JP2012158034A - サーマルヘッド - Google Patents

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孝志 麻生
Masashi Yoneda
将史 米田
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Abstract

【課題】プリント配線板を備えるサーマルヘッドにおいて、電磁障害の発生の低減を可能にする。
【解決手段】本発明のサーマルヘッドXは、基板7、基板7上に配列された複数の発熱部9を有するヘッド基体3と、発熱部9の配列方向に沿って延びるプリント配線板5と、基板7上またはプリント配線板5上に設けられた駆動IC11と、導電性を有しており、プリント配線板5を覆うようにプリント配線板5上に設けられたカバー部材6とを備え、プリント配線板5は、発熱部9を発熱させるための電流または駆動IC11を動作させるための電気信号を供給するための複数のプリント配線5bを有し、発熱部9の配列方向に沿って延びるプリント配線5bの配線領域5bsに対向するカバー部材6の対向領域6asには、導電性を有しており、発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って形成され、対向領域6asを分断する凸部37が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図6

Description

本発明は、サーマルヘッドに関する。
従来、ファクシミリやビデオプリンタ等の印画デバイスとして、種々のサーマルヘッドが提案されている。例えば、特許文献1に記載のサーマルヘッドでは、基板(絶縁基板)上に複数の発熱部(発熱抵抗体)が配列されている。この複数の発熱部には、個別電極を介して駆動ICが接続されている。この駆動ICは、プリント配線板(フレキシブル基板)を介して供給された電気信号(記録データ)に基づいて、発熱部の発熱を制御するようになっている。
特開平9−207367号公報
特許文献1に記載のサーマルヘッドでは、プリント配線板上にカバー部材(ヘッドカバー)が設けられている。このカバー部材とプリント配線板とは、互いに対向する面同士が平行するように形成されている。そのため、プリント配線板を介して供給される電気信号が、カバー部材のプリント配線板に対向する面と平行して流れることにより、いわゆる平行平板共振が発生し、その共振周波数において高いレベルの放射ノイズが発生する。これにより、電磁障害が発生するといった問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、プリント配線板を備えるサーマルヘッドにおいて、電磁障害の発生の低減を可能にすることを目的とする。
本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドは、基板、該基板上に配列された複数の発熱部を有するヘッド基体と、前記複数の発熱部の配列方向に沿って延びるプリント配線板と、前記ヘッド基体の前記基板上または前記プリント配線板上に設けられ、前記発熱部の通電状態を制御する駆動ICと、導電性を有しており、前記プリント配線板の上面の少なくとも一部の領域を覆うように該プリント配線板上に設けられたカバー部材とを備え、前記プリント配線板は、前記複数の発熱部を発熱させるための電流または前記駆動ICを動作させるための電気信号を供給するための複数のプリント配線を有し、該プリント配線は、前記カバー部材と対向する前記プリント配線板の領域に、前記複数の発熱部の配列方向に沿って延びる配線領域を有し、前記カバー部材の前記プリント配線板に対向する面は、前記プリント配線の前記配線領域に沿って延びるとともに該配線領域に対向する対向領域を有しており、該対向領域には、導電性を有しており、前記複数の発熱部の配列方向に直交する方向の前記対向領域の幅全体に亘って形成され、該対向領域を分断する凸部が設けられていることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る上記サーマルヘッドにおいて、前記カバー部材は、前記プリント配線板に対向する面が前記発熱部の配列方向に沿って延びるとともに前記プリント配線板に平行に延びる平行領域を有し、該平行領域内に前記対向領域が位置していてもよい。
また、本発明の一実施形態に係る上記サーマルヘッドにおいて、前記凸部は、前記カバー部材とは別の部材で形成されていてもよい。
また、本発明の一実施形態に係る上記サーマルヘッドにおいて、前記凸部は、ワイヤーメッシュで形成されていてもよい。
本発明によれば、プリント配線板を備えるサーマルヘッドにおいて、電磁障害の発生の低減を可能にすることができる。
本発明のサーマルヘッドの一実施形態を示す平面図である。 図1のサーマルヘッドのII−II線断面図である。 図1のサーマルヘッドのIII−III線断面図である。 カバー部材の図示を省略して示す図1のサーマルヘッドの平面図である。 図1のサーマルヘッドの平面図に、カバー部材の固定部の下面における対向領域の位置を示したものである。 図1のサーマルヘッドの平面図に、凸部の位置およびカバー部材の対向領域の位置を示したものである。 図3に示すカバー部材の変形例を示す断面図である。 図1に示すカバー部材の変形例を示す平面図である。 図1のサーマルヘッドの平面図に、カバー部材の固定部の下面および第2保護部6cの下面における対向領域の位置を示したものである。 図3に示すカバー部材の変形例を示す断面図である。
以下、本発明のサーマルヘッドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態のサーマルヘッドXは、放熱体1と、放熱体1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続されたフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)と、FPC5上に配置されたカバー部材6とを備えている。なお、図4は、カバー部材6の図示を省略したサーマルヘッドXを示す平面図である。
放熱体1は、板状に形成されており、平面視で長方形状を有している。この放熱体1は、例えば、銅またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱する機能を有している。また、放熱体1の上面には、両面テープや接着剤等(不図示)によってヘッド基体3が接着されている。
ヘッド基体3は、平面視で長方形状の基板7と、基板7上に設けられ、基板7の長手方向に沿って配列された複数(図示例では24個)の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7上に並べて配置された複数(図示例では3個)の駆動IC11とを備えている。
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料や単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
基板7の上面には、蓄熱層13が形成されている。この蓄熱層13は、基板7の上面全体に形成された下地部13aと、複数の発熱部9の配列方向に沿って帯状に延び、断面が略半楕円形状の隆起部13bとを有している。この隆起部13bは、印画する記録媒体を、発熱部9上に形成された後述する第1保護層25に良好に押し当てるように作用する。
また、蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドXの熱応答特性を高めるように作用する。この蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の上面に塗布し、これを高温で焼成することで形成される。
図2に示すように、蓄熱層13の上面には、電気抵抗層15が設けられている。この電気抵抗層15は、蓄熱層13と、後述する共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21との間に介在し、図1および図4に示すように、平面視において、これらの共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21と同形状の領域(以下、介在領域という)と、共通電極配線17と個別電極配線19との間から露出した複数(図示例では、24箇所)の領域(以下、露出領域という)とを有している。なお、図1および図4では、この電気抵抗層15の介在領域は、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21で隠れている。
電気抵抗層15の各露出領域は、上記の発熱部9を形成している。そして、この複数の露出領域(発熱部9)が、図1、図2および図4に示すように、蓄熱層13の隆起部13b上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、説明の便宜上、図1および図4で簡略化して記載しているが、例えば、180〜2400dpi(dot per inch)等の密度で配置される。
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極配線17と個別電極配線19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1〜図4に示すように、電気抵抗層15の上面(より詳細には、上記の介在領域の上面)には、共通電極配線17、複数の個別電極配線19および複数のIC−FPC接続配線21が設けられている。これらの共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
共通電極配線17は、複数の発熱部9とFPC5とを接続するためのものである。図4に示すように、この共通電極配線17は、基板7の一方の長辺(図示例では左側の長辺)に沿って延びる主配線部17aと、基板7の一方および他方の短辺のそれぞれに沿って延び、一端部(図示例では左側の端部)が主配線部17aに接続された2つの副配線部17bと、主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延び、先端部(図示例では右側の端部)が各発熱部9に接続された複数(図示例では24個)のリード部17cとを有している。そして、この共通電極配線17は、副配線部17bの他端部(図1では右側の端部)がFPC5に接続されることにより、FPC5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
複数の個別電極配線19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続するためのものである。図2および図4に示すように、各個別電極配線19は、一端部(図示例では左側の端部)が発熱部9に接続され、他端部(図示例では右側の端部)が駆動IC11の配置領域に配置されるように、各発熱部9から駆動IC11の配置領域に向かって個別に帯状に延びている。そして、各個別電極配線19の他端部が駆動IC11に接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極配
線19は、複数の発熱部9を複数(図示例では3つ)の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数のIC−FPC接続配線21は、駆動IC11とFPC5とを接続するためのものである。図2〜図4に示すように、各IC−FPC接続配線21は、一端部(図示例では左側の端部)が駆動IC11の配置領域に配置され、他端部(図示例では右側の端部)が基板7の他方の長辺(図示例では右側の長辺)の近傍に配置されるように、帯状に延びている。そして、この複数のIC−FPC接続配線21は、一端部が駆動IC11に接続されるとともに、他端部がFPC5に接続されることにより、駆動IC11とFPC5との間を電気的に接続している。
より詳細には、各駆動IC11に接続された複数のIC−FPC接続配線21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。具体的には、この複数のIC−FPC接続配線21は、例えば、駆動IC11を動作させるための電源電流を供給するためのIC電源配線と、駆動IC11およびこの駆動IC11に接続された個別電極配線19をグランド電位(例えば0V〜1V)に保持するためのグランド電極配線と、後述する駆動IC11内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させるための電気信号を供給するためのIC制御配線とで構成されている。
駆動IC11は、図4に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極配線19の他端部(図示例では右側の端部)とIC−FPC接続配線21の一端部(図示例では左側の端部)とに接続されている。この駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有しており、各スイッチング素子がオン状態のときに通電状態となり、各スイッチング素子がオフ状態のときに不通電状態となる公知のものを用いることができる。
各駆動IC11は、各駆動IC11に接続された各個別電極配線19に対応するように、内部に複数のスイッチング素子(不図示)が設けられている。そして、図2に示すように、各駆動IC11は、各スイッチング素子(不図示)に接続された一方(図示例では左側)の接続端子11a(以下、第1接続端子11aという)が個別電極配線19に接続されており、この各スイッチング素子に接続されている他方(図示例では右側)の接続端子11b(以下、第2接続端子11b)がIC−FPC接続配線21の上記のグランド電極配線に接続されている。これにより、駆動IC11の各スイッチング素子がオン状態のときに、各スイッチング素子に接続された個別電極配線19とIC−FPC接続配線21のグランド電極配線とが電気的に接続される。
上記の電気抵抗層15、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、例えば、各々を構成する材料層を蓄熱層13上に、例えばスパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、この積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、同じ工程によって同時に形成することができる。
図1〜図4に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、発熱部9、共通電極配線17の一部および個別電極配線19の一部を被覆する第1保護層25が形成されている。図示例では、この第1保護層25は、蓄熱層13の上面の左側の領域を覆うように設けられている。この第1保護層25は、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食や、印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。この第1保護層25は、例えば、SiC系、SiN系、SiO系およびSiON系等の材料で形成することができ
る。また、この第1保護層25は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の従来周知の薄膜成形技術や、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。また、この第1保護層25は、複数の材料層を積層して形成してもよい。なお、図1および図4では、説明の便宜上、第1保護層25および後述する第2保護層27の形成領域を二点鎖線で示し、これらの図示を省略している。
また、図1〜図4に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21を部分的に被覆する第2保護層27が設けられている。図示例では、この第2保護層27は、蓄熱層13の上面の第1保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。第2保護層27は、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の被覆した領域を、大気との接触による酸化や、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。なお、第2保護層27は、共通電極配線17および個別電極配線19の保護をより確実にするため、図2に示すように第1保護層25の端部に重なるようにして形成されている。第2保護層27は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この第2保護層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図3および図4に示すように、後述するFPC5を接続する共通電極配線17の副配線部17bおよびIC−FPC接続配線21の端部は、第2保護層27から露出しており、後述するようにFPC5が接続されるようになっている。
また、第2保護層27には、駆動IC11を接続する個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の端部を露出させるための開口部27a(図2参照)が形成されており、この開口部27aを介してこれらの配線が駆動IC11に接続されている。また、駆動IC11は、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21に接続された状態で、駆動IC11自体の保護、および駆動IC11とこれらの配線との接続部の保護のため、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材29によって被覆されることで封止されている。
FPC5は、図3および図4に示すように、ヘッド基体3の複数の発熱部9の配列方向に沿って延びており、上記のように共通電極配線17の副配線部17bおよび各IC−FPC接続配線21に接続されている。このFPC5は、絶縁性の樹脂層の内部に複数のプリント配線が配線された周知のものであり、各プリント配線がコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されるようになっている。このようなプリント配線は、一般に、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。また、金属箔や導電性薄膜等によって形成されるプリント配線は、例えば、これらをフォトエッチング等により部分的にエッチングすることによってパターニングされている。
より詳細には、図3および図4に示すように、FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に形成された各プリント配線5bがヘッド基体3側の端部で露出し、導電性接合材料、例えば、半田材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方性導電材料(ACF)等からなる接合材32(図3参照)によって、共通電極配線17の副配線部17bの端部および各IC−FPC接続配線21の端部に接続されている。なお、図4では、共通電極配線17の副配線部17bの端部および各IC−FPC接続配線21の端部に接続された複数のプリント配線のうちの数本(図示例では7本)を模式的にプリント配線5bとして破線で示している。また、FPC5のプリント配線5bは、複数の発熱部9の配列方向(図示例では上下方向)に沿って延びる配線領域5bsを有している。
そして、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、共通電極配線17は、正電位(例えば20V〜24V)に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続され、個別電極配線19は、駆動IC11およびIC−FPC接続配線21のグランド電極配線を介して、グランド電位(例えば0V〜1V)に保持された電源装置のマイナス側端子に電気的に接続されるようになっている。そのため、駆動IC11のスイッチング素子がオン状態のとき、発熱部9に電流が供給され、発熱部9が発熱するようになっている。
また、同様に、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、IC−FPC接続配線21の上記のIC電源配線は、共通電極配線17と同様、正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続されるようになっている。これにより、駆動IC11が接続されたIC−FPC接続配線21のIC電源配線とグランド電極配線との電位差によって、駆動IC11に駆動IC11を動作させるための電源電流が供給される。また、IC−FPC接続配線21の上記のIC制御配線は、駆動IC11の制御を行う外部の制御装置に電気的に接続される。これにより、制御装置から送信された電気信号が駆動IC11に供給されるようになっている。この電気信号によって、駆動IC11内の各スイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させることで、各発熱部9を選択的に発熱させることができる。
FPC5と放熱体1との間には、ポリイミド樹脂またはガラスエポキシ樹脂等の樹脂からなる補強板33が設けられている。この補強板33は、FPC5の下面に両面テープや接着剤等(不図示)によって接着されることにより、FPC5を補強するように作用している。また、この補強板33が放熱体1の上面に両面テープや接着剤等(不図示)によって接着されることにより、FPC5が放熱体1上に固定されている。
カバー部材6は、FPC5とヘッド基体3との接続部を保護したり、FPC5の上面から突出する突起物(例えば、図3に示すように、FPC5のプリント配線5bをコネクタ31に接続するための接続端子31a)を保護するとともに、この突起物がFPC5上を搬送される記録媒体に接触しないようにしたりするためのものである。図1および図3に示すように、カバー部材6は、FPC5の上面の全体を覆うようにFPC5上に設けられている。このカバー部材6は、カバー部材6をFPC5上に固定するための固定部6aと、固定部6aよりヘッド基体3側に位置する第1保護部6bと、固定部6aに対して第1保護部6bとは反対側に位置する第2保護部6cとを有している。
第1保護部6bは、図1および図3に示すように、平板形状であり、複数の発熱部9の配列方向に沿って延びているとともに、ヘッド基体3のIC−FPC接続配線21上からFPC5上に亘って形成されている。これにより、FPC5とヘッド基体3との接続部が第1保護部6bによって保護されている。また、第1保護部6bは、図3に示すように、発熱部9の配列方向に直交する方向の断面において、固定部6aに近づくにつれ、第1保護部6bの上面および下面の高さが高くなるように傾斜している。これにより、本実施形態では、この第1保護部6bの上面によって形成される傾斜面によって、サーマルヘッドX上を搬送される記録媒体を案内するためのガイド面を形成している。また、このように第1保護部6bの下面を、この下面に対向するFPC5に対して傾斜させることにより、第1保護部6bとFPC5のプリント配線5b(より具体的には、発熱部9の配列方向に直交する方向に延びるプリント配線5bの領域)との間で平行平板共振が発生するのを抑制している。この第1保護部6bの下面のFPC5に対する傾斜角度は、2度以上にするのが好ましい。この傾斜角度が2度より小さいと、FPC5のプリント配線5bとカバー部材6のFPC5に対向する面との間で、従来例のように平行平板共振が発生し易いため
である。
固定部6aは、平板形状であり、図1に示すように、複数の発熱部9の配列方向に沿って延びるとともに、図3に示すように、第1保護部6bの固定部6a側の端部よりも下方に位置しており、上下方向に延びる第1結合部6dによって第1保護部6bと結合されている。
また、図3に示すように、固定部6aの下面(FPC5に対向する面)は、FPC5に平行に延びており、図5に示すように、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びるとともにこの配線領域5bsに対向する対向領域6asを有している。なお、図5では、この固定部6aの下面における対向領域6asの位置を破線で示している。また、本実施形態では、固定部6aの下面が、本発明における平行領域に相当する。
第2保護部6cは、平板形状であり、図1に示すように、複数の発熱部9の配列方向に沿って延びるとともに、図3に示すように、固定部6aよりも上方に位置しており、固定部6aから上方へ向かって延びるとともに第2保護部6cに向かって傾斜する第2結合部6eによって、固定部6aと結合されている。第2保護部6cは、固定部6aから離れるにつれ、第2保護部6cの上面および下面の高さが高くなるように傾斜しつつ、FPC5におけるコネクタ31が設けられた側の端部の上まで延びている。これにより、FPC5の上面から突出する突起物(例えば、接続端子31a)が第2保護部6cによって保護されている。また、このように第2保護部6cの下面を、この下面に対向するFPC5に対して傾斜させることにより、上記の第1保護部6bと同様に、第2保護部6cとFPC5のプリント配線5b(より具体的には、発熱部9の配列方向に直交する方向に延びるプリント配線5bの領域)との間で平行平板共振が発生するのを抑制している。また、図3に示すように、この第2保護部6cにおける第2結合部6eに結合されていない側の端部には、この端部から下方に向かって延びる第3結合部6fが結合されている。
カバー部材6は、固定部6aの下面とFPC5との間に後述する凸部37を介在させ、固定部6aの下面が凸部37に接触した状態で、この固定部6a、FPC5および補強板33を貫通する固定ネジ35を、放熱体1に形成されたネジ穴(不図示)に締めることにより、FPC5上に固定されている。また、この固定ネジ35は、カバー部材6に生じた静電気を放熱体1へ逃がすように作用する。また、例えば、サーマルヘッドXを用いてサーマルプリンタを構成した場合には、放熱体1をサーマルプリンタの筺体等に電気的に接続して放熱体1を接地するように構成することで、このカバー部材6に生じた静電気を放電することができる。
また、このカバー部材6は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料で形成することができる。本実施形態では、ステンレス鋼等からなる金属板を曲げ加工することによって、カバー部材6を形成している。このように金属板の曲げ加工によってカバー部材6を形成すると、カバー部材6の下面(FPC5に対向する面)をFPC5に対して傾斜させるのと同時に、カバー部材6の上面を傾斜させることができる。そのため、本実施形態のようにカバー部材6の第1保護部6bの上面によって、サーマルヘッドX上を搬送される記録媒体を案内するためのガイド面を形成する場合、カバー部材6の第1保護部6bの下面を傾斜させるのと同時に、この第1保護部6bの上面による記録媒体のガイド面を形成することができる。
図1および図3に示すように、カバー部材6の固定部6aの下面には、この固定部6aとFPC5との間に介在し、この固定部6aの下面から突出する凸部37が設けられている。なお、図1では、凸部37の位置を破線で示している。この凸部37は、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の固定部6aの下面の幅全体に亘って形成されている。ま
た、この凸部37は、図3および図6に示すように、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに対向する位置に配置されており、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って形成され、この対向領域6asを分断している。これにより、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びる図5に示す対向領域6asを、図6に示すように、凸部37によって複数の短い領域に分割している。なお、図6では、この凸部37および固定部6aの下面における対向領域6asの位置を破線で示している。
凸部37は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料で形成することができる。本実施形態では、凸部37は、カバー部材6とは別の部材で形成されている。この凸部37は、その少なくとも一部分がカバー部材6と電気的に接触した状態で、カバー部材6の固定部6aの下面に接着剤や両面テープ等によって取り付けられている。
サーマルヘッドXを適用してサーマルプリンタを構成する場合は、印画する記録媒体の搬送方向に対して、複数の発熱部9の配列方向が直交するようにサーマルヘッドXを配置する。そして、プラテンローラ等によって記録媒体をサーマルヘッドXの発熱部9上(より詳細には、発熱部9上の第1保護層25上)に押圧しつつ、記録媒体を搬送しながら発熱部9を選択的に発熱させる。こうすることにより、記録媒体上に所定の印画が行われる。なお、この記録媒体の搬送方向に直交する方向が主走査方向となる。
本実施形態のサーマルヘッドXによれば、図6に示すように、カバー部材6の固定部6aの下面に設けられた凸部37が、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って形成され、この対向領域6asを分断している。これにより、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びる図5に示す対向領域6asを、図6に示すように、この凸部37によって複数の短い領域に分割している。一般に、平行平板共振による共振周波数は、平行して配置された2つの導電体の互いに対向する領域の長さによって変化することが知られている。そのため、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びる図5に示す対向領域6asを、図6に示すように、凸部37によって複数の短い領域に分割し、所定の長さにすることにより、平行平板共振による共振周波数を電磁障害が発生し難い周波数となるようにすることができる。したがって、本実施形態のサーマルヘッドXによれば、電磁障害の発生を低減することを可能にすることができる。
なお、このような平行平板共振に起因した電磁障害の発生は、サーマルヘッドの印画スピードの高速化に伴って高周波の電気信号がプリント配線板に流れる場合により顕著となるため、例えば、特に、周波数が50MHz以上の高周波の電気信号を含む電気信号がプリント配線板に流れる場合において、本発明による電磁障害の発生の低減効果はより顕著となる。このような高周波の電気信号としては、例えば、駆動IC11に供給されるクロック信号等が挙げられる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図1および図3に示すように、カバー部材6が、FPC5の上面全体を覆うようにFPC5上に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、図示しないが、カバー部材6がFPC5の上面の少なくとも一部の領域を覆うようにFPC5上に設けられており、カバー部材6と対向するFPC5の領域にプリント配線5bの配線領域5bsが配置されていてもよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図1および図3に示すように、凸部37が、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の固定部6aの下面の幅全体に亘って形成されているが、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って少なくとも形成されている限り、この凸部37は任意の長さで形成すればよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXにおいて、凸部37は、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って形成され、対向領域6asを分断するように構成されている限り、図3に示すような直方体の形状に限定されるものではなく、任意の形状にすることができる。また、図3に示す直方体の凸部37の代わりに、例えば、図示しないが、導電性を有するワイヤーメッシュ(例えば、金属製の細いワイヤーが格子状等で編み込まれたもの)をカバー部材6の固定部6aの下面に設けてもよい。このワイヤーメッシュは、例えば、カバー部材6の固定部6aの下面とFPC5との間に挟み込むことで固定してもよいし、また、接着剤や両面テープ等によってカバー部材6の固定部6aの下面に貼り付けてもよい。このようにワイヤーメッシュを設ける場合は、ワイヤーメッシュを構成するワイヤーが、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って形成され、対向領域6asを分断する。そのため、このようにワイヤーメッシュを設ける場合は、対向領域6asの全体に亘って、つまり、対向領域6asの幅方向および長さ方向の全体に亘って、ワイヤーメッシュを設けてもよい。また、固定部6aの下面の全体にワイヤーメッシュを設けてもよいし、カバー部材6のFPC5に対向する面の全体にワイヤーメッシュを設けてもよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図3に示すように、凸部37が、カバー部材6と別の部材で形成されているが、固定部6aの下面において、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6asの幅全体に亘って形成され、対向領域6asを分断するように設けられている限り、これに限定されるものではない。例えば、図示しないが、凸部37が、カバー部材6の固定部6aと一体で形成されていてもよい。この場合、例えば、カバー部材6の固定部6aの下面において、凸部37を形成する領域以外を研削し、カバー部材6の固定部6aの下面から凸部37を突出させるようにしてもよい。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図1および図3に示すように、カバー部材6の固定部6aの下面のみに凸部37が設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、図7および図8に示すように、カバー部材6の第2保護部6cの下面にも凸部37が設けられていてもよい。第2保護部6cの下面(FPC5に対向する面)は、図9に示すように、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びるとともにこの配線領域5bsに対向する対向領域6csを有している。なお、図9では、この第2保護部6cの下面における対向領域6csの位置を破線で示している。図7および図8に示すように、凸部37は、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに対向する位置に配置されており、複数の発熱部9の配列方向に直交する方向の対向領域6csの幅全体に亘って形成され、この対向領域6csを分断している。これにより、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びる図9に示す対向領域6csを、図8に示すように、凸部37によって複数の短い領域に分割している。図7および図8に示すカバー部材6の第2保護部6cは、その下面が対向するFPC5に対して傾斜しているため、第2保護部6cとプリント配線5bの配線領域5bsとの間で平行平板共振が発生し難くなっている。しかしながら、こうした場合であっても、低いレベルの平行平板共振が発生することがある。これに対し、このようにカバー部材6の第2保護部6cの下面にも凸部37を設けることによって、FPC5のプリント配線5bの配線領域5bsに沿って延びる図9に示す第2保護部6cの対向領域6csを、図8に示すように複数の短い領域に分割し、所定の長さにすることにより、平行平板共振による共振周波数を電磁障害が発生し難い周波数とすることができる。その結果、電磁障害の発生をより効果的に低減することが可能になる。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図3に示すように、カバー部材6の固定部6aの下面のみがFPC5に平行に延びているが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、この固定部6aの下面に加え、第2保護部6cの下面もFPC5に平行に延びていてもよい。この場合、固定部6aの下面に加え、この第2保護部6cの下面にも、凸部37が形成される。なお、この場合、固定部6aの下面および第2保護部6cの下面が、本発明における平行領域に相当する。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、カバー部材6を金属板の曲げ加工によって形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、アルミニウム等の金属材料を押出成形することにより形成してもよい。上記実施形態では、カバー部材6のFPC5に対向する面(下面)とこの面とは反対側の面(上面)とを同じ角度で傾斜させているが、このように押出成形を用いることにより、これらの面を互いに異なる角度で傾斜させることができる。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、FPC5を介してヘッド基体3の基板7上に設けられた共通電極配線17およびIC−FPC接続配線21を外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続しているが、これに限定されるものではなく、例えば、FPC5のように可撓性を有するフレキシブルプリント配線板ではなく、硬質のプリント配線板を介してヘッド基体3の各種配線を外部の電源装置等に電気的に接続してもよい。この場合、例えば、ヘッド基体3の共通電極配線17およびIC−FPC接続配線21とプリント配線板のプリント配線とをワイヤーボンディング等によって接続すればよい。また、この場合も、カバー部材6はFPC5の場合と同様、硬質のプリント配線板上に設けられる。
また、上記実施形態のサーマルヘッドXでは、図1および図2に示すように、駆動IC11がヘッド基体3の基板7上に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、図示しないが、上記のようにFPC5の代わりに硬質のプリント配線板を設け、このプリント配線板上に駆動ICを設けてもよい。この場合、例えば、ヘッド基体3の共通電極配線17および個別電極配線19とこのプリント配線板のプリント配線とをワイヤーボンディング等によって接続すればよい。
X サーマルヘッド
1 放熱体
3 ヘッド基体
5 フレキシブルプリント配線板(プリント配線板)
5b プリント配線
5bs 配線領域
6 カバー部材
6as 対向領域
7 基板
9 発熱部
11 駆動IC
37 凸部

Claims (4)

  1. 基板、該基板上に配列された複数の発熱部を有するヘッド基体と、
    前記複数の発熱部の配列方向に沿って延びるプリント配線板と、
    前記ヘッド基体の前記基板上または前記プリント配線板上に設けられ、前記発熱部の通電状態を制御する駆動ICと、
    導電性を有しており、前記プリント配線板の上面の少なくとも一部の領域を覆うように該プリント配線板上に設けられたカバー部材と
    を備え、
    前記プリント配線板は、前記複数の発熱部を発熱させるための電流または前記駆動ICを動作させるための電気信号を供給するための複数のプリント配線を有し、
    該プリント配線は、前記カバー部材と対向する前記プリント配線板の領域に、前記複数の発熱部の配列方向に沿って延びる配線領域を有し、
    前記カバー部材の前記プリント配線板に対向する面は、前記プリント配線の前記配線領域に沿って延びるとともに該配線領域に対向する対向領域を有しており、
    該対向領域には、導電性を有しており、前記複数の発熱部の配列方向に直交する方向の前記対向領域の幅全体に亘って形成され、該対向領域を分断する凸部が設けられていることを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記カバー部材は、前記プリント配線板に対向する面が前記発熱部の配列方向に沿って延びるとともに前記プリント配線板に平行に延びる平行領域を有し、該平行領域内に前記対向領域が位置していることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記凸部は、前記カバー部材とは別の部材で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサーマルヘッド。
  4. 前記凸部は、ワイヤーメッシュで形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のサーマルヘッド。
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JP2017114051A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 ローム株式会社 サーマルプリントヘッド
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JP2020073344A (ja) * 2020-02-04 2020-05-14 ローム株式会社 サーマルプリントヘッド
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