以下に添付図面を参照して、本発明にかかるぱちんこ遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、本発明にかかるぱちんこ遊技機を、旧第一種に属するぱちんこ遊技機(いわゆる「デジパチ」)に適用した例である。
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
まず、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の基本構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の一例を示す説明図である。図1に示すように、本実施の形態のぱちんこ遊技機100は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(図3中符号392参照)が配置されている。
発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下するようになっている。遊技領域103には、複数の釘(不図示)が設けられており、この釘によって遊技球は不特定な方向に向けて落下する。また、遊技領域103において遊技球の落下途中となる位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や各種入賞口(始動口や大入賞口など)が配設されている。
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)などが用いられる。画像表示部104の下方には、第1始動口105と、第2始動口106とが配設されている。第1始動口105、第2始動口106は、始動入賞させるための入賞口である。
第2始動口106の近傍には、普通電動役物(後述する普通図柄抽選の抽選結果に基づき動作する役物)としての電動チューリップ107が設けられている。電動チューリップ107は、遊技球を第2始動口106へ入賞し難くさせる閉状態(閉口された状態)と、閉状態よりも入賞し易くさせる開状態(開放された状態)とを有する。これらの状態の制御は、電動チューリップ107が備えるソレノイド(図3中符号331参照)によっておこなわれる。
電動チューリップ107は、画像表示部104の左側に配設されたゲート108を遊技球が通過したことによりおこなわれる普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開放される。ゲート108は、画像表示部104の左側(図示の位置)に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してよい。
第2始動口106の下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109は、大当たり状態となったときに開放され、遊技球の入賞により所定個数(たとえば15個)の賞球を払い出すための入賞口である。
画像表示部104の側部や下方などには普通入賞口110が配設されている。普通入賞口110は、遊技球の入賞により所定個数(たとえば10個)の賞球を払い出すための入賞口である。普通入賞口110は、図示の位置に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してよい。遊技領域103の最下部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口111が設けられている。
遊技盤101の右下部分には、特別図柄が表示される特別図柄表示部112が配置されている。特別図柄表示部112は、第1特別図柄が表示される第1特別図柄表示部(図3中符号112a参照)と、第2特別図柄が表示される第2特別図柄表示部(図3中符号112b参照)とを有する。
ここで、第1特別図柄は、遊技球が第1始動口105へ入賞することによりおこなう大当たり抽選の抽選結果をあらわす図柄である。第2特別図柄は、遊技球が第2始動口106へ入賞することによりおこなう大当たり抽選の抽選結果をあらわす図柄である。これらの大当たり抽選で大当たりに当選した場合に、ぱちんこ遊技機100は大当たり遊技状態となる。
また、遊技盤101の右下部分には、普通図柄が表示される普通図柄表示部113が配置されている。ここで、普通図柄は、普通図柄抽選の抽選結果をあらわす図柄である。風通図柄抽選で当たりに当選した場合に、ぱちんこ遊技機100は、前述のように、所定期間、電動チューリップ107を開状態とする。特別図柄表示部112や普通図柄表示部113としては、7セグメントディスプレイなどを採用することができる。
特別図柄表示部112および普通図柄表示部113の左側には、特別図柄または普通図柄に対する保留球の数(以下「保留球数」という)を表示する保留球数表示部114が配置されている。たとえば、保留球数表示部114としてはLEDが用いられる。この保留球数表示部114としては、複数のLEDを備えるLED表示器などを採用することができる。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材115が設けられている。枠部材115は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材115は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。
枠部材115において遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト部(枠ランプ)116が設けられている。演出ライト部116は、それぞれ複数のランプとモータ(不図示)とを有する。各ランプは、ぱちんこ遊技機100の正面にいる遊技者を照射する。また、各ランプは、モータの駆動により光の照射方向を上下方向・左右方向に変更することができる。また、各ランプは、ぱちんこ遊技機100の周囲を照射し、その照射位置がぱちんこ遊技機100を基準にして円をなすように、光の照射方向を回転させることもできる。
枠部材115の下部位置には、操作ハンドル117が配置されている。操作ハンドル117は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル117は、上記の枠部材115と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。
操作ハンドル117は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材118を備えている。発射指示部材118は、操作ハンドル117の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、操作ハンドル117には、遊技者が発射指示部材118を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。これにより、発射部は、発射指示部材118が遊技者によって直接操作されているときに遊技球を発射させる。
枠部材115において、遊技領域103の下側となる辺には、演出ボタン(チャンスボタン)119が設けられている。演出ボタン119は、ぱちんこ遊技機100において遊技者からの操作を受け付ける操作受付部を構成している。また、枠部材115には、音声を出力するスピーカ(図3中符号354参照)が組み込まれている。
画像表示部104の遊技者から見て前面となる位置には、可動役物130が配置されている。可動役物130は、駆動モータなどの駆動部(図2−1符合200参照)や駆動部によって互いの当接面が接触自在に開閉移動する互いに接離可能に動作する一対の装飾可動体などを備えている。たとえば、可動役物130は、通常時には画像表示部104左右に設けられた収容スペースに収容されている。可動役物130を用いる演出がおこなわれると、収容スペースから図1に示すように、画像表示部104前面へ進出して演出する。可動役物130の詳細な構成や動作については図2−1〜図2−3などを用いて後述する。
(ぱちんこ遊技機の基本動作)
つぎに、本実施の形態のぱちんこ遊技機100の基本動作の一例について説明する。ぱちんこ遊技機100は、遊技球が第1始動口105や第2始動口106へ入賞すると、入賞した始動口に応じた大当たり抽選をおこなう。第1始動口105へ遊技球が入賞して大当たり抽選をおこなうと、ぱちんこ遊技機100は第1特別図柄表示部112aの第1特別図柄を変動表示する。第2始動口105へ遊技球が入賞して大当たり抽選をおこなうと、ぱちんこ遊技機100は第2特別図柄表示部112bの第2特別図柄を変動表示する。
上記のように特別図柄表示部112にて特別図柄の変動表示を開始すると、これに合わせて、画像表示部104にて3つの装飾図柄(演出用図柄)の変動表示を開始する。その後、特別図柄の変動表示を開始して所定期間が経過したときには、ぱちんこ遊技機100は、変動表示開始時におこなった大当たり抽選の抽選結果を示す図柄で、変動表示中の特別図柄を停止表示する。また、これに合わせて、3つの装飾図柄を大当たり抽選の抽選結果を示す組み合わせで停止表示する。たとえば、大当たりを示す組み合わせとしては、3つの装飾図柄が同一図柄を示す組み合わせ、いわゆる「ゾロ目」などがある。
大当たりを示す図柄で特別図柄を停止表示すると、ぱちんこ遊技機100は、遊技状態を大当たり遊技状態として、当選した大当たりに応じたラウンド数分(たとえば15ラウンド)、大入賞口109を開放する。この開放中に、遊技球が大入賞口109へ入賞すると、ぱちんこ遊技機100は所定個数の賞球を払い出す。
(可動役物の構成)
つぎに、可動役物130の構成について説明する。図2−1は、本実施の形態の可動役物の正面図(その1)である。図2−2は、本実施の形態の可動役物の背面図(その1)である。図2−3は、本実施の形態の可動役物の正面図(その2)である。
図2−1〜図2−3に示すように、可動役物130は、駆動部200と、第1スライドギア220と、第1装飾可動体230と、第2スライドギア240と、第2装飾可動体250とを備える。
駆動部200は、駆動モータ201と、駆動ギア202と、従動ギア203〜210とを有している。駆動モータ201は、供給された電気エネルギーを機械エネルギーに変換して駆動ギア202を回転させる。従動ギア203は、駆動ギア202に歯合連結しており、駆動ギア202の回転に伴って従動回転する。従動ギア204〜210も、図示のようにそれぞれに隣接して配置された従動ギアと歯合連結しており、駆動モータ201が回転することにより生じた駆動力を第1スライドギア220および第2スライドギア240へ伝達する。
第1スライドギア220は、従動ギア209と歯合連結したギア部220aを備えている。第1スライドギア220には、正面に任意の模様(図示の例では武士の顔半分の模様)や色彩が施された第1装飾可動体230が固設される。第1装飾可動体230には、スライダ231が設けられている。スライダ231は中空形状を有しており、スライダ231内には枠体(不図示)に設けられたガイドレール260が挿入される。スライダ231がガイドレール260に沿ってスライドすることで、第1装飾可動体230は図2−1において左右方向に移動可能になっている。
また、図2−2に示すように、第1装飾可動体230の背面において、当接面230aには、第1電磁石232と第2電磁石233とが設けられている。第1電磁石232は、第1配線232aを介して、後述する励磁制御部(図4参照)と電気的に接続されている。第2電磁石233は、第2配線233aを介して、第1電磁石232と同様に、励磁制御部と電気的に接続されている。
電磁石については公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、たとえば、電磁石は磁性材料の芯(たとえば鉄芯)をコイルで巻回したものがヨークに収容されて構成されている。ぱちんこ遊技機100は、第1配線232aや第2配線233aを介して、第1電磁石232や第2電磁石233のコイルに電流を印加することで、第1電磁石232や第2電磁石233を励磁させることができる。また、電流を遮断することで、第1電磁石232や第2電磁石233の励磁を解除することができる。
さらに、ぱちんこ遊技機100は、第1配線232aや第2配線233aを介して、第1電磁石232や第2電磁石233のコイルに流す電流の方向により、第1電磁石232や第2電磁石233の極性を変化させることができる。たとえば、ぱちんこ遊技機100は、コイルに+方向の電流を流すことで第1電磁石232および第2電磁石233の極性をN極とすることができる。コイルに−方向の電流を流すことで第1電磁石232および第2電磁石233の極性をS極とすることができる。
また、第1装飾可動体230の下部にはスリット部234が設けられている。スリット部234には、第1装飾可動体230の駆動方向(左右方向)と直交する方向へ伸びた複数のスリットが開口形成されている。このスリットは、後述する第3センサS3(スリットセンサ)で第1装飾可動体230の位置を検出するために用いられる。
第2スライドギア240は、従動ギア210と歯合連結したギア部240aを備えている。第2スライドギア240には、第1装飾可動体230と同様に、模様や色彩が施された第2装飾可動体250が固設される。第2装飾可動体250には、第1装飾可動体230のスライダ231と同様のスライダ251が設けられ、スライダ251がガイドレール260に沿ってスライドすることで、第2装飾可動体250は図2−1において左右方向に移動可能になっている。
また、図2−2に示すように、第2装飾可動体250の背面において、当接面250aには、第1永久磁石252と第2永久磁石253とが設けられている。ここで、第1永久磁石252および第2永久磁石253は、所定の極性(たとえばS極)を有する強磁性体とすることができる。第1永久磁石252は、可動役物130が閉鎖した際(図2−3参照)に、第1装飾可動体230の第1電磁石232と対向する位置に設けられる。また、第2永久磁石253は、可動役物130が閉鎖した際に、第1装飾可動体230の第2電磁石233と対向する位置に設けられる。これにより、第1電磁石232や第2電磁石233が励磁されると、第1永久磁石252や第2永久磁石253と反発したり吸着したりする。
また、枠体において、可動役物130の近傍には第1センサS1、第2センサS2、第3センサS3など、可動役物130の位置検出をおこなうための複数のセンサが配置されている。たとえば、これらのセンサとしては透過型フォトインタラプタなどを採用することができる。公知の技術のため詳細な説明を省略するが、透過型フォトインタラプタは、対向して設けられた受光素子と発光素子とを備える。透過型フォトインタラプタは、発光素子より発せられた光が検出対象物により遮断されずに受光素子が受光できたか否かによって、検出対象物の有無や位置などを判定するセンサとなっている。
本実施の形態において、第1センサS1は、可動役物130が図2−1に示す位置(以下、この位置を可動役物130の「開放位置」という)になった際の第2スライドギア240を検出する。第2センサS2は、可動役物130が図2−3に示すように、第1装飾可動体230の当接面230aと第2装飾可動体250の当接面250aとが当接する位置(以下、この位置を可動役物130の「閉鎖位置」という)になった際の第1スライドギア220を検出する。第3センサS3は、検出範囲内をスリット部234のスリットが通過すると、スリットの通過に伴ってパルス信号を出力する。これにより、ぱちんこ遊技機100は、スリット部234のスリットが第3センサS3の検出範囲内である間、可動役物130の位置を離散的に検出することができる。
(ぱちんこ遊技機の内部構成)
つぎに、本発明にかかる実施の形態のぱちんこ遊技機100の内部構成について説明する。図3は、本発明にかかる実施の形態のぱちんこ遊技機の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、ぱちんこ遊技機100の制御部300は、ぱちんこ遊技機100における遊技の進行を制御する主制御部301と、ぱちんこ遊技機100がおこなう演出の演出内容を制御する演出制御部302と、ぱちんこ遊技機100がおこなう賞球の払い出しを制御する賞球制御部303とを備えている。以下にそれぞれの制御部について詳細に説明する。
(1.主制御部)
主制御部301は、CPU(Central Processing Unit)311と、ROM(Read Only Memory)312と、RAM(Random Access Memory)313と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU311は、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行に関する各種プログラムを実行する。ROM312には、CPU311が上記の処理を実行するために必要となる各種プログラムや当該プログラム実行時に用いる各種テーブルなどが記憶されている。RAM313は、CPU311のワークエリアとして機能する。なお、CPU311が上記のプログラムを実行することによりRAM313に設定されたデータは、所定のタイミングで主制御部301に接続された各構成に対して送信される。
すなわち、主制御部301は、CPU311がRAM313をワークエリアとして使用しながら、ROM312に記憶された各種プログラムを実行することによって、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行を制御するように機能する。たとえば、主制御部301は、主制御基板(公知の技術のため詳細な説明は省略する)によって実現される。
主制御部301には、遊技球を検出する検出手段として機能する各種スイッチ(SW)、大入賞口109などの電動役物を開閉動作させるためのソレノイド、上記の第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113、保留球数表示部114などが接続される。
具体的に、上記の各種SWとしては、第1始動口105へ入賞した遊技球を検出する第1始動口SW321と、第2始動口106へ入賞した遊技球を検出する第2始動口SW322と、ゲート108を通過した遊技球を検出するゲートSW323と、大入賞口109へ入賞した遊技球を検出する大入賞口SW324と、普通入賞口110へ入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW325とが主制御部301に接続される。
それぞれのSW(321〜325)による検出結果は主制御部301へ入力される。これらのSWには、近接スイッチなどを用いることができる。なお、普通入賞口SW325は、普通入賞口110の配置位置別に複数個設けてもよい。
また、上記のソレノイドとしては、電動チューリップ107を開閉動作させる電動チューリップソレノイド331と、大入賞口109を開閉動作させる大入賞口ソレノイド332とが主制御部301に接続される。主制御部301は、それぞれのソレノイド(331,332)に対する駆動を制御する。たとえば、主制御部301は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて電動チューリップソレノイド331の駆動を、大当たり抽選の抽選結果に基づいて大入賞口ソレノイド332の駆動を、それぞれ制御する。
また、主制御部301は、大当たり抽選(第1大当たり抽選、第2大当たり抽選)、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて、第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113の表示内容を制御する。たとえば、主制御部301は、第1大当たり抽選をおこなうと第1特別図柄表示部112aの第1特別図柄を変動表示させる。そして、所定期間経過後に、第1大当たり抽選の抽選結果を示す図柄にて第1特別図柄を停止表示させる。
同様に、主制御部301は、第2大当たり抽選をおこなうと第2特別図柄表示部112bの第2特別図柄を、普通図柄抽選をおこなうと普通図柄表示部113の普通図柄を、変動/停止表示させる。
さらに、主制御部301は、演出制御部302および賞球制御部303にも接続され、それぞれに対して各種コマンドを送信する。たとえば、主制御部301は、大当たり抽選をおこなうと、演出制御部302に対して変動開始コマンドを送信する。ここで、変動開始コマンドには、大当たり抽選の抽選結果(停止表示させる特別図柄の種類)、現在の遊技状態、大当たり抽選の抽選結果を示すまでに特別図柄を変動表示させる時間(以下「変動時間」という)などを示す情報が含まれている。
また、主制御部301は、各入賞口(始動口105,106、大入賞口109、普通入賞口110)へ入賞した遊技球を検出すると、賞球制御部303に対して賞球コマンドを送信する。ここで、賞球コマンドには、払い出させる賞球の個数などを示す情報が含まれている。
(2.演出制御部)
演出制御部302は、演出統括部302aと、画像・音声制御部302bと、ランプ制御部302cとによって構成され、ぱちんこ遊技機100がおこなう演出の演出内容を制御する機能を有する。ここで、演出統括部302aは、主制御部301から受信したコマンド(たとえば変動開始コマンド)に基づいて演出制御部302全体を統括する機能を有している。画像・音声制御部302bは、演出統括部302aからの指示に基づき、画像および音声の制御をおこなう機能を有している。ランプ制御部302cは、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯を制御する機能を有している。
(2−1.演出統括部)
まず、演出統括部302aの構成について説明する。演出統括部302aは、CPU341と、ROM342と、RAM343と、リアルタイムクロック(以下「RTC」という)344と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU341は、ぱちんこ遊技機100において演出をおこなう演出制御部302全体を統括するための各種プログラムを実行する。ROM342には、CPU341が上記の処理を実行するために必要となるプログラムなどが記憶されている。RAM343は、CPU341のワークエリアとして機能する。CPU341がプログラムを実行することによりRAM343にセットされたデータは、所定のタイミングで画像・音声制御部302bおよびランプ制御部302cに対して送信される。
すなわち、演出統括部302aは、CPU341がRAM343をワークエリアとして使用しながら、ROM342に記憶されたプログラムを実行することによって、演出制御部302全体を統括するように機能する。たとえば、演出統括部302aは、変動開始コマンドに基づいて、特別図柄の変動表示に合わせて実行する演出を決定し、画像・音声制御部302b、ランプ制御部302cに所定の処理を実行するように指示出力して、演出制御部302全体を統括する。
RTC344は、実時間を計時出力する計時手段として機能する。RTC344は、ぱちんこ遊技機100の電源が遮断されてもバックアップ電源(不図示)により計時動作を継続する。なお、RTC344は、演出統括部302aなど演出制御部302内に配置する例に限らず、主制御部301内に配置してもよい。また、RTC344は、単独で配置して演出制御部302や主制御部301に対して実時間を計時出力してもよい。また、演出統括部302aには演出ボタン119などが接続されている。演出ボタン119は、操作されたボタンやキーに対応する信号を演出統括部302aへ入力する。
(2−2.画像・音声制御部)
つぎに、画像・音声制御部302bの構成について説明する。画像・音声制御部302bは、CPU351と、ROM352と、RAM353と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU351は、画像表示部104の表示制御に関する処理や、スピーカ354からの音声出力に関する処理をおこなうためのプログラムを実行する。また、CPU351は、有効期間を設定するためのプログラムを実行する。ROM352には、上記の処理をおこなうためのプログラム、該処理に必要となる背景画像・装飾図柄画像・キャラクタ画像などの画像データなどの演出用データが記憶されている。RAM353は、CPU351のワークエリアとして機能するとともに、画像表示部104に表示させる画像の表示データやスピーカ354から出力させる音声データが一時的に格納される。たとえば、RAM353には、画像表示部104に表示させる画像をあらわす画像データが一時的に格納されるVRAM(Video RAM)などが含まれる。
すなわち、画像・音声制御部302bは、CPU351がRAM353をワークエリアとして使用しながら、ROM352に記憶されたプログラムを実行することによって、演出統括部302aからの指示に基づき、画像表示部104に表示させる画像や、スピーカ354から出力させる音声の制御をおこなうように機能する。
たとえば、CPU351は、演出統括部302aから指示された指示内容に基づいて、画像表示部104に表示する表示内容を制御する表示制御処理(不図示)、スピーカ354から出力される音声内容を制御する音声制御処理(不図示)などを実行する。このときには、CPU351は、処理に必要な画像データおよび音声データをROM352から読み出してRAM353に書き込む。
RAM353に書き込まれた背景画像や装飾図柄などの画像データは、画像・音声制御部302bに接続された画像表示部104に対して出力され、画像表示部104の表示画面上において重畳表示される。すなわち、装飾図柄は、背景画像よりも手前に見えるように表示される。なお、同一位置に背景画像と装飾図柄が重なる場合などには、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像の表示データのZバッファのZ値を参照することで、装飾図柄を優先してRAM353に記憶させる。
また、RAM353に書き込まれた音声データは、画像・音声制御部302bに接続されたスピーカ354に対して出力され、音声データに基づく音声がスピーカ354から出力される。
(2−3.ランプ制御部)
つぎに、ランプ制御部302cの構成について説明する。ランプ制御部302cは、CPU361と、ROM362と、RAM363と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU361は、可動役物130の駆動を制御したり、演出ライト部116や盤ランプ364などのランプの点灯を制御したりするための処理を実行する。ROM362には、上記の処理を実行するために必要となる各種プログラム、該処理に必要となるデータなどが記憶されている。RAM363は、CPU361のワークエリアとして機能する。
ランプ制御部302cは、演出ライト部(枠ランプ)116、盤ランプ364、可動役物130の駆動モータ201や第1電磁石232、第2電磁石233などと接続され、可動役物130の駆動を制御したり、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯を制御したりする。また、ランプ制御部302cには第1センサS1や第2センサS2、第3センサS3が接続され、これらのセンサから出力される検出信号が入力される。
本実施の形態では、演出制御部302は、演出統括部302aと画像・音声制御部302bとランプ制御部302cとがそれぞれ異なる基板機能として設けられるが、これらは同じプリント基板上に組み込んで構成してもよい。ただし、同じプリント基板上に組み込まれた場合であってもそれぞれの機能は独立しているものとする。
(3.賞球制御部)
つぎに、賞球制御部303の構成について説明する。賞球制御部303は、CPU381と、ROM382と、RAM383と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU381は、払い出す賞球を制御する賞球制御処理を実行する。ROM382には、該処理に必要となるプログラムなどが記憶されている。RAM383は、CPU381のワークエリアとして機能する。
また、賞球制御部303は、払出部(払出駆動モータ)391と、発射部392と、定位置検出SW393と、払出球検出SW394と、球有り検出SW395と、満タン検出SW396と接続される。
賞球制御部303は、払出部391に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。払出部391は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータからなる。具体的には、賞球制御部303は、払出部391に対して各入賞口(第1始動口105、第2始動口106、大入賞口109、普通入賞口110)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
また、賞球制御部303は、発射部392に対する遊技球の発射の操作を検出して遊技球の発射を制御する。発射部392は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える。賞球制御部303は、発射部392のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
また、この賞球制御部303には、払い出す遊技球の状態を検出する各所の検出部が接続され、賞球のための払い出し状態を検出する。これらの検出部としては、定位置検出SW393、払出球検出SW394、球有り検出SW395、満タン検出SW396等がある。たとえば、賞球制御部303は、賞球制御基板によってその機能を実現する。
上記構成の主制御部301と、演出制御部302と、賞球制御部303は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出制御基板、賞球制御基板)に設けられる。これに限らず、たとえば、賞球制御部303は、主制御部301と同一のプリント基板上に設けることもできる。
また、主制御部301には、盤用外部情報端子基板397が接続されており、主制御部301が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。賞球制御部303についても、枠用外部情報端子基板398が接続されており、賞球制御部303が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。
(ぱちんこ遊技機の機能的構成)
つぎに、ぱちんこ遊技機100の機能的構成について説明する。図4は、本発明にかかる実施の形態のぱちんこ遊技機の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すように、ぱちんこ遊技機100は、位置検出部401と、駆動制御部402と、励磁制御部403とを備える。
位置検出部401は、可動役物130の移動位置を検出する機能を有する。たとえば、図4に示すように、位置検出部401は、第1センサS1、第2センサS2、第3センサS3と接続されており、これらのセンサから出力される検出信号を受け付けて、可動役物130の移動位置を検出する。
前述したように、たとえば、位置検出部401は、第1センサS1から検出信号に基づいて可動役物130が図2−1で示した開放位置であることを検出する。第2センサS2から検出信号に基づいて可動役物130が図2−3で示した閉鎖位置であることを検出する。また、位置検出部401は、第3センサS3からの検出信号(パルス信号)を受け付けて、所定位置間の可動役物130の位置を検出する。位置検出部401は、検出結果を駆動制御部402および励磁制御部403へ出力する。
駆動制御部402は、位置検出部401からの検出結果を受け付けて、駆動部200を制御して、可動役物130を駆動させる機能を有する。たとえば、図4に示すように、駆動制御部402は駆動モータ201(たとえばステッピングモータ)と電気的に接続されている。そして、所定のタイミングで、駆動モータ201に制御信号(たとえばパルス信号)を入力する。これにより、駆動制御部402は、可動役物130を開放位置から閉鎖位置まで駆動させたり、閉鎖位置から開放位置まで駆動させたりする。
図4に示すように、励磁制御部403は、第1電磁石232および第2電磁石233に電気的に接続される。前述したように、励磁制御部403は、第1電磁石232および第2電磁石233のコイルに電流を印加したり遮断したりすることで、第1電磁石232および第2電磁石233の励磁を制御する機能を有する。また、励磁制御部403は、印加する電流の方向により、第1電磁石232および第2電磁石233の磁極を制御する。
たとえば、前述したように、第1電磁石232や第2電磁石233はコイルに印加された電流が+方向であった場合は極性がN極となり、コイルに印加された電流が−方向であった場合は磁極がS極となる。このため、励磁制御部403は、+方向の電流を印加することで第1電磁石232や第2電磁石233の磁極をN極とすることができ、−方向の電流を印加することで第1電磁石232や第2電磁石233の磁極をS極とすることができる。これにより、励磁制御部403は、第1電磁石232と第1永久磁石252とを吸着させたり反発させたり、第2電磁石233と第2永久磁石253とを吸着させたり反発させたりすることができる。
たとえば、励磁制御部403は、位置検出部401の検出結果に基づき、可動役物130が閉鎖位置となる前に、第1電磁石232と第1永久磁石252とを反発させ、第2電磁石233と第2永久磁石253とを反発させる。また、たとえば、励磁制御部403は、可動役物130が閉鎖するときに、第1電磁石232と第1永久磁石252とを吸着させ、第2電磁石233と第2永久磁石253とを吸着させる。さらに、励磁制御部403は、可動役物130が開放するときに、第1電磁石232と第1永久磁石252とを反発させ、第2電磁石233と第2永久磁石253とを反発させる。
励磁制御部403は、第1電磁石232と、第2電磁石233とを同一内容で励磁させるだけでなく、それぞれ独立した内容で励磁させてもよい。たとえば、励磁制御部403は、第1電磁石232と第2電磁石233とで異なる電圧で印加する。こうすることで、第1電磁石232と第2電磁石233とは、大きさの異なる磁力を発生させる。これにより、励磁制御部403は、第1電磁石232と第1永久磁石252とが反発することにより生じる力と、第2電磁石233と第2永久磁石253とが反発することにより生じる力との大きさを異ならせることができる。
また、励磁制御部403は、第1電磁石232と第2電磁石233とで異なる方向の電流を印加する。こうすることで、第1電磁石232と第2電磁石233とは、異なる磁極を有する。これにより、たとえば、励磁制御部403は、第1電磁石232と第1永久磁石252とは反発させ、第2電磁石233と第2永久磁石253とは吸着させるなど、電磁石ごとに吸着させたり反発させたりすることができる。
また、励磁制御部403は、第1電磁石232と第2電磁石233とに異なるタイミングで電流を印加することで、第1電磁石232と第2電磁石233とで異なるタイミングで磁力を発生させることもできる。これにより、たとえば、励磁制御部403は、まず第2電磁石233と第2永久磁石253とを吸着させてから、第1電磁石232と第1永久磁石252とを吸着させるなど、電磁石ごとに吸着させたり反発させたりするタイミングを異ならせることができる。
上記で説明した位置検出部401、駆動制御部402、励磁制御部403の各機能部は、たとえば、ランプ制御部302cのCPU361がROM362に記憶されたプログラムを実行することによりその機能を実現することができる。
(ぱちんこ遊技機の動作例−その1)
つぎに、可動役物130駆動時のぱちんこ遊技機100の動作について説明する。図5−1は、本実施の形態のぱちんこ遊技機の動作の一例を示すタイミングチャート(その1)である。まず、ぱちんこ遊技機100が可動役物130を図2−1で示した開放位置から図2−3で示した閉鎖位置まで駆動させる際の例について説明する。
図5−1(D)に示すように、可動役物130の駆動開始タイミング(たとえば役物演出の開始時)の時期t11となると、ぱちんこ遊技機100は駆動モータ201に電力の供給を開始し、駆動モータ201を図2−1において時計周り(CW)に回転させる。これにより、図5−1(C)に示すように、可動役物130は開放位置から閉鎖位置へ向けて駆動を開始する。
具体的には、たとえば、ぱちんこ遊技機100は、ランプ制御部302cにより駆動モータ201へ所定の制御信号(パルス信号)を入力する。この際に入力される制御信号のパルス速度は十分に大きいものとする。これにより、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130の駆動を高速化して、開放位置にて収容スペースに収容されていた可動役物130を一気に遊技者の視界内へ入れることができるので、遊技者に驚きを与えることができ、高い演出効果を得ることができる。
その後、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が閉鎖位置となる前の所定位置となった時期t12で第1電磁石232および第2電磁石233に電力を供給して励磁させる。このとき、図5−1(A)に示すように、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232が第1永久磁石252と反発するように励磁する。また、図5−1(B)に示すように、第2電磁石233が第2永久磁石253と反発するように励磁する。
具体的には、前述したように、第1永久磁石252と第2永久磁石253とはS極の磁極を有している。このため、時期t12で、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232と第2電磁石233とに−方向の電流を印加し、第1電磁石232と第2電磁石233とをS極に励磁する。
これにより、遊技者から見て、左側から進入してきた第1装飾可動体230と、右側から進入してきた第2装飾可動体250とには、互いが離間する方向への力(以下「反発力」という)が働く。この際に生じる反発力により、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の互いへ向かう方向(演出位置へ向かう方向)への速度を減速させることができる。
図5−2は、本実施の形態の可動役物の正面図(その3)である。たとえば、ぱちんこ遊技機100は、図5−2に示すように、スリット部234が第3センサS3の検出範囲を通過して、第3センサS3により規定パルス分(たとえば3パルス分)の検出信号が出力されたとき、第1電磁石232および第2電磁石233を励磁させ、第1永久磁石252および第2永久磁石253と反発させる。たとえば、図5−2に示すように、このときの第1装飾可動体230と第2装飾可動体250との距離はL1であるものとする。
時期t12後、可動役物130が閉鎖位置となる直前の所定位置となった時期t13で、図5−1(A)に示すように、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232が第1永久磁石252と吸着するように励磁する。また、図5−1(B)に示すように、第2電磁石233が第2永久磁石253と吸着するように励磁する。
具体的には、前述したように、第1永久磁石252と第2永久磁石253とはS極の磁極を有している。このため、時期t13で、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232と第2電磁石233とに+方向の電流を印加し、第1電磁石232と第2電磁石233とをN極に励磁する。これにより、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とには、互いへ向かう方向への力(以下「吸着力」という)が働く。
図5−3は、本実施の形態の可動役物の正面図(その4)である。たとえば、ぱちんこ遊技機100は、図5−3に示すように、スリット部234が第3センサS3の検出範囲を通過して、第3センサS3により規定パルス分(たとえば9パルス分)の検出信号が出力されたとき、第1電磁石232および第2電磁石233を励磁させ、第1永久磁石252および第2永久磁石253と吸着させる。このとき、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250との距離D2は、図5−2で示した第1装飾可動体230と第2装飾可動体250との距離D1よりも小さいものとする(D2<D1)。
そして、第1装飾可動体230の当接面230aと第2装飾可動体250の当接面250aとが当接し、可動役物130が図2−3で示した閉鎖位置となった時期t14で、ぱちんこ遊技機100は、駆動モータ201への電力の供給を遮断し、駆動モータ201の回転を停止させる。このとき、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233への電流の印加を遮断して、励磁を解除する。第1電磁石232および第2電磁石233への印加を遮断することで、ぱちんこ遊技機100は消費電力の削減を図ることができる。また、第1電磁石232および第2電磁石233への電流の印加を継続してもよく、この場合は吸着力により第1装飾可動体230と第2装飾可動体250との密着した状態を維持することができる。
以上のように、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とが閉鎖する前に、第1電磁石232および第2電磁石233を励磁して、第1永久磁石252および第2永久磁石253と反発させる。この際に生じる反発力により、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の互いへ向かう方向への速度を減速させる。これにより、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とが高速で衝突してしまうことで生じる衝突音を低減させることができる。
さらに、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とが閉鎖する際(たとえば直前)に、第1電磁石232および第2電磁石233に励磁し、第1永久磁石252および第2永久磁石253と吸着させる。この際に生じる吸着力により、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とを閉鎖させることができ、可動役物130を安定して閉鎖位置とすることができる。これにより、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が中途半端な位置で停止してしまうことを防止して、可動役物130の見栄えをよく停止させて、演出効果の向上を図ることができる。
(ぱちんこ遊技機の動作例−その2)
図5に示した例では、時期t12〜時期t13までの間、一定の反発力が生じるように、第1電磁石232および第2電磁石233を励磁するようにしたが、本発明はこれに限らない。たとえば、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233に印加する電圧を時期に応じて変化させることで、段階的に大きくなるような反発力が生じるように第1電磁石232および第2電磁石233に励磁することもできる。
図6は、本実施の形態のぱちんこ遊技機の動作の一例を示すタイミングチャート(その2)である。図6(C),(D)に示すように、ぱちんこ遊技機100は、時期t21で駆動モータ201の回転を開始し、可動役物130の駆動を開始させる。その後、可動役物130が閉鎖位置となる前の所定位置(たとえば図5−2で示す位置)となった時期t22で、図6(A),(B)に示すように、第1電磁石232および第2電磁石233に励磁させる。たとえば、このとき、ぱちんこ遊技機100は、f1の反発力が生じるような電圧で第1電磁石232および第2電磁石233に印加して励磁させる。
その後、ぱちんこ遊技機100は、一旦、第1電磁石232および第2電磁石233の励磁を解除し、所定期間をおいて、つぎはf2(f2>f1)の反発力が生じるような電圧で第1電磁石232および第2電磁石233に印加して励磁させる。つまり、このとき、ぱちんこ遊技機100は、前回(f1の反発力を発生させた際)に印加した電圧よりも大きな電圧で印加する。以降も同様に、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が所定位置となるまで、図6中符号601で示す曲線のように可動役物130が所定位置となるまで、前回に印加した電圧よりも大きな電圧を所定の時間間隔で印加していく。
これにより、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が所定位置に達する時期t23に近づくにつれて第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とに働く反発力を徐々に大きくすることができる。これにより、ぱちんこ遊技機100は、図6中符号602で示す曲線のように、可動役物130を徐々に減速させることができる。
その後、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が閉鎖位置となる直前の所定位置(たとえば図5−3で示す位置)となった時期t23で、第1電磁石232が第1永久磁石252と吸着するように励磁し、第2電磁石233が第2永久磁石253と吸着するように励磁する。その後の時期t24で、ぱちんこ遊技機100は、駆動モータ201への電力の供給を遮断して、駆動モータ201の回転を停止させる。そして、第1装飾可動体230の当接面230aと第2装飾可動体250の当接面250aとが当接する閉鎖位置となった(第2センサS2が第2スライドギア240を検出した)時期t25で、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233への電流の印加を遮断して、励磁を解除する。
以上のように、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とが当接する前に、第1電磁石232および第2電磁石233を励磁して、第1永久磁石252および第2永久磁石253と反発させる。この際には、反発力を徐々に上げていくことで、可動役物130(第1装飾可動体230および第2装飾可動体250)を徐々に減速させていくことができ、不自然さを遊技者に与えてしまうことを防止して、演出効果の向上を図ることができる。
また、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130(第1装飾可動体230および第2装飾可動体250)を徐々に減速させていくことができるので、反発力の発生とともに駆動モータ201に突然大きな負荷がかかってしまうことを防止して、駆動モータ201の保護を図ることができる。
(ぱちんこ遊技機の動作例−その3)
図7は、本実施の形態のぱちんこ遊技機の動作の一例を示すタイミングチャート(その3)である。つぎに、ぱちんこ遊技機100が可動役物130を閉鎖位置から開放位置まで駆動させる際の例について説明する。
可動役物130の駆動開始タイミング(たとえば役物演出の終了時)の時期t31となると、ぱちんこ遊技機100は、図7(D)に示すように駆動モータ201に電力の供給を開始して、駆動モータ201を図2−1において反時計周り(CCW)に回転させる。この際、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233に電力を供給して励磁させる。このとき、図7(A),(B)に示すように、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232が第1永久磁石252と反発するように、第2電磁石233が第2永久磁石253と反発するように励磁する。これにより、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250とには反発力が働く。
ここで、期間T1は、ぱちんこ遊技機100の製造者により予め定められた期間とすることができる。たとえば、ぱちんこ遊技機100の製造者は、駆動部200が第1装飾可動体230および第2装飾可動体250を駆動させるのに十分な駆動力を発生させられるまでの期間(たとえば第1装飾可動体230および第2装飾可動体250が所定速度に達するまでの期間)を期間T1として設定しておくことで、可動役物130にスムーズな動き出しをおこなわせることができる。
以上のように、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230と第2装飾可動体250との開放時に第1電磁石232および第2電磁石233に励磁する。そして、第1電磁石232と第1永久磁石252とに反発力を生じさせるとともに、第2電磁石233と第2永久磁石253とにも反発力を生じさせる。このため、ぱちんこ遊技機100は、駆動モータ201による駆動力に加えて、上記の反発力により、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250を駆動させることができる。これにより、ぱちんこ遊技機100は、駆動モータ201による駆動力と反発力とを用いて第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の駆動を開始させて、可動役物130の見栄えをよくスムーズに動き出させ、演出効果の向上を図ることができる。
(ぱちんこ遊技機の動作例−その4)
以上に示した例では、ぱちんこ遊技機100は第1電磁石232および第2電磁石233を同じように励磁するようにしたが、本発明はこれに限らない。前述したように、ぱちんこ遊技機100は第1電磁石232と第2電磁石233とをそれぞれ独立して励磁させることができる。以下に第1電磁石232と第2電磁石233とをそれぞれ独立して異なる内容で励磁させる例について説明する。
図8は、本実施の形態のぱちんこ遊技機の動作の一例を示すタイミングチャート(その4)である。可動役物130を開放位置から閉鎖位置まで駆動させる場合、たとえば、図8に示すように、駆動開始タイミングの時期t41で、ぱちんこ遊技機100は、図8(D)に示すように、駆動モータ201に電力の供給を開始し、駆動モータ201を時計周り(CW)に回転させる。
その後、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が閉鎖位置となる前の所定位置(たとえば図5−2で示す位置)となった時期t42で、第1電磁石232および第2電磁石233に電力を供給して励磁させる。このとき、ぱちんこ遊技機100は、図8(A)に示すように、第1電磁石232が第1永久磁石252と反発するように励磁する。また、図8(B)に示すように、第2電磁石233は第2永久磁石253と吸着するように励磁する。
このように励磁させる意味について説明すると、本実施の形態のように第1装飾可動体230および第2装飾可動体250は上部が片持ち支持されて、支持された上部から伝達された駆動力により駆動する可動役物の構成とした場合に、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の上部が駆動すると、これに追従するように第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の下部が駆動する構造となっている。
したがって、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の下部は、その駆動源(駆動部200)からの力を強く受けやすい上部に比べて、駆動源からの力を受け難く、駆動に対するレスポンスが悪くなる。もしくは、駆動源の影響を受け易い側の可動体は強い力で勢いよく閉鎖動作を行う事となるが、駆動源の影響を受け難い側の可動体は、駆動源の影響を受け易い側の可動体に比べて、弱い力でゆっくりと閉鎖動作を行う事となってしまう。このため、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250は閉鎖時、地面に対して垂直した状態ではなく、やや傾斜し「ハの字」のような状態で駆動してしまうことが考えられる。
たとえば、ここで、第1電磁石232が設けられた部分の当接面230aと、第1電磁石232と対向する第1永久磁石252が設けられた部分の当接面250aとの直線距離をD3とする。また、第2電磁石233が設けられた部分の当接面230aと、第2電磁石233と対向する第2永久磁石253が設けられた部分の当接面250aとの直線距離をD4とすると、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250は閉鎖する際、D3<D4となった状態で駆動する。
そこで、時期t42において、ぱちんこ遊技機100は、上記のように第1電磁石232および第2電磁石233を励磁させることで、磁力により、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の上部は減速させるとともに、その下部は加速させることで、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250を地面に対して垂直させて(D3=D4となるようにして)、見栄えよく駆動させることができる。
時期t42後、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130が閉鎖位置となった時期t43で、駆動モータ201の回転を停止させ、第2電磁石233と同様に第1電磁石232も第1永久磁石252と吸着するように励磁させる。これにより、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250を密着させることができ、可動役物130を安定して閉鎖位置とすることができる。可動役物130を閉鎖位置とした後、所定期間が経過した時期t44で、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233への電流の印加を遮断して、これらの励磁を解除する。
時期t45において、可動役物130を閉鎖位置から開放位置まで駆動させる際には、駆動モータ201を反時計周り(CCW)に回転させる。この際、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233に電力を供給して励磁させる。このとき、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232が第1永久磁石242と反発するように、第2電磁石233が第2永久磁石253と反発するように励磁する。
開放時、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の上部に追従してその下部が駆動すると、可動役物130は、逆「ハの字」のような状態(D3>D4の状態)で駆動する。このため、ぱちんこ遊技機100は、開放時には、第2電磁石233には第1電磁石232によりも大きな電圧を印加し、第1電磁石232と第1永久磁石252との反発よりも第2電磁石233と第2永久磁石253との反発が大きくなるようにする。つまり、磁力により、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の下部をその上部よりも大きく加速させることで、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250を地面に対して垂直させて(D3=D4となるようにして)、見栄えよく駆動させることができる。
以上に説明したように、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233をそれぞれ異なる内容で励磁させる。たとえば、本実施の形態のように、第1電磁石232が設けられた部分の当接面230aと第1永久磁石252が設けられた部分の当接面250aとの直線距離をD3と、第2電磁石233が設けられた部分の当接面230aと第2永久磁石253が設けられた部分の当接面250aとの直線距離をD4とに生じる距離の違いに応じて、ぱちんこ遊技機100は、第1電磁石232および第2電磁石233をそれぞれ異なる内容で励磁させる。これにより、ぱちんこ遊技機100は、可動役物130を地面に対して垂直な状態とすることができ、可動役物130の見栄えをよく駆動でき、演出効果の向上を図ることができる。
以上で説明した実施の形態では、第1電磁石232と第2電磁石233との2つの電磁石を設ける構成としたがこれに限らず、3つ以上の電磁石を設ける構成としてもよい。図9は、本実施の形態の可動役物の背面図(その2)である。図9に示す例では、第1装飾可動体230において、第1電磁石232と第2電磁石233との間に、第3電磁石235を設ける構成としている。第3電磁石235は、第3配線235aにより、第1電磁石232や第2電磁石233と同様、励磁制御部403と接続されている。また、第2装飾可動体250には第3電磁石235と対向するように第3永久磁石255を設けている。
このように3つ以上の電磁石を設けた場合も、たとえば、可動役物130の開放時、ぱちんこ遊技機100は、第2電磁石233に印加する電圧>第3電磁石235に印加する電圧>第1電磁石232に印加する電圧といったように、それぞれの電磁石の配置位置に応じて、それぞれの電磁石の励磁を制御する。
また、以上で説明した実施の形態では、第1装飾可動体230の上部に第1電磁石232を設けて下部に第2電磁石233を設けた。本発明はこれ限るものではないが、このように上下に電磁石を設けることで、上下一方のみに電磁石を設けた場合に比べて、ぱちんこ遊技機100は可動役物130を安定して閉鎖位置とすることができる。たとえば、上部のみに電磁石を設けると、第1装飾可動体230上部は第2装飾可動体250上部と密着しているものの、第1装飾可動体230下部は第2装飾可動体250下部と密着していない場合などが発生しえる。このため、第1装飾可動体230の上部に第1電磁石232を設けて下部に第2電磁石233を設けることで、ぱちんこ遊技機100は、第1装飾可動体230上部および下部を第2装飾可動体250と密着させ、可動役物130を安定して閉鎖位置とすることができる。
そして、以上で説明した実施の形態では、第1装飾可動体230の当接面230aに第1電磁石232や第2電磁石233を設けて、第2装飾可動体250の当接面250aに第1永久磁石252や第2永久磁石253を設ける構成としたがこれに限らない。たとえば、第1装飾可動体230の当接面が凹形状を有して、第2装飾可動体250の当接面が凸形状を有するような場合、これらの当接面に電磁石や永久磁石を設けるのは難しい。このような場合は、各々の当接面に電磁石や永久磁石を設けず、上記のような反発力や吸着力を得られる任意の位置(たとえば各々の当接面近傍)に電磁石や永久磁石を設けてもよい。
さらに、以上で説明した実施の形態では、可動役物130は、第1装飾可動体230および第2装飾可動体250の双方が駆動する一対の可動役物としたがこれに限らない。たとえば、1つの装飾可動体が固定面に対して開閉するように駆動する可動役物であってもよい。また、本実施の形態では、一方の装飾可動体に電磁石を設け、他方の装飾可動体には永久磁石を設ける構成としたがこれに限らず双方に電磁石を設ける構成としてもよい。
以上に説明したように、本発明にかかるぱちんこ遊技機によれば、可動役物を見栄えよく駆動させて、演出効果を高めることができる。