JP2010129482A - 燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】アノードガス流路内の加湿を行うに好適な燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池用セパレータ13のアノードガス出口マニホールド16を形成する貫通孔を当該セパレータ13の面方向に拡張させて形成され、前記アノードガス流路15の出口から排出される生成水を貯留する水溜り部50を備える。カソード側より浸透してきた生成水の気化により加湿されたアノードガスがアノードガス出口マニホールド16を通過する際に、アノードガス出口マニホールド16の周囲に凝縮水が付着し、水溜り部50内に凝縮した液水が溜まることになる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システムに関し、特に、発電に伴う生成水などの燃料電池内部の水を利用して電解質膜の加湿を行うに好適な燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システムに関するものである。
従来から発電に伴う生成水などの燃料電池内部の水を利用して電解質膜の加湿を行う燃料電池システムが提案されている(特許文献1参照)。
これは、反応ガスの加湿手段として、電解質膜(MEA)の触媒層を備える反応エリア(アクティブエリア)の外側に触媒層を持たない電解質膜のみからなる部位(加湿エリア)を設け、一方のガス流路出口の水を、電解質膜を介して他方のガス流路入り口に移動させることでガスを加湿するようにしている。
特開2008−97891号公報
しかしながら、上記従来例では、低負荷運転時にカソードガスの出口側の相対湿度が極めて低下しているため、MEAのアクティブエリアの外側に加湿エリアを設けたとしてもアノードガスの下流側セル内部での加湿能力が低下しているので、アノードガス流路内を十分に加湿できない。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、アノードガス流路内の加湿を行うに好適な燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、燃料電池用セパレータのアノードガス出口マニホールドを形成する貫通孔を当該セパレータの面方向に拡張させて形成され、前記アノードガス流路の出口から排出される生成水を貯留する水溜り部を備えることを特徴とする。
したがって、本発明では、セパレータのアノードガス出口マニホールドは温度が高く、アノードガス流路の出口に近く、水溜り部の液水を水蒸気濃度差を駆動力としてアノードガス流路内に気化させることができる。したがって、アノードガス流路の出口側からアノード流路内の加湿を促進することができる。
以下、本発明の燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック及び燃料電池システムを各実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用した燃料電池システムの第1実施形態を示す構成図である。図1において、燃料電池システムは、燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に電気化学反応に供される反応ガスとしての燃料ガス(水素ガス)を供給する燃料ガス供給手段2と、燃料電池スタック1に電気化学反応に供される反応ガスとしての酸化ガス(空気)を供給する酸化ガス供給手段3と、燃料電池スタック1を冷却する冷却媒体(水、エチレングリコール等の不凍水、空気等。以下では、冷却媒体に冷却水を用いる場合について説明する。)を供給する冷却媒体供給手段4と、これらを制御する制御装置5と、を備える。
前記燃料ガス供給手段2は、燃料電池スタック1の積層方向に配置された後述するアノードガス入口マニホールド14(図2参照)を経由して各燃料電池セルのアノードに、高圧水素を貯蔵した水素タンク21から、供給配管22を介して水素を供給する。水素タンク21の代わりに、アルコール、炭化水素などを原料とする改質反応によって水素を生成してもよい。供給配管22には、水素の供給を調整するため、調圧弁23が配置されている。また、燃料電池スタック1の積層方向に配置された後述するアノードガス出口マニホールド16(図2参照)を経由して、アノードから排出される燃料ガスを、外部へ排出する排ガスライン24を備え、排ガスライン24には排ガスパージ弁25が配置されている。
前記酸化ガス供給手段3は、燃料電池スタック1の積層方向に配置された後述するカソードガス入口マニホールド17(図2参照)を経由して各燃料電池セルのカソードに、コンプレッサ31から配管32を介して酸化ガスとしての空気を供給する。また、燃料電池スタック1の積層方向に配置された後述するカソードガス出口マニホールド19(図2参照)を経由して、カソードから排出される酸化ガスを、排出配管33を介して大気中に放出する。排出配管33には酸化ガス供給経路における各内圧を調整するための背圧調整弁34が配置されている。
前記冷却媒体供給手段4は、燃料電池スタック1の積層方向に配置された後述する冷却水入口マニホールド43(図2参照)を経由して各燃料電池セル間に配置された冷却水流路に、冷却水を供給する。また、燃料電池スタック1の積層方向に配置された後述する冷却水出口マニホールド44(図2参照)を経由して各燃料電池セル間に配置された冷却水流路から排出される冷却水を、図示しないラジエータに戻し、再び燃料電池スタック1へ循環させる。
前記燃料電池スタック1は、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池モジュール10を図示しないインシュレータ及びターミナルを挟んで、一対のエンドプレート11により挟持される。一対のエンドプレート11は、図示しないテンション手段等によりセル積層方向に所定の力で燃料電池モジュール10を圧縮挟持する構成を備える。
前記燃料電池セルは、図2に示すように、セル構成体12を一対のセパレータ13(a),13(b)により、図示しない環状のシールを介在させて、積層して構成している。図中の(A)に示すセパレータ13(a)及び(B)に示すセル構成体12は上下方向が鉛直方向となる図示状態で、セパレータ13(a)上にセル構成体12が積層されるものであり、(C)に示すセパレータ13(b)は鉛直方向となる上下方向を反転した状態で図示しており、図中の表示されている面が図示のセル構成体12に対面させて積層されるものである。
前記セル構成体12は、MEA(Membrane−Electrode Assembly)と、MEAの反応エリアの両面に、例えばカーボン製の多孔質部材である一対のガス拡散層Gを夫々積層して構成される。前記MEAは、固体高分子材料、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸を備えるフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す電解質膜12Aと、電解質膜12Aの反応エリアの夫々の面にアノードおよびカソードを構成するよう、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、あるいは白金と他の金属から成る合金を備えている一対の電極触媒層を接合して形成している。
前記セパレータ13は、積層方向から見た外郭形状が同じに形成され、導電性材料による薄板状部材で形成されている。そして、セパレータ13は、セル構成体12を両面から挟むように配置されて、一方の面のみがセル構成体12に接触するカソード側セパレータ13(a)及びアノード側セパレータ13(b)と、から構成される。
前記アノード側セパレータ13(a)は、一方の面であるセル構成体12の反応エリアに接触する部位に、後述するアノード入口内部マニホールド14からアノード出口内部マニホールド16に到る多数のアノードガス流路15を備える。前記カソード側セパレータ13(b)は、一方の面であるセル構成体12の反応エリアに接触する部位に、後述するカソード入口内部マニホールド17からカソード出口内部マニホールド19に到る多数のカソードガス流路18を備える。前記セパレータ13のアノードガス入口マニホールド14及びアノードガス出口マニホールド16とアノードガス流路15との間、及び、カソードガス入口マニホールド17及びカソードガス出口マニホールド19とカソードガス流路18との間には、夫々ガス拡散領域15A,15Bが配置される。
また、前記カソード側セパレータ13(b)及びアノード側セパレータ13(a)は、背面同士が接触され、接触するいずれか一方の面若しくは両方の面に後述する冷却水入口マニホールド43から冷却水出口マニホールド44に到る、図3に示すように、多数の冷却水流路を備える。
前記セル構成体12及びセパレータ13には、前記セル構成体12の反応エリアに対する両側のエリアにおいて、(燃料ガス用および酸化ガス用)ガス流路15,18および冷却水流路の入口および出口に夫々独立して連通するマニホールド形成用の貫通穴が積層方向に沿って形成されている。図示例では、図中左側領域においては、カソードガス入口マニホールド17、冷却水入口マニホールド43、アノードガス出口マニホールド16が鉛直方向となる上方から下方に向かってこの順に配列されて形成されている。また、図中右側領域においては、アノードガス入口マニホールド14、冷却水出口マニホールド44、カソードガス出口マニホールド19が鉛直方向の上方から下方に向かってこの順に配列されて形成されている。
カソードガス入口マニホールド17とアノードガス出口マニホールド16とが同じ領域側(図中左側領域)に配置され、また、カソードガス出口マニホールド19とアノードガス入口マニホールド14とが同じ領域側(図中右側領域)に配置されているため、アノードガス流路15を流れるアノードガスとカソードガス流路18を流れるカソードガスとはセル構成体12を挟んで互いに逆方向に流れる。そして、アノードガス流路15の出口とカソードガス流路18の入口とがセル構成体12の電解質膜12Aを挟んで対面し、アノードガス流路15の入口とカソードガス流路18の出口とがセル構成体12の電解質膜12Aを挟んで対面している。
前記セパレータ13(13(a),13(b))に形成されるアノードガス出口マニホールド16は、セル構成体12の反応エリアの鉛直方向の下側よりも更に下方領域に容積が拡大されて、隣接するセル構成体12の電解質膜12Aにより仕切られて溝に形成される。この拡大されたアノードガス出口マニホールド16の溝は、アノードガス流路15の出口から排出される生成水を溜める水溜り部50を構成する。即ち、前記水溜り部50は、アノードガス出口マニホールド16において、積層方向において、電解質膜12Aにより夫々仕切られて、セパレータ13毎、即ち、燃料電池セル毎に形成される。
前記制御装置5は、燃料ガス供給手段2の水素調圧弁23を開放することにより、水素タンク21の水素を燃料電池スタック1のアノードガス入口マニホールド14に供給する。アノードガス入口マニホールド14に供給された水素は、セパレータ13のアノードガス流路15を経由してアノードガス出口マニホールド16に向かって流れ、アノードガス出口マニホールド16に充満された段階で排ガスライン24の排ガスパージ弁25が閉じられる。水素ガスはセル構成体12の一方の面における反応エリアのガス拡散層、触媒層に供給される。
そして、水素タンク21の水素を、調圧弁23を介して燃料電池スタック1内に供給した段階で、調圧弁23を閉じ、燃料電池スタック1内のアノードガス入口マニホールド14−アノードガス流路15−アノードガス出口マニホールド16系統の水素が電池反応により消費させ、圧力低下を発生させる。この内圧低下に伴ってアノードガス出口マニホールド16内のアノードガスがアノードガス流路15に向かって逆流する現象を生ずる。圧力が所定以下に低下した段階で、再び調圧弁23を開いて、アノードガスがアノードガス入口マニホールド14−アノードガス流路15−アノードガス出口マニホールド16と断続的にアノードガスを供給するようにする。このような燃料ガス供給手段2を備える燃料電池システムは、アノードガスデッドエンド型の燃料電池システムを構成している。
なお、水素タンク21の水素を、調圧弁23を介して燃料電池スタック1内に供給しつつ、排ガスパージ弁25を開いて排ガスライン24から排出させることで、連続的に燃料電池スタック1に供給するようにしてもよい。
また、前記制御装置5は、酸化ガス供給手段3のコンプレッサ31を作動させることにより、空気を燃料電池スタック1のカソードガス入口マニホールド17に供給する。カソードガス入口マニホールド17に供給された空気は、セパレータ13のカソードガス流路18を経由してカソードガス出口マニホールド19に向かって流れる。この過程で酸化ガスはセル構成体12の他方の面における反応エリアのガス拡散層、触媒層に供給される。また、背圧調整弁34を制御することにより、酸化ガス供給経路における各内圧を調整する。
また、前記制御装置5は、冷却媒体供給手段4の図示しない冷却水循環ポンプを作動させることにより、冷却水を燃料電池スタック1の冷却水入口マニホールド43に供給する。冷却水入口マニホールド43に供給された冷却水は、セパレータ13の冷却水流路を経由して冷却水出口マニホールド44に向かって流れる。この過程で冷却水は反応エリアの温度を調節する。
セル構成体12の反応エリアに空気と水素が供給されることにより、セル構成体12の電解質膜12Aを介した電気化学的反応が生じ、発電が行われる。発電に伴い、空気と水素の反応の結果、カソードガス流路18で水が生成する。カソードガス流路18の空気はこの生成水を含みながら流れるため、カソードガス流路18の出口側の空気は相対的に湿度が高くなる。そのため、カソードガス流路18には、その出口側ほど、多くの水が存在する傾向になる。
ところで、カソードガス流路18の下流側では相対湿度が高くなり、カソード側とアノード側の相対湿度差をドライビングフォースとして、電解質膜12A中を生成水が逆拡散し、アノードガス流路15の上流側を加湿する。そして、アノードガス流路15の水蒸気はアノード下流側に運ばれてカソード上流の電解質膜12Aを加湿するよう機能する。このように、アノード・カソード・カウンタフローで互いの極を加湿する技術はかなり以前から公知である。
この公知の技術によれば、水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)で燃料電池システムを運転した場合には、ガス流量が比較的多く、ガス圧力を上げることができるため、上記アノード・カソード・カウンタフローの機能が充分に発揮されて、カソードガス(出口側)の相対湿度を高く維持することができる。このため、カソードガス流路18出口の水を、電解質膜12Aを介してアノードガス流路15入口に移動させてアノードガスを加湿することができる。したがって、最も乾燥しやすいカソードガス流路18の上流領域(アノードガス流路15の下流領域)で電解質膜12Aの湿潤状態を維持することができる。
しかしながら、水収支が乾燥(ドライ)側の条件(低負荷状態)で燃料電池システムを運転した場合には、ガス圧力を上げることができない(流量が少ないので、コンプレッサ31の特性上からその圧力を上げられない)ため、カソードガス流路18の下流側での相対湿度が低くなる。このため、カソードガス流路18出口側から電解質膜12Aを介してアノードガス流路15入口に水を移動させてアノードガスを加湿することが難しくなる。したがって、アノードガス流路15の出口側(カソードガス流路18の上流側)が乾燥(ドライ)のままとなり、比較的に乾燥(ドライ)したカソードガスが供給される上流領域(アノードガス流路15の下流領域)の電解質膜12A及び触媒層が乾燥してしまい、発電が行われなくなる。
カソードガス流路18の上流領域(アノードガス流路15の下流領域)での発電が行われなくなると、残る領域で負荷相当分の発電が行われるようになる。しばらく時間が経過すると、次には上記した上流領域(アノードガス流路15の下流領域)に隣接する領域が乾燥し、その領域で発電が行われなくなる。このような現象が連鎖的に発生し、条件によっては、最終的にカソードガス流路18の下流領域(アノードガス流路15の上流領域)のみが発電するような状態になり、セル電圧が低下する。
これに対し、本実施形態では、水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)での燃料電池システムを運転した時に生ずるアノードガス流路15の水蒸気が、アノード下流側に運ばれてアノードガス出口マニホールド16に排出され、アノードガス出口マニホールド16に隣接する冷却水入口マニホールド43の冷却水により冷却され、凝縮されて、アノードガス出口マニホールド16のセパレータ13により形成した溝による水溜り部50に凝縮水として溜められる。アノード出口内部マニホールド16内の凝縮水は温度が高いので、アノード出口内部マニホールド16内の水蒸気分圧が高く保持できる。その結果、もっとも乾燥(ドライ)状態になり易いアノードガス流路15の下流部(カソードガス流路18の上流部)を水蒸気の拡散により加湿することができる。
このため、水収支が乾燥(ドライ)側の条件(低負荷状態)で燃料電池システムを運転した場合にも、最も乾燥(ドライ)状態になり易いアノードガス流路15の下流部(カソードガス流路18の上流部)を水蒸気の拡散により加湿することができる。結果として、アノードガス流路15を出口側から加湿することにより、公知の技術で説明したような乾燥領域が上流から中流に進行していく連鎖が起きなくなり、安定して発電を継続することができる。
また、図1に示すアノードガスデッドエンド型の燃料電池システムでは、燃料電池スタック1内のアノードガス入口マニホールド14−アノードガス流路15−アノードガス出口マニホールド16系統に閉じこめた水素が電池反応により消費されて、内圧低下する段階で、アノードガス出口マニホールド16内のアノードガスがアノードガス流路15に向かって逆流する現象を生ずる。このアノードガスの逆流に伴ってアノードガス出口マニホールド16内に気化蒸発した水蒸気をアノードガス流路15に供給でき、簡単な構成で有効に加湿効果を発揮させることができる。
上記したアノードガス出口マニホールド16のセパレータ13の溝により形成した水溜り部50は、下方に拡大された空間のみにより形成されているものについて説明しているが、この溝に吸水機能を備えた多孔質材を挿入配置するようにすることもできる。このように多孔質材を挿入配置した場合には、水溜り部50内に溜まる凝縮水を吸水して流出しないように保持することができる。このため、水平方向にセパレータ13とセル構成体12とを積層して構成した燃料電池スタック1の場合は、上記したように溝内を水溜り部50に形成できることは当然であるが、鉛直方向にセパレータ13とセル構成体12とを積層して構成した燃料電池スタック1においても、溝内に多孔質材により凝縮水を各セルごとに溜められる水溜り部50を形成できる。このため、燃料電池の配置的な自由度を確保しつつ、各セル毎に均一に加湿効果を得られるという利点も存在する。
上記した燃料電池スタック1を、燃料電池スタック1から排出される排水素を供給配管22に戻すようにした、図4に示す燃料電池システムに適用する場合には、更に一層加湿効果を得られる。即ち、図4に示す燃料電池システムでは、水素循環ブロア27を備える水素循環ライン26を形成し、アノードからアノードガス出口マニホールド16を経由して排出される燃料ガスを水素循環ライン26、エゼクタ28を介して供給配管22に戻すようにしている。
このような燃料電池システムに本実施形態の燃料電池スタック1を適用した場合には、アノードガス出口マニホールド16内にから流出する水素循環ライン26の水素ガスも加湿できるので、アノードガス入口マニホールド14から供給される水蒸気量も多くなり、電解質膜12Aの湿潤状態を改善することができる。このため、公知の技術で説明したような乾燥領域が上流から中流に進行していく連鎖が起きなくなり、安定して発電を継続することができる。
前記した液水の気化による加湿効果は、アノードガス排出口側からアノードガス供給側に向かって(通常とは逆方向に)のガス流れを起こさせるような燃料電池システムでは、気化した水蒸気がアノードガス供給側に向かってのガス流れに運ばれて反応エリアに到達しやすくなるため、より大きい加湿効果が期待できる。即ち、図5はアノードガスの流れを逆方向に流すことも可能な燃料電池システムを示すものである。この燃料電池システムにおいては、図1に示す燃料電池システムに対して、水素タンク21から分岐させて燃料電池スタック1のアノードガス出口マニホールド16側に燃料ガスを供給する逆方向供給ライン29が追加され、逆方向供給ライン29には逆方向供給弁29Aが配置されている。
この燃料電池システムにおいては、逆方向供給弁29Aを閉じた状態で調圧弁23を開放した場合には、供給した水素はアノードガス入口マニホールド14からアノードガス流路15を経由してアノードガス出口マニホールド16に流れる。アノードガス流路15からアノードガス出口マニホールド16に流れるアノードガスに含まれる水蒸気は、アノードガス出口マニホールド16のセパレータ13で構成された溝による水溜り部50に凝縮水として溜まり、また、アノードガス出口マニホールド16内に水蒸気として気化する。所定時間の経過後に、調圧弁23を閉じると燃料電池スタック1内のアノードガス入口マニホールド14−アノードガス流路15−アノードガス出口マニホールド16系統の水素が電池反応により消費され、圧力低下が発生する。圧力が所定以下に低下した段階で、逆方向供給弁29Aを開くと、アノードガスがアノードガス出口マニホールド16に流入し、アノードガス流路15を経由してアノードガス入口マニホールド14に流れる。その際に、アノードガス出口マニホールド16内の気化した水蒸気がアノードガス流路15に流れ、反応エリアに到達しやすくなるため、より大きい加湿効果が期待できる。以上の順方向供給−供給停止−逆方向供給−供給停止−順方向供給・・と繰り返し実行することにより、前記加湿効果を増加させることができる。
図6に示す燃料電池用セパレータ13の実施例においては、アノードガス出口マニホールド16がセパレータ13の長手方向一方の領域の中央部分に配置され、アノードガス出口マニホールド16の鉛直方向下方に容積が拡大されて、隣接するセル構成体12の電解質膜12Aにより仕切られて溝に形成されている。この拡大されたアノードガス出口マニホールド16は、アノードガス流路15の出口から排出される水蒸気が凝縮されて生ずる凝縮水を溜める水溜り部50に構成される。前記溝は、アノード側セパレータ13a)とカソード側セパレータ13(b)の両方のセパレータ13に形成することが、水溜り部50の容積を拡大するために望ましい。即ち、前記水溜り部50は、アノードガス出口マニホールド16において、積層方向において、電解質膜12Aにより夫々仕切られて、セパレータ13毎、即ち、燃料電池セル毎に形成される。前記アノードガス出口マニホールド16及びその水溜り部50は、隣接して配置される冷却水入口マニホールド43を、上方及び側方から取囲むように配置されている。
アノードガス出口マニホールド16と冷却水入口マニホールド43がこのような配置となる場合は、温度の低い冷却水によりアノードガス出口マニホールド16が冷却され、アノードガスに含まれる水蒸気がより凝縮し易くなり、水溜り部50に凝縮水が溜まる作用が促進され、凝縮水の気化による加湿の効果が得られる時間の増加を期待できる。即ち、発電反応による生成水が多い高負荷発電時に水溜り部50に凝縮水を溜め、低負荷時には逆に気化をさせて加湿効果を得ることができる。
即ち、高負荷発電の時ほど、燃料電池自体の発熱により温度が高く、かつ冷却水の入口温度とアノードガスの出口温度との間には、大きい温度差がある。このため、アノードガスも温度が高くなることから、アノードガスに含まれる水蒸気量も多く、アノードガス出口マニホールド16でアノードガスを少しでも冷却できれば、多くの水蒸気を凝縮させることができる。凝縮した凝縮水は、アノードガス出口マニホールド16の水溜り部50に溜る。
一方、低負荷発電時に一度溜めた水溜り部50内の凝縮水を再び気化させたい場合は、燃料電池自体の発熱量も小さく、温度も高負荷時よりは下がり、冷却水の入口出口の温度差が小さくなる。つまり、冷却水がアノードガス出口マニホールド16の近傍にあっても、凝縮水の気化を妨げるほどの冷却作用はなく、凝縮水の気化による加湿の効果が得られる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)燃料電池用セパレータ13のアノードガス出口マニホールド16を形成する貫通孔を当該セパレータ13の面方向に拡張させて形成され、前記アノードガス流路15の出口から排出される生成水を貯留する水溜り部50を備えるため、カソード側より浸透してきた生成水の気化により加湿されたアノードガスがアノードガス出口マニホールド16を通過する際に、アノードガス出口マニホールド16の周囲に凝縮水が付着し、水溜り部50内に凝縮した液水が溜まることになる。高負荷発電時ほど各セル間の水溜り部50に液水を溜めることができる。このため、低負荷で発電する場合の高負荷時に比べればガス量が少なく、アノードガス排出側ではガスの対流がほとんどないような状態においても、セパレータ13のアノードガス出口マニホールド16は温度が高くアノードガス流路15の出口に近く、アノードガス出口マニホールド16の水溜り部50に液水が存在するため、水蒸気濃度差を駆動力としてアノードガス中に液水を気化させることができる。この気化された水蒸気は、アノードガス流路15の出口側から相対湿度の低下を抑制して加湿することができる。そして、この加湿効果がアノードガス流路15の出口側の反応エリア(発電面)まで到達し、燃料電池の電解質膜12Aの乾燥を抑制し、同時に発電性能の低下も抑制することができる。
(イ)アノードガス出口マニホールド16は、冷媒入口マニホールド43に隣接させて配置されるため、温度の低い冷却水によりアノードガス出口マニホールド16が冷却され、アノードガスに含まれる水蒸気がより凝縮し易くなり、溝に凝縮水が溜まる作用が促進され、凝縮水の気化による加湿の効果が得られる時間の増大が期待できる。また、高負荷発電の時ほど燃料電池自体の発熱により温度が高く、かつ冷却水の入口出口の温度差が付いている。このため、アノードガスも温度が高くなることからアノードガスに含まれる水蒸気量も多く、アノードガス出口マニホールド16でアノードガスを少しでも冷却できれば多くの水蒸気を凝縮させることができる。
(ウ)前記セパレータ13は、電解質膜12Aの夫々の面に触媒層及びガス拡散層を積層してアノードおよびカソードとなる反応エリアを構成するセル構成体12の一方の反応エリアに、アノードガス流路15を対面させて積層され、前記セル構成体12の他方の反応エリアに、カソードガス流路18を対面させて積層されるセパレータ13とにより燃料電池セルを構成し、前記燃料電池セルを複数積層して燃料電池スタック1を構成したため、アノード内を効率的に加湿でき、発電効率を維持できる。
(エ)前記燃料電池スタック1のアノード側経路の終端部分としてアノードガス出口マニホールド16の下流側を閉じて構成し、導入したアノードガスをアノードガス入口マニホールド14、アノードガス流路15、アノードガス出口マニホールド16からなる閉じた空間に充満させた状態で運転され、発電反応により前記空間内のアノードガスが消費された段階で再びアノードガスを供給するアノードガスデッドエンド型の燃料電池システムとすることができる。この場合には、燃料電池スタック1内のアノードガス入口マニホールド14−アノードガス流路15−アノードガス出口マニホールド16系統に閉じこめられた水素が電池反応により消費されて内圧低下するに伴って、アノードガス出口マニホールド16内のアノードガスがアノードガス流路15に向かって逆流する現象を生ずる。このアノードガスの逆流に伴ってアノードガス出口マニホールド16内に気化蒸発した水蒸気をアノードガス流路15に供給でき、簡単な構成で有効に加湿効果を発揮させることができる。
(第2実施形態)
図7〜図10は、本発明を適用した燃料電池用セパレータの第2実施形態を示し、図7及び図8は第1実施例の燃料電池用セパレータの平面図、図9及び図10は第2実施例の燃料電池用セパレータの平面図である。本実施形態においては、アノードガス出口マニホールドのセパレータ毎に設ける水溜り部をアノードガス流路の上流側と連結する延長部を備える構成を第1実施形態に追加したものである。なお、第1実施形態と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図7に示す第1実施例の燃料電池用セパレータ13では、アノードガス出口マニホールド16のセパレータ13毎に設ける水溜り部50をアノードガス流路15の下側領域まで延長させた貫通孔60を形成し、貫通孔60の先端部分とアノードガス流路15とを複数の小孔61により連通させる延長部51を形成している。前記貫通孔60は、アノードガス出口マニホールド16及び溝で構成する水溜り部50と同様に、セパレータ13(13(a),13(b))を構成するプレートを貫通する長穴によって形成され、貫通孔60とアノードガス流路15とを連通させる小孔61は、アノード側セパレータ13(a)のアノードガス流路15が形成されている面側に設ける複数の溝により形成している。前記貫通孔60は、セパレータ13の両面にセル構成体12の電解質膜12Aが積層されることにより、前記水溜り部50に連通する空間に形成され、前記貫通孔60とアノードガス流路15との間に設けた複数の溝は、電解質膜12Aが積層されることにより、電解質膜12Aと溝とにより貫通孔60とアノードガス流路15とを連通させる小孔61となる。前記貫通孔60及び水溜り部50には、吸水性のある多孔質体が挿入され、凝縮水を吸水して保持する機能を備える。その他の構成は、第1実施形態と同様に構成している。
本実施例の燃料電池用セパレータ13においては、燃料電池スタック1として構成した場合に、アノードガス出口マニホールド16には、セル構成体12の反応エリアの鉛直方向の下側よりも下方領域に容積が拡大されて、隣接するセル構成体12の電解質膜12Aにより仕切られて溝に形成されたセル毎の水溜り部50と、水溜り部50に連なり且つ小孔61によりアノードガス流路15にも連なる貫通孔60を備える延長部61と、を備えるものとできる。
このため、水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)での燃料電池システムの運転時に、アノードガス流路15の水蒸気がアノード下流側に運ばれてアノードガス出口マニホールド16に排出される。アノードガス出口マニホールド16に排出された水蒸気は、アノードガス出口マニホールド16に隣接する冷却水入口マニホールド43の冷却水により冷却され、凝縮されて、アノードガス出口マニホールド16のセパレータ13により形成した水溜り部50及び貫通孔60に吸水され、凝縮水として溜められる。アノードガス流路15の出口の湿度が高い水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)ほど、水の凝縮捕集機能は向上する。
そして、アノードガス出口マニホールド16の溝内の凝縮水は温度が高いので、アノードガス出口マニホールド16内の水蒸気分圧を高く保持できる。このため、水収支が乾燥(ドライ)側の条件(低負荷状態)で燃料電池システムを運転した場合に、最も乾燥(ドライ)状態になり易いアノードガス流路15の下流部(カソードガス流路18の上流部)を水蒸気の拡散により加湿することができる。加えて、貫通孔60に保持された凝縮水より気化した水蒸気は、小孔61を介してより上流部のアノードガス流路15に拡散し、上流部のアノードガス流路15に面しているセル構成体12の反応エリアを加湿する。したがって、セル構成体12の反応エリアは、下流部からの加湿と上流部からの加湿とが実行され、さらに加湿効果の向上が期待できる。結果として、公知の技術で説明したような乾燥領域が上流から中流に進行していく負の連鎖が起きなくなり、安定して発電を継続することができる。
なお、アノードガスの流れがアノードガス入口マニホールド14−アノードガス流路15−アノードガス出口マニホールド16となる順方向の場合には、反応エリアとアノードガス出口マニホールド16との圧力差に相当する駆動エネルギをもってアノードガスが小孔61を経由して貫通孔60に入り込み、溜めた凝縮水をアノードガス出口マニホールド16に押し流すことが考えられる。しかしながら、水溜り部50及び貫通孔60を構成する空間内には、両端が電解質膜12Aに保持された多孔質体による圧損要素を設けているため、アノードガスの流入を防止することができる。
図8に示す変形例においては、アノードガス流路15に沿って設ける延長部51,52を、アノードガス流路15の鉛直方向の上下両側に配置したものである。他方の延長部52における貫通孔62は、アノード側セパレータ13(a)とカソード側セパレータ13(b)の両方に形成され、吸水性のある多孔質体が挿入される。また、貫通孔62とアノードガス流路15とを連通させる小孔64は、アノード側セパレータ13(a)のアノードガス流路15が形成されている面側に設ける複数の溝により形成している。一方の延長部51は、図6に示すものと同じであるが、他方の延長部52における貫通孔62は、アノードガス出口マニホールド16から上方に離れた部位に配置され、小孔64によりアノードガス流路15と連通されている。このため、アノードガス出口マニホールド16と他方の貫通孔62とを接続する通路が形成される。この通路は、アノード側セパレータ13(a)のアノードガス流路15が形成されている表面側において、他方の貫通孔62とアノードガス出口マニホールド16とを繋ぐ連通溝63で形成され、この連通溝63内に吸水性のある多孔質体を埋め込むことにより、形成する。
この変形例においては、水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)での燃料電池システムの運転時に、他方の延長部52に対しては、連通溝63および貫通孔62に配置した多孔質体の毛細管作用により、アノードガス出口マニホールド16に生ずる凝縮水を移動させて溜めることができる。このため、水収支が乾燥(ドライ)側の条件(低負荷状態)で燃料電池システムを運転した場合に、最も乾燥(ドライ)状態になり易いアノードガス流路15の下流部(カソードガス流路18の上流部)を水蒸気の拡散により加湿することに加えて、アノードガス流路15の鉛直方向両側に配置された延長部51,52に保持された凝縮水より気化した水蒸気を、小孔61,64を介してより上流側のアノードガス流路15に両側から拡散させ、上流側のアノードガス流路15に面しているセル構成体12の反応エリアを加湿することができる。したがって、セル構成体12の反応エリアは、下流部からの加湿と、より上流部の両側からの加湿とが実行され、さらに加湿効果の向上が期待できる。
図9に示す第2実施例の燃料電池セパレータ13では、アノードガス出口マニホールド16のセパレータ13毎に設ける水溜り部50をアノードガス流路15の入口側のガス拡散領域15Aの下方まで延長させた貫通孔65を形成し、貫通孔65の先端部分から入口側ガス拡散領域15Aの前方に回り込む連通溝66により形成した通路を形成し、この連通溝66とアノードガス流路15の入口側のガス拡散領域15Aとを複数の小孔67により連通させる延長部53を構成している。前記貫通孔65は、セパレータ13(13(a),13(b))を構成するプレートを貫通する長穴によって形成され、前記連通溝66及び小孔67は、アノード側セパレータ13(a)のアノードガス流路15が形成されている面側に設ける複数の溝により形成している。前記連通溝66及び前記連通溝66内にも吸水性のある多孔質体が埋め込まれている。この場合の延長部53の貫通孔65、連通溝66、複数の小孔67は、夫々第1実施例の延長部51,52の貫通孔60、連通溝63、複数の小孔61,64と同様に形成されている。
本実施例の燃料電池用セパレータ13においては、燃料電池スタック1として構成した場合に、アノードガス出口マニホールド16には、セル構成体12の反応エリアの鉛直方向の下側よりも下方領域に容積が拡大されて、隣接するセル構成体12の電解質膜12Aにより仕切られて溝に形成されたセル毎の水溜り部50及び水溜り部50に連なる貫通孔65とは、周囲が閉じられた空間に形成される。また、貫通孔65の先端に連なり入口側ガス拡散領域15Aの前方に回り込む連通溝66により形成した通路と、連通溝66とアノードガス流路15の入口側のガス拡散領域15Aとを連通させる複数の小孔67とは、その開口部を電解質膜12Aにより閉じられて通路に形成される。
このため、水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)での燃料電池システムの運転時に、アノードガス流路15の水蒸気がアノード下流側に運ばれてアノードガス出口マニホールド16に排出される。アノードガス出口マニホールド16に排出された水蒸気は、アノードガス出口マニホールド16に隣接する冷却水入口マニホールド43の冷却水により冷却され、凝縮されて、アノードガス出口マニホールド16のセパレータ13により形成した水溜り部50及び貫通孔65に吸水され、凝縮水として溜められる。アノードガス流路15の出口の湿度が高い水収支が湿潤(ウェット)側になるような運転条件(中高負荷状態)ほど、水の凝縮捕集機能は向上する。溜められた凝縮水は連通溝66に配置した多孔質体の毛細管作用により連通溝66にも導入される。
そして、アノードガス出口マニホールド16の水溜り部50内の生成水は温度が高いので、アノードガス出口マニホールド16内の水蒸気分圧を高く保持できる。このため、水収支が乾燥(ドライ)側の条件(低負荷状態)で燃料電池システムを運転した場合に、最も乾燥(ドライ)状態になり易いアノードガス流路15の下流部(カソードガス流路18の上流部)を水蒸気の拡散により加湿することができる。
加えて、貫通孔65及び連通溝66に保持された凝縮水より気化した水蒸気は、連通溝66、小孔67を介してよりアノードガス流路15の上流側のガス拡散領域15Aに拡散される。ガス拡散領域15Aにより拡散された水蒸気は、アノードガス流路15の上流側においてアノードガス流路15の幅方向に広く拡散され、対面しているセル構成体12の広い範囲の反応エリアを加湿する。この場合に、連通溝66は相対的に高温となる冷却水流路の出口側及びカソードガス流路18の出口側に隣接しているため、連通溝66に導入される凝縮水の気化が促進される。
したがって、セル構成体12の反応エリアは、下流部からの加湿と、上流部からの加湿とが実行され、さらに加湿効果の向上が期待できる。結果として、公知の技術で説明したような乾燥領域が上流から中流に進行していく連鎖が起きなくなり、安定して発電を継続することができる。
図10に示す第2実施例の改良例の燃料電池セパレータ13では、第2実施例の燃料電池セパレータ13に対して、アノードガス入口マニホールド14にも凝縮水を気化させた水蒸気を供給する延長部54の構成を追加したものである。このために、この実施例の燃料電池セパレータ13では、アノードガス出口マニホールド16から上方に離れた部位にも他方の貫通孔68を配置し、この他方の貫通孔68とアノードガス出口マニホールド16とを、セパレータ13のアノードガス流路15が形成されている表面側において、繋ぐ連通溝63を形成して延長部54を構成している。そして、他方の貫通孔68はアノードガス入口マニホールド14に隣接する部位までセパレータ13の長手方向に延されている。他方の貫通孔68の先端とアノードガス入口マニホールド14とを複数の小孔69により連通させるよう構成している。前記貫通孔68は、セパレータ13(13(a),13(b))を構成するプレートを貫通する長穴によって形成され、前記連通溝63は、アノード側セパレータ13(a)のアノードガス流路15が形成されている面側に設ける溝により形成され、また、小孔69は、アノード側セパレータ13(a)のアノードガス流路15が形成されている面側に設ける複数の溝により形成している。前記連通溝63内及び他方の貫通孔68内には吸水性のある多孔質体が埋め込まれている。この場合の他方の延長部54の貫通孔68、連通溝63、複数の小孔69は、夫々第1実施例の延長部52の貫通孔62、連通溝63、複数の小孔64と同様に形成されている。
本実施例の燃料電池用セパレータ13においては、燃料電池スタック1として構成した場合に、アノードガス入口マニホールド14に対しても、凝縮水を気化させた水蒸気を供給することができる。このため、アノードガス出口マニホールド16からと、アノード入口側ガス拡散領域15Aと、アノードガス入口マニホールド14と、から広範囲にわたり加湿効果が得られる。更に、アノードガスとカソードガスとがカウンターフローとなる構成のため、気化面の位置が比較的高温な冷却水出口、カソード出口近傍となり、気化面が温められることで気化が促進され、より大きな加湿効果が期待できる。
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)〜(ウ)に加えて以下に記載した効果を奏することができる。
(オ)水溜り部50は、それに連ねて形成した空間により形成される延長部51,52を備え、前記延長部51,52は、下流側のアノードガス流路15を含む上流側のアノードガスが通過するいずれかの領域に連通されているため、水溜り部50に溜めた液水をアノードガス流路15の出口側反応エリア(発電面)の近傍で気化させることができ、アノードガス出口マニホールド16での気化による加湿効果の他に、特に加湿したいアノードガス流路15の出口側発電面近傍での気化加湿が可能となり、より加湿範囲が広くなり、発電効率が上がる。
(カ)水溜り部50は、それに連ねて形成した空間により形成される延長部53,54を備え、前記延長部53,54は、アノードガス流路15の上流側ガス拡散領域15A、アノードガス入口マニホールド14の少なくともいずれか一つの領域若しくは複数の領域に連通されていることにより、水溜り部50に溜めた液水をアノードガス流路15の入口側で気化させることができ、ガス拡散領域15Aでの拡散効果を得られ、より広い発電面を加湿することが可能となる。即ち、アノードガス出口マニホールド16側からと、アノードガス流路15の入口側とから広範囲にわたり加湿効果が得られる。しかも、延長部53,54は、相対的に高温となる冷却水出口・カソードガス出口マニホールド19近傍で気化面が設定されることになり、気化が促進される。
本発明の一実施形態を示す燃料電池用セパレータを適用する燃料電池システムの概略構成図。 同じく本実施形態の燃料電池用セパレータにより形成される燃料電池セルの説明図。 同じく本実施形態の燃料電池用セパレータの背面図。 本実施形態を示す燃料電池用セパレータを適用する第2の燃料電池システムの概略構成図。 本実施形態を示す燃料電池用セパレータを適用する第3の燃料電池システムの概略構成図。 同じく本実施形態の変形例を示す燃料電池用セパレータの正面図。 本発明の第2実施形態の第1実施例を示す燃料電池用セパレータの正面図。 第1実施例の変形例を示す燃料電池用セパレータの正面図。 本発明の第2実施形態の第2実施例を示す燃料電池用セパレータの正面図。 第2実施例の変形例を示す燃料電池用セパレータの正面図。
符号の説明
1 燃料電池スタック
2 燃料ガス供給手段
3 酸化ガス供給手段
4 冷却媒体供給手段
5 制御手段としての制御装置
10 燃料電池モジュール
11 エンドプレート
12 セル構成体
13 セパレータ
14 アノード入口内部マニホールド
15 アノードガス流路
16 アノード出口内部マニホールド
21 水素タンク
23 水素調圧弁
24 排ガスライン
25 排ガスパージ弁
31 コンプレッサ
34 背圧調整弁
50 水溜り部
51,52,53,54 延長部

Claims (6)

  1. 一方の面にアノードガスを流通させるアノードガス流路と、
    前記アノードガス流路の一端に形成され、アノードガスを前記アノードガス流路に供給するアノードガス入口マニホールドと、前記アノードガス流路の他端に形成され、アノードガスを前記アノードガス流路から排出するアノードガス出口マニホールドと、を備える燃料電池用セパレータであって、
    前記燃料電池用セパレータは、アノードガス出口マニホールドを形成する貫通孔を当該セパレータの面方向に拡張させて形成され、前記アノードガス流路の出口から排出される生成水を貯留する水溜り部を備えることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記セパレータに冷媒を供給する冷媒入口マニホールドを前記セパレータのアノードガス流路方向の一端に備え、
    前記セパレータから冷媒を排出する冷媒出口マニホールドを前記セパレータのアノードガス流路方向の他端に備え、
    前記アノードガス出口マニホールドは、冷媒入口マニホールドに隣接させて配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 前記水溜り部は、アノードガス流路を含むアノードガスが通過する領域に連通する延長部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 前記延長部は、アノードガス流路の上流側ガス拡散領域、アノードガス入口マニホールドの少なくとも一つの領域に連通されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 前記請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のセパレータは、他方の面にカソードガスを流通させるカソードガス流路を備え、
    電解質膜の夫々の面に触媒層及びガス拡散層を積層してアノードおよびカソードとなる反応エリアを構成するセル構成体の一方の反応エリアに、前記セパレータのアノードガス流路を対面させて積層し、前記セル構成体の他方の反応エリアに、前記セパレータのカソードガス流路を対面させて積層することにより燃料電池セルを構成し、前記燃料電池セルを複数積層して構成したことを特徴とする燃料電池スタック。
  6. 前記請求項5に記載の燃料電池スタックは、アノード側経路の終端部分としてアノードガス出口マニホールドの下流側を閉じて構成され、
    前記燃料スタック内部のアノードガス流路の圧力が加圧される過程と減圧される過程とを繰り返すように前記アノードに燃料ガスを供給する運転を行うことを特徴とする燃料電池システム。
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