本発明に係るレンズ鏡胴の一実施例としてのレンズ鏡胴10の概略的な構成を、図1ないし図42を用いて説明する。
レンズ鏡胴10を含む光学装置は、図2に示すように、第1レンズ群11、第2レンズ群12、シャッタ/絞りユニット13、固体撮像素子14、カバーガラス15、第1レンズ保持枠21、第2レンズ保持枠22、直進筒23、回転筒24、固定筒25、回転カムユニット26、連結枠27、ベース部材28、ライナー29、調整カム部材30、ばね受け部材31、第1付勢部材32(図4参照)、第2の付勢部材33(図7参照)、段付枠部34、基板35、駆動装置36(図1参照)、を具備している。
この光学装置(撮影光学系)は、物体側(被写体側)から第1レンズ群11および第2レンズ群12が順次配列されるとともに、その間にシャッタ/絞りユニット13が挿入配置される。この第2レンズ群12の像面側には、CCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子14と、その受光面を覆うカバーガラス15と、が配置される。固体撮像素子14は、基板35に実装され、カバーガラス15は、ベース部材28に設けられている。その基板35は、ベース部材28に固定されており、図示を略す電子部品が実装されて電子回路部を構成している。
第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなる。この第1レンズ群11は、それらを一体的に保持する第1レンズ保持枠21および連結枠27を介して直進筒23に固定保持されている。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなる。この第2レンズ群12は、間隔環66および調整レンズ保持枠61との協働により、第2レンズ保持枠22に保持されている。本実施例では、第2レンズ群12における最も像面側(図2を正面視して右側)の1枚のレンズを除く他の各レンズが第2レンズ保持枠22に固定保持されるとともに、その1枚のレンズが他の各レンズに対して位置調整可能に調整レンズ保持枠61に保持されている。この第2レンズ群12は、第2レンズ保持枠22により、回転カムユニット26を介して直進筒23に保持されている。
シャッタ/絞りユニット13は、シャッタおよび開口絞りを含むものである。このシャッタ/絞りユニット13は、直進筒23内に収容可能な大きさ寸法の全体に円環状を呈し(図13参照)、直進筒23に固定保持されている。シャッタ/絞りユニット13には、後述するように、ばね受け部材31の直進筒23への固定のためのねじ挿通孔13a(図13参照)が設けられている。これら第1レンズ群11から第2レンズ群12は、焦点距離可変のズームレンズ或いは固定焦点距離レンズとしての撮像光学系を構成する。この撮像光学系の結像位置に、上述した電子回路部(固体撮像素子14)が配置される。この明細書では、撮像光学系における光学的な軸線、すなわち第1レンズ群11から第2レンズ群12の中心軸位置となる回転対称軸を、撮像光学系すなわちレンズ鏡胴10の撮影光軸OAとする。
固定筒25は、全体に円筒形状を呈し(図1参照)、ベース部材28に固定されている。この固定筒25の内周面には、案内溝25aと直進溝25bとが設けられている。案内溝25aは、撮影光軸OAに直交する面に沿って設けられ、環状を呈する。直進溝25bは、撮影光軸OA方向に沿って設けられている。この固定筒25の内周に回転筒24が嵌合されている。
回転筒24は、全体に円筒形状を呈する。この回転筒24の外周面には、キー部24aが設けられている。キー部24aは、撮影光軸OAに直交する面に沿って、回転中心から放射方向へ向けて(以下、径方向ともいう)基端部から突出形成され、固定筒25の案内溝25aに係合している。このような構成により、回転筒24と固定筒25とは、撮影光軸OA(撮影光路)方向への相対的な移動が防止されつつ、撮影光軸OA回りに相対的な回転移動が可能とされている。このため、回転筒24は、ベース部材28に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向の位置を固定したまま、撮影光軸OA回りの回転が可能とされている。回転筒24は、図示は略すが基板35すなわち固定筒25に固定的に設けられた駆動装置36(図1参照)からの駆動力が伝達されることにより、固定筒25に対して回転駆動される。
この回転筒24の内周面には、図3に示すように、軸方向に沿う直進溝24bと、カム溝24cと、が形成されている。その直進溝24bには、回転カムユニット26の後述する第1キー突起56d(図26および図27等参照)が係合される。このため、回転カムユニット26は、固定筒25(ベース部材28)に対する回転筒24の回転駆動に伴って、固定筒25(ベース部材28)に対して回転駆動することが可能とされている。
その回転筒24と固定筒25との間には、図2に示すように、連結枠27の基端部側が挿入されている。この連結枠27の基端部近傍の外周面には、突起部27aが突接されている。その突起部27aは、固定筒25の直進溝25bに係合している。このため、連結枠27は、固定筒25に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向への移動(直進移動)が可能とされているとともに、撮影光軸OA回りの回転が防止されている。この連結枠27は、先端部(物体側)が、直進筒23の先端部に固定されている。この回転筒24の内周に直進筒23が嵌合されている。
その直進筒23は、全体に円筒形状を呈し(図4等参照)、軸線方向(撮影光軸OA方向に等しい)で見た中間位置に、内径寸法を小さくする鍔部23aが設けられている(図6等参照)。直進筒23では、鍔部23aの前方側(物体側)の空間で、第1レンズ群11(第1レンズ保持枠21)およびシャッタ/絞りユニット13を収容保持し、鍔部23aの後方側(像面側)の空間で、第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22および回転カムユニット26を収容保持している。この収容保持については、後に詳細に説明する。
この直進筒23の外周面には、図4に示すように、カムフォロア23bと直進溝23cとが設けられている。カムフォロア23bは、外周面から突設されており、回転筒24のカム溝24c(図3参照)に係合されている。このカムフォロア23bは、本実施例では、周方向で見て6箇所(図4では3つのみ図示)に点在されており、同じくカム溝24cも6箇所に設けられている(図3参照)。直進溝23cは、外周面に対して凹状とされており、撮影光軸OA方向に延在する。この直進溝23cは、本実施例では、対を為して設けられている。直進溝23cには、図5に示すように、その延在方向(撮影光軸OA方向)への摺動自在にライナー29が嵌合される。そのライナー29は、ベース部材28から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈し、本実施例では、直進溝23cに対応すべく対を為して設けられている。このため、直進筒23は、ベース部材28すなわちそこに固定された固定筒25(図2参照)に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向への移動(直進移動)が可能とされているとともに、撮影光軸OA回りの回転が防止されている。これにより、直進筒23は、図2に示すように、固定筒25に対して回転駆動される回転筒24の回転姿勢に応じて、カムフォロア23bが係合する回転筒24のカム溝24cのカム軌跡に倣うように、ベース部材28(固定筒25)に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される。
この直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)における内周面には、図2および図6に示すように、鍔部23aの近傍位置で周方向に延在する環状溝23dが設けられている。この環状溝23dは、撮影光軸OAに直交する面に沿って設けられた環状を呈し、一端(開放端23e)が撮影光軸OA方向像面側に開放されている。
図4および図7に示すように、この直進筒23の前端面(物体側(図4および図7を正面視して上側)の端面)には、嵌合部23fと、3つの嵌合溝23gと、が設けられている。この嵌合部23fは、当該前端面から撮影光軸OA方向に突出された直方体形状の突起箇所の中央部が凹状とされることにより構成されている。嵌合部23fには、後述する第1レンズ保持枠21の嵌合突起21fが嵌合される。各嵌合溝23gは、直進筒23の円周状を呈する前端の内側が周方向に切り欠かれて形成されて円弧状を呈しており、外側内周縁部が撮影光軸OAと一致される直進筒23の中心軸を中心とする同一の円周上に位置されている(図12等参照)。この各嵌合溝23gは、後述する調整カム部材30の係合縁部30a(図9等参照)が係合可能とされている。
上述したように、直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)の空間に、第1レンズ群11(第1レンズ保持枠21)およびシャッタ/絞りユニット13が収容保持される。この直進筒23では、当該空間側から見た鍔部23aに、3つの取付ネジ穴23h(図12参照)が設けられている。この各取付ネジ穴23hは、後述する第2螺合部材38(図17等参照)の螺合が可能とされている。シャッタ/絞りユニット13は、図2に示すように、鍔部23aに押し当てられるように直進筒23内に収容され、その物体側に、第1レンズ群11を保持する第1レンズ保持枠21と、それを取り巻く調整カム部材30およびばね受け部材31と、が収容されている。
その第1レンズ保持枠21は、図2および図8に示すように、全体に筒形状を呈し、外観形状が、後側(像面側(図8を正面視して上側))が相対的に径寸法(径方向で見た撮影光軸OAを基準とする外径寸法)の小さい段付きの形状とされている。第1レンズ保持枠21は、全体に、直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)への挿通が可能であり、かつ鍔部23aの内方(鍔部23aの規定する内径位置)へと挿通することのできない外径寸法とされている(図2等参照)。
この第1レンズ保持枠21では、第1レンズ群11の保持のために、中心位置を撮影光軸OA方向に沿って貫通する保持孔21a(図2参照)が設けられている。この保持孔21aは、第1レンズ群11に適合する内径形状とされており、前側(物体側(図2を正面視して左側))から後側(像面側(図2を正面視して右側))へ向かうにつれて段階的に径寸法が小さくなる段付きの形状とされている。このため、保持孔21aの中心軸線が、第1レンズ群11におけるレンズ光軸となり、本実施例では、基本的に、第1レンズ群11のレンズ光軸が撮影光軸OAに一致するものとされている。その保持孔21aの後側(像面側)すなわち第1レンズ保持枠21の後端には、嵌合させて収容した第1レンズ群11の脱落を防止するための内縁突起部21bが設けられている。この第1レンズ保持枠21では、物体側の開口から、第1レンズ群11が第1レンズ保持枠21の保持孔21aへと挿入されて、第1レンズ群11が収容される。
この第1レンズ保持枠21には、図8に示すように、3つの円弧孔部21cと、3つの押圧突起21dと、3つの押圧受部21e(図19および図24参照)と、嵌合突起21fと、3つの周縁切欠部21gと、一対の当接突起部21hと、が設けられている。各円弧孔部21cは、物体側(図4等における上側)からの調整カム部材30の後述する調整用係合孔30bへの接触を可能とすべく、当該調整用係合孔30bを露出させるように設けられている。この円弧孔部21cは、後述するように調整カム部材30が撮影光軸OA回りに回動可能であることから、その回動に伴う各調整用係合孔30bの移動軌跡に適合する円弧状とされている。
3つの押圧突起21dは、周縁部における裏面(像面側(図8における上側)の面)側から撮影光軸OA方向の像面側に突出するように、周方向で見て互いに等しい間隔となる位置に設けられている。この各押圧突起21dと撮影光軸OA方向での反対側の面すなわち周縁部における表面に、押圧受部21eが設けられている(図24参照)。各押圧受部21eは、後述する第2付勢部材33(図4等参照)からの押圧力を受ける箇所であり、その押圧力を受けることにより、各押圧突起21dが調整カム部材30の後述する調整カム面30cを押圧する(図24参照)。
嵌合突起21fは、第1レンズ保持枠21の周縁部から撮影光軸OAに直交する面に沿って、撮影光軸OAからの放射方向(以下、径方向ともいう)外側へ向けて延出された板状を呈する。この嵌合突起21fは、後述するように第1レンズ保持枠21が直進筒23に収容される際、その直進筒23の嵌合部23fに嵌合されることにより(図4等参照)、第1レンズ保持枠21が直進筒23に対して回転することを防止する。
各周縁切欠部21gは、第1レンズ保持枠21の周縁部を径方向内側に切り欠いて形成されており、後述するように、組み付け時の第2の付勢部材33の配置(装着)のために設けられている。
一対の当接突起部21hは、第1レンズ保持枠21の外周面から径方向外側に延出された蒲鉾形状(撮影光軸OAに直交する断面で見て半月状に突起されている)を呈する。この両当接突起部21hは、第1レンズ保持枠21が後述する第1付勢部材32から径方向へと付勢された状態において、直進筒23の内周面に当接可能とされている(図4および図25参照)。この両当接突起部21hは、本実施例では、直進筒23内における第1付勢部材32の第1レンズ保持枠21への付勢方向(撮影光軸OAに直交する面において、第1付勢部材32の押圧箇所32cと撮影光軸OAとを結ぶ方向(図25の矢印A1参照))に関して、線対称となる位置関係とされている(図25参照)。すなわち、両当接突起部21hは、撮影光軸OAに直交する面において、第1付勢部材32の押圧箇所32cにより押圧される箇所から、撮影光軸OAを中心とする互いに逆回りの周回方向で見て等しい間隔となる位置関係とされている。この両当接突起部21hは、後述するように、直進筒23の鍔部23aの前方側の空間において、第1レンズ保持枠21の撮影光軸OAに直交する面内での位置決めのために設けられている。
この第1レンズ保持枠21における径寸法が小さくされた後側(像面側)を、撮影光軸OAに直交する面に沿って取り巻くように、調整カム部材30とばね受け部材31と、が設けられている(図2参照)。その調整カム部材30は、図9に示すように、円環状の平板部材であり、第1レンズ保持枠21において各円弧孔部21cおよび押圧突起21d等が設けられた前端縁部(図8参照)の裏面側(図2における右側)で当該前端縁部に沿うように配設可能とされている。この調整カム部材30には、係合縁部30aと、3つの調整用係合孔30bと、3つの調整カム面30cと、3つの周縁切欠部30dと、が設けられている。
係合縁部30aは、平板部材における周縁部の裏面側(図2における右側)が撮影光軸OAと直交する面に沿う平坦面とされて構成されている。この係合縁部30aは、本実施例では、周方向で見て3箇所に設けられており、それぞれが撮影光軸OAと一致される調整カム部材30の中心軸を中心とする同一の円周上に設けられている。各係合縁部30aは、直進筒23の対応する嵌合溝23gに撮影光軸OA方向で係合可能であるとともに、直進筒23の径方向(撮影光軸OAに直交する方向)で係合可能とされている(図2、図23および図24等参照)。この各係合縁部30aは、その係合状態において、係合する嵌合溝23gに対して摺動可能とされている。このため、調整カム部材30は、各係合縁部30aが係合する嵌合溝23gの案内作用により、直進筒23内において、その中心軸(撮影光軸OA)方向で見た位置を変化させることなく、その中心軸に直交する面内で当該中心軸回りに回動することが可能とされている。
各調整用係合孔30bは、その直進筒23内で回動可能とされた調整カム部材30を回動させるための係合孔であり、図示を略す回動部材(回動装置)の係合部の撮影光軸OA方向の物体側(図9における上側)からの挿入が可能とされており、その挿入状態において撮影光軸OA回り方向での係合が可能とされている。
調整カム面30cは、平板部材における周縁部の表面側(図9における上側)が、撮影光軸OAと直交する面に対して、周方向(図9では時計回り方向)での位置の変化に伴って漸次的に物体側へと突出する螺旋状の傾斜面とされて構成されている(図9、図23および図24等参照)。換言すると、調整カム面30cは、図9での時計回り方向に進むに連れて、撮影光軸OA方向で見た高さ位置が、漸次的に物体側へと変位している。この調整カム面30cは、第1レンズ保持枠21の押圧突起21dが摺動可能に当接されるものである(図24等参照)。調整カム面30cは、本実施例では、その押圧突起21dに対応して周方向で等しい間隔を置いて3箇所に設けられており、それぞれの傾斜度合いが互いに等しいものとされている。また、本実施例では、3つの調整カム面30cと各々対応する押圧突起21dとは、撮影光軸OA方向で見た位置(高さ位置)が等しい位置で当接する、すなわち撮影光軸OAに直交する同一平面上で当接するように設定されている。
各調整カム面30cは、各押圧突起21dが当接される第1レンズ保持枠21の直進筒23内での撮影光軸OA方向で見た位置および撮影光軸OAに対する姿勢を規定することができる。これは、調整カム部材30が直進筒23に対してその中心軸(撮影光軸OA)方向で見た位置が変化することが防止されていることによる。また、各調整カム面30cは、直進筒23に対する調整カム部材30の回動姿勢を変化させることにより、各押圧突起21dが当接される第1レンズ保持枠21の直進筒23内での撮影光軸OA方向で見た位置を変化させることができる。このとき、各調整カム面30cの傾斜度合いが互いに等しいものとされていることから、第1レンズ保持枠21の撮影光軸OAに対する姿勢が変化することはない。なお、各調整カム面30cと各押圧突起21dとは、本実施例では、撮影光軸OAに直交する同一平面上で当接するように設定されていたが、第1レンズ保持枠21の姿勢を中心軸が撮影光軸OAに一致する状態とする機能と、その姿勢を維持したまま第1レンズ保持枠21を撮影光軸OA方向に移動させる機能と、を有するものであればよく、本実施例の構成に限定されるものではない。
各周縁切欠部30dは、円環状の平板部材である調整カム部材30の周縁部を径方向内側に切り欠いて形成されており、後述するように、組み付け時の第2の付勢部材33の配置(装着)のために設けられている。この調整カム部材30の裏面側(撮像面側(図2における右側))にばね受け部材31が設けられる。
このばね受け部材31は、シャッタ/絞りユニット13の前面側(物体側(図2における左側))に配置され、図7および図14に示すように、シャッタ/絞りユニット13の機能を阻害することなく直進筒23内に収容可能な円環状を呈する。ばね受け部材31は、後述するように、第1付勢部材32および各第2の付勢部材33を固定するために設けられており、第1付勢部材32のための第1固定孔31aと、第2の付勢部材33のための3つの第2固定孔31bと、を有する(図14参照)。また、第1固定孔31aの近傍には第1固定突起31cが設けられ、各第2固定孔31bの近傍にはそれぞれ第2固定突起31dが設けられている(図14参照)。さらに、ばね受け部材31には、3つの取付挿通孔31eが設けられている。この取付挿通孔31eは、ばね受け部材31の直進筒23の鍔部23aへの固定のために設けられており、その鍔部23aの取付ネジ穴23h(図12参照)に対応する位置関係とされている。
そこに固定される第1付勢部材32は、図10に示すように、弾性変形可能な板状部材から形成された板バネであり、押圧腕部32aと、取付板部32bと、を有する。押圧腕部32aは、設置箇所に応じて屈曲された板状を呈し、第1レンズ保持枠21の外周面に沿うように配置することが可能とされている(図8および図25参照)。この押圧腕部32aは、一端に取付板部32bが連続されており、他端近傍位置が第1レンズ保持枠21の外周面を押圧するための押圧箇所32c(図8参照)とされている。取付板部32bは、平板状を呈し、押圧腕部32aに対して直交するように屈曲されて連続されている。この取付板部32bには、取付挿通孔32dと、位置決め挿通孔32eと、が設けられている。その取付挿通孔32dは、ばね受け部材31への取り付けのための後述する第1螺合部材37(図7参照)の挿通を許す貫通孔であり、位置決め挿通孔32eは、ばね受け部材31の第1固定突起31c(図14参照)との係合が可能とされた貫通孔である。この第1付勢部材32は、押圧腕部32a(押圧箇所32c)と取付板部32bとの位置関係から、取付面に沿う方向に付勢力を付与することが可能とされている。
ばね受け部材31固定される第2付勢部材33は、図11に示すように、弾性変形可能な板状部材から形成された板バネであり、押圧腕部33aと、取付板部33bと、連結腕部33cと、を有する。押圧腕部33aは、設置箇所に応じて屈曲された板状を呈し、第1レンズ保持枠21の周縁部における表面(物体側(図4における上側)の面)に沿うように配置することが可能とされている。この押圧腕部33aは、一端に連結腕部33cを介して取付板部33bが連続されており、他端近傍位置が第1レンズ保持枠21の押圧受部21e(図24参照)を押圧するための押圧箇所33dとされている。取付板部33bは、平板状を呈し、連結腕部33cにより押圧腕部33aに連続されている。その連結腕部33cは、押圧腕部33aおよび取付板部33bの延在面に直交する方向でそれらを架け渡しており、押圧腕部33aと取付板部33bとを所定の間隔を置いて並列させている。この所定の間隔は、調整カム部材30の周縁部を、厚さ方向(撮影光軸OA方向)で受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。取付板部33bには、取付挿通孔33eと、位置決め挿通孔33fと、が設けられている。その取付挿通孔33eは、ばね受け部材31への取り付けのための第2螺合部材38(図7参照)の挿通を許す貫通孔であり、位置決め挿通孔33fは、ばね受け部材31の第1固定突起31c(図14参照)との係合が可能とされた貫通孔である。この第2付勢部材33は、押圧腕部33a(押圧箇所33d)と取付板部33bとの位置関係から、取付面に対して直交する方向に付勢力を付与することが可能とされている。
このレンズ鏡胴10では、直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)の空間に対して、上述した各部材が以下に図12ないし図21に示すように組み付けられる。なお、以下に記載する組み付け手順は一例であって、本実施例に限定されるものではない。
先ず、図12に示す直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)の空間に、図13に示すように、シャッタ/絞りユニット13を挿入する。このとき、鍔部23aの3つの取付ネジ穴23h(図12参照)に対して、シャッタ/絞りユニット13の3つのねじ挿通孔13aを、撮影光軸OA方向で見て一致する位置関係とする。
次に、図14に示すように、そのシャッタ/絞りユニット13上(物体側)に、ばね受け部材31を挿入する。このとき、シャッタ/絞りユニット13の3つのねじ挿通孔13a(図13参照)に対して、ばね受け部材31の3つの取付挿通孔31eを、撮影光軸OA方向で見て一致する位置関係とする。
次に、図15に示すように、そのばね受け部材31上(物体側)に、第1付勢部材32を配置する。この第1付勢部材32は、取付板部32bをばね受け部材31の上面(物体側となる面)に面当接させつつ押圧腕部32aをシャッタ/絞りユニット13側(像面側)に位置させるように配設される(図7参照)。このとき、取付板部32bでは、ばね受け部材31の第1固定孔31aに対して取付挿通孔32dが撮影光軸OA方向で見て一致する位置関係とされるとともに、ばね受け部材31の第1固定突起31cを位置決め挿通孔32eに挿通させる。この第1付勢部材32は、後述するように押圧箇所32cに第1レンズ保持枠21の外周面が宛がわれると(図7参照)、その当接箇所に対して第1レンズ保持枠21の撮影光軸OAに向かう付勢力(図25の矢印A1参照)を付与する位置設定とされている。
次に、図16に示すように、その第1付勢部材32を第1螺合部材37によりばね受け部材31に固定する。この第1螺合部材37は、取付板部32bの取付挿通孔32d(図15参照)に挿通され、そこに一致されたばね受け部材31の第1固定孔31a(図14参照)に螺合される。このとき、上述したように、ばね受け部材31の第1固定突起31cを位置決め挿通孔32eに挿通させていることから、第1付勢部材32は、ばね受け部材31に対して第1螺合部材37(その軸線)回りに回動することが防止されている。
次に、図17に示すように、ばね受け部材31を3つの第2螺合部材38により直進筒23に固定する。この各第2螺合部材38は、ばね受け部材31の取付挿通孔31e(図14参照)に挿通され、そこに一致されたシャッタ/絞りユニット13の各ねじ挿通孔13a(図13参照)を経て、そこに一致された直進筒23の鍔部23a(図12参照)に螺合される。これにより、ばね受け部材31が直進筒23に固定される。
次に、図18に示すように、ばね受け部材31上(物体側)に、調整カム部材30を挿入する。このとき、調整カム部材30の3つの係合縁部30a(図9等参照)を、直進筒23の3つの嵌合溝23g(図12参照)に係合させるとともに、調整カム部材30の3箇所の周縁切欠部30dをそれぞれが対を為す第2固定孔31bおよび第2固定突起31d上に位置させる。これにより、調整カム部材30の裏側(像面側)に位置されるばね受け部材31に設けられた各第2固定孔31bおよび各第2固定突起31dが、物体側に露出することとなる。
次に、図19に示すように、調整カム部材30上(物体側)に、第1レンズ群11を保持する第1レンズ保持枠21を挿入する。このとき、第1レンズ保持枠21の外周面に第1付勢部材32の押圧箇所32cを宛がい(図8参照)、その付勢力に抗しつつ嵌合突起21fを直進筒23の嵌合部23fに嵌合させ、かつ各押圧突起21dを調整カム部材30の調整カム面30cに当接させるように(図24参照)、当該第1レンズ保持枠21を配置する。すると、3つの周縁切欠部21gが、各周縁切欠部30dにより露出された各第2固定孔31bおよび各第2固定突起31d上に位置されるとともに、3つの円弧孔部21cが調整カム部材30の各調整用係合孔30b上に位置される。これにより、第1レンズ保持枠21の裏側(像面側)に位置される調整カム部材30に設けられた各調整用係合孔30bが、対応する円弧孔部21cを介して物体側に露出することとなるとともに、その調整カム部材30の裏側(像面側)に位置されるばね受け部材31に設けられた各第2固定孔31bおよび各第2固定突起31dが、物体側に露出することとなる。
次に、図20に示すように、物体側に露出するばね受け部材31の3つの第2固定孔31bおよび第2固定突起31d(図19参照)上(物体側)のそれぞれに、第2付勢部材33を配置する。この各第2付勢部材33は、押圧腕部33aを第1レンズ保持枠21の周縁部の物体側に沿わせつつ、取付板部33bを、第1レンズ保持枠21の周縁切欠部21gおよび調整カム部材30の周縁切欠部30dを経てばね受け部材31の上面(物体側となる面)に面当接させるように配設する(図4および図5参照)。このとき、取付板部33bでは、ばね受け部材31の第2固定孔31b(図14参照)に対して取付挿通孔33eが撮影光軸OA方向で見て一致する位置関係とするとともに、ばね受け部材31の第2固定突起31d(図14参照)を位置決め挿通孔33f(図11参照)に挿通させる。すると、各第2付勢部材33では、押圧腕部33aの押圧箇所33dが、第1レンズ保持枠21の押圧受部21e上に当接される(図24参照)。
次に、図21に示すように、その各第2付勢部材33を第3螺合部材39によりばね受け部材31に固定する。この第3螺合部材39は、第2付勢部材33の取付板部33bの取付挿通孔33eに挿通され、そこに一致されたばね受け部材31の第2固定孔31b(図14参照)に螺合される。このとき、上述したように、ばね受け部材31の第2固定突起31d(図14参照)が位置決め挿通孔33f(図11参照)に挿通されていることから、第2付勢部材33は、ばね受け部材31に対して第3螺合部材39(その軸線)回りに回動することが防止されている。
これにより、直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)の空間では、図2に示すように、第1レンズ群11およびシャッタ/絞りユニット13が、他の上述した各部材とともに組み付けられる。これらの物体側で第1レンズ群11(その最も物体側に位置するレンズ)の前面の周縁部(有効エリアの外側位置)を取り巻くように、段付枠部34が設けられる。このように各部材が組み付けられた直進筒23の模式的な断面図を図22に示し、そこに一点鎖線で示す円C1を拡大した断面図を図23に示し、一点鎖線で示す円C2を拡大した断面図を図24に示す。この図22は、図25におけるII−II線により得られる断面に相当する。また、その図25は、各部材が組み付けられた直進筒23を撮影光軸OA方向で物体側から見た様子を示す説明図である。
直進筒23に収容された第1レンズ保持枠21では、図22、図23および図25に示すように、外周面に宛がわれた第1付勢部材32(その押圧箇所32c)により押圧されている。この第1付勢部材32は、取付板部32bが取り付けられた取付面に沿う方向に付勢力を付与することが可能とされており、その取付板部32bが撮影光軸OAに直交する面に沿って延在するばね受け部材31に取り付けられ、かつ押圧箇所32cの当接箇所に対して第1レンズ保持枠21の撮影光軸OAに向かう付勢力(矢印A1参照)を付与するように設けられていることから、第1レンズ保持枠21を撮影光軸OAに直交する面に沿うように押圧箇所32c(その当接箇所)から撮影光軸OAに向けて付勢する(図23および図25の矢印A1参照)。すると、第1レンズ保持枠21では、図25に示すように、その2つの当接突起部21hが直進筒23の内周面に当接されているので、直進筒23に対して、撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めされる。このとき、第1レンズ保持枠21では、嵌合突起21fが直進筒23の嵌合部23fに嵌合されていることから、直進筒23に対する撮影光軸OA回りの相対的な回転が防止されている。特に、本実施例では、両当接突起部21hは、第1付勢部材32による第1レンズ保持枠21への付勢方向(矢印A1参照)に関して、線対称となる位置関係とされていることから、第1付勢部材32からの付勢力を各当接突起部21hに略均等に分配することができるので、より安定して位置決めすることができる。このため、第1付勢部材32(それが固定されたばね受け部材31)および両当接突起部21hが、直進筒23に対して、撮影光軸OAに直交する面に沿う方向での第1レンズ保持枠21の位置決め機構として機能する。なお、第1付勢部材32は、上記した機能を有するものであれば、板ばねではなく引張ばねや圧縮ばねやねじりコイルばね等であってもよく、本実施例に限定されるものではない。ここで、第1付勢部材32は、後述するように撮影光軸OA方向で見た長さ寸法(厚さ寸法)の増大を招くことを防止することが可能な構成であることが望ましい。
また、第1レンズ保持枠21では、外周面に宛がわれた各第2付勢部材33(その押圧箇所33d)により押圧されている。この各第2付勢部材33は、取付板部33bが取り付けられた取付面に対して直交する方向に付勢力を付与することが可能とされており、その取付板部33bが撮影光軸OAに直交する面に沿って延在するばね受け部材31に取り付けられていることから、押圧箇所33dで第1レンズ保持枠21の対応する押圧受部21eを撮影光軸OA方向の像面側(直進筒23内の空間で見て鍔部23a側)へ向けて付勢する(図24の矢印A2参照)。その第1レンズ保持枠21では、図24に示すように、その押圧受部21eの撮影光軸OA方向で反対側の裏面に押圧突起21dが設けられ、その押圧突起21dが調整カム部材30の調整カム面30cに当接されており、その調整カム部材30の各係合縁部30aが直進筒23の各嵌合溝23gに撮影光軸OA方向の物体側から係合されている。また、取付板部33bが取り付けられたばね受け部材31は、3つの第2螺合部材38により、シャッタ/絞りユニット13を介在させて直進筒23の鍔部23aに固定されている(図7および図17参照)。このため、各第2付勢部材33は、第1レンズ保持枠21および調整カム部材30を、物体側から撮影光軸OA方向に直進筒23へ向けて付勢している(矢印A2参照)。これにより、第1レンズ保持枠21では、直進筒23に対して、像面側(鍔部23a側)へと圧接されて撮影光軸OA方向に位置決めされる。なお、第2付勢部材33は、上記した機能を有するものであれば、板ばねではなく引張ばねや圧縮ばねやねじりコイルばね等であってもよく、本実施例に限定されるものではない。ここで、第2付勢部材33は、後述するように撮影光軸OA方向で見た長さ寸法(厚さ寸法)の増大を招くことを防止することが可能な構成であることが望ましい。
このとき、第1レンズ保持枠21は、嵌合突起21fが直進筒23の嵌合部23fに嵌合されていることから、直進筒23に対する撮影光軸OA回りの相対的な回転が防止されているが、調整カム部材30は、直進筒23内で撮影光軸OA回りの相対的な回転が可能とされている。また、各第2付勢部材33では、連結腕部33cにより、押圧腕部33aと取付板部33bとが調整カム部材30の周縁部を厚さ方向(撮影光軸OA方向)で受け入れることが可能な間隔を置くものとされていることから、調整カム部材30の回動を妨げることが防止されている。さらに、各第2付勢部材33の取付板部33bが取り付けられたばね受け部材31は、3つの第2螺合部材38により、シャッタ/絞りユニット13を介在させて直進筒23の鍔部23aに固定されている(図7および図17参照)。加えて、調整カム部材30の各調整用係合孔30bは、対応する円弧孔部21cを介して物体側に露出されており(図4および図25等参照)、その各円弧孔部21cが調整カム部材30の回動に伴う各調整用係合孔30bの移動軌跡に適合する円弧状とされている。このため、各部材が組み付けられた直進筒23では、図示を略す回動部材(回動装置)の係合部を、各円弧孔部21cを経て各調整用係合孔30bに挿入し、その係合部を介して各調整用係合孔30bすなわち調整カム部材30を直進筒23に対して回動させることができる。すると、各第2付勢部材33が取り付けられたばね受け部材31およびその各第2付勢部材33により押圧される第1レンズ保持枠21は、直進筒23に対して回動することはないので、各第2付勢部材33からの付勢(図24の矢印A2参照)により調整カム部材30を押圧する押圧突起21dの調整カム面30cに対する当接位置が、調整カム部材30の回転姿勢にしたがって変化することとなる。この調整カム面30cは、周方向での位置の変化に伴って漸次的に物体側へと突出する螺旋状の傾斜面とされていることから、直進筒23に対して撮影光軸OA方向へと移動することのない調整カム部材30を基準として、第1付勢部材32により撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めされた状態を維持しつつ第1レンズ保持枠21(そこに保持された第1レンズ群11)を撮影光軸OA方向に移動させることができる。特に、本実施例では、調整カム面30cおよび押圧突起21dが周方向で等しい間隔を置いて3箇所に設けられていることから、より安定して第1レンズ保持枠21(そこに保持された第1レンズ群11)を撮影光軸OA方向に移動させることができる。このため、各第2付勢部材33、それが固定されたばね受け部材31および調整カム部材30が、直進筒23に対して、撮影光軸OA方向での第1レンズ保持枠21の位置決め機構として機能するとともに、第1付勢部材32により撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めされた状態を維持しつつ撮影光軸OA方向での第1レンズ保持枠21(そこに保持された第1レンズ群11)の位置の調整を可能とする位置調整機構として機能する。換言すると、上述した位置決め機構は、直進筒23内において、第1レンズ保持枠21の撮影光軸OA方向での保持位置を調節することができる。
また、上述したように、直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に、第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22および回転カムユニット26が収容保持される(図2参照)。この直進筒23では、図2および図6に示すように、当該空間において、3つのガイド軸(第1ガイド軸51、第2ガイド軸52および第3ガイド軸53)が設けられている。この各ガイド軸は、当該空間における第2レンズ保持枠22の位置決めのために設けられており、撮影光軸OA回りに所定の間隔を置く位置で、鍔部23aから撮影光軸OA方向に延在されている。本実施例では、第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とは、第1ガイド軸51から撮影光軸OAへと向かう方向に関して、線対称となる位置関係とされている(図41等参照)。この鍔部23aでは、第1ガイド軸51と第2ガイド軸52との間および第2ガイド軸52と第3ガイド軸53との間に、後述する第4付勢部材55の他端55bが固定される。当該空間には、直進筒23内での第2レンズ保持枠22の移動のために、後述するように回転カムユニット26を構成する第1回転カム筒56と第2回転カム筒57とが設けられている(図26および図27参照)。
第1回転カム筒56は、図26に示すように、直進筒23に嵌入(内接)可能な円筒形状を呈する。その第1回転カム筒56には、図28に示すように、その円筒内周面に対して凸状とされた環状凹部56aが設けられている。その環状凹部56aは、物体側縁部(図28を正面視して上側)で進退カム面56bを形成し、周方向で見た所定の位置に回転係合部56cが設けられている。また、第1回転カム筒56の外周面には、第1キー突起56dと第2キー突起56eとが設けられている。この第1キー突起56dは、第1回転カム筒56の外周面における像面側(図28を正面視して下側)端部から、撮影光軸OAに直交する面に沿って、撮影光軸OAからの放射方向へ向けて(以下、径方向ともいう)延出され、その延出端から物体側(図28を正面視して上側)に延在されており(先端部分)、第1回転カム筒56の外周面に直交する断面で見て全体にL字形状の板状を呈する。この第1キー突起56dは、直進筒23の像面側端部を跨ぐことが可能とされ、かつ先端部分が直進筒23の外周面に沿って延在可能とされており(図26参照)、その先端部分が回転筒24の内周面に形成された直進溝24b(図3参照)に係合される。このため、第1回転カム筒56は、直進筒23内において、回転筒24と一体的に撮影光軸OA回りに回転するとともに、撮影光軸OA(撮影光路)方向には回転筒24との相対的な移動が可能とされている。
第2キー突起56eは、第1回転カム筒56の外周面における物体側(図28を正面視して上側)端部から径方向に延出されている。この第2キー突起56eは、直進筒23の内周面に形成された開放端23eを経て環状溝23dに係合される(図2および図6参照)。このため、第1回転カム筒56は、直進筒23内において、当該直進筒23に対する撮影光軸OA方向への移動が防止されつつ、直進筒23との相対的な回転が可能とされている。
この第1回転カム筒56の環状凹部56aに第2回転カム筒57が配置される(図27参照)。この第2回転カム筒57は、図29に示すように、板状部材が環状とされた円筒形状を呈し、第1回転カム筒56に内接可能な大きさ寸法とされている(図26および図27参照)。第2回転カム筒57は、像面側縁部(図29(a)を正面視して上側)に補助カム面57aが形成され、周方向で見た所定の位置の周壁面に回転係合部57bが設けられている。この第2回転カム筒57は、補助カム面57aを進退カム面56bに対向させるように、像面側端部から第1回転カム筒56の環状凹部56aへと嵌入され、回転係合部57bを回転係合部56cに係合させることにより、第1回転カム筒56に装着される(図26および図27参照)。この第1回転カム筒56内に第2回転カム筒57が嵌入装着された筒体(図27参照)では、図30に示すように、内周面すなわち第1回転カム筒56の環状凹部56a内で、進退カム面56bと補助カム面57aとが撮影光軸OA方向で対向されていることから、その進退カム面56bと補助カム面57aとにより内周面に進退カム溝が形成される。この進退カム溝には、第2レンズ保持枠22の後述する案内嵌入部43(カム突起43a)が係合される。当該筒体は、上述したように、回転筒24と一体的に撮影光軸OA回りに回転可能で、かつ撮影光軸OA(撮影光路)方向には回転筒24との相対的な移動が可能であるとともに、直進筒23に対する撮影光軸OA方向への移動が防止されつつ直進筒23との相対的な回転が可能に、直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に設けられる。当該空間では、第2レンズ群12が、直進筒23内に回転カムユニット26を介して支持された第2レンズ保持枠22に保持される(図2および図41参照)。
この第2レンズ保持枠22は、図31に示すように、全体に筒形状を呈し、外観形状が、後側(像面側)となる一端側(図31を正面視して上側)が相対的に径寸法(径方向で見た撮影光軸OAを基準とする外径寸法)の大きい段付きの形状とされている。第2レンズ保持枠22は、全体に、直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)への挿通が可能であり、かつ鍔部23aの内方(鍔部23aの規定する内径位置)へと挿通することのできない外径寸法とされている(図2および図41参照)。
この第2レンズ保持枠22では、第2レンズ群12の保持のために、中心位置を撮影光軸OA方向に沿って貫通する保持孔22aが設けられている。この保持孔22aは、後側(像面側(図31を正面視して上側))が間隔環66および調整レンズ保持枠61(図2参照)の嵌合が可能な大内径部とされており、その前側が当該大内径部よりも小さな内径寸法で第2レンズ群12の最も像面側(図2を正面視して右側)の1枚のレンズを除く他の各レンズに適合する内径形状の小内径部とされている(図2参照)。このため、保持孔22aの中心軸線が、第2レンズ群12におけるレンズ光軸となり、本実施例では、基本的に、第2レンズ群12のレンズ光軸が撮影光軸OAに一致するものとされている。この小内径部の前側(物体側)すなわち第2レンズ保持枠22の前端には、嵌合させて収容した第2レンズ群12の脱落を防止するための内縁突起部22bが設けられている。この第2レンズ保持枠22では、大内径部側の開口から、第2レンズ群12(最も像面側の1枚のレンズを除く)、間隔環66および調整レンズ保持枠61(最も像面側の1枚のレンズ)の順に、第2レンズ保持枠22の保持孔22aへと挿入されて、第2レンズ群12が収容される(図2参照)。
この第2レンズ保持枠22には、付勢機構保持部41と、2つの当接突起部42と、3つの案内嵌入部43と、2つのカム受部44と、径側付勢部材保持部45と、2つの軸側付勢部材保持部46と、2つの係合突起部47と、が設けられている。
付勢機構保持部41は、図32に示すように、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出された板状を呈し、軸受凹所41aと保持貫通孔41bとが設けられている。軸受凹所41aは、付勢機構保持部41の延出端が開放するように切り欠かれて形成されている。この軸受凹所41aは、撮影光軸OA(第2レンズ保持枠22の軸線)に直交する面に沿う断面形状がU字形状とされており、直進筒23の鍔部23aに設けられた第1ガイド軸51を延在方向へと摺動自在に受け入れることが可能とされている(図37ないし図39等参照)。
保持貫通孔41bは、後述するばね受部材48および第3付勢部材54を保持する箇所であり(図33参照)、付勢機構保持部41を撮影光軸OA方向に貫通して形成されている。この保持貫通孔41bと軸受凹所41aとは、前側部分(物体側(図32を正面視して下側))で連通されている(図32および図35参照)。保持貫通孔41bにおける後側部分(像面側(図32を正面視して上側))には、撮影光軸OAを中心とする円周方向で対を為すガイド突起41cが設けられている。この一対のガイド突起41cは、第2レンズ保持枠22の径方向に延在する板状を呈し、その延在方向で見た中間位置に円周方向で対を為して切欠箇所41dが設けられている。このため、保持貫通孔41bの後側部分では、一対のガイド突起41cにより円周方向での間隔が狭められており、一対の切欠箇所41dが設けられた箇所では円周方向での間隔が広げられている。これにより、保持貫通孔41bでは、軸受凹所41aに連通される前側部分(物体側(図32を正面視して下側))に、後側部分よりも円周方向での間隔が相対的に大きい径方向に長尺な係合凹所41eが形成されており、この係合凹所41eにおいて上述したように軸受凹所41aと保持貫通孔41bとが連通されている。この保持貫通孔41bには、撮影光軸OA側の内側端面(第2レンズ保持枠22の外周面)41fに支持突起41gが設けられている。
この保持貫通孔41b内に保持されるばね受部材48は、図34に示すように、係合部48aと腕部48bとが胴部48cにより連続されて形成されている。この係合部48aは、保持貫通孔41bの係合凹所41e(図32等参照)に挿入可能でありかつ係合凹所41eと円周方向での係合可能な箱状を呈し、その係合状態において係合凹所41e内を径方向に摺動可能とされている(図33および図36参照)。ばね受部材48では、胴部48cにおいて、係合部48aとは反対側の両端部から延出されて対を為すように腕部48bが設けられている。この一対の腕部48bは、保持貫通孔41b(図32等参照)に対して、一対の切欠箇所41dの間を挿通可能でありかつ一対のガイド突起41cの間を挿通することのできない幅寸法とされている。一対の腕部48bは、係合部48aとの間隔(図34を正面視した高さ方向での間隔)が、保持貫通孔41bのガイド突起41c(図32等参照)の挿通を許容する大きさ寸法とされている。それらを連結する胴部48cには、支持突起48dが設けられている。また、係合部48aでは、支持突起48dの延出方向とは反対側の面が平坦な押圧端部48eとされている。
このばね受部材48は、付勢機構保持部41の保持貫通孔41bに対して、係合凹所41e側(物体側(図32を正面視して下側))から一対の腕部48bを一対の切欠箇所41dの間に挿通し、係合部48aを係合凹所41eに係合させた状態で、径方向外側へと移動させることにより、保持貫通孔41b内において第2レンズ保持枠22の径方向へと移動可能に設けられる(図36ないし図40参照)。この状態では、軸受凹所41aと保持貫通孔41bとが係合凹所41eにより連通されていることから、係合部48aの押圧端部48eが軸受凹所41a内へと進出可能とされている(図33参照)。このため、保持貫通孔41bに径方向に移動可能に保持されたばね受部材48は、軸受凹所41aに保持された第1ガイド軸51に押圧端部48eを当接させることが可能とされている(図33参照)。このばね受部材48は、第3付勢部材54からの付勢力を適切に第1ガイド軸51へと伝達するために設けられている。
その第3付勢部材54は、図33および図36に示すように、保持貫通孔41b内において、内側端面41fとの間でばね受部材48を第1ガイド軸51に向けて付勢するものである。この第3付勢部材54は、本実施例では、圧縮コイルばねが用いられており、保持貫通孔41b内において、一端54aがばね受部材48の支持突起48dを受け入れつつその胴部48cに当接され、かつ他端54bが支持突起41gを受け入れつつ内側端面41fに当接されて設けられる。このため、第3付勢部材54は、付勢機構保持部41内で支持突起41gに他端54bが位置決めされているとともに、その付勢機構保持部41により移動方向が支持突起41gを通る径方向に規制されたばね受部材48を介して第1ガイド軸51を付勢することから、撮影光軸OAに直交する面において第1ガイド軸51と撮影光軸OAとを結ぶ方向に付勢するように構成されている。なお、第3付勢部材54は、上記した機能を有するものであれば、圧縮コイルばねではなく引張ばねや板ばねやねじりコイルばね等であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
2つの当接突起部42は、図31に示すように、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出された柱状を呈する。この両当接突起部42は、付勢機構保持部41の軸受凹所41aに第1ガイド軸51を保持させるように、第2レンズ保持枠22を直進筒23の鍔部23aの後方側の空間に収容した状態において、一方(42aともいう)が第2ガイド軸52に当接可能とされており、他方(42bともいう)が第3ガイド軸53に当接可能とされている(図37および図41等参照)。この両当接突起部42は、そのガイド軸に当接する延出端面が平坦面とされている。両当接突起部42は、本実施例では、付勢機構保持部41の保持貫通孔41b内における第3付勢部材54の付勢方向(撮影光軸OAに直交する面において、第1ガイド軸51と撮影光軸OAとを結ぶ方向(図37の矢印A3参照))に関して、線対称となる位置関係とされている(図37参照)。また、両当接突起部42は、本実施例では、第2レンズ保持枠22(その保持孔22a)の中心軸線(レンズ光軸)が撮影光軸OAに一致された状態において、第1ガイド軸51に当接されるばね受部材48の押圧端部48eと、撮影光軸OAに直交する同一面上で、第2ガイド軸52または第3ガイド軸53に当接可能な位置設定とされている。この両当接突起部42は、後述するように、直進筒23の鍔部23aの後方側の空間において、撮影光軸OAに直交する面内での第2レンズ保持枠22の位置決めのために設けられている。
3つの案内嵌入部43は、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出された柱状を呈し、延出端にカム突起43aが設けられている。この各カム突起43aは、上述した第1回転カム筒56と第2回転カム筒57とにより形成される進退カム溝に係合可能とされている(図41参照)。
2つのカム受部44は、第2レンズ保持枠22の後側縁部(像面側)から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈し、調整カム部材65を保持するものである(図38ないし図40参照)。この両カム受部44は、保持する調整カム部材65を介して調整レンズ保持枠61を支持することが可能とされている(図41参照)。
径側付勢部材保持部45は、第2レンズ保持枠22の後側縁部(像面側)から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈し、板バネ部材である径側付勢部材58を保持するものである(図38ないし図40参照)。その径側付勢部材58は、図38および図41に示すように、撮影光軸OAに直交する面に沿って2つの調整カム部材65に向けた付勢力を調整レンズ保持枠61に付与することにより、両調整カム部材65と協働して調整レンズ保持枠61を保持する。
2つの軸側付勢部材保持部46は、図31に示すように、第2レンズ保持枠22の後側縁部(像面側)から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈し、軸側付勢部材59を保持するものである(図38ないし図40参照)。その軸側付勢部材59は、図38ないし図40に示すように、調整レンズ保持枠61に撮影光軸OA方向の物体側への付勢力を付与するものであり、板状のばね部材で形成されている。これにより、第2レンズ保持枠22の保持孔22aでは、調整レンズ保持枠61(嵌合保持する第2レンズ群12の最も像面側の1枚のレンズ)が物体側へ向けて間隔環66に常時圧接されるとともに、その間隔環66が物体側へ向けて第2レンズ群12の他のレンズに常時圧接される(図2参照)。
2つの係合突起部47は、図31に示すように、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出され、かつその延出端から像面側(図31を正面視して上方)に延出された板状を呈し、撮影光軸OA方向および径方向を含む断面で見て全体にL字形状を呈する。この両係合突起部47は、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)で見て所定の間隔を置いて設けられており、本実施例では、撮影光軸OAに関して対称な位置関係とされている(図37および図41等参照)。各係合突起部47には、第4付勢部材55の一端55aが引っ掛けられる(図38参照)。
その第4付勢部材55は、第2レンズ保持枠22を直進筒23の鍔部23aへ向けて付勢すべく、第2レンズ保持枠22と鍔部23aとを引き寄せるものであり、本実施例ではコイルスプリングである引張コイルばねが用いられている(図38および図39参照)。なお、第4付勢部材55は、上記した機能を有するものであれば、引張コイルばねではなく圧縮ばねや板ばねやねじりコイルばね等であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
この第2レンズ保持枠22は、図37に示すように、ばね受部材48と第3付勢部材54とが設けられた付勢機構保持部41の軸受凹所41aで第1ガイド軸51を保持しつつ、一方の当接突起部42aを第2ガイド軸52に当接させかつ他方の当接突起部42bを第3ガイド軸53に当接させるように、第1回転カム筒56が嵌入された直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間(図2参照)に収容される。このとき、付勢機構保持部41では、保持貫通孔41b内に保持された第3付勢部材54が、ばね受部材48を介して、第1ガイド軸51と保持貫通孔41bの内側端面41fすなわち第2レンズ保持枠22とを離間させるように付勢している(矢印A3参照)。このため、第2レンズ保持枠22は、鍔部23aに固定された第1ガイド軸51を基準とする第3付勢部材54からの付勢力により(矢印A3参照)、両当接突起部42を介して第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに押し当てられる。また、ばね受部材48は、鍔部23aに固定された第2ガイド軸52および第3ガイド軸53(そこに押し当てられた第2レンズ保持枠22)を基準とする第3付勢部材54からの付勢力により(矢印A3参照)、押圧端部48eを介して第1ガイド軸51に押し当てられる。このため、本実施例では、第1ガイド軸51は、基準ガイド軸として機能し、ばね受部材48と第3付勢部材54とは、撮影光軸OAに直交する面に沿って、基準ガイド軸(51)から離間する方向であって他の2つのガイド軸(52、53)へ向けて第2レンズ保持枠22を押圧(付勢)すべく当該第2レンズ保持枠22に保持された付勢機構として機能する。これにより、撮影光軸OAすなわち第2レンズ保持枠22を取り囲む3つのガイド軸(51、52、53)では、その内方から外方へと向かう方向で撮影光軸OAに直交する面に沿って、付勢機構を含む第2レンズ保持枠22が押し当てられていることとなる。このことから、第2レンズ保持枠22は、実質的に第1ガイド軸51と第2ガイド軸52と第3ガイド軸53との3方向に押し当てられて、直進筒23に対して撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めされる。このとき、付勢機構保持部41の軸受凹所41aが第1ガイド軸51を保持していることから、第2レンズ保持枠22は、直進筒23に対する撮影光軸OA回りの相対的な回転が防止されている。このため、第1ガイド軸51、第2ガイド軸52、第3ガイド軸53、付勢機構保持部41、第3付勢部材54、ばね受部材48および両当接突起部42が、直進筒23に対する撮影光軸OAに直交する面に沿う方向での第2レンズ保持枠22の位置決め機構として機能する。
加えて、第2レンズ保持枠22では、2つの係合突起部47に、他端55bが直進筒23の鍔部23aに固定された各第4付勢部材55の一端55a(図6参照)が引っ掛けられる。このため、第2レンズ保持枠22は、第4付勢部材55により直進筒23内で鍔部23a側(物体側)へと付勢され、各カム突起43aが進退カム溝を規定する第1回転カム筒56の進退カム面56b(図30参照)に押し当てられる。この直進筒23において、第2回転カム筒57が第1回転カム筒56内に嵌入装着され、進退カム面56b(図30参照)に押し当てられた各カム突起43aを受け入れるように、その進退カム面56bと補助カム面57aとにより進退カム溝(図30参照)が形成される。このため、第2レンズ保持枠22は、回転筒24の固定筒25に対する回転駆動により、第1回転カム筒56と第2回転カム筒57とから為る筒体が直進筒23内で回転駆動されると、当該筒体の回転姿勢に応じて、各カム突起43aが係合する第1回転カム筒56の進退カム面56b(進退カム溝(図30参照))のカム軌跡に倣うように、直進筒23に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される(図2(a)および(b)参照)。このとき、第2レンズ保持枠22は、ばね受部材48(押圧端部48e)が軸受凹所41aに受け入れられた第1ガイド軸51に押し当てられているとともに、両当接突起部42が第2ガイド軸52と第3ガイド軸53に押し当てられて、直進筒23に設けられていることから、直進筒23に対する撮影光軸OA方向への直進移動が妨げられることはなく、位置決めされた状態を維持しつつ撮影光軸OA方向へと直進移動することができる。また、第2レンズ保持枠22は、撮影光軸OA方向への直進移動の際、第4付勢部材55により物体側に常時付勢されていることから、ガタつきを防止することができるとともに、第1レンズ群11(それを固定保持する直進筒23)に対する位置関係の精度を高めることができる。このため、第1回転カム筒56(その進退カム面56b)と第2回転カム筒57(その補助カム面57a)と第2レンズ保持枠22の各カム突起43aとは、固定筒25(ベース部材28)に対する回転筒24の回転駆動に伴って、直進筒23に対して第2レンズ保持枠22(第2レンズ群12)を撮影光軸OA方向に進退移動させる回転カムユニット26として機能する。また、その回転カムユニット26と回転筒24を回転駆動させる駆動装置36(図1参照)とは、直進筒23に対して第2レンズ保持枠22を撮影光軸OA方向に進退移動させるべく移動力を付与する進退移動機構として機能する。さらに、第2レンズ保持枠22は、第1のレンズ保持枠として機能し、直進筒23は、第2レンズ保持枠22を撮影光軸OA方向に進退移動可能に保持する保持筒として機能する。このため、第1レンズ保持枠21は、第2のレンズ保持枠として機能する。
このレンズ鏡胴10は、次のように組み付ける。なお、以下に記載する組み付け手順は一例であって、本実施例に限定されるものではない。
先ず、第2レンズ保持枠22の各カム受部44に調整カム部材65を装着し、その保持孔22aに、第2レンズ群12(間隔環66および調整レンズ保持枠61を含む)を挿入する。この第2レンズ保持枠22の径側付勢部材保持部45に径側付勢部材58を装着し、2つの軸側付勢部材保持部46のそれぞれに軸側付勢部材59を装着する(図38ないし図40参照)。
その第2レンズ保持枠22を、付勢機構保持部41の軸受凹所41aに第1ガイド軸51を挿入し、一方の当接突起部42aを第2ガイド軸52に当接させかつ他方の当接突起部42bを第3ガイド軸53に当接させるように、第1回転カム筒56を嵌入した直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に収容する(図37および図41参照)。この第2レンズ保持枠22の係合突起部47に、他端55bが直進筒23の鍔部23aに固定された第4付勢部材55の一端55aを引っ掛ける(図38ないし図40参照)。
また、直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)の空間に、上述したように、第1レンズ群11およびシャッタ/絞りユニット13を、他の上述した各部材とともに組み付ける。この状態において、図示を略す回動部材(回動装置)を用いて調整カム部材30を直進筒23に対して回動させて、第1レンズ群11の撮影光軸OA方向での位置を調整して決定する。その後、第2レンズ群12の光学的な特性を観察しつつ両調整カム部材65を適宜回転操作して、その光学的な特性が適切な状態となるように、第2レンズ保持枠22における第2レンズ群12の調芯作業を行い、当該位置を決定する。その直進筒23を、固体撮像素子14、回転筒24、固定筒25、連結枠27、ベース部材28、ライナー29、段付枠部34および基板35とともに、レンズ鏡胴10として組み付ける。
このレンズ鏡胴10では、駆動装置36からの駆動力が伝達されることにより、固定筒25に対して回転筒24が回転駆動される。直進筒23は、固定筒25に対して回転駆動される回転筒24の回転姿勢に応じて、カムフォロア23bが係合する回転筒24のカム溝24cのカム軌跡に倣うように、ベース部材28(固定筒25)に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される(図2参照)。このとき、第2レンズ保持枠22は、回転カムユニット26としての第1回転カム筒56および第2回転カム筒57から為る筒体が、回転筒24とともに固定筒25(ベース部材28)に対して回転駆動することにより、当該筒体の回転姿勢に応じて、各カム突起43aが係合する第1回転カム筒56の進退カム面56b(進退カム溝(図30参照))のカム軌跡に倣うように、直進筒23に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される(図2参照)。
このため、レンズ鏡胴10では、収納状態(図2(a)参照)と撮影状態(図2(b)参照)との間での動作において、第1レンズ保持枠21で保持した第1レンズ群11および第2レンズ保持枠22で保持した第2レンズ群12が撮影光軸OA上を進退移動されるとともに、第1レンズ群11およびシャッタ/絞りユニット13に対する第2レンズ群12の間隔が適宜変化される。この移動の様子を図42のグラフに示す。この図42のグラフは、収納状態と撮影状態との間での第1レンズ群11および第2レンズ群12の動作を示したものである。図42では、縦軸が、収納状態での第1レンズ群11の位置を基準として、撮影光軸OA方向で見て物体側を正方向とした第1レンズ群11および第2レンズ群12の位置とそれらの相対距離とを表し、横軸が、撮影光学系における状態(収納状態および撮影状態等)の移行を表している。ここでの相対距離とは、第1レンズ群11から見て第2レンズ群12までの間隔寸法を言う。レンズ鏡胴10は、本実施例では、第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22と、第1レンズ群11を保持する第1レンズ保持枠21と、を組み合わせて構成されており、図42に示すように、その第2レンズ群12と第1レンズ群11との相対距離の可変(いわゆるフローティング)な撮影光学系を形成している。このため、直進筒23、回転筒24、固定筒25、連結枠27、ベース部材28およびライナー29は、第1レンズ保持枠21および第2レンズ保持枠22を内部で移動可能に保持するレンズ鏡筒として機能する。
次に、上述の実施例に示したレンズ鏡胴10を含む光学系装置を、撮影光学系として採用してカメラ(撮像装置)100を構成した例について図43ないし図45を参照して説明する。図43は、物体、すなわち物体側である前面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図44は、撮影者側である背面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図45は、カメラ100の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラ100について説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラ100と実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を採用してもよい。また、同様に、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を画像入力装置に採用してもよい。
図43および図44に示すように、カメラ100は、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等を備えている。さらに、図45に示すように、カメラ100は、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード206等も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラ100は、撮影レンズ101と、CCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201と、を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101により形成される撮影対象となる物体、つまり被写体の像を受光素子201により読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、本実施例において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴10を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する(例えば、固体撮像素子14(図2参照)を用いて受光素子201を構成する)。レンズ鏡胴10は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラ100に組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204により制御される信号処理装置202によって処理され、デジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によりデジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。
撮影レンズ101は、カメラ100の携帯時には図43(a)に示すように沈胴状態(図2(a)参照)にあってカメラ100のボディ内に埋没している。ユーザーが電源スイッチ108を操作すると、電源が投入され、図43(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラ100のボディから突出して撮影状態(図2(b)参照)となる構成とする。このとき、第1レンズ群11から第2レンズ群12が焦点距離可変のズームレンズを構成する場合、撮影レンズ101のレンズ鏡胴10の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させたりする際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
この本実施例のレンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22を、保持筒としての直進筒23に対する第2レンズ保持枠22の進退方向である撮影光軸OA方向に延在して当該直進筒23(その鍔部23a)に固定された第1ガイド軸51と第2ガイド軸52と第3ガイド軸53に押し当てることにより、直進筒23に対して撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めすることができる。このため、進退位置に拘らず直進筒23に対する第2レンズ保持枠22すなわち第2レンズ群12の位置を適切なもの(本実施例では、そのレンズ光軸を撮影光軸OAに一致させる)とすることができる。
また、レンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22に設けられた第3付勢部材54からの付勢力により、実質的に第2レンズ保持枠22が第1ガイド軸51と第2ガイド軸52と第3ガイド軸53との3方向に押し当てて、直進筒23に対して撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めすることができる。このことから、第2レンズ保持枠22が直進筒23内で撮影光軸OA方向に移動されても、常に第2レンズ保持枠22(付勢機構を含む)のばね受部材48および両当接突起部42を3つのガイド軸(51、52、53)への当接位置とすることができる。このため、第2レンズ保持枠22から見た支持状態、すなわち支持点となる3つのガイド軸(51、52、53)に対する第2レンズ保持枠22における当接箇所を、進退位置に拘らず一定のものとすることができる。これにより、進退位置に拘らず第2レンズ保持枠22すなわち第2レンズ群12を撮影光軸OA上の適切な位置とすることができる。
さらに、レンズ鏡胴10では、支持点となる3つのガイド軸(51、52、53)に対して、内方から外方へと向かう方向で撮影光軸OAに直交する面に沿って第2レンズ保持枠22を押し当てることができるので、より安定して直進筒23に対して第2レンズ保持枠22(付勢機構を含む)を位置決めすることができる。これは、従来技術のように、レンズ保持枠を保持する固定枠に設けた板バネによる押圧で、そのレンズ保持枠を固定枠内の2つの突条部に当接させる構成では、レンズ保持枠から見ると、1つの支持点では外方から内方へと押圧されているとともに残りの2つの支持点では内方から外方へと押圧されていることによる。
レンズ鏡胴10では、3つのガイド軸(51、52、53)へと第2レンズ保持枠22を押し当てるための第3付勢部材54(付勢機構)が第2レンズ保持枠22に設けられていることから、第2レンズ保持枠22の進退位置に拘らず、当該第2レンズ保持枠22に対する付勢箇所を一定のものとすることができるので、第2レンズ保持枠22に対して作用する付勢力およびその作用の仕方を一定に保つことができる。このため、進退位置に拘らず第2レンズ保持枠22すなわち第2レンズ群12を撮影光軸OA上の適切な位置とすることができる。
レンズ鏡胴10では、支持点となる3つのガイド軸(51、52、53)に対して、内方から外方へと向かう方向で撮影光軸OAに直交する面に沿って第2レンズ保持枠22を押し当てることにより、直進筒23に対して第2レンズ保持枠22(付勢機構を含む)をより安定して位置決めすることができるので、より安定して第2レンズ保持枠22を進退移動させることができる。
レンズ鏡胴10では、3つのガイド軸(51、52、53)に対する当接位置となるばね受部材48および両当接突起部42が、進退位置に拘らず撮影光軸OAに直交する同一面上に位置されていることから、より安定して第2レンズ保持枠22(付勢機構を含む)を直進筒23に対して位置決めすることができる。
レンズ鏡胴10では、3つのガイド軸(51、52、53)により位置決めされた第2レンズ保持枠22に対して、進退移動機構が撮影光軸OA方向への移動力を付与することから、各ガイド軸により位置決めされた状態を維持しつつより安定して第2レンズ保持枠22を進退移動させることができる。
レンズ鏡胴10では、単一の第3付勢部材54の付勢力を、第1ガイド軸51から第2レンズ保持枠22を離間させる方向であって当該第2レンズ保持枠22を第2ガイド軸52および第3ガイド軸53へ向けて押圧する方向に作用させていることから、簡単な構成で、第2レンズ保持枠22の進退位置に拘らず、撮影光軸OAを取り囲む3つのガイド軸(51、52、53)に対して、第2レンズ保持枠22を内方から外方へと向かう方向で撮影光軸OAに直交する面に沿って押し当てることができる。
レンズ鏡胴10では、3つのガイド軸(51、52、53)へと第2レンズ保持枠22を押し当てるための第3付勢部材54が第2レンズ保持枠22に設けられていることから、当該第2レンズ保持枠22の進退移動量の設定自由度を向上させることができる。これは、従来技術のように、進退移動可能なレンズ保持枠を保持する固定枠に板バネを設ける構成では、進退方向で見て、レンズ保持枠の一部が常に板バネによる押圧位置に存在している必要があることによる。
レンズ鏡胴10では、第3付勢部材54の付勢方向が第1ガイド軸51から撮影光軸OAへと向かう方向とされていることから、より安定して第2レンズ保持枠22を第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに押し当てることができるので、より安定して位置決めすることができる。
レンズ鏡胴10では、第3付勢部材54の付勢方向が第1ガイド軸51から撮影光軸OAへと向かう方向とされているとともに、第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とが第1ガイド軸51から撮影光軸OAへと向かう方向に関して線対称となる位置関係、すなわち基準ガイド軸となる第1ガイド軸51から撮影光軸OAを中心とする互いに逆回りの周回方向で見て等しい間隔となる位置関係、とされていることから、第3付勢部材54からの付勢力を第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに略均等に分配することができるので、より安定して位置決めすることができる。
レンズ鏡胴10では、付勢機構保持部41により第3付勢部材54の付勢方向が規制されていることから、より安定して第2レンズ保持枠22を第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに押し当てることができるので、より安定して位置決めすることができる。
レンズ鏡胴10では、付勢機構保持部41において、ばね受部材48の移動方向を規制するとともに、その移動方向に沿って当該ばね受部材48を第3付勢部材54で付勢させる構成としていることから、簡易な構成で、基準ガイド軸となる第1ガイド軸51から離間する方向であって他の2つのガイド軸となる第2ガイド軸52および第3ガイド軸53へ向けて第2レンズ保持枠22を押圧(付勢)すべく当該第2レンズ保持枠22に保持された付勢機構を形成することができる。
レンズ鏡胴10では、3つのガイド軸(51、52、53)が円柱形状であるとともに、そこに当接される箇所(ばね受部材48の押圧端部48eおよび両当接突起部42の延出端面)が平坦面とされていることから、互いの接触箇所を線状とすることができるので、進退駆動の際の摩擦抵抗を低減しつつバランスの良い3点支持を可能とすることができる。
レンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22が第4付勢部材55により物体側に常時付勢されていることから、撮影光軸OA方向への直進移動の際のガタつきを防止することができるとともに、第1レンズ群11(それを固定保持する直進筒23)に対する位置関係の精度を高めることができる。
レンズ鏡胴10では、直進筒23の鍔部23aに対して第2レンズ保持枠22を物体側に常時付勢する第4付勢部材55が引張コイルばね(コイルスプリング)で構成されていることから、直進筒23内で第2レンズ保持枠22が撮影光軸OA方向へと進退されることの妨げとなることを防止しつつガタつきを防止することができる。これは、第2レンズ保持枠22の移動量を大きく設定する場合、第4付勢部材55では、付勢可能距離が長いこととばね定数が低いこととが求められるが、引張コイルばねでは両者を兼ね備える設定とすることが容易であることによる。
レンズ鏡胴10では、直進筒23の鍔部23aに対して第2レンズ保持枠22を物体側に常時付勢する第4付勢部材55が引張コイルばねで構成されていることから、第2レンズ群12の位置精度をより向上させつつガタつきを防止することができる。これは、例えば、第4付勢部材55として板ばねを用いてねじで締結させる構成とする場合、取り付け箇所への締結圧の変化が第4付勢部材55への付勢力に影響を及ぼす場合があるが、引張コイルばねの場合そのような影響を略防止することができることによる。このため、第2レンズ群12として、光学的により位置精度が重要となる光学部材(レンズ)を採用することができる。
レンズ鏡胴10では、直進筒23(その鍔部23a)に固定された第1ガイド軸51と第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに第2レンズ保持枠22を押し当てることにより、直進筒23に対して撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めする構成であることから、この位置決めに関係する部材を明確化することができるので、位置決め制度の管理の観点からの各構成部品における寸法管理を簡易化することができる。
レンズ鏡胴10では、直進筒23において、第2レンズ保持枠22が物体側へと付勢されているとともに、第1レンズ保持枠21が像面側へと付勢されているので、第1レンズ群11と第2レンズ群12との間隔をより適切なものとすることができ、全体としての光学性能を向上させることができる。
レンズ鏡胴10では、第1レンズ保持枠21を像面側へと付勢する各第2付勢部材33が板バネで構成されていることから、撮影光軸OA方向で見た長さ寸法(厚さ寸法)の増大を招くことを防止することができる。これは、第1レンズ保持枠21に保持された第1レンズ群11は、撮影光学系において最も物体側に位置される箇所となることから、それよりも物体側に位置するもの(部材等)は、レンズ鏡胴10の厚さ寸法を増大させることとなることによる。
レンズ鏡胴10では、第1レンズ保持枠21を像面側へと付勢する各第2付勢部材33を物体側から組み付けることが可能とされているので、厚さ寸法の増大を招くことを防止しつつ良好な組み付け性を確保することができる。これは、直進筒23の鍔部23aの前方側(物体側)の空間には、物体側が大きな外径寸法とされた第1レンズ保持枠21が収容されるとともに、その裏側(像面側)にシャッタ/絞りユニット13が収容されることから、第1レンズ保持枠21の裏側に当該第1レンズ保持枠21を像面側へと付勢する部材を設ける空間を確保することが困難であるとともに、第1レンズ保持枠21の裏側にそのような付勢部材を取り付けることが困難であることによる。
レンズ鏡胴10では、第1付勢部材32において、取付板部32bが、押圧腕部32aに対して直交するように屈曲されて連続されていることから、取付板部32bを固定することによる厚さ寸法の増大を極力抑えることができるとともに第1レンズ保持枠21を撮影光軸OAに直交する方向(径方向)に付勢することができる。
レンズ鏡胴10では、第1レンズ保持枠21が、各第2付勢部材33、それが固定されたばね受け部材31および調整カム部材30により、直進筒23に対する撮影光軸OAに直交する方向での位置が決められた状態を維持したまま、撮影光軸OA方向での位置の調整が可能とされていることから、第1レンズ群11をより適切な位置とすることができる。
レンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22(付勢機構を含む)を適切に位置決めしつつ進退自在に保持する直進筒23に、第1レンズ保持枠21を保持させることができることから、適切に位置決めされた状態を維持しつつより安定して進退移動させることができる第2レンズ保持枠22を、そのまま撮像光学系として組み込むことができるので、より高い撮像性能を得ることができる。
したがって、本発明に係るレンズ鏡胴10では、撮影光軸OAに直交する方向で見た当該撮影光軸OAに対する第2レンズ群12の位置を、進退位置に拘らず所定のものとすることができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係るレンズ鏡胴の一例としてのレンズ鏡胴10について説明したが、少なくとも2つ以上のレンズからなるレンズ群と、該レンズ群を保持するレンズ保持枠と、該レンズ保持枠を前記レンズ群のレンズ光軸方向に進退可能に保持する保持筒と、該保持筒に対して前記レンズ保持枠を進退させる進退移動機構と、を有するレンズ鏡胴であって、前記レンズ保持枠を取り囲みつつ前記レンズ光軸方向に延在して前記保持筒内に対して固定的に設けられた3つのガイド軸と、該各ガイド軸のいずれか1つを基準ガイド軸として、該基準ガイド軸と前記レンズ保持枠との間で該レンズ保持枠に保持され、前記レンズ光軸方向に直交する面に沿って、前記基準ガイド軸から離間させる方向であって前記各ガイド軸の残りの2つへ向けて前記レンズ保持枠を付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とするレンズ鏡胴であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、付勢機構が、ばね受部材48と第3付勢部材54とにより構成され、付勢機構保持部41においてばね受部材48の移動方向を規制するとともにその移動方向に沿って当該ばね受部材48を第3付勢部材54で付勢させる構成とされていたが、基準ガイド軸(51)とレンズ保持枠(22)との間で該レンズ保持枠に保持され、レンズ光軸(撮影光軸OA)方向に直交する面に沿って、基準ガイド軸から離間させる方向であって各ガイド軸の残りの2つへ向けてレンズ保持枠を付勢するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、第2レンズ保持枠22(第2レンズ群12)が、付勢機構により、レンズ光軸(撮影光軸OA)方向に直交する面に沿って、3つのガイド軸のうちの基準ガイド軸から離間させる方向であって各ガイド軸の残りの2つへ向けて付勢されるレンズ保持枠(第1のレンズ保持枠)とされていたが、保持筒(上記した実施例では直進筒23)に対して進退自在とされたレンズ保持枠であれば、他のレンズ保持枠(例えば、第1レンズ保持枠21)であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、第2レンズ保持枠22(第2レンズ群12)が、第4付勢部材55により、レンズ光軸(撮影光軸OA)方向の物体側(鍔部23a側)に付勢されていたが、第2レンズ保持枠22(第2レンズ群12)のレンズ光軸(撮影光軸OA)方向への直進移動の際のガタつきを防止することができるものであれば、像面側に付勢する構成であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、3つのガイド軸(51、52、53)が直進筒23の鍔部23aに固定されていたが、レンズ保持枠(上記した実施例では第2レンズ保持枠22)を進退自在に保持する保持筒(上記した実施例では直進筒23)に対して固定的に設けられているものであれば、直接的に保持筒に固定されていなくてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、第2レンズ保持枠22の第2レンズ群12のレンズ光軸と、撮像光学系(レンズ鏡胴10)の撮影光軸OAと、が一致されていたが、撮影光軸OAに直交する方向で見た、当該撮影光軸OAに対するレンズ保持枠(上記した実施例では第2レンズ保持枠22)すなわちそのレンズ光軸の位置を所定の位置とすべく位置決めするものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明のレンズ鏡胴(撮影装置)を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。