[パチスロの機能フロー]
本発明の遊技機に係る実施の形態について、以下図面を参照しながら説明する。本実施形態では、第1実施形態と第2実施形態について説明するが、図1〜図7の説明については、第1実施形態と第2実施形態とで共通する。
はじめに、図1を参照して、本実施の形態における遊技機(以下、パチスロ)1の機能フローについて説明する。
遊技者によりメダルが投入され、スタートレバー6が操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
内部抽籤手段(後述のメインCPU31)は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。内部当籤役の決定により、後述の入賞判定ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。尚、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものとが設けられている。
続いて、複数のリール3L,3C,3Rの回転が行われた後で、遊技者によりストップボタン7L,7C,7Rが押されると、停止制御手段(後述のモータ駆動回路39、後述のステッピングモータ49L,49C,49R)は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。
ここで、パチスロ1では、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施の形態では、上記規定時間内でのリール3L,3C,3Rの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼び、その最大数を図柄4個分に定める。
停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せの表示を許可する内部当籤役が決定されているときでは、上記規定時間を利用して、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリール3L,3C,3Rの回転を停止する。その一方で、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せについては、上記規定時間を利用して、入賞判定ラインに沿って表示されることがないようにリール3L,3C,3Rの回転を停止する。
特に、停止制御手段は、定速回転中のリール3L,3C,3Rにおいて、更新された図柄位置情報(後述の図柄カウンタ)と決定された停止図柄位置情報(後述の停止予定位置)とが一致した場合にリールの停止制御を行うので、リール3L,3C,3Rの停止制御開始時点まで定速回転を行うことができる。よって、従来どおりの最大滑り駒数を確保して大径のリールの停止制御を行うことができる。
さらに、停止制御手段は、後述のパルスカウンタによりカウントされるパルス数が特定の値となった場合にリール3L,3C,3Rを停止制御するので、リール3L,3C,3Rを正確に停止制御することができる。
さらにまた、停止制御手段は、基準電流値(後述の500mA)よりも小さい第1の電流値(後述の130mA)で励磁相を励磁してリール3L,3C,3Rを停止制御するので、リール3L,3C,3Rの制動力を相対的に弱めてリール3L,3C,3Rを滑らかに停止することができる。
こうして、複数のリール3L,3C,3Rの回転が全て停止されると、入賞判定手段(後述のメインCPU31)は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し等の特典が遊技者に与えられる。以上のような一連の流れがパチスロ1における1回の遊技として行われる。
また、パチスロ1では、前述した一連の流れの中で、液晶表示装置5により行う映像の表示、ランプ14により行う光の出力、スピーカ9L,9Rにより行う音の出力、或いはこれらの組合せを利用して様々な演出が行われる。
遊技者によりスタートレバー6が操作されると、前述の内部当籤役の決定に用いられた乱数値とは別に、演出用の乱数値(以下、演出用乱数値)が抽出される。演出用乱数値が抽出されると、演出内容決定手段(後述のサブCPU81)は、内部当籤役に対応づけられた複数種類の演出内容の中から今回実行するものを抽籤により決定する。
演出内容が決定されると、演出実行手段(後述の液晶表示装置5、後述のスピーカ9L,9R、後述のランプ14)は、リール3L,3C,3Rの回転が開始されるとき、各リール3L,3C,3Rの回転がそれぞれ停止されるとき、入賞の有無の判定が行われたとき等の各契機に連動させて演出の実行を進める。このように、パチスロ1では、内部当籤役に対応づけられた演出内容を実行することによって、決定された内部当籤役(言い換えると、狙うべき図柄の組合せ)を知る或いは予想する機会が遊技者に提供され、遊技者の興味の向上が図られる。
[パチスロの構造]
パチスロ1の機能フローについての説明は以上である。次に、図2、図3を参照して、本実施の形態におけるパチスロという1について説明する。図2は、パチスロ1の正面図であり、図3はパチスロ1の斜視図である。
パチスロ1は、リール3L,3C,3Rや回路基板等を収容する筐体となるキャビネット1aと、キャビネット1aの前面側F(図2におけるF側)に対して開閉可能に取り付けられるフロントドア2とフロントドア2の前面側Fにフロントパネル8とを備える。キャビネット1aの内部には、3つのリール3L,3C,3Rが横並びに設けられている。各リール3L,3C,3Rは、円筒状のフレームの周面に、複数の図柄が回転方向に沿って連続的に配置された帯状のシートを貼り付けて構成されている。
フロントドア2の中央には、液晶表示装置5が設けられている。液晶表示装置5は、図3に示すように、フロントドア2の前面側Fであって、フロントドア2とフロントパネル8との間に設けられる。液晶表示装置5は、取付枠により、フロントドア2の上側Tの部分に固定される。
また、液晶表示装置5は、図柄表示領域21L,21C,21Rを含む表示画面5aを備え、正面から見て3つのリール3L,3C,3Rに重畳する手前側(図2におけるF側)に位置するように設けられている。図柄表示領域21L,21C,21Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応して設けられており、その背面側R(図2におけるR側)に設けられたリール3L,3C,3Rを透過することが可能な構成を備えている。
つまり、図柄表示領域21L,21C,21Rは、表示窓としての機能を果たすものであり、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rの回転及びその停止の動作が遊技者側から視認可能となる。また、本実施の形態では、図柄表示領域21L,21C,21Rを含めた表示画面5aの全体を使って、映像の表示が行われ、演出が実行される。
図柄表示領域21L,21C,21Rは、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rの回転が停止されたとき、リール3L,3C,3Rの表面に配された複数種類の図柄のうち、その枠内における上段、中段及び下段の各領域にそれぞれ1個の図柄(合計で3個)を表示する。また、各図柄表示領域21L,21C,21Rが有する上段、中段及び下段からなる3つの領域のうち予め定められた何れかをそれぞれ組合せてなる擬似的なラインを、入賞か否かの判定を行う対象となるライン(入賞判定ライン)として定義する。
フロントドア2には、遊技者による操作の対象となる各種装置が設けられている。メダル投入口10は、遊技者によって外部から投下されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口10に受け入れられたメダルは、所定枚数(例えば3枚)を上限として1回の遊技に投入され、所定枚数を超えた分はパチスロ1内部に預けることが可能となる(いわゆるクレジット機能)。
ベットボタン11は、パチスロ1内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。精算ボタン12は、パチスロ1内部に預けられているメダルを外部に引き出すために設けられる。
スタートレバー6は、全てのリール3L,3C,3Rの回転を開始するために設けられる。ストップボタン7L,7C,7Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応づけられ、対応するリール3L,3C,3Rの回転を停止するために設けられる。
ランプ(LED等)14は、演出内容に応じた点消灯のパターンにて光を出力する。スピーカ9L,9Rは、演出内容に応じた効果音や楽曲等の音を出力する。メダル払出口15は、排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口15から排出されたメダルは、メダル受皿16に貯められる。
[リールユニットの構成]
図4は、各表示窓4L,4C,4Rの内部に設けられたリールユニットの構成を示す斜視図である。図4に示すように、リールユニットは、3枚の取付板80L,80C,80Rと、この各取付板80L,80C,80Rの内側に配置された3個のリール3L,3C,3Rと、リール3L,3C,3Rを個々に回転駆動する3個のステッピングモータ49L,49C,49Rとを具備する。
なお、リール3L,3C,3Rはそれぞれ矢印d1方向と矢印d2方向とのいずれの方向へも回転が可能なように駆動制御される。
[リールの側面図]
図5(a)は、リール3L,3C,3Rの右側面を示す図である。図5(a)に示すように、取付板80(図示せず)には、リール3L,3C,3Rの回転半径r1内に、リール3L,3C,3Rの回転位置を検出するためのリール位置検出回路50(図7参照)が設けられている。リール3L,3C,3Rは、リール3L,3C,3Rの中心が、取付板80の面から鉛直に向かって延びたリールポスト(図示せず)に回転可能に軸支されている。
このリール3L,3C,3Rは、図5(a)に示すように、その中心から放射状に延びた6本のアーム24と、各アーム24の延長方向の先端がわたるように一体的に形成された筒状部材16とから構成されている。このアーム24の1つには、リール位置検出回路50により検出可能な位置に、基準位置としての検出片28が設けられている。この検出片28は、リール3L,3C,3Rが1回転する毎に、リール位置検出回路50を通過するように配置されている。そして、リール位置検出回路50は、検出片28が通過して検出片28を検出する度に、検出信号を出力可能に形成されている。
筒状部材16の側周縁には、後述する図6に示すシンボルシートが貼られている。このシンボルシートは、シンボルマークに、表示された図柄の中央が位置するように、接着などの方法で筒状部材16の外周表面に装着されている。
ステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動軸とリール3L,3C,3Rの回転軸との間には、図5(a)に示すように、減速伝達機構が配設されている。この減速伝達機構は、ステッピングモータ49L,49C,49Rの回転を所定の減速比をもってリール3L,3C,3Rを回転させる回転軸に伝達するものである。
この減速伝達機構は、図5(a)に示すように、ステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動側に設けられた出力側ギヤ26と、この出力側ギヤ26に接触するとともに、リール3L,3C,3Rの支持軸と同一の軸心となるようにリール3L,3C,3Rに配設された入力側ギヤ27との二つのギヤを備えている。
図5(b)は、ステッピングモータ49L,49C,49Rの内部構造を示す図である。同図に示すように、本実施例に係るステッピングモータ49L,49C,49Rは、各励磁相が順番に時計回りに配置されている。
ステッピングモータ49L,49C,49R(図7参照)に配置された相1、相2、相3、相4を励磁するパターンを変えて、リール3L,3C,3Rの回転方向を変える。この励磁パターンは、後述するモータ駆動回路39(図7参照)が発生する所定のパルス信号により実現される。
本実施例のステッピングモータ49L,49C,49Rは、2層励磁方式を採用している(本発明の遊技機1が備えるステッピングモータ49L,49C,49Rは、2層励磁方式に限らず、1層励磁方式、1−2層励磁方式のいずれであってもよい)。2層励磁方式とは、例えば、相1−相2、相2−相3、相3−相4、相4−相1の組合せと順序のサイクルで一度に2つの相を励磁する方式である。モータ駆動回路39がステッピングモータ49L,49C,49Rに供給する1つのパルス信号によって1回の励磁が行われる。図5(b)では、相1−相2、相2−相3、相3−相4、相4−相1のサイクルで各層を励磁すると矢印d4の方向にロータが回転し、相1−相4、相4−相3、相3−相2、相2−相1のサイクルで各層を励磁すると矢印d3の方向にロータが回転する。ロータが矢印d3の方向に回転すると、出力側ギヤ26から入力側ギヤ27に回転トルクが伝達されてリール3は矢印d1の方向に回転し、ロータが矢印d4の方向に回転するとリール3は矢印d2の方向に回転する。
なお、リール3L,3C,3Rの回転の加速は、モータ駆動回路39がステッピングモータ49L,49C,49Rに送信するパルス信号による1回の励磁の時間を、後述する加速時励磁データテーブル(図9参照)の励磁タイマに示すように順次変化させることで行われる。一方、リール3L,3C,3Rの回転の減速は、当該1回の励磁の時間を、後述する減速時励磁データテーブル(図10、図25)の励磁タイマに示すように順次変化させることで行われる。
[リールの図柄配列]
図6は、各リール3L,3C,3Rに表わされた複数種類の図柄が21個配列された図柄列の一例を示している。各図柄には“00”〜“20”のコードナンバーが付され、データテーブルとして後で説明するメインROM32(図7参照)に格納されている。各リール3L,3C,3R上には、「青7」(図柄91)、「赤7」(図柄92)、「BAR」(図柄93)、「ベル」(図柄94)、「スイカ」(図柄95)及び「チェリー」(図柄96)、そして「リプレイ」(図柄97)の図柄で構成される図柄列が表わされている。各リール3L,3C,3Rは、図柄列がそれぞれ矢印d1方向とd2方向とのいずれの方向へも移動するように回転駆動される。実施例では、「ベル」(図柄94)、「スイカ」(図柄95)、「チェリー」(図柄96)のそれぞれが有効化された入賞ラインに揃って停止することにより入賞する役を「小役」という。
[パチスロが備える回路の構成]
次に、図7を参照して、本実施の形態におけるパチスロ1が備える回路の構成について説明する。本実施の形態におけるパチスロ1は、主制御回路71、副制御回路72及びこれらと電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)を備える。
<主制御回路>
図7は、本実施の形態におけるパチスロ1の主制御回路71の構成を示す。
(マイクロコンピュータ)
主制御回路71は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ30を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ30は、CPU(以下、メインCPU)31、ROM(以下、メインROM)32及びRAM(以下、メインRAM)33により構成される。
メインROM32には、メインCPU31により実行される制御プログラム(後述の図13〜図23、図27〜図31参照)、データテーブル(後述の図9〜図11、図25参照)、副制御回路72に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM33には、制御プログラムの実行により決定された各種データを格納する格納領域(後述の図12、図26参照)が設けられる。
(乱数発生器等)
メインCPU31には、クロックパルス発生回路34、分周器35、乱数発生器36及びサンプリング回路37が接続されている。クロックパルス発生回路34及び分周器35は、クロックパルスを発生する。メインCPU31は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器36は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路37は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
(スイッチ等)
マイクロコンピュータ30の入力ポートには、スイッチ等が接続されている。メインCPU31は、スイッチ等の入力を受けて、ステッピングモータ49L,49C,49R等の周辺装置の動作を制御する。ストップスイッチ7Sは、3つのストップボタン7L,7C,7Rのそれぞれが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出したことに応じて、停止操作がされたことを示す信号を出力する。また、スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出したことに応じて、開始操作がされたことを示す信号を出力する。
メダルセンサ42Sは、メダル投入口10に受け入れられたメダルがセレクタ(図示せず)内を通過したことを検出する。また、ベットスイッチ11ASは、ベットボタン11が遊技者により押されたことを検出する。また、精算スイッチ12Sは、精算ボタン12が遊技者により押されたことを検出する。
(周辺装置及び回路)
マイクロコンピュータ30により動作が制御される周辺装置としては、ステッピングモータ49L,49C,49R、7セグ表示器13及びホッパー40がある。また、マイクロコンピュータ30の出力ポートには、各周辺装置の動作を制御するための回路が接続されている。
モータ駆動回路39は、各リール3L,3C,3Rに対応して設けられたステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動を制御する。リール位置検出回路50は、発光部と受光部とを有する光センサにより、リール3L,3C,3Rが一回転したことを示すリールインデックスを各リール3L,3C,3Rに応じて検出する。
ステッピングモータ49L,49C,49Rは、運動量がパルスの出力数に比例し、回転軸を指定された角度で停止させることが可能な構成を備えている。ステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動力は、所定の減速比をもったギヤを介してリール3L,3C,3Rに伝達される。ステッピングモータ49L,49C,49Rに対して1回のパルスが出力される毎に、リール3L,3C,3Rは一定の角度で回転する。
メインCPU31は、リールインデックスを検出してからステッピングモータ49L,49C,49Rに対してパルスを出力した回数をカウントすることによって、リール3L,3C,3Rの回転角度(主に、リール3L,3C,3Rが図柄何個分だけ回転したか)を管理し、リール3L,3C,3Rの表面に配された各図柄の位置を管理するようにしている。
表示部駆動回路48は、7セグ表示器13(図2及び図3では図示を省略している)の動作を制御する。また、ホッパー駆動回路41は、ホッパー40の動作を制御する。また、払出完了信号回路51は、ホッパー40に設けられたメダル検出部40Sが行うメダルの検出を管理し、ホッパー40から外部に排出されたメダルが払出枚数に達したか否かをチェックする。
[第1実施形態]
以下、図8〜図23を参照して、第1実施形態について説明する。
[リールの減速から停止]
図8は、ステッピングモータ49L,49C,49R(図7参照)に配置された相1、相2、相3、相4を励磁するパターンと、ホールド緩和信号のON・OFFの切り換えとを、時間の経過とともに表した図である。
図8に示した「1001」等の数字列は、各相の励磁パターンを示しており、最上段の数字が1相に、2段目の数字が2相に、3段目の数字が3相に、最下段の数字が4相にそれぞれ対応している。また、「1」が励磁されていることを「0」が励磁されていないことを示している。励磁は、モータ駆動回路39から各相に電流が供給されることでなされる。
ホールド緩和信号は、モータ駆動回路39から各相に供給される電流の値を通常時(リール3L,3C,3Rの定速回転時など)よりも小さくするための信号である。このホールド緩和信号は、リール3L,3C,3Rが定速から減速に切り替わるタイミングでモータ駆動回路39に供給される。また、ホールド緩和信号がOFFのとき、電流値は500mAであり、ONのとき、電流値は130mAである。
上述したように、モータ駆動回路39がステッピングモータ49L,49C,49Rに供給する1つのパルス信号によって1回の励磁が行われる。ここで、1回の励磁は、「1001」等の励磁パターンに従って行われる。
定速中では、1つのパルス信号による1回の励磁が2割り込み分の時間行われ、これが繰り返されることでリール3L,3C,3Rが定速回転する。減速中では、定速時の最後の励磁パターン(図8では、3相と4相が励磁されている。)において励磁されている相の次の相(4相と1相)が3割り込み分の時間励磁される。このとき、ホールド緩和信号をONがとなる。さらに、次の相(1相と2相)が217割り込み分の時間励磁されてリール3L,3C,3Rが停止する。217割り込み分の時間が経過したら、ホールド緩和信号がOFFとなり、全相について励磁がなされなくなる。
ホールド緩和信号がONとなると、モータ駆動回路39から各相に供給される電流値が少なくなり、リール3L,3C,3Rの回転の制動力(リールの保持力)が弱まり、リール3L,3C,3Rの慣性力が大きくなるため脱調が起こる。第1実施形態では、2回の脱調を経てリール3L,3C,3Rが停止する。
[メインROMに記憶されているデータテーブルの構成]
次に、図9〜図11を参照して、メインROM32に記憶されている各種データテーブルの構成について説明する。
[加速時励磁データテーブル]
図9は、加速時励磁データテーブルを示す図である。この加速時励磁データテーブルは、リール3L,3C,3Rの回転開始直前から定速に至るまでの間に参照されるテーブルであり、後述する図18のステップS63及び図19のステップS72で参照される。図9によれば、励磁データインデックスの値に励磁タイマの値及び内容が対応付けられている。
励磁タイマの値は、1回の割り込み時間を1単位としている。リール3L,3C,3Rの「起動ホールド」が、192割り込み分の時間行われた後、「加速1」〜「加速12」まで12段階にわたってリール3L,3C,3Rが加速される。
[減速時励磁データテーブル]
図10は、減速時励磁データテーブルを示す図である。この減速時励磁データテーブルは、リール3L,3C,3Rの減速開始から停止に至るまでの間に参照されるテーブルであり、後述する図21のステップS106及び図22のステップS122で参照される。図10によれば、励磁データインデックスの値に励磁タイマの値及び内容が対応付けられている。
励磁タイマの値は、1回の割り込み時間を1単位としている。リール3L,3C,3Rの「減速」が、3割り込み分行われた後、「停止ホールド」が、217割り込み分行われ、リール3L,3C,3Rが停止する。
[パルス出力データテーブル]
図11は、パルス出力データテーブルを示す図である。このパルス出力データテーブルには、パルスコードカウンタの値に応じて出力するパルスデータの内容が格納され、後述する図17のステップS59及び図28のステップS162で参照される。パルスコードカウンタの値は、後述する図17のステップS58及び図28のステップS161で更新される。
[メインRAMに設けられる格納領域の構成]
メインROM32に記憶されているデータテーブルの内容についての説明は以上である。次に、図12を参照して、メインRAM33に設けられている格納領域の構成について説明する。
[左リール用リール制御データ格納領域]
図12を参照して、左リール用リール制御データ格納領域の構成について説明する。なお、中リール用リール制御データ格納領域、右リール用リール制御データ格納領域も同様の構成であるため、説明を省略する。
左リール用リール制御データ格納領域は、リール制御情報、励磁タイマ、励磁データインデックス、リールセンサ情報、パルスカウンタ、図柄カウンタ、停止予定位置及び停止制御位置を格納する領域から構成されている。
リール制御情報は、1バイトからなるデータを格納する。各ビットに対してリール制御情報の各種内容が対応しており、ビットに「1」が立っているとき、該当するリール制御情報の内容が有効となる。リールセンサ情報も同様である。
[パチスロにおいて実行されるプログラムフロー]
次に、図13〜図23を参照して、第1実施形態における主制御回路71のメインCPU31により実行されるプログラムの内容について説明する。
[主制御回路のメインCPUの制御によるメインフローチャート]
図13を参照して、メインCPU31が実行する主たる処理を示したメインフローチャートについて説明する。
初めに、メインCPU31は、初期化処理を行い(ステップS1)、ステップS2に移る。なお、この処理では、メインCPU31は、メインRAM33が正常であるか否かのチェックや入出力ポートの初期化等を行う。
ステップS2では、メインCPU31は、指定格納領域初期化処理を行う。例えば、メインCPU31は、内部当籤役格納領域や表示役予想格納領域等に格納されているデータをクリアする。続いて、メインCPU31は、メダル受付・スタートチェック処理を行う(ステップS3)。なお、この処理では、メインCPU31は、投入枚数に基づいて開始操作が可能であるか否かを判別する。
次に、メインCPU31は、抽籤用乱数値を抽出し、乱数値格納領域に格納する(ステップS4)。このステップS4の処理で抽出された抽籤用乱数値は、内部抽籤処理(ステップS5)において使用される。続いて、メインCPU31は、内部抽籤処理を行う(ステップS5)。なお、この処理では、メインCPU31は、内部当籤役を決定する。
次に、メインCPU31は、リール停止初期設定処理を行う(ステップS6)。この処理では、メインCPU31は、リール3L,3C,3Rの回転を停止する制御に係る領域等の初期化を行う。
次に、メインCPU31は、スタートコマンドデータをメインRAM33の通信データ格納領域に格納する(ステップS7)。スタートコマンドは、遊技状態、内部当籤役等の情報を含み、後述する割込処理の通信データ送信処理(図15のステップS34)において副制御回路72に送信される。これにより、副制御回路72は、開始操作に応じた処理を行うことができる。
次に、メインCPU31は、遊技時間管理タイマが0であるか否かを判別する(ステップS8)。この判別がNOのときは、メインCPU31は、待ち時間の消化待ちを行い(ステップS9)、ステップS10に移る。ステップS10では、メインCPU31は、遊技時間管理タイマに初期値をセットする。すなわち、ステップS8〜ステップS10は、いわゆるウェイト待ちの処理である。
続いて、メインCPU31は、全リール3L,3C,3Rの回転の開始を要求する(ステップS11)。次に、メインCPU31は、リール回転開始コマンドデータをメインRAM33の通信データ格納領域に格納する(ステップS12)。格納されたリール回転開始コマンドは、後述する割込処理の通信データ送信処理において副制御回路72に送信される。
次に、メインCPU31は、引込優先順位格納処理を行う(ステップS13)。引込優先順位格納処理では、図柄コード格納領域毎に表示され得る役の中で最も優先して引き込む役を決定し、決定した役に基づく引込優先順位データを引込優先順位データ格納領域に格納する。続いて、メインCPU31は、後で図14を参照して説明するリール停止制御処理を行う(ステップS14)。
次に、メインCPU31は、入賞作動検索処理を行う(ステップS15)。なお、この処理では、メインCPU31は、表示役の決定、及びメダルの払出枚数の決定を行う。次に、メインCPU31は、入賞チェック・メダル払出処理を行う(ステップS16)。この処理では、メインCPU31は、ステップS15の処理において決定されるメダルの払出枚数に基づいてメダルを払い出す。
続いて、メインCPU31は、遊技状態移行制御処理を行う(ステップS17)。なお、この処理では、メインCPU31は、所定の条件に基づいて遊技状態を移行させる制御を行う。
[リール停止制御処理]
図14を参照して、メインCPU31が内部当籤役や遊技者による停止操作のタイミング等に基づいてリール3L,3C,3Rの回転を停止させる処理の手順を示したリール停止制御処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、有効なストップボタン7L,7C,7Rが押されたか否かを判別する(ステップS21)。このとき、有効なストップボタン7L,7C,7Rが押された場合には、メインCPU31は、続いて、ステップS22の処理を行う。他方、有効なストップボタン7L,7C,7Rが押されていない場合には、メインCPU31は、再び、ステップS21の処理を行う。
ステップS22では、メインCPU31は、押されたストップボタンを無効化する。続いて、メインCPU31は、押されたストップボタンから停止対象リールを決定する(ステップS23)。具体的には、押されたストップボタンが左のストップボタン7Lである場合には、停止対象リールとして左のリール3Lを決定し、押されたストップボタンが中のストップボタン7Cである場合には、停止対象リールとして中のリール3Cを決定し、押されたストップボタンが右のストップボタン7Rである場合には、停止対象リールとして右のリール3Rを決定する。
続いて、ステップS24において、メインCPU31は、図柄カウンタに基づいて停止開始位置を格納する。次に、メインCPU31は、リール停止初期設定データ及び引込優先順位データを参照し、内部当籤役及び停止位置に基づいて、滑り駒数を決定する(ステップS25)。ステップS26では、メインCPU31は、リール停止コマンドデータをメインRAM33の通信データ格納領域に格納する。リール停止コマンドは、作動ストップボタン等についての情報を含み、後述する割込処理の通信データ送信処理において副制御回路72に送信される。これにより、副制御回路72は、停止操作に応じた処理を行うことができる。
ステップS27では、メインCPU31は、停止開始位置及び滑り駒数に基づいて、停止予定位置を決定し、リール制御データ格納領域に格納する。続いて、メインCPU31は、有効なストップボタンがあるか否かを判別する(ステップS28)。このとき、有効なストップボタンがある場合には第3停止時でないと判別し、メインCPU31は、引込優先順位格納処理を行い(ステップS29)、次に、ステップS21の処理に戻る。このように、パチスロ1では、次のリール3L,3C,3Rの回転を停止する処理が行われる前に、未だ回転しているリール3L,3C,3Rの各図柄位置について引込優先順位データを格納する処理が行われる。他方、有効なストップボタンがない場合には、第3停止時であると判別し、リール停止制御処理を終了する。
[メインCPUの制御による割込処理(1.1173msec)]
図15を参照して、メインCPU31が所定の時間(例えば、1.1173ms)毎に実行する割込の処理の手順を示したメインCPU31の制御による割込処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、レジスタの退避を行う(ステップS31)。続いて、メインCPU31は、入力ポートチェック処理を行う(ステップS32)。この処理では、メインCPU31は、マイクロコンピュータ30へ送信される信号の有無を確認する。例えば、メインCPU31は、スタートスイッチ6S、ストップスイッチ7S等のオンエッジ、オフエッジを割込処理毎に格納する。また、メインCPU31は、各種スイッチのオンエッジ、オフエッジの情報を含む入力状態コマンドをメインRAM33の通信データ格納領域に格納する。格納された入力状態コマンドは、後述する割込処理の通信データ送信処理において副制御回路72に送信される。これにより、スタートレバー6やストップボタン7L,7C,7Rといった操作手段を用いて各種演出を実行することができる。
続いて、メインCPU31は、タイマ更新処理を行う(ステップS33)。次に、メインCPU31は、通信データ送信処理を行う(ステップS34)。この処理では、通信データ格納領域に格納されたコマンドを副制御回路72へ送信する。続いて、メインCPU31は、後で図16及び図17(後述する第2実施形態では図27及び図28)を参照して説明するリール制御処理を行う(ステップS35)。例えば、メインCPU31は、リール3L,3C,3Rの回転を制御する。より詳細には、メインCPU31は、リール3L,3C,3Rの回転を開始する旨の要求、すなわち、開始操作に応じて、リール3L,3C,3Rの回転を開始するとともに、一定の速度でリール3L,3C,3Rが回転するように制御を行う。また、停止操作に応じて、停止操作に対応するリール3L,3C,3Rの回転が停止するように制御を行う。
続いて、メインCPU31は、ランプ・7SEG駆動処理を行う(ステップS36)。例えば、メインCPU31は、クレジットされているメダルの数、払出枚数等を各種表示部に表示する。続いて、メインCPU31は、レジスタの復帰を行い(ステップS37)、定期的に発生する割込の処理を終了する。
[リール制御処理]
図16及び図17を参照して、リール制御処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、励磁タイマは0か否か判定する(ステップS41)。0の場合には、リール制御処理を終了する。0でない場合には、メインCPU31は、励磁タイマを1減算する(ステップS42)。次に、メインCPU31は、励磁タイマは0か否か判定する(ステップS43)。0でない場合には、メインCPU31は、リール制御処理を終了する。0の場合には、メインCPU31は、リールセンサ情報を抽出し、目的のリールに応じたリールセンサ情報をセットする(ステップS44)。
続いて、メインCPU31は、リール制御情報を取得する(ステップS45)。この処理では、図12で説明したリール制御データ格納領域からリール制御情報を取得する。次に、メインCPU31は、リール制御情報は、加速準備か否かを判定する(ステップS46)。加速準備の場合には、メインCPU31は、後で図18を参照して説明する加速準備処理を行い(ステップS47)、処理をステップS57に移す。加速準備でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、加速中か否かを判定する(ステップS48)。
加速中の場合には、メインCPU31は、後で図19を参照して説明する加速中処理を行い(ステップS49)、処理をステップS57に移す。加速中でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、定速中か否かを判定する(ステップS50)。定速中の場合には、メインCPU31は、後で図20を参照して説明する定速中処理を行い(ステップS51)、処理をステップS57に移す。定速中でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、減速開始待ちか否かを判定する(ステップS52)。
減速開始待ちの場合には、メインCPU31は、後で図21を参照して説明する減速開始待ち処理を行い(ステップS53)、処理をステップS57に移す。減速開始待ちでない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、停止ホールド中か否かを判定する(ステップS54)。停止ホールド中の場合には、メインCPU31は、後で図22を参照して説明する停止ホールド中処理を行い(ステップS55)、処理をステップS57に移す。停止ホールド中でない場合には、メインCPU31は、後で図23を参照して説明する全相オフ処理を行い(ステップS56)、処理をステップS57に移す。
ステップS57では、メインCPU31は、リール制御情報は、全相オフか否かを判定する。全相オフでない場合には、メインCPU31は、各励磁出力データに基づいてパルスコードカウンタを更新し(ステップS58)、処理をステップS59に移す。全相オフの場合には、メインCPU31は、処理をステップS59に移す。ステップS59では、メインCPU31は、パルスコードカウンタの値に応じたパルスデータを出力し、リール制御処理を終了する。
[加速準備処理]
図18を参照して、加速準備処理について説明する。
始めに、メインCPU31は、リール制御情報を加速中に更新する(ステップS61)。次に、メインCPU31は、励磁データインデックスに0を格納し(ステップS62)、加速時励磁データテーブル(図9)を参照し、励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納する(ステップS63)。
次に、メインCPU31は、パルスカウンタにセンサ通過時のパルスカウンタ値を格納し(ステップS64)、停止予定位置に初期値(FFH)を格納する(ステップS65)。次に、メインCPU31は、加速準備用励磁出力データをセットし(ステップS66)、加速準備処理を終了する。
[加速中処理]
図19を参照して、加速中処理について説明する。
始めに、メインCPU31は、励磁データインデックスに1を加算する(ステップS71)。次にメインCPU31は、加速時励磁データテーブル(図9)を参照し、励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納する(ステップS72)。
次に、メインCPU31は、励磁データインデックスはエンドコードか否かを判定する(ステップS73)。エンドコードの場合には、メインCPU31は、リール制御情報を定速中に更新し(ステップS74)、通常用励磁データ出力データをセットする(ステップS75)。エンドコードでない場合には、メインCPU31は、通常用励磁出力データをセットする(ステップS75)。ステップS75の処理が終了すると、メインCPU31は、加速中処理を終了する。
[定速中処理]
図20を参照して、定速中処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、定速時用励磁データに基づいて励磁タイマを格納する(ステップS81)。ここで、定速時用励磁データに基づいた励磁タイマは「2」である。次に、メインCPU31は、リールセンサ情報のチェックを行い(ステップS82)、リールセンサ情報は更新かつオンか否かを判定する(ステップS83)。ステップS83での判定がYESの場合、メインCPU31は、ステップS84に処理を移し、NOの場合、ステップS85に処理を移す。
ステップS84では、メインCPU31は、パルスカウンタにセンサ通過時のパルスカウンタ値を格納し、ステップS89に処理を移す。ステップS85では、メインCPU31は、パルスカウンタを1減算し、ステップS86において、パルスカウンタは0か否かを判定する。0の場合には、メインCPU31は、図柄カウンタを1加算し(ステップS87)、処理をステップS88に移す。0でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS91に移す。
ステップS88では、メインCPU31は、図柄カウンタは21以上か否かを判定する。21以上の場合には、メインCPU31は、図柄カウンタに初期値(0)を格納し(ステップS89)、処理をステップS90に移す。21以上でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS90に移す。ステップS90では、メインCPU31は、パルスカウンタに初期値(16)を格納し、通常用励磁出力データをセットし(ステップS91)、図14のステップS27で格納した停止予定位置を取得する(ステップS92)。
次に、メインCPU31は、停止予定位置は初期値(FFH)か否かを判定し(ステップS93)、初期値の場合には、メインCPU31は、定速中処理を終了する。初期値でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報を減速開始待ちに更新し(ステップS94)、定速中処理を終了する。
[減速開始待ち処理]
図21を参照して、減速開始待ち処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、定速時用励磁データに基づいて励磁タイマを格納する(ステップS101)。ここで、定速時用励磁データに基づいた励磁タイマは「2」である。次に、メインCPU31は、停止予定位置か否かを判定する(ステップS102)。具体的には、図14のステップS27で格納した停止予定位置の値と図柄カウンタの値とが一致するか否かを判定する。ステップS102での判定がYESの場合、メインCPU31は、処理をステップS103に移し、NOの場合、処理をステップS108に移す。
ステップS103では、メインCPU31は、パルスカウンタは15以上か否かを判定する。15以上の場合、メインCPU31は、処理をステップS108に移し、15以上でない場合、処理をステップS104に移す。
ステップS104では、メインCPU31は、リール制御情報を停止ホールド中に更新し、励磁データインデックスに13を格納し(ステップS105)、減速時励磁データテーブル(図10)を参照して励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納し(ステップS106)、緩和減速用励磁出力データをセットする(ステップS107)。ステップS107の処理が終了すると、メインCPU31は、減速開始待ち処理を終了する。
ステップS108では、メインCPU31は、パルスカウンタを1減算し、ステップS109において、パルスカウンタは0か否かを判定する。0の場合には、メインCPU31は、図柄カウンタを1加算し(ステップS110)、処理をステップS111に移す。
0でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS114に移す。
ステップS111では、メインCPU31は、図柄カウンタは21以上か否かを判定する。21以上の場合には、メインCPU31は、図柄カウンタに初期値(0)を格納し(ステップS112)、処理をステップS113に移す。21以上でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS113に移す。ステップS113では、メインCPU31は、パルスカウンタに初期値(16)を格納し、通常用励磁出力データをセットする(ステップS114)。ステップS114の処理が終了すると、メインCPU31は、減速開始待ち処理を終了する。
[停止ホールド中処理]
図22を参照して、停止ホールド中処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、励磁データインデックスを1加算する(ステップS121)。次に、メインCPU31は、減速時励磁データテーブル(図10)を参照して励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納し(ステップS122)、励磁データインデックスはエンドコードか否かを判定する(ステップS123)。
エンドコードの場合、メインCPU31は、リール制御情報を全相オフに更新し(ステップS124)、緩和減速用励磁出力データをセットする(ステップS125)。エンドコードでない場合、メインCPU31は、緩和減速用励磁出力データをセットする(ステップS125)。ステップS125の処理が終了すると、メインCPU31は、停止ホールド中処理を終了する。
[全相オフ処理]
図23を参照して、全相オフ処理について説明する。
メインCPU31は、全相オフ用励磁出力データをセットし(ステップS131)、全相オフ処理を終了する。
第1実施形態によれば、次の効果がある。
CPU31は、定速回転中のリール3L,3C,3Rにおいて、図柄カウンタと停止予定位置とが一致した場合にリール3L,3C,3Rの停止制御を行うので、リール3L,3C,3Rの停止制御開始時点まで定速回転を行うことができる。よって、従来どおりの最大滑り駒数を確保して大径のリールの停止制御を行うことができる。
さらに、CPU31は、カウントされるパルス数が特定の値となった場合にリールを停止制御するので、大径のリールを正確に停止制御することができる。
さらにまた、CPU31は、基準電流値(500mA)よりも小さい第1の電流値(130mA)で励磁相を励磁してリール3L,3C,3Rを停止制御するので、リールの制動力を相対的に弱めてリールを滑らかに停止することができる。
以上より、第1実施形態によれば、従来どおりの最大滑り駒数を確保しつつ、大径のリールを滑らかにかつ正確に停止することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態の説明は以上である。以下、図24〜図31を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
[リールの減速から停止]
図24は、ステッピングモータ49L,49C,49R(図7参照)に配置された相1、相2、相3、相4を励磁するパターンと、ホールド緩和信号及びホールド強化信号のON・OFFの切り換えとを、時間の経過とともに表した図である。
図24に示した「1001」等の数字列は、各相の励磁パターンを示しており、最上段の数字が1相に、2段目の数字が2相に、3段目の数字が3相に、最下段の数字が4相にそれぞれ対応している。また、「1」が励磁されていることを「0」が励磁されていないことを示している。励磁は、モータ駆動回路39から各相に電流が供給されることでなされる。
ホールド強化信号は、モータ駆動回路39から各相に供給される電流の値を通常時(リール3L,3C,3Rの定速回転時など)よりも大きくするための信号である。このホールド強化信号は、リール3L,3C,3Rが定速から減速1に切り替わるタイミングでモータ駆動回路39に供給される。また、ホールド強化信号がOFFのとき、電流値は500mAであり、ONのとき、電流値は800mAである。
ホールド緩和信号は、モータ駆動回路39から各相に供給される電流の値を通常時(リール3L,3C,3Rの定速回転時など)よりも小さくするための信号である。このホールド緩和信号は、リール3L,3C,3Rが停止ホールド1から停止ホールド2に切り替わるタイミングでモータ駆動回路39に供給される。また、ホールド緩和信号がOFFのとき、電流値は500mAであり、ONのとき、電流値は130mAである。
上述したように、モータ駆動回路39がステッピングモータ49L,49C,49Rに供給する1つのパルス信号によって1回の励磁が行われる。ここで、1回の励磁は、「1001」等の励磁パターンに従って行われる。
定速中では、1つのパルス信号による1回の励磁が2割り込み分の時間行われ、これが繰り返されることでリール3L,3C,3Rが定速回転する。減速1では、定速時の最後の励磁パターン(図24では、3相と4相が励磁されている。)において励磁されている相の1つ前の相(2相と3相)が4割り込み分の時間励磁される。このとき、ホールド強化信号がONとなる。さらに、次の相(3相と4相)が1割り込み分の時間励磁され(減速2)、さらにまた、次の相(4相と1相)が5割り込み分の時間励磁される(停止ホールド1)。停止ホールド1では、まだ、リール3L,3C,3Rは停止していない。
ホールド強化信号がONとなると、モータ駆動回路39から各相に供給される電流値が大きくなり、リール3L,3C,3Rの回転の制動力(リールの保持力)が強まり、リール3L,3C,3Rに強いブレーキをかけることができる。
次に、停止ホールド2では、励磁される相は変化せずに50割り込み分の時間励磁される。このとき、ホールド強化信号がOFFになりホールド緩和信号がONとなる。これにより、モータ駆動回路39から各相に供給される電流値が少なくなり、リール3L,3C,3Rの回転の制動力(リールの保持力)が弱まり停止時の衝撃を和らげることができる。この停止ホールド2の期間においてリール3L,3C,3Rは停止する。
次に、停止ホールド3では、励磁される相は変化せずに80割り込み分の時間励磁される。このとき、ホールド緩和信号がOFFとなる。これにより、通常の励磁力(リールの保持力)に戻るため、停止位置の安定化を図ることができる。80割り込み分の時間が経過したら、全相について励磁がなされなくなる。
[メインROMに記憶されているデータテーブルの構成]
次に、図25を参照して、メインROM32に記憶されているデータテーブルの構成について説明する。なお、加速時励磁データテーブル(図9)及びパルス出力データテーブル(図11)については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
[減速時励磁データテーブル]
図25は、減速時励磁データテーブルを示す図である。この減速時励磁データテーブルは、リール3L,3C,3Rの減速開始から停止に至るまでの間に参照されるテーブルであり、後述する図29のステップS176、図30のステップS192及び図31のステップS202で参照される。図25によれば、励磁データインデックスの値に励磁タイマの値及び内容が対応付けられている。励磁タイマの値は、1回の割り込み時間を1単位としている。
[メインRAMに設けられる格納領域の構成]
メインROM32に記憶されているデータテーブルの内容についての説明は以上である。次に、図26を参照して、メインRAM33に設けられている格納領域の構成について説明する。
[左リール用リール制御データ格納領域]
図26を参照して、左リール用リール制御データ格納領域の構成について説明する。なお、中リール用リール制御データ格納領域、右リール用リール制御データ格納領域も同様の構成であるため、説明を省略する。
第1実施形態の左リール用リール制御データ格納領域(図12)との違いは、リール制御情報に「減速中」が加わったこと、励磁タイマの値の範囲、励磁データインデックスの範囲である。
左リール用リール制御データ格納領域は、リール制御情報、励磁タイマ、励磁データインデックス、リールセンサ情報、パルスカウンタ、図柄カウンタ、停止予定位置及び停止制御位置を格納する領域から構成されている。
リール制御情報は、1バイトからなるデータを格納する。各ビットに対してリール制御情報の各種内容が対応しており、ビットに「1」が立っているとき、該当するリール制御情報の内容が有効となる。リールセンサ情報も同様である。
[パチスロにおいて実行されるプログラムフロー]
次に、図27〜図31を参照して、第2実施形態における主制御回路71のメインCPU31により実行されるプログラムの内容について説明する。なお、電源投入(図13)、リール停止制御処理(図14)、メインCPUの制御による割込処理(1.1173msec)(図15)、加速準備処理(図18)、加速中処理(図19)、定速中処理(図20)及び全相オフ処理(図23)については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
[リール制御処理]
図27及び図28を参照して、リール制御処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、励磁タイマは0か否か判定する(ステップS141)。0の場合には、リール制御処理を終了する。0でない場合には、メインCPU31は、励磁タイマを1減算する(ステップS142)。次に、メインCPU31は、励磁タイマは0か否か判定する(ステップS143)。0でない場合には、メインCPU31は、リール制御処理を終了する。0の場合には、メインCPU31は、リールセンサ情報を抽出し、目的のリールに応じたリールセンサ情報をセットする(ステップS144)。
続いて、メインCPU31は、リール制御情報を取得する(ステップS145)。この処理では、図26で説明したリール制御データ格納領域からリール制御情報を取得する。次に、メインCPU31は、リール制御情報は、加速準備か否かを判定する(ステップS146)。加速準備の場合には、メインCPU31は、図18を参照して説明した加速準備処理を行い(ステップS147)、処理をステップS159に移す。加速準備でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、加速中か否かを判定する(ステップS148)。
加速中の場合には、メインCPU31は、図19を参照して説明した加速中処理を行い(ステップS149)、処理をステップS159に移す。加速中でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、定速中か否かを判定する(ステップS150)。定速中の場合には、メインCPU31は、図20を参照して説明した定速中処理を行い(ステップS151)、処理をステップS159に移す。定速中でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、減速開始待ちか否かを判定する(ステップS152)。
減速開始待ちの場合には、メインCPU31は、後で図29を参照して説明する減速開始待ち処理を行い(ステップS153)、処理をステップS159に移す。減速開始待ちでない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、減速中か否かを判定する(ステップS154)。減速中の場合には、メインCPU31は、後で図30を参照して説明する減速中処理を行い(ステップS155)、処理をステップS159に移す。減速中でない場合には、メインCPU31は、リール制御情報は、停止ホールド中か否かを判定する(ステップS156)。停止ホールド中の場合には、メインCPU31は、後で図31を参照して説明する停止ホールド中処理を行い(ステップS157)、処理をステップS59に移す。停止ホールド中でない場合には、メインCPU31は、図23を参照して説明した全相オフ処理を行い(ステップS158)、処理をステップS159に移す。
ステップS159では、メインCPU31は、リール制御情報は、停止ホールド中か否かを判定する。停止ホールド中でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS160に移す。停止ホールド中の場合には、メインCPU31は、処理をステップS162に移す。
ステップS160では、メインCPU31は、リール制御情報は、全相オフか否かを判定する。全相オフでない場合には、メインCPU31は、各励磁出力データに基づいてパルスコードカウンタを更新し(ステップS161)、処理をステップS162に移す。全相オフの場合には、メインCPU31は、処理をステップS162に移す。ステップS162では、メインCPU31は、パルスコードカウンタの値に応じたパルスデータを出力し、リール制御処理を終了する。
[減速開始待ち処理]
図29を参照して、減速開始待ち処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、定速時用励磁データに基づいて励磁タイマを格納する(ステップS171)。ここで、定速時用励磁データに基づいた励磁タイマは「2」である。次に、メインCPU31は、停止予定位置か否かを判定する(ステップS172)。具体的には、図14のステップS27で格納した停止予定位置の値と図柄カウンタの値とが一致するか否かを判定する。ステップS172での判定がYESの場合、メインCPU31は、処理をステップS173に移し、NOの場合、処理をステップS178に移す。
ステップS173では、メインCPU31は、パルスカウンタは15以上か否かを判定する。15以上の場合、メインCPU31は、処理をステップS178に移し、15以上でない場合、処理をステップS174に移す。
ステップS174では、メインCPU31は、リール制御情報を減速中に更新し、励磁データインデックスに13を格納し(ステップS175)、減速時励磁データテーブル(図25)を参照して励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納し(ステップS176)、強化減速用励磁出力データをセットする(ステップS177)。ステップS177の処理が終了すると、メインCPU31は、減速開始待ち処理を終了する。
ステップS178では、メインCPU31は、パルスカウンタを1減算し、ステップS179において、パルスカウンタは0か否かを判定する。0の場合には、メインCPU31は、図柄カウンタを1加算し(ステップS180)、処理をステップS181に移す。0でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS184に移す。
ステップS181では、メインCPU31は、図柄カウンタは21以上か否かを判定する。21以上の場合には、メインCPU31は、図柄カウンタに初期値(0)を格納し(ステップS182)、処理をステップS183に移す。21以上でない場合には、メインCPU31は、処理をステップS183に移す。ステップS183では、メインCPU31は、パルスカウンタに初期値(16)を格納し、通常用励磁出力データをセットする(ステップS184)。ステップS184の処理が終了すると、メインCPU31は、減速開始待ち処理を終了する。
[減速中処理]
図30を参照して、減速中処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、励磁データインデックスを1加算する(ステップS191)。次に、メインCPU31は、減速時励磁データテーブル(図25)を参照して励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納し(ステップS192)、リール制御情報を停止ホールド中に更新する(ステップS193)。次に、メインCPU31は、強化減速用励磁出力データをセットし(ステップS194)、減速中処理を終了する。
[停止ホールド中処理]
図31を参照して、停止ホールド中処理について説明する。
初めに、メインCPU31は、励磁データインデックスを1加算する(ステップS201)。次に、メインCPU31は、減速時励磁データテーブル(図25)を参照して励磁データインデックスに基づいた励磁タイマを格納し(ステップS202)、励磁データインデックスはエンドコードか否かを判定する(ステップS203)。
エンドコードの場合、メインCPU31は、リール制御情報を全相オフに更新し(ステップS204)、通常減速用励磁出力データをセットし(ステップS205)、停止ホールド中処理を終了する。エンドコードでない場合、メインCPU31は、処理をステップS206に移す。
ステップS206では、メインCPU31は、励磁データインデックスは15か否かを判定し、15の場合には、強化減速用励磁出力データをセットし(ステップS207)、停止ホールド中処理を終了する。15でない場合には、緩和減速用励磁出力データをセットし(ステップS208)、停止ホールド中処理を終了する。
第2実施形態によれば、次の効果がある。
CPU31は、基準電流値(500mA)よりも小さい第1の電流値(130mA)による停止制御に先立って、基準電流値よりも大きい第2の電流値(800mA)で励磁相を励磁してリール3L,3C,3Rを停止制御するので、先にリール3L,3C,3Rの制動力を相対的に強めてリール3L,3C,3Rを急速に減速させてから、第1の電流値(130mA)による停止制御を行ってリール3L,3C,3Rを滑らかに停止することができる。
よって、第2実施形態によれば、従来どおりの最大滑り駒数を確保しつつ、大径のリールを急速に減速させてから、滑らかにかつ正確に停止することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。