JP2012091677A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置1は、操舵部材2に連結されたロータ58を含む反力付与モータ10と、転舵輪の転舵角が最大のときに操舵部材2の回転を規制するための規制機構70と、ロータ58を介して操舵部材2の回転に摩擦抵抗を付与するための摩擦抵抗付与部材75と、を備えている。反力付与モータ10、規制機構70および摩擦抵抗付与部材75は、1つのハウジング11内に配置されている。
【選択図】図2
Description
特許文献1では、操舵軸と螺合したナット部材が設けられており、このナット部材が軸方向に変位してストッパに接触することで、操舵部材のそれ以上の回転が規制されている。これにより、操舵部材は、転舵輪が車両直進位置から最も転舵されたときの対応する位置よりも多く回転することを規制されている。
ここで、操舵部材の回転を規制するために、操舵部材の操舵中立位置からの回転量が所定量に達したときに、反力モータの出力を高くすることで、操舵部材がそれ以上回転されることを規制することにより、上記ストッパやコイルばねを省略することが考えられる。しかしながら、この場合、操舵部材の回転を規制できるほどの大きなトルクを反力モータで発生する必要がある結果、反力モータが大型化してしまう。
また、本発明において、前記ロータと一体回転可能な軸部(38)をさらに備え、前記中間体は、前記軸部に軸受(35)を介して相対回転可能に支持されている場合がある(請求項4)。この場合、中間体の軸線がロータの軸線に対してずれること(芯ずれ)を抑制できる。その結果、中間体のねじれ運動をよりスムーズにできる。さらに、軸受を設けることで、中間体のねじれ運動をスムーズにできるので、摩擦抵抗付与部材に起因して中間体内でのねじれ運動の抵抗力が変動することを抑制できる。なお、前記軸受は、合成樹脂製であることが好ましい。
この場合、弾性部材が中間体を弾性的に押圧することにより、中間体を介して反力付与モータのロータに摩擦抵抗を付与できる。その結果、操舵部材が操舵中立位置付近に位置しているとき等に、ロータを介して操舵軸に、自然な回転抵抗を付与できる。したがって、自然な操舵フィーリングをより確実に実現できる。しかも、中間体がロータに対して微小振動を起こしてがたつき音(ラトル音)が生じることを抑制できる。これにより、反力付与モータの静粛性を向上できる。
図1は本発明の一実施形態の車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、本車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と転舵輪3との機械的な結合が解除された、いわゆるステアバイワイヤシステムを構成している。
車両用操舵装置1では、操舵部材2の回転操作に応じて駆動される転舵用アクチュエータ4の動作を、転舵軸ハウジング5に支持された転舵軸6の車幅方向の直線運動に変換するようになっている。この転舵軸6の直線運動は、転舵用の左右の転舵輪3の転舵運動に変換され、これにより車両の転舵が達成される。
転舵用アクチュエータ4は、例えば、電動モータを含んでいる。この電動モータの駆動力(出力軸の回転力)は、転舵軸6に関連して設けられた運動変換機構(ボールねじ装置)により、転舵軸6の軸方向の直線運動に変換される。この転舵軸6の直線運動は、転舵軸6の両端に連結されたタイロッド7に伝達され、ナックルアーム8の回動を引き起こす。これにより、ナックルアーム8に支持された転舵輪3の操向が達成される。
操舵部材2は、車体51に回転可能に支持された操舵軸9に連結されている。この操舵軸9には、路面等から転舵輪3に伝わる反力を操作反力として操舵部材2に与えるための反力付与モータ10が取り付けられている。反力付与モータ10は、ブラシレスモータ等の電動モータを含む。反力付与モータ10は、ハウジング11内に収容されている。ハウジング11は、車体51に取り付けられている。
これらのセンサの他にも、車速Vを検出する車速センサ15と、車体51の上下加速度Gzを検出する悪路状態検出センサとしての上下加速度センサ16と、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ17と、車両のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ18とが設けられている。
制御装置19は、操舵角センサ12によって検出された操舵角θhおよび車速センサ15によって検出された車速Vに基づいて、目標転舵角を設定する。そして、この目標転舵角と、転舵角センサ14によって検出された転舵角δwとの偏差に基づいて、駆動回路20Aを介し、転舵用アクチュエータ4を駆動制御(転舵制御)する。
図2は、ハウジング11の周辺の断面図である。図2を参照して、ハウジング11は、アルミニウム合金等の金属材料を用いて形成されている。ハウジング11は、一端部21aおよび他端部21bを有する円筒形形状に形成されたメインハウジング21と、メインハウジング21の他端部21bを塞ぐカバーハウジング22と、を含んでいる。
操舵軸9は、同軸に並ぶ第1軸37および第2軸(軸部)38と、第1および第2軸37,38を連結するトーションバー39と、を含んでいる。第1軸37の一端部には、操舵部材2が一体回転可能に連結されている。第1軸37の中間部とメインハウジング21の一端部21aとの間には、シール部材25が配置されている。シール部材25は、メインハウジング21の一端部21aと、第1軸37との間を液密的に封止している。
第2軸38の一端部38aおよび第1軸37の中間部には、それぞれ、操舵軸9の軸方向S1に隣接して対向する対向部38g,37bを有している。これら対向部38g,37bに、トルクセンサ13が配置されている。
第2軸38の中間部38cには、第2軸受32の内輪32aが圧入固定されている。第2軸38は、第2軸受32を介してメインハウジング21の第2軸受保持孔42に回転可能に支持されている。また、第2軸38の他端部38bは、カバーハウジング22の一側面22aに形成された第3軸受保持孔43を挿通している。第2軸38の他端部38bは、第3軸受33を介して第3軸受保持孔43に回転可能に支持されている。
上記の構成により、予圧付与部材46の圧縮による弾性反発力は、受け部材47、第3軸受33の外輪33b、内輪33a、第2軸38、第2軸受32の内輪32a、および外輪32bを介して、メインハウジング21に受けられる。これにより、第2軸受32および第3軸受33に予圧が付与されている。
第1リングユニット54は、第2軸38の対向部38gに固定された環状の合成樹脂部材54aと、この合成樹脂部材54aに埋設され、且つ、多極磁石53の磁界内に配置された一対の環状の磁気ヨーク54b,54bと、を含んでいる。
反力付与モータ10、操舵角センサ12およびトルクセンサ13は、ハウジング11内に収容されている。図3は、図2の反力付与モータ10周辺の拡大図である。図3を参照して、反力付与モータ10は、メインハウジング21の他端部21b寄りに配置されており、カバーハウジング22に隣接している。これにより、カバーハウジング22をメインハウジング21から取り外したときに、反力付与モータ10の略全部がメインハウジング21の他端部21bの開口に露出する。したがって、反力付与モータ10をメインハウジング21内に装着する作業や、反力付与モータ10のメンテナンス作業が行い易い。
ロータ58は、操舵軸9を介して操舵部材2に一体回転可能に連結されている。ロータ58は、軸方向S1に延びる筒状のロータコア61と、ロータコア61の外周面に固定された永久磁石62とを含んでいる。
延設部65は、第2軸38の中間部38cに一体的に形成されている。端壁部64は、環状の板状に形成されており、第4軸受34の一部を取り囲んでいる。
筒状部63の他端部は、カバーハウジング22の一側面22aに隣接している。筒状部63は、ステータ57に取り囲まれている。また、筒状部63は、第2軸38の中間部38cを取り囲んでいる。上記の構成により、筒状部63と、端壁部64と、第2軸38とによって囲まれた収容溝部66が形成されている。収容溝部66は、円環状の溝部であり、カバーハウジング22側に開放されている。
規制機構70は、ロータ58の端壁部64に設けられた第1結合部71と、カバーハウジング21に設けられた第2結合部72と、第1および第2結合部71,72の間に配置された中間体76と、を含んでいる。
第2結合部72は、カバーハウジング22の一側面22aに形成されている。第2結合部72は、カバーハウジング22と別部材を用いてカバーハウジング22に固定された軸部材であり、軸方向S1に延びている。なお、第2結合部72をカバーハウジング22と単一部材で形成してもよい。第2結合部72の一部は、筒状部63の内側(収容溝部66内)に配置されている。
中間体76は、第1結合部71に結合可能な第3結合部73と、第2結合部72に結合可能な第4結合部74と、を含んでおり、ねじれることが可能となっている。ロータ58の中心軸線L1回り(周方向C1)に関して、第3結合部73および第4結合部74が、第1所定角度θ1以下の範囲で相対回転可能となるように中間体76が形成されている。第1所定角度θ1は、例えば、操舵部材2のロックトゥロックの回転数(約3回転)に相当する1100°程度である。
第1〜第4部材81〜84は、それぞれ、中空の板状(円環状)に形成されている。第1〜第4部材81〜84(中間体76)は、第2軸38の中間部38cに固定された滑り軸受からなる第5軸受35を介して、第2軸38の中間部38cに相対回転可能に嵌合されている。第5軸受35は、例えば、合成樹脂製であり、摩擦係数が低くされている。第5軸受35は、円筒状の部材であり、単一部材によって構成されている。なお、第5軸受35は、周方向C1に複数(例えば、2つ)に分割された部材を互いに組み合わせることで構成されていてもよい。この場合、第5軸受35を第2軸38に組み付け易くできる。
図4(A)は、図3のIVA−IVA線に沿う第1部材81の断面図であり、軸方向S1と直交する切断面を示している。図3および図4(A)を参照して、第1部材81は、第5軸受35が嵌合された内周面81aと、この内周面81aの径方向外方に配置された有端環状の第1溝81bと、第1溝81bに隣接する第1突起81cと、を含んでいる。
第2溝82bには、第1部材81の第1突起81cが挿通されている。これにより、第1突起81cは、第2溝82bに対して、周方向C1に第2所定角度θ2相対回転可能である。初期状態において、第1突起81cは、周方向C1に関する第2溝82bの中央に配置されている。第2突起82cは、軸方向S1に沿って延びる突起である。第2突起82cは、第2溝82bの一端部82dと他端部82eとの間に配置されている。
第3溝83bには、第2突起82cが挿通されている。これにより、第2突起82cは、第3溝83bに対して、周方向C1に第2所定角度θ2相対回転可能である。初期状態において、第2突起82cは、周方向C1に関する第3溝83bの中央に配置されている。第3突起83cは、軸方向S1に沿って延びる突起である。第3突起83cは、第3溝83bの一端部83dと他端部83eとの間に配置されている。
第4溝84bには、第3突起83cが挿通されている。これにより、第3突起83cは、第4溝84bに対して、周方向C1に第2所定角度θ2相対回転可能である。初期状態において、第3突起83cは、周方向C1に関する第4溝84bの中央に配置されている。第4結合部74は、第4溝84bの一端部84dと他端部84eとの間に配置されている。
図3を参照して、摩擦抵抗付与部材75は、弾性部材85と、摩擦部材86とを含んでいる。
摩擦部材86は、端壁部64の一側面64aと第1部材81との間、第1部材81と第2部材82との間、第2部材82と第3部材83との間、第3部材83と第4部材84との間、および、第4部材84とワッシャ87との間に、それぞれ、配置されている。
図3および図4(A)〜図4(D)に示すように、操舵部材2が操舵中立位置に位置しているとき、第1結合部71、第1突起81c、第2突起82cおよび第3突起83cは、それぞれ、対応する第1〜第4溝81b,82b,83b,84bに対する回転が規制されていない。この状態から、例えば、車両を右旋回させて車庫に入れる際に、運転者が操舵部材2を操舵中立位置から時計回りに最大角度回転させる場合を考える。なお、以下では、回転方向をいうときは、運転者から操舵部材2みたときの回転方向をいうものとする。
このとき、第1結合部71は、第1溝81b内を時計回りに回転する。このとき、図5(A)〜図5(D)に示すように、第1結合部71は、第1溝81bの一端部81dに接触する。これにより、第1部材81が時計回りに回転し、第1突起81cが第2溝82bの一端部82dに接触する。これにより、第2部材82が時計回りに回転し、第2突起82cが第3溝83bの一端部83dに接触する。これにより、第3部材83が時計回りに回転し、第3突起83cが第4溝84bの一端部84dに接触する。第4部材84は、第2結合部72によって回転が規制されている。上記の動作により、第3部材83、第2部材82、第1部材81および第1結合部71(ロータ58)のそれ以上の時計回り方向への回転が機械的に規制される。
また、通常、操舵部材2が操舵中立位置を基準として微小な角度範囲にある間、操舵部材2の操作に拘わらず転舵輪3が転舵されないようにされている(不感帯領域が設けられている)。このような不感帯領域においても、摩擦抵抗付与部材75による操舵部材2への摩擦抵抗が付与されている。したがって、不感帯領域においても、操舵部材2が転舵機構50と機械的に連結されているような自然な操舵フィーリングを運転者に与えることができる。
さらに、規制機構70の中間体76は、筒状部63の内側の収容溝部65に配置されている。すなわち、規制機構70の大部分が反力付与モータ10のロータ58の内部に配置されているので、規制機構70の位置とロータ58の位置とが軸方向S1に重なるように配置されている。これにより、操舵部材2の周辺の部材を軸方向S1に短くでき、車両用操舵装置1の更なる小型化を達成できる。
例えば、上記実施形態では、第1結合部71を突起とし、第3結合部73を溝としたけれども、これに限定されない。例えば、第1結合部を溝とし、第3結合部をこの溝に挿通された突起としてもよい。また、第2結合部72を突起とし、第4結合部74を孔部としたけれども、これに限定されない。例えば、第2結合部を孔部または有端環状の溝とし、第4結合部を上記孔部に固定された突起または上記溝に挿通された突起としてもよい。また、第4結合部74を有端環状の溝としてもよい。
また、摩擦部材86を、各第1〜第4溝81b,82b,83b,84b内に配置してもよい。
Claims (6)
- 操舵部材と転舵輪との機械的な連結が解除された車両用操舵装置において、
前記操舵部材に連結されたロータを含み前記操舵部材に反力を付与するための反力付与モータと、
この反力付与モータを収容するハウジングと、
前記転舵輪の転舵角が最大のときに前記操舵部材の回転を規制するための規制機構と、
前記操舵部材の回転に摩擦抵抗を付与するための摩擦抵抗付与部材と、を備え、
前記規制機構および前記摩擦抵抗付与部材は、前記ハウジング内に配置されていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、前記ロータは、筒状部を含み、
前記規制機構の少なくとも一部は、前記筒状部の内側に配置されていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または2において、前記規制機構は、前記ロータに設けられた第1結合部と、前記ハウジングに設けられた第2結合部と、前記第1結合部と前記第2結合部との間に配置された中間体と、を含み、
この中間体は、前記第1結合部に結合可能な第3結合部と、前記第2結合部に結合可能な第4結合部と、を含み、前記ロータの軸線回りに関して、前記第3結合部および前記第4結合部が、所定角度以下の範囲で相対回転可能であることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項3において、前記ロータと一体回転可能な軸部をさらに備え、前記中間体は、前記軸部に軸受を介して相対回転可能に支持されていることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項3または4において、前記摩擦抵抗付与部材は、前記ハウジングと前記中間体との間に配置され前記中間体を前記ロータ側に弾性的に押圧する弾性部材を含んでいることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項3〜5の何れか1項において、前記中間体は、前記ロータの軸方向に並ぶ複数の部材を含み、隣り合う部材の一方には前記軸方向に延びる突起が設けられ、他方には、前記ロータの周方向に延び前記突起を挿通された有端環状の溝が形成され、前記突起が前記溝に対して前記周方向に変位することにより、前記第3結合部と前記第4結合との相対位置を変更可能とされ、前記突起が前記溝の端部に接触することにより、前記第3結合部と前記第4結合部との相対回転を規制可能とされていることを特徴とする車両用操舵装置。
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