JP5602586B2 - 製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法 - Google Patents
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Description
高含水の製鉄ダストや製鉄スラッジを有効利用する技術として、製鉄スラッジを脱水し、乾燥したものに製鉄ダストやスケールを加え、さらにはバインダーを添加して固め、フェロアロイ製造用原料などにする方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、水分を含有する製鉄ダストや製鉄スラッジを、特別な乾燥処理を施すことなく適切に造粒し、炉原料に好適な造粒物を得ることができる造粒物の製造方法を提供することにある。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジを主体とする原料を、下記(a)〜(f)の工程で順次処理することにより、造粒物を製造することを特徴とする製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
(a)解砕工程:ケーキ状の製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジを解砕する。
(b)混合工程:少なくとも固化剤を添加し、製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジと混合する。
(c)造粒工程:混合工程で混合された原料を造粒し、主として造粒物の核を生成させる。
(d)整粒工程:造粒工程で生成した造粒物の核を粒成長させるとともに、粒成長した造粒物の表面を平滑化する。
(e)再解砕工程:整粒工程で得られた造粒物の一部を小片に解砕するとともに、造粒物の他の一部の表面を解砕して粗くする。
(f)再整粒工程:再解砕工程を経た造粒物に同工程で生じた小片を付着させることで、造粒物の粒径を増大させる。
[3]上記[1]又は[2]の製造方法において、撹拌翼(2)は、一方の公転方向での公転時には、上面側で原料を掻き上げる作用をし、他方の公転方向での公転時には、下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
[5]上記[3]又は[4]の製造方法において、撹拌翼(2)はドラム底面(100)との間隔を変更するための間隔調整機構(14)を有し、撹拌翼(2)が上面側で原料を掻き上げる作用をする際には前記間隔を狭め、撹拌翼(2)が下面側で原料を圧縮する作用をする際には前記間隔を拡げることを特徴とする製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
(a)解砕工程:撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理と、撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理を、交互に1回以上行う。
(b)混合工程:撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理を行う。
(c)造粒工程:撹拌ロータ(3)を正回転で中速回転させながら、撹拌翼(2)を正回転で中速回転させる処理を行う。
(d)整粒工程:撹拌翼(2)を正回転で高速回転させながら、撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる処理を行う。
(e)再解砕工程:撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理を行う。
(f)再整粒工程:撹拌翼(2)を正回転で高速回転させながら、撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる処理を行う。
この造粒物製造装置は、造粒すべき原料(被処理物)が入れられる円筒形のドラム1を備え、このドラム1内には、ドラム内を公転する1対の撹拌翼2と、この撹拌翼2とともにドラム内を公転しながら自転する1対の撹拌ロータ3が備えられている。
前記ドラム1内には、その筒軸に沿った回転軸4が設けられている。この回転軸4は、ドラム1の外側下部に設けられたモータ5に変速機構6を介して接続され、モータ5の駆動力により回転駆動するとともに、変速機構6により回転方向・回転速度が任意に選択できる。
撹拌翼2は、一方の公転方向での公転時には、上面側で原料を掻き上げる作用をし、他方の公転方向での公転時には、下面側で原料を圧縮する作用をする機能を有している。このため、図3に示すように、各撹拌翼2は板状に構成されるとともに、公転軌道のほぼ接線方向において、水平面(=ドラム底面100)に対して上下方向の傾きを有している。なお、撹拌翼2の機能については、後に図4に基づき説明する。
なお、本実施形態のような間隔調整機構14を設ける代わりに、ドラム底面100との間隔(隙間)が狭い撹拌翼2(例えば、図3の間隔X1に相当する間隔を有するもの)と、ドラム底面100との間隔(隙間)が広い撹拌翼2(例えば、図3の間隔X2に相当する間隔を有するもの)を、それぞれ1つ以上有するような装置構成としてもよい。
各撹拌ロータ3は、垂直な保持軸8(回転軸)と、その下端側に多段に固定された複数の撹拌羽根18からなっている。各撹拌羽根18は、中心部から180°反対方向に延出する1対の羽根を備え、その中心部が保持軸8に取付固定されている。複数の撹拌羽根18は、保持軸8に対して周方向で角度をずらして固定され、これにより撹拌ロータ3を図1に示すような平面として見た場合、保持軸8から複数の羽根が放射状に延びる形態を有する。
したがって、撹拌ロータ3は、撹拌翼2と一体となってドラム1内を公転でき、この公転方向・公転速度は、上記のように変速機構6により任意に選択できる。また、1対の撹拌ロータ3は、モータ10の駆動力により回転駆動、すなわち自転するとともに、その自転速度が変速機構11により任意に選択できる。なお、撹拌ロータ3は、変速機構11などによってその自転方向を変えられるようにしてもよい。
その他図面において、21は、アーム9に付設され、撹拌翼2や撹拌ロータ3とともにドラム内を公転するスクレーパであり、ドラム内壁に付着する原料を掻き落とす働きをする。
なお、図4における実線矢印は、撹拌翼2の公転によって原料が相対的に移動する方向を示している。
本発明の製造方法では、製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジ(以下、説明の便宜上「ダスト・スラッジ」という)を主体とする原料を造粒し、造粒物を製造する。原料中には固化剤が配合されるが、さらに必要に応じて、水分調整のための水を添加してもよい。
製鉄ダストとしては、例えば、高炉ダスト、焼結ダスト、転炉ダスト、予備処理ダストなどが挙げられる。湿式集塵された製鉄ダストは相当量の水分を含み、一般に水分量は5〜35mass%程度である。なお、このような相当量の水分を含む製鉄ダストに対して、水分調整などの目的で乾燥粉である製鉄ダスト(乾式集塵されたもの)を配合してもよい。
固化剤としては、セメントが一般的であるが、生石灰、消石灰などを用いてもよく、これら固化剤の1種又は2種以上を用いることができる。原料中での固化剤の配合割合は、造粒物に求められる強度にもよるが、5〜10mass%程度が普通である。
また、その他の粉体として、スラグ粉、ミルスケールなどを適量配合してもよい。
(a)解砕工程:ケーキ状のダスト・スラッジを解砕する。
(b)混合工程:少なくとも固化剤を添加し、ダスト・スラッジと混合する。
(c)造粒工程:混合工程で混合された原料を造粒し、主として造粒物の核を生成させる。
(d)整粒工程:造粒工程で生成した造粒物の核を粒成長させるとともに、粒成長した造粒物の表面を平滑化する。
(e)再解砕工程:整粒工程で得られた造粒物の一部を小片に解砕するとともに、造粒物の他の一部の表面を解砕して粗くする。
(f)再整粒工程:再解砕工程を経た造粒物に同工程で生じた小片を付着させることで、造粒物の粒径を増大させる。
以上のようにして得られる造粒物の粒径(調和平均粒径)は、乾式製錬を行う上での反応速度の観点から10mm以上が好ましい。粒径の上限は特にないが、反応の均一性を考慮すると20mm以下が望ましい。
また、造粒物の水分量に特別な制限はないが、造粒物の強度や原料であるスラッジ・ダストの水分量などとの関係から、一般に15〜30mass%程度が適当である。
図5〜図11は、本発明の実施形態において、各工程での装置の作動状態と原料の動きを示す説明図である。これらの図において、実線矢印は撹拌翼2と撹拌ロータ3の回転によって原料が相対的に移動する方向を示し、破線矢印は原料が撹拌翼2によって圧縮作用を受けている状況を示す。
また、表1に各工程における撹拌翼2(及び撹拌ロータ3)の公転方向・公転速度と撹拌ロータ3の自転方向・自転速度を示す。
図5及び6は、第1工程である解砕工程を示している。図5では、撹拌翼2を逆回転(図4(B)の公転方向)で低速回転させることで、ケーキ状のダスト・スラッジ(脱水ケーキ)を圧縮しつつ、正回転で高速回転する撹拌ロータ3によりせん断力を与える。また、図6では、撹拌翼2を正回転(図4(A)の公転方向)で低速回転させることで、ダスト・スラッジ(脱水ケーキ)を掻き上げてほぐしながら、正回転で高速回転する撹拌ロータ3によりせん断力を与える。この図5の処理と図6の処理を交互に1回以上行うこと、好ましくは複数回繰り返すことにより、ケーキ状のダスト・スラッジを解砕する。
図7は、第2工程である混合工程を示している。この工程では、上記解砕工程でほぐされたダスト・スラッジに固化剤を加え、さらに必要に応じて水又は乾燥粉を加えて混合する。撹拌翼2を逆回転(図4(B)の公転方向)で低速回転させることで練り込みを行いつつ、正回転で高速回転する撹拌ロータ3により添加物(固化剤、その他)との混合を行う。これによりダスト・スラッジと添加物を十分に混合することができる。
(3)造粒工程(第3工程)
図8は、第3工程である造粒工程を示している。この工程では、前記混合工程で均一に混ぜられた造粒用原料を粒状に造粒する。撹拌ロータ3を正回転で中速回転させることにより、混合物を小さい固まりに分断しつつ、撹拌翼2を正回転(図4(A)の公転方向)で中速回転させることにより、撹拌翼2の上面で原料の粒を転がして造粒物の核を形成する。
図9は、第4工程である整粒工程を示している。この工程では、撹拌翼2を正回転(図4(A)の公転方向)のまま高速回転させ、撹拌ロータ3は正回転で低速回転させる。上記造粒工程では、主として造粒物の核が形成されるのに対し、この整粒工程では、主として撹拌ロータ3による掻き上げ作用によって粒を転動させ、粒の粒径を増大させるとともに粒表面を滑らかにする(平滑化する)。このため、撹拌ロータ3を低速回転にしてせん断能力を低下させることで、生成した粒が破砕される確率を低下させる。また、撹拌翼2を正回転で高速回転することにより、粒が転動される距離を伸ばし、せん断によって発生した小片を粒に吸収させて粒の成長を促し、且つ粒表面を滑らかにする。
ダスト・スラッジの造粒物を炉原料に適用するには、ある程度大きい粒径(通常、粒径10mm以上)に造粒する必要がある。本発明者らは、上述したような造粒物製造装置を用いたダスト・スラッジの造粒試験を行い、その結果、同装置においてダスト・スラッジを、上記のような解砕−混合−造粒−整粒という一連の特定の工程で処理することにより造粒物を製造でき、この造粒では原料の水分量が多いほど造粒物の粒径を大きくできるという知見を得た。しかし、造粒物の水分が多いと、造粒直後の粒が軟らかくなるため変形しやすく、さらに、水分が多い造粒物を電気炉等で処理するために多大なエネルギーが必要になる、という問題がある。したがって、ダスト・スラッジは元々相当量の水分を含むものではあるが、さらに水分を添加することなく、所望の粒径(通常、粒径10mm以上)まで造粒できるようにする必要がある。
図10は、第5工程である再解砕工程を示している。この工程では、上記のようにせん断で多量の小片を発生させるとともに、造粒物の表面を解砕して粗くするため、前記混合工程(第2工程)と同様に、撹拌翼2を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ3を正回転で高速回転させる処理を行う。
表4に、表3とは異なる製鉄ダストを使用した場合の製造例を示す。使用した原料の水分量は、「製鉄ダスト2」が0.4mass%、「製鉄ダスト3」が15.6mass%、セメントが0.2mass%である。表4によれば、本発明例では、造粒物の水分量が15mass%でも粒径10mm以上の造粒物が得られることが判る。
2 撹拌翼
3 撹拌ロータ
4 回転軸
5 モータ
6 変速機構
7 アーム
8 保持軸
9 アーム
10 モータ
11 変速機構
12 動力伝達機構
13 駆動軸
14 間隔調整機構
15 保持部材
16 ブラケット
17 枢着部
18 撹拌羽根
19 ストッパー
20 ピン
21 スクレーパ
100 ドラム底面
Claims (6)
- 造粒すべき原料が入れられるドラム(1)と、ドラム(1)内を公転する撹拌翼(2)と、ドラム(1)内を撹拌翼(2)とともに公転しつつ自転する撹拌ロータ(3)を備えた造粒物製造装置を用い、
製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジを主体とする原料を、下記(a)〜(f)の工程で順次処理することにより、造粒物を製造することを特徴とする製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
(a)解砕工程:ケーキ状の製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジを解砕する。
(b)混合工程:少なくとも固化剤を添加し、製鉄ダスト又は/及び製鉄スラッジと混合する。
(c)造粒工程:混合工程で混合された原料を造粒し、主として造粒物の核を生成させる。
(d)整粒工程:造粒工程で生成した造粒物の核を粒成長させるとともに、粒成長した造粒物の表面を平滑化する。
(e)再解砕工程:整粒工程で得られた造粒物の一部を小片に解砕するとともに、造粒物の他の一部の表面を解砕して粗くする。
(f)再整粒工程:再解砕工程を経た造粒物に同工程で生じた小片を付着させることで、造粒物の粒径を増大させる。 - 造粒物製造装置は、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度が可変であり、撹拌翼(2)の公転方向及び公転速度と撹拌ロータ(3)の自転速度を選択することにより、原料を(a)〜(f)の工程で順次処理することを特徴とする請求項1に記載の製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
- 撹拌翼(2)は、一方の公転方向での公転時には、上面側で原料を掻き上げる作用をし、他方の公転方向での公転時には、下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする請求項1又は2に記載の製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
- 撹拌翼(2)は、公転軌道のほぼ接線方向において、水平面に対して上下方向の傾きを有し、傾き下端側を先端として公転する場合に、その上面側で原料を掻き上げる作用をし、傾き上端側を先端として公転する場合に、その下面側で原料を圧縮する作用をすることを特徴とする請求項3に記載の製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
- 撹拌翼(2)はドラム底面(100)との間隔を変更するための間隔調整機構(14)を有し、撹拌翼(2)が上面側で原料を掻き上げる作用をする際には前記間隔を狭め、撹拌翼(2)が下面側で原料を圧縮する作用をする際には前記間隔を拡げることを特徴とする請求項3又は4に記載の製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
- 撹拌翼(2)が、上面側で原料を掻き上げる作用をする公転方向に公転する場合を「正回転」、下面側で原料を圧縮する作用をする公転方向に公転する場合を「逆回転」とし、撹拌ロータ(3)が撹拌翼(2)の「正回転」の公転と同じ回転方向に自転する場合を「正回転」とした場合に、(a)〜(f)の各工程において下記の処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製鉄ダスト等を主原料とする造粒物の製造方法。
(a)解砕工程:撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理と、撹拌翼(2)を正回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理を、交互に1回以上行う。
(b)混合工程:撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理を行う。
(c)造粒工程:撹拌ロータ(3)を正回転で中速回転させながら、撹拌翼(2)を正回転で中速回転させる処理を行う。
(d)整粒工程:撹拌翼(2)を正回転で高速回転させながら、撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる処理を行う。
(e)再解砕工程:撹拌翼(2)を逆回転で低速回転させながら撹拌ロータ(3)を正回転で高速回転させる処理を行う。
(f)再整粒工程:撹拌翼(2)を正回転で高速回転させながら、撹拌ロータ(3)を正回転で低速回転させる処理を行う。
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