以下に添付図面を参照して、本発明にかかる遊技機、制御方法および制御プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、本発明にかかる遊技機を旧第一種のぱちんこ遊技機(いわゆる「デジパチ」)に適用した場合の例である。
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
まず、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の基本構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の一例を示す正面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(図3中符号382参照)が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。
遊技領域103には、複数の釘(不図示)が設けられており、この釘によって遊技球は不特定な方向に向けて落下する。また、遊技領域103において遊技球の落下途中となる位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や各種入賞口(始動口や大入賞口など)が配設されている。
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD)などが用いられる。画像表示部104の下方には、第1始動口105と、第2始動口106とが配設されている。第1始動口105、第2始動口106は、始動入賞させるための入賞口である。
第2始動口106の近傍には、電動役物としての電動チューリップ107が設けられている。電動チューリップ107は、遊技球を第2始動口106へ入賞し難くさせる閉状態(閉口された状態)と、閉状態よりも入賞し易くさせる開状態(開放された状態)とを有する。これらの状態の制御は、電動チューリップ107が備えるソレノイド(図3中符号331参照)によっておこなわれる。
電動チューリップ107は、画像表示部104の左側に配設されたゲート108を遊技球が通過したことによりおこなわれる普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開放される。なお、ゲート108は、画像表示部104の左側(図示の位置)に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してもよい。
第2始動口106の下方には、大入賞口109が設けられている。たとえば、大入賞口109は、大当たり遊技状態となったときに開放して、遊技球が入賞することにより所定個数(たとえば15個)の賞球を払い出すための入賞口である。
画像表示部104の側部や下方などには普通入賞口110が配設されている。普通入賞口110は、遊技球の入賞により所定個数(たとえば10個)の賞球を払い出すための入賞口である。普通入賞口110は、図示の位置に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してもよい。遊技領域103の最下部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口111が設けられている。
遊技盤101の右下部分には、特別図柄が表示される特別図柄表示部112が配置されている。特別図柄表示部112は、第1特別図柄(以下「特図1」という)が表示される第1特別図柄表示部(図3中符号112a参照)と、第2特別図柄(以下「特図2」という)が表示される第2特別図柄表示部(図3中符号112b参照)とを有する。
ここで、特図1は、遊技球が第1始動口105へ入賞することによりおこなう第1大当たり抽選の抽選結果をあらわす。特図2は、遊技球が第2始動口106へ入賞することによりおこなう第2大当たり抽選の抽選結果をあらわす。第1大当たり抽選および第2大当たり抽選は、遊技状態を大当たり遊技状態とするか否かの抽選である。
また、遊技盤101の右下部分には、普通図柄が表示される普通図柄表示部113が配置されている。ここで、普通図柄は、普通図柄抽選の抽選結果をあらわす。普通図柄抽選は、前述のように電動チューリップ107を開状態(長開放または短開放)とするか否かの抽選である。普通図柄表示部113は、たとえば、7セグメントディスプレイが用いられる。
特別図柄表示部112および普通図柄表示部113の左側には、特別図柄または普通図柄に対する保留数を表示する保留数表示部114が配置されている。たとえば、保留数表示部114としてはLEDが用いられる。この保留数表示部114としてのLEDは複数配置され、点灯/消灯によって保留数をあらわす。たとえば、保留数表示部114を構成するLEDのうちの、上段のLEDが2個点灯している場合には、普通図柄に対する保留数は2であることをあらわす。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材115が設けられている。枠部材115において遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト部(枠ランプ)116が設けられている。演出ライト部116は、それぞれ複数のランプを有する。
各ランプは、ぱちんこ遊技機100の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、光の照射方向を上下方向に変更することができる。各ランプは、演出ライト部116に設けられた不図示のモータによって、光の照射方向を上下方向に変更するように駆動される。
枠部材115の下部位置には、操作ハンドル117が配置されている。操作ハンドル117は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材118を備えている。発射指示部材118は、操作ハンドル117の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材118が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。
枠部材115において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付ける演出ボタン(チャンスボタン)119が設けられている。また、枠部材115において、演出ボタン119の隣には、十字キー120が設けられている。これら演出ボタン119および十字キー120は、ぱちんこ遊技機100において遊技者からの操作を受け付ける操作部を構成している。また、枠部材115には、音声を出力するスピーカ(図3中符号354参照)が組み込まれている。
画像表示部104の遊技者から見て前面側となる位置には可動演出役物130が配置されている。図1においては、可動演出役物130が演出時に画像表示部104の前面に進出した状態を示している。可動演出役物130は、演出をおこなわない場合、画像表示部104の側部に設けられた収納スペース131に退避し、遊技者からは視認できないようになる。収納スペース131には、装飾ランプ132が設けられ、演出時に点灯したり点滅したりする。以下に、可動演出役物130の構成について詳述する。
(可動演出役物の構成)
次に、図2を用いて、可動演出役物130の構成について説明する。図2は、本実施の形態の可動演出役物の正面図(その1)である。可動演出役物130は、通常時、すなわち、特定の演出(以下、可動演出役物130を用いる演出を「役物演出」という)の実行時以外には図2に示す位置(以下「退避位置」という)で停止している。可動演出役物130は、この退避位置にある場合、収納スペース131(図2では不図示。図1参照)に収納され、遊技者から視認できないようになっている。
図2に示すように、可動演出役物130は、駆動部200と、伝達部210と、装飾部220とを備えている。ここで、駆動部200は、駆動モータ201と、駆動ギア202と、従動ギア203とからなる。駆動モータ201は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、駆動ギア202を駆動回転させる。駆動モータ201には、例えば、ステッピングモータを用いることができる。従動ギア203は、駆動ギア202に歯合連結し、駆動ギア202の回転力によって従動回転する。
伝達部210は、第1スライドギア211と、伝達ギア212と、第2スライドギア213とからなる。第1スライドギア211は、従動ギア203に歯合連結し、従動ギア203の回転に伴って、通常時の退避位置および役物演出時の進出位置に水平方向の往復移動が可能になっている。第1スライドギア211には、第1装飾可動体221が固設されている。また、退避位置における第1スライドギア211の下方には、第1センサS1が設けられており、進出位置における第1スライドギア211の下方には、第2センサS2が設けられている。
第1センサS1および第2センサS2としてはフォトセンサなどを用いることができる。ここで、フォトセンサは、公知の技術のため詳細な説明を省略するが、同方向を向いた受光素子と発光素子とを備えている。そして、発光素子が発光した光を第1スライドギア211に当てて、反射してくる光の有無を受光素子で検知する。これにより、第1センサS1はL1上に第1スライドギア211が存在するか否かを検知することができる。また、同様に、第2センサS2はL2上に第1スライドギア211が存在するか否かを検知することができる。
伝達ギア212は、第1スライドギア211および第2スライドギア213に歯合連結している。伝達ギア212は、第1スライドギア211の往復移動に伴って回転する。第2スライドギア213は、伝達ギア212の回転に伴って、第1スライドギア211とは逆方向に往復移動が可能になっている。第2スライドギア213には、第2装飾可動体222が固設されている。
装飾部220は、第1装飾可動体221と第2装飾可動体222とからなる。各装飾可動体221,222には、ランプ226が設けられ、たとえば、役物演出時に点灯や点滅をおこなう。なお、各装飾可動体221,222には、ランプ226以外にも、たとえばハート形状の装飾部材などを設けてもよい。第1装飾可動体221の上部には、ローラ223が設けられ、当該ローラ223が不図示の枠体に設けられたガイドレール224に沿って移動可能になっている。
また、第1装飾可動体221の下部にも、不図示のローラが設けられ、当該ローラが不図示の枠体に設けられたガイドレール225に沿って移動可能になっている。第1装飾可動体221は、第1スライドギア211に固設されているため、第1スライドギア211が水平に移動すると、これに追従して水平移動するようになっている。
同様に、第2装飾可動体222の上部にもローラ223が設けられ、当該ローラ223がガイドレール224に沿って移動可能になっている。また、第2装飾可動体222の下部にも、不図示のローラが設けられ、当該ローラがガイドレール225に沿って移動可能になっている。第2装飾可動体222は、第2スライドギア213に固設されているため、第2スライドギア213が水平に移動すると、これに追従して水平移動するようになっている。
(ぱちんこ遊技機の内部構成)
次に、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の内部構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、ぱちんこ遊技機100の制御部300は、遊技の進行を制御する主制御部301と、演出内容を制御する演出制御部302と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部303とを備えている。以下にそれぞれの制御部について詳細に説明する。
(1.主制御部)
主制御部301は、CPU(Central Processing Unit)311と、ROM(Read Only Memory)312と、RAM(Random Access Memory)313と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU311は、メイン制御処理(不図示)、タイマ割込処理など、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行に関する各種プログラムを実行する。ROM312には、CPU311が上記の処理を実行するために必要となるプログラムなどが記憶されている。RAM313は、CPU311のワークエリアとして機能する。なお、CPU311が上記のプログラムを実行することによりRAM313にセットされたデータは、所定のタイミングで主制御部301に接続された各構成に対して送信される。
すなわち、主制御部301は、CPU311がRAM313をワークエリアとして使用しながら、ROM312に記憶された各種プログラムを実行することによって、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行を制御するように機能する。たとえば、主制御部301は、主制御基板(公知の技術のため詳細な説明は省略する)によって実現される。
主制御部301には、遊技球を検出する機能を有する各種スイッチ(SW)、大入賞口109などの電動役物を開閉動作させるためのソレノイド、上記の第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113、保留数表示部114などが接続される。
具体的に、上記の各種SWとしては、第1始動口105へ入賞した遊技球を検出する第1始動口SW321と、第2始動口106へ入賞した遊技球を検出する第2始動口SW322と、ゲート108を通過した遊技球を検出するゲートSW323と、大入賞口109へ入賞した遊技球を検出する大入賞口SW324と、普通入賞口110へ入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW325とが主制御部301に接続される。
それぞれのSW(321〜325)による検出結果は主制御部301へ入力される。これらのSWには、近接スイッチなどを用いることができる。なお、普通入賞口SW325は、普通入賞口110の配置位置別に複数個設けてもよい。
また、上記のソレノイドとしては、電動チューリップ107を開閉動作させる電動チューリップソレノイド331と、大入賞口109を開閉動作させる大入賞口ソレノイド332とが主制御部301に接続される。主制御部301は、それぞれのソレノイド(331,332)に対する駆動を制御する。たとえば、主制御部301は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて電動チューリップソレノイド331の駆動を、大当たり抽選の抽選結果に基づいて大入賞口ソレノイド332の駆動を、それぞれ制御する。
また、主制御部301は、大当たり抽選(第1大当たり抽選、第2大当たり抽選)、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて、第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113の表示内容を制御する。たとえば、主制御部301は、第1大当たり抽選をおこなうと第1特別図柄表示部112aの特図1を変動表示させる。そして、所定期間経過後に、第1大当たり抽選の抽選結果を示す図柄にて特図1を停止表示させる。
同様に、主制御部301は、第2大当たり抽選をおこなうと第2特別図柄表示部112bの特図2を、普通図柄抽選をおこなうと普通図柄表示部113の普通図柄を、変動/停止表示させる。
さらに、主制御部301は、演出制御部302および賞球制御部303にも接続され、それぞれに対して各種コマンドを送信する。たとえば、主制御部301は、大当たり抽選をおこなうと、演出制御部302に対して変動開始コマンドを送信する。ここで、変動開始コマンドには、大当たり抽選の抽選結果(停止表示させる特別図柄の種類)、現在の遊技状態、大当たり抽選の抽選結果を示すまでに特別図柄を変動表示させる時間(以下「変動時間」という)などを示す情報が含まれている。
また、主制御部301は、各入賞口(始動口105,106、大入賞口109、普通入賞口110)へ入賞した遊技球を検出すると、賞球制御部303に対して賞球コマンドを送信する。ここで、賞球コマンドには、払い出させる賞球の個数などを示す情報が含まれている。
(2.演出制御部)
演出制御部302は、演出統括部302aと、画像・音声制御部302bと、ランプ制御部302cとによって構成され、ぱちんこ遊技機100の演出内容を制御する機能を有する。ここで、演出統括部302aは、主制御部301から受信したコマンド(たとえば変動開始コマンド)に基づいて演出制御部302全体を統括する機能を有している。画像・音声制御部302bは、演出統括部302aからの指示に基づき、画像および音声の制御をおこなう機能を有している。ランプ制御部302cは、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯や、前述した可動演出役物130の動作を制御する機能を有している。
(2−1.演出統括部)
まず、演出統括部302aの構成について説明する。演出統括部302aは、CPU341と、ROM342と、RAM343と、リアルタイムクロック(以下「RTC」という)344と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU341は、演出制御部302全体を統括するための各種プログラムを実行する。ROM342には、CPU341が処理を実行するために必要となるプログラムなどが記憶されている。RAM343は、CPU341のワークエリアとして機能する。CPU341がプログラムを実行することによりRAM343にセットされたデータは、所定のタイミングで画像・音声制御部302bおよびランプ制御部302cに対して送信される。
すなわち、演出統括部302aは、CPU341がRAM343をワークエリアとして使用しながら、ROM342に記憶されたプログラムを実行することによって、演出制御部302全体を統括するように機能する。たとえば、演出統括部302aは、変動開始コマンドに基づいて、特別図柄の変動表示に合わせて実行する演出を決定し、画像・音声制御部302b、ランプ制御部302cに所定の制御をおこなうように指示出力して、演出制御部302全体を統括する。
RTC344は、実時間を計時出力する計時手段として機能する。RTC344は、ぱちんこ遊技機100の電源が遮断されてもバックアップ電源(不図示)により計時動作を継続する。なお、RTC344は、演出統括部302aなど演出制御部302内に配置する例に限らず、主制御部301内に配置してもよい。また、RTC344は、単独で配置して演出制御部302や主制御部301に対して実時間を計時出力してもよい。
また、演出統括部302aには、演出ボタン119が接続されている。たとえば、演出ボタン119は、遊技者によって押下されると、対応する入力信号を演出統括部302aへ入力する。また、図3において図示は省略するが、十字キー120も演出統括部302aに接続されている。十字キー120は、遊技者によって選択されたキーに対応する入力信号を演出統括部302aへ入力する。
(2−2.画像・音声制御部)
次に、画像・音声制御部302bの構成について説明する。画像・音声制御部302bは、CPU351と、ROM352と、RAM353と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU351は、画像・音声の生成処理、および出力処理を実行する。ROM352には、画像・音声の生成処理、および出力処理を実行するためのプログラム、該処理に必要となる背景画像・演出用の図柄(以下「装飾図柄」という)・キャラクタ画像など各種画像データや各種音声データなどが記憶されている。RAM353は、CPU351のワークエリアとして機能するとともに、画像表示部104に表示させる画像データやスピーカ354から出力させる音声データが一時的に格納される。たとえば、RAM353には、画像表示部104に表示させる画像データが一時的に格納されるVRAM(Video RAM)などが含まれる。
すなわち、画像・音声制御部302bは、CPU351がRAM353をワークエリアとして使用しながら、ROM352に記憶されたプログラムを実行することによって、演出統括部302aからの指示に基づき、画像表示部104に表示させる画像や、スピーカ354から出力させる音声の制御をおこなうように機能する。
たとえば、CPU351は、演出統括部302aから指示された指示内容に基づいて、画像表示部104に表示する表示内容を制御する表示制御処理(不図示)、スピーカ354から出力される音声内容を制御する音声制御処理(不図示)などを実行する。このときには、CPU351は、処理に必要な画像データおよび音声データをROM352から読み出してRAM353に書き込む。
RAM353に書き込まれた背景画像や装飾図柄などの画像データは、画像・音声制御部302bに接続された画像表示部104に対して出力され、画像表示部104の表示画面上において重畳表示される。すなわち、装飾図柄は、背景画像よりも手前に見えるように表示される。なお、同一位置に背景画像と装飾図柄が重なる場合などには、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、装飾図柄を優先してRAM353に記憶させる。
また、RAM353に書き込まれた音声データは、画像・音声制御部302bに接続されたスピーカ354に対して出力され、音声データに基づく音声がスピーカ354から出力される。
(2−3.ランプ制御部)
次に、ランプ制御部302cの構成について説明する。ランプ制御部302cは、CPU361と、ROM362と、RAM363と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU361は、ランプを点灯させる処理などを実行する。ROM362には、上記の処理を実行するために必要となる各種プログラム、該処理に必要となるランプ点灯や、可動演出役物130の動作に用いる制御データなどが記憶されている。RAM363は、CPU361のワークエリアとして機能する。
ランプ制御部302cは、演出ライト部(枠ランプ)116と、盤ランプ364と、ランプ226とに接続され、これらのランプに対する点灯制御するデータを出力する。これにより、ランプ制御部302cは、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯を制御するように機能する。
また、ランプ制御部302cは、駆動モータ201と、ランプ制御検出器365とに接続されている。ランプ制御部302cは、演出統括部302aからのコマンドに基づいて、駆動モータ201の駆動を制御するデータ(たとえば後述する制御信号Ps1,Ps2,Ps3)を出力する。
ランプ制御検出器365は、各種センサ(たとえば第1センサS1や第2センサS2)などを有し、ランプ制御部302cの制御対象(たとえば可動演出役物130)の位置検出などをおこなう機能を有している。なお、ランプ制御検出器365の具体的な内容については図4を用いて後述する。
本実施の形態では、演出制御部302は、演出統括部302aと画像・音声制御部302bとランプ制御部302cとがそれぞれ異なる基板機能として設けられるが、これらは同じプリント基板上に組み込んで構成してもよい。ただし、同じプリント基板上に組み込まれた場合であってもそれぞれの機能は独立しているものとする。
(3.賞球制御部)
次に、賞球制御部303の構成について説明する。賞球制御部303は、CPU371と、ROM372と、RAM373と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU371は、払い出す賞球を制御する賞球制御処理を実行する。ROM372には、該処理に必要となるプログラムなどが記憶されている。RAM373は、CPU371のワークエリアとして機能する。
また、賞球制御部303は、払出部(払出駆動モータ)381と、発射部382と、定位置検出SW383と、払出球検出SW384と、球有り検出SW385と、満タン検出SW386と接続される。
賞球制御部303は、払出部381に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。払出部381は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータからなる。具体的には、賞球制御部303は、払出部381に対して各入賞口(第1始動口105、第2始動口106、大入賞口109、普通入賞口110)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
また、賞球制御部303は、発射部382に対する遊技球の発射の操作を検出して遊技球の発射を制御する。発射部382は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える。賞球制御部303は、発射部382のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
また、この賞球制御部303には、払い出す遊技球の状態を検出する各所の検出部が接続され、賞球のための払い出し状態を検出する。これらの検出部としては、定位置検出SW383、払出球検出SW384、球有り検出SW385、満タン検出SW386等がある。たとえば、賞球制御部303は、賞球制御基板によってその機能を実現する。
上記構成の主制御部301と、演出制御部302と、賞球制御部303は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出制御基板、賞球制御基板)に設けられる。これに限らず、たとえば、賞球制御部303は、主制御部301と同一のプリント基板上に設けることもできる。
また、主制御部301には、盤用外部情報端子基板397が接続されており、主制御部301が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。賞球制御部303についても、枠用外部情報端子基板398が接続されており、賞球制御部303が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。
(ランプ制御検出器の構成)
次に、ランプ制御検出器365の具体的な構成について説明する。図4は、本実施の形態のランプ制御検出器の回路構成の一例を示す説明図である。図4に示すように、ランプ制御検出器365は、IC回路410と、第1センサS1と、第2センサS2と、センサ431〜437とから構成されている。
IC回路410は、公知の技術のため詳細な説明を省略するが、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの素子を基板上に装着して構成したものである。たとえば、このIC回路410は、入力ポートIa,Ib,Ic,Id,Ie,If,Ig,Ihの計8個の入力ポートと出力ポートOとを有している。
入力ポートIaにはセンサ431が接続され、IC回路410は入力ポートIaを介してセンサ431からのセンサ信号の入力を受け付ける。同様に、入力ポートIbにはセンサ432が、入力ポートIcにはセンサ433が、入力ポートIeにはセンサ434が接続されて、IC回路410は各センサ432〜434からのセンサ信号の入力を受け付ける。入力ポートIfにはセンサ435が、入力ポートIgにはセンサ436が、入力ポートIhにはセンサ437が接続されて、IC回路410は各センサ435〜437からのセンサ信号の入力を受け付ける。
また、入力ポートIdには第1センサS1および第2センサS2が接続され、IC回路410は入力ポートIdを介して、第1センサS1および第2センサS2からのセンサ信号の入力を受け付ける。IC回路410は、第1センサS1や、第2センサS2や、センサ431〜437からセンサ信号が入力されると、たとえば、これらのセンサ信号をシリアル信号に変換して、出力ポートOからランプ制御部303cに対して出力する。その際、入力ポートIdに対して第1センサS1および第2センサS2のいずれからセンサ信号が入力された場合にも、IC回路410は、同一のセンサ信号Sdを出力ポートOからランプ制御部303cに出力する。
(本実施の形態のぱちんこ遊技機の機能的構成)
次に、ぱちんこ遊技機100の機能的構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の機能的構成を示すブロック図である。図5に示すように、ぱちんこ遊技機100は、第1センサS1と、第2センサS2と、駆動制御部501と、検出部502と、判定部503と、駆動部200と、伝達部210と、装飾部220と、を備えている。
第1センサS1と、第2センサS2と、検出部502とは、ランプ制御検出器365に含まれる。駆動制御部501および判定部503は、ランプ制御部302cに含まれる。駆動部200と、伝達部210と、装飾部220とは、可動演出役物130に含まれる。
可動演出役物130は、遊技盤101上に設けられ、駆動部200によって所定範囲を駆動可能である。駆動部200によって駆動するとは、具体的には、駆動部200が駆動され、駆動部200の運動量が伝達部210によって装飾部220に伝達されることにより、位置を変位することである。所定範囲とは、本実施の形態における退避位置から進出位置までの範囲である。
駆動制御部501は、駆動部200を制御し、可動演出役物130を駆動させる。具体的に、駆動制御部501は、駆動部200に対して所定の制御信号(たとえば、後述する制御信号Ps1,Ps2,Ps3)を出力することにより駆動部200を駆動させる。本実施の形態においては、駆動部200は駆動モータ201を有するため、当該駆動モータ201の制御をおこなうことにより、可動演出役物130を駆動させる。その際、駆動モータ201を回転させる方向および回転量は、可動演出役物130の移動量に応じて、予め制御信号に設定されている。
第1センサS1は、範囲の一端に可動演出役物130が位置する場合に、センサ信号を出力する。範囲とは、可動演出役物130の可動範囲であり、範囲の一端とは、本実施の形態における退避位置である。
第2センサS2は、一端とは異なる他端に可動演出役物130が位置する場合に、センサ信号を出力する。他端とは、本実施の形態における進出位置である。第1センサS1および第2センサS2は、上述したように、フォトセンサを用いることができる。
検出部502と、第1センサS1および第2センサS2と接続されて各センサからセンサ信号の入力を受け付ける単一の入力ポートと、当該入力ポートが各センサからセンサ信号を受け付けると検出信号を出力する出力ポートとを有する。単一の入力ポートとは、本実施の形態における入力ポートIdであり、出力ポートとは、出力ポートOである。
判定部503は、検出部502により検出信号が出力されている際に、可動演出役物130が一端側へ駆動されて、出力が継続する場合は一端に可動演出役物130が位置すると判定する一方、出力が終了した場合は他端から可動演出役物130が退避したと判定する。可動演出役物130が一端側へ駆動されるとは、具体的には、駆動制御部501が、一端の方向へ可動演出役物130を駆動させる制御信号を出力することである。
駆動制御部501は、判定部503によって一端に可動演出役物130が位置すると判定された場合、可動演出役物130の一端側への駆動または一端での固定を解除する。可動演出役物130の一端側への駆動とは、制御信号を出力することである。一端での固定を解除するとは、例えば、駆動モータ201としてステッピングモータを用いた場合に、励磁状態を解除することである。
また、判定部503は、電源投入時に検出部502により検出信号が出力されている際に、可動演出役物130が一端および他端のいずれに位置するかを判定する。
(位置判定処理)
次に、図6を用いて、電源投入時にランプ制御部302cが実行する位置判定処理について説明する。図6は、ランプ制御部が電源投入時に実行する位置判定処理の処理手順を示すフローチャートである。位置判定処理において、まず、ランプ制御部302cのCPU361は、IC回路410から入力ポートIdに対するセンサ信号Sdが入力されているか否かを判定する(ステップS601)。
ステップS601において、センサ信号Sdが入力されている場合、すなわち、可動演出役物130が退避位置および進出位置のいずれかに位置している場合(ステップS601:Yes)、従動ギア203を反時計回りの方向に回転(以下「正転」という)させる規定パルス数P1の制御信号Ps1を出力する(ステップS602)。
規定パルス数P1は、仮に可動演出役物130が退避位置に位置している状態においても第1センサS1がOFFになる程度であり、且つ、進出位置に位置している状態においても可動演出役物130の各ギアに不具合が生じない程度のパルス数が設定されている。従動ギア203を正転させることにより、退避位置から進出位置方向へ第1スライドギア211が変位する。
その後、センサ信号Sdの入力が終了するか否かを判定し(ステップS603)、センサ信号Sdの入力が終了した場合(ステップS603:Yes)、センサ信号Sdが第1センサS1からのセンサ信号であったとみなし、可動演出役物130は退避位置から退避したと判定する(ステップS604)。
ステップS604の後、従動ギア203を時計回りの方向に回転(以下「逆転」という)させる制御信号Ps2の出力を開始する(ステップS605)。なお、制御信号Ps2にはパルス数は設定されていない。そして、センサ信号Sdが入力されるか否かを判定する(ステップS606)。センサ信号Sdが入力されない場合(ステップS606:No)、センサ信号Sdが入力されるまで制御信号Ps2を出力して待機する。
ステップS606において、センサ信号Sdが入力された場合(ステップS606:Yes)、制御信号Ps2の出力を終了し(ステップS607)、従動ギア203を逆転させる規定パルス数P3の制御信号Ps3を出力する(ステップS608)。パルス数P3は予め設定されており、第1スライドギア211の右端がL1上に位置している状態から退避位置まで変位させるときに必要となる量である。その後、可動演出役物130が退避位置に位置していると判定し(ステップS609)、処理を終了する。
また、ステップS603において、センサ信号Sdが継続して入力されている場合(ステップS603:No)、センサ信号Sdが第2センサS2からのセンサ信号であったとみなし、可動演出役物130が進出位置に位置していると判定する(ステップS610)。これにより、単一の入力ポートに対して二つの位置センサが接続されている場合においても、可動演出役物130の位置を判定することができる。
ステップS610においては、駆動モータ201として用いるステッピングモータが励磁状態であることにより、進出位置に位置している可動演出役物130に対し、更に制御信号Ps1による力がかかった状態で固定させる力が働いているため、可動演出役物130に負荷がかかっている。そのため、駆動モータ201の励磁状態を解除し(ステップS611)、可動演出役物130にかかる負荷を除去する。その後、制御信号Ps2の出力を開始する(ステップS612)。そして、センサ信号Sdの入力が終了するか否かを判定する(ステップS613)。
ステップS613において、センサ信号Sdの入力が終了しない場合(ステップS613:No)、センサ信号Sdの入力が終了するまで制御信号Ps2を出力して待機する。センサ信号Sdの入力が終了した場合(ステップS613:Yes)、すなわち、第2センサS2がOFFになった場合、ステップS606へ移行する。これにより、可動演出役物130が進出位置に位置している場合にも退避位置まで変位させ、役物演出をおこなう際にも違和感なく可動演出役物130を駆動させることができる。
また、ステップS601において、センサ信号Sdが入力されていない場合、すなわち、可動演出役物130が退避位置および進出位置のいずれにも位置していない場合(ステップS601:No)、ステップS605以降の処理をおこなう。これにより、退避位置および進出位置のいずれにも位置していない可動演出役物130を、退避位置まで変位させ、役物演出をおこなう際にも違和感なく可動演出役物130を駆動させることができる。
(可動演出役物の動作例)
次に、図7−1〜図7−3を用いて、可動演出役物130の動作例について説明する。図7−1は、本実施の形態の可動演出役物の正面図(その2)である。図7−2は、本実施の形態の可動演出役物の正面図(その3)である。図7−3は、本実施の形態の可動演出役物の正面図(その4)である。
図7−1には、退避位置に位置している可動演出役物130を示している。電源投入時に、可動演出役物130が図7−1に示す退避位置に位置している状態である場合、ランプ制御部302cにはセンサ信号Sdが入力されている。そこで、ランプ制御部302cは制御信号Ps1を出力することにより、従動ギア203を矢印701方向に回転させ、第1スライドギア211を矢印702方向に変位させる。
ランプ制御部302cが制御信号Ps1を出力した後、可動演出役物130は図7−2に示すように、第1センサS1が第1スライドギア211の先端部を検知しない位置まで可動演出役物130が変位する。これにより、ランプ制御部302cへのセンサ信号Sdの入力が終了するため、ランプ制御部302cは、可動演出役物130が退避位置から退避したと判定することができる。この後、ランプ制御部302cは、制御信号Ps2および制御信号Ps3を出力することにより、可動演出役物130を図2に示した退避位置に位置させる。
また、図7−3には、進出位置に位置している可動演出役物130を示している。電源投入時に、可動演出役物130が図7−3に示す進出位置に位置している状態である場合、ランプ制御部302cにはセンサ信号Sdが入力されている。そこで、ランプ制御部302cは制御信号Ps1を出力することにより、従動ギア203を矢印701方向に回転させる。
ランプ制御部302cが制御信号Ps1を出力した後、ランプ制御部302cへのセンサ信号Sdの入力が継続するため、ランプ制御部302cは、可動演出役物130が進出位置に位置していると判定することができる。この際、ランプ制御部302cは、駆動モータ201に用いたステッピングモータの励磁状態を解除し、制御信号Ps2および制御信号Ps3を出力することにより、稼働演出役物130を図2に示した退避位置に位置させる。
上述したように、第1センサS1および第2センサS2が入力ポートIdに接続され、ランプ制御部302cは出力ポートOからセンサ信号Sdが入力された場合に、可動演出役物130を進出位置方向に駆動させる制御信号Ps1を出力する構成とした。そして、ランプ制御部302cは、センサ信号Sdの出力が継続した場合に進出位置に、可動演出役物130が位置していると判定する構成とした。また、センサ信号Sdの出力が終了した場合には退避位置から可動演出役物130が退避したと判定する構成とした。
これにより、二つのセンサを要する可動演出役物の制御を、単一の入力ポートを用いて制御をおこなうことができるため、入力ポートを増設する必要がなく、演出効果の高い可動演出役物を備えたぱちんこ遊技機を、安価に製造することができる。
また、本実施の形態においては、従動ギア203を正転させる制御信号Ps1を出力した後にセンサ信号Sdの出力が終了するか否かを判定することにより、可動演出役物130の位置を判定するものとしたが、これに限るものではない。
たとえば、センサ信号Sdが出力された場合に従動ギア203を逆転させる規定パルス数の制御信号を出力し、センサ信号Sdの出力が継続した場合は退避位置に可動演出役物130が位置しているものと判定し、センサ信号Sdの出力が終了した場合は進出位置から退避したと判定するものであってもよい。
また、本実施の形態において、可動演出役物130の基準となる位置が退避位置であるため、可動演出役物130が進出位置に位置していると判定した後、退避位置まで変位させる構成としたが、これに限るものではない。たとえば、進出位置を基準として演出が可能な可動演出役物であれば、役物演出をおこなうまで進出位置に位置させるものであってもよい。
また、本実施の形態において、可動演出役物130を進出位置方向へ駆動させてもセンサ信号Sdの入力が継続し、可動演出役物130が進出位置に位置していると判定した後に、駆動モータ201の励磁状態を解除する構成とした(図6のステップS611参照)。これにより、可動演出役物130に過度な負荷をかけることを防止し、ギアの空回りや破損などの不具合を生じさせることなく、可動演出役物130の位置を判定することができる。
また、本発明のぱちんこ遊技機による可動演出役物の位置の判定においては可動演出役物を駆動させるため、演出中などに当該位置の判定をおこなう場合には実行中の演出の妨げになってしまうことが考えられる。そこで、電源投入時に可動演出役物の位置の判定を実行することにより、演出を妨げることなく、可動演出役物の位置の判定をおこなうことができる。
以上に説明したように、本発明にかかるぱちんこ遊技機によれば、単一の入力ポートに対して可動範囲の一端と他端に可動演出役物が位置していることを検知する各センサを接続する構成とした。そして、いずれかのセンサから検出信号が入力ポートに入力された場合に、可動演出役物を一端の方向に駆動制御し、検出信号の出力が継続した場合に一端に可動演出役物が位置していると判定し、検出信号の出力が終了した場合に他端から退避したと判定する構成とした。
これにより、センサの増加に伴って入力ポートを増設する必要がなく、演出効果の高い可動演出役物を備えたぱちんこ遊技機を安価に製造することができる。