JP2012099394A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化剤ポンプの効率を向上できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】酸化剤流路上に、消音器80の下流であってエアポンプ31の上流に水透過膜を用いた気化冷却式の酸化剤冷却器32が備えられている。消音器80の空気取入れ口80aから吸気された空気は、消音器80内を通過することによってラジエータ70の排熱の影響を受けて過熱されるが、酸化剤冷却器32を通過することにより、水貯留部35sから貯水部32aに送られる凝縮水の気化熱によってエアポンプ31の空気の吸込み温度を低下させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、消音器の下流に酸化剤を供給する酸化剤ポンプを備える燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、燃料電池に酸化剤を供給する酸化剤ポンプの上流側に、吸気騒音を吸収するための消音器を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−116353号公報(段落0007,0008、図1)
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池システムを車両に適用した場合、エア取り入れのレイアウト上、フロントラジエータとの配置関係から消音器等が熱を受けてしまうという問題がある。つまり、消音器は車両のモータルーム内に設置されるため、ラジエータの排気側の排熱の影響を受け、エアポンプの吸い込み温度が消音器の吸気温度に比べてかなり上昇してしまい、エアの体積流量が増加する。これにより、温度が上昇しない場合と同量のエア(酸素)を送り込む必要があることから、エアポンプがより仕事をせざるを得なくなり、エアポンプの効率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、酸化剤ポンプの効率を向上できる燃料電池システムを提供することを課題とする。
本発明は、燃料電池と、前記燃料電池のカソードに供給される酸化剤が通流する酸化剤流路と、前記燃料電池のカソードに酸化剤を供給する酸化剤ポンプと、前記燃料電池を冷却する冷却液を通流させて放熱するラジエータと、前記ラジエータに近接配置された消音器と、を備えた燃料電池システムにおいて、前記酸化剤流路上に、前記消音器の下流であって前記酸化剤ポンプの上流に水透過膜を用いた気化冷却式の酸化剤冷却器を備えることを特徴とする。
これによれば、消音器と酸化剤ポンプとの間の酸化剤流路に気化冷却式の酸化剤冷却器を配置することで、ラジエータの排熱を受けて高温となって消音器を通過した酸化剤ポンプの吸気の温度を下げることができるので、エアポンプの効率を向上できる。
このように、高温の酸化剤が酸化剤ポンプに導入されることがなくなり、ポンプの効率を向上できるので、高回転(高い回転速度)で酸化剤ポンプをまわす必要がなくなり、エネルギの消費を抑制できるとともに、酸化剤ポンプの作動により発生する音(騒音)や振動を抑制できる。しかも、小型の酸化剤ポンプを利用できるようになり、コストを低減した、コンパクトなシステムを構築できる。
また、前記燃料電池の排出流れ中の水を貯留する水貯留部を備え、前記水貯留部と前記酸化剤冷却器とは水の通流が可能となるように構成されていることを特徴とする。
これによれば、燃料電池から排出される水を水貯留部で貯留することで、燃料電池から排出される水(凝縮水)を利用して酸化剤を冷却することができるので、凝縮水を有効に利用することができ、また酸化剤冷却器に水を供給するための装置を別個に設ける必要がない。
また、前記水貯留部と前記酸化剤冷却器との間において水の通流を可能にする通流管を備え、前記通流管には、前記水貯留部に貯留された水を前記酸化剤冷却器に送る水ポンプが配置されていることを特徴とする。
これによれば、燃料電池から排出される凝縮水を酸化剤冷却器に圧送する差圧が発生しない場合のある燃料電池システムであっても、水ポンプを作動させることによって凝縮水を酸化剤冷却器に圧送することが可能になる。
本発明によれば、酸化剤ポンプの効率を向上できる燃料電池システムを提供できる。
第1実施形態に係る燃料電池システムを示す全体構成図である。 希釈器の内部構成の一例を示す縦断面図である。 酸化剤冷却器の内部構成の一例を示す模式図である。 第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムを示す構成図である。 第2実施形態に係る燃料電池システムを示す全体構成図である。 第3実施形態に係る燃料電池システムを示す全体構成図である。
以下、本発明の実施形態に係る燃料電池システムについて図面を参照して説明する。まず、図1ないし図3を参照して第1実施形態に係る燃料電池システムを説明する。なお、本実施形態の燃料電池システムは、特に四輪などの燃料電池車に適用されるものであるが、これに限定されるものではなく、ラジエータと消音器とが近接配置されて、ラジエータの排熱によって吸気が高温になる様々なシステムに適用できる。なお、以下では、燃料電池車を例に挙げて説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の燃料電池システム1Aは、燃料電池10、アノード系20、カソード系30を含んで構成されている。
燃料電池10は、例えば、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、MEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)を一対のセパレータ(図示せず)で挟持してなる単セルを厚み方向に複数積層し、各単セルを電気的に直列に接続した燃料電池スタックである。
MEAは、陽イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜(以下、電解質膜と略記する)をアノードとカソードとで挟んで構成されている。アノードおよびカソードは、例えば、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に塗布されて形成される電極触媒層である。
セパレータは、カーボンなどの導電性の金属材料で形成され、水素(燃料ガス)が通流するアノード流路11、空気(酸化剤)が通流するカソード流路12がそれぞれ形成されている。なお、燃料電池10を冷却する冷媒が通流する冷媒流路13が形成され、冷媒流路がラジエータと接続されるように構成されている。
このように構成された燃料電池10では、アノードに水素が供給され、カソードに空気中の酸素が供給されることにより、アノードおよびカソードに含まれる触媒上で電極反応が起こり、燃料電池10が発電可能な状態となる。
また、燃料電池10は、外部負荷と電気的に接続され、外部負荷によって電流が取り出されると、燃料電池10が発電するようになっている。なお、外部負荷とは、エアポンプ31、高圧バッテリ(図示せず)、走行モータ(図示せず)などである。
アノード系20は、燃料電池10のアノードに対して水素を給排するものであり、気液分離器21、ドレン弁22、パージ弁23を含んで構成されている。また、アノード系20は、図示しない高圧水素タンクから遮断弁および減圧弁を介して供給された水素が、アノード流路11の入口11aに対して配管a1を介して供給されるようになっている。アノード流路11の出口11bから排出された未反応の水素は、配管a2、気液分離器21、配管a3を介して配管a1に戻るようにして循環するように構成されている。図示していないが、水素を循環させる手段としては、エゼクタやポンプなどである。
気液分離器21は、燃料電池10のアノードから排出されたアノードオフガスに含まれる水分と未反応の水素とを分離する機能を有し、アノード流路11の出口11bから未反応の水素とともに排出される水分を貯留する貯留部を備えている。なお、アノードから排出される水分は、電解質膜を介してカソードからアノードに透過したものである。
気液分離器21は、例えば、該気液分離器21内の壁面に衝突して凝縮した水分が重力の作用によって空間内を落下して底部に形成された貯留部に貯留されるように構成されている。なお、ここでの水分とは、アノードオフガスの流れに同伴して燃料電池10から気液分離器21内に導入された凝縮水だけではなく、アノードの出口11bからアノードオフガスの流れに同伴して排出された水蒸気が、気液分離器21内の壁面などに接触することによって結露したものを意味している。
ドレン弁22は、気液分離器21の貯留部と配管a4を介して接続され、後記する希釈器35と配管a5を介して接続されるように構成されている。また、ドレン弁22は、燃料電池10の発電時において、図示しない制御部によって開弁されることにより、貯留部に貯留された凝縮水が、配管a4,a5を介して希釈器35に排出される。なお、ドレン弁22を開弁するタイミングは、気液分離器21内に水位センサを設けて判断してもよく、タイマを用いて定期的に開弁するようにしてもよい。
パージ弁23は、例えば発電時において水素循環流路(a1,a2,a3,11)に蓄積した不純物を車外(燃料電池システム1Aの外部)に排出する機能を備えている。また、パージ弁23は、配管a6を介して配管a3と接続され、配管a7を介して後記する希釈器35と接続されている。なお、パージ弁23は、図示しない制御部によって、水素循環流路内の水素濃度の低下(発電性能の低下)に応じて、またはタイマによって定期的に開閉制御される。
カソード系30は、燃料電池10のカソードに対して空気(酸素)を給排するものであり、エアポンプ(酸化剤ポンプ)31、酸化剤冷却器32、膜加湿器33、背圧弁34、希釈器35、熱交換器60、消音器80を含んで構成されている。消音器80は、最も上流側に位置し、配管b1、酸化剤冷却器32、配管b2、エアポンプ31、配管b3、熱交換器60、配管b4、膜加湿器33、配管b5を介してカソード流路12の入口12aと接続されている。カソード流路12の出口12bは、配管b6、膜加湿器33、配管b7、背圧弁34、配管b8、希釈器35、配管b9を介して車外と接続されている。なお、本実施形態に係る配管b1〜b9によって酸化剤流路が構成されている。
エアポンプ31は、例えば、モータ(図示せず)で駆動される機械式の過給器(スーパーチャージャ)であり、車外から取り込んだ空気を圧縮して燃料電池10のカソードに供給するように構成されている。
酸化剤冷却器32は、エアポンプ31から供給される高温の空気を冷却する機能を有し、気化熱を利用して空気(酸化剤)を冷却するように構成されている。なお、酸化剤冷却器32の詳細については後記する。
膜加湿器33は、エアポンプ31から供給される乾燥空気(酸化剤)を加湿するものであり、例えば、複数の中空糸膜(水分交換膜)が束ねられた中空糸膜束が収容されたケース(不図示)を有し、エアポンプ31からの乾燥空気の入口33aおよび出口33b、カソードオフガス(酸化剤オフガス)の入口33cおよび出口33dがそれぞれ形成されている。
膜加湿器33では、例えば、ケース内の中空糸膜の内側をエアポンプ31からの乾燥空気が通り、中空糸膜の外側を湿潤な空気を含むカソードオフガスが通ることで、中空糸膜に形成された細孔内にカソードオフガスに含まれる水蒸気が入り込む。そして、中空糸膜の細孔内を水蒸気が膜の外側から内側に移動することで、水蒸気が乾燥空気に渡されて乾燥空気が加湿される。なお、乾燥空気が中空糸膜の外側、カソードオフガスが中空糸膜の内側を通るようにしてもよい。
背圧弁34は、例えばバタフライ弁などの開度調節可能な弁で構成され、燃料電池10のカソードに供給される空気の圧力を調節する機能を有する。
希釈器35は、アノード流路11の出口11bから排出されたアノードオフガスに含まれる水素とカソード流路12の出口12bから排出されるカソードオフガスとを混合し、規定の水素濃度を下回るように希釈する機能を有している。希釈後のガスは配管b9を介して車外に排出される。
熱交換器60は、いわゆるインタークーラと称されるものであり、冷却液が通流するパイプや放熱用のフィンなどで構成されている。この熱交換器60は、例えば、燃料電池10を冷却する冷却液(エチレングリコール、水など)と冷媒を共有するものであり、燃料電池10およびラジエータ70を介して冷却液を循環させて、ラジエータ70とともに燃料電池システム1Aの冷却系を構成している。すなわち、熱交換器60の冷却液の出口60aは、配管d1を介してラジエータ70の冷却液の入口70aと接続されている。ラジエータ70の冷却液の出口70bは、配管d2を介して燃料電池10の冷媒流路13の入口13aと接続されている。冷媒流路13の出口13bは、配管d3を介して熱交換器60の冷却液の入口60bと接続されている。なお、図示していないが、燃料電池システム1Aは、ラジエータ70をバイパスするバイパス配管、およびバイパス配管とラジエータとの間での冷却液の温度に応じて冷却液の流量を調整する切替弁(例えば、サーモスタット弁)、冷却液を循環させる循環ポンプを備えている。
ラジエータ70は、冷却液が通流するパイプや放熱用のフィンなどで構成され、モータルーム内の前端部(例えば、車両に形成されたフロントグリルの背面近傍)に配置され、走行風、あるいはラジエータ70の背面側に設けられたラジエータファン(図示せず)による風(冷却風)を取り込めるように構成されている。なお、モータルーム内には、例えば、ラジエータ70の他に、車輪(前輪)を駆動させるための走行モータ(不図示)、走行モータ用のインバータ(不図示)、エアポンプ31、熱交換器60などが設けられている。
ラジエータ70での放熱により冷却された冷却液は、燃料電池10の冷媒流路13を通流することにより燃料電池10が冷却され、そして熱交換器60を通流することによりエアポンプ31から供給されるエアが冷却され、ラジエータ70に戻る。なお、図1では、燃料電池10と熱交換器60が、ラジエータ70と直列に接続されているが、燃料電池10と熱交換器60がそれぞれ、ラジエータ70に対して並列に接続されていてもよい。
消音器80は、いわゆるエアインテークサイレンサと称されるものであり、エアポンプ31の上流側に設けられ、エアポンプ31の作動時の吸気騒音を低減するものである。この消音器80は、モータルーム内において、ラジエータ70に近傍して配置されている。なお、ラジエータ70に近接して配置されるとは、消音器80が、モータルーム内に設けられたラジエータ70からの排熱の影響を受けることを意味している。例えば、消音器80は、ラジエータ70の後ろ側の上部に位置しているため、ラジエータ70を通過した排熱は、消音器80を加熱することになる。
図2に示すように、希釈器35は、例えば、箱型のケース35aを有し、該ケース35a内の底部に水貯留部35sが形成されるように構成されている。また、希釈器35は、該ケース35a内において複数の仕切板35bによって上部から下部に向けて蛇行路が形成され、該蛇行路の最下部に希釈後のガスが外部に排出されるとともに配管b9が接続される出口35cが形成されている。出口35cには、絞り部35dが形成されている。また、ケース35a内には、通流管c1が貫通して挿入され、通流管c1の上流端が水貯留部35s内に位置するように構成されている。なお、本実施形態では、希釈器35が水貯留部35sとして機能している。
すなわち、希釈器35は、ケース35a内の蛇行路の最上部から配管b8を介してカソードオフガスが導入され、配管a7を介して水素を含む不純物などが導入されることにより、水素とカソードオフガスとが蛇行路を通過する際に混合され、規定の水素濃度に水素が希釈される。
また、カソードオフガスが希釈器35内を通過すること、また希釈器35内の壁面に衝突、接触することによって放熱され、カソードオフガスの温度が低下することで、カソードオフガスに含まれる水蒸気が凝縮(結露)する。生成された凝縮水は、重力の作用によって希釈器35内の底部の水貯留部35sに流れ込み、貯留されるようになっている。なお、配管b8から凝縮水となって導入された水、また配管a5を介して導入されたドレン水(凝縮水)も、同様に、希釈器35内の底部の水貯留部35sに貯留される。
図3に示すように、酸化剤冷却器32は、貯水部32a、管部32b、膜部32c、オーバーフロー管c2などで構成されている。
貯水部32aは、希釈器35から通流管c1を介して導入される凝縮水が溜まる流路を有し、その上流端が通流管c1と接続され、下流端がオーバーフロー管c2と接続されている。
管部32bは、空気(乾燥ガス)が通流する流路を有し、上流端が配管b1と接続され、下流端が配管b2と接続されている。
膜部32cは、複数本の中空糸膜(水透過膜)32c1,32c1,・・・を有し、各中空糸膜32c1の両端部が貯水部32aに開口し、中空糸膜32c1の内側と貯水部32aとが連通するように構成されている。また、膜部32cは、中空糸膜32c1の両端部を除く部分が管部32b内に配置され、前記両端部がポッティング部材32dを介して貯水部32aと管部32bとの間が閉塞されている。
オーバーフロー管c2は、下流端が車外(大気)に開放しており、例えば貯水部32a内が満水になったときにオーバーフロー管c2を介して車外に水が排出されるようになっている。
なお、燃料電池システム1Aは、図示しない制御装置を備えており、図示しないイグニッションがオンにされると、エアポンプ31の駆動が開始されてカソードに向けて空気の供給が開始されるとともに、図示しない電磁作動式の水素遮断弁が開弁されてアノードに向けて水素の供給が開始される。また、制御装置は、エアポンプ31のモータの回転速度、背圧弁34の弁開度、ドレン弁22およびパージ弁23の開閉を制御する。
次に、第1実施形態に係る燃料電池システム1Aの動作について説明する。運転者によって燃料電池車のイグニッションがオンにされると、図示しない制御装置は、高圧バッテリ(不図示)に蓄積された電力を利用して、エアポンプ31の作動を開始して消音器80に形成された空気取入れ口80aから外気(空気)を導入して、燃料電池10のカソード流路12に供給し、図示しない水素遮断弁を開弁して、水素をアノード流路11に供給する。そして、燃料電池10の電圧(開放端電圧)が所定値に到達したことが制御部によって検知されると、走行モータ(図示せず)、エアポンプ31などの外部負荷との接続が開始され、発電が開始される。
そして、燃料電池10の発電時において、カソード流路12の出口12bから排出されたカソードオフガス(水蒸気など)は、膜加湿器33および背圧弁34を通って希釈器35内に導入される。カソードオフガスが希釈器35内を通流することにより、カソードオフガスが放熱することで、カソードオフガスに含まれる水蒸気が凝縮して、凝縮水が希釈器35内の底部に形成された水貯留部35sに貯留される。水貯留部35sに貯留された凝縮水は、希釈器35内の圧力P1(図2参照)と、オーバーフロー管c2に連通する大気の圧力P2(図2参照)との差圧、すなわち圧力P1が圧力P2よりも高く設定されることによって、通流管c1を介して酸化剤冷却器32に圧送される。
一方、エアポンプ31の吸引力によって空気取入れ口80aから吸引された外気(空気)は、消音器80内を通過するが、この際、モータルーム内のラジエータ70と消音器80のレイアウト上の関係によって、消音器80がラジエータ70の排熱によって加熱される(図1参照)。このため、消音器80内を通過する空気が加熱されることになる。このとき、エアポンプ31の上流側の空気の吸い込み温度は、エアポンプ31の空気取入れ口80aにおける空気の温度(吸気温度)に比べてかなり上昇することになる。
そこで、本実施形態に係る燃料電池システム1Aは、消音器80の下流、かつ、エアポンプ31の上流に酸化剤冷却器32を配置する構成としたものである。ここで、希釈器35から酸化剤冷却器32に送られた凝縮水は、貯水部32aに導入されて、中空糸膜32c1の毛管現象によって各中空糸膜32c1の内側を通流する。エアポンプ31によって吸気された空気が管部32b内の中空糸膜32c1と中空糸膜32c1との間を通過する際、凝縮水が中空糸膜32c1を介して空気の熱によって蒸発(気化)する。換言すると、気化熱によって空気の温度を低下させることができる。よって、空気は、ラジエータ70の排熱の影響を受けた消音器80を通過することで高温となるが、酸化剤冷却器32を通過することで、エアポンプ31に導入される空気の吸気温度を下げることができる。
このように第1実施形態に係る燃料電池システム1Aによれば、消音器80の下流、かつ、エアポンプ31の上流に酸化剤冷却器32を設けることで、酸化剤冷却器32に圧送された凝縮水が中空糸膜32c1を介して蒸発する際に気化熱によってエアポンプ31の空気の吸込み温度を下げることができるので、エアポンプ31の効率を向上させることができる。このようにエアポンプ31の効率向上により、以下に示す効果を得ることができる。すなわち、第1の効果として、エアポンプ31を高い回転速度で作動させる必要がなくなるので、エネルギ消費を抑制できるとともに発生音(騒音)や振動を抑制できる。第2の効果として、より小型のエアポンプ31を利用可能となるので、コストを低減した、かつ、コンパクトな燃料電池システム1Aを構築できる。
また、第1実施形態によれば、エアポンプ31に導入される空気の温度を下げることができるので、エアポンプ31の下流に設けられた熱交換器60のサイズ小型化も可能になる。
また、第1実施形態によれば、希釈器35内に水貯留部35sを備えて、水貯留部35sと酸化剤冷却器32とを通流管c1にて接続することで、水貯留部35sに貯留された凝縮水を、通流管c1を介して酸化剤冷却器32に圧送することが可能になる。また、希釈器35内を水貯留部35sとして利用することで、水貯留部35sを別個に設ける必要がないので、燃料電池システム1Aを簡便化、小型化することが可能になる。
(第1実施形態の変形例)
図4は第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムを示す構成図である。この燃料電池システム1Bは、燃料電池システム1Aから通流管c1を削除して、希釈器35と酸化剤冷却器32とを隣接して構成したものである。なお、その他の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する(以下に示す他の実施形態についても同様である)。
図4に示すように、第1実施形態の変形例に係る燃料電池システム1Bは、例えば、希釈器35が酸化剤冷却器32の上部に接して配置され、希釈器35内に形成された水貯留部35s(図2参照)の凝縮水の出口35b1と、酸化剤冷却器32の凝縮水の入口32a1とが鉛直方向または略鉛直方向において連通するように構成されている。これにより、希釈器35の水貯留部35sに溜まった凝縮水は、重力の作用によって酸化剤冷却器32の貯水部32a(図3参照)に導入される。
第1実施形態の変形例に係る燃料電池システム1Bによれば、通流管c1を削除した構成とすることで、システムのさらなる簡便化が可能となる。さらに、通流管c1のレイアウトを考慮する必要がなく、しかも後記するような圧送するための水ポンプ40を設ける必要もない。
(第2実施形態)
図5は第2実施形態に係る燃料電池システムを示す全体構成図である。この燃料電池システム1Cは、第1実施形態に係る燃料電池システム1Aの通流管c1に水ポンプ40を追加した構成である。
図5に示すように、燃料電池システム1Cは、通流管c1の途中に水ポンプ40を備えている。この水ポンプ40は、例えば、モータで駆動されるものであり、希釈器35から酸化剤冷却器32までの間において差圧が発生しない領域に配置され、差圧が発生する領域まで送られた凝縮水を吸引して、酸化剤冷却器32に強制的に送る機能を有している。
また、水ポンプ40は、図示しない制御装置と電気的に接続されており、燃料電池10の発電中、または適宜必要に応じて(例えば、貯水部32aの水量が不足したとき)駆動される。
第2実施形態の燃料電池システム1Cによれば、水ポンプ40を設けることで、凝縮水を酸化剤冷却器32に圧送するための差圧が発生しなくなる場合であっても、希釈器35内の凝縮水を酸化剤冷却器32に確実に送ることができるようになる。また、第2実施形態では、差圧が発生しなくなる領域に配置することで、無駄に大型で消費電力の大きな水ポンプを使用しなくてもよい。また、第2実施形態では、水ポンプ40を使用することにより、差圧を発生させるために希釈器35を複雑な構成にする必要もない。
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係る燃料電池システムを示す全体構成図である。第3実施形態の燃料電池システム1Dは、水貯留部を設ける位置を希釈器35に替えてマフラ50としたものである。
マフラ50は、燃料電池システム1Dの外部に排出される排気ガスの音を小さくするためのものであり、希釈器35の下流に設けられている。マフラ50は、例えば、配管b9よりも膨張した空間を備える膨張部50aを有し、該膨張部50a内の底部に水貯留部50sが形成されている。なお、膨張部50aは、消音性を発揮するために、その内部が複数の隔壁によって区画され、またグラスウールなどの吸音材を備えて構成されている。
また、マフラ50には、水貯留部50sと連通する通流管c3の上流端が接続され、通流管c3の下流端が酸化剤冷却器32の貯水部32aに接続されている。
第3実施形態の燃料電池システム1Dによれば、第1実施形態において希釈器35に水貯留部35sを設けた場合と同様な効果を得ることができる。また、マフラ50内に水貯留部50sを設けることで、専用の水貯留部を別個に設ける必要がなく、システムを簡便化、小型化できる。
本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、第3実施形態において、通流管c3で差圧が発生しない領域に水ポンプ40を配置して圧送するようにしてもよい。
また、各実施形態では、熱交換器60を搭載した場合を例に挙げて説明したが、酸化剤冷却器32のみによって燃料電池10のカソードに供給される空気の温度を適切に管理できるものであれば、熱交換器60を非搭載としてもよい。
また、第3実施形態において、マフラ50と酸化剤冷却器32とを通流管c3を介することなく隣接して配置、すなわち、酸化剤冷却器32の上部にマフラ50を隣接して配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、希釈器35に水貯留部35sを設けた場合、またマフラ50に水貯留部50sを設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、専用の水貯留部を、カソード流路12の出口12bより下流側の酸化剤流路に設ける構成であってもよい。
1A〜1D 燃料電池システム
10 燃料電池
31 エアポンプ(酸化剤ポンプ)
32 酸化剤冷却器
32a 貯水部
32b 管部
32c 膜部
32c1 中空糸膜(水透過膜)
32d ポッティング部材
33 膜加湿器
35 希釈器
35s 水貯留部
40 水ポンプ
50 マフラ
50s 水貯留部
60 熱交換器
70 ラジエータ
80 消音器
b1〜b9 配管(酸化剤流路)
c1,c3 通流管
c2 オーバーフロー管

Claims (3)

  1. 燃料電池と、
    前記燃料電池のカソードに供給される酸化剤が通流する酸化剤流路と、
    前記燃料電池のカソードに酸化剤を供給する酸化剤ポンプと、
    前記燃料電池を冷却する冷却液を通流させて放熱するラジエータと、
    前記ラジエータに近接配置された消音器と、
    を備えた燃料電池システムにおいて、
    前記酸化剤流路上に、前記消音器の下流であって前記酸化剤ポンプの上流に水透過膜を用いた気化冷却式の酸化剤冷却器を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の排出流れ中の水を貯留する水貯留部を備え、
    前記水貯留部と前記酸化剤冷却器とは水の通流が可能となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記水貯留部と前記酸化剤冷却器との間において水の通流を可能にする通流管を備え、
    前記通流管には、前記水貯留部に貯留された水を前記酸化剤冷却器に送る水ポンプが配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
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