JP2012109004A - 磁気ディスク基板用洗浄剤 - Google Patents

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俊一郎 山口
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Abstract

【課題】 砥粒や研磨屑に対する洗浄性が非常に高い磁気ディスク基板用洗浄剤、および磁気ディスク基板の洗浄方法を提供することを目的とすることを目的とする。
【解決手段】 分子内に1個以上のアミノ基および1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)またはその塩、ならびに水を必須成分として含有することを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、磁気ディスク基板用洗浄剤、および磁気ディスク基板の洗浄方法に関する。さらに詳しくは、ハードディスク用基板製造工程中で何度か行われる研磨工程において、基板を砥粒で研磨した後に基板表面を確実に清浄にするために使用される洗浄剤、およびその洗浄剤を使用して基板を洗浄する洗浄方法に関する。
磁気ディスク製造工程は、平坦化した基板を作成する工程であるサブストレート工程(1)と、磁性層を基板にスパッタする工程であるメディア工程(2)を含む。
このうち、サブストレート工程(1)では、基板の平坦化のために砥粒を含むスラリーによる研磨を行い、その後、スラリーおよび発生した研磨屑等のパーティクルをリンスして洗い流し、さらに、リンスで取り除けなかったパーティクルを後工程の洗浄工程で洗浄して完全に除去する。
ところで、磁気ディスクの近年の高記録密度化につれて、2段階以上の研磨プロセスを用いた検討がなされてきている。すなわち、1段階目の研磨においては基板表面の比較的大きなうねり、大きなピットおよびその他の表面欠陥を除去することが主たる目的で研磨がなされ、2段階目の研磨により、目的の表面粗さとしながら、細かなスクラッチ、ピットを除去する方式を採っている。
1段階目の研磨で得られた基板の表面に、その研磨工程で使用した砥粒や研磨屑が残留していると、それらの大部分は2段階目の研磨工程において除去されるが、取りきれずに残留してしまったものは欠陥となる。
また、1段階目の残留砥粒や研磨屑は、2段階目の研磨工程中にスクラッチの原因になり悪影響をおよぼす。
これらの問題点を解決するには、各段階で行われる研磨工程終了時に砥粒や研磨屑が除去されていること、また2段階目の研磨工程前の基板にそのような残留物が付着されていないことが必要であり、このような残留物除去のために、高性能な洗浄剤が必要となってきている。
一方、メディア工程(2)では、基板上に磁性層を均一にスパッタリングするために、サーフェイスコンディショニングが行われることがある。サーフェイスコンディショニングは、研磨後のサブストレートに筋目をつけるいわゆるテクスチャー加工を行い、その後にスラリーや研磨屑を洗い流すリンスをして、その後、流しきれなかったスラリー、研磨屑を洗浄する工程である。
このサーフェイスコンディショニングにおいても、研磨屑やスラリー中の砥粒などの除去が十分でないという問題があり、さらに研磨工程後の高い洗浄性が必要となってきている。
この砥粒や研磨屑の残留を除去するため、オキシモノカルボン酸またはオキシジカルボン酸系化合物を0.1〜50重量%と、界面活性剤を1.0〜50重量%含有する洗浄剤が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2002−224948号公報
しかしながら、上記の洗浄剤では、砥粒や研磨屑に対する除去性が近年のますます高記録密度化に対応したハードディスク基板の洗浄には未だ不十分である。
サブストレート工程(1)の1段階目の研磨で粗く研磨した後に、精密に研磨する2段階目の研磨で好適に使用されるコロイダルシリカは特に表面エネルギーが高く、基板の表面に一旦付着すると、除去が困難である。また、メディア工程(2)での研磨屑も同様に除去が困難である。
そのため、磁気ディスクの高記録密度化を達成するためには、このような除去困難な砥粒・研磨屑に対する高い洗浄性が求められる。
そこで、サブストレート工程における1段階目の研磨後あるいは2段階目の研磨後や、メディア工程における加工後において、砥粒や研磨屑に対する洗浄性が非常に高い磁気ディスク基板用洗浄剤、および磁気ディスク基板の洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、分子内に1個以上のアミノ基および1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)またはその塩、ならびに水を必須成分として含有することを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄剤である。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤および洗浄方法は、砥粒や研磨屑に対する洗浄性に優れ、高記録密度化で要求される清浄度の高い磁気ディスク用基板を提供することができる。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤は、分子内に1個以上のアミノ基および1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)またはその塩、ならびに水を必須成分として含有することを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄剤である。
本発明の分子内に1個以上のアミノ基および1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)としては、分子内に1個のアミノ基および1個のスルホン酸基を有するアミノアルキルスルホン酸、分子内に1個のアミノ基および2個のスルホン酸基を有するアミノアルキルジスルホン酸、分子内に2個のアミノ基および1個のスルホン酸基を有するジアミノアルキルスルホン酸等が挙げられる。洗浄性の観点から、スルホン酸基の個数はアミノ基の個数以上であることが好ましい。
これらの化合物(A)のうち、砥粒や研磨屑の洗浄性の観点で、分子内に1個のアミノ基および1個のスルホン酸基を有するアミノアルキルスルホン酸が最も好ましく、下記一般式(1)で表される化合物がさらに好ましい。
N−R−SOH (1)
式(1)中、Rは、単結合または炭素数1〜6の2価の炭化水素基であり、その一部がアミノ基とスルホン酸基以外の官能基で置換されていてもよい。
Rとしての炭素数1〜6の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニル基、シクロアルキレン基、2価の芳香族炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基などが挙げられる。
また、その一部がアミノ基とスルホン酸基以外の官能基で置換されている炭素数1〜6の2価の炭化水素基の具体例としては、ヒドロキシフェニレン基、ヒドロキシエチレン基などが挙げられる。
式(1)で表される化合物の具体例としては、スルファニル酸(p−アミノベンゼンスルホン酸)、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、スルファミン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン(2−アミノエタンスルホン酸)、3−アミノプロパンスルホン酸、アミノヘキサンスルホン酸、アミノシクロヘキサンスルホン酸などが挙げられる。
これらのうち洗浄性の観点で好ましいのはスルファニル酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、スルファミン酸、タウリン、3−アミノプロパンスルホン酸である。特に好ましいのは、スルファニル酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、タウリン、3−アミノプロパンスルホン酸であり、最も好ましいのはスルファニル酸である。
前記のスルホン酸基は塩を形成していてもよく、塩としては、アミン(例えばDBU、アルキルアミン及びアルカノールアミン等)並びにアルカリ金属(例えばカリウム及びナトリウム等)との塩が挙げられる。
分子内に1個以上のアミノ基および1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)は、アミノ基のまま、スルホン酸基のままでよいが、酸または塩基によって中和された状態、すなわちアミノ基が4級アンモニウム塩基に中和されたり、スルホン基がアルカリ金属カチオンと塩を形成した化合物(A)の塩を用いても差し支えない。あるいは、系中でpH調整やその他の目的で併用される酸や塩基により塩が形成された状態で存在しても差し支えない。
例えば、洗浄剤中のスルファニル酸カリウムは、スルファニル酸カリウム塩を配合してもまたはスルファニル酸と水酸化カリウムを配合してもいずれでもよい。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤は、上記の化合物(A)と水を必須成分とする。
水としては、超純水又はイオン交換水が使用できる。
製造時および保存時の化合物(A)の含有量は特に限定されず、使用時にさらに水で希釈してもよい。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤の使用時の化合物(A)の含有量は、0.001%〜0.1%であり、洗浄性の観点から0.005〜0.05%が好ましい。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤には、洗浄性を向上させるために、界面活性剤(B)、キレート剤(C)、pH調整剤(D)をさらに配合することが好ましい。
界面活性剤(B)としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜22の高級アルコールエチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある。)付加物、脂肪酸EO付加物、アルキルアミンEO付加物、プルロニック型界面活性剤等が等挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩型、硫酸塩型、リン酸塩型、高級アルコールEO付加物硫酸エステル塩が挙げられる。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤における界面活性剤(B)の含有量は、化合物(A)に対し、1〜100重量%である。この範囲であると洗浄性が向上する
キレート剤(C)としては、リン系キレート剤(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸等)、カルボン酸系キレート剤(エチレンジアミンテトラ酢酸等)が挙げられる。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤におけるキレート剤(C)の含有量は、化合物(A)に対し、1〜1000重量%である。この範囲であると洗浄性が向上する。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤の使用時のpHは、2、5℃で、7.0〜12.0が好ましい。
pH調整剤(D)としては、アミン(例えばアルカノールアミン、アミジン等)、無機アルカリ(水酸化カリウム等)が挙げられる。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤におけるpH調整剤(D)の含有量は、化合物(A)に対し、1〜30重量%である。この範囲であると洗浄性が向上する。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤には、洗浄性を低下させない範囲内で防腐剤、水混和性溶剤、ハイドロトープ剤、増粘剤、有機酸を適宜配合しても良い。
本発明の別の実施態様は、上記記載の磁気ディスク基板用洗浄剤を用いて磁気ディスク用基板を洗浄する方法である。
本発明の磁気ディスク基板用洗浄剤を用いる洗浄方法は、サブストレート工程の1段階目の研磨後や2段階目の研磨後、あるいはメディア工程で用いることができる。
洗浄方法としては、スクラブ洗浄、ディップ洗浄が挙げられ、特に限定されるものではない。適宜、超音波照射を併用することができる。
本発明の洗浄剤を用いた磁気ディスク基板の製造工程(サブストレート工程の一部)の一例を、ハードディスクガラス基板を例にとり、以下に述べる。
(1)打ち抜きガラス基板をラッピング後、流水ですすいで粗研磨したガラス基板を作成する。
(2)酸化セリウムを含む研磨スラリーで上記のガラス基板を研磨する。
(3)1段目の研磨後の基板を流水ですすいだ後に本発明の洗浄剤を用いてディップ洗浄し、その後再度流水ですすぐ。
(4)コロイダルシリカを含む研磨スラリーでガラス基板を研磨する。
(5)2段目の研磨後のガラス基板を流水ですすいだ後に本発明の洗浄剤を用いてスクラブ洗浄し、その後再度流水ですすぐ。
洗浄時間、洗浄温度、超音波振動数、スクラブ洗浄用のブラシ材質、スクラブ洗浄時の回転数等の条件は、従来の洗浄剤で洗浄するときの条件を使用することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
実施例1〜11、および比較例1〜8
表1に記載の組成となるように、各成分を配合し、25℃、マグネチックスターラーで40rpm、20分間攪拌して、本発明の洗浄剤および比較のための洗浄剤を得た。なお、比較例1はブランクに相当する。
Figure 2012109004
なお、表1中の記号は下記の化合物を表す。
(B−1):「エマルミンNL−100」、三洋化成工業製
(B−2):「ビューライトNA−25S」、三洋化成工業製
(C−1):ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、キレスト製
(D−3):ジアザビシクロウンデセン(DBU)、サンアプロ製
それ以外は市販の試薬を使用した。
洗浄剤のゼータ電位の測定と付着性試験は下記の方法で行った。
<ゼータ電位測定>
実施例1〜11および比較例1〜8の洗浄剤を、比抵抗値が18MΩ・cm以上の超純水(以下、同じ。)でさらに100倍に希釈した。
市販のコロイダルシリカ(フジミ社製「COMPOL80」1部に対し、上記で希釈した後の洗浄剤99部を加えて分散液を調製し、ゼータ電位計(大塚電子製「ELS−Z2」)でゼータ電位を測定した。
ゼータ電位は、粒子の分散性を表す指標であり、値が負に大きいほど粒子同士の静電反発力が大きく、分散性が良いことを意味する。なお、この用途の洗浄剤では通常、−50mV以下が実用上必要とされる。その結果を表1に示す。
<付着性試験>
実施例1〜11および比較例1〜8の洗浄剤を、さらに超純水で100倍に希釈した。
ゼータ電位測定で使ったのと同じコロイダルシリカ1部に対し、希釈した洗浄剤99部を加え、コロイダルシリカ分散液を得た。
市販のハードディスク用ガラス基板を、まずアセトン中に25℃で1分間浸漬し、超次に超純水の流水で1分間リンスした後、1%水酸化ナトリウム水溶液中で95℃1分間浸漬する。これを、今度は超純水の流水で1分間リンスし、1%塩酸水溶液中で50℃1分間浸漬後、1分間超純水でリンスして、ガラス基板の活性化処理をおこなった。
この活性化処理したガラス基板を、上記コロイダルシリカ分散液に5分間浸漬し、1分間超純水で流水リンスした後、窒素気流のブローにより乾燥した。
ガラス基板表面を表面検査装置(ビジョンサイテック社製「Micro−Max VMX−7100」)で観察し、目視でパーティクル残存数を数えた。
以下の評価基準で付着性試験を評価し、評価結果を表1に示した。
[付着性試験の評価基準]
5:パーティクル残存数が10個/枚未満
4:パーティクル残存数が10個以上30個未満
3:パーティクル残存数が30個以上100個未満
2:パーティクル残存数が100個以上200個未満
1:パーティクル残存数が200個以上
表1より、実施例1および2の洗浄剤はゼータ電位の低下が大きく、分散性が良い。そのため、付着性試験の評価が高い。
また、さらに界面活性剤、キレート剤、pH調整剤を含む実施例3〜11の洗浄剤は、ゼータ電位が低いだけでなく、付着性試験もさらに良好であることがわかる。
一方、(A)のみを含有しないブランクの比較例1の洗浄剤は、ゼータ電位の低下はわずかであり、分散性が不十分である。そのため、パーティクルの付着低減はほとんどない。
また、アミノ基は含有するがスルホン基を含有しない比較例2、4、7の洗浄剤は、ほとんどゼータ電位が低下せず、パーティクルの付着低減はごくわずかであり、世の中の要求レベルを満足できるレベルではない。スルホン基は含有するがアミノ基を含有しない比較例3、5の洗浄剤も同様にほとんどゼータ電位が低下せず、パーティクルの付着低減はごくわずかである。さらに、スルホン基もアミノ基も共に含有しない比較例6、8の洗浄剤もほとんどゼータ電位が低下せず、パーティクルの付着低減はごくわずかである。以上のことから、ゼータ電位低下およびパーティクル付着低減のためには、本発明の特定の化学構造の化合物(A)が必須であることがわかる。
本発明の磁気ディスク用洗浄剤は、パーティクルの付着性を従来の洗浄剤より大幅に低減することができるため、特にハードディスク用洗浄剤として使用することができる。また、本発明の磁気ディスクの製造方法は、残存パーティクルに対して特に高い洗浄レベルが要求されるハードディスク用基板、半導体用基板に使用することができる。

Claims (5)

  1. 分子内に1個以上のアミノ基および1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)またはその塩、ならびに水を必須成分として含有することを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄剤。
  2. 該化合物(A)が一般式(1)で表される化合物である請求項1記載の磁気ディスク基板用洗浄剤。
    N−R−SOH (1)
    [式(1)中、Rは単結合または炭素数1〜6の2価の炭化水素基であり、その一部がアミノ基とスルホン酸基以外の官能基で置換されていてもよい。]
  3. 該化合物(A)がスルファニル酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、スルファミン酸およびタウリンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の磁気ディスク基板用洗浄剤。
  4. さらに、界面活性剤、キレート剤およびpH調整剤からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1〜3いずれか記載の磁気ディスク基板用洗浄剤。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の磁気ディスク基板用洗浄剤を用いて磁気ディスク用基板を洗浄する磁気ディスク用基板の洗浄方法。
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