JP2012102239A - ウェットマスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を向上できるウェットマスターバッチ、該ウェットマスターバッチを用いたタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴムラテックスと充填剤分散液と液状ジエン系重合体エマルジョンとを混合して得られ、前記液状ジエン系重合体の共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜90モル%であるウェットマスターバッチに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウェットマスターバッチ、該ウェットマスターバッチを用いたタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
従来から、高性能タイヤのグリップ性能を向上させるために、タイヤ用ゴム組成物のtanδを向上させる試みが行われている。例えば、オイルの代わりとして、ゴム成分に比べて重量平均分子量が小さく、常温で液体の液状ポリマーが使用されている。
また、この液状ポリマーによるグリップ性能の向上効果を更に高めるために、液状ポリマーに水素添加処理を施し、より高温領域のtanδを高くする試みが行われている(例えば、特許文献1)。
しかし、液状ポリマーの水素添加率を高くすると、ゴムの接着不良が起こり、タイヤ用ゴム組成物に使用した場合には、トレッドセパレーションが生じるという問題があった。また、耐摩耗性(耐久性)も低下する傾向があった。このように、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を向上させる点については改善の余地がある。
特開2005−225946号公報
本発明は、上記課題を解決し、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を向上できるウェットマスターバッチ、該ウェットマスターバッチを用いたタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、液状ポリマー(液状ジエン系重合体)の水素添加率を高くした場合に、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションが生じる原因について検討した結果、液状ポリマーの水素添加率を高くすると、液状ポリマーとゴム成分との相溶性が低下し、液状ポリマーのブリードが生じるためであるとの仮説に想到した。そして、液状ポリマーとゴム成分との相溶性を向上させるために鋭意検討した結果、ゴム成分と、液状ポリマーと、充填剤とを含むウェットマスターバッチを調製し、該ウェットマスターバッチをタイヤ用ゴム組成物に使用することにより、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ゴムラテックスと充填剤分散液と液状ジエン系重合体エマルジョンとを混合して得られ、上記液状ジエン系重合体の共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜90モル%であるウェットマスターバッチに関する。
上記充填剤分散液が充填剤を水性媒体中に分散させたものであり、上記液状ジエン系重合体エマルジョンが界面活性剤を用いて液状ジエン系重合体を乳化させた水中油滴型エマルジョンであることが好ましい。
上記ウェットマスターバッチは、ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して、上記液状ジエン系重合体を50〜200質量部、上記充填剤を70〜200質量部含むことが好ましい。
上記液状ジエン系重合体が液状スチレンブタジエン共重合体であることが好ましい。
上記ゴムラテックスがスチレンブタジエンゴムラテックスであることが好ましい。
上記充填剤がカーボンブラックであることが好ましい。
上記液状ジエン系重合体の重量平均分子量が1000〜20000であることが好ましい。
本発明はまた、上記ウェットマスターバッチを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
上記空気入りタイヤは、高性能タイヤであることが好ましい。
本発明によれば、ゴムラテックスと充填剤分散液と液状ジエン系重合体エマルジョンとを混合して得られ、前記液状ジエン系重合体の共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜90モル%であるウェットマスターバッチであるので、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を向上できる。よって、該ウェットマスターバッチをタイヤ用ゴム組成物に使用することにより、これらの性能に優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。また、該ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に使用することにより、同性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
〔ウェットマスターバッチ〕
本発明のウェットマスターバッチ(WMB)は、(A)ゴムラテックスと、(B)充填剤分散液と、(C)共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜90モル%である液状ジエン系重合体のエマルジョンとを混合して得られたものである。
共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50モル%以上の液状ポリマー(液状ジエン系重合体)をタイヤ用ゴム組成物に配合すると、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションが生じてしまう。しかし、本発明では、上記ゴムラテックス、充填剤分散液及び液状ジエン系重合体エマルジョンを混合して得られたウェットマスターバッチをタイヤ用ゴム組成物に配合することにより、液状ジエン系重合体の水素添加率が50モル%以上であっても、ゴム成分と液状ジエン系重合体との相溶性が向上し、ゴム成分中への液状ジエン系重合体の分散性が向上し、液状ジエン系重合体のブリードの発生を抑制でき、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を大幅に向上できる。
本発明のWMBは、例えば、(A)〜(C)を混合し、その後、凝固、乾燥することにより調製できる。
((A)ゴムラテックス)
ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などが挙げられる。なかでも、グリップ性能に優れるという理由から、スチレンブタジエンゴムラテックス(SBRラテックス)が好ましい。
ゴムラテックス中のゴム成分(ゴム固形分)の濃度は特に限定されないが、ゴムラテックス(100質量%)中での均一分散性の点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
SBRラテックスにおけるSBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、グリップ性能に優れるという理由から、E−SBRが好ましい。
上記SBRのビニル含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。ビニル含量が5質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該ビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
上記SBRのスチレン含量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは35質量%以上である。スチレン含量が25質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。スチレン含量が60質量%を超えると、耐摩耗性(耐久性)が低下するだけでなく、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまうおそれがある。
なお、SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
WMBに用いられるゴムラテックスに含まれるゴム固形分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。80質量%未満であると、グリップ性能が充分に得られない傾向がある。
((B)充填剤分散液)
充填剤分散液としては、充填剤を水性媒体中に分散させたものが挙げられる。充填剤分散液を使用することにより、ポリマー(ゴム分子)と充填剤を液体状態で混合することができ、充填剤を良分散させることができる。
充填剤分散液は、公知の方法で製造でき、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等を用いて調製できる。具体的には、コロイドミルに水性媒体を入れ、攪拌しながら充填剤を添加し、次いでホモジナイザーを用いて必要に応じて界面活性剤とともに循環することにより、上記分散液を調製できる。なお、上記分散液中の充填剤の濃度は特に限定されないが、分散液(100質量%)中での均一分散性の点から、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは3〜7質量%である。
前述の分散液の製法のとおり、充填剤分散液には、分散性の点から、適宜界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、特に限定されず、公知の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを適宜使用できる。なお、上記分散液において、界面活性剤の添加量は特に限定されないが、分散液(100質量%)中の充填剤の均一分散性の点から、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなど、従来タイヤ用ゴム組成物において慣用されるもののなかから任意に選択して用いることができるが、ゴムと液状ジエン系重合体との相溶性を好適に向上しつつ、破壊特性、耐摩耗性、グリップ性能のバランスに優れるという理由から、カーボンブラックが好ましい。
使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは120m/g以上である。100m/g未満では、グリップ性能が低下する傾向がある。また、該カーボンブラックのNSAは、好ましくは600m/g以下、より好ましくは500m/g以下、更に好ましくは160m/g以下である。600m/gを超えると、良好な分散が得られにくく、耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上である。50ml/100g未満であると、破断エネルギーが不充分でありアブレージョン摩耗が悪化する傾向がある。
また、カーボンブラックのDBPは、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下である。300ml/100gを超えると、破断伸びが悪化することで、ゴム欠けが生じるおそれがある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4の測定方法によって求められる。
また、水性媒体としては、水、アルコールなどが挙げられ、なかでも、水を使用することが好ましい。
((C)液状ジエン系重合体エマルジョン)
液状ジエン系重合体エマルジョンは、例えば、界面活性剤を用いて液状ジエン系重合体を乳化させたものが挙げられ、ゴム成分と液状ジエン系重合体との相溶性をより向上できるという理由から、水中油滴型エマルジョンであることが好ましい。
液状ジエン系重合体エマルジョンは、公知の乳化方法にて調製でき、液状ジエン系重合体に所定量の界面活性剤及び水を加え、ホモミキサー、コロイドミル、ラインミル、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、トリミックスミキサー等の乳化機又は混合機を用いてせん断応力を加えることにより、水中油滴型エマルジョンを調製できる。
本発明において、液状ジエン系重合体とは液体状態のジエン系重合体である。
液状ジエン系重合体の共役ジエン部の二重結合の水素添加率(液状ジエン系重合体の共役ジエン部に対して水素添加された割合(液状ジエン系重合体が液状スチレンブタジエン共重合体の場合はスチレンブタジエン共重合体のブタジエン部に対して水素添加された割合))は50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上である。50モル%未満では、tanδの向上が不充分であり、充分なグリップ性能が得られない。また、水素添加率は、90モル%以下、好ましくは85モル%以下である。90モル%を超えると、ゴム組成物が硬くなり、充分なグリップ性能(特に、低温でのグリップ性能)および耐摩耗性(耐久性)が得られない。なお、水素添加率は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
液状ジエン系重合体に対する水素添加反応としては、例えば、有機溶媒中で金属触媒の存在下で水素を加圧する方法、ヒドラジンを用いる方法などの従来公知の方法を用いることができる(特開昭59−161415号公報など)。
液状ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上である。Mwが1000未満では、耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。また、Mwは好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下である。Mwが20000を超えると、特に低温時のグリップ性能が低下する傾向がある。なお、重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
液状ジエン系重合体としては、上記水素添加率を満たす液体状態のジエン系重合体であれば特に限定されず、例えば、スチレンブタジエン共重合体(ゴム)、ブタジエン重合体(ゴム)、イソプレン重合体(ゴム)、アクリロニトリルブタジエン共重合体(ゴム)等が挙げられる。液状ジエン系重合体のなかでも、グリップ性能の向上効果が大きいことから、液状スチレンブタジエン共重合体(液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR))が好ましい。
液状SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。ビニル含量が10質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。ビニル含量が90質量%を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、液状SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
液状SBRのスチレン含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。スチレン含量が10質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。スチレン含量が60質量%を超えると、軟化点が高くなり、ゴムが硬くなり、グリップ性能が悪化するおそれがある。
なお、液状SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
上記エマルジョン中の液状ジエン系重合体の濃度は特に限定されない。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤を使用できるが、液状ジエン系重合体を良好に分散できる点から、非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。なかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが好ましい。
また、非イオン性界面活性剤は、親水性部分がオキシエチレンの繰り返し単位を2〜40個有することが好ましく、親油性部分がアルキルエーテルまたはアルケニルエーテル構造であることが好ましい。
なお、上記エマルジョンにおいて、界面活性剤の添加量は特に限定されないが、該エマルジョン(100質量%)中の液状ジエン系重合体の均一分散性の点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
(混合)
上記ゴムラテックスと、上記充填剤分散液と、上記液状ジエン系重合体エマルジョンとの混合方法としては、特に限定されず、例えば、ブレンダーミル中にゴムラテックスを入れ、撹拌しながら、充填剤分散液と、液状ジエン系重合体エマルジョンとを滴下する方法や、充填剤分散液を撹拌しながら、これにゴムラテックスと、液状ジエン系重合体エマルジョンとを滴下する方法、液状ジエン系重合体エマルジョンを撹拌しながら、これにゴムラテックスと、充填剤分散液とを滴下する方法等が挙げられる。また、一定の流量比のゴムラテックス流と充填剤分散液流と、液状ジエン系重合体エマルジョン流とを激しい水力撹拌条件下で混合する方法等でもよい。
(凝固)
上記混合工程の後、通常、凝固させるが、凝固工程は、通常、ギ酸、硫酸等の酸性化合物や、塩化ナトリウム等の塩等の凝固剤を添加して行われる。なお、上記混合によって凝固される場合もあり、この場合は凝固剤を用いなくてもよい。
(乾燥)
凝固後、通常、得られた凝固物を回収し、遠心分離等によって脱水し、更に、洗浄、乾燥を行うことにより、本発明のWMBが得られる。乾燥に使用できる乾燥機としては、例えば、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー、熱風乾燥機、キルン式乾燥機等を使用できる。
(WMBの組成)
WMB中の充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、110質量部以上が更に好ましい。充填剤の含有量が70質量部未満では、グリップ性能及び耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。また、充填剤の含有量は、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましい。充填剤の含有量が200質量部をこえると、加工性が悪化する傾向がある。
WMB中のカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、110質量部以上が更に好ましい。カーボンブラックの含有量が70質量部未満では、グリップ性能及び耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましい。カーボンブラックの含有量が200質量部をこえると、加工性が悪化する傾向がある。
WMB中の液状ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。50質量部未満では、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下である。200質量部を超えると、耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。なお、本明細書において、液状ジエン系重合体は、ゴム成分には含まれない。
〔タイヤ用ゴム組成物〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記ウェットマスターバッチ(WMB)を含む。
なお、組成の異なる2種以上のWMBを含んでもよく、例えば、共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜68モル%(好ましくは55〜65モル%)の液状ジエン系重合体を含むWMB(A)と、共役ジエン部の二重結合の水素添加率が70〜90モル%(好ましくは60〜80モル%)の液状ジエン系重合体を含むWMB(B)とを併用することが好ましい。WMB(A)とWMB(B)とを併用することにより、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能の向上をより高いレベルで実現できる。
本発明のゴム組成物は、WMBに含まれるゴム成分以外にも、必要に応じて、他のゴム成分を配合してもよいが、本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分(WMBに含まれるゴム成分及び他のゴム成分)の総量100質量%中、上記WMBに含まれるゴム成分(ゴム固形分)の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を充分に向上できないおそれがある。
他のゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴムが挙げられ、なかでも、トレッドセパレーションの抑制効果が高く、耐摩耗性(耐久性)に優れるという理由から、BRが好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、トレッドセパレーションの抑制効果が高く、耐摩耗性(耐久性)に優れるという理由から、BRのシス含量は95質量%以上が好ましい。
本発明のゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分の総量100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、BRの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。5質量%未満であると、トレッドセパレーションの抑制効果、及び耐摩耗性(耐久性)が充分に得られないおそれがある。40質量%を超えると、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を充分に向上できないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、WMBに含まれる液状ジエン系重合体以外にも、必要に応じて、液状ジエン系重合体を配合してもよいが、本発明のゴム組成物において、上記液状ジエン系重合体の総含有量(WMBに含まれる液状ジエン系重合体及び他に使用された液状ジエン系重合体の合計含有量)は、ゴム成分の総量100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。50質量部未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該液状ジエン系重合体の総含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下である。200質量部を超えると、耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。
なお、本発明のゴム組成物に配合される液状ジエン系重合体100質量%中、WMBに含まれる液状ジエン系重合体の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
本発明のゴム組成物は、WMBに含まれる充填剤以外にも、必要に応じて、充填剤を配合してもよいが、本発明のゴム組成物において、上記充填剤の総含有量(WMBに含まれる充填剤及び他に使用された充填剤の合計含有量)は、ゴム成分の総量100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。50質量部未満であると、グリップ性能及び耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。該充填剤の総含有量は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。250質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
なお、本発明のゴム組成物に配合される充填剤100質量%中、WMBに含まれる充填剤の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。
本発明のゴム組成物において、上記カーボンブラックの総含有量(WMBに配合されたカーボンブラック及び他に使用されたカーボンブラックの合計含有量)は、ゴム成分の総量100質量部に対して、好ましくは70質量部以上、より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは110質量部以上である。70質量部未満であると、グリップ性能及び耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向がある。該カーボンブラックの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下である。200質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、樹脂(レジン)等の軟化剤、粘着付与剤、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物は、レジンを含むことが好ましい。なかでも、特定の芳香族ビニル重合体、即ち、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂を含有することが好ましい。これにより、グリップ性能をより向上できる。なお、上記芳香族ビニル重合体は、ゴム成分には含まれない。
上記芳香族ビニル重合体では、芳香族ビニル単量体(単位)として、スチレン、α−メチルスチレンが使用され、それぞれの単量体の単独重合体、両単量体の共重合体のいずれでもよい。上記芳香族ビニル重合体としては、経済的で、加工しやすく、グリップ性能に優れていることから、α−メチルスチレンの単独重合体又はα−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。
上記芳香族ビニル重合体の軟化点(Softening Point)は、好ましくは100℃以下、より好ましくは92℃以下、更に好ましくは88℃以下である。100℃を超えると、耐摩耗性及び低温時のグリップ性能が悪化する傾向がある。また、該軟化点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは75℃以上である。30℃未満であると、グリップ性能が悪化する傾向がある。
なお、芳香族ビニル重合体の軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500以上、より好ましくは800以上である。500未満では、転がり抵抗特性及びグリップ性能の充分な改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記芳香族ビニル重合体の重量平均分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。3000を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
なお、芳香族ビニル重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めたものである。
上記芳香族ビニル重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。0.5質量部未満であると、グリップ性能の充分な改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記芳香族ビニル重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。30質量部を超えると、転がり抵抗特性及び耐摩耗性(耐久性)が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッド、ベーストレッドに好適に使用できる。
〔空気入りタイヤ〕
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として好適に用いられ、特に高性能タイヤとして好適に用いられる。
なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、製造例1〜3で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
液状SBR:サートマー社製のRICON100(スチレン含量:20質量%、ビニル含量:70質量%)
10%パラジウムカーボン:東京化成工業(株)製
(製造例1)
(水素添加液状SBR(1)の調製)
攪拌翼つきの3Lオートクレーブに、液状SBRを80g、10%パラジウムカーボンを5g加え、窒素置換した後、圧力が5.0kg/cmとなるように水素置換して80℃で水素添加反応を行い、水素添加液状SBR(1)を得た。
(製造例2)
(水素添加液状SBR(2)の調製)
水素添加反応時間を水添率が65モル%になるように調整した以外は製造例1と同様の条件で水素添加反応を行い、水素添加液状SBR(2)を得た。
(製造例3)
(水素添加液状SBR(3)の調製)
水素添加反応時間を水添率が80モル%になるように調整した以外は製造例1と同様の条件で水素添加反応を行い、水素添加液状SBR(3)を得た。
液状SBR(サートマー社製のRICON100)、及び製造例1〜3により得られた水素添加液状SBR(1)〜(3)について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(重量平均分子量(Mw)の測定)
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(水素添加率の測定)
水素添加率は、四塩化炭素を溶媒として用い、15質量%の濃度となるようにスチレンブタジエン共重合体(液状SBR又は製造例1〜3により得られた水素添加液状SBR(1)〜(3))を溶解し、当該溶液について、100MHzのH−NMRにより測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から算出した。
Figure 2012102239
以下、製造例4〜7で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBRラテックス:日本ゼオン(株)製のLX110(E−SBR、ゴムラテックス中のゴム成分の濃度:40.5質量%)
カーボンブラック(1):東海カーボン(株)製のシースト9SAF(NSA:142m/g、DBP:115ml/100g)
カーボンブラック(2):三菱化学(株)製のダイアブラックSA(NSA:137m/g、DBP:165ml/100g)
水素添加液状SBR(2):上記製造例2で調製した水素添加液状SBR(2)
水素添加液状SBR(3):上記製造例3で調製した水素添加液状SBR(3)
デモールN:花王(株)製の界面活性剤デモールN(β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(陰イオン性界面活性剤))
ニューコールNT−15:日本乳化剤(株)製のニューコールNT−15(非イオン性ポリオキシエチレンアルキルエーテル型の界面活性剤)
(製造例4)
(WMB(1)の調製)
(充填剤分散液の調製)
ローター径30mmのコロイドミルに脱イオン水1900gと、カーボンブラック(1)100gとを投入し、ローター・ステーター間隔1mm、回転数2000rpmで10分間撹拌した。次いで、デモールNを0.05質量%の濃度となるように加え、圧力式ホモジナイザーを用いて3回循環させ、充填剤分散液を調製した。
(液状ジエン系重合体エマルジョンの調製)
水素添加液状SBR(2)100gを50℃まで加熱した後、5質量%のニューコールNT−15水溶液300gを加え、撹拌して液状ジエン系重合体エマルジョン(水中油滴型エマルジョン)を調製した。
(ゴムラテックス、充填剤分散液、液状ジエン系重合体エマルジョンの混合、凝固、乾燥)
ゴム成分:充填剤成分:液状ジエン系重合体成分の固形分比(質量比)が100:100:80となるように、ゴムラテックス(SBRラテックス)、充填剤分散液、液状ジエン系重合体エマルジョンを混合し、溶液が均一になった後、撹拌を続けながら硫酸を添加し、pH5に調整して凝固した。得られた固形物をろ過してゴム分を回収し、洗浄後の液体(洗浄水)がpH7になるまで純水でゴム分を洗浄し、乾燥し、WMB(1)を得た。
(製造例5)
(WMB(2)の調製)
カーボンブラック(1)をカーボンブラック(2)に変更した点、及び、ゴム成分:充填剤成分:液状ジエン系重合体成分の固形分比(質量比)が100:150:150となるように変更した点以外は製造例4と同様の条件で、WMB(2)を得た。
(製造例6)
(WMB(3)の調製)
水素添加液状SBR(2)を水素添加液状SBR(3)に変更した以外は製造例4と同様の条件で、WMB(3)を得た。
(製造例7)
(WMB(4)の調製)
水素添加液状SBR(2)を水素添加液状SBR(3)に変更した以外は製造例5と同様の条件で、WMB(4)を得た。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol9548(E−SBR、SBR固形分100質量部に対してオイルを37.5質量部含有、スチレン含量:37.5質量%、ビニル含量:18質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%)
WMB(1):上記製造例4で調製したWMB(1)
WMB(2):上記製造例5で調製したWMB(2)
WMB(3):上記製造例6で調製したWMB(3)
WMB(4):上記製造例7で調製したWMB(4)
カーボンブラック(1):東海カーボン(株)製のシースト9SAF(NSA:142m/g、DBP:115ml/100g)
カーボンブラック(2):三菱化学(株)製のダイアブラックSA(NSA:137m/g、DBP:165ml/100g)
液状SBR:サートマー社製のRICON100
水素添加液状SBR(1):上記製造例1で調製した水素添加液状SBR(1)
水素添加液状SBR(2):上記製造例2で調製した水素添加液状SBR(2)
水素添加液状SBR(3):上記製造例3で調製した水素添加液状SBR(3)
プロセスオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
レジン:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体(芳香族ビニル重合体)、軟化点:85℃、Mw:1000)
ワックス:大内新興化学(株)製のサンノックN
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学(株)製のノクセラーCZ
なお、製造例4〜7により得られたWMB(1)〜(4)の組成は、以下の通りである。
WMB(1):SBR(固形分)100質量部、カーボンブラック(1)100質量部、水素添加液状SBR(2)80質量部
WMB(2):SBR(固形分)100質量部、カーボンブラック(2)150質量部、水素添加液状SBR(2)150質量部
WMB(3):SBR(固形分)100質量部、カーボンブラック(1)100質量部、水素添加液状SBR(3)80質量部
WMB(4):SBR(固形分)100質量部、カーボンブラック(2)150質量部、水素添加液状SBR(3)150質量部
実施例1〜7及び比較例1〜5
表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形した後、他のタイヤ部材と貼り合わせて、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表2に示す。
(耐トレッドセパレーション性能)
得られた試験用タイヤを用いて、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行なった。そして、10周走行後の、トレッドジョイント部の剥離量を確認した。なお、トレッドジョイント部とは、押し出し成形をしたトレッドゴム同士の接着部分である。
(剥離量の評価基準)
0mm:5点/〜0.5mm:4点/〜1.0mm:3点/〜2.0mm:2点/〜5.0mm:1点/5.0mm以上の剥離:0点
点数が高いほど、トレッドセパレーションを抑制できていることを示す。なお、1点以下は走行に支障をきたすレベルである。
(グリップ性能)
得られた試験用タイヤを用いて、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行なった。その際における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。指数が大きいほどドライ路面におけるグリップ性能が高いことを示す。
(耐摩耗性(耐久性))
得られた試験用タイヤを用いて、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行なった。その際におけるタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し、耐摩耗性(耐久性)として評価した。残溝量が大きいほど、耐摩耗性(耐久性)に優れる。なお、実車走行前の溝量は10mmであった。
Figure 2012102239
上記(A)〜(C)成分を混合して得られたWMBを配合した実施例は、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能を向上できた。
一方、WMBを配合しなかった比較例では、実施例に比べて、性能が劣っていた。
比較例1〜4の結果より、液状SBRの水素添加率が高くなるにつれて、グリップ性能は向上するものの、耐トレッドセパレーション性能、耐摩耗性(耐久性)が低下する傾向が見られ、特に水素添加率が50モル%以上の液状SBRを配合した比較例3,4では、耐トレッドセパレーション性能、耐摩耗性(耐久性)が大幅に低下した。
一方、水素添加率が50モル%以上の液状SBRを配合したWMBを使用した実施例1,4は、耐トレッドセパレーション性能、耐摩耗性(耐久性)の低下は見られず、対応する比較例3,4に比べて、グリップ性能、耐摩耗性(耐久性)、耐トレッドセパレーション性能の全ての性能(特に、耐摩耗性(耐久性)、耐トレッドセパレーション性能)において優れていた。
上記WMB(A)と上記WMB(B)とを併用した実施例7では、耐摩耗性(耐久性)の低下やトレッドセパレーションを抑制しつつ、グリップ性能の向上をより高いレベルで実現できた。

Claims (11)

  1. ゴムラテックスと充填剤分散液と液状ジエン系重合体エマルジョンとを混合して得られ、
    前記液状ジエン系重合体の共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜90モル%であるウェットマスターバッチ。
  2. 前記充填剤分散液が充填剤を水性媒体中に分散させたものであり、
    前記液状ジエン系重合体エマルジョンが界面活性剤を用いて液状ジエン系重合体を乳化させた水中油滴型エマルジョンである請求項1記載のウェットマスターバッチ。
  3. ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して、前記液状ジエン系重合体を50〜200質量部、前記充填剤を70〜200質量部含む請求項1又は2記載のウェットマスターバッチ。
  4. 前記液状ジエン系重合体が液状スチレンブタジエン共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のウェットマスターバッチ。
  5. 前記ゴムラテックスがスチレンブタジエンゴムラテックスである請求項1〜4のいずれかに記載のウェットマスターバッチ。
  6. 前記充填剤がカーボンブラックである請求項1〜5のいずれかに記載のウェットマスターバッチ。
  7. 前記液状ジエン系重合体の重量平均分子量が1000〜20000である請求項1〜6のいずれかに記載のウェットマスターバッチ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のウェットマスターバッチを含むタイヤ用ゴム組成物。
  9. トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項8記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. 請求項8又は9記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
  11. 高性能タイヤである請求項10記載の空気入りタイヤ。
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