以下、本発明のサーマルヘッドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態のサーマルヘッドXは、放熱体1と、放熱体1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続されたフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)とを備えている。なお、図1では、FPC5の図示を省略し、FPC5が配置される領域を二点鎖線で示す。
図1〜図4に示すように、放熱体1は、平面視で長方形状である板状の台部1aと、この台部1aの上面上に配置され、台部1aの一方の長辺(図1では右側の長辺)に沿って延びる突起部1bとを備えている。この放熱体1は、例えば、銅またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱するようになっている。
図1および図2に示すように、ヘッド基体3は、平面視で長方形状の基板7と、基板7の長手方向に沿って延びる一方の端面7a(図1では左側の端面。以下、第1の端面7aという)上に設けられ、基板7の長手方向に沿って配列された複数(図示例では24個)の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7の上面上に並べて配置された複数(図示例では3個)の駆動IC11とを備えている。
このヘッド基体3は、図1〜図4に示すように、放熱体1の台部1aの上面上に配置されており、基板7の長手方向に沿って延びる他方の端面7b(図3では右側の端面であり、第1の端面7aとは反対側の端面。以下、第2の端面7bという)が、放熱体1の突起部1bに対向して配置されている。また、ヘッド基体3の下面(より詳細には、後述する第3保護層29の下面)と台部1aの上面とが両面テープ12によって接着されており、これによってヘッド基体3が台部1aに支持されている。
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料や単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
図3および図4に示すように、基板7の第1の端面7aには、蓄熱層13が形成されている。基板7の第1の端面7aは断面視で凸状の曲面形状を有しており、この第1の端面7a上に蓄熱層13が形成されていることにより、蓄熱層13の表面も曲面形状となっている。この蓄熱層13は、印画する記録媒体を、発熱部9上に形成された後述する第1保護層25に良好に押し当てるように作用する。
蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドXの熱応答特性を高めるように作用する。なお、本実施形態では、図3に示すように蓄熱層13が基板7の第1の端面7a上にのみ形成されており、発熱部9に近い位置で蓄熱することができるため、サーマルヘッドXの熱応答特性をより効果的に向上させることできる。この蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の第1の端面7a上に塗布し、これを高温で焼成することで形成される。
図3および図4に示すように、基板7の上面上、蓄熱層13上、ならびに基板7の下面および第2の端面7b上には、電気抵抗層15が設けられている。この電気抵抗層15は、基板7および蓄熱層13と、後述する共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21との間に介在している。
基板7の上面上に位置する電気抵抗層15の領域は、図1に示すように平面視において
、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21と同形状に形成されている。
蓄熱層13上に位置する電気抵抗層15の領域は、図2に示すように側面視において、共通電極配線17および個別電極配線19と同形状に形成された領域と、共通電極配線17と個別電極配線19との間から露出した複数(図示例では24箇所)の領域(以下、露出領域という。後述する発熱部9に対応)とを有している。
基板7の下面上に位置する電気抵抗層15の領域は、詳細には図示しないが、図3および図4に示すように、基板7の下面全体に亘って設けられており、共通電極配線17と同形状に形成されている。
基板7の第2の端面7b上に位置する電気抵抗層15の領域は、詳細には図示しないが、図3および図4に示すように、基板7の第2の端面7bの全体に亘って設けられており、共通電極配線17と同形状に形成されている。
このように電気抵抗層15の各領域が形成されているため、図1では、電気抵抗層15は、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21で隠れており、図示されていない。また、図2では、電気抵抗層15は、共通電極配線17および個別電極配線19で隠れており、露出領域のみ図示されている。
電気抵抗層15の各露出領域は、上記の発熱部9を形成している。そして、この複数の露出領域(発熱部9)が、図2および図3に示すように、蓄熱層13上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、説明の便宜上、図2および図3で簡略化して記載しているが、例えば、180dpi〜2400dpi(dot per inch)等の密度で配置される。
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極配線17と個別電極配線19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1〜図4に示すように、電気抵抗層15上には、共通電極配線17、複数の個別電極配線19および複数のIC−FPC接続配線21が設けられている。これらの共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
複数の個別電極配線19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続するためのものである。図1〜図3に示すように、各個別電極配線19は、一端部(図2では左側の端部)が発熱部9に接続され、基板7の第1の端面7a上から基板7の上面(一方の主面)上に亘って個別に帯状に延びている。なお、本実施形態では、個別電極配線19が、本発明における第1の電極配線に相当する。
各個別電極配線19の他端部(図示例では右側の端部)は、駆動IC11の配置領域に配置されており、この各個別電極配線19の他端部が駆動IC11に接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極配線19は、複数の発熱部9を複数(図示例では3つ)の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数のIC−FPC接続配線21は、駆動IC11とFPC5とを接続するためのもの
である。図1および図3に示すように、各IC−FPC接続配線21は、基板7の上面上に帯状に延びており、一端部(図示例では左側の端部)が駆動IC11の配置領域に配置され、他端部(図示例では右側の端部)が基板7の上面上に位置する後述する主配線部17aの近傍に配置されている。そして、この複数のIC−FPC接続配線21は、一端部が駆動IC11に接続されるとともに、他端部がFPC5に接続されることにより、駆動IC11とFPC5との間を電気的に接続している。
より詳細には、各駆動IC11に接続された複数のIC−FPC接続配線21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。具体的には、この複数のIC−FPC接続配線21は、例えば、駆動IC11を動作させるための電源電流を供給するためのIC電源配線と、駆動IC11およびこの駆動IC11に接続された個別電極配線19をグランド電位(例えば0V〜1V)に保持するためのグランド電極配線と、後述する駆動IC11内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させる電気信号を供給するためのIC制御配線とで構成されている。
駆動IC11は、図1および図2に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極配線19の他端部(図示例では右側の端部)とIC−FPC接続配線21の一端部(図示例では左側の端部)とに接続されている。この駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有しており、各スイッチング素子がオン状態のときに通電状態となり、各スイッチング素子がオフ状態のときに不通電状態となる公知のものを用いることができる。
各駆動IC11は、各駆動IC11に接続された各個別電極配線19に対応するように、内部に複数のスイッチング素子(不図示)が設けられている。そして、図3に示すように、各駆動IC11は、各スイッチング素子(不図示)に接続された一方(図示例では左側)の接続端子11a(以下、第1接続端子11aという)が個別電極配線19に接続されており、この各スイッチング素子に接続されている他方(図示例では右側)の接続端子11b(以下、第2接続端子11b)がIC−FPC接続配線21の上記のグランド電極配線に接続されている。より詳細には、駆動IC11の第1接続端子11aおよび第2接続端子11bはそれぞれ、図示しないはんだにより、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21上に形成された後述する被覆層30上にはんだ接合されている。これにより、駆動IC11の各スイッチング素子がオン状態のときに、各スイッチング素子に接続された個別電極配線19とIC−FPC接続配線21のグランド電極配線とが電気的に接続される。
共通電極配線17は、複数の発熱部9とFPC5とを接続するためのものである。この共通電極配線17は、図1、図3および図4に示すように、基板7の下面および第2の端面7bの全体に亘って形成されるとともに、基板7の上面において第2の端面7bに沿って延びるように形成されている主配線部17aと、図2および図3に示すように、基板7の下面上に位置する主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延びるリード部17cとを有している。各リード部17cは、先端部(図2では右側の端部)が個別電極配線19の一端部(図2では左側の端部)に対向して配置され、各発熱部9に接続されている。
このようにして、共通電極配線17は、一端部が個別電極配線19の一端部に対向して配置され、発熱部9に接続されているとともに、基板7の第1の端面7a上から、基板7の下面(他方の主面)上、および基板7の第1の端面とは反対側の第2の端面7b上を介して、基板7の上面(一方の主面)上に亘って延びている。なお、本実施形態では、共通電極配線17が、本発明における第2の電極配線に相当する。
そして、共通電極配線17は、図1、図3および図4に示すように、基板7の上面上に位置する主配線部17aがFPC5に接続されることにより、FPC5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
上記の電気抵抗層15、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、例えば、各々を構成する材料層を、蓄熱層13が形成された基板7上に、スパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、この積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、本実施形態では、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、同じ工程によって同時に形成することができる。また、電気抵抗層15の厚さは、例えば0.01μm〜0.2μmとし、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の厚さは、例えば0.05μm〜2.5μmとすることができる。
なお、本実施形態では、図5に詳細に示すように、共通電極配線17および個別電極配線19はそれぞれ、基板7の第1の端面7a上で、発熱部9に向かうにつれてその厚さが薄くなっている。図5は、図3に示す基板7の第1の端面7aの近傍を拡大して詳細に示す断面図である。
図5に示すように、共通電極配線17は、より具体的には、基板7の下面上で第1の厚さを有しており、基板7の第1の端面7a上で、この基板7の第1の端面7aと基板7の下面との境界位置から発熱部9に向かうにつれてその厚さが、第1の厚さから次第に薄くなっている。この第1の厚さは、例えば0.5μm〜2.5μmとすることができる。また、共通電極配線17の先端部(発熱部9に接続された端部)の厚さは、例えば、0.05μm〜0.3μmとすることができる。なお、本実施形態では、共通電極配線17は、基板7の第2の端面7b上および基板7の上面でも第1の厚さと略同じ厚さを有している。
また、図5に示すように、個別電極配線19は、より具体的には、基板7の上面上で第1の厚さを有しており、基板7の第1の端面7a上で、この基板7の第1の端面7aと基板7の上面との境界位置から発熱部9に向かうにつれてその厚さが、第1の厚さから次第に薄くなっている。この第1の厚さは、共通電極配線17と同様、例えば0.5μm〜2.5μmとすることができる。また、個別電極配線19の先端部(発熱部9に接続された端部)の厚さも、共通電極配線17と同様、例えば、0.05μm〜0.3μmとすることができる。
このように共通電極配線17および個別電極配線19の厚さを発熱部9に向かうにつれて薄くするためには、例えば、次のようにして各々を構成する材料層を形成する。例えば、スパッタリング法によって各々の材料層を形成する場合は、基板7の上面および下面のそれぞれに対向するようにスパッタリングターゲットを配置する。このスパッタリングターゲットは、共通電極配線17および個別電極配線19を構成する材料に応じて、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。そして、基板7の第1の端面7aの全体に対向するように遮蔽板を配置する。この遮蔽板と基板7の第1の端面7aとの離間距離によって、スパッタリングターゲットから基板7の第1の端面7a上に飛来する原子の数を制限することにより、基板7の第1の端面7a上での共通電極配線17および個別電極配線19の厚さを発熱部9に向かうにつれて次第に薄くすることができる。なお、スパッタリング法としては公知のものを用いることができる。
また、本実施形態では図5に示すように、共通電極配線17および個別電極配線19は
、基板7の第1の端面7a上の領域が、表面が曲面となった蓄熱層13上に形成されており、この共通電極配線17および個別電極配線19の先端部(発熱部9に接続された端部)が、基板7の第1の端面7a上で最も突出するように形成されている。そのため、後述するようにプラテンローラによって記録媒体を発熱部9上に押圧したときに、共通電極配線17および個別電極配線19上の第1保護層25と記録媒体との接触面積を減少させることができ、記録媒体の搬送時に生じる搬送抵抗を低減することができる。
図1〜図4に示すように、蓄熱層13上、ならびに基板7の上面および下面上には、発熱部9、共通電極配線17の一部および個別電極配線19の一部を被覆する第1保護層25が形成されている。この第1保護層25は、図1、図3および図4に示すように、基板7の上面では左側の領域を覆うように設けられ、蓄熱層13上では全体を覆うように設けられ、基板7の下面では基板7の上面と同様に左側の領域を覆うように設けられている。なお、説明の便宜上、図1では、第1保護層25の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。また、図2では、蓄熱層13上に位置する第1保護層25の図示を省略している。
第1保護層25は、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食や、印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。この第1保護層25は、例えば、SiC系、SiN系、SiO系およびSiON系等の材料で形成することができる。また、この第1保護層25は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の従来周知の薄膜成形技術や、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。また、この第1保護層25は、複数の材料層を積層して形成してもよい。なお、第1保護層25は、共通電極配線17および個別電極配線19の表面と発熱部9の表面との段差によって、その表面に段差が生じ易いが、共通電極配線17および個別電極配線19の厚さを、例えば0.2μm以下程度に薄くすることによって、第1保護層25の表面に形成される段差をなくすまたは小さくすることができる。
また、図1、図3および図4に示すように、基板7の上面上には、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21を部分的に被覆する第2保護層27が設けられている。この第2保護層27は、図1に示すように基板7の上面の第1保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。なお、説明の便宜上、図1では、第2保護層27の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。
この第2保護層27は、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の被覆した領域を、大気との接触による酸化や、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第2保護層27は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この第2保護層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図1および図3に示すように、後述するFPC5を接続するIC−FPC接続配線21の端部は、第2保護層27から露出しており、後述するようにFPC5が接続されるようになっている。
また、第2保護層27には、駆動IC11を接続する個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の端部を露出させるための開口部27a(図3参照)が形成されており、この開口部27aを介してこれらの配線が駆動IC11に接続されている。より詳細には、本実施形態では、この開口部27aから露出した個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の端部上に、後述する被覆層30が形成されており、上記のようにこの被覆層30を介してこれらの配線が駆動IC11とはんだ接合されている。このように、駆
動IC11を、後述するめっきで形成された被覆層30上にはんだ接合することで、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21上への駆動IC11の接続強度を向上させることができる。
また、駆動IC11は、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21に接続された状態で、駆動IC11自体の保護、および駆動IC11とこれらの配線との接続部の保護のため、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材28によって被覆されることで封止されている。
図3および図4に示すように、基板7の下面上には、共通電極配線17を部分的に被覆する第3保護層29が設けられている。この第3保護層29は、基板7の下面の第1保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。
この第3保護層29は、共通電極配線17の被覆した領域を、大気との接触による酸化や、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第3保護層29は、第2保護層27と同様、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この第3保護層29は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図3および図4に示すように、基板7の下面上に位置する共通電極配線17の第2の端面7bの近傍の領域は、第3保護層29には被覆されておらず、後述するように被覆層30によって被覆されるようになっている。
図3および図4に示すように、基板7の上面(一方の主面)と第2の端面7bとで形成される角部7c上、および基板の下面(他方の主面)と第2の端面7bとで形成される角部7d上に位置する共通電極配線17の領域は、めっきで形成された被覆層30で被覆されている。より詳細には、本実施形態では、この被覆層30は、基板7の上面および第2の端面7b上に位置する共通電極配線17の領域全体と、基板7の下面上に位置する共通電極配線17の第2の端面7bの近傍の領域とを連続的に被覆している。
被覆層30は、例えば、周知の無電解めっきや電解めっきによって形成することができる。また、この被覆層30として、例えば、共通電極配線17上にニッケルめっきからなる第1被覆層を形成し、この第1被覆層上に金めっきからなる第2被覆層を形成してもよい。この場合、第1被覆層の厚さを例えば1.5μm〜4μmとし、第2被覆層の厚さを例えば0.02μm〜0.1μmとすることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、めっきで形成された被覆層30が、後述するFPC5を接続するIC−FPC接続配線21の端部(第2保護層27から露出した端部)上にも形成されている。これにより、後述するように、FPC5をこの被覆層30上に接続するようになっている。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、めっきで形成された被覆層30が、第2保護層27の開口部27aから露出した個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の端部上にも形成されている。これにより、上記のように、駆動IC11がこの被覆層30を介して個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21に接続されている。
FPC5は、図1、図3および図4に示すように、基板7の長手方向に沿って延びており、上記のように基板7の上面上に位置する共通電極配線17の主配線部17aおよび各IC−FPC接続配線21に接続されている。このFPC5は、絶縁性の樹脂層の内部に複数のプリント配線が配線された周知のものであり、各プリント配線がコネクタ31を介
して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されるようになっている。このようなプリント配線は、一般に、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。また、金属箔や導電性薄膜等によって形成されるプリント配線は、例えば、これらをフォトエッチング等により部分的にエッチングすることによってパターニングされている。
より詳細には、図3および図4に示すように、FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に形成された各プリント配線5bがヘッド基体3側の端部で露出し、導電性接合材料、例えば、はんだ材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方性導電材料(ACF)等からなる接合材32によって、基板7の上面上に位置する共通電極配線17の主配線部17aの端部および各IC−FPC接続配線21の端部に接続されている。
なお、本実施形態では、基板7の上面上に位置する共通電極配線17上には、上記のように被覆層30が形成されているため、共通電極配線17に接続されるプリント配線5bが、接合材32を介してこの被覆層30上に接続されている。また、本実施形態では、図3に示すように、被覆層30が各IC−FPC接続配線21の端部上にも形成されているため、各IC−FPC接続配線21に接続されるプリント配線5bが、接合材32を介してこの被覆層30上に接続されている。このように、プリント配線5bを、めっきで形成された被覆層30上に接続することで、共通電極配線17およびIC−FPC接続配線21上へのプリント配線5bの接続強度を向上させることができる。
そして、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、共通電極配線17は、正電位(例えば20V〜24V)に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続され、個別電極配線19は、駆動IC11およびIC−FPC接続配線21のグランド電極配線を介して、グランド電位(例えば0V〜1V)に保持された電源装置のマイナス側端子に電気的に接続されるようになっている。そのため、駆動IC11のスイッチング素子がオン状態のとき、発熱部9に電流が供給され、発熱部9が発熱するようになっている。
また、同様に、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、IC−FPC接続配線21の上記のIC電源配線は、共通電極配線17と同様、正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続されるようになっている。これにより、駆動IC11が接続されたIC−FPC接続配線21のIC電源配線とグランド電極配線との電位差によって、駆動IC11に駆動IC11を動作させるための電源電流が供給される。また、IC−FPC接続配線21の上記のIC制御配線は、駆動IC11の制御を行う外部の制御装置に電気的に接続される。これにより、制御装置から送信された電気信号が駆動IC11に供給されるようになっている。この電気信号によって、駆動IC11内の各スイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させることで、各発熱部9を選択的に発熱させることができる。
また、FPC5は、放熱体1の突起部1bの上面に、両面テープや接着剤等(不図示)によって接着されることにより、放熱体1上に固定されている。
次に、本発明のサーマルプリンタの一実施形態について、図6を参照しつつ説明する。図6は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
図6に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60および制御装置70を備えている。サー
マルヘッドXは、サーマルプリンタZの筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、このサーマルヘッドXは、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向(主走査方向)(図6の紙面に直交する方向)に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、感熱紙、受像紙、カード等の記録媒体Pを図6の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドXの複数の発熱部9上(より詳細には、保護層25上)に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pが受像紙やカード等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドXの発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドXの発熱部9上に押圧するためのものであり、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドXの発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給するためのものである。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドXの発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給するためのものである。
本実施形態のサーマルプリンタZは、図6に示すように、搬送機構40によって記録媒体PをサーマルヘッドXの発熱部9上に搬送しつつ、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることで、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙やカード等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
本実施形態のサーマルヘッドXによれば、図5に示すように、共通電極配線17および個別電極配線19はそれぞれ、基板7の第1の端面7a上で、発熱部9に向かうにつれて厚さが薄くなっている。そのため、共通電極配線17および個別電極配線19はそれぞれ、発熱部9に接続された端部における厚さが薄くなり、その断面積が小さくなっている。これにより、発熱部9で発生した熱が、発熱部9から共通電極配線17および個別電極配線19へ逃げ難くなり、発熱部9での発熱温度が低下し難くなるため、熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態のサーマルヘッドXによれば、個別電極配線19は、基板7の上面上で第1の厚さを有しており、基板7の第1の端面7a上で、発熱部9に向かうにつれて厚さが第1の厚さから薄くなっている。そのため、個別電極配線19上にはんだ接合等によって駆動IC11を接合するのに必要な所定の厚さを確保しつつ、上記のようにサーマルヘッドXの熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、共通電極配線17および個別電極配線19を成形する一つの薄膜成形工程内でその厚さを部分的に変えることができるため、サーマルヘッドXの製造工程を簡略化することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態のサーマルヘッドXでは、共通電極配線17は、基板7の第1の端面7a上から、基板7の下面上、および基板7の第2の端面7b上を介して、基板7の上面上に亘って延びているが、これに限定されるものではない。例えば、共通電極配線17を基板7の第1の端面7aおよび下面上にのみ形成してもよい。この場合、この基板7の下面上に形成された共通電極配線17とFPC5のプリント配線5bとを、別途設けたジャンパー線によって接続すればよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、FPC5を介してヘッド基体3の基板7上に設けられた共通電極配線17およびIC−FPC接続配線21を外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続しているが、これに限定されるものではなく、例えば、FPC5のように可撓性を有するフレキシブルプリント配線板ではなく、硬質のプリント配線板を介してヘッド基体3の各種配線を外部の電源装置等に電気的に接続してもよい。この場合、例えば、ヘッド基体3の共通電極配線17およびIC−FPC接続配線21とプリント配線板のプリント配線とをワイヤーボンディング等によって接続すればよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図3および図4に示されるように、電気抵抗層15が、蓄熱層13上のみならず、基板7の上面および下面上にも設けられているが、基板7の第1の端面7a上の共通電極配線17(より詳細には、リード部17c)と個別電極配線層19とに接続されている限り、これに限定されるものではなく、例えば、蓄熱層13上にのみ設けられていてもよい。また、基板7の第1の端面7a上の共通電極配線17および個別電極配線19を蓄熱層13上に直接形成し、蓄熱層13上の共通電極配線17の先端部と個別電極配線19の先端部との間の領域にのみ電気抵抗層15が設けられていてもよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、共通電極配線17は、基板7の第1の端面7a上から、基板7の下面上、および基板7の第2の端面7b上を介して、基板7の上面上に亘って延びているが、これに限定されるものではない。例えば、共通電極配線17は、基板7の第1の端面7a上から基板7の下面上に延び、この基板7の下面上で折り返すようにして、基板7の第1の端面7a上を介して基板7の上面上に延びていてもよい。より詳細には、図7および図8に示すように、この共通電極配線17は、基板7の第1の端面7a上で、各リード部17cの一端部(図8では右側の端部)が発熱部9に接続され、他端部(図8では左側の端部)が基板7の下面に向かって延びている。この各リード部17cが、基板7の下面上で基板7の下面の全体に亘って形成された主配線部(不図示)に接続されている。そして、この基板7の下面の主配線部から基板7の第1の端面7a上を介して基板7の上面上に副配線部17bが延びている。この副配線部17bは、基板7の長手方向の両側の端部の近傍に帯状に延びている。このように形成された共通電極配線17は、図7に示すように、基板7の上面上で副配線部17bの端部(図示例では右側の端部)がFPC5に接続されるようになっている。
また、図7および図8に示すサーマルヘッドXでは、共通電極配線17のリード部17cが基板7の第1の端面7a上から基板7の下面に亘って形成され、基板7の下面上の主配線部(不図示)に接続されているが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、リード部17cを基板7の第1の端面7a上にのみ形成するとともに、主配線部17aを発熱部9の配列方向に沿って基板7の第1の端面7a上にのみ形成し、この主配線部17aに各リード部17cを接続してもよい。この場合、図9に示すように、主配線部17aの両端部(図9では上側および下側の端部)に副配線部17bが接続される。なお、この場合も、リード部17cは、発熱部9に向かうにつれてその厚さが薄くなる
。また、主配線部17aも、リード部17cと同様、発熱部9に向かうにつれてその厚さが薄くなる。
また、図9に示すサーマルヘッドXでは、複数(図示例では24個)の発熱部9の全てが共通電極配線17に共通して接続されているが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、共通電極配線17の代わりに、隣接する2つの発熱部9ごとに発熱部9を接続する発熱部接続配線18によって、複数の発熱部9を接続してもよい。この場合、詳細な説明は省略するが、発熱部接続配線18に接続された隣接する2つの発熱部9に接続された2本の個別電極配線19の間に電圧が印加されるように、駆動ICや各種配線の構成を変更することで、発熱部9を発熱させることができる。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、発熱部9が基板7の第1の端面7a上で基板7の厚さ方向の略中央に配置されているが、個別電極配線19が基板7の第1の端面7a上から基板7の上面上に亘って延びている限り、第1の端面7a上での発熱部9の位置はこれに限定されるものではない。例えば、発熱部9が基板7の第1の端面7a上で、基板7の厚さ方向の略中央から基板7の上面側にずれた位置に配置されていてもよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図5に示すように、基板7の第1の端面7aが凸状の曲面形状を有しているが、基板7の第1の端面7aの表面形状および傾斜角度は特に限定されるものではなく、任意の形態をとることができる。例えば、基板7の第1の端面7aは、平面形状であってもよいし、屈曲した面で形成されていてもよい。また、基板7の上面および下面と基板7の第1の端面7aとのなす角度が直角ではなく、鈍角または鋭角であってもよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、個別電極配線19および共通電極配線17の厚さを発熱部9に向かうにつれて薄くするための製造方法として、スパッタリング法を用いる場合に、基板7の第1の端面7aの全体に対向するように遮蔽板を配置する方法を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、次のようにして個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層を形成することができる。
まず、蓄熱層13および電気抵抗層15を表面に設けた基板7を準備する。そして、図11(a)に示すように、基板7の第1の端面7a同士を対向させるようにして複数(図示例では2つ)の基板7を近接して並べる。こうすることで、対向する基板7の第1の端面7a間の間隙が狭くなる。なお、このとき、複数の基板7は、対向する第1の端面7a間の距離が、例えば、0.5mm〜1.5mmとなるように配置する。また、図示していないが、このとき、例えば、上記の発熱部9の配列方向における基板7の両端部を治具(不図示)によって支持することにより、後述するように基板7の上面上および下面上に、個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層Wを形成することができるようになっている。
そして、図11(b)に示すように、基板7の上面(一方の主面)および下面(他方の主面)のそれぞれに対向するようにスパッタリングターゲットTを配置し、このように配置されたスパッタリングターゲットTを用いて、公知のスパッタリング法により基板7の上面、下面および第1の端面7a上に個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層Wを形成する。こうすることで、対向する基板7の第1の端面7a間の間隙が狭くなっていることから、スパッタリングターゲットTからこの間隙を介して基板7の第1の端面7a上に飛来する原子の数を制限することができる。この基板7の第1の端面7a上に飛来する原子の数は、基板7の上面および下面の各々からの距離が遠くなるにつれて減少する。したがって、図11(c)に示すように、基板7の第1の端面7a上において、個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層Wの厚さが、後に形成され
る発熱部9に向かうにつれて次第に薄くなる。図11(c)は、基板7の第1の端面7aの近傍を拡大して詳細に示す断面図である。なお、この基板7の第1の端面7a上での材料層Wの厚さは、対向する基板7の第1の端面7a間の離間距離を短くするほど全体的に薄くすることができるため、所望の厚さに応じてこの離間距離を決定すればよい。
個別電極配線19および共通電極配線17は、このように形成された材料層Wを周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工される。そのため、個別電極配線19および共通電極配線17の厚さを発熱部9に向かうにつれて次第に薄くすることができる。
このように基板7の第1の端面7a同士を対向させるようにして複数の基板7を近接して配置することで、先に例示した実施形態のように遮蔽板を別途準備する必要がなくなる。
また、図11に示すように基板7の第1の端面7a同士を対向させることに代えて、例えば、図12に示すように、基板7の第1の端面7aと、基板7の第1の端面7aとは反対側の第2の端面7bとを対向させるようにして複数の基板7を近接して並べてもよい。こうすることによっても、対向する基板7の第1の端面7aと第2の端面7bとの間の間隙を狭くすることができるため、基板7の第1の端面7a同士を対向させる場合と同様、個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層を、基板7の第1の端面7a上で発熱部9に向かうにつれて次第に薄くなるように形成することもできる。なお、図12に示すように、基板7の第1の端面7aと第2の端面7bとを対向させて近接して配置した場合には、基板7の第2の端面7b上に形成される共通電極配線17を構成する材料層も薄くなる。そのため、特に、基板7の第2の端面7bと基板7の上面および下面との角部付近で、共通電極配線17を構成する材料層が薄くなる。これに対し、図11に示すように基板7の第1の端面7a同士を対向させて近接して配置した場合には、このように基板7の第2の端面7b上に形成される共通電極配線17を構成する材料層が薄くなり難い。そのため、基板7の第2の端面7bと基板7の上面および下面との角部付近で、共通電極配線17を構成する材料層が薄くなることを抑制することができる。これにより、共通電極配線17での電気抵抗の増大を抑制することができる。
なお、図11および図12に示す実施形態では、蓄熱層13および電気抵抗層15を表面に設けた基板7を準備し、この基板7上に、個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層を形成するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13および電気抵抗層15の少なくとも一方のみが設けられた基板7上に、個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層を形成してもよい。あるいは、蓄熱層13および電気抵抗層15の双方が設けられていない基板7の表面上、つまり基板7の表面に直接的に、個別電極配線19および共通電極配線17を構成する材料層を形成してもよい。また、図11および図12に示す実施形態では、基板7の第1の端面7aが凸状の曲面形状を有しているが、平面形状であってもよいし、屈曲した面で形成されていてもよい。また、基板7の上面および下面と基板7の第1の端面7aとのなす角度が直角ではなく、鈍角または鋭角であってもよい。
また、図11および図12に示す実施形態では、個別電極配線19および共通電極配線17の双方を構成する材料層を同時に形成するために、基板7の上面および下面のそれぞれにスパッタリングターゲットTを対向するように配置しているが、これに限定されるものではない。例えば、個別電極配線19を構成する材料層と共通電極配線17を構成する材料層とを別工程で形成する場合であれば、スパッタリングターゲットTを基板7の上面または下面の一方のみに対向するように配置すればよい。