JP3735538B2 - 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法 - Google Patents

発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法に関する。さらに詳しくは建材用断熱材、産業資材、家具、家庭用電気器具、保温・保冷箱、自動車内装用材などの緩衝材、充填材、断熱材などに適用する発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物であり、所定の空間に挿入するか、他の物品と接合し、各種加工下で加熱発泡せしめ、発泡構造体とするものである。
【0002】
【従来の技術】
独立気泡を有する発泡体は、軽量かつ緩衝性や断熱性などに優れ、幅広い分野に使用されている。一方ポリウレタン注入発泡などは加工性に優れ、成形と同時に発泡体の供給が可能であり、加工工程を簡素化でき、様々な形状に密着した発泡構造体を造ることができる。しかし、廃棄処理やリサイクルの点では問題があった。
【0003】
廃棄処理やリサイクルの点で優位であるポリオレフィン系樹脂で、ポリウレタンの注入発泡に代替可能な加工方法として、特開平8−192436号公報には特定の組み合わせで配合したポリオレフィン系樹脂をアゾジカルボンアミド系または重炭酸ソーダ系発泡剤と有機過酸化物系架橋剤及び特定の難燃剤を混合し、パウダースラシュ成形法に限定した成形工法により表皮と一体的に発泡体を形成した成形工法が開示されている。しかしながらこの成形工法では均一な気泡形状の独立気泡発泡体を得ることは難しい。何故なら均一な気泡を形成するには、加熱により、まず樹脂を軟化させ、次に有機過酸化物の分解により樹脂を架橋して発泡ガスを保持する適度な粘度を付与し、熱分解型発泡剤が分解して独立気泡を形成するという順序が必要であるが、樹脂、発泡剤、架橋剤などを溶融混練した樹脂組成物の粉末化原料を用いるものではなく本例の如く単に混合しただけの組成物では熱源近傍に存在する部分から軟化や分解が開始するため上記の順序が満たされず、均一な気泡形成や、高い発泡倍率の発泡体とすることは困難である。また、特公平7−45197号公報ではポリオレフィン樹脂に熱分解によって気体を発生する化学発泡剤と有機過酸化物などを混練し、シート化した後に合成樹脂シートと張り合わせ、しかる後に加熱し発泡させ、直ちに真空成形とプレス成形を同時に行い成形体とする方法が開示されている。しかしながら加熱下で縦・横・厚み方向に同時に膨らむ発泡体を保持することは困難であり、本例は発泡時の発泡体体積変化が小さい低発泡倍率に適用が限定される。このため断熱性、緩衝性、軽量性などに劣るだけではなく、また成形時伸ばされた発泡体が部分的に薄くなり、このため断熱性や緩衝性が不均一となる。これを回避するには適用範囲が高低差の少ない形状に限定されるなどの欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した欠点を解消し、ポリウレタン樹脂を代替可能で種々の用途で緩衝材、充填材、断熱材として機能する発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物とその製造方法、及び該樹脂組成物を用いた発泡構造体の製造方法を提供するものである。該樹脂組成物は耐熱性、リサイクル性などの特性を有し、種々の形状を有することで加熱を伴う加工に対し、密着性を高め自由度の高い発泡構造体及び加工方法を選択することのできる発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、 ポリオレフィン系樹脂を主体とする発泡能力を有する樹脂組成物であって、100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、130℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリプロピレン系樹脂(B)との少なくとも2種類の樹脂から構成され、かつ熱分解型化学発泡剤(C)を含有し、その形状(D)が板状、チップ状、粉状末、またはこれらの混合体であることを特徴とする発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を要旨とする。
【0006】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、130℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリプロピレン系樹脂(B)とを、Tma以上かつ熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度未満の温度で溶融し、該化学発泡剤(C)を添加した樹脂組成物を、後工程で板状、チップ状、または粉状末の形状(D)にすることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の発泡構造体の製造方法は、上記発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を所定の空間に挿入するか、他の物品と接合し、かかる状態下で加熱発泡せしめることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるにポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン系炭化水素の重合体または共重合体であり、該オレフィン系樹脂は、後加工工程で加熱により発泡体を形成させるため発泡能力を有している必要がある。かかる樹脂は調整的に熱分解型化学発泡剤(C)の分解を抑制し、かつ得られる発泡体の耐熱性を満足させるため融点が100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、130℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリプロピレン系樹脂(B)との少なくとも2種類の樹脂から構成されている必要がある。ここで示す融点とは示差走査熱量分析より得られるDSC曲線の結晶融解ピーク温度であり、その測定条件は−10℃から200℃の間で10℃/分の速度で昇温し、5分間保持した後200℃から−10℃の間で10℃/分の速度で降温し、更に5分間保持した後−10℃から200℃の間で10℃/分の速度で昇温したときに、2度目の昇温で得られたDSC曲線の結晶融解ピーク温度を融点とするものである。
【0009】
ポリオレフィン系樹脂(A)の結晶融解ピーク(融点Tma)が100℃を越えると、発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂の調整時に加える熱が高温化し、調整時に熱分解型化学発泡剤(C)の分解が避けられない。また、かかる低融点の樹脂のみで構成されると耐熱性の不十分で使用に耐えない。
【0010】
融点Tmaが100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)としては、特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−オクテン共重合体などが例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0011】
融点Tmaが100℃以下であるポリオレフィン系樹脂(A)は熱分解型化学発泡剤(C)を溶融混練する際に、該化学発泡剤(C)が熱分解しないよう加工温度を低くする目的であり、かかる観点から融点Tmaは50〜90℃の範囲であることが好ましく、さらに60〜80℃の範囲であることがより好ましい。融点が50℃未満であれば該化学発泡剤(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、加熱加工し発泡体としたときに著しく耐熱性が低下するため実用性に乏しい場合がある。
【0012】
130℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリプロピレン系樹脂(B)としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
ポリプロピレン系樹脂(B)は発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工し発泡体としたときに耐熱性を向上させる目的であり、融点Tmbは130℃以上であり、さらに130〜160℃の範囲であることがより好ましい。融点が130℃未満であれば熱分解型化学発泡剤(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、加熱加工し発泡体としたときに著しく耐熱性が低下するため実用性に乏しい場合がある。また、融点が170℃を越える場合、溶融混練の際、該化学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組成物が得られない場合がある。
【0014】
また、ポリオレフィン系樹脂(A)の190℃測定MFRは1〜30g/10分が好ましく、さらに、2〜10g/10分であることが好ましい。MFRが1g/10分未満であると溶融混練の際、熱分解型化学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組成物が得られない場合があり、一方、30g/10分を越えると該化学発泡剤(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、樹脂の溶融粘度が低いため発泡ガスが逃散し、良好な発泡体とならない場合がある。
【0015】
ポリプロピレン系樹脂(B)は、融点が130℃〜160℃の範囲であるプロピレンを主鎖とするポリプロピレン系樹脂あるいはその共重合体などであり、230℃で測定したMFRにおいて1〜50g/10分であることが好ましく、さらに、2〜20g/10分であることが好ましい。MFRが1g/10分未満であると溶融混練の際、該化学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組成物が得られない場合があり、一方、50g/10分を越えると該化学発泡剤(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、樹脂の溶融粘度が低いため発泡ガスが逃散し、良好な発泡体とならない場合がある。ここで示すMFRとはJIS K−6922−及びJIS K−6921−2に準じた測定方法で測定したものである。
【0016】
発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を構成するポリオレフィン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)の配合割合は、
(A):30〜80重量%
(B):20〜70重量%
であることが好ましく、さらに、
(A):40〜60重量%
(B):40〜60重量%
であることがより好ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂(A)が30重量%未満でポリプロピレン系樹脂(B)が70重量%を越える場合、溶融混練の際、熱分解型化学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組成物が得られない場合があり、また、ポリオレフィン系樹脂(A)が80重量%を越えポリプロピレン系樹脂(B)が20重量%未満である場合、該化学発泡剤(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、加熱加工し発泡体としたときに著しく耐熱性が低下するため実用性に乏しい場合がある。
【0018】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物に使用する熱分解型化学発泡剤(C)は、該化学発泡剤(C)の分解開始温度が融点Tmaより高く、かつ分解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成分Tmb’に対し(Tmb’−30)〜(Tmb’+50)℃の範囲のものである。
【0019】
熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度は溶融混練で該化学発泡剤(C)を分解させないために融点Tmaより高くする必要があり、分解開始温度が融点Tmaより低い温度であれば溶融混練で該化学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組成物が得られない場合がある。
【0020】
また熱分解型化学発泡剤(C)の分解ピーク温度とポリプロピレン系樹脂(B)中の最も高い樹脂成分の融点Tmb’は、ポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工し発泡体とするときに、該化学発泡剤(C)の分解で発生するガスを逃散させることなく有効に気泡内に保持するため適度なポリオレフィン系樹脂の粘度が必要であり、該化学発泡剤(C)のピーク温度は該融点Tmb’に対し(Tmb’−30)〜(Tmb’+50)℃の範囲が好ましく、さらに(Tmb’−10)〜(Tmb’+30)℃の範囲であることがより好ましい。熱分解型化学発泡剤(C)の分解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成分Tmb’に対し(Tmb’−30)より低い温度の場合、ポリプロピレン系樹脂(B)が十分に軟化していない温度であり、該化学発泡剤(C)の分解で発生するガスを抑制し、気泡膜内の低強度部分が破壊され不均一な気泡形状や独立気泡率の低下などにより良好な発泡体とならない場合がある。また、熱分解型化学発泡剤(C)の分解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成分Tmb’に対し(Tmb’+50)より高い温度の場合、ポリプロピレン系樹脂(B)の溶融粘度低下が著しく、発泡剤分解ガス圧力より樹脂のガス保持力が弱くなることで発泡ガスが逃散し、気泡膜が破壊され不均一な気泡形状や独立気泡率の低下などにより良好な発泡体とならない場合がある。
【0021】
ここで示す熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度や分解ピーク温度といった分解挙動の測定は、該化学発泡剤(C)の試料1gをポリエチレンフィルムに採取し、これを試験管の中に入れて流動パラフィン10mlを加え、この試験管を流動パラフィン浴中に浸漬しガスビュレットに接続したガス誘導管に接続する。その後、流動パラフィン浴を25から250℃の間に2℃/分の速度で昇温し、1分ごとにビュレットに導入されたガス量を測定する。予め測定した該試料を含まない空気の膨張量を差し引いて求めた曲線を熱分解型化学発泡剤(C)の分解曲線とする。
【0022】
これより得られた熱分解型化学発泡剤(C)の分解曲線で、ガス発生が認められた点を分解開始点とし、最終的に発生したガス全量の70%以上のガス発生量でガスの増加量が前測定増加量の10%未満となった温度を分解ピーク温度とする。
【0023】
熱分解型化学発泡剤(C)の種類は、熱を加えることで分解しガスを放出する化学発泡剤であれば特に限定するものではなく、例えば有機、無機系の各種があり、有機系にはアゾジカルボンアミド、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P.P´−オキシベンゼンスルフォニルヒドラジドなど、無機系には重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルシウムアジドなどが例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
熱分解型化学発泡剤(C)の添加量は加熱加工し発泡体としたときの発泡倍率が2〜40倍の範囲、より好ましくは5〜20倍の範囲となるように調整をすると好ましい。発泡倍率が2倍未満であると緩衝性、断熱性、軽量性などの発泡体の特徴が著しく損なわれる場合があり、発泡倍率が40倍を越える場合であれば該化学発泡剤(C)の分解により大量に発生したガスの圧力が著しく大きくなり樹脂のガス保持力を上回ることで発泡ガスが逃散し良好な発泡体とならない場合がある。ここで示す発泡倍率とは、発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工し発泡体とした上で、JIS K−6767に準じた測定方法で測定した見掛け密度の逆数を示す。
【0025】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物に、発泡体となる気泡構造を形成させるため、樹脂の増粘度が必要であれば架橋を行うことができる。架橋方法は、特に限定されないが、電離性放射線を照射し架橋させる電子線架橋法、有機過酸化物を混練し発泡時に有機過酸化物を分解し架橋させる化学架橋法、シラン基を持つポリオレフィン系樹脂を混合し水分と接触することで架橋させるシラン架橋法が例示され、これらの架橋方法はそれぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。このときの架橋度は、0〜20%が好ましいく、さらに0〜10%がより好ましく、特に架橋度0が最も好ましい。架橋度が20%を越えるとポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工した発泡体や該発泡体と接合する他の物品を含む発泡構造体を、リサイクルのため熱を加え各種加工を行うとき溶融不良、未溶融物のための加工不良、外観不良などの問題が発生する場合がある。電離性放射線を照射するエネルギー、有機過酸化物を添加する量、樹脂中に含まれるシラン基の量や水分の接触条件などの諸条件は、架橋度が0〜20%の範囲であれば特に限定するものではない。ここで示す架橋度とは細かく裁断した発泡体0.1gを130℃のテトラリン中で抽出した残量を次式により求めたものである。
【0026】
架橋度=〔(0.1−抽出残量)/0.1〕×100 (%)
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物の形態(D)は、後工程での使用のし易さから該組成物を板状、チップ状、粉末状の裁断加工を施し、該形状(D)またはこれらの混合体を加熱加工により発泡体とするものである。
【0027】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物は、必要に応じて例えば熱安定剤、耐候剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、顔料、流動性改良剤、離型剤、充填剤、造核剤など公知の各種添加剤を添加しても良い。
【0028】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、一旦ポリオレフィン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)ポリプロピレン系樹脂(B)の中の最も高い樹脂成分の融点以上で押出機やミキシングロールなどの汎用の混練装置を用いて溶融状態で混練した原料を準備し、これに熱分解型化学発泡剤(C)や必要に応じた架橋助剤、添加剤などを混合し、ポリオレフィン系樹脂(A)の融点Tma以上かつ該化学発泡剤(C)の分解開始温度以下の温度範囲で押出機やミキシングロールなどの汎用の混練装置を用いて溶融混練する方法、あるいはポリオレフィン系樹脂(A)と粉末状のポリプロピレン系樹脂(B)に熱分解型化学発泡剤(C)や必要に応じた架橋助剤、添加剤などを混合し、ポリオレフィン系樹脂(A)の融点Tma以上で該化学発泡剤(C)の分解開始温度以下の温度範囲で押出機やミキシングロールなどの汎用の混練装置を用いて溶融混練する方法が例示できる。かかる方法により本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物をシート状やストランド状などの形状の長尺物に成形する。架橋は架橋度が20%以下であれば必要に応じて行うことができ、例えば電子線架橋法やシラン架橋法のように発泡前に架橋を行う必要がある場合はシート状やストランド状などの長尺物で架橋処理を行った後、単板カット機、ペレタイザー、粉砕機、などの汎用の裁断機で板状、チップ状、粉末状の形状(D)に裁断加工する。また、架橋処理を行わない場合や化学架橋法のような発泡中に架橋を行う場合のように、前工程である架橋処理を必要としない場合は、シート状やストランド状などの長尺物に成形した後、単板カット機、ペレタイザー、粉砕機などの汎用の裁断機で板状状、チップ状、粉末状の形状(D)に裁断加工する。かかる方法により形状(D)を板状、チップ状、粉末状に加工した本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を製造する。
【0029】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を発泡させる加熱加工方法は特に限定されないが、例えば形状(D)が板状、チップ状、粉末状、またはこれらの混合体である発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工する所定の空間や、他の物品と接合させた状態に設置し、この状態で加熱発泡するものである。発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物の形状(D)を板状、チップ状、粉末状、またはこれらの混合体とすることで、所定の空間に挿入したり、他の物品と接合した場合、該樹脂組成物の充填や該組成物を加熱加工し発泡体としたときに所定の空間や他の物品との接合を隙間なく埋めることが可能であり、緩衝性、断熱性などの性能が飛躍的に向上できる。
【0030】
発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を所定の空間に挿入し固定したり他の物品と接合固定する方法は特に限定されないが、例えば発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物をポリオレフィン系樹脂(A)の融点Tma以上で熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度以下の温度範囲で加熱溶融し融着する方法、所定の空間や他の物品もしくは発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物のいずれかまたは複数に粘着剤を塗布し接着する方法などが例示される。
【0031】
所定の空間が成形「金型」であり成形時に加熱発泡する加工方法としては特に限定されないが、雄雌の両型を有し、冷却または加熱した金型内に形状(D)が板状、チップ状、粉末状またはこれらの混合体である発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を融着や接着などの方法で分散充填させ、密閉状態で金型を加熱し発泡充満させた後金型を冷却する成形方法、別に設けた熱源で発泡させた後、冷却した金型でプレス成形する成形方法などが例示される。
【0032】
加熱する加熱源については特に限定されないが、熱風、赤外やセラミックなどのラジエーションヒータ、加圧蒸気、電熱ヒーターなどが例示される。
【0033】
本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物の加熱発泡させる加工温度は、均一な気泡形状で独立気泡率が高く目的の発泡倍率を得るために必要であり、ポリプロピレン系樹脂(B)の中で融点が最も高い樹脂成分Tmb’に対し(Tmb’−10)〜(Tmb’+70)℃の温度範囲が好ましく、さらに(Tmb’+10)〜(Tmb’+50)℃の温度範囲がより好ましい。加熱発泡させる加工温度が(Tmb’−10)より低い温度の場合、ポリプロピレン系樹脂(B)が十分に軟化していない温度であり、熱分解型化学発泡剤(C)の分解で発生するガスを抑制し、低強度部分の気泡膜が破壊され不均一な気泡形状や独立気泡率の低下などにより良好な発泡体とならない場合がある。また、分解ピーク温度が融点の最も高いTmb’に対し(Tmb’+70)℃より高い温度の場合、ポリプロピレン系樹脂(B)の粘度低下が著しく、また急激に該化学発泡剤(C)が分解するため、ガス圧力より樹脂のガス保持力が弱くり発泡ガスが逃散し、気泡膜が破壊され不均一な気泡形状や独立気泡率の低下などにより良好な発泡体とならない場合がある。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらによって制限されるものではない。
【0035】
本発明における測定法、評価基準は次の通りである。
1.組成物混練可否
熱分解型化学発泡剤(C)が分解しない温度で溶融混練が可能であるか判定する。樹脂が軟化し、必要量の該化学発泡剤(C)が分解なく溶融混練できるものを合格、顕著な該化学発泡剤(C)の分解や必要量の該化学発泡剤(C)が溶融混練できない場合不合格と判定する。
2.組成物外観
溶融混練した発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物をプレス機で板状に加圧成形加工したシートの歪み、表面の平面性、発泡分解ガスの有無を目視判定する。シートに歪みがなく、表面が平滑で、熱分解型化学発泡剤(C)の分解ガスによる気泡混入のないものを合格(◎)、多少の不備が見られるが発泡体に加工可能であるものを合格(○)、顕著な不備が見られ発泡体に加工不可能であるものを不合格(×)と判定する。
3.発泡体外観
板状、チップ状、粉末状の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱発泡加工した発泡体の歪み、表面の平面性、気泡の均一性を目視判定する。発泡体の歪み、表面の化学発泡剤分解ガス逃散孔、発泡ムラによる凹凸がなく、均一な気泡形状を保ち、化学発泡剤未分解物の影響による黄色着色の少ないものを合格(◎)、多少の不備が見られるが緩衝性、断熱性、軽量性などの発泡体基本性能を損なわないものを合格(○)、前記発泡体の基本特性を損なうような不備があるものを不合格(×)と判定する。
4.耐熱温度
板状、チップ状、粉末状の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱発泡加工した発泡体から15×15cmの正方形サンプルを切り出し、その中心の厚みZ0cmの測定及び各辺に平行となる各々長さ10cmの直交した標線を書き、このサンプルを熱風循環オ−ブンに入れ22時間加熱後、取出し、室温になるまで自然冷却する。この加熱処理サンプルの厚みZ1cm及び各縦横の標線長さL1、L2cmを測定し、下記の式に従って加熱体積変化率を算出する。
【0036】
加熱体積変化率(%)=[{(10×10×Z0)−(L1×L2×Z1)}/(10×10×Z0)]×100 (%)
10℃間隔に設定した各熱風温度の加熱体積変化を測定し、±10%以下となる最高温度を耐熱温度とし、実用上の耐熱温度として80℃以下を不合格(×)、80℃以上を合格(○)、特に耐熱性に優れる100℃以上を合格(◎)と判定する。
5.総合評価
組成物混練加工が可能であり、組成物や発泡体の外観に優れ、耐熱温度が100℃以上あるものを総合評価で合格(◎)、組成物混練加工が可能であるが、組成物や発泡体の外観に使用上問題とならない多少の不備点がみられる、または耐熱温度が80℃以上100℃未満である判定のいずれか1つでも該当する項目のあるものを合格(○)、組成物混練加工ができないものや、組成物や発泡体の外観に顕著な不備が見られる、または耐熱温度が80℃未満未満である判定のいずれか1つでも該当する項目のあるものを不合格(×)と判定する。
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g/10分)60重量部、ポリプロピレン系樹脂(B)としてエチレン−プロピレンランダム共重合体(融点143℃、MFR2.0g/10分)40重量部、熱安定剤として“Irganox1010”を0.3重量部を210℃に設定した40mmφ単軸押出機で溶融混練した後、押出溶融混練した樹脂に熱分解型化学発泡剤(C)としてアゾジカルボンアミド(分解開始温度126℃、分解ピーク温度143℃)を加え、110℃に設定したミキシングロールで溶融混練した。この溶融混練した組成物を110℃に設定したプレス加工機で厚さ2mmのシートに作成した。このシートに加速電圧800kVの電子線を2Mrad照射し架橋させた。このシートは該化学発泡剤(C)の分解による気泡混入は認められず形状(D)が板状である良好な発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を得た。形状(D)が板状である該組成物を160℃の熱風オーブン中で発泡した加工発泡体と、このシートを約2mm角に裁断加工し、形状(D)をチップ状とした該組成物及び粉砕機で直径2mm以下に粉砕加工し、形状(D)を粉末状とした該組成物のそれぞれを型枠内に入れ160℃に設定したプレス加工機で加熱発泡成形した加工発泡体の3種類を得た。該組成物の溶融混練状態、シート状態、及び加熱加工発泡体の発泡倍率、気泡状態、耐熱温度などを評価した結果を表1に示す。いずれの評価項目においても合格であった。
[実施例4]
電子線照射を行わないで無架橋としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表1に示す。いずれの評価項目においても合格であった。
[実施例5]
ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g/10分)90重量部、ポリプロピレン系樹脂(B)としてエチレン−プロピレンランダム共重合体(融点143℃、MFR2.0g/10分)10重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表2に示す。耐熱性は実用温度レベルであるがいずれの評価項目においても合格であった。
[実施例6]
ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g/10分)60重量部、ポリプロピレン系樹脂(B)としてポリプロピレン樹脂(融点166℃、MFR3.1g/10分)40重量部、熱分解型化学発泡剤(C)としてアゾジカルボンアミドとN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンの混合物(分解開始温度113℃、分解ピーク温度122℃)12重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表2に示す。組成物に一部気泡の混入が、加工発泡体に一部粗大気泡が認められたが発泡体基本性能を害するものではなく、いずれの評価項目においても合格であった。
[実施例7]
熱分解型化学発泡剤(C)としてアゾジカルボンアミド(分解開始温度183℃、分解ピーク温度205℃)7重量部、発泡体に加工した温度を210℃としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表2に示す。加工発泡体表面に黄色の着色が認められたが発泡体基本性能を害するものではなく、いずれの評価項目においても合格であった。
[実施例8]
発泡体に加工した温度を145℃としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表2に示す。加工発泡体表面に黄色の着色が認められたが発泡体基本性能を害するものではなく、いずれの評価項目においても合格であった。
[実施例9]
発泡体に加工した温度を240℃としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表2に示す。板状の組成物を加工した発泡体において表面にガス逃散孔が認められたが発泡体基本性能を害するものではなく、いずれの評価項目においても合格であった。
[実施例10]
長さ50mm、幅25mm、厚さ5mmの板状に加工した形状(D)の実施例1に示した発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を、片面に粘着加工し、図1示す長さ75mm、幅35mm、厚さ7mmの角筒状金属製枠の内側中央部に接着した。この複合物を160℃に設定した熱風オーブンで加熱発泡成形し、図2に示す発泡構造体とした。この発泡構造体は、金属製枠内部が隙間なく発泡体で満たされ、良好なものであった。
[実施例11]
実施例1に示した発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物の形状(D)を粒径1mmの粉末状に粉砕加工し、図3に示す構成で厚さ6mmの金枠内に表面をプライマー加工した厚さ0.5mmのオレフィン系熱可塑性樹脂製表皮材と、表面をプライマー加工した厚さ2mmのポリプロピレン樹脂製基材の中間に2mm厚さに該組成物粉末を敷いた。この複合物を160℃に設定したプレス機で加熱発泡成形し、図4に示す発泡構造体とした。この発泡構造体は、表皮、発泡体、基材が一体構造となり、外観の優れた良好なものであった。
[比較例1]
ポリプロピレン系樹脂(B)を加えず、ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g/10分)100重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表3に示す。耐熱温度が80℃未満であり不合格であった。
[比較例2]
ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g/10分)60重量部、ポリプロピレン系樹脂(B)に替えてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点90℃、MFR3.0g/10分)40重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表3に示す。耐熱温度が80℃未満であり不合格であった。
[比較例3]
ポリオレフィン系樹脂(A)として低密度ポリエチレン(融点113℃、MFR3.0g/10分)60重量部、ポリプロピレン系樹脂(B)としてエチレン−プロピレンランダム共重合体(融点143℃、MFR2.0g/10分)40重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表3に示す。樹脂溶融不足により熱分解型化学発泡剤(C)が混練できなかった。混練温度を樹脂が混練可能な溶融状態となる130℃に上昇したところ、顕著な該発泡剤(C)の分解が認められた。この結果該組成物は得られなかった。
【0037】
以上述べたように、実施例に示した本発明による組成物とその加熱加工発泡体は、特定範囲の融点を有するポリオレフィン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を、限られた混合比率で配合し、特定範囲の分解挙動を示す熱分解型化学発泡剤を溶融混練し、無架橋または特定範囲で架橋させることで発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を得ることができた。特定形状に加工した該組成物を特定範囲温度で加熱発泡加工した発泡体は、形状の整った高い耐熱性を有し、再溶融加工によるリサイクル性を有するものである。
【0038】
以上の実施例および比較例をまとめたのが次の表1〜3である。
【0039】
【表1】
Figure 0003735538
【0040】
【表2】
Figure 0003735538
【0041】
【表3】
Figure 0003735538
【0042】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物によると、耐熱性、リサイクル性などの特性を有した発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物が得られる。また、本発明の製造方法によると、上記樹脂組成物を所定の空間に挿入するか、他の物品と接合し、各種加工下で加熱発泡せしめ、発泡構造体とするとき、加熱を伴う各種加工に対し自由度の高い発泡構造体及び加工方法を選択することのできる発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属製の金枠に、本発明のシート形状の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を接着した斜視図である。
【図2】図1に示した構成物を熱風オーブン中で加熱発泡成形した発泡構造体の斜視図である。
【図3】金枠内に表面をプライマー加工したオレフィン系熱可塑性樹脂製表皮材と、表面をプライマー加工したポリプロピレン樹脂製基材の中間に粉末状に粉砕加工した本発明のシート形状の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を敷いた構成の断面図である。
【図4】図3に示した構成物をプレス機で加熱発泡成形した発泡構造体の断面図である。
【符号の説明】
1 角筒状金属製枠
2 板状の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物
3 加熱発泡成形した発泡体
4 金枠
5 表皮材
6 粉末の状発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物
7 基材
8 プライマー加工
9 加熱発泡成形した発泡体

Claims (10)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主体とする発泡能力を有する樹脂組成物であって、100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、130℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリプロピレン系樹脂(B)との少なくとも2種類の樹脂から構成され、かつ、熱分解型化学発泡剤(C)を含有し、その形状(D)が板状、チップ状、粉状末、またはこれらの混合体であることを特徴とする発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 融点Tmaが50〜90℃、融点Tmbが130〜160℃である請求項1記載の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. ポリオレフィン系樹脂組成物に含有する熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度が、融点Tmaより高く、かつ、該化学発泡剤(C)の分解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成分(Tmb’)に対し、(Tmb’−30)〜(Tmb’+50)℃の範囲内である請求項1または2に記載の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 架橋度が0〜20%である請求項1〜3のいずれかに記載の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. ポリオレフィン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)の配合割合が、(A):30〜80重量%、(B):20〜70重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  6. 100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、130℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリプロピレン系樹脂(B)とを、Tma以上かつ熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度未満の温度で溶融し、該化学発泡剤(C)を添加した樹脂組成物を、後工程で板状、チップ状、または粉状末の形状(D)にすることを特徴とする発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を所定の空間に挿入するか、他の物品と接合し、かかる状態下で加熱発泡せしめることを特徴とする発泡構造体の製造方法。
  8. 所定の空間が成形金型であり、成形時に加熱発泡せしめることを特徴とする請求項記載の発泡構造体の製造方法。
  9. 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物が請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物である請求項7または8記載の発泡構造体の製造方法。
  10. 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱発泡させる加工温度が、熱分解型化学発泡剤(C)の分解ピーク温度以上で、かつ、融点の最も高い樹脂成分(Tmb’)に対し(Tmb’−10)〜(Tmb’+70)℃の範囲である請求項7〜9のいずれかに記載の発泡構造体の製造方法。
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