JP2009280073A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操向ハンドル3からの入力により生じる操舵トルクに応じて、電動機4が補助トルクを発生し、補助トルクを前輪1L,1Rのステアリング系に伝達する電動パワーステアリング装置100Aにおいて、操舵トルクを検出するトルクセンサ110と操向ハンドル3との間に、操向ハンドル3の左右への回転操作量を規制する第1プレート31、第2プレート33、第3プレート35を含む回転終端機構6Aを設け、転舵角がラックエンド角になっているときに、それ以上の操向ハンドルの切り増し操作をしても、トルクセンサ110には、操舵トルクを検出させないことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、ラックエンド角付近の操舵角(操作量)以上、且つ切増し時の場合に、電動機角速度フィードバックのゲインを上げるようにしている。
そこで、本発明は、前記問題を解決するため、ラックエンド付近でアシストを制限するとともに衝撃を作用させない電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
特に、第3の円盤と、第1及び第2の円盤との間に所定の回転角度範囲の回転を許容する嵌合構造を構成するので、左右にそれぞれ、例えば、180°を超える操向ハンドル(操作子)の操作量を設定できる。
請求項3に係る発明によれば、この嵌合構造は、操作子の回転軸と同軸に配置できる単純な構成なのでバランスの良い回転終端機構の搭載ができ、回転終端機構を小型化できる。
請求項4に係る発明によれば、第1、第2及び第3の円盤の入力軸の軸方向の互いのガタツキを抑制し、回転終端機構を構成する部品のガタツキを抑制することにより、部品の磨耗を抑制することができるとともに、部品が異音を発生して車室内の乗員に不快感を与えることもない。
請求項5に係る発明によれば、嵌合構造のガタツキを抑制し、回転終端機構を構成する部品のガタツキを抑制することにより、部品の磨耗を抑制することができるとともに、部品が異音を発生して車室内の乗員に不快感を与えることもない。
請求項6に係る発明によれば、第1、第2、第3の円盤をそれぞれ別々に設計製作する必要がなくなり、設計工数の削減や1個当たりの製作コストを安くすることができる。更に前記第1、第2、第3の円盤組み付け時の角度の調整が不要になるばかりか、誤組立てを防止できる。
従って、前記した従来技術の場合のように、ラックエンドとハウジングエンドが当接した状態で、更に操作子により切増しされた場合や電動機の回転のオーバーシュートによる衝撃を考えて、ステアリング系の機械強度を不必要に増加させる必要は無くなり、軽量化できる。
更に、回転終端機構の角度設定の自由度が大きく、組立てが容易である。
本発明の第1の実施形態を図1から図13を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成図である。
図2は、図1におけるステアリングギアボックスのトルクセンサ及びピニオンギア近傍の側面図である。
電動パワーステアリング装置100Aは、図1に示すように操向ハンドル(操作子)3が設けられたハンドル軸3aと、シャフト3cと、入力軸3dとが、2つの自在継ぎ手3bによって連結され、入力軸3dは、トーションバー111を介してピニオン軸7と接続し、又、ピニオン軸7の下端部に設けられたピニオンギア7aは、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラックギア8aに噛合ってラックアンドピニオン機構を構成し、ラック軸8の両端は、タイロッド9,9を介して左右の前輪1L,1Rが連結されている。
ラック軸8の両端にはラックエンド8b,8bが設けられている。また、前記したステアリングギアボックス10Aのうち、ピニオンギア7a、ラック軸8、軸受3gを収容するラックハウジング部11Aの内部に、ラック軸8を軸方向に摺動自在に軸支する滑り軸受14を設け、更に左右端部にはハウジングエンド11a,11aが設けられている。
従って、本実施形態においては、後記する第1プレート31、第2プレート33、第3プレート35を含む回転終端機構6Aが設定する左右一杯の操向ハンドル3の操作量(操舵角)において、最大転舵角(ラックエンド角)を規制しており、組み立て時の位置決めのためのラックエンド8bとラックハウジング11aとは、最大転舵角において当接しないように、余裕を取って設けてある。
以下に説明する本実施形態、後記する本実施形態の回転終端機構の変形例6B、6C、及び第2、第3の実施形態の説明において、「ラックエンド角」とは、回転終端機構が規定する最大転舵角のことを言う。
この構成により、電動パワーステアリング装置100Aは、操向ハンドル3の操作時に車両の進行方向を変えることができる。ここで、ラック軸8、ラックギア8a、タイロッド9、9は転舵機構を構成する。
すなわち、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとで減速機構5Aが構成されている。また、電動機4の回転子と電動機4に連結されているウォームギア5aとウォームホイールギア5bとピニオン軸7とラック軸8とラックギア8aとタイロッド9,9等により、ラックアンドピニオン式ステアリング系が構成されている。
ここで、ωMは電動機4の角速度であり、TMは電動機4の発生トルクである。
Tp=Ts+AH
=Ts+kA(VS)×Ts ・・・・・・・(1)
これより、操舵トルクTsは、次式(2)のように表現される。
Ts=Tp/(1+kA(VS)) ・・・・・・・(2)
なお、トルクセンサ110はトーションバー111、スライダ115等を含んで構成されているが、詳細な説明は後記する。
また、電動機駆動回路23は図示しないホール素子を用いて3相の電動機電流I(IU、IV、IW)を検出する機能を備えている。
車速センサSVは、車速を単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速VSを示す車速信号を出力する。
次に図2から図4を参照しながらトルクセンサ110の構成について説明する。図3はトルクセンサの詳細な構成図であり、図2におけるA−A矢視断面図である。図4は操舵トルクが加わった状態におけるトルクセンサ110の上部遊動部112、下部遊動部113及びスライダ115の変位を説明する図であり、(a)はニュートラル状態を示し、(b)は左操舵トルクを掛けてピニオン軸が約30°左回転している状態を示し、(c)は右操舵トルクを掛けてピニオン軸が約30°右回転している状態を示す図である。
トルクセンサ110は、操向ハンドル3に加えられる操舵トルクTsの大きさと方向を検出するものであり、ラックハウジング部11A部の上にフランジ接続されたリッド部13Aの中に、入力軸3d、ピニオン軸7と一体に組み立てられて、軸受3e,3fとともに収容されている。
ここで、ピン117A,117A,ピン117B,117B、長孔118A,118A、斜め長孔118B,118Bはカム機構を構成し、上部遊動部112と下部遊動部113とが捩じれると、図4に示すようにスライダ115は長孔118Aと斜め長孔118Bに誘導されて軸方向上下に移動する。
第1検出コイル114A、第2検出コイル114Bからのトルク検出電圧VT1,VT2は、差動増幅回路21で増幅され、トルク検出電圧(トルク信号)VT3を操舵制御ECU200に出力する。
次に図6から図10を参照しながら適宜図1、図2を参照して、ステアリング用車輪の転舵角が最大転舵角に達するラックエンド角において操向ハンドル3の動きを規制する回転終端機構6Aについて説明する。図6は本実施形態における回転終端機構の模式的な部品構成図であり、第1プレートから第3プレートの3枚の円盤と、それを挿通する入力軸との組み合わせ斜視図である。図7は、回転終端機構を構成する第1プレートから第3プレートの3枚の円盤を斜め下から見た斜視図である。図8の(a)は、第2プレートの下面側を示す平面図であり、(b)は、第3プレートの下面側を示す平面図であり、図9は、図8の(a)におけるB−B矢視断面図である。
図10は本実施形態における回転終端機構の第1プレート、第2プレート及び第3プレートの回転位置を説明する上方から見た模式的な平面図であり、(a)は、目一杯の左操舵状態(「左ラックエンド」の状態)を示し、(b)は操向ハンドルが左右に対してニュートラル位置に有る場合を示し、(c)は、目一杯の右操舵状態(「右ラックエンド」の状態)を示している。
回転終端機構6A(図2参照)は、第1プレート31、第2プレート33、第3プレート35、入力軸3dのセレーション部129、及びリッド部13Aの内周面に設けられたセレーション部128(図2参照)から構成されている。
ここで、第1プレート31は請求項に記載の「第1の円盤」を、第2プレート33は請求項に記載の「第3の円盤」を、第3プレート35は請求項に記載の「第2の円盤」を構成する。
ちなみに、突出部31dの上端は、図示省略してあるが、溝33bにはめ込み易いようにチャンファを取ってある。
なお、切片33eの背面側は図9に示すように空洞136になっており、凸部135が第1プレート31の上面と当接して、切片33eが空洞136側に弾性的に撓んで、入力軸3dの軸方向の押圧力を発生するようになっている。
更に、第2プレート33の前記した切片33eを設けた周方向位置の上面側に、突出部31d同様にスリット131が形成された略円柱形状の突出部33cが一体に設けられている。突出部33cの形状は前記した突出部31dの形状と同じであり、このスリット131は、略円柱形状の突出部33cを第2プレート33の外周方向に沿って半円柱に割り、突出部33cの第2プレート33径方向の外形を広げるように形成され、溝35cに嵌合された際の隙間(ガタ)を除去している。
ちなみに、突出部33cの上端は、図示省略してあるが、溝35cにはめ込み易いようにチャンファを取ってある。
第3プレート35の外周には、セレーション35bが刻まれ、図2に示すように電動パワーステアリング100Aのケースの一部であるトルクセンサ110を収容するケースのリッド部13Aの上部の軸受3eを保持するくびれ部直下の内周面に形成されたセレーション部128に圧入され、固定される(図2参照)。
ちなみに、突出部31d及び突出部33cの形状、つまり、外径及び高さは互いの間で同一であり、又、溝33b及び溝35cの形状、つまり、溝の幅、溝の深さ、溝の周方向長さは互いの間で同一である。
そして、リッド部13Aの内部にある入力軸3d、回転終端機構6A、トルクセンサ110、ウォームホィールギア5b、ピニオンギア7aまでを一式組立てたサブ組立て品を、ラック軸8のセンタ位置にあわせて挿入し、ラックハウジング部11Aに固定する。その際に回転終端機構6Aのセンタ位置とラック軸8のセンタ位置を合わせることが重要であり、回転終端機構の組立て時の角度誤差は気にする必要がない。
この結果、隣り合う第1プレート31と第2プレート33とは、突出部31dが溝33b内で周方向に所定の角度範囲“a”(図8の(a)参照)、例えば、300°の範囲で周方向に摺動して相対的に回動可能であり、且つ、車両の振動等のより第1プレート31と第2プレート33が前記嵌合構造の部分でがたついて異音を発したり、突出部31dが振動接触により磨耗したりすることを防止できる。
この結果、隣り合う第2プレート33と第3プレート35とは、突出部33cが溝35c内で周方向に所定の角度範囲“b”(図8の(b)参照)、例えば、300°の範囲で周方向に摺動して相対的に回動可能であり、且つ、車両の振動等により第2プレート33と第3プレート35が前記嵌合構造の部分でがたついて異音を発したり、突出部33cが振動接触により磨耗したりすることを防止できる。
なお、図10の(a),(b),(c)においては、トーションバー111の捩じれ量が小さい場合を想定して説明している。
次に図11、図12を参照しながら適宜図1を参照して操舵制御ECUについて説明する。図11は操舵制御ECUの機能ブロック図であり、図12の(a)はベース信号演算部における入力であるトルク信号に対して出力するベース信号の関係を示すデータテーブルであり、(b)はダンパ補償信号演算部における入力である電動機の回転速度に対して出力する補償信号の関係を示すデータテーブルである。
操舵制御ECU200は、CPU,ROM,RAM等を備えるマイクロコンピュータ及びプログラムからなり、図11の機能ブロック図に記載される機能を実現する。
操舵制御ECU200は、ベース信号演算部220と、イナーシャ補償信号演算部210と、ダンパ補償信号演算部225と、Q軸(トルク軸)PI制御部240と、D軸(磁極軸)PI制御部245と、2軸3相変換部260と、PWM変換部270と、3相2軸変換部265と、電動機速度算出部280と、励磁電流生成部285とを備える。
また、車速VSの値が高いほど、ゲインを大きくして電動機4の回転速度、すなわち、操舵速度(操舵回転速度)に応じて電動機4の出力トルクTM’を減衰させている。
言い換えれば、操向ハンドル3を切るときには、電動機4の電流を減じ、逆に戻すときには電動機4に大きな電流が供給される。例えば、操向ハンドル3を戻す際に電動機4の回転速度が速くなると、電動機4の慣性によって直ぐには回転速度が低下しないので、この現象を回避するために、ダンパ補償信号演算部225は、電動機4の電流を増大させて供給し、操向ハンドル3の戻り時の回転速度を抑制制御している。
また、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機4の回転子の慣性による応答性の低下を補償している。言い換えれば、電動機4は正回転から逆回転に、又は、逆回転から正回転に回転方向を切り替える際、慣性によってその状態を持続させようとするので直ぐには回転方向が切り替わらない。そこで、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機4の回転方向の切り替わりが操向ハンドル3の回転方向が切り替わるタイミングに一致するように制御している。このようにして、イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性(や粘性)による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与している。
また、FF(Front engine Front wheel drive)やFR(Front engine Rear wheel drive)車、RV(Recreation Vehicle)やセダン等の車両特性や車速、路面等の車両状態によって異なる操舵特性に対して、実用上十分な特性が付与される。
なお、2軸3相変換部260、及び、PWM変換部270は、電動機4の角度信号θが入力され、回転子の磁極位置に応じた信号が出力される。
次に、図1、図10及び図13を参照しながら本実施形態における回転終端機構6Aの作用、効果について説明する。
ラック軸8とラックハウジング部11Aとの位置関係が、図1において、仮に回転終端機構6Aが無く、更にラックハウジング部11Aの右端のハウジングエンド11aとラック軸8のラックエンド8bとが係合接触、又は逆にラックハウジング部11Aの左端のハウジングエンド11aとラック軸8のラックエンド8bとが係合接触しているときに、更に右、又は左に操向ハンドル3を回動すると、従来の電動パワーステアリング装置では、前輪1L、1Rからの負荷よりも大きな負担がピニオン軸7からラック軸8に加えられる。
これには、次のような2つの理由がある。
Ts+AH=Tp=TL ・・・・・(3)
Ts+AH=Tp>TL ・・・・・(4)
EM=(1/2)・IM・ωM 2 ・・・・・(5)
この運動エネルギがウォームギア5a、ウォームホイールギア5b、ピニオンギア7a、ラックギア8a、軸受3e,3f,3gやラックエンド8b、ハウジングエンド11a等の弾性変形により吸収され、そのときの衝撃負荷は、ラックエンド角に至っていない通常負荷の1.5倍程度に高くなる。
Ts+AH=Tp<TL ・・・・・(6)
となる
図13の(a)は操向ハンドルの操作量の時間推移を示す図であり、(b)はトルクセンサから出力されるトルク信号VT3の時間推移を示す図であり、(c)は実際の前輪の転舵角の変化の時間推移を示す図である。
このとき、(b)の曲線y2に示すようにラックエンド角においてトルク信号VT3は一時的に急上昇するとともに、電動機4の慣性モーメントによる運動エネルギが衝撃力をギア類(ウォームギア5a,ウォームホイールギア5b、ラックギア8a、ピニオンギア7a等)に発生させる。
従って、従来は(c)の曲線z2に示すようにラックエンド角においてラックエンド8bとハウジングエンド11aとの衝突が生じるとともに、(b)に示すようにトルク信号VT3が更に増大し、しかも電動機4の運動エネルギによる衝撃が作用している。
従って、電動機4、ウォームギア5a、ウォームホイールギア5b、ピニオンギア7a、ラックギア8a、軸受3e,3f,3gやラックエンド8b、ラックハウジング部11Aの設計上想定すべき負荷を低減でき、従来これらの構成部品の耐久性を確保するために、軸受のサイズを大きくしたり、ギアのモジュールを大きくしてサイズを大きくしたり、ラックハウジング部11Aの肉厚を厚くしたり、補強リブを設ける等、構成部品の重さが大きくなる問題が解消され、構成部品を小型、軽量化でき、車両への搭載性、特に小型車両への搭載性が向上する。
また、ラックエンドの状態での更なる切り増し操作をしても電動機駆動回路23や電動機4が焼き切れないように、電流容量に余裕を持たせる必要があったが、それが緩和され、電動機4を軽量化できる。
本発明における回転終端機構は前記実施形態におけるものに限定されるものではなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(第1の変形例)
次に回転終端機構の第1の変形例について図14を参照しながら、適宜図1を参照して説明する。
図14は、本変形例の回転終端機構の第1プレートから第3プレートとの軸方向配置を説明する図であり、斜め下方から見た斜視図である。本変形例の回転終端機構6Bは、第1の実施形態における回転終端機構6Aと異なり、第1プレート31と第3プレート35との間に配置される第2プレート33が2枚になっている。他の構成は第1の実施形態と同じ構成であり、同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
また、ラックエンド状態に到るような大きな切り回し操作においても、従来のようにラックエンド角を規制するラックエンド8bとハウジングエンド11aとを有しないので衝突は回避される。
例えば、第2プレート33の枚数を3枚とし、第2プレート33の溝33b及び第3プレート35の溝35cの周方向長さを調整して、隣接する第1プレート31及び第2プレート33との間の嵌合構造、隣接する第2プレート33同士の間の嵌合構造嵌合、隣接する第2プレート33及び第3プレート35との間の嵌合構造における許容回転角度範囲を全て同じ270°とすると、左ラックエンドの状態から右ラックエンドの状態までで合計1080°の許容回転角度範囲を確保でき、つまり、ニュートラル状態から左右にそれぞれ270°の操向ハンドル3の操作量を確保できる。
次に、図15、図16を参照しながら、適宜図6を参照して第2の変形例の回転終端機構について説明する。図15は本変形例の回転終端機構を適用した図1におけるステアリングギアボックスのトルクセンサ及びピニオンギア近傍の側面図である。図16は、本変形例の回転終端機構の第1プレートから第3プレートとの軸方向配置を説明する図であり、斜め下方から見た斜視図である。
また、第1の変形例における入力軸3dの外周に設けられたセレーション部129(図6参照)は、本変形例では位置決め突出部134の直上ではなく、回転終端機構設置領域127の上端に設けられる。
他の構成は、第1の変形例と同じであり、同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
ここで、第2プレート33Aは請求項に記載の「第2の円盤」を、第2プレート33は請求項に記載の「第3の円盤」を、第2プレート33Bは請求項に記載の「第1の円盤」を構成する。
第2プレート33Aは、図16に示すように第2プレート33の外周面にセレーション33dを刻んだだけであり、他は第2プレート33と同じ形状である。
第2プレート33Aの上には、2枚の内の下側の第2プレート33が、第2プレート33Aの突出部33cが、第2プレート33の溝33bに嵌るよう、孔33aに入力軸3dを挿通させて重ねられる。この第2プレート33Aの突出部33cと第2プレート33の溝33bとで請求項に記載の嵌合構造を構成している。
2枚の内の上側の第2プレート33の上には、第2プレート33Bが、第2プレート33の突出部33cが、第2プレート33Aの溝33bに嵌るよう、孔33aに入力軸3dを挿通させて重ねられる。この第2プレート33の突出部33cと第2プレート33Bの溝33bとで請求項に記載の嵌合構造を構成している。
また、第1の実施形態の回転終端機構6A及びその変形例である回転終端機構6B,6Cにおいて、第2プレート33の下面と、第3プレート35(又は第2プレート33B)の下面に摺動可能な嵌合構造の溝33b,35c(33b)を形成し、それぞれの下側に隣接するプレートの上面に形成された突出部とで嵌合構造を構成するものとしたが、これに限定されるものではなく、隣接する2枚のプレートの内の下側のプレートの上面に溝を形成し、上側のプレートの下面に突出部を形成し、突出部を溝に嵌め込み、それらを摺動可能な嵌合構造としても良い。
また、各第2プレート33,33A,33Bに切片33eを設けるので、各第2プレート33,33A,33B間の軸方向のガタツキを少なくできる。
次に図17を参照しながら本発明の第2の実施形態に係わる電動パワーステアリング装置について説明する。
図17は本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成図である。本実施形態の電動パワーステアリング装置100Bは、電動機4によりボールネジ5cを介してラック軸8をアシスト駆動するタイプである。
第1の実施形態とは、電動機4がピニオン軸7をウォームギア5a及びウォームホイールギア5bを介して駆動する代わりに、本実施形態においては、電動機4がウォームギア5aとウォームホイールギア5bで構成された減速機構5B及びボールネジ5cを駆動し、ボールネジ5cの回転運動を直接ラック軸8の直線運動に変換して駆動するところが異なっている。
また、第1の実施形態におけるトルクセンサ110の代わりに、本実施形態では磁歪膜を使用したトルクセンサ120としているところが異なる。
第1の実施形態と同じ構成については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、減速機構5Bの配置が第1の実施形態と異なるので、本実施形態のステアリングギアボックス10Bのラックハウジング部11B及びリッド部13Bは、第1の実施形態と形状が異なるが機能は略同じである。
トルクセンサ120において、入力軸3dにトルクが作用したとき、第1及び第2磁歪膜121A,121Bにもトルクが作用し、このトルクに応じて第1及び第2磁歪膜121A,121Bに逆磁歪効果が生じる。図示しない励磁電圧供給源から前記した励磁コイルに高周波の交流電圧(励磁電圧)を供給すると、第1及び第2磁歪膜121A,121Bに掛かっているトルクにもとづく逆磁歪効果による磁界の変化を、第1及び第2検出コイル124A,124Bによりインピーダンスあるいは誘導電圧の変化としてそれぞれ検出することができる。このとき、入力軸3dの捩りトルク以外にも常に引っ張り応力が第1及び第2磁歪膜121A,121Bに印加された状態となっているため、ヒステリシスが小さい特性が得られ、このインピーダンスあるいは誘導電圧の変化から入力軸3dに加えられたトルクを検出することができる。
第1及び第2検出コイル124A,124Bそれぞれから出力される信号電圧VT1,VT2は差動増幅回路21に入力され増幅されてトルク信号VT3として操舵制御ECU200に入力される。
なお、図17において回転終端機構6は、前記した回転終端機構6A,6B,6Cを代表して表示したものであり、いずれの回転終端機構6A,6B,6Cを組み合わせても良い。
次に図18を参照しながら本発明の第3の実施形態に係わる電動パワーステアリング装置について説明する。
図18は本発明の第3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成図である。本実施形態の電動パワーステアリング装置100Cは、電動機4によりウォームギア5a、ウォームホイールギア5bを介してハンドル軸3aをアシスト駆動するタイプである。
第1の実施形態とは、電動機4がピニオン軸7をウォームギア5a及びウォームホイールギア5bを介して駆動する代わりに、本実施形態においては、電動機4がウォームギア5aとウォームホイールギア5bで構成された減速機構5Aを介して、ハンドル軸3aを駆動するところが異なっている。
また、第1の実施形態におけるトルクセンサ110の代わりに、本実施形態では磁歪膜を使用したトルクセンサ120としているところが異なる。
第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ構成については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、減速機構5Aの配置が第1の実施形態と異なるので、本実施形態のステアリングギアボックス10Cのラックハウジング部11C及びリッド部13Cは、第1の実施形態と形状が異なるが機能は略同じである。ただし、リッド部13Cには回転終端機構6は配置されておらず、第1及び第2の実施形態におけるような回転終端機構6の保持機能は不要である。
なお、図18において回転終端機構6は、前記した回転終端機構6A,6B,6Cを代表して表示したものであり、いずれの回転終端機構6A,6B,6Cを組み合わせても良い。
また、ラックエンド状態に到るような大きな切り回し操作においても、従来のようにラックエンド角を規制するラックエンド8bとハウジングエンド11aとを有しないので衝突は回避される。
特に、操向ハンドル3の手元に回転終端機構6が設けられるので、操向ハンドル3のハンドル軸3aのセンタとラック軸のセンタは、自在継ぎ手3bのところで調整すれば良いので、回転終端機構6を組付けるときのセンタ合わせの必要がない。
このような工夫により、第2プレート33,33A,33Bを別々に設計製作する必要がなくなり、設計工数の削減や1個当たりの製作コストを安くすることができる。
3 操向ハンドル(操作子)
3a ハンドル軸
3d 入力軸
4 電動機
5A,5B 減速機構
5a ウォームギア
5b ウォームホイールギア
6A,6B,6B’,6C 回転終端機構
7 ピニオン軸
7a ピニオンギア
8 ラック軸
8a ラックギア
8b ラックエンド
9 タイロッド
10A,10B,10C ステアリングギアボックス
11A,11B,11C ラックハウジング部
11a ハウジングエンド
13A,13B,13C リッド部
21 差動増幅回路
23 電動機駆動回路
31 第1プレート(第1の円盤)
31a,33a,35a 孔
31b,33d,33f,35b セレーション
31c ボス部
31d,33c 突出部(嵌合構造)
33 第2プレート(第3の円盤)
33A 第2プレート(第2の円盤)
33B 第2プレート(第1の円盤)
33b,35c 溝(嵌合構造)
33e 切片(付勢手段)
35 第3プレート(第2の円盤)
100A,100B,100C 電動パワーステアリング装置
110,120 トルクセンサ
111 トーションバー
127 回転終端機構設置領域
128,129 セレーション部
131 スリット
133 切り欠き
134 位置決め突出部
135 凸部
137,139 溝終端部
200 操舵制御ECU
Claims (6)
- 少なくとも、操作子からの入力により生じる操舵トルクに応じて、電動機が補助トルクを発生し、該補助トルクを前輪のステアリング系に伝達する電動パワーステアリング装置において、
前記操舵トルクを検出するトルクセンサと前記操作子との間に、前記操作子の動作終端を形成する回転終端機構が設けられており、
前記回転終端機構は、
その回転中心部に設けた孔に前記操作子の回転を前記トルクセンサに伝える入力軸が挿通されて固定される第1の円盤と、
その回転中心部に設けた孔に前記入力軸が相対的に回転可能に挿通され、且つ、前記電動パワーステアリングを収容するケースに固定される第2の円盤と、
前記第1の円盤と前記第2の円盤との間に配置され、その回転中心部に設けた孔に前記入力軸が相対的に回転可能に挿通され、且つ、前記ケースに対しても相対回転可能な第3の円盤と、
を備え、
前記第3の円盤と、前記第1及び第2の円盤との間で、所定の回転角度範囲の回転を許容する嵌合構造を構成することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記第3の円盤は、前記第1及び第2の円盤との間に2枚以上備えられ、
前記第3の円盤同士の間にも前記嵌合構造を構成することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記嵌合構造は、
前記第1、第2及び第3の円盤の内の隣接する2つの円盤同士の間の一方の面に、終端部を有する所定の周長の溝を形成し、他方の面に前記溝に嵌まり、前記溝内で周方向に摺動可能な突出部を設けたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記第1、第2及び第3の円盤の内の少なくとも1つが、前記入力軸の軸方向の互いの間隙によるガタツキを抑制する付勢手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記嵌合構造の前記突出部は、略円柱状であり、縦方向にスリットを有し、前記溝に嵌った状態で、前記入力軸の径方向に前記溝の両壁を押圧し、前記嵌合構造のガタツキを抑制することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記第1、第2、第3の円盤は、略同一形状であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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