JP2012072258A - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及び該樹脂発泡体を用いた積層品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)DSC吸熱ピークの1つが155〜165℃、MFRが1〜10g/10分、かつ230℃における溶融張力が1〜5cNであるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が10〜55重量%、DSC吸熱ピークの1つが130〜150℃、MFRが0.5〜10g/10分、かつ230℃における溶融張力が1〜10cNであるプロピレン−エチレンランダム共重合体(B)が25〜70重量%、及びMFR1〜20g/10分、DSC吸熱ピークの1つが100〜130℃であるエチレン−α−オレフィン共重合体(C)が10〜40重量%である樹脂組成物に、熱分解型発泡剤を添加し、架橋度が30〜60%になるように架橋した後、発泡させる、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、及び(2)該樹脂発泡体を表皮材と積層一体化してなる積層品である。
【選択図】なし
Description
近年、成形時の生産性や、賦型時の型追従性を向上するため、成形時に表皮付きシートの加熱温度、加熱速度を上げたり、スタンピング成形でのプレス温度を高く設定する傾向にある。特に凹引き真空成形法等では、表皮を柔軟にした上で賦型する工程上、表皮付き発泡シートの加熱温度を上げる必要がある。しかし、そうすると、発泡シートの気泡膜が加熱により破壊され、アバタ状の凹凸の発生等の問題が発生しやすくなる。
そこで、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性や力学特性を改善する検討がなされている。
特許文献2には、ホモポリプロピレン及び/又はプロピレンランダム共重合体と、中高密度ポリエチレン系樹脂からなる樹脂組成物に、エチレン−プロピレンブロック共重合体を添加してなるものを架橋発泡させた架橋樹脂発泡体が開示されている。
また、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法として、例えば、特許文献3には、融点が125〜155℃、MFRが0.5〜10g/10分のポリプロピレン系樹脂と、MFRが1.0〜30g/10分のポリエチレン系樹脂との組成物に、造核剤と架橋助剤を添加して電子線架橋し、発泡させ、架橋度を25〜70%にする電子線架橋発泡体の製造方法が開示されている。
特許文献4には、MFRが0.4〜2.0g/10分、融点が160℃以上のエチレン-プロピレンブロック共重合体と、MFRが0.5〜10g/10分のポリエチレン系樹脂とからなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いて、成形した後、発泡・架橋させる架橋樹脂発泡体の製造方法が開示されている。
特許文献3の方法は、耐熱性を向上させるには架橋度を上げていくことになり、過度の架橋により発生するネットワーク構造が、高温時の樹脂の伸長特性を悪化させることになり望ましくないという問題があった。
特許文献4の方法は、高融点樹脂と低融点樹脂の2成分系であるため、低融点樹脂の溶融条件以上になると高融点樹脂が機械的負荷を受けることになり、特に真空成形のような表皮付きシートの加熱成形においては、半溶融状態の制御が難しいという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、耐熱性、賦型性、成形性に優れた架橋ポリオレフィン系発泡体の製造方法、及び該樹脂発泡体を用いた積層品を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供するものである。
(1)樹脂組成物の構成比が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)10〜55重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)25〜70重量%、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)10〜40重量%であるポリオレフィン系樹脂組成物であって、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが155〜165℃であり、JIS K7210によるMFRが1〜10g/10分であり、かつ230℃における溶融張力が1〜5cNであり、
プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)が、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが130〜150℃であり、JIS K7210によるMFRが0.5〜10g/10分であり、かつ230℃における溶融張力が1〜10cNであり、
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)が、JIS K7210によるMFRが1〜20g/10分であり、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが100〜130℃であり、
該樹脂組成物に熱分解型発泡剤を添加し、架橋度が30〜60%になるように架橋した後、加熱発泡させることを特徴とする、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(2)前記(1)の方法により製造された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を、表皮材と積層一体化してなることを特徴とする積層品。
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、樹脂組成物の構成比が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)(以下、「(A)成分」ともいう)20〜50重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)(以下、「(B)成分」ともいう)40〜70重量%、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)(以下、「(C)成分」ともいう)10〜40重量%である樹脂組成物に熱分解型発泡剤を添加し、架橋度が30〜60%になるように架橋した後、加熱発泡させることを特徴とする。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、示差走査熱量分析(DSC)による吸熱ピークの少なくとも1つが155〜165℃であり、JIS K7210によるMFR(メルトフローレート)が1〜10g/10分であり、かつ230℃における溶融張力が1〜5cNであるものである。
(A)成分の吸熱ピークの全てが155℃未満の場合、耐熱性が不十分となり、吸熱ピークの全てが165℃を超えると、(A)成分を熱分解型発泡剤と溶融混練する段階で発泡が始まってしまうため、均一で微細な発泡体が得られにくい。
また、(A)成分のMFRが、1g/10分未満の場合、熱分解型発泡剤と溶融混練する段階で発泡が始まってしまうため、均一で微細な発泡体が得られにくく、10g/10分を超えると、高温加熱時の気泡保持、及び伸長特性が不充分となる。なお、(A)成分のMFRは、JIS K7210に基づき、温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
(A)成分の230℃における溶融張力が、1cN未満の場合、高温時の気泡形成に必要な溶融樹脂としての表面張力が不足し、必要以上に架橋度を上げる必要からかえって高温伸長性が低下することになる。また5cNを超えると、発泡時の気泡形成に対してより高い発泡ガス内圧が要求され、到達倍率の減少や、発泡途中での気泡破壊の原因となり、またそれを防止するために架橋度を下げようとすると、高温耐熱性で問題を発生させてしまうことになる。
なお、溶融張力とはフィラメント状の溶融ポリマーを長さ方向に引張るときに生じる張力を意味し、実施例に記載の方法で測定される。
プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)は、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが130〜150℃であり、JIS K7210によるMFRが0.5〜10g/10分であり、かつ230℃における溶融張力が1〜10cNであるものである。
(B)成分の吸熱ピークの全てが130℃未満の場合、(A)成分の吸熱ピーク温度と離れてしまい、高温での成形条件範囲が著しく狭まってしまう。また、該吸熱ピークの全てが150℃を超えると、高融点、低融点の2成分系と同じように加熱時の軟質化状態の変化が著しく、成形温度条件のバラツキにより成形状態が一定化しない等の問題が発生する。
(B)成分のMFRが0.5g/10分未満の場合、熱分解型発泡剤と溶融混練する段階で発泡が開始してしまうため、均一で微細な発泡体が得られにくく、10g/10分を超えると、樹脂の高温伸長率が不充分となる。なお、(B)成分のMFRは、JIS K7210に基づき、温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
(B)成分の230℃における溶融張力が、1cN未満の場合、高温時の気泡形成に必要な溶融樹脂としての表面張力が不足し、必要以上に架橋度を上げる必要からかえって高温伸長性が低下することになる。また10cNを超えると、発泡時の気泡形成に対してより高い発泡ガス内圧が要求され、到達倍率の減少や、発泡途中での気泡破壊の原因となり、またそれを防止するために架橋度を下げようとすると、高温耐熱性で問題を発生させてしまうことになる。
プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)としては、プロピレンを50重量%以上含有するものが好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、JIS K7210によるMFRが1〜20g/10分であり、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが100〜130℃であるものである。
(C)成分の吸熱ピークの全てが100℃未満の場合、その低融点、軟質性により高温加熱時に気泡膜の溶融破壊につながりやすく、高温成形性を低下させてしまう。また、該吸熱ピークの全てが130℃を超えると、高い結晶性を示し、(C)成分自体が有する低温時の衝撃吸収性が低下し、低温時の組成物の脆性破壊を起こしやすい。
(C)成分のMFRが1g/10分未満の場合、熱分解型発泡剤と溶融混練する発泡が始まってしまうため、均一で微細な発泡体が得られず、20g/10分を超えると、高温加熱時の気泡膜の破壊が起きやすくなる。なお、(C)成分のMFRは、JIS K7210に基づき、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)としては、エチレンを50重量%以上含有するものが好ましく、またα−オレフィンとしては、炭素数4〜10のものが好ましく、炭素数4〜8のものがより好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
(A)成分の含有量が10重量%以上の場合、融点の向上効果と伸長特性の両立による高温成形特性を向上することが可能となり、60重量%以下の場合、未溶融物の発生が少なく、均一な樹脂組成物を得ることが可能となり、高い成形生産性を得ることができる。また、熱融着で意匠表皮等の表皮材を積層成型する場合において、良好な積層成形性を得ることができる。
(B)成分の含有量が20重量%以上の場合、エチレン−プロピレンランダム共重合体の高伸長性を得ることができ、成形時の伸び特性が良好となり、70重量%以下の場合、成形時の伸び特性が過大とならず高温成形特性を得ることができる。
(C)成分の含有量が10重量%以上の場合、低温時の衝撃吸収性を得ることが可能となり、低温での脆性破壊が起き難い。また、40重量%以下であると、相対的な組成物の軟質化温度を高く維持でき、高温成形特性を向上することが可能となる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、(A)、(B)、(C)成分以外の樹脂成分を添加することができる。
前記(A)、(B)、(C)成分以外の樹脂成分としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂等のプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレンゴム−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アルキルアクリレ−ト共重合体、又はこれらに無水マレイン酸を共重合した変性共重合体等が挙げられる。中でもエチレン−プロピレンゴム(EPM),エチレン−プロピレンゴム−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−(メタ)アルキルアクリレ−ト共重合体、無水マレイン酸変性共重合体が好ましい。
これらの樹脂成分は、前記樹脂組成物100重量部に対して、通常30重量部以下の割合で配合される。
その他、必要に応じて、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、ハロゲン系、リン系等の難燃剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、充填剤、顔料等の添加剤を添加することができる。
前記(A)、(B)、(C)成分、及びそれら以外の樹脂成分、添加剤は、単独で又は2以上を組合わせて使用することができる。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、前記(A)、(B)、(C)成分を含む樹脂組成物に熱分解型発泡剤を添加し、架橋度が30〜60%になるように架橋した後、加熱発泡させることにより製造することができる。具体的には、以下の工程(1)〜(3)を有する方法により製造することが工業的に有利である。
工程(1):前記(A)、(B)、(C)成分を含む樹脂組成物に熱分解型発泡剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を混練装置に供給して、熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融、混練して、所望形状の発泡性樹脂成形品を製造する工程
工程(2):工程(1)で得られた発泡性樹脂成形品に電離性放射線を照射して、架橋度が30〜60%になるように架橋された発泡性樹脂成形品を製造する工程
工程(3):工程(2)で得られた架橋された発泡性樹脂成形品を、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する工程
工程(1)では、前記(A)、(B)、(C)成分を含む樹脂組成物に熱分解型発泡剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を混練装置に供給して、熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融、混練して、所望形状の発泡性樹脂成形品を製造する。
ここで、必要に応じて、熱分解型発泡剤と共に、架橋助剤、及びその他の添加剤を予め添加することができる。架橋助剤を発泡性樹脂組成物に添加することによって、工程(2)において照射する電離性放射線量を低減して、電離性放射線の照射に伴うポリオレフィン系樹脂分子の切断、劣化を防止することができる。
なお、混練装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、ロール等の汎用混練装置等が挙げられるが、押出機が好ましい。
熱分解型発泡剤としては、前記樹脂組成物の溶融温度より高い分解温度を有するものを使用することができる。例えば、分解温度が160℃〜270℃の有機系又は無機系の化学発泡剤を用いることができる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。
これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組合わせて使用することができる。
熱分解型発泡剤の添加量は、少なすぎると発泡性樹脂成形品が発泡しないことがある一方、多すぎると樹脂発泡体の気泡が破裂することがあるため、前記(A)、(B)、(C)成分を含む樹脂組成物100重量部に対して2〜30重量部が好ましく、4〜25重量部がより好ましい。
また、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めたり調節するものとして、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等の分解温度調節剤を含有させることもできる。分解温度調節剤は、加熱設備や発泡体の表面状態を調整するために、例えば前記熱分解型発泡剤100重量部に対して0.01〜5重量部使用することができる。
架橋助剤としては、多官能モノマーを使用することができる。例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物や、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
これらの架橋助剤は、単独で又は2以上を組合わせて使用することができる。
架橋助剤の添加量は、前記(A)、(B)、(C)成分を含む樹脂組成物100重量部に対して0.2〜20重量部が好ましく、0.3〜15重量部がより好ましく、0.4〜10重量部がより好ましく、0.5〜5重量部が更に好ましい。該添加量が0.2重量部以上であると発泡性樹脂組成物が発泡時に所望する架橋度を得ることが可能となり、20重量部以下であると発泡性樹脂組成物に付与する架橋度の制御が可能となる。
工程(2)では、工程(1)で得られた発泡性樹脂成形品に電離性放射線を照射して、架橋度が30〜60%になるように架橋された発泡性樹脂成形品を製造する。
電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができるが、電子線がより好ましい。発泡性樹脂成形品に対する電離性放射線の照射量は、少なすぎると発泡性樹脂成形品の発泡に必要な剪断粘度を付与することができないことがあり、多すぎると発泡性樹脂成形品の剪断粘度が高くなりすぎて発泡性が低下し、発泡倍率の高い架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得にくくなると共に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の外観性も低下することがある。そのため、電離性放射線の照射量は0.1〜10Mradが好ましく、0.2〜5Mradがより好ましく、0.5〜3Mradが更に好ましい。
電離性放射線の照射量は、前記(A)、(B)、(C)成分の比率や添加剤等の影響があるため、通常は架橋度を測定しながら照射量を調整する。
ここで、発泡性樹脂成形品の架橋度が30%以上の場合、高温時に軟質化し難くなり、耐熱性を確保することが可能となり、60%以下であると、分子構造が適切に架橋固定され、高温時の伸長特性を向上し、成形性を良好とすることができる。
架橋度は、実施例に記載の方法で、溶媒不溶解分を採取し、試験片の重量Aと不溶解分の重量Bを求め、下記式により算出される。
架橋度(重量%)=(B/A)×100
架橋度は、熱分解型発泡剤の添加量や、電離性放射線の照射量等により適宜調整することができる。
工程(3)では、工程(2)で得られた架橋された発泡性樹脂成形品を、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する。
加熱発泡させる温度は、熱分解型発泡剤の分解温度によるが、通常140〜300℃、好ましくは150〜260℃である。
本発明の積層品は、本発明の方法により製造された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を、表皮材と積層一体化してなることを特徴とする。
本発明の積層品は、スタンピング成形法や真空成形法により、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層を、他面に表皮材を積層一体化した積層品とすることもできる。
積層一体化する熱可塑性樹脂としては、超低密度〜高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、及びそれらの共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、表皮材としては、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルとABS樹脂との混合樹脂からなるシート、熱可塑性エラストマーシート、織物、編物、不織布等が挙げられる。
(1)示差走査熱量分析(DSC)による吸熱ピーク(MP)の測定
樹脂試料を示差走査熱量計を用いて220℃まで加熱して完全に溶融させた後、試料を10℃/分にて−50℃まで冷却させ、しかる後、10℃/分の速度で試料を加熱、昇温して吸熱ピークを測定した。なお、示差走査熱量計としては、セイコーインスツル株式会社の商品名「SSC/5200型」等を用いることができる。
(2)MFR(メルトフローレート)の測定
JIS K7210に準拠して測定した。
(3)溶融張力(MT)の測定
降下式フローテスター(キャピログラフ)を使用し、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを引き取り、溶融樹脂が破断する直前における張力値を溶融張力とした。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(重量%)を算出した。
架橋度(重量%)=100×(B/A)
(5)密度の測定
樹脂発泡シートの見掛け密度をJIS K7222に準拠して測定した。
樹脂組成物を押出成形して発泡性樹脂シートを得る際の押出成形性を、以下の基準により評価した。
○:押出成形性が非常に良好であった。
△:押出成形性に若干問題はあったが樹脂シートを得ることができた。
×:押出成形性が悪く樹脂シートが得られなかった。
(7)表面外観の評価
得られた成形品の表面外観を目視観察してゲートマークの凹み、アバタ状の凹凸の有無について、下記基準により評価した。
○:成形品における樹脂発泡シート部分に凹凸や破れは発生していなかった。
×:成形品における樹脂発泡シート部分に凹凸や破れが発生していた。
ND:評価不可(樹脂シートが得られなかった)。
(8)140℃における高温伸びの評価
樹脂組成物の140℃における高温伸びについて、JISK6767に準拠した方法で測定し、以下の基準により評価した。
○:伸び率が400%以上である
×:伸び率が400%未満である。
ND:評価不可(樹脂シートが得られなかった)。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)、アゾジカルボンアミド(発泡剤)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(架橋助剤)、イルガノックス1010(酸化防止剤)を用意し、表1に示した割合で配合し、単軸押出機に供給して、樹脂温度185℃にて溶融混練して厚さ1mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを得た。
得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に加速電圧700kVで電子線を所定の架橋度になるよう、適宜照射量を調整した上で照射することにより発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋させた後、この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを240℃の気相オーブンで発泡させて架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。結果を表1に示す。
・ブロックPP−1:エチレン−プロピレンブロック共重合体
DSCによる吸熱ピーク:164℃
MFR:1.5g/10分、 溶融張力:1.9cN
・ブロックPP−2:エチレン−プロピレンブロック共重合体
DSCによる吸熱ピーク:163℃
MFR:0.7g/10分、 溶融張力:5cN
・ランダムPP−1:エチレン−プロピレンランダム共重合体
DSCによる吸熱ピーク:146℃
MFR:2.4g/10分、 溶融張力:1.5cN
・ランダムPP−2:エチレン−プロピレンランダム共重合体
DSCによる吸熱ピーク:134℃
MFR:7g/10分、 溶融張力:0.6cN
・PE−1:エチレン−1−オクテン共重合体
株式会社プライムポリマー製、商品名:モアテック0238CN
DSCによる吸熱ピーク:119℃、 MFR:2.1g/10分
・PE−2:エチレン−1−オクテン共重合体
株式会社プライムポリマー製、商品名:モアテック1018CN
DSCによる吸熱ピーク:114℃、 MFR:7g/10分
一方、比較例1から、架橋度が30%未満だと樹脂発泡シートに凹凸や破れが発生し、伸びも不十分であることが分かる。
また、エチレン−プロピレンブロック共重合体(A)の含有量が55重量%を超えたり(比較例2〜4)、エチレン−プロピレンブロック共重合体のMFRが1g/10分未満であると(比較例5〜7)、押出成形性が悪く樹脂シートが得られないことが分かる。
さらに、プロピレン−エチレンランダム共重合体の230℃における溶融張力が1cN未満であると(比較例8〜11)、樹脂発泡シート部分に凹凸や破れが発生したり、伸びが不十分になったりすることが分かる。
また、本発明の積層品は、自動車の天井材、ドア、インスツルメントパネル等の車輌用内装材として好適に使用することができる。
Claims (3)
- 樹脂組成物の構成比が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)10〜55重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)25〜70重量%、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)10〜40重量%であるポリオレフィン系樹脂組成物であって、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが155〜165℃であり、JIS K7210によるMFRが1〜10g/10分であり、かつ230℃における溶融張力が1〜5cNであり、
プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)が、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが130〜150℃であり、JIS K7210によるMFRが0.5〜10g/10分であり、かつ230℃における溶融張力が1〜10cNであり、
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)が、JIS K7210によるMFRが1〜20g/10分であり、示差走査熱量分析による吸熱ピークの少なくとも1つが100〜130℃であり、
該樹脂組成物に熱分解型発泡剤を添加し、架橋度が30〜60%になるように架橋した後、加熱発泡させることを特徴とする、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。 - 樹脂組成物が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)30〜50重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)28〜50重量%、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)12〜30重量%を含む、請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の方法により製造された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を、表皮材と積層一体化してなることを特徴とする積層品。
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