JP2012082317A - 重合体およびその用途 - Google Patents
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Abstract
耐熱性とともに透明性にも極めて優れた塗膜を形成しうる重合体、および該重合体を用いた硬化性樹脂組成物、および該重合体や該硬化性樹脂組成物を用いた積層体を提供する。
【解決手段】(a)2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルのエーテルダイマーである特定の単量体と、(b)カルボキシル基を含有する不飽和単量体と、(c)水酸基を含有する不飽和単量体を必須成分として重合してなる重合体。
【選択図】なし
Description
マレイミド由来の重合体を含む樹脂組成物においては、マレイミド系重合体が窒素原子を含有するため、重合体が黄色〜黄褐色に着色しており、硬化膜の透明性が不充分になるといった問題があった。この透明性の問題は硬化膜の膜厚が厚い場合には特に顕著であり、しかも、加熱処理を施すとさらに着色することがあった。一方、2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルのエーテルダイマーである特定構造の化合物を重合してなる重合体を硬化成分とともに含む樹脂組成物は、熱性とともに透明性にも極めて優れた塗膜を形成することができるが、加熱処理後の着色レベルに対する要求が年々高まっていることから改善を必要とする場合があった。
すなわち本発明は、(a)下記一般式(1)で示される単量体と、(b)カルボキシル基を含有する不飽和単量体と、(c)水酸基を含有する不飽和単量体を必須成分として共重合してなる重合体で、重合体を構成する全単量体成分の合計に対し、カルボキシル基を含有する不飽和単量体の含有割合が0.5〜50質量%、水酸基を含有する不飽和単量体の含有割合が0.5〜50質量%であることを特徴とするものである。
本発明はまた、(A)前記重合体と、(B)多官能(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物でもある。そして、本発明はまた、前記重合体およびまたは前記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化層が基板上に設けられてなる積層体でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の重合体は、(a)下記一般式(1)で示される単量体と、(b)カルボキシル基を含有する不飽和単量体と、(c)水酸基を含有する不飽和単量体を必須成分として共重合してなる重合体で、重合体を構成する全単量体成分の合計に対し、カルボキシル基を含有する不飽和単量体の含有割合が0.5〜50質量%、水酸基を含有する不飽和単量体の含有割合が0.5〜50質量%含むものである。
この一般式(1)で示される単量体(以下では「エーテルダイマー」と称することもある。)は、重合の際にエーテルダイマーが環化反応して、重合体の構成単位中にテトラヒドロピラン環構造が形成されていると推測される。
上記一般式(1)中、R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R1およびR2は、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
上記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記重合体を構成する全単量体成分の合計に対し、上記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全単量体成分中2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%であるのがよい。エーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりするおそれがあり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性などの塗膜性能が不充分となる恐れがある。
本発明の重合体の必須成分であるカルボキシル基を含有する不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸などが挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。カルボキシル基を含有する不飽和単量体の含有割合は全単量体成分中、0.5〜50質量%であるが、好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜45重量%であるのがよい。カルボキシル基を含有する不飽和単量体の含有量が0.5質量%未満であると、アルカリ物質による可溶性が必要な場合に可溶性が充分でなくなる恐れがある。また、50質量%より多いと溶媒に対する溶解性が低下する場合や、重合体の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる恐れがある。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の両方を表現した表記である。
また、本発明の重合体の必須成分である水酸基を含有する不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸モノ(ポリ)エチレングリコール、(メタ)アクリル酸モノ(ポリ)プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらの中でも特に(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが好ましい。水酸基を含有する不飽和単量体の含有割合は全単量体成分中、0.5〜50質量%であるが、好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%であるのがよい。水酸基を含有する不飽和単量体の含有量が0.5質量%未満であると、耐熱性が不充分となる恐れがある。また、50質量%より多いと溶媒に対する溶解性が低下する場合や、重合体の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる恐れがある。
また、本発明の重合体は、更に側鎖に重合性二重結合を含んでもよい。側鎖に重合性二重結合を持たせることにより、熱や光で硬化させることができる。その為、光硬化性樹脂組成物としたときの光に対する感度が向上し、より少ない光量で硬化し、かつ硬化後の機械強度も高くなる。側鎖に重合性二重結合を導入する方法としては、前記重合体のカルボキシル基の一部に、二重結合及びカルボキシル基と反応する官能基を持った単量体を反応させる方法が好ましい。二重結合及びカルボキシル基と反応する官能基を持った単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、イソプロペニルオキサゾリン等が好ましく、メタクリル酸グリシジルが工業的入手性や反応性の点から最も好ましい。
また、本発明の重合体は、更にエポキシ基を含んでもよい。これにより熱や光で硬化させることができる。重合体にエポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有する単量体を単量体成分として重合すればよい。エポキシ基を有する単量体としては、例えば、メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルが挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記単量体成分を重合する際には、必要に応じて、通常用いられる重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;が挙げられる。これら重合開始剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。なお、開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得ることができる点で、全単量体成分に対して0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%とするのがよい。
前記単量体成分を重合する際には、分子量調整のために、必要に応じて、通常用いられる連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、好ましくは、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易な、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸がよい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得ることができる点で、全単量体成分に対して0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%とするのが好ましい。
前記重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは2000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。重量平均分子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなり、一方、2000未満であると十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
前記重合体の酸価は、好ましくは3〜350mgKOH/g、より好ましくは5〜350mgKOH/gであるのがよい。更に好ましくは40〜300mgKOH/gである。重合体の酸価が3mgKOH/g未満の場合、アルカリ物質による可溶性が必要な場合に可溶性が充分でなくなる恐れがある。350mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。
本発明は、また、(A)前記重合体と、(B)多官能(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物でもある。以下では、上記(A)の重合体成分を「(A)成分」、上記(B)の多官能(メタ)アクリレートを「(B)成分」とも称する場合もある。
上記硬化性樹脂組成物において、(B)多官能(メタ)アクリレートとして例えば、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物において、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に光や熱重合開始剤を用いてもよい。光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類、その他、フェニルグリオキシリックメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノンが好ましい。
例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;が挙げられる。これら光および熱重合開始剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、希釈剤としての溶媒を含有するものであってもよい。前記溶媒としては、前記重合体(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、また必要に応じて含有させる重合開始剤の各成分を均一に溶解し、かつ各成分と反応しないものであれば、特に制限はない。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。なお、溶媒の含有量は、樹脂組成物を使用する際の最適粘度に応じて適宜設定すればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記重合体(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、前記重合開始剤、前記溶媒のほかに、本発明に効果を損なわない範囲で、例えば、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材、染料、顔料、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、重合禁止剤、重合遅延剤、重合促進剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤等の公知の添加剤を含有するものであってもよい。上記顔料としては、種々の有機又は無機着色剤を1種又は2種以上用いることができる。有機着色剤としては、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。
本発明は、また、前記重合体およびまたは前記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化層が基板上に設けられてなる積層体でもある。本発明の基板として用いられる材料としては、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、PETなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂などの透明材料やアルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の金属材料などが挙げられる。
本発明の重合体は、透明性、耐熱性に優れており、例えば、レジスト材料、各種コーティング剤、塗料等の用途に用いることができ、また重合体にカルボキシル基を有するのでカラーフィルタの着色画素、ブラックマトリックス、オーバーコート、フォトスペーサーや光導波路等を作製するためのアルカリ現像型のネガ型レジスト材料等として好適に用いることができる。本発明の重合体はその構造中のテトラヒドロピラン環構造により良好な顔料分散性をも有するため、カラーフィルタ用着色硬化性樹脂組成物にも好適に用いることができる。
<重量平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定装置(「Shodex GPC System−21H」昭和電工製)を用い、ポリスチレン換算で測定した。
<重合体溶液中の重合体濃度>
重合体溶液1gにアセトン4gを加えて溶解させた溶液を常温で自然乾燥させ、さらに5時間減圧乾燥(160℃/5mmHg)した後、デシケータ内で放冷し重量を測定した。そして、重量減少量から、重合体溶液の不揮発分を算出し、これを重合体濃度とした。
<酸価>
重合体溶液0.5〜1gに、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業製)を用いて滴定し、溶液の酸価を測定した。そして、溶液の酸価と重合体濃度から、重合体の酸価を算出した。
<実施例1>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(以下「MD」と称する)20質量部、メタクリル酸(以下「MAA」と称する)15質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下「HEMA」と称する)10質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(以下「CHMA」と称する)40質量部、メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する)15質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチルO」、日本油脂製;以下「PBO」と称する)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と称する)40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール(以下「n−DM」と称する)4質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA71質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、室温まで冷却し、濃度が40質量%の重合体溶液1を得た。重合体の重量平均分子量は10000、酸価は100mgKOH/gであった。
<実施例2>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD20質量部、MAA15質量部、HEMA20質量部、CHMA40質量部、MMA5質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM4質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA71質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、室温まで冷却し、濃度が40質量%の重合体溶液2を得た。重合体の重量平均分子量は10000、酸価は100mgKOH/gであった。
<比較例1>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD20質量部、MAA15質量部、CHMA40質量部、MMA25質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM4質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA71質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、室温まで冷却し、濃度が40質量%の比較重合体溶液1を得た。重合体の重量平均分子量は10000、酸価は100mgKOH/gであった。
<比較例2>
MDをN−フェニルマレイミドに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、濃度が40%の比較重合体溶液2を得た。重合体の重量平均分子量は8000、酸価は100mgKOH/gであった。
<実施例3>
実施例1で得られた重合体溶液1を100質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「ライトアクリレートDPE−6A」、共栄社化学株式会社製;以下「DPE−6A」と称する)20部、光開始剤(商品名「イルガキュア907」、チバ・ガイギー社製;以下「Irg907」と称する)2部、PGMEA55部を均一になるよう攪拌混合し、硬化性樹脂組成物1を得た。
得られた硬化性樹脂組成物1を、スピンコーターを用いて無アルカリガラス板上に全乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、ホットプレートにて100℃で3分間乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて照射量が100mJ/cm2となるように紫外線を照射した。照射後、更にホットプレートにて220℃で20分間乾燥させ試験片1を得た。得られた試験片1の透明性を下記の方法で測定した。そしてこの試験片1を用いて下記の方法で耐熱性を評価した。耐熱試験前の透過率は100%であり、耐熱試験後の透過率99%と耐熱試験後の透過率も高い結果となった。
<透明性>
分光光度計(「UV−3100」島津製)を用いて波長400nmにおける透過率(%)を測定した。
<耐熱性>
試験片1をホットプレートにて230℃で4時間加熱し、室温に冷却してから再度透明性を測定し、耐熱試験後の光線透過率を算出した。
<実施例4>
重合体溶液1を重合体溶液2に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、硬化性樹脂組成物2を調整した後、同様に試験片2を作成して耐熱性を評価した。耐熱試験前の透過率は100%であり、耐熱試験後の透過率は100%と同様に耐熱試験後の透過率も高い結果となった。
<比較例3>
重合体溶液1を比較重合体溶液1に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、比較用硬化性樹脂組成物1を調整した後、同様に比較用試験片1を作成して耐熱性を評価した。耐熱試験前の透過率は100%であったが、耐熱試験後の透過率は96%と耐熱試験後に透過率の低下が見られた。
<比較例4>
重合体溶液1を比較重合体溶液2に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、比較用硬化性樹脂組成物2を調整した後、同様に比較用試験片2を作成して耐熱性を評価した。耐熱試験前の透過率は99%で、耐熱試験後の透過率は94%と耐熱試験後に透過率の低下が見られた。
これらのことから上記一般式(1)で示される2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルのエーテルダイマーである特定の単量体と、カルボキシル基を含有する不飽和単量体と、水酸基を含有する不飽和単量体を必須成分として共重合してなる重合体を用いた方が、得られた硬化物における耐熱性後の光線透過率の減少量が小さく、そして、エーテルダイマーを共重合しない場合や、水酸基を不飽和単量体として共重合しない場合は、得られた硬化物における耐熱性後の光線透過率の減少量が大きいことが確認された。
以上より、上記構成の重合体とすることによって初めて、耐熱性とともに透明性にも極めて優れた塗膜を形成することができるものであり、例えば、レジスト材料、各種コーティング剤、塗料等の用途において好適に用いることができる。また、本発明によれば、例えば、パターンの欠損や現像残渣のない良好な品質のカラーフィルタを提供することができる。
Claims (3)
- (A)前記重合体と、(B)多官能(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜2に記載の前記重合体およびまたは前記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化層が基板上に設けられてなることを特徴とする積層体。
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