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリカーボネート系高分子、シクロオレフィンポリマーから成るフィルム等が使用できる。
液晶層12の支持基材としては、ポリカーボネート系高分子、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリアクリレート系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子等の熱可塑性ポリマー等からなるフィルムを用いることができる。
この場合、液晶層12に拡散性を持たせるならば、コレステリック液晶構造がプラーナー配向状態とならないように制御する必要がある。よって、支持基材層13としては、液晶性組成物が塗布される側の表面に配向能を有していないものを用いることが好ましい。
ただし、支持基材層13のうち液晶性組成物が塗布される側の表面の材料が、延伸フィルム等のように表面に配向能を有しているものであっても、支持基材層13としての延伸フィルムの表面に表面処理を施したり、液晶性組成物の材料や、液晶性組成物を配向処理する際のプロセス条件等を制御したりすることにより、液晶層12のコレステリック液晶構造がプラーナー配向状態とならないように制御することが可能である。
なお、易接着層等の中間層を設ける場合には、液晶層12と支持基材層13との間の密着性を高めることもできる。なお、このような中間層としては、液晶層12の材質及び支持基材層13の材質の両方に対して高い密着性が得られるものであればよく、一般に市販されているものを用いることができる。具体的には、例えば、東洋紡績(株)製の易接着層付PETフィルムA4100や、パナック社製の易接着材料AC−X、AC−L、AC−W等が挙げられる。
粘着層16は、粘着剤を塗布して形成される層である。
基材層17は、その観察側に粘着層16を介してリップマンホログラム層15が形成されている。本実施例では、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)により形成されている。
粘着層18は、粘着剤を塗布して形成される層であり、真正性表示体101を対象物に容易に貼付可能とする貼付層である。粘着層18の基材層17との接合面には、両層間の接着強度を部分的に弱める接着力低下部18aが形成されている。また、粘着層18と対象物T(図6参照)との間の接着強度は、真正性表示体101の全ての層の破断強度及び接着強度よりも強く設定されている。
セパレータ19は、粘着層18の裏面側に積層された剥離可能な剥離部材である。
具体例1の切れ込み101aは、保護層11から基材層17までに渡って形成されているが、粘着層18については切れ込み101aが形成されていないので、対象物Tに対して貼り付けるときには、切れ込み101aにより切断されてしまうことはない。しかし、いったん対象物Tに対して貼り付けられた後には、真正性表示体101を剥がそうとしても、粘着層18が対象物Tに対して貼り付いていることから、液晶層12及びリップマンホログラム層15を含めて真正性表示体101が破壊すなわち、切断または変形する。切断、変形したリップマンホログラム層15は、再度貼付しても剥がす前の状態には復帰せず、継ぎ目および変形により変色したリップマンホログラム層15によって、再貼付したことが確認できる。この切れ込み101aによる貼替防止効果は、図6中に示したL1〜L4のいずれの位置から剥がされた場合であっても有効である。
図7(a)は真正性表示体101の周囲に小さな切れ込みを入れたもの、図7(b)は真正性表示体101に小さな十字の切れ込みを入れたもの、図7(c)はホログラムの模様に合わせて切れ込みを入れたもの、図7(d)は真正性表示体101が四角形である場合にその四角形の四隅に切れ込みを入れたもの、図7(e)は真正性表示体101を4分割するように大きな十字の切れ込みを入れたもの、図7(f)は真正性表示体101の周囲に鋭角の切れ込みを入れたものである。
図8は、真正性表示体101が図6中の位置L1で剥がされた場合を示す図である。
先に述べたように、粘着層18の基材層17との接合面には、両層間の接着強度を部分的に弱める接着力低下部18aが形成されており、真正性表示体101が剥がれるときに、粘着層18の粘着剤の一部(第1の部分)が真正性表示体101と共に除去され、その他の部分(第2の部分)が対象物T上に残るように作られている。
なお、粘着層14,16,18の各層との間の剥離強度(接着強度)を設定するには、使用する粘着剤を変えて接着力の異なる粘着剤をそれぞれに使用するか、接着強度の異なる粘着剤を混合して使用し、その際の混合比の異なる2種の混合接着剤を使用して、適当な接着強度差が生じるようにするか、又は、主成分となる粘着剤は共通としておき、イソシアネート系架橋剤のような架橋剤、タッキファイヤー樹脂の添加量を変えることにより、接着強度の大小を付ける等のいずれの方法によってもよい。
さらに、紫外線や電子線等の電離放射線をパターン状に照射し、架橋を部分的に行なわせる方法によってもよい。なお、接着強度を部分的に強めてもよい。
粘着層18と基材層17との接着に際して、接着強度が十分な部分と十分でない部分を設定する際には、その設定により接着強度が十分な部分と十分でない部分とに区分されて、接着力低下部18aのパターンが視認できると、不正な目的で剥がそうとする者が警戒を強めるため、屈折率の相違等により、視認性が生じないよう留意する。
真正性表示体101には、上述した切れ込み101a及び粘着層18を部分的に残留させることにより、図6の位置L1で剥がされたときにも、再利用を防止しているが、剥がした後に残留した粘着剤を拭い去って、切れ込み101aから切断された位置を合わせて他の物品に貼ろうとする者が居たとしても、リップマンホログラム層15と粘着層14,16,18とを以下のような一定な関係とすることにより、不正な意図を阻むことができる。
図9は、真正性表示体101が図6中の位置L2又はL3で剥がされた場合を示す図である。
リップマンホログラム層15の破断強度は、粘着層14による支持基材層13とリップマンホログラム層15との間の剥離強度(ホログラム観察側剥離強度)より小さく、かつ、粘着層16によるリップマンホログラム層15と基材層17との間の剥離強度(ホログラム裏面側剥離強度)より小さく設定される。また、リップマンホログラム層15の破断強度は、粘着層14及び粘着層16自体の破断強度よりも小さくなっている。従って、図6中の位置L2、L3で剥離しようとすると、必ずリップマンホログラム層15の凝集破壊を伴うこととなり、真正性表示体101の再利用を防止できる。
また、粘着層14のリップマンホログラム層との接合面には、両層間の接着強度を部分的に弱める接着力低下部14aが形成されているので、この部分については、粘着層14とリップマンホログラム層15とがきれいに剥がれる。しかし、接着力低下部14a以外の部分では、リップマンホログラム層15が破断される。この接着力低下部14aを、先に示した接着力低下部18aと同様にパターン状に形成することにより、真正性表示体101の再利用を防止する効果をさらに高めている。
なお、破断強度と剥離強度は、直接に数値での比較はできないが、それぞれの破断強度や層間の剥離強度を求めておき、上記の如き剥離状況を可能とする場合に対応させて、その大小関係を実験的に決定するとよい。このように規定する点は、本発明における他の部分においても同様である。
本発明における破断強度、剥離強度、1%引っ張り強度はJIS K7127−1989に従うINSTRON社製試験機 INSTRON5565にて、下記の条件により測定した。
応力(Stress)−伸度(Strain)曲線(S−S曲線)を自記録させ、この曲線から破断強度を求めた。
測定雰囲気 :25℃
試験片 :25mm幅
引っ張り速度:2mm/分
荷重―剥離距離曲線を自記録させ、剥離後に荷重が一定になった領域の荷重から剥離強度を求めた。
測定雰囲気 :25℃
剥離方向 :180°剥離
試験片 :25mm幅
剥離速度 :300mm/分
応力−伸度曲線から、1%伸びたときの応力から1%引っ張り強度を求めた。
測定雰囲気 :25℃
試料片 :25mm幅
引っ張り速度:2mm/分
リップマンホログラム層15中に蛍光顔料を含有させると、リップマンホログラム層15を脆弱化させる他に、紫外線照射による蛍光を利用して真性性表示体におけるセキュリティをより高めることを可能にする。
図10は、真正性表示体101が図6中の位置L4で剥がされた場合を示す図である。
液晶層12の破断強度は、保護層11と液晶層12との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さく、さらに、液晶層12と支持基材層13との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さい。従って、位置L4で剥がそうとすると、必ず液晶層12が破断してしまい、液晶層12のみを再利用することもできなくなる。
また、真正性表示体101は、ラベルとして提供できるので、様々な対象物に貼付して利用することができる。
例えば、リップマンホログラム層15が、入射角度が30°にて複製できるホログラム(緑色)の場合、入射角度30°での光を反射する液晶層12を設けると、液晶層12の反射光も記録されてしまうので、リップマンホログラム層15を複製できない。
また、液晶層12は、再生波長にかかわらず、斜め入射では位相差を持ち、液晶層12の厚みを厚くすることにより、リップマンホログラム層15へ入射する光とリップマンホログラム層15から反射する光の間に生じる位相差を大きくすることができる。これは特定角度からの再生入射光を液晶層12が反射しない場合でも、位相差を生じるため、複製しにくくする効果をもたらす。
その上さらに、液晶層12とリップマン液晶層15とが反射する光の波長領域が異なっているため双方の反射光の視認性がよく、また、円偏光板50を通して見ることで液晶層12の反射光の見え方が明確に異なることから、真正性の判定が容易かつ確実に行える。
以上説明した具体例1では、切れ込み101aからの破壊、液晶層12の破断、リップマンホログラム層15の破断又はパターン状の破断、リップマンホログラム層15の変形による変色、粘着層18のパターン状の破断等、多数の貼替防止構造を備えているが、これらは、全てを備えなくとも、適宜選択的に用いてもよい。以下、その変形例を具体例1−1〜具体例1−7として示す。
第1のフィルムとして厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーT60;東レ(株)製)上に下記組成
(体積型ホログラム記録用溶液)
・ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量 200,000):100重量部
・9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン:80重量部
・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル:70重量部
・ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート:5重量部
・3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル−2,2’−チアカルボシアニンヨードニウム塩:1重量部
・微粒子(コロイダルシリカ;平均一次粒径20nm):5重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/1−ブタノール=1/1(重量比)):200重量部
からなる体積型ホログラム記録用溶液を乾燥後膜厚10μmとなるように塗布し、更に第1のセパレータフィルムとして厚み50μmのセパレータフィルム(SP−PET;東セロ(株)製)を貼付け、第1のフィルム/体積型ホログラム記録用層/第1のセパレータフィルムからなるホログラム形成用の積層体Aを作製した。
(保護層溶液)
・ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量 100,000):100重量部
・メチルエチルケトン:400重量部
からなる保護層溶液を乾燥後膜厚2μmとなるように塗布し、オーブンで乾燥させて保護層/コレステリック液晶層/第3のフィルムからなる積層体Dを得た。
(粘着層溶液)
・アクリル系粘着剤(ニッセツPE−118;日本カーバイト工業(株)製)):100重量部
・イソシアネート系架橋剤(ニッセツCK−101;日本カーバイト工業(株)製):2重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/酢酸エチル=2/1/1(重量比):60重量部
からなる粘着層溶液を乾燥後膜厚20μmとなるように塗布した後、オーブンで乾燥させ第1の粘着層を得た。その後、第1の粘着層上に第3のセパレータフィルムとして厚み38μmの別のセパレータフィルム(SP−PET)を貼り合わせて第2のセパレータフィルム/第1の粘着層/第3のセパレータフィルムからなる積層体Eを得た。このとき、第3のセパレータフィルムは、第2のセパレータフィルムよりも剥離強度が大きいものを用いた。
また、貼り付けられた真正性表示体101−1を対象物から剥がそうとしたところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15が凝集破壊し、対象物側と剥がした側両方にリップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15が残ってしまった。この段階で剥がした側を元に戻そうとしたが剥がした跡が残ってしまい、剥がされたことが明白であった。
具体例1−1の体積型ホログラム記録用溶液中の微粒子をフッ素系粒子(共栄化学社製FM108の重合体;平均一次粒径500nm)とした以外は同様な方法で真正性表示体101−2(不図示)を得た。
得られた真正性表示体101−2のセパレータ(第5のセパレータフィルム)19を剥離して対象物に貼り合せた。これを右円偏光の光を透過する円偏光板50を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光のいずれも観察できたのに対し、左円偏光の光を透過する円偏光板を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄は観察できたが、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光は観察できなかった。
また、貼り付けられた真正性表示体101−2を対象物から剥がそうとしたところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15が凝集破壊し、対象物側と剥がした側両方にリップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15が残ってしまった。この段階で剥がした側を元に戻そうとしたが剥がした跡が残ってしまい、剥がされたことが明白であった。
具体例1−1の体積型ホログラム記録用溶液中の微粒子を添加しない、積層体Cを作製する際のコレステリック液晶層に照射する紫外線照射量を5000mJ/cm2にした以外は同様な方法で真正性表示体101−3(不図示)を得た。
得られた真正性表示体101−3のセパレータ(第5のセパレータフィルム)19を剥離して対象物に貼り合せた。これを右円偏光の光を透過する円偏光板50を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光のいずれも観察できたのに対し、左円偏光の光を透過する円偏光板を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄は観察できたが、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光は観察できなかった。
また、貼り付けられた真正性表示体101−3を対象物から剥がそうとしたところ、液晶層(コレステリック液晶層)12が凝集破壊し、対象物側と剥がした側両方に液晶層(コレステリック液晶層)12が残ってしまった。この段階で剥がした側を元に戻そうとしたが剥がした跡が残ってしまい、剥がされたことが明白であった。
具体例1−1の積層体Bの第1のフィルムを剥離し、むき出しになった体積型ホログラム層上に、シリコーンをアクリル樹脂系バインダー100重量部に対し、8%添加したものをグラビア印刷により、所定のパターン印刷を施して、パターン印刷層/体積型ホログラム層/第2のフィルムからなる積層体Gを得た。
積層体D、E、F、Gを用いて具体例1−1と同様な方法で、保護層11/液晶層(コレステリック液晶層)12/支持基材層(第3のフィルム)13/粘着層(第1の粘着層)14/接着力低下部(パターン印刷層)14a/リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15/粘着層(第2の粘着層)16/基材層(第4のフィルム)17/粘着層(第3の粘着層)(貼付層)18/セパレータ(第5のセパレータフィルム)19からなる真正性表示体101−4(不図示)を得た。
また、貼り付けられた真正性表示体101−4を対象物から剥がそうとしたところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15がパターン状に対象物側に残り、剥がした側にも同様にリップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15がパターン状に残った。この段階で、剥がしたものを元に戻そうとしたがリップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15のパターンは消えず、剥がした跡が残ってしまい、剥がされたことが明白であった。
具体例1−1の積層体Fを作製する時に、第3の粘着層を形成する前に、第4のフィルムの第2の粘着層が形成されていない面上にシリコーンをアクリル樹脂系バインダー100重量部に対し、8%添加したものをグラビア印刷により所定のパターン印刷を施してから、第3の粘着層の代わりに下記組成
(着色粘着層溶液)
・アクリル系粘着剤(ニッセツPE−118;日本カーバイト工業(株)製)):100重量部
・イソシアネート系架橋剤(ニッセツCK−101;日本カーバイト工業(株)製):2重量部
・黒色染料(カヤセットブラックK−R;日本化薬(株)製):5重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/酢酸エチル=2/1/1(重量比):55重量部
からなる着色粘着層を形成した以外は同様な方法で、保護層11/液晶層(コレステリック液晶層)12/支持基材層(第3のフィルム)13/粘着層(第1の粘着層)14/リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15/粘着層(第2の粘着層)16/基材層(第4のフィルム)17/接着力低下部(パターン印刷層)18a/粘着層(着色粘着層)(貼付層)18/セパレータ(第5のセパレータフィルム)19からなる真正性表示体101−5(不図示)を得た。
また、貼り付けられた真正性表示体101−5を対象物から剥がそうとしたところ、粘着層(着色粘着層)(貼付層)18がパターン状に対象物側に残り、剥がした側にも同様に粘着層(着色粘着層)(貼付層)18がパターン状に残った。この段階で、剥がしたものを元に戻そうとしたが粘着層(着色粘着層)(貼付層)18のパターンは消えず、剥がした跡が残ってしまい、剥がされたことが明白であった。
具体例1−4の体積型ホログラム記録用溶液としてオムニデックス706(DuPont社製)を使用した(但し微粒子は未添加)以外は同様な方法で真正性表示体101−6(不図示)を得た。
得られた真正性表示体101−6のセパレータ(第5のセパレータフィルム)19を剥離して対象物に貼り合せた。この真正性表示体101−6を観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15に施された接着力低下部(パターン印刷層)14aのパターン印刷は観察されなかった。これを右円偏光の光を透過する円偏光板50を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光のいずれも観察できたのに対し、左円偏光の光を透過する円偏光板を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄は観察できたが、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光は観察できなかった。
具体例1−6で得られた真正性表示体101−6に図7(b)の101aに記載された切れ込みを全抜き刃で入れることにより真正性表示体101−7(不図示)を得た。
得られた真正性表示体101−7のセパレータ(第5のセパレータフィルム)19を剥離して対象物に貼り合せた。この真正性表示体101−6を観察したところ、切れ込みの跡は見られたが、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15に施された接着力低下部(パターン印刷層)14aのパターン印刷は観察されなかった。これを右円偏光の光を透過する円偏光板50を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光のいずれも観察できたのに対し、左円偏光の光を透過する円偏光板を通して観察したところ、リップマンホログラム層(体積型ホログラム層)15の絵柄は観察できたが、液晶層(コレステリック液晶層)12からの反射光は観察できなかった。
図11は、本発明による真正性表示体の実施例の具体例2の層構成を示す図である。
具体例2の真正性表示体102は、観察側から裏面側へ、保護層11、液晶層12、支持基材層(両面易接着PET層)20、リップマンホログラム層15、粘着層16、基材層17、粘着層(貼付層)18、セパレータ19の順に積層されている。
真正性表示体102には、具体例1と同様に切れ込み102aが形成されている。
また、真正性表示体102には、支持基材層20として両面易接着PETフィルムを用いていることから、具体例1の接着力低下部14aに相当する部分は形成していないが、他の部分については、具体例1と同様に破断強度及び剥離強度を設定している。
具体例2によれば、真正性表示体102は、液晶層12とリップマンホログラム層15とが反射する光の波長領域が異なっているため双方の反射光の視認性がよく、また、円偏光板50を通して見ることで液晶層12の反射光の見え方が明確に異なることから、真正性の判定が容易かつ確実に行える。
また、真正性表示体102を剥がして再利用することも防止できる。
図12は、本発明による真正性表示体の実施例の具体例3の層構成を示す図である。
具体例3の真正性表示体103は、観察側から裏面側へ、未処理PET層21、剥離性保護層22、リップマンホログラム層15、粘着層14、液晶層12、支持基材層(易接着PET層)13、粘着層(貼付層)24、セパレータ25の順に積層されている。
リップマンホログラム層15の破断強度は、剥離性保護層22とリップマンホログラム層15との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さく、さらに、リップマンホログラム層15と粘着層14との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さい。従って、リップマンホログラム層15に近い層部分で真正性表示体103を剥がそうとすると、リップマンホログラム層15が破断し、リップマンホログラム層15の再利用を防止できる。
また、液晶層12の破断強度は、粘着層14と液晶層12との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さく、さらに、液晶層12と支持基材層13との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さい。なお、液晶層12とリップマンホログラム層15の破断強度は、粘着層14自体の破断強度よりも小さい。従って、液晶層12に近い層部分で真正性表示体103を剥がそうとすると、液晶層12が破断し、液晶層12の再利用を防止できる。
粘着層24は、具体例1における粘着層18に相当する層であり、具体例1と同様に粘着層24の支持基材層13との接合面には、両層間の接着強度を部分的に弱める接着力低下部24aが形成されている。また、粘着層24と対象物Tとの間の接着強度は、真正性表示体103の全ての層の破断強度及び接着強度よりも強く設定されている。従って、この粘着層24部分で剥がそうとしても、接着力低下部24aのパターンに応じたパターンが真正性表示体103に残ってしまい、再利用を防止できる。
また、リップマンホログラム層15は、リップマンホログラム層15を透過した光が液晶層12で反射し、液晶層12の像が記録されてしまう。よって、複製されたホログラムには所望画像以外に液晶層12による反射成分が記録されるため、同一ではなくなる。従って、より偽造が困難な真正性表示体とすることができる。
さらに、液晶層12とリップマン液晶層15とが反射する光の波長領域が異なっているため双方の反射光の視認性がよく、また、円偏光板50を通して見ることで液晶層12の反射光の見え方が明確に異なることから、真正性の判定が容易かつ確実に行える。
さらにまた、真正性表示体103を剥がして再利用することも防止できる。
図13は、本発明による真正性表示体の実施例の具体例4の層構成を示す図である。
具体例4の真正性表示体104は、観察側から裏面側へ、保護層11、リップマンホログラム層15、支持基材層(易接着PET層)13、液晶層12、支持基材層(易接着PET層)13、粘着層(貼付層)18、セパレータ19の順に積層されている。
リップマンホログラム層15の破断強度は、保護層11とリップマンホログラム層15との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さく、さらに、リップマンホログラム層15と支持基材層13との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さい。従って、リップマンホログラム層15に近い層部分で真正性表示体104を剥がそうとすると、リップマンホログラム層15が破断し、リップマンホログラム層15のを再利用を防止できる。
また、液晶層12の破断強度は、液晶層12の両側にある支持基材層13との接合部分を剥離する剥離強度よりも小さい。従って、液晶層12に近い層部分で真正性表示体104を剥がそうとすると、液晶層12が破断し、液晶層12の再利用を防止できる。
粘着層18は、具体例1と同様に粘着層18の支持基材層13との接合面には、両層間の接着強度を部分的に弱める接着力低下部18aが形成されている。また、粘着層18と対象物Tとの間の接着強度は、真正性表示体104の全ての層の破断強度及び接着強度よりも強く設定されている。従って、この粘着層18部分で剥がそうとしても、接着力低下部18aのパターンに応じたパターンが真正性表示体104に残ってしまい、再利用を防止できる。
また、支持基材層13は、膜厚が薄いものを用いることで、液晶層12の偏光機能を乱すことなく、真正性表示体として使用できる。
さらに、支持基材層13を2枚重ね、異方性の方向を直交させ、支持基材層13が液晶層12に与える複屈折の影響を抑えてもよい。
さらにまた、真正性表示体104を剥がして再利用することも防止できる。
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)本実施例において、切れ込みによる破壊、液晶層の破壊、リップマンホログラム層の破壊、粘着層の部分的残留を全て実施する例を示したが、これに限らず、これらの中から適宜選択して貼替防止構造として採用してもよい。
このようなバリア層として用いる材料としては、そのバリア性を発現する材料であれば、特に制限はないが、通常、透明性有機樹脂材料を用いることによってその目的を達成することができる。中でも、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を用いることができる。特に、その中でもウレタン変性アクリレート樹脂がそのバリア性の高さから好ましく用いられる。
また、これらの電離放射線硬化性樹脂としては、そのコーティング適性、最終的に得られるバリア層の硬度等を考慮すると、その分子量は500〜2000の範囲のものが好ましく用いられる。また、バリア層のコーティングは基本的に無溶剤系であるため、リップマンホログラム層、セパレータ、ヒートシール層のどの層にも積層形成できる。
また、各層の密着性が弱い場合には、密着性を向上させる機能を有する層等が形成されたものであってもよい。
12 液晶層
13 支持基材層
14 粘着層
15 リップマンホログラム層
16 粘着層
17 基材層
18 粘着層
19 セパレータ
101,102,103,104 真正性表示体
Claims (15)
- 反射光を用いた第1の真正性判定機能を有するコレステリック規則性を有する液晶層と、
反射光を用いた第2の真正性判定機能を有する体積型ホログラム層と、
を積層した真正性表示体であって、
対象物に対して貼付可能とする貼付層が、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層よりも裏面側に形成されており、
前記貼付層により前記対象物に対して貼り付けられた後に前記対象物以外の対象物に対して貼り替えることを防止する貼替防止構造を備えること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1に記載の真正性表示体において、
前記貼替防止構造は、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層間の剥離強度よりも破断強度が小さい前記液晶層及び/又は前記体積型ホログラム層であること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1又は請求項2に記載の真正性表示体において、
前記液晶層及び/又は前記体積型ホログラム層の破断強度は、真正性表示体を構成する他の層の破断強度よりも小さいこと、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の真正性表示体において、
前記貼替防止構造は、前記体積型ホログラム層の観察側に隣接して設けられたホログラム観察側層と前記体積型ホログラム層との間の剥離強度をホログラム観察側剥離強度とし、前記体積型ホログラム層の観察側とは反対側である裏面側に隣接して設けられたホログラム裏面側層と前記体積型ホログラム層との間の剥離強度をホログラム裏面側剥離強度としたときに、前記ホログラム観察側剥離強度及び前記ホログラム裏面側剥離強度よりも破断強度が小さい前記体積型ホログラム層であること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項4に記載の真正性表示体において、
前記ホログラム観察側剥離強度及び/又は前記ホログラム裏面側剥離強度は、パターンを形成するように部分的に剥離強度が異なっており、前記ホログラム観察側層と前記ホログラム裏面側層との間を剥離するときに、前記体積型ホログラム層が前記パターン状に破断すること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項4又は請求項5に記載の真正性表示体において、
前記体積型ホログラム層は、微粒子を感光材料100重量部に対して10〜100重量部含有していること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項6に記載の真正性表示体において、
前記微粒子は、無機微粒子であること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項6に記載の真正性表示体において、
前記微粒子は、プラスチック微粒子であること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1に記載の真正性表示体において、
前記貼替防止構造は、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層間のいずれかの位置に設けられ、その両側の層間を接合する接合層であり、
前記接合層は、前記接合層部分が剥離されるときに、観察側の接合強度が裏面側の接合強度よりも強く観察側の層に残る第1の部分と、観察側の接合強度が裏面側の接合強度よりも弱く裏面側の層に残る第2の部分とを有していること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項9に記載の真正性表示体において、
前記接合層の観察側の接合部、及び/又は、前記接合層の裏面側の接合部には、前記接合層との間の接合強度を弱める層が部分的に設けられていること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項9に記載の真正性表示体において、
前記接合層の観察側の接合部、及び/又は、前記接合層の裏面側の接合部には、前記接合層との間の接合強度を強める層が部分的に設けられていること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1に記載の真正性表示体において、
前記貼替防止構造は、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層間のいずれかの位置に設けられ、各層間を接合する接合層による接合強度よりも1%引っ張り強度が小さい前記体積型ホログラム層であること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1に記載の真正性表示体において、
前記貼替防止構造は、前記液晶層及び前記体積型ホログラム層に加え真正性表示体を構成する他の層を含めた各層のいずれかに形成された切れ込みであること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項13に記載の真正性表示体において、
前記切れ込みは、前記液晶層と前記体積型ホログラム層とのうちの少なくとも一方に形成されていること、
を特徴とする真正性表示体。 - 請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の真正性表示体において、
前記貼付層よりも裏面側に、剥離可能な剥離部材が積層されていること、
を特徴とする真正性表示体。
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