JP2012081679A - 発泡断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙を原料に用いた発泡断熱材であって、厚みの大きい製品を効率よく製造する。
【解決手段】紙を含む植物性材料と熱溶融性樹脂材料とに水を加えた原料を押出機で押出発泡させて発泡板を成形し、2枚の発泡板それぞれの一表面を加熱して溶融させたのち、この溶融させた面どうしを当接させて融着することにより、厚みの大きい一枚の発泡断熱材を製造する。一次製品である発泡板は厚みが薄くても、貼り合わせにより、幅と厚みとが共に大きい発泡断熱材製品を提供できる。この発泡断熱材は、元の発泡板と比較して柔軟性が低下しないから、施工性が良好である。本発明で得られた発泡断熱材は、2枚の発泡板を接着剤で貼り合わせたものよりも熱伝導率が低くなり、条件によっては、元の発泡板より熱伝導率が低下する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、紙を原料に用いた発泡断熱材であって、厚みの大きい製品を効率よく製造するための技術に関する。
合成樹脂を原料とする発泡断熱材はこれまで広く使用されているが、合成樹脂を主体とする製品は、微生物によって分解される生分解性に乏しいという問題や、焼却時の発熱量が大きいため焼却炉を傷める問題等のあることが指摘されている。そこで近年、生分解性を有し燃焼カロリーが少ない発泡体の開発が進められ、紙粉や澱粉などの植物性原料と、ポリプロピレン又は生分解性樹脂とを原料とする発泡体が実用化されている。
紙粉と澱粉とポリプロピレンとを原料として発泡体を製造する技術は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された発泡体の製造方法は以下の如くである。紙の粉砕物・コーンスターチ・ポリプロピレンを主原料とし、これに水を加えて加熱混練した成形材料を、押出機に取り付けたダイ装置に設けた多数の小孔から押し出す。これにより、成形材料が水蒸気圧で発泡し、多数の連続する柱状あるいは紐状の発泡体(ストランド)が押出形成される。ストランドは、ダイ装置内で互いに隙間無く密着し一体化する。引き続き、一体化したストランド群を、ダイ装置の排出側に設けた成形部で断面矩形に形成することにより、板状の発泡体が得られる。
ところで、前述の発泡体を建築物用断熱材として利用する場合、なるべく熱伝導率が低く、且つ、厚みの大きいことが条件となる。しかるに特許文献1に記載された技術は、熱伝導率の低い発泡体を製造できるとされているが、厚みの大きい発泡体の製造が困難であった。その理由は、発泡体の熱伝導率を小さくするには密度を高める必要があるが、そうすると特許文献1の技術では、発泡体の厚みを大きくしたときに、発泡に寄与した水蒸気が放散されずに残留して内部に空洞を形成し、結果的に断熱性の低下を招くからである。
そこで本出願人は、特許文献2に開示する如く、植物性材料と合成樹脂材料とを主原料とし、これを押出機で押出発泡させることにより、熱伝導率が低く且つ厚みの大きい発泡断熱材を製造することが可能な技術を開発した。この特許文献2に記載する技術とは、押出機から紙・澱粉・ポリオレフィン系樹脂から成る原料を押し出すと同時に発泡させて連続する柱状発泡体である多数のストランドを形成し、このストランドを、ダイ装置に連設したサイジング装置を通過させて一体化させることにより断面矩形の発泡成形体と成したのち、当該発泡成形体を、サイジング装置に近接させて配置した第1圧縮装置及び第2圧縮装置によって連続的に2回圧縮することにより、その厚みを、サイジング装置の開口部における厚み寸法の45〜65%となるように圧縮するというものである。その結果、熱伝導率が0.035W/m・K以下であって、厚みが25mm以上の発泡断熱材を製造することに成功した。
上に述べた如く、本出願人の創案に係る特許文献2の技術により、単体としては厚みが25mm以上の発泡断熱材を製造することが可能になった。但し、建築材に適用する場合は、施工性の観点から、幅寸法の大きい製品が好まれる。幅広の製品が好まれる理由は、幅の狭い断熱材を並べて施工した場合、接合面に隙間が生じて断熱性を損なう可能性が高くなるため、接合個所をなるべく少なくしたいからである。また製品厚みが大きいほど、当然、断熱性は向上するから、断熱材の厚みをより大きくすることも同様に望まれる。
しかるに、植物性材料として特に紙を含んだ原料を押出機で押出発泡する場合、押出機の能力に限界があり、押し出し可能な断面積をあまり大きくすることができない。このため、幅を広くすると厚みが薄くなり、反対に厚みを大きくすると幅の狭い製品しか得られない。しかも、厚みを大きくすると、発泡時に生じた水蒸気が発泡体の内部に残留して断熱性能を低下させるという問題は、特許文献2の発泡断熱材においても同様に発生する。このような事情により、特許文献2に記載の発明でも、発泡断熱材の厚みを一定寸法以上に大きくするのは困難であった。
特開2003−335887号公報 特開2010−179566号公報
幅も厚みも大きい発泡断熱材を製造するには、比較的幅広に成形した2枚の板状の発泡断熱材を貼り合わせて1枚の製品とすることが考えられる。一般に、板材どうしを接合する手段としては、接着剤を用いる方法が念頭に浮かぶ。しかし、発泡断熱材の接合手段に接着剤を用いると、接着剤が固化して所定の強度が発現するまでは、製品を次の工程へ移送することができず、製品完成までに長時間を要するという欠点が生じる。そこで、生産速度を上げるため、加熱により接着剤の乾燥・硬化を促進させる工程を導入することが検討される。しかしながら、断熱性のある発泡板の場合は、熱が接着剤の塗布面まで伝達しにくく、接着剤の乾燥をそれほど促進できないから、生産速度を高めるのが難しい。しかも、乾燥時間が比較的短い有機系接着剤を用いたときには、残留溶剤による健康被害を招くおそれがある。
接着剤以外にプラスチックどうしを接合する手法としては、外部から接合面に熱と圧力とを加える方法、外部から超音波振動を与え接合面を摩擦熱で溶融させて接着する方法、高周波で接合面を溶融接着する方法などが知られている。しかるに、外部から熱と圧力とを加える方法は、対象がシート状又はフィルム状の厚みがごく薄いものでなくてはならない。超音波振動を与える方法は、対象が比較的硬質の素材でなくてはならない。高周波で溶融接着する方法は、対象が塩化ビニルやエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)など誘電率の大きい素材に限られる。従って、いずれの手法も、紙・澱粉を主体とする植物性材料と、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料とを用いて製造した発泡断熱材には適用することができなかった。
本発明は、上に掲げる問題を生じさせることなく、二枚の発泡板を貼り合わせて一枚の厚みの大きい発泡断熱材を効率よく製造することが可能な技術の提供を目的とする。
本発明が上記目的達成のために採用した発泡断熱材の製造方法の特徴とするところは、紙を含む植物性材料と熱溶融性樹脂材料とに水を加えた原料を押出機で押出発泡させて発泡板を成形し、2枚の発泡板それぞれの一表面を加熱して溶融させたのち、この溶融させた面どうしを当接させて融着することにより、厚みの大きい一枚の発泡断熱材を製造することである。
また本発明は、上記方法により製造した、熱伝導率が0.035W/m・K以下であって、厚みが20mm以上の発泡断熱材を提供するものである。
本発明における植物性材料は、紙粉と澱粉とを主成分とすることが望ましい。紙粉は、紙・板紙を細かく破砕したもの、あるいは紙・板紙の解繊物が用いられ、古紙を利用すれば原料コストを下げることができる。また一般に、回収された古紙は主として製紙原料に使用されるが、製紙原料にならないもの(いわゆる低級古紙)も本発明の紙粉用材料に使用できる。紙粉の大きさは、特に限定されるものではないが、粒子径0.08mm以下が望ましい。このような紙粉を製造する手段として、特許第3738367号に記載する粉砕機を用いればよい。澱粉は、コーンスターチが原料コストの面から見て有利であるが、他に、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉等を用いることができる。
紙と澱粉とを用いて断熱材を製造する場合、紙粉よりも澱粉の重量比率を大きくした方が発泡性や気泡形状が良好になり、断熱性能が向上する傾向にある。そこで具体的には紙粉:澱粉=2:8〜5:5(重量比)の範囲に設定するのが好ましい。
本発明に使用する熱溶融性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が望ましく、特に、ポリプロピレンが好適である。植物性材料と熱溶融性樹脂との比率は、植物性材料:熱溶融性樹脂=3:7〜6:4(重量比)の範囲に設定されるが、環境に及ぼす悪影響を抑えるためには、熱溶融性樹脂の配合比率を50重量%未満とするのが望ましい。
なお前記原料には、必要に応じ、酸化防止剤を添加してもよい。また、紙粉と澱粉とをあらかじめペレット状に成形する場合は、PVA(ポリビニルアルコール)等のバインダーが若干量使用される。
発泡板の製造手段は、前記特許文献1(特開2003−335887号公報)や、前記特許文献2(特開2010−179566号公報)などに記載される従来方法を利用することができる。
本発明によれば、2枚の発泡板を貼り合わせて1枚の発泡断熱材を製造するから、一次製品である発泡板は厚みが薄くても、最終製品(二次製品)である発泡断熱材の厚みは大きくなる。すなわち、幅と厚みとが共に大きい発泡断熱材製品を提供することができる。しかも得られた発泡断熱材は、元の発泡板と比較して柔軟性が低下することはなく、圧縮や湾曲を容易に行えるから、建築用の断熱材として使用する場合に、所定の枠型や空間へ充填する際の施工性が良好である。
さらに本発明方法により2枚の発泡板を融着して得られた発泡断熱材は、2枚の発泡板を接着剤で貼り合わせたものよりも熱伝導率が低くなる。しかも、条件によっては、元の発泡板単体よりも熱伝導率が低下する。換言すれば、断熱性能が向上する。
本発明により得られる発泡断熱材が、接着剤で貼り合わせた場合よりも断熱性能が向上する理由は、以下の如くと推測される。紙を含む植物性材料と熱溶融性樹脂材料とを押出発泡させて得られた発泡板の組織は、普通、独立気泡と連続気泡とが混在している。独立気泡と連続気泡とを比較すると、連続気泡は、気体の流通に伴って熱を移動させる通路となるため、独立気泡よりも熱を伝達させやすい。本発明方法を適用して、発泡板の表面を加熱溶融したのち貼り合わせて得られる発泡断熱材は、融着部分に、発泡板表層が融解して固化したごく薄い皮膜層が形成される。この皮膜層が、連続気泡の通路を閉塞して、発泡板組織内における気体の流動を阻害するから、それに伴った熱の移動も抑制され、その結果、熱伝導率が低下すると考えられる。
上に述べた如く、発泡板表層を加熱溶融させたのち、これを融着させることで形成される皮膜層は、気泡空間を通じた熱移動を阻止する機能を持つ。しかしながら、皮膜層を形成する組織自体の熱伝導率は、発泡板の熱伝導率よりも大きい。従って、皮膜層の厚みを必要以上に増大させると、発泡断熱材の熱伝導率が、元の発泡板よりも上昇する可能性がある。他方、皮膜層の厚みを必要以上に薄くすると、連続気泡の閉塞機能が発揮されなくなり、やはり断熱性能の悪化をもたらす。それ故、皮膜層の厚みを適切な範囲に設定することにより、製造される発泡断熱材の熱伝導率を、発泡板自体の熱伝導率よりも低く抑えることが可能となる。また皮膜層の厚みの調節は、発泡板表面の加熱量を制御して、発泡板表層の溶融深さを増減させることで可能である。但し、皮膜層厚みの適切な範囲は、一義的に決定されるのではなく、発泡板の組成(紙の配合比率、植物性材料と熱溶融性樹脂材料との混合割合など)、物性(発泡倍率・密度など)、組織の状態(連続気泡の割合など)に応じ、適宜設定されるものである。
本発明に係る発泡断熱材の製造方法は、加熱により溶融させた発泡板の表面を貼り合わせて接合するから、融着面が冷えれば直ちに一体化する。つまり、充分な強度を発揮するのに要する時間が短いので、後続の処理工程へ即座に移送することが可能であり、生産速度を上げるのが容易である。
また、発泡板どうしの接合に有機溶剤を含む接着剤を使用しないから、健康被害や環境汚染の心配がないという利点を有する。
本発明の一実施形態に関し、発泡断熱材を製造するための発泡板貼り合わせ装置の構成を概略的に示す側面図である。 本発明の一実施形態に関し、発泡板貼り合わせ装置の融着部を拡大して示すものであって、2枚の発泡板を融着させて発泡断熱材を製造している状況を示す側面図である。 本発明に係る発泡断熱材を示す斜視図である。
[発泡板貼り合わせ装置]
図1に、本発明に係る発泡断熱材の製造に使用する発泡板貼り合わせ装置(以下、本発明装置と言う)Sの一例を示す。本発明装置Sは、2枚の発泡板から1枚の厚みの大きい発泡断熱材を連続的に製造することが可能なものであり、上流側から下流側へ向かって、搬送部・送出駆動部・加熱部・融着部・搬出部が設けられている。搬送部は、前もって準備された発泡板が導入される領域であり、上下2段に平行させて設けた搬送ローラR1から成るローラコンベアや、ベルトコンベアなどで構成される。送出駆動部は、発泡体に送り出し方向の駆動力を与える部分であって、例えば発泡板を上下に挟む送出ローラR2で構成される。(モータ等の駆動装置については図示を省略した。)
加熱部は、発泡体の表面を加熱して溶融すると共に、溶融面を当接させるため、発泡体が次第に近接するように搬送経路を構成した領域である。上下の搬送路の中間位置に加熱手段が配置される。この加熱手段は、電熱ヒータHや熱風吹出し装置等の非接触式の加熱装置を用いるのが好ましいが、接触式の加熱装置とすることを妨げない。また、2枚の発泡板が次第に近接するように当該発泡板の搬送方向を案内するためのガイドGが、各発泡板それぞれの上下面を挟むように配置される。このガイドGは、例えば帯板鋼や丸棒鋼等で製作される。
加熱部の末端に配置される融着部は、2枚の発泡体の溶融面を当接させて接合する部分であって、例えば、溶融面を重ね合わせた状態の2枚の発泡板を上下に挟む加圧ローラR3で構成される。なお、融着部の加圧ローラR3が、発泡板を搬出方向へ送り出す駆動力を有するものとしてもよいが、加圧ローラR3は重ね合わせた発泡板の押圧専用とし、これとは別に駆動用のローラを設けることも妨げない。また、融着部における発泡断熱材のの送り出し速度は、前述した送出駆動部における搬送速度に同期させるのが望ましい。
搬出部は、融着部において2枚の発泡板の溶融面を接合させることにより得られた発泡断熱材を、後続の処理工程へ送り出すための領域であり、搬出ローラR4等から成るローラコンベアやベルトコンベアなどて構成される。
[発泡板の準備]
本発明に係る発泡断熱材を製造するには、予め発泡板を準備する必要がある。これには例えば、特許文献2(特開2010−179566号公報)に記載の技術を利用することができる。はじめに、特許文献2に記載した発泡板の製造方法に基づき、製造原料を用意する。製造原料の主要成分は、植物性材料と合成樹脂材料である。植物性材料として、紙粉と、コーンスターチ等の澱粉を用いるのが望ましい。紙粉は、例えば特許第3738367号に記載した粉砕機により古紙等の紙製品を微粉砕したものを使用すればよい。合成樹脂材料は、熱溶融性を有するもの、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が用いられる。また、必要に応じ、酸化防止剤を添加してもよい。
植物性材料である紙粉(a1)と澱粉(a2)との配合割合は、a1:a2=2:8〜5:5(重量%)とする。植物性材料(A)と熱溶融性樹脂材料(B)との配合比率は、A:B=3:7〜6:4(重量%)とする。なお、熱溶融性樹脂材料の原料全体に占める重量比率を50%未満として、植物性材料が主成分の過半数を占めるようにすれば、発泡断熱材の廃棄時や焼却時に際し、環境に及ぼす悪影響を抑えられる。
紙粉と澱粉とを用いる場合、これらを予め混合・造粒し、ペレット状に成形しておいてもよい。その際、PVA(ポリビニルアルコール)等のバインダーが若干量使用される。ペレットの製造には、本出願人の先の出願に係る特願2009−79312に記載の方法を用いるとよい。
次に、発泡板の製造手順を説明する。押出機に植物性材料及び熱溶融性樹脂材料を供給した後、水を注入し、シリンダー内で加圧加熱下で混練して均一に溶融させる。水の注入量は、発泡倍率を勘案して、適正な水蒸気圧が得られ、且つ、押出発泡させた製品内に気化しなかった余剰の水分が残留しないように設定する。また押出機におけるシリンダーやダイの加熱温度は、使用する樹脂の融点や、澱粉の耐熱性を考慮して決定する。
次に、押出機に装着したダイ装置のプレートを通じ、溶融混合物を押し出す。溶融混合物は、プレートの多数の開孔から押し出されると同時に内部の水が急激に気化することにより、その水蒸気圧により直ちに発泡して膨張し、柱状のストランドを連続形成する。各ストランドは、ダイ装置の近くに配置したサイジング装置内を通過させる間に、隣接するものどうしが表面で密着し、一体化した発泡成形体となって開口部から排出される。
サイジング装置から排出された発泡成形体は、第1圧縮装置の押圧ローラで圧縮したのち、引き続き、第2圧縮装置の押圧ローラにより、所定厚みまで圧縮する。これにより、組織が高密度化し、熱伝導率の低い発泡成形体となる。しかるのち切断装置で所定の外形寸法となるように切断し、発泡板を得る。
[発泡断熱材の製造]
上述のようにして得られた発泡板を用い、図1に示す本発明装置Sにより、厚みの大きい発泡断熱材を製造する要領を、次に説明する。発泡板は、必要に応じ、表面を切削し、あるいは切断するなどの加工を施し、一定の外形寸法に整えておく。
前記発泡板の2枚を、図1に示す本発明装置Sへ供給する。上下2段の各搬送部に導入された2枚の発泡板それぞれは、送出駆動部を経て、加熱部へ送給される。送出駆動部により、上下の発泡板の搬送速度が同一速度となるように制御される。2枚の発泡板は、加熱部を通過する間に、対向する表面がヒータH等の加熱手段により加熱されて溶融する。
引き続き、2枚の発泡板は、図2に示す如く、融着部に到達して、溶融させた対向ずる表面を当接させると共に、加圧ローラR3等の押圧手段により圧着される。これにより、発泡体の溶融部から熱が非溶融部分へ拡散し、溶融部が直ちに温度低下して固化を開始する。従って、後続の搬出部を搬送される間に、2枚の発泡板を接合している融着部分が冷却固化して皮膜層を形成し、図3に示す如き、厚みの大きい1枚の発泡断熱材が完成される。
ところで、加熱部におけるヒータHの加熱量と、発泡板の搬送速度とは、発泡板を発火させずに、表層を一定深さまで溶融することができるように設定される。発泡板の溶融深さが不足すると、発泡板どうしの接合が不完全になるおそれがある。また、発泡板を融着できても、融着部分が冷却して形成される皮膜層の厚みXが薄くなるため、断熱性の向上をもたらさない。反対に、発泡板の溶融深さが大きすぎるときは、融着部分の冷却によって形成される皮膜層の厚みXが必要以上に大きくなり、やはり断熱性能を損なう問題を生じる。また加熱時に熱量を無駄に消費することになるから、経済性が悪い。さらに、厚みの大きい皮膜層により、製造される発泡断熱材の柔軟性を低下させるおそれがある。従って、融着部分に形成される皮膜層の厚みXが、上記の問題を発生させることのない最適な厚みとなるように、発泡板表面の溶融深さを調整する必要がある。但し。皮膜層の厚みX最適値は、一義的に決定されるのではなく、発泡板の組成や物性に応じて適宜変更されるものである。
[実施例]
下記の要領で、本発明に係る発泡断熱材の実施例(試番K1、K2,K3)と、比較例とする発泡断熱材(試番K4、K5)とを用意し、それぞれの熱伝導率を測定した。
(実施例1:試番K1)
紙粉40重量部(封筒工場で発生する封筒端材を粒径約60ミクロン以下に粉砕したもの)と、コーンスターチ60重量部(日本食品加工社製「日食コーンスターチY」)と、酸化防止剤0.25重量部(クラリアントジャパン社製「ホスタノックスP−EPQ」)とを十分混合した後、これに濃度3.5重量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を65重量部添加し、組成が均一になるように十分混練した。この混合物を、押出式造粒機で造粒し、乾燥機で乾燥して、水分率16重量%のペレットを生成した。
続いて、植物性材料として上記ペレット55重量部、熱溶融性樹脂材料として粉末状PP(ポリプロピレン)45重量部(プライムポリマー社製「H−700」)、及び、水7重量部の配合比率で、各材料をスクリュー径77mmの2軸押出機(ティーエスピー社製「MTE77」)に供給し、上記押出機のシリンダ最高温度を175°Cに設定して押出発泡を行ない、厚さ40mm、幅300mmの板状発泡体を形成した。
得られた発泡体を一定長さに切断した後、貼り合わせを予定する一方の表面を切削すると共に、左右両端部を切断して、厚さ27〜28mm×幅270mm×長さ2400mmの発泡板を製作した。
上記発泡板の2枚を、図1に示す本発明装置Sを用いて融着させ、図3に示すような、厚みの大きい1枚の発泡断熱材を製造した。本発明装置Sにおける加熱部は、棒状の電熱ヒータ(容量1kW)を9本ほぼ等間隔に並べて設けたもので構成した。また、発泡板の搬送速度は、7m/分に設定した。
(実施例2:試番K2)
実施例1で製作したのと同じ発泡板2枚を、同一の貼り合わせ装置により融着させて、1枚の発泡断熱材を製造した。但し、発泡板の搬送速度は、5m/分に設定した。
(実施例3:試番K3)
実施例1で製作したのと同じ発泡板2枚を、同一の貼り合わせ装置により融着させて、1枚の発泡断熱材を製造した。但し、発泡板の搬送速度は、3m/分に設定した。
(比較例1:試番K4)
実施例1で製作したのと同じ2枚の発泡板それぞれの切削した方の表面どうしを、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(昭和高分子社製「ポリゾールEL−500」NV=5に調整)を用いて貼り合わせた後、10日間風乾したものを比較例1とした。接着剤の塗布量は、1平方cmあたり0.028gである。
(比較例2:試番K5)
実施例1で製作した発泡板単体を、比較例2とした。
(熱伝導率の測定)
実施例1〜3(K1〜K3)及び比較例1,2(K4,K5)で得られた各発泡断熱材(K5は発泡板)の熱伝導率を測定した。測定方法は、熱線式熱伝導率測定機(京都電子工業社製「Kemtherm QTM−D3」)を用いた非定常法細線加熱法を採用して、以下の手順で行なった。
1)発泡断熱材(発泡板)を切断加工して、幅(押出発泡時における材料の流れに直交する方向)約60mm、長さ(押出発泡時における材料の流れに平行な方向)約120mmの測定用試験体とする。(図3参照。但し、厚みについては変更無し)
2)この試験体を、測定用テーブル上に置く。他方、測定機のプローブをアルミブロック上に置く。(プローブは、直線状に張られたヒータと熱電対とから構成され、ヒータに一定電力を与えたときの温度上昇指数から、熱伝導率を求めるものである。)
3)2分経過後、プローブを試験体の上に置く。このとき、プローブのヒータ及び熱電対が試験体の長さ方向と平行となるように設定する。
4)さらに2分経過後、スイッチを入れてヒータに電流を流し、1分後に表示される熱伝導率を読み取る。(このときの電流値は、0.5Aとした。)
5)スイッチを切って、プローブをアルミブロックの上に置き、次の試験体を測定用テーブルに載せる。
6)上記3〜5を繰り返す。
各試験体の熱伝導率の測定結果は、以下のとおり。(単位:W/m・K)
K1=0.0347
K2=0.0332
K3=0.0334
K4=0.0353
K5=0.0343
(なお、試番K1〜K4については2回測定した平均値、試番K5については4回測定した平均値である。またK5は、発泡板における切削しなかった方の表面の熱伝導率を測定した。)
[考察]
試番K1〜K4の発泡断熱材の圧縮応力及び曲げ強さを測定したところ、試番K5の発泡体と比較してほとんど違いがなかった。このことから、本発明に係る発泡断熱材は、元の発泡板と遜色のない柔軟性を保っており、施工性が損なわれていないと言うことができる。
本発明の実施例であるK1〜K3はいずれも、熱伝導率が、比較例K4より小さくなっている。このことから、2枚の発泡板を熱融着させることにより得られる発泡断熱材は、2枚の発泡板を接着剤で貼り合わせたものよりも、断熱性に優れていることが分かる。しかも試番K2,K3は、元の発泡板(K5)よりも熱伝導率が小さくなっており、このことから、熱融着により発泡断熱材内に皮膜層を形成することで、断熱性能を向上させることが可能であることが理解される。
ところで試番K1〜K3を比較すると、発泡板の搬送速度により、得られる発泡断熱材の熱伝導率に違いが生じている。これは、加熱部の通過時間により、発泡板の表層が溶融する程度に差異が生じるためと推測される。
図2を参照して説明すると、K1〜K3の製造に使用した発泡板には違いがなく、2枚の発泡板の当初合計厚み(D1+D2)はいずれも55mmであった。しかるに、本発明装置Sを通過させて製造した発泡断熱材の厚みTはそれぞれ、K1=51.0mm、K2=48.5mm、K3=45.5mmであった。
発泡板の厚みの減少が、表層の溶融部が融着して皮膜層を形成するためであると考え、発泡板の密度=0.029g/cm、皮膜層の密度=1g/cmであると仮定して、皮膜層の厚みXを算出すると、各試番における皮膜の厚みXは、K1:0.116mm、K2:0.189mm、K3:0.276mmとなる。すなわち、本試験結果によれば、発泡断熱材の3つの試番のうち、皮膜層の厚みX=0.189mmのもの(K2)が熱伝導率が最も小さくなっていることから、X=0.116〜0.276mmの範囲内に、熱伝導率を最小にする最適値が存在すると言うことができる。
以上の検討から、本発明に係る発泡断熱材を製造するにあたり、融着部分に形成される皮膜の厚みが適切となるように制御することで、優れた断熱性能を発揮させることが可能なことが理解される。
S…発泡板貼り合わせ装置 D1,D2…発泡板の厚み T…発泡断熱材の厚み X…皮膜層の厚み

Claims (2)

  1. 紙を含む植物性材料と熱溶融性樹脂材料とに水を加えた原料を押出機で押出発泡させて発泡板を成形し、
    2枚の発泡板それぞれの一表面を加熱して溶融させたのち、この溶融させた面どうしを当接させて融着することにより、厚みの大きい一枚の発泡断熱材を製造することを特徴とする発泡断熱材の製造方法。
  2. 請求項1に記載する方法により製造した、熱伝導率が0.035W/m・K以下であって、厚みが20mm以上であることを特徴とする発泡断熱材。
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