JP2002275299A - 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法 - Google Patents

発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法

Info

Publication number
JP2002275299A
JP2002275299A JP2001076649A JP2001076649A JP2002275299A JP 2002275299 A JP2002275299 A JP 2002275299A JP 2001076649 A JP2001076649 A JP 2001076649A JP 2001076649 A JP2001076649 A JP 2001076649A JP 2002275299 A JP2002275299 A JP 2002275299A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyolefin
melting point
temperature
polyolefin resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001076649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3735538B2 (ja
Inventor
Muneaki Tsukada
宗暁 塚田
Futoshi Sasamoto
笹本  太
Masatoshi Okura
正寿 大倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toray Industries Inc
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc, Toyota Motor Corp filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2001076649A priority Critical patent/JP3735538B2/ja
Publication of JP2002275299A publication Critical patent/JP2002275299A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3735538B2 publication Critical patent/JP3735538B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 加熱を伴う各種加工に対し自由度の高い発泡
構造体及び加工方法を選択することのできる発泡能力を
有するポリオレフィン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 100℃以下の結晶融解ピーク(融点T
ma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、融点Tma
よりも高温かつ100℃以上の結晶融解ピーク(融点T
mb)を有するポリオレフィン系樹脂(B)と、熱分解型
化学発泡剤(C)とを、融点Tma以上かつ該化学発泡剤
(C)の分解開始温度未満の温度で溶融混練した後、板
状、チップ状、または粉状末の形状(D)に加工する。
また、本発明の発泡構造体は、上記形状ポリオレフィン
系樹脂組成物を、所定の空間に挿入するか、他の物品と
接合し、かかる状態下で加熱発泡せしめることで得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡能力を有するポ
リオレフィン系樹脂組成物、その製法及び該組成物を用
いた発泡構造体の製造方法に関する。さらに詳しくは建
材用断熱材、産業資材、家具、家庭用電気器具、保温・
保冷箱、自動車内装用材などの緩衝材、充填材、断熱材
などに適用する発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂
組成物であり、所定の空間に挿入するか、他の物品と接
合し、各種加工下で加熱発泡せしめ、発泡構造体とする
ものである。
【0002】
【従来の技術】独立気泡を有する発泡体は、軽量かつ緩
衝性や断熱性などに優れ、幅広い分野に使用されてい
る。一方ポリウレタン注入発泡などは加工性に優れ、成
形と同時に発泡体の供給が可能であり、加工工程を簡素
化でき、様々な形状に密着した発泡構造体を造ることが
できる。しかし、廃棄処理やリサイクルの点では問題が
あった。
【0003】廃棄処理やリサイクルの点で優位であるポ
リオレフィン系樹脂で、ポリウレタンの注入発泡に代替
可能な加工方法として、特開平8−192436号公報
には特定の組み合わせで配合したポリオレフィン系樹脂
をアゾジカルボンアミド系または重炭酸ソーダ系発泡剤
と有機過酸化物系架橋剤及び特定の難燃剤を混合し、パ
ウダースラシュ成形法に限定した成形工法により表皮と
一体的に発泡体を形成した成形工法が開示されている。
しかしながらこの成形工法では均一な気泡形状の独立気
泡発泡体を得ることは難しい。何故なら均一な気泡を形
成するには、加熱により、まず樹脂を軟化させ、次に有
機過酸化物の分解により樹脂を架橋して発泡ガスを保持
する適度な粘度を付与し、熱分解型発泡剤が分解して独
立気泡を形成するという順序が必要であるが、樹脂、発
泡剤、架橋剤などを溶融混練した樹脂組成物の粉末化原
料を用いるものではなく本例の如く単に混合しただけの
組成物では熱源近傍に存在する部分から軟化や分解が開
始するため上記の順序が満たされず、均一な気泡形成
や、高い発泡倍率の発泡体とすることは困難である。ま
た、特公平7−45197号公報ではポリオレフィン樹
脂に熱分解によって気体を発生する化学発泡剤と有機過
酸化物などを混練し、シート化した後に合成樹脂シート
と張り合わせ、しかる後に加熱し発泡させ、直ちに真空
成形とプレス成形を同時に行い成形体とする方法が開示
されている。しかしながら加熱下で縦・横・厚み方向に
同時に膨らむ発泡体を保持することは困難であり、本例
は発泡時の発泡体体積変化が小さい低発泡倍率に適用が
限定される。このため断熱性、緩衝性、軽量性などに劣
るだけではなく、また成形時伸ばされた発泡体が部分的
に薄くなり、このため断熱性や緩衝性が不均一となる。
これを回避するには適用範囲が高低差の少ない形状に限
定されるなどの欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した欠点
を解消し、ポリウレタン樹脂を代替可能で種々の用途で
緩衝材、充填材、断熱材として機能する発泡能力を有す
るポリオレフィン系樹脂組成物とその製造方法、及び該
樹脂組成物を用いた発泡構造体の製造方法を提供するも
のである。該樹脂組成物は耐熱性、リサイクル性などの
特性を有し、種々の形状を有することで加熱を伴う加工
に対し、密着性を高め自由度の高い発泡構造体及び加工
方法を選択することのできる発泡能力を有するポリオレ
フィン系樹脂組成物である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、 ポリオレフィン
系樹脂を主体とする発泡能力を有する樹脂組成物であっ
て、100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tma)を有す
るポリオレフィン系樹脂(A)と、融点Tmaよりも高温
かつ100℃以上の結晶融解ピーク(融点Tmb)を有す
るポリオレフィン系樹脂(B)との少なくとも2種類の
樹脂から構成され、かつ熱分解型化学発泡剤(C)を含
有し、その形状(D)が板状、チップ状、粉状末、また
はこれらの混合体であることを特徴とする発泡能力を有
するポリオレフィン系樹脂組成物を要旨とする。
【0006】また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成
物の製造方法は、100℃以下の結晶融解ピーク(融点
Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、融点T
maより高温かつ100℃以上の結晶融解ピーク(融点T
mb)を有するポリオレフィン系樹脂とを、Tma以上かつ
熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度未満の温度で
溶融し、該化学発泡剤(C)を添加した樹脂組成物を、
後工程で板状、チップ状、または粉状末の形状(D)に
することを特徴とするものである。
【0007】また、本発明の発泡構造体の製造方法は、
上記発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を所
定の空間に挿入するか、他の物品と接合し、かかる状態
下で加熱発泡せしめることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の発泡能力を有するポリオ
レフィン系樹脂組成物に用いるにポリオレフィン系樹脂
とは、オレフィン系炭化水素の重合体または共重合体で
あり、該オレフィン系樹脂は、後加工工程で加熱により
発泡体を形成させるため発泡能力を有している必要があ
る。かかる樹脂は調整的に熱分解型化学発泡剤(C)の
分解を抑制し、かつ得られる発泡体の耐熱性を満足させ
るため融点が100℃以下の結晶融解ピーク(融点Tm
a)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、融点Tma
よりも高温かつ100℃以上の結晶融解ピーク(融点T
mb)を有するポリオレフィン系樹脂(B)との少なくと
も2種類の樹脂から構成されている必要がある。ここで
示す融点とは示差走査熱量分析より得られるDSC曲線
の結晶融解ピーク温度であり、その測定条件は−10℃
から200℃の間で10℃/分の速度で昇温し、5分間
保持した後200℃から−10℃の間で10℃/分の速
度で降温し、更に5分間保持した後−10℃から200
℃の間で10℃/分の速度で昇温したときに、2度目の
昇温で得られたDSC曲線の結晶融解ピーク温度を融点
とするものである。
【0009】ポリオレフィン系樹脂(A)の結晶融解ピ
ーク(融点Tma)が100℃を越えると、発泡能力を有
するポリオレフィン系樹脂の調整時に加える熱が高温化
し、調整時に熱分解型化学発泡剤(C)の分解が避けら
れない。また、かかる低融点の樹脂のみで構成されると
耐熱性の不十分で使用に耐えない。
【0010】融点Tmaが100℃以下の結晶融解ピーク
(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)とし
ては、特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、
エチレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン3元共重合体、エチレン−オクテン共重合体などが
例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わ
せて使用することができる。
【0011】融点Tmaが100℃以下であるポリオレフ
ィン系樹脂(A)は熱分解型化学発泡剤(C)を溶融混
練する際に、該化学発泡剤(C)が熱分解しないよう加
工温度を低くする目的であり、かかる観点から融点Tma
は50〜90℃の範囲であることが好ましく、さらに6
0〜80℃の範囲であることがより好ましい。融点が5
0℃未満であれば該化学発泡剤(C)の分解なく溶融混
練することは可能であるが、加熱加工し発泡体としたと
きに著しく耐熱性が低下するため実用性に乏しい場合が
ある。
【0012】融点Tmaよりも高温かつ100℃以上の結
晶融解ピーク(融点Tmb)を有するポリオレフィン系樹
脂(B)としては、特に限定されないが、例えば低密度
ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜12のα−オレ
フィンとを共重合した直鎖状のポリエチレン、高密度ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが例示
され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて
使用することができる。
【0013】ポリオレフィン系樹脂(B)は発泡能力を
有するポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工し発泡体
としたときに耐熱性を向上させる目的であり、融点Tmb
は100〜170℃の範囲であることが好ましく、さら
に130〜150℃の範囲であることがより好ましい。
融点が100℃未満であれば熱分解型化学発泡剤(C)
の分解なく溶融混練することは可能であるが、加熱加工
し発泡体としたときに著しく耐熱性が低下するため実用
性に乏しい場合がある。また、融点が170℃を越える
場合、溶融混練の際、該化学発泡剤(C)の分解頻度が
著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組成物が得
られない場合がある。
【0014】また、ポリオレフィン系樹脂(A)の19
0℃測定MFRは1〜30g/10分が好ましく、さら
に、2〜10g/10分であることが好ましい。MFR
が1g/10分未満であると溶融混練の際、熱分解型化
学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な
発泡能力を有する組成物が得られない場合があり、一
方、30g/10分を越えると該化学発泡剤(C)の分
解なく溶融混練することは可能であるが、樹脂の溶融粘
度が低いため発泡ガスが逃散し、良好な発泡体とならな
い場合がある。
【0015】ポリオレフィン系樹脂(B)には例えばエ
チレンを主鎖とするポリエチレン系樹脂あるいはその共
重合体などとプロピレンを主鎖とするポリプロピレン系
樹脂あるいはその共重合体などがあり、MFRの測定温
度は主に主鎖を形成する成分や融点に関連している。ポ
リオレフィン系樹脂(B)に使用する融点が100〜1
40℃の範囲であるエチレンを主鎖とするポリエチレン
系樹脂あるいはその共重合体などは190℃で測定した
MFRにおいて1〜30g/10分であることが好まし
く、さらに、2〜10g/10分であることが好まし
い。MFRが1g/10分未満であると溶融混練の際、
熱分解型化学発泡剤(C)の分解頻度が著しく多くなる
ため良好な発泡能力を有する組成物が得られない場合が
あり、一方、30g/10分を越えると該化学発泡剤
(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、樹
脂の溶融粘度が低いため発泡ガスが逃散し、良好な発泡
体とならない場合がある。また、ポリオレフィン系樹脂
(B)に使用する融点が130℃〜160℃の範囲であ
るプロピレンを主鎖とするポリプロピレン系樹脂あるい
はその共重合体などは230℃で測定したMFRにおい
て1〜50g/10分であることが好ましく、さらに、
2〜20g/10分であることが好ましい。MFRが1
g/10分未満であると溶融混練の際、該化学発泡剤
(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力
を有する組成物が得られない場合があり、一方、50g
/10分を越えると該化学発泡剤(C)の分解なく溶融
混練することは可能であるが、樹脂の溶融粘度が低いた
め発泡ガスが逃散し、良好な発泡体とならない場合があ
る。ここで示すMFRとはJIS K−6922−1及
びJIS K−6921−2に準じた測定方法で測定し
たものである。
【0016】発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
成物を構成するポリオレフィン系樹脂(A)と(B)の
配合割合は、 (A):30〜80重量% (B):20〜70重量% であることが好ましく、さらに、 (A):40〜60重量% (B):40〜60重量% であることがより好ましい。
【0017】ポリオレフィン系樹脂(A)が30重量%
未満でポリオレフィン系樹脂(B)が70重量%を越え
る場合、溶融混練の際、熱分解型化学発泡剤(C)の分
解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力を有する組
成物が得られない場合があり、また、ポリオレフィン系
樹脂(A)が80重量%を越えポリオレフィン系樹脂
(B)が20重量%未満である場合、該化学発泡剤
(C)の分解なく溶融混練することは可能であるが、加
熱加工し発泡体としたときに著しく耐熱性が低下するた
め実用性に乏しい場合がある。
【0018】本発明の発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物に使用する熱分解型化学発泡剤(C)は、
該化学発泡剤(C)の分解開始温度が融点Tmaより高
く、かつ分解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成分Tm
b’に対し(Tmb’−30)〜(Tmb’+50)℃の範
囲のものである。
【0019】熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度
は溶融混練で該化学発泡剤(C)を分解させないために
融点Tmaより高くする必要があり、分解開始温度が融点
Tmaより低い温度であれば溶融混練で該化学発泡剤
(C)の分解頻度が著しく多くなるため良好な発泡能力
を有する組成物が得られない場合がある。
【0020】また熱分解型化学発泡剤(C)の分解ピー
ク温度とポリオレフィン系樹脂(B)中の最も高い樹脂
成分の融点Tmb’は、ポリオレフィン系樹脂組成物を加
熱加工し発泡体とするときに、該化学発泡剤(C)の分
解で発生するガスを逃散させることなく有効に気泡内に
保持するため適度なポリオレフィン系樹脂の粘度が必要
であり、該化学発泡剤(C)のピーク温度は該融点Tm
b’に対し(Tmb’−30)〜(Tmb’+50)℃の範
囲が好ましく、さらに(Tmb’−10)〜(Tmb’+3
0)℃の範囲であることがより好ましい。熱分解型化学
発泡剤(C)の分解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成
分Tmb’に対し(Tmb’−30)より低い温度の場合、
ポリオレフィン系樹脂(B)が十分に軟化していない温
度であり、該化学発泡剤(C)の分解で発生するガスを
抑制し、気泡膜内の低強度部分が破壊され不均一な気泡
形状や独立気泡率の低下などにより良好な発泡体となら
ない場合がある。また、熱分解型化学発泡剤(C)の分
解ピーク温度が融点の最も高い樹脂成分Tmb’に対し
(Tmb’+50)より高い温度の場合、ポリオレフィン
系樹脂(B)の溶融粘度低下が著しく、発泡剤分解ガス
圧力より樹脂のガス保持力が弱くなることで発泡ガスが
逃散し、気泡膜が破壊され不均一な気泡形状や独立気泡
率の低下などにより良好な発泡体とならない場合があ
る。
【0021】ここで示す熱分解型化学発泡剤(C)の分
解開始温度や分解ピーク温度といった分解挙動の測定
は、該化学発泡剤(C)の試料1gをポリエチレンフィ
ルムに採取し、これを試験管の中に入れて流動パラフィ
ン10mlを加え、この試験管を流動パラフィン浴中に
浸漬しガスビュレットに接続したガス誘導管に接続す
る。その後、流動パラフィン浴を25から250℃の間
に2℃/分の速度で昇温し、1分ごとにビュレットに導
入されたガス量を測定する。予め測定した該試料を含ま
ない空気の膨張量を差し引いて求めた曲線を熱分解型化
学発泡剤(C)の分解曲線とする。
【0022】これより得られた熱分解型化学発泡剤
(C)の分解曲線で、ガス発生が認められた点を分解開
始点とし、最終的に発生したガス全量の70%以上のガ
ス発生量でガスの増加量が前測定増加量の10%未満と
なった温度を分解ピーク温度とする。
【0023】熱分解型化学発泡剤(C)の種類は、熱を
加えることで分解しガスを放出する化学発泡剤であれば
特に限定するものではなく、例えば有機、無機系の各種
があり、有機系にはアゾジカルボンアミド、N,N´−
ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P.P´−オキ
シベンゼンスルフォニルヒドラジドなど、無機系には重
炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウ
ム、カルシウムアジドなどが例示され、それぞれ単独あ
るいは2種類以上を組み合わせて使用することができ
る。
【0024】熱分解型化学発泡剤(C)の添加量は加熱
加工し発泡体としたときの発泡倍率が2〜40倍の範
囲、より好ましくは5〜20倍の範囲となるように調整
をすると好ましい。発泡倍率が2倍未満であると緩衝
性、断熱性、軽量性などの発泡体の特徴が著しく損なわ
れる場合があり、発泡倍率が40倍を越える場合であれ
ば該化学発泡剤(C)の分解により大量に発生したガス
の圧力が著しく大きくなり樹脂のガス保持力を上回るこ
とで発泡ガスが逃散し良好な発泡体とならない場合があ
る。ここで示す発泡倍率とは、発泡能力を有するポリオ
レフィン系樹脂組成物を加熱加工し発泡体とした上で、
JIS K−6767に準じた測定方法で測定した見掛
け密度の逆数を示す。
【0025】本発明の発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物に、発泡体となる気泡構造を形成させるた
め、樹脂の増粘度が必要であれば架橋を行うことができ
る。架橋方法は、特に限定されないが、電離性放射線を
照射し架橋させる電子線架橋法、有機過酸化物を混練し
発泡時に有機過酸化物を分解し架橋させる化学架橋法、
シラン基を持つポリオレフィン系樹脂を混合し水分と接
触することで架橋させるシラン架橋法が例示され、これ
らの架橋方法はそれぞれ単独あるいは2種類以上を組み
合わせて使用することができる。このときの架橋度は、
0〜20%が好ましいく、さらに0〜10%がより好ま
しく、特に架橋度0が最も好ましい。架橋度が20%を
越えるとポリオレフィン系樹脂組成物を加熱加工した発
泡体や該発泡体と接合する他の物品を含む発泡構造体
を、リサイクルのため熱を加え各種加工を行うとき溶融
不良、未溶融物のための加工不良、外観不良などの問題
が発生する場合がある。電離性放射線を照射するエネル
ギー、有機過酸化物を添加する量、樹脂中に含まれるシ
ラン基の量や水分の接触条件などの諸条件は、架橋度が
0〜20%の範囲であれば特に限定するものではない。
ここで示す架橋度とは細かく裁断した発泡体0.1gを
130℃のテトラリン中で抽出した残量を次式により求
めたものである。
【0026】 架橋度=〔(0.1−抽出残量)/0.1〕×100 (%) 本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物
の形態(D)は、後工程での使用のし易さから該組成物
を板状、チップ状、粉末状の裁断加工を施し、該形状
(D)またはこれらの混合体を加熱加工により発泡体と
するものである。
【0027】本発明の発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物は、必要に応じて例えば熱安定剤、耐候
剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、顔料、流動性改良剤、
離型剤、充填剤、造核剤など公知の各種添加剤を添加し
ても良い。
【0028】本発明の発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物の製造方法は、一旦ポリオレフィン系樹脂
(A)と(B)をポリオレフィン系樹脂(B)の中の最
も高い樹脂成分の融点以上で押出機やミキシングロール
などの汎用の混練装置を用いて溶融状態で混練した原料
を準備し、これに熱分解型化学発泡剤(C)や必要に応
じた架橋助剤、添加剤などを混合し、ポリオレフィン系
樹脂(A)の融点Tma以上かつ該化学発泡剤(C)の分
解開始温度以下の温度範囲で押出機やミキシングロール
などの汎用の混練装置を用いて溶融混練する方法、ある
いはポリオレフィン系樹脂(A)と粉末状のポリオレフ
ィン系樹脂(B)に熱分解型化学発泡剤(C)や必要に
応じた架橋助剤、添加剤などを混合し、ポリオレフィン
系樹脂(A)の融点Tma以上で該化学発泡剤(C)の分
解開始温度以下の温度範囲で押出機やミキシングロール
などの汎用の混練装置を用いて溶融混練する方法が例示
できる。かかる方法により本発明の発泡能力を有するポ
リオレフィン系樹脂組成物をシート状やストランド状な
どの形状の長尺物に成形する。架橋は架橋度が20%以
下であれば必要に応じて行うことができ、例えば電子線
架橋法やシラン架橋法のように発泡前に架橋を行う必要
がある場合はシート状やストランド状などの長尺物で架
橋処理を行った後、単板カット機、ペレタイザー、粉砕
機、などの汎用の裁断機で板状、チップ状、粉末状の形
状(D)に裁断加工する。また、架橋処理を行わない場
合や化学架橋法のような発泡中に架橋を行う場合のよう
に、前工程である架橋処理を必要としない場合は、シー
ト状やストランド状などの長尺物に成形した後、単板カ
ット機、ペレタイザー、粉砕機などの汎用の裁断機で板
状状、チップ状、粉末状の形状(D)に裁断加工する。
かかる方法により形状(D)を板状、チップ状、粉末状
に加工した本発明の発泡能力を有するポリオレフィン系
樹脂組成物を製造する。
【0029】本発明の発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物を発泡させる加熱加工方法は特に限定され
ないが、例えば形状(D)が板状、チップ状、粉末状、
またはこれらの混合体である発泡能力を有するポリオレ
フィン系樹脂組成物を加熱加工する所定の空間や、他の
物品と接合させた状態に設置し、この状態で加熱発泡す
るものである。発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂
組成物の形状(D)を板状、チップ状、粉末状、または
これらの混合体とすることで、所定の空間に挿入した
り、他の物品と接合した場合、該樹脂組成物の充填や該
組成物を加熱加工し発泡体としたときに所定の空間や他
の物品との接合を隙間なく埋めることが可能であり、緩
衝性、断熱性などの性能が飛躍的に向上できる。
【0030】発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
成物を所定の空間に挿入し固定したり他の物品と接合固
定する方法は特に限定されないが、例えば発泡能力を有
するポリオレフィン系樹脂組成物をポリオレフィン系樹
脂(A)の融点Tma以上で熱分解型化学発泡剤(C)の
分解開始温度以下の温度範囲で加熱溶融し融着する方
法、所定の空間や他の物品もしくは発泡能力を有するポ
リオレフィン系樹脂組成物のいずれかまたは複数に粘着
剤を塗布し接着する方法などが例示される。
【0031】所定の空間が成形「金型」であり成形時に
加熱発泡する加工方法としては特に限定されないが、雄
雌の両型を有し、冷却または加熱した金型内に形状
(D)が板状、チップ状、粉末状またはこれらの混合体
である発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を
融着や接着などの方法で分散充填させ、密閉状態で金型
を加熱し発泡充満させた後金型を冷却する成形方法、別
に設けた熱源で発泡させた後、冷却した金型でプレス成
形する成形方法などが例示される。
【0032】加熱する加熱源については特に限定されな
いが、熱風、赤外やセラミックなどのラジエーションヒ
ータ、加圧蒸気、電熱ヒーターなどが例示される。
【0033】本発明の発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物の加熱発泡させる加工温度は、均一な気泡
形状で独立気泡率が高く目的の発泡倍率を得るために必
要であり、ポリオレフィン系樹脂(B)の中で融点が最
も高い樹脂成分Tmb’に対し(Tmb’−10)〜(Tm
b’+70)℃の温度範囲が好ましく、さらに(Tmb’
+10)〜(Tmb’+50)℃の温度範囲がより好まし
い。加熱発泡させる加工温度が(Tmb’−10)より低
い温度の場合、ポリオレフィン系樹脂(B)が十分に軟
化していない温度であり、熱分解型化学発泡剤(C)の
分解で発生するガスを抑制し、低強度部分の気泡膜が破
壊され不均一な気泡形状や独立気泡率の低下などにより
良好な発泡体とならない場合がある。また、分解ピーク
温度が融点の最も高いTmb’に対し(Tmb’+70)℃
より高い温度の場合、ポリオレフィン系樹脂(B)の粘
度低下が著しく、また急激に該化学発泡剤(C)が分解
するため、ガス圧力より樹脂のガス保持力が弱くり発泡
ガスが逃散し、気泡膜が破壊され不均一な気泡形状や独
立気泡率の低下などにより良好な発泡体とならない場合
がある。
【0034】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれ
らによって制限されるものではない。
【0035】本発明における測定法、評価基準は次の通
りである。 1.組成物混練可否 熱分解型化学発泡剤(C)が分解しない温度で溶融混練
が可能であるか判定する。樹脂が軟化し、必要量の該化
学発泡剤(C)が分解なく溶融混練できるものを合格、
顕著な該化学発泡剤(C)の分解や必要量の該化学発泡
剤(C)が溶融混練できない場合不合格と判定する。 2.組成物外観 溶融混練した発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
成物をプレス機で板状に加圧成形加工したシートの歪
み、表面の平面性、発泡分解ガスの有無を目視判定す
る。シートに歪みがなく、表面が平滑で、熱分解型化学
発泡剤(C)の分解ガスによる気泡混入のないものを合
格(◎)、多少の不備が見られるが発泡体に加工可能で
あるものを合格(○)、顕著な不備が見られ発泡体に加
工不可能であるものを不合格(×)と判定する。 3.発泡体外観 板状、チップ状、粉末状の発泡能力を有するポリオレフ
ィン系樹脂組成物を加熱発泡加工した発泡体の歪み、表
面の平面性、気泡の均一性を目視判定する。発泡体の歪
み、表面の化学発泡剤分解ガス逃散孔、発泡ムラによる
凹凸がなく、均一な気泡形状を保ち、化学発泡剤未分解
物の影響による黄色着色の少ないものを合格(◎)、多
少の不備が見られるが緩衝性、断熱性、軽量性などの発
泡体基本性能を損なわないものを合格(○)、前記発泡
体の基本特性を損なうような不備があるものを不合格
(×)と判定する。 4.耐熱温度 板状、チップ状、粉末状の発泡能力を有するポリオレフ
ィン系樹脂組成物を加熱発泡加工した発泡体から15×
15cmの正方形サンプルを切り出し、その中心の厚み
Z0cmの測定及び各辺に平行となる各々長さ10cm
の直交した標線を書き、このサンプルを熱風循環オ−ブ
ンに入れ22時間加熱後、取出し、室温になるまで自然
冷却する。この加熱処理サンプルの厚みZ1cm及び各
縦横の標線長さL1、L2cmを測定し、下記の式に従
って加熱体積変化率を算出する。
【0036】加熱体積変化率(%)=[{(10×10
×Z0)−(L1×L2×Z1)}/(10×10×Z
0)]×100 (%) 10℃間隔に設定した各熱風温度の加熱体積変化を測定
し、±10%以下となる最高温度を耐熱温度とし、実用
上の耐熱温度として80℃以下を不合格(×)、80℃
以上を合格(○)、特に耐熱性に優れる100℃以上を
合格(◎)と判定する。 5.総合評価 組成物混練加工が可能であり、組成物や発泡体の外観に
優れ、耐熱温度が100℃以上あるものを総合評価で合
格(◎)、組成物混練加工が可能であるが、組成物や発
泡体の外観に使用上問題とならない多少の不備点がみら
れる、または耐熱温度が80℃以上100℃未満である
判定のいずれか1つでも該当する項目のあるものを合格
(○)、組成物混練加工ができないものや、組成物や発
泡体の外観に顕著な不備が見られる、または耐熱温度が
80℃未満未満である判定のいずれか1つでも該当する
項目のあるものを不合格(×)と判定する。 [実施例1]ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g
/10分)60重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)と
してエチレン−プロピレンランダム共重合体(融点14
3℃、MFR2.0g/10分)40重量部、熱安定剤
として“Irganox1010”を0.3重量部を2
10℃に設定した40mmφ単軸押出機で溶融混練した
後、押出溶融混練した樹脂に熱分解型化学発泡剤(C)
としてアゾジカルボンアミド(分解開始温度126℃、
分解ピーク温度143℃)を加え、110℃に設定した
ミキシングロールで溶融混練した。この溶融混練した組
成物を110℃に設定したプレス加工機で厚さ2mmの
シートに作成した。このシートに加速電圧800kVの
電子線を2Mrad照射し架橋させた。このシートは該
化学発泡剤(C)の分解による気泡混入は認められず形
状(D)が板状である良好な発泡能力を有するポリオレ
フィン系樹脂組成物を得た。形状(D)が板状である該
組成物を160℃の熱風オーブン中で発泡した加工発泡
体と、このシートを約2mm角に裁断加工し、形状
(D)をチップ状とした該組成物及び粉砕機で直径2m
m以下に粉砕加工し、形状(D)を粉末状とした該組成
物のそれぞれを型枠内に入れ160℃に設定したプレス
加工機で加熱発泡成形した加工発泡体の3種類を得た。
該組成物の溶融混練状態、シート状態、及び加熱加工発
泡体の発泡倍率、気泡状態、耐熱温度などを評価した結
果を表1に示す。いずれの評価項目においても合格であ
った。 [実施例2]ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g
/10分)50重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)と
して低密度ポリエチレン(融点113℃、MFR3.0
g/10分)30重量部とエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体(融点143℃、MFR2.0g/10分)
20重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有
するポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を
得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表1に示す。い
ずれの評価項目においても合格であった。 [実施例3]ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g
/10分)50重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)と
して低密度ポリエチレン(融点113℃、MFR3.0
g/10分)50重量部としたほかは実施例1と同様に
発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその
加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価結果を表
1に示す。耐熱性は実用温度レベルであるがいずれの評
価項目においても合格であった。 [実施例4]電子線照射を行わないで無架橋としたほか
は実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系
樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発
泡体の評価結果を表1に示す。いずれの評価項目におい
ても合格であった。 [実施例5]ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g
/10分)90重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)と
してエチレン−プロピレンランダム共重合体(融点14
3℃、MFR2.0g/10分)10重量部としたほか
は実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系
樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発
泡体の評価結果を表2に示す。耐熱性は実用温度レベル
であるがいずれの評価項目においても合格であった。 [実施例6]ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g
/10分)60重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)と
してポリプロピレン樹脂(融点166℃、MFR3.1
g/10分)40重量部、熱分解型化学発泡剤(C)と
してアゾジカルボンアミドとN,N´−ジニトロソペン
タメチレンテトラミンの混合物(分解開始温度113
℃、分解ピーク温度122℃)12重量部としたほかは
実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹
脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡
体の評価結果を表2に示す。組成物に一部気泡の混入
が、加工発泡体に一部粗大気泡が認められたが発泡体基
本性能を害するものではなく、いずれの評価項目におい
ても合格であった。 [実施例7]熱分解型化学発泡剤(C)としてアゾジカ
ルボンアミド(分解開始温度183℃、分解ピーク温度
205℃)7重量部、発泡体に加工した温度を210℃
としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオ
レフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組
成物及び発泡体の評価結果を表2に示す。加工発泡体表
面に黄色の着色が認められたが発泡体基本性能を害する
ものではなく、いずれの評価項目においても合格であっ
た。 [実施例8]発泡体に加工した温度を145℃としたほ
かは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び
発泡体の評価結果を表2に示す。加工発泡体表面に黄色
の着色が認められたが発泡体基本性能を害するものでは
なく、いずれの評価項目においても合格であった。 [実施例9]発泡体に加工した温度を240℃としたほ
かは実施例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン
系樹脂組成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び
発泡体の評価結果を表2に示す。板状の組成物を加工し
た発泡体において表面にガス逃散孔が認められたが発泡
体基本性能を害するものではなく、いずれの評価項目に
おいても合格であった。 [実施例10]長さ50mm、幅25mm、厚さ5mm
の板状に加工した形状(D)の実施例1に示した発泡能
力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を、片面に粘着
加工し、図1示す長さ75mm、幅35mm、厚さ7m
mの角筒状金属製枠の内側中央部に接着した。この複合
物を160℃に設定した熱風オーブンで加熱発泡成形
し、図2に示す発泡構造体とした。この発泡構造体は、
金属製枠内部が隙間なく発泡体で満たされ、良好なもの
であった。 [実施例11]実施例1に示した発泡能力を有するポリ
オレフィン系樹脂組成物の形状(D)を粒径1mmの粉
末状に粉砕加工し、図3に示す構成で厚さ6mmの金枠
内に表面をプライマー加工した厚さ0.5mmのオレフ
ィン系熱可塑性樹脂製表皮材と、表面をプライマー加工
した厚さ2mmのポリプロピレン樹脂製基材の中間に2
mm厚さに該組成物粉末を敷いた。この複合物を160
℃に設定したプレス機で加熱発泡成形し、図4に示す発
泡構造体とした。この発泡構造体は、表皮、発泡体、基
材が一体構造となり、外観の優れた良好なものであっ
た。 [比較例1]ポリオレフィン系樹脂(B)を加えず、ポ
リオレフィン系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル
共重合体(融点76℃、MFR4.0g/10分)10
0重量部としたほかは実施例1と同様に発泡能力を有す
るポリオレフィン系樹脂組成物及びその加工発泡体を得
た。該組成物及び発泡体の評価結果を表3に示す。耐熱
温度が80℃未満であり不合格であった。 [比較例2]ポリオレフィン系樹脂(A)としてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(融点76℃、MFR4.0g
/10分)60重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)と
してエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点90℃、MF
R3.0g/10分)40重量部としたほかは実施例1
と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物
及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の評価
結果を表3に示す。耐熱温度が80℃未満であり不合格
であった。 [比較例3]ポリオレフィン系樹脂(A)として低密度
ポリエチレン(融点113℃、MFR3.0g/10
分)60重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)としてエ
チレン−プロピレンランダム共重合体(融点143℃、
MFR2.0g/10分)40重量部としたほかは実施
例1と同様に発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
成物及びその加工発泡体を得た。該組成物及び発泡体の
評価結果を表3に示す。樹脂溶融不足により熱分解型化
学発泡剤(C)が混練できなかった。混練温度を樹脂が
混練可能な溶融状態となる130℃に上昇したところ、
顕著な該発泡剤(C)の分解が認められた。この結果該
組成物は得られなかった。
【0037】以上述べたように、実施例に示した本発明
による組成物とその加熱加工発泡体は、2つ以上の特定
範囲の融点を有するポリオレフィン系樹脂を、限られた
混合比率で配合し、特定範囲の分解挙動を示す熱分解型
化学発泡剤を溶融混練し、無架橋または特定範囲で架橋
させることで発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
成物を得ることができた。特定形状に加工した該組成物
を特定範囲温度で加熱発泡加工した発泡体は、形状の整
った高い耐熱性を有し、再溶融加工によるリサイクル性
を有するものである。
【0038】以上の実施例および比較例をまとめたのが
次の表1〜3である。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物によると、耐熱性、
リサイクル性などの特性を有した発泡能力を有するポリ
オレフィン系樹脂組成物が得られる。また、本発明の製
造方法によると、上記樹脂組成物を所定の空間に挿入す
るか、他の物品と接合し、各種加工下で加熱発泡せし
め、発泡構造体とするとき、加熱を伴う各種加工に対し
自由度の高い発泡構造体及び加工方法を選択することの
できる発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を
容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属製の金枠に、本発明のシート形状の発泡能
力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を接着した斜視
図である。
【図2】図1に示した構成物を熱風オーブン中で加熱発
泡成形した発泡構造体の斜視図である。
【図3】金枠内に表面をプライマー加工したオレフィン
系熱可塑性樹脂製表皮材と、表面をプライマー加工した
ポリプロピレン樹脂製基材の中間に粉末状に粉砕加工し
た本発明のシート形状の発泡能力を有するポリオレフィ
ン系樹脂組成物を敷いた構成の断面図である。
【図4】図3に示した構成物をプレス機で加熱発泡成形
した発泡構造体の断面図である。
【符号の説明】
1 角筒状金属製枠 2 板状の発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成
物 3 加熱発泡成形した発泡体 4 金枠 5 表皮材 6 粉末の状発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
成物 7 基材 8 プライマー加工 9 加熱発泡成形した発泡体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹本 太 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 大倉 正寿 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4F074 AA20 AA22 AA24 AA25 AA98 BA04 BA06 BA08 BA13 BA16 BA18 BB02 BB25 CA23 CC04X CC04Y DA02 DA04 4J002 BB02W BB03X BB05W BB05X BB06W BB07W BB12X BB15W BB15X BL02W DE216 DE226 DF006 EQ016 ES006 EV216 FD326 GC00 GL00 GN00 GQ00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂を主体とする発泡
    能力を有する樹脂組成物であって、100℃以下の結晶
    融解ピーク(融点Tma)を有するポリオレフィン系樹脂
    (A)と、融点Tmaよりも高温かつ100℃以上の結晶
    融解ピーク(融点Tmb)を有するポリオレフィン系樹脂
    (B)との少なくとも2種類の樹脂から構成され、か
    つ、熱分解型化学発泡剤(C)を含有し、その形状
    (D)が板状、チップ状、粉状末、またはこれらの混合
    体であることを特徴とする発泡能力を有するポリオレフ
    ィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 融点Tmaが50〜90℃、融点Tmbが1
    00〜170℃である請求項1記載の発泡能力を有する
    ポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂組成物に含有する
    熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度が、融点Tma
    より高く、かつ、該化学発泡剤(C)の分解ピーク温度
    が融点の最も高い樹脂成分(Tmb’)に対し、(Tmb’
    −30)〜(Tmb’+50)℃の範囲内である請求項1
    または2に記載の発泡能力を有するポリオレフィン系樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 架橋度が0〜20%である請求項1〜3
    のいずれかに記載の発泡能力を有するポリオレフィン系
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 100℃以下の結晶融解ピーク(融点T
    ma)を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、融点Tma
    より高温かつ100℃以上の結晶融解ピーク(融点Tm
    b)を有するポリオレフィン系樹脂とを、Tma以上かつ
    熱分解型化学発泡剤(C)の分解開始温度未満の温度で
    溶融し、該化学発泡剤(C)を添加した樹脂組成物を、
    後工程で板状、チップ状、または粉状末の形状(D)に
    することを特徴とする発泡能力を有するポリオレフィン
    系樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡能
    力を有するポリオレフィン系樹脂組成物を所定の空間に
    挿入するか、他の物品と接合し、かかる状態下で加熱発
    泡せしめることを特徴とする発泡構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】 所定の空間が成形金型であり、成形時に
    加熱発泡せしめることを特徴とする請求項6記載の発泡
    構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂
    組成物が請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィ
    ン系樹脂組成物である請求項6または7記載の発泡構造
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組
    成物を加熱発泡させる加工温度が、熱分解型化学発泡剤
    (C)の分解ピーク温度以上で、かつ、融点の最も高い
    樹脂成分(Tmb’)に対し(Tmb’−10)〜(Tmb’
    +70)℃の範囲である請求項6〜8のいずれかに記載
    の発泡構造体の製造方法。
JP2001076649A 2001-03-16 2001-03-16 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法 Expired - Fee Related JP3735538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001076649A JP3735538B2 (ja) 2001-03-16 2001-03-16 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001076649A JP3735538B2 (ja) 2001-03-16 2001-03-16 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002275299A true JP2002275299A (ja) 2002-09-25
JP3735538B2 JP3735538B2 (ja) 2006-01-18

Family

ID=18933549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001076649A Expired - Fee Related JP3735538B2 (ja) 2001-03-16 2001-03-16 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3735538B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054727A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Kaneka Corporation ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子および型内発泡成形体
JP2006249350A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Mitsui Chemicals Inc 発泡成形用樹脂組成物、およびこれから得られる発泡成形体
JP2009523848A (ja) * 2005-08-08 2009-06-25 セキスイ アルヴェオ アーゲー 高耐熱性を有する軟質ポリオレフィン
JP2010111832A (ja) * 2008-11-10 2010-05-20 Mitsubishi Plastics Inc 多孔性フィルム、それを利用したリチウム電池用セパレータ、および電池
WO2010082562A1 (ja) * 2009-01-16 2010-07-22 日東電工株式会社 架橋型樹脂発泡体、及びその製造方法
JP2010163562A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Nitto Denko Corp 架橋型樹脂発泡体、及びその製造方法
JP2010163563A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Nitto Denko Corp 架橋型樹脂発泡体、及びその製造方法
JP2018527440A (ja) * 2015-09-02 2018-09-20 シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト 熱膨張性発泡材

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054727A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Kaneka Corporation ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子および型内発泡成形体
JP5041812B2 (ja) * 2004-11-22 2012-10-03 株式会社カネカ ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子及び型内発泡成形体
US8084509B2 (en) 2004-11-22 2011-12-27 Kaneka Corporation Pre-expanded particulate polypropylene-based resin and in-mold expansion molded article
JP2006249350A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Mitsui Chemicals Inc 発泡成形用樹脂組成物、およびこれから得られる発泡成形体
JP2009523848A (ja) * 2005-08-08 2009-06-25 セキスイ アルヴェオ アーゲー 高耐熱性を有する軟質ポリオレフィン
JP2010111832A (ja) * 2008-11-10 2010-05-20 Mitsubishi Plastics Inc 多孔性フィルム、それを利用したリチウム電池用セパレータ、および電池
JP2010163563A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Nitto Denko Corp 架橋型樹脂発泡体、及びその製造方法
JP2010163562A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Nitto Denko Corp 架橋型樹脂発泡体、及びその製造方法
WO2010082562A1 (ja) * 2009-01-16 2010-07-22 日東電工株式会社 架橋型樹脂発泡体、及びその製造方法
JP2018527440A (ja) * 2015-09-02 2018-09-20 シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト 熱膨張性発泡材
EP3344689B1 (en) 2015-09-02 2020-07-22 Sika Technology AG Heat expandable foam
US10899902B2 (en) 2015-09-02 2021-01-26 Sika Technology Ag Heat expandable foam
JP7007260B2 (ja) 2015-09-02 2022-01-24 シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト 熱膨張性発泡材

Also Published As

Publication number Publication date
JP3735538B2 (ja) 2006-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5475991B2 (ja) 高耐熱性を有する軟質ポリオレフィン
EP1188785B1 (en) Polyolefin foam and polyolefin resin composition
JP2002275299A (ja) 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その製造方法及び該組成物を用いた発泡構造体の製造方法
JP4157206B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JPWO2007004524A1 (ja) 断熱建材用発泡ボードおよびその製造方法
JP2755109B2 (ja) 連続シート状難燃性ポリプロピレン系架橋発泡体
US20040122120A1 (en) Crosslinked polyolefin-based resin foam, process for producing the same, and interior material for automobiles
JP2000001561A (ja) ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体
JP5905660B2 (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及び該樹脂発泡体を用いた積層品
JP3308724B2 (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2002146075A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体およびポリオレフィン系樹脂組成物
JPH07145259A (ja) 均一な気泡を有する架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法
JP3311106B2 (ja) 架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法
JP3308696B2 (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2003105117A (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2663559B2 (ja) 放射線架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体およびその製造方法
JP4027730B2 (ja) 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物およびその製造方法
JP2003171507A (ja) 発泡能力を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその製造方法
JP3982310B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびその製造方法
JP3152719B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体
JPH1060145A (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
JP2004026937A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびその製造方法
JPH11236463A (ja) ポリプロピレン系樹脂架橋発泡体
JP2000246850A (ja) 積層シート
JPH08104765A (ja) 成形性に優れた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees