JP2012097294A - 製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法及び製造設備 - Google Patents

製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法及び製造設備 Download PDF

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Abstract

【課題】水分を含有する製鉄スラッジや製鉄ダストを、特別な乾燥処理を施すことなく適切に造粒し、炉原料に好適な造粒物を製造する。
【解決手段】製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造する方法であって、造粒すべき原料を入れるドラム内を公転する撹拌翼と、ドラム内を撹拌翼とともに公転しつつ自転する撹拌ロータを備えた造粒物製造装置を用い、製鉄スラッジの解砕処理、製鉄スラッジと製鉄ダスト及び固化剤の混合処理を順次行い、さらに必要に応じて原料の予備的な造粒処理を行う工程(イ)と、この工程で処理された原料を転動造粒機に投入し、原料の造粒処理と造粒物表面を平滑化する整粒処理を行う工程(ロ)を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料を塊状に造粒し、シャフト炉などの炉原料として利用可能な造粒物を製造するための製造方法及び製造設備に関する。
製鉄プロセスでは、鋼材表面の酸洗処理において金属分が溶出した廃液が発生し、この廃液中の金属成分が、酸洗スラッジや中和スラッジ等の製鉄スラッジとして回収される。また、製鉄プロセスの種々の工程では、湿式集塵されたダストを脱水することにより高含水の製鉄ダストが生じる。こうした製鉄ダストや製鉄スラッジは、高含水でハンドリングが難しいという問題があるが、一方で、鉄や他の有用な金属(例えば、Ni、Crなど)を含有するものが多く、したがって、製鉄ダストや製鉄スラッジを炉の原料などとして再利用することは非常に有用なことである。
製鉄スラッジや製鉄ダストを炉(例えば、シャフト炉、転炉、電気炉、溶融還元炉など)の原料として再利用するためには、それらをブリケットやペレットなどに塊成化する必要がある。しかしながら、製鉄スラッジや製鉄ダスト中の金属分は酸化物や水酸化物の形態で存在するものが多く、微細で親水性が高い。このためフィルタープレスなどによる脱水を行っても、水分を多く含む粘土質状のものとなる場合が多く、取り扱いが困難である。また、これら製鉄スラッジや製鉄ダストを乾燥するには、自然乾燥は困難であるため、ロータリーキルンなどのような専用の乾燥機を用いる必要があり、多量の熱源が必要になるためコスト高になる。
高含水の製鉄スラッジや製鉄ダストを有効利用する技術として、製鉄スラッジを脱水し、乾燥したものに製鉄ダストやスケールを加え、さらにはバインダーを添加して固め、フェロアロイ製造用原料などにする方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
特開昭52−88519号公報 特開昭52−88520号公報
しかし、この従来技術は、製鉄スラッジを専用の乾燥機で乾燥した上で、乾燥ダストやバインダーなどを加えてブリケットやペレットにする方法であるため、設備コストや運転コストがかかる問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、水分を含有する製鉄スラッジや製鉄ダストを、特別な乾燥処理を施すことなく適切に造粒し、炉原料に好適な造粒物を得ることができる造粒物の製造方法、特に、高含水の製鉄スラッジの配合比率が比較的高い原料であっても、適正な造粒物を得ることができる製造方法を提案することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような製造方法の実施に好適な製造設備を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決にするために検討を行った結果、特許第3703640号公報に示されるような混合撹拌型の原料処理装置(汚泥の脱水ケーキや建設残土などの再生造粒物の製造装置)を一部工程に利用し、製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする造粒用原料を一連の特定の工程で処理することにより、高含水の製鉄スラッジの配合比率が比較的高い原料からであっても所望の適正な造粒物が得られることを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造する方法であって、下記工程(イ),(ロ)を有することを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
(イ):処理すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた原料処理装置を用い、下記処理(A),(B)を順次行う。
(A):ケーキ状の製鉄スラッジを解砕処理する。
(B):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。
(ロ):工程(イ)を経た原料を転動造粒機に投入し、原料の造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う。
[2]製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造する方法であって、下記工程(イ),(ロ)を有することを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
(イ):処理すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた原料処理装置を用い、下記処理(A)〜(C)を順次行う。
(A):ケーキ状の製鉄スラッジを解砕処理する。
(B):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。
(C):処理(B)で混合された原料の予備的な造粒処理を行う。
(ロ):工程(イ)を経た原料を転動造粒機に投入し、原料の最終的な造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う。
[3]上記[1]又は[2]の製造方法において、工程(イ)の処理(B)が、下記処理(B1)、(B2)からなることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
(B1):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストを加え、混合処理する。
(B2):処理(B1)で混合処理された原料に固化剤を加え、混合処理する。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、工程(イ)で使用する原料処理装置は、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度が可変であり、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度を選択することにより、処理(A),(B)又は処理(A)〜(C)を順次行うことを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)は、一方の公転方向での公転時には、上面側で原料を掻き上げる作用をし、他方の公転方向での公転時には、下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
[6]上記[5]の製造方法において、工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)は、公転軌道のほぼ接線方向において、水平面に対して上下方向の傾きを有し、傾き下端側を先端として公転する場合に、その上面側で原料を掻き上げる作用をし、傾き上端側を先端として公転する場合に、その下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
[7]上記[5]又は[6]の製造方法において、工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)は、ドラム底面(100)との間隔を変更するための間隔調整機構(14)を有し、撹拌翼(2)が上面側で原料を掻き上げる作用をする際には前記間隔を狭め、撹拌翼(2)が下面側で原料を圧縮する作用をする際には前記間隔を拡げることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
[8]上記[3]〜[7]のいずれかの製造方法において、工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)が、上面側で原料を掻き上げる作用をする公転方向に公転する場合を「正回転」、下面側で原料を圧縮する作用をする公転方向に公転する場合を「逆回転」とし、撹拌ロータ(3)が撹拌翼(2)の「正回転」の公転と同じ回転方向に自転する場合を「正回転」とした場合に、工程(イ)の処理(A),(B)又は処理(A)〜(C)を下記のように行うことを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
・工程(イ)で処理(A),(B)を順次行う場合
処理(A):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理と、撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理を、交互に1回以上行う。
処理(B1):撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる混合処理を行う。
処理(B2):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる混合処理を行う。
・工程(イ)で処理(A)〜(C)を順次行う場合
処理(A):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理と、撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理を、交互に1回以上行う。
処理(B1):撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる混合処理を行う。
処理(B2):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる混合処理を行う。
処理(C):撹拌ロータ(3)を正回転で中速回転させながら、撹拌翼(2)を正回転で中速回転させることで予備的な造粒処理を行う。
[9]製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造するための設備であって、
造粒すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた原料処理装置(I)と、
原料処理装置(I)で処理された原料が投入され、原料の造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う転動造粒機(II)を備えることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造設備。
[10]上記[9]の製造設備において、原料処理装置(I)は、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度が可変であることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造設備。
本発明によれば、製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料を一連の特定の工程で処理することにより、特別な乾燥処理を施すことなく適切に造粒し、炉原料に好適な造粒物を製造することができる。特に、高含水の製鉄スラッジの配合比率が比較的高い原料からであっても、適正な造粒物を製造することができる。
本発明で使用する原料処理装置の一実施形態を示す一部切り欠き平面図 図1のII−II線に沿う断面図 図1の原料処理装置における撹拌翼の側面図 図1の原料処理装置における撹拌翼の公転方向と原料に及ぼす作用を示す説明図 本発明で使用する転動造粒機の一実施形態を示す一部切り欠き側面図 図5に示す転動造粒機の正面図 本発明の製造方法の工程(イ)において、処理(A)のなかの一部工程での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図 本発明の製造方法の工程(イ)において、処理(A)のなかの一部工程での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図 本発明の製造方法の工程(イ)において、処理(B1)での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図 本発明の製造方法の工程(イ)において、処理(B2)での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図 本発明の製造方法の工程(イ-2)において、処理(C)での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図
以下、本発明の製造設備について説明する。
本発明の製造設備は、製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造するための設備であって、原料に解砕・混合・予備的造粒の各処理を順次施すことが可能な原料処理装置(I)と、この原料処理装置(I)で処理された原料が投入され、原料の造粒処理と造粒物表面を平滑化する整粒処理を行う転動造粒機(II)を備える。
また、前記原料処理装置(I)は、原料が入れられるドラム1と、ドラム1内を公転する撹拌翼2と、ドラム1内を撹拌翼2とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ3を備え、好ましくは、撹拌翼2の公転方向及び公転速度と、撹拌ロータ3の自転速度を可変とする装置である。
なお、造粒物の製造に関する本発明の知見等については、本発明の製造方法に関する説明において詳細に述べる。
図1〜図3は、前記原料処理装置(I)の一実施形態を示すもので、図1は一部切り欠き平面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は撹拌翼の側面図である。
この原料処理装置(I)は、処理すべき原料(被処理物)が入れられる円筒形のドラム1を備え、このドラム1内には、ドラム内を公転する1対の撹拌翼2と、この撹拌翼2とともにドラム内を公転しながら自転する1対の撹拌ロータ3が備えられている。
前記ドラム1内には、その筒軸に沿った回転軸4が設けられている。この回転軸4は、ドラム1の外側下部に設けられたモータ5に変速機構6を介して接続され、モータ5の駆動力により回転駆動するとともに、変速機構6により回転方向・回転速度が任意に選択できる。
前記1対の撹拌翼2はドラム周方向において180°の位置関係にあり、各撹拌翼2はアーム7を介して回転軸4に保持されることで、ドラム1内を公転できるようになっている。また、この撹拌翼2の公転方向・公転速度は、上記のように変速機構6により任意に選択できる。
撹拌翼2は、一方の公転方向での公転時には、上面側で原料を掻き上げる作用をし、他方の公転方向での公転時には、下面側で原料を圧縮する作用をする機能を有している。このため、図3に示すように、各撹拌翼2は板状に構成されるとともに、公転軌道のほぼ接線方向において、水平面(=ドラム底面100)に対して上下方向の傾きを有している。なお、撹拌翼2の機能については、後に図4に基づき説明する。
さらに、各撹拌翼2は、上記のような機能をより高めるために、ドラム底面100との間隔(隙間)を変更するための間隔調整機構14を有している。この間隔調整機構14は、以下のような保持部材15、ブラケット16、枢着部17及びストッパー19などにより構成される。すなわち、撹拌翼2は脚状の保持部材15の下端部に固定され、この保持部材15は、上端がアーム7に設けられたブラケット16に回動可能に枢着17されることにより、アーム7に保持されている。これにより撹拌翼2は、その公転軌道のほぼ接線方向において上下回動可能である。前記ブラケット16には、保持部材15(及びこれに保持された撹拌翼2)を所定の回動位置で係止するためのストッパー19が設けられている。このストッパー19は、その係止位置を変えることにより、保持部材15(及びこれに保持された撹拌翼2)を図3に示すような2つの回動位置で係止できるようになっており、これにより撹拌翼2とドラム底面100との間隔(隙間)は、狭い間隔X1と広い間隔X2の2通りに調整できるようになっている。また、撹拌翼2のドラム底面100に対する傾きは、間隔X2の場合よりも間隔X1の場合の方が大きくなる。
前記ストッパー19の係止位置を変えるための機構としては、例えば、ストッパー19を油圧機構で可動式にするなど、適宜な機構を採用できる。
なお、本実施形態のような間隔調整機構14を設ける代わりに、ドラム底面100との間隔(隙間)が狭い撹拌翼2(例えば、図3の間隔X1に相当する間隔を有するもの)と、ドラム底面100との間隔(隙間)が広い撹拌翼2(例えば、図3の間隔X2に相当する間隔を有するもの)を、それぞれ1つ以上有するような装置構成としてもよい。
前記1対の撹拌ロータ3はドラム周方向において180°の位置関係にあり、次のような構成を有している。
各撹拌ロータ3は、垂直な保持軸8(回転軸)と、その下端側に多段に固定された複数の撹拌羽根18からなっている。各撹拌羽根18は、中心部から180°反対方向に延出する1対の羽根を備え、その中心部が保持軸8に取付固定されている。複数の撹拌羽根18は、保持軸8に対して周方向で角度をずらして固定され、これにより撹拌ロータ3を図1に示すような平面として見た場合、保持軸8から複数の羽根が放射状に延びる形態を有する。
前記回転軸4には、同回転軸から180°反対方向に延出するアーム9が固定され、このアーム9に、前記各撹拌ロータ3の保持軸8の上端側が回転可能に保持されている。アーム9にはモータ10が取り付けられ、その駆動軸13の回転が、同じくアーム9に設けられた変速機構11とチェン・スプロケットホイール等による動力伝達機構12を介して前記保持軸8に伝えられ、撹拌ロータ3を回転させるようになっている。
したがって、撹拌ロータ3は、撹拌翼2と一体となってドラム1内を公転でき、この公転方向・公転速度は、上記のように変速機構6により任意に選択できる。また、1対の撹拌ロータ3は、モータ10の駆動力により回転駆動、すなわち自転するとともに、その自転速度が変速機構11により任意に選択できる。なお、撹拌ロータ3は、変速機構11などによってその自転方向を変えられるようにしてもよい。
なお、撹拌ロータ3を構成する最下段の撹拌羽根18の下面には、ドラム底面100との間で適当な隙間Yを有するようにして複数のピン20が突設されている。このピン20は、ドラム底面100に付着した原料を掻き落とす働きをする。
その他図面において、21は、アーム9に付設され、撹拌翼2や撹拌ロータ3とともにドラム内を公転するスクレーパであり、ドラム内壁に付着する原料を掻き落とす働きをする。
このような原料処理装置(I)では、ドラム1内に造粒用の原料を入れてモータ5とモータ10を駆動させ、ドラム1内で撹拌翼2を公転させ且つ撹拌ロータ3を公転させながら自転させることで、原料を処理する。その際、撹拌翼2及び撹拌ロータ3の公転方向・公転速度、撹拌ロータ3の自転速度を任意に調整することができ、さらには撹拌翼2とドラム底面100との間隔を変更することができ、これらの設定により装置の機能を変えることができる。
図4は、撹拌翼2の公転方向と原料に及ぼす作用との関係を示している。撹拌翼2は、公転軌道のほぼ接線方向において、水平面に対して上下方向の傾きを有しているが、図4(A)に示すように、傾き下端側を先端として公転する場合(後述する図7〜図11の説明では「正回転」という)、撹拌翼2は、その上面側で原料を掻き上げる作用をする。また、この公転方向の場合、間隔調整機構14により撹拌翼2とドラム底面100の間隔を小さくすれば(=図3の間隔X1)、撹拌翼2による原料の掻き上げ作用をより高めることができる。一方、図4(B)に示すように、傾き上端側を先端として公転する場合(後述する図7〜図11の説明では「逆回転」という)、撹拌翼2は、その下面側で原料を圧縮する作用をする。また、この公転方向の場合、間隔調整機構14により撹拌翼2とドラム底面100の間隔を大きくすれば(=図3の間隔X2)、撹拌翼2による圧縮作用を原料に対してより効果的に及ぼすことができる。
なお、図4における実線矢印は、撹拌翼2の公転によって原料が相対的に移動する方向を示している。
図5および図6は、前記転動造粒機(II)の一実施形態を示すもので、図5は一部切り欠き側面図、図6は正面図である。この転動造粒機(II)は、原料処理装置(I)で処理された原料の造粒処理と造粒物表面を平滑化する整粒処理を行うための装置である。
この転動造粒機(II)は、ドラム型容器36と、このドラム型容器36を支持し且つドラム周方向に回転させる支持・回転駆動機構37を有している。
前記ドラム型容器36は、一端側に原料投入口38、他端側に原料排出口39を有し、この他端側に向かって下向きに傾斜した状態で、周方向回転可能に支持されている。このドラム型容器36の両端に近い位置の外周には、回転駆動用の歯車40が設けられている。
前記支持・回転駆動機構37は、ドラム型容器36の下部位置において前記歯車40と噛み合い且つドラム型容器36を支持する複数のピニオン41を有している。これらのピニオン41は、駆動装置42により回転駆動する。ドラム型容器36は、この複数のピニオン41に支持されつつ、ピニオン41と歯車40により、周方向で回転駆動する。ドラム型容器36の原料投入口38には、前記原料処理装置(I)からの搬送コンベア35が導かれ、原料が投入される。
なお、転動造粒機(II)は、原料を造粒し且つ造粒物表面を平滑化できるものであればよく、したがって、本実施形態のようなドラム型転動造粒機の他に、例えば、皿型転動造粒機(ディスクペレタイザイー)などを用いてもよい。
次に、本発明の製造方法の詳細と、上述した製造設備を用いた実施形態について説明する。
本発明の製造方法では、製鉄スラッジと製鉄ダスト(以下、説明の便宜上、これらを総称して「スラッジ・ダスト」という場合がある)を主体とする原料を造粒し、造粒物を製造する。原料中には固化剤が配合されるが、さらに必要に応じて、水分調整のための水を添加してもよい。
本発明において、主原料として製鉄スラッジと製鉄ダストを用いるのは、相対的な水分含有量が製鉄スラッジ>製鉄ダストであることから、製鉄スラッジと製鉄ダストを混合することにより、造粒に好適な原料水分量とすることができるからである。
製鉄スラッジとしては、例えば、圧延スラッジ、メッキスラッジ、酸洗スラッジなどが挙げられる。一般に、製鉄スラッジの水分量は40〜70mass%程度である。
製鉄ダストとしては、例えば、高炉ダスト、焼結ダスト、転炉ダスト、予備処理ダストなどが挙げられる。湿式集塵された製鉄ダストは相当量の水分を含み、一般に水分量は5〜35mass%程度である。なお、このような相当量の水分を含む製鉄ダストに対して、水分調整などの目的で乾燥粉である製鉄ダスト(乾式集塵されたもの)を配合してもよい。
固化剤としては、セメントが一般的であるが、生石灰、消石灰などを用いてもよく、これら固化剤の1種又は2種以上を用いることができる。
製鉄スラッジと製鉄ダストの配合比は、造粒物の所望の水分量などに応じて適宜選択すればよいが、一般には、製鉄スラッジ/製鉄ダスト=1/2前後の質量比が好ましい。
また、原料中での固化剤の配合割合は、造粒物に求められる強度にもよるが、5〜10mass%程度が普通である。
また、その他の粉体として、スラグ粉、ミルスケールなどを適量配合してもよい。
本発明の第一の形態の製造方法は、下記工程(イ-1),(ロ-1)を有する。
(イ-1):処理すべき原料が入れられるドラム1と、ドラム1内を公転する撹拌翼2と、ドラム1内を撹拌翼2とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ3を備えた原料処理装置を用い、下記処理(A),(B)を順次行う。
(A):ケーキ状の製鉄スラッジを解砕処理する。
(B):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。
(ロ-1):工程(イ-1)を経た原料を転動造粒機に投入し、原料の造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う。
また、本発明の第二の形態の製造方法は、下記工程(イ-2),(ロ-2)を有する。
(イ-2):処理すべき原料が入れられるドラム1と、ドラム1内を公転する撹拌翼2と、ドラム1内を撹拌翼2とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ3を備えた原料処理装置を用い、下記処理(A)〜(C)を順次行う。
(A):ケーキ状の製鉄スラッジを解砕処理する。
(B):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。
(C):処理(B)で混合された原料の予備的な造粒処理を行う。
(ロ-2):工程(イ-2)を経た原料を転動造粒機に投入し、原料の最終的な造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う。
また、前記工程(イ-1)、(イ-2)では、好ましくは、撹拌翼2の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ3の自転速度が可変である原料処理装置を用い、撹拌翼2の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ3の自転速度を選択することにより、処理(A),(B)又は処理(A)〜(C)を順次行う。
また、前記工程(イ-1)、(イ-2)の処理(B)では、製鉄スラッジと製鉄ダスト及び固化剤を1つの混合形態で同時に混合処理してもよいが、好ましくは下記処理(B1)、(B2)を順次行う。
(B1):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストを加え、混合処理する。
(B2):処理(B1)で混合処理された原料に固化剤を加え、混合処理する。
以上のようにして得られる造粒物の粒径(調和平均粒径)は、乾式製錬を行う際に飛散しないようにするために5mm以上が好ましく、一方、反応の均一性と振動フィーダー等の切り出し装置からの排出性の観点から50mm以下が好ましい。
造粒物の水分量に特別な制限はないが、造粒物の強度や原料であるスラッジ・ダストの水分量などとの関係から、一般に15〜30mass%程度が適当である。
本発明の製造方法における原料および造粒物の好ましい条件は上述したとおりであるが、特に本発明の製造方法は、原料の一部として水分量が55〜65mass%程度の高含水製鉄スラッジを用いる場合、とりわけそのよう高含水製鉄スラッジを25mass%以上、好ましくは30mass%以上含むような原料から造粒物を得るのに好適な方法であり、そのような原料を適切に造粒し、適正な粒径で高品質な造粒物を得ることができる。具体的には、水分量が55〜65mass%程度の高含水製鉄スラッジに対して水分量が5〜15mass%程度の製鉄ダストを配合し、これら製鉄スラッジ(配合率が好ましくは25mass%以上、より好ましくは30mass%以上)と製鉄ダストを主体とする原料を、水分量が約22〜27mass%、粒径が約10〜50mm(調和平均粒径)程度の造粒物に適切に造粒することができる。
以下、本発明の製造方法の実施形態について説明する。
[工程(イ)]
本発明の第一の形態の製造方法における工程(イ-1)では、上述したように原料処理装置(I)を用いて処理(A)、処理(B)(好ましくは処理(B1)、(B2))を順次行う。また、本発明の第二の形態の製造方法における工程(イ-2)では、上述したように原料処理装置(I)を用いて処理(A)、処理(B)(好ましくは処理(B1)、(B2))、処理(C)を順次行う。
図7〜図10は、本発明の一実施形態において、工程(イ)での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図である。これらの図において、実線矢印は撹拌翼2と撹拌ロータ3の回転によって原料が相対的に移動する方向を示し、破線矢印は原料が撹拌翼2によって圧縮作用を受けている状況を示す。
また、表1に工程(イ)の各処理における撹拌翼2(及び撹拌ロータ3)の公転方向・公転速度と撹拌ロータ3の自転方向・自転速度を示す。
Figure 2012097294
以下に述べる実施形態において、撹拌翼2(及び撹拌ロータ3)の公転速度については、高速回転>1.1×中速回転、中速回転>1.3×低速回転の関係が好ましく、速度範囲としては、高速回転が15〜25rpm程度、中速回転が10〜20rpm程度、低速回転が7〜15rpm程度であることが好ましい。また、撹拌ロータ3の自転速度については、高速回転>1.1×中速回転、中速回転>1.6×低速回転の関係が好ましく、速度範囲としては、高速回転が250〜400rpm程度、中速回転が200〜350rpm程度、低速回転が100〜200rpm程度であることが好ましい。
ここで、以下の説明においては、水平面に対して傾きを有する撹拌翼2が、図4(A)に示すように、上面側で原料を掻き上げる作用をするように公転する(すなわち、傾き下端側を先端として公転する)場合を「正回転」、図4(B)に示すように、下面側で原料を圧縮する作用をするように公転する(すなわち、傾き上端側を先端として公転する)場合を「逆回転」という。撹拌ロータ3は、撹拌翼2と一体となって同じ方向で公転する。また、平面として見たときに、撹拌ロータ3が撹拌翼2の「正回転」の公転と同じ回転方向に自転する場合を「正回転」という。
・処理(A)
この処理(A)では、装置に投入された製鉄スラッジが解砕処理される。図7及び図8は、この解砕処理における装置の作動状況を示している。図7では、撹拌翼2を逆回転(図4(B)の公転方向)で低速回転させることで、ケーキ状の製鉄スラッジ(脱水ケーキ)を圧縮しつつ、正回転で高速回転する撹拌ロータ3によりせん断力を与える。また、図8では、撹拌翼2を正回転(図4(A)の公転方向)で低速回転させることで、製鉄スラッジ(脱水ケーキ)を掻き上げてほぐしながら、正回転で高速回転する撹拌ロータ3によりせん断力を与える。この図7の処理と図8の処理を交互に1回以上行うこと、好ましくは複数回繰り返すことにより、ケーキ状の製鉄スラッジを解砕する。
・処理(B)
この処理(B)では、処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。さきに述べたように、この処理(B)では、製鉄スラッジと製鉄ダスト及び固化剤を1つの混合形態で同時に混合処理してもよいが、製鉄ダストと固化剤は水分、密度、投入量などが異なり、製鉄スラッジと均一に混合するにはそれぞれ最適な混合形態があるので、処理(B)では、まず、処理(B1)において、処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストを加え、混合処理し、次いで、処理(B2)において、処理(B1)で混合処理された原料に固化剤を加え、混合処理することが好ましい。
図9は処理(B1)である混合処理における装置の作動状況を、図10は処理(B2)である混合処理における装置の作動状況を、それぞれ示している。図9の処理(B1)では、上記処理(A)でほぐされた製鉄スラッジに製鉄ダストを加え、さらに必要に応じて水又は乾燥粉を加えて混合する。この処理では、原料のもち回りを防止するため撹拌翼2を正回転(図4(A)の公転方向)で低速回転させる。このように公転する撹拌翼2と、正回転で低速回転する撹拌ロータ3により、製鉄スラッジと製鉄ダスト(及び必要に応じて添加される他の添加物)との混合を行う。これにより製鉄ダストと製鉄ダストなどを適切に混合することができる。
図10の処理(B2)では、処理(B1)で混合処理された原料に固化剤を加え、さらに必要に応じて水又は乾燥粉を加えて混合する。この処理では、撹拌翼2を逆回転(図4(B)の公転方向)で低速回転させることで練り込みを行いつつ、正回転で高速回転する撹拌ロータ3により添加物(固化剤、その他)との混合を行う。これによりダスト・スラッジと添加物を十分に混合することができる。
一方、処理(B)において、製鉄スラッジと製鉄ダスト及び固化剤などの添加物を1つの混合形態で同時に混合処理する場合にも、図10に示す処理(B2)の場合と同様、撹拌翼2を逆回転(図4(B)の公転方向)で低速回転させつつ、正回転で高速回転する撹拌ロータ3により、製鉄スラッジと添加物(製鉄ダスト、固化剤、その他)との混合を行うことが好ましい。
・処理(C)
本発明の製造方法では、原料の造粒処理は基本的に工程(ロ)において転動造粒機(II)を用いて行われるが、原料処理装置(I)において予備的(部分的)な造粒、すなわち造粒の初期工程を行ってもよい。このような予備的な造粒は、特に、原料の水分量が比較的少ない場合に適している。
本発明の第二の形態の製造方法における工程(イ-2)では、処理(C)として、そのような予備的な造粒処理を行う。
図11は、この予備的な造粒処理における装置の作動状況を示している。この処理では、処理(B)の混合工程で均一に混合された原料が、適宜な造粒状態まで予備的に造粒される。撹拌ロータ3を正回転で中速回転させることにより、混合物を小さい固まりに分断しつつ、撹拌翼2を正回転(図4(A)の公転方向)で中速回転させることにより、撹拌翼2の上面で原料の粒を転がして所定の造粒状態を得る。
[工程(ロ)]
以下、工程(イ-1)又は(イ-2)に続く工程として、工程(ロ-1)又は(ロ-2)を採用することにした理由と、本発明者が行った試験の結果及びこれによる知見事実について説明する。
最初に本発明者らは、上述したような原料処理装置(I)に相当する試験装置を用い、この装置において、「製鉄スラッジの解砕処理→製鉄スラッジに対する製鉄ダストおよび固化剤の混合処理→造粒処理→造粒物表面を平滑化する整粒処理」という一連の処理を行うスラッジ・ダストの造粒試験を行った。この試験では、製鉄スラッジ(水分量:62mass%)に製鉄ダスト(水分量:7mass%)と固化剤を配合した原料を用い、固化剤の配合比を一定とし、製鉄スラッジと製鉄ダストの配合比率を変えて、目標平均粒径(調和平均粒径)を15〜30mmとして造粒を行った。
その結果、原料中の製鉄スラッジの配合率が20mass%までは特に問題なく所定の造粒物を製造することができたが、製鉄スラッジの配合率が30mass%になると、造粒工程中から原料がべたつき始め、整粒工程の終了時には原料がべたベたの固まりになり、原料処理装置(I)から排出できない状況になった。通常、高含水の製鉄スラッジを取り扱う場合、振動させただけでスラッジ内部の水が表面に滲み出てくるため、これと同じような理由により、造粒物がべたべたになったものと推定される。よって、このような高含水の製鉄スラッジを造粒するためには、処理時間を極力短くすることが必要であるが、製鉄スラッジと製鉄ダストや固化剤を混合させることは不可欠であり、十分な解砕・混合時間が必要となる。その一方で、造粒処理・整粒処理を実施しなければ粒を製造することはできない。
本発明者らは、このような課題を解決できる方法を検討し、原料処理装置(I)では解砕処理と混合処理(場合によっては、さらに予備的な造粒処理)のみを行い、その後の造粒処理と整粒処理を転動造粒機(II)で行うことにより、原料処理装置(I)内での原料のベタつきを防止することが可能となり、製鉄スラッジの配合率40%程度まで高めても、適性な造粒物を製造できることを見出した。
そこで、本発明の第一の形態の製造方法では、工程(ロ-1)において、先に述べた工程(イ-1)で処理された原料を転動造粒機(II)に投入し、原料の造粒処理と造粒物表面を平滑化する整粒処理を行うものである。また、本発明の第二の形態の製造方法では、工程(ロ-2)において、先に述べた工程(イ-2)で処理された原料を転動造粒機(II)に投入し、原料の最終的な造粒処理と造粒物表面を平滑化する整粒処理を行うものである。
すなわち、工程(ロ)では、図5及び図6に示すような転動造粒機(II)を用いて原料の造粒処理(工程(ロ-2)では最終的な造粒処理)と造粒物表面を平滑化する整粒処理を行う。この転動造粒機(II)の回転するドラム型容器36内に、前記工程(イ)で処理された原料を投入すると、原料はドラム型容器36の内面を転動する過程で造粒され、さらに表面が平滑化(整粒)される。これにより、表面が滑らかに整えられた造粒物が製造される。
表2は、製鉄スラッジ(水分量:62mass%)、製鉄ダスト(水分量:7mass%)、セメント(水分量:0.2mass%)からなる原料を、本発明法と比較法でそれぞれ造粒し、造粒物を製造した結果を示している。
本発明例のうち、発明例1〜3では、原料処理装置(I)で処理(A),(B)(解砕→混合)を順次行った後、転動造粒機(II)で造粒・整粒処理を行った。また、発明例4では、原料処理装置(I)で処理(A)〜(C)(解砕→混合→予備的な造粒)を行った後、転動造粒機(II)で造粒・整粒処理を行った。一方、比較例1〜3では、原料処理装置(I)のみで解砕→混合→造粒→整粒の各処理を行った。
発明例3に示されるように、本発明によれば、造粒物水分が28.5%まで高くなっても、所定の粒度の造粒物を得ることが可能であることが判る。また、発明例4に示されるように、原料処理装置(I)で短時間の予備造粒を行っても原料がべたべたになることはなく、その後、転動造粒機(II)で処理することで目標粒度範囲内の造粒物にできることが判る。
Figure 2012097294
1 ドラム
2 撹拌翼
3 撹拌ロータ
4 回転軸
5 モータ
6 変速機構
7 アーム
8 保持軸
9 アーム
10 モータ
11 変速機構
12 動力伝達機構
13 駆動軸
14 間隔調整機構
15 保持部材
16 ブラケット
17 枢着部
18 撹拌羽根
19 ストッパー
20 ピン
21 スクレーパ
35 搬送コンベア
36 ドラム型容器
37 支持・回転駆動機構
38 原料投入口
39 原料排出口
40 歯車
41 ピニオン
42 駆動装置
100 ドラム底面

Claims (10)

  1. 製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造する方法であって、下記工程(イ),(ロ)を有することを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
    (イ):処理すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた原料処理装置を用い、下記処理(A),(B)を順次行う。
    (A):ケーキ状の製鉄スラッジを解砕処理する。
    (B):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。
    (ロ):工程(イ)を経た原料を転動造粒機に投入し、原料の造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う。
  2. 製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造する方法であって、下記工程(イ),(ロ)を有することを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
    (イ):処理すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた原料処理装置を用い、下記処理(A)〜(C)を順次行う。
    (A):ケーキ状の製鉄スラッジを解砕処理する。
    (B):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストと固化剤を加え、混合処理する。
    (C):処理(B)で混合された原料の予備的な造粒処理を行う。
    (ロ):工程(イ)を経た原料を転動造粒機に投入し、原料の最終的な造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う。
  3. 工程(イ)の処理(B)が、下記処理(B1)、(B2)からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
    (B1):処理(A)で解砕された製鉄スラッジに製鉄ダストを加え、混合処理する。
    (B2):処理(B1)で混合処理された原料に固化剤を加え、混合処理する。
  4. 工程(イ)で使用する原料処理装置は、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度が可変であり、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度を選択することにより、処理(A),(B)又は処理(A)〜(C)を順次行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
  5. 工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)は、一方の公転方向での公転時には、上面側で原料を掻き上げる作用をし、他方の公転方向での公転時には、下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
  6. 工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)は、公転軌道のほぼ接線方向において、水平面に対して上下方向の傾きを有し、傾き下端側を先端として公転する場合に、その上面側で原料を掻き上げる作用をし、傾き上端側を先端として公転する場合に、その下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする、請求項5に記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
  7. 工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)は、ドラム底面(100)との間隔を変更するための間隔調整機構(14)を有し、撹拌翼(2)が上面側で原料を掻き上げる作用をする際には前記間隔を狭め、撹拌翼(2)が下面側で原料を圧縮する作用をする際には前記間隔を拡げることを特徴とする、請求項5又は6に記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
  8. 工程(イ)で使用する原料処理装置の撹拌翼(2)が、上面側で原料を掻き上げる作用をする公転方向に公転する場合を「正回転」、下面側で原料を圧縮する作用をする公転方向に公転する場合を「逆回転」とし、撹拌ロータ(3)が撹拌翼(2)の「正回転」の公転と同じ回転方向に自転する場合を「正回転」とした場合に、工程(イ)の処理(A),(B)又は処理(A)〜(C)を下記のように行うことを特徴とする、請求項3〜7のいずれかに記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造方法。
    ・工程(イ)で処理(A),(B)を順次行う場合
    処理(A):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理と、撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理を、交互に1回以上行う。
    処理(B1):撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる混合処理を行う。
    処理(B2):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる混合処理を行う。
    ・工程(イ)で処理(A)〜(C)を順次行う場合
    処理(A):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理と、撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる解砕処理を、交互に1回以上行う。
    処理(B1):撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる混合処理を行う。
    処理(B2):撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる混合処理を行う。
    処理(C):撹拌ロータ(3)を正回転で中速回転させながら、撹拌翼(2)を正回転で中速回転させることで予備的な造粒処理を行う。
  9. 製鉄スラッジと製鉄ダストを主体とする原料の造粒物を製造するための設備であって、
    造粒すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた原料処理装置(I)と、
    原料処理装置(I)で処理された原料が投入され、原料の造粒処理と造粒物の表面を平滑化する整粒処理を行う転動造粒機(II)を備えることを特徴とする、製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造設備。
  10. 原料処理装置(I)は、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度が可変であることを特徴とする、請求項9に記載の製鉄スラッジ等を主原料とする造粒物の製造設備。
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