JP2012080729A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】コギングトルクとトルクリップルの低減、及びトルクの増加を同時に実現させることのできる回転電機を得る。
【解決手段】ロータ2と、ロータ2を囲繞するようにロータ2に同軸に配設されるステータコア6Aを有するステータ5とを備え、ステータコア6Aは、ロータ2に同軸に配設されるヨーク7と、それぞれ、ヨーク7の軸方向の両端間に突設されるティース基部8a、及びティース基部8aの先端から両側に突出されるティース鍔部8b,8cにより構成され、ヨーク7の周方向に互いに間隔をあけて配列される複数のティース8とを備え、隣接するティース8間に形成されるスロット10の開口がヨーク7の軸方向に対してスキューされた電動機1Aにおいて、ティース鍔部8b,8cは、ティース基部8aとの連結部から先端に向かって幅が狭くなっている。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、電動機などの回転電機に関する。
電動機として、ロータ、及びロータを囲繞して配置されるステータを有するものが広く知られている。
この種の電動機に用いられる従来のステータとして、縁部同士が回転自在な連結手段を介して環状に連結される複数のヨーク部、及び各ヨーク部の連結方向の中央部からそれぞれ突出し、先端の両側に積層方向に順次互いに突出長さが同じ長さだけ増減するように磁極部が突出して形成される磁極ティースを有する複数の環状磁性部材を、順次積層することにより相隣なる磁極部間の隙間が積層方向に対してスキューされるように形成したコア部材と、コア部材の各磁極ティース部に巻回される複数のコイル部材とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来のステータを用いた回転電機の作製は、ロータの外周面と磁極ティースとの間に所定の隙間が形成されるように、ロータと従来のステータとを同軸に配置することで行われる。
以上のような構成の電動機では、隣接する磁極部間の隙間が環状磁性部材の積層方向(コア部材の軸方向)に対してスキューされているので、始動時のトルクリップルや運転中のコギングトルクの低減効果が得られる。
特許第4121008号明細書
しかしながら、従来のステータのコア部材において、磁極部は、基端部から先端部に至るまで同じ幅を保って延在されている。
ここで、磁極部の幅が広いコア部材を用いた回転電機では、漏れ磁束の増加によりトルクが低減し、磁極部の幅が狭いコア部材を用いた回転電機では、磁極部に磁気飽和が発生してコギングトルクとトルクリップルが増加する。
このため、従来のステータを用いた電動機では、コギングトルクとトルクリップルの低減、及びトルクの増加の両方を実現することができない。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、コギングトルクとトルクリップルの低減及びトルクの増加を同時に実現させることのできる回転電機を得ることを目的とする。
この発明は、ロータと、ロータを囲繞するようにロータに同軸に配設されるステータコアを有するステータとを備え、ステータコアは、ロータに同軸に配設されるヨークと、それぞれ、ヨークの軸方向の両端間に突設されるティース基部、及びティース基部の先端から両側に突出されるティース鍔部により構成され、ヨークの周方向に互いに間隔をあけて配列される複数のティースとを備え、隣接するティース間に形成されるスロットの開口がヨークの軸方向に対してスキューされた回転電機であって、ティース鍔部は、ティース基部とティース鍔部の連結部から先端に向かって幅が狭くなっている。
この発明の回転電機によれば、ティース鍔部の幅が、ティース基部とティース鍔部の連結部からティース鍔部の先端に向かって狭くなっているので、コギングトルクとトルクリップルの低減、及びトルクの増加の両方を実現することができる。
この発明の実施の形態1に係る電動機の上面図である。 この発明の実施の形態1に係る電動機を構成するステータコアの斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る電動機を構成するステータの要部断面図である。 図3のA部拡大図である。 この発明の実施の形態2に係る電動機を構成するステータの要部拡大図である。 この発明の実施の形態1及び2に係る電動機のコギングトルクとロータの回転角度との間の関係を測定した結果を示す図である。 この発明の実施の形態1及び2に係る電動機で測定されたコギングトルクの分析結果を示す図であり、ロータの工作誤差によるコギングトルクの成分、極数・スロット数に起因するコギングトルクの成分、及びコギングトルクの最大振幅を示している。 この発明の実施の形態3に係る電動機を構成するステータの要部拡大断面図であり、ヨークの軸方向の一端側近傍に位置するステータの部位の断面を示している。 この発明の実施の形態4に係る電動機のスロット開口のヨークの軸方向に対するスキュー角度とスキュー係数の関係を示す図である。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電動機の上面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る電動機を構成するステータコアの斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る電動機を構成するステータの要部断面図、図4は図3のA部拡大図である。
図1において、回転電機としての電動機1Aは、図示しない回転軸に一体に取り付けられるロータ2と、ロータ2を囲繞して配設されるステータ5とを備えている。
ロータ2は、円柱または円筒状のロータコア3と、ロータコア3の外周面に周方向に所定のピッチで取り付けられた複数の永久磁石4とを備えている。ここでは、永久磁石4の数、即ちロータ2の界磁極の数(極数)は10である。永久磁石4には、フェライト系磁石、ネオジ磁石、及びサマリウムコバルト系磁石等が用いられる。
ステータ5は、ロータ2を囲繞するようにロータ2に同軸に配設されるステータコア6Aと、ステータコア6Aに巻回されるステータ巻線12とを備えている。
ステータコア6Aは、図2〜図4にも示されるように、環状のヨーク7と、ヨーク7の内周面から周方向に互いに間隔をあけて突設される複数のティース8とを備えている。ここでは、ティース8の数は12である。また、複数のティース8は、両端間を接続するように、ヨーク7の軸方向の一端から他端に至るまで連続している。
各ティース8は、ヨーク7の内周面から、ヨーク7の周方向に所定の幅で突出するティース基部8a、及びティース基部8aの先端部の幅方向の両側から概略ヨーク7の周方向に突出してヨーク7と相対するティース鍔部8b,8cを有している。
そして、スロット10が、隣接するティース8とヨーク7とで区画される空間により形成される。さらに詳しくは、スロット10が、隣接するティース基部8a、当該ティース基部8aから互いに相対する方向に延出されるティース鍔部8b,8c、及び隣接するティース基部8aの間に位置するヨーク7の部位で区画される空間により形成される。このとき、スロット開口10aは、ヨーク7の軸方向に対して所定角度でスキューされるように、ティース鍔部8b,8cのティース基部8aからの突出量が、ヨーク7の軸方向の一端から他端に向かうにつれて漸次変化している。また、スロット開口10aは、ヨーク7の軸方向(ステータコア6Aの軸方向)の一端から他端に至るまで、ヨーク7の軸方向に対する角度が同じ角度となるように延在されている。
そして、ヨーク7の軸方向に直交する断面において、ティース鍔部8b,8cは、図3及び図4に示されるように、ティース基部8aとの連結部から先端に向かって幅が狭くなるように形成されている。
なお、ここでは、ティース鍔部8b,8cは、ティース基部8aとの連結部から先端近傍に至る部位まで同じ幅を有し、ティース鍔部8b,8cの先端側は、ヨーク7の径方向に関し、ヨーク7側(外周側)の部位から内周側の部位に向かってティース基部8aからの突出量が大きくなるように形成されている。これにより、隣接するティース鍔部8b,8cの外周側の間隔Laは、内周側の間隔Lbより大きくなる。
以上の形状を有するステータコア6Aは、図2に示されるように、珪素鋼からなる板状の複数の環状磁性部材15を、それぞれの厚み方向に積層した積層体として構成されている。
環状磁性部材15のそれぞれは、リング平板状の分割ヨーク16、及び分割ヨーク16の内周面に周方向に互いに間隔をあけて突出される12個の分割ティース17により構成される。
分割ティース17のそれぞれは、分割ヨーク16の内周面から突出される分割ティース基部17a、及び分割ティース基部17aの先端の両側に概略分割ヨーク16の周方向に突出される分割ティース鍔部17b,17cを有する。なお、厚み方向に直交する環状磁性部材15の断面形状は、当然ながらステータコア6Aの断面形状と一致する。
また、分割ティース基部17aの先端面、及び分割ティース鍔部17b,17cの内周面(分割ヨーク16と逆側の面)は、ロータコア3の半径より若干大きな曲率半径を有する同一曲面上に位置している。そして、分割ヨーク16の軸心から分割ティース基部17aの先端面と分割ティース鍔部17b,17cの内周面までの距離は、ロータコア3の軸心から永久磁石4の外周面までの距離より僅かに長く設定されている。
また、分割ティース鍔部17b,17cの分割ティース基部17aからの突出長さは、環状磁性部材15ごとに異なっている。このとき、分割ティース鍔部17b,17cの分割ティース基部17aからの突出長さは、積層される環状磁性部材15の順に、漸次同じ長さだけ増減させた長さに設定されている。
そして、以上のような複数の環状磁性部材15を同軸に積層することで、積層された複数の環状磁性部材15の分割ヨーク16及び分割ティース17により、ヨーク7及びティース8が形成され、スロット開口10aが環状磁性部材15の積層方向、言い換えればヨーク7の軸方向に対してスキューされたステータコア6Aが得られる。
また、ステータ巻線12は、ティース8と同じ数だけ用意され、それぞれ各ティース8のティース基部8aに巻回されている。即ち、ステータ巻線12は、磁極集中巻方式でティース8に設けられている。
そして、以上のようなステータ5を、ロータ2を囲繞するようにロータ2に同軸に回転自在に配設することで、永久磁石4とティース基部8a及びティース鍔部8b,8cとの間に所定のエアギャップが形成された電動機1Aが得られる。また、ステータ巻線12に電流を流すことにより、周方向に隣り合う永久磁石4が、互いに逆極性に着磁されるようになっており、ステータ巻線12の電流制御により、ロータ2のトルクを所望の大きさに制御可能となる。
この実施の形態1の電動機1Aによれば、ステータコア6Aのティース鍔部8b,8cの幅は、ティース基部8aとティース鍔部8b,8cの連結部からティース鍔部8b,8cの先端に向かって狭くなっている。このため、ティース鍔部8b,8cの基端部を太くして磁気飽和を緩和させつつ、ティース鍔部8b,8cの先端部を狭くして漏れ磁束を減少させることができる。つまり、電動機1Aでは、コギングトルクとトルクリップルの低減、及びトルクの増加の両方を実現することができる。
なお、この実施の形態1では、スロット開口10aは、ヨーク7の軸方向の一端から他端に至るまで、ヨーク7の軸方向に対する角度が同じ角度をとるようにスキューされるものと説明した。しかしながら、スロット開口10aのヨーク7の軸方向に対するスキューのさせ方はこのものに限定されない。例えば、スロット開口10aが、ヨーク7の軸方向の一端から他端に向かうにつれて、三角波状や正弦波状にジグザグになるように形成して、スロット開口10aをヨーク7の軸方向に対してスキューさせてもよい。つまり、スロット開口10aは、ヨーク7に軸方向の一端から他端に向かってヨーク7の軸方向に対しする角度が変化するようにスキューさせてもよい。スロット開口10aをジグザグに形成することで、例えば、ロータ2の製造誤差などにより、ヨーク7の軸方向に関して、軸方向のいずれかに偏ったスラスト力が発生しても、スラスト力を低減させることができる。
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2に係る電動機を構成するステータの要部拡大図である。
なお、図5において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図5において、電動機1Bを構成するステータコア6Bのティース8は、ティース鍔部8b,8cに代え、ティース鍔部8d,8eを有している。
ティース鍔部8d,8eは、その基端側の部位をティース基部8aとの連結部に向かって漸次幅が広くなるように作製されている他は、ティース鍔部8b,8cと同様に形成されている。つまり、電動機1Aでは、ティース鍔部8b,8cは、ティース基部8aとの連結部(基端部)から先端近傍に至る部位まで、同じ幅に形成されていたが、電動機1Bでは、ティース鍔部8d,8eの基端部側が、ティース鍔部8d,8eの中間部に比べて幅広になっている。
他の電動機1Bの構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態2の電動機1Bによれば、電動機1Aと同様、ティース鍔部8d,8eの幅が、ティース基部8aとティース鍔部8b,8cの連結部からティース鍔部8b,8cの先端に向かって狭くなっている。
従って、ステータコア6Bを用いて作製した電動機1Bにおいても、電動機1Aと同様、コギングトルクとトルクリップルの低減、及びトルクの増加の両方を実現することができる。
さらに、電動機1Bでは、ティース鍔部8d,8eの基端側が、ティース基部8aとの連結部に向かって、漸次幅が広くなるように形成されている。これにより、コギングトルクを一層低減させることができる。
次いで、電動機1A,1Bのコギングトルクを測定した結果と、その分析結果について説明する。
図6はこの発明の実施の形態1及び2に係る電動機のコギングトルクとロータの回転角度との間の関係を測定した結果を示す図、図7はこの発明の実施の形態1及び2に係る電動機で測定されたコギングトルクの分析結果を示す図であり、ロータの工作誤差によるコギングトルクの成分、極数・スロット数に起因するコギングトルクの成分、及びコギングトルクの最大振幅を示している。
図6において横軸はロータ2の回転角度であり、縦軸はコギングトルクの大きさである。
なお、コギングトルクの大きさは、ロータ2を一回転させたときのコギングトルクの最大値を1として規格化した規格値として示している。
ここで、電動機1A,1Bのステータコア6A,6Bのスロット10の数は12である。このような場合、ロータ2の一部が所望する形状に対して歪んでいたりすると、ロータ2を一方向に回転させた場合、ロータ2の回転角度に関し、スロット10の配列間隔である30°を周期として振幅するコギングトルクの成分が発生する。
また、電動機1A,1Bのロータ2の極数は10である。この場合、ロータ2が一回転する間に、スロット10の数12とロータ2の極数10の最小公倍数である60回だけ振幅を繰り返すコギングトルクの成分が発生することが知られている。つまり、ロータ2を一方向に回転させた場合、ロータ2の回転角度で6°を周期として振幅するコギングトルクの成分が発生する。
図6に示される波形を解析し、ロータ2の回転角度に関し、30°の周期のコギングトルク成分と、6°の周期のコギングトルク成分の大きさを導きだすことは可能である。このとき、ロータ2の回転角度で30°の周期で振幅するコギングトルク成分の大きさは、ロータ2の工作誤差(所望の寸法に対する歪みやばらつき)に起因するものに相当し、6°の周期で振幅するコギングトルク成分の大きさは、極数・スロット数に起因して変動するものに相当する。
そして、電動機1Aと電動機1Bについて、ロータ2の工作誤差に起因するコギングトルクの成分の大きさ、極数・スロット数に起因して変動するコギングトルクの成分の大きさ、及びロータ2を一回転させたときの振幅の大きさ(Peak−Peak値)を図7に示している。
図7において、用意した電動機1A,1Bでは、ロータ2の工作誤差に起因するコギングトルクの成分が、測定されたコギングトルクの振幅の主な成分となっていることがわかる。
そして、電動機1Bでは、電動機1Aと比較して、ロータ2の工作誤差に起因するコギングトルクの成分が大きく減少し、このため、ロータ2を一回転させたときに観測されるコギングトルクの振幅の大きさが大きく減少した。
上記結果について考察する。
電動機1Bでは、ティース鍔部8d,8eの基端側が、ティース基部8aとの連結部に向かって幅が広くなるように形成されている。
ここで、ティース基部8aとティース鍔部8d,8eとの連結部は、ティース8内で最も磁気飽和が発生しやすい場所である。つまり、このような場所では、ロータ2の工作誤差や磁石残留密度のばらつきにより磁気飽和の程度が敏感に変化し、コギングトルクやトルクリップルが発生しやすい。
電動機1Bのステータコア6Bのように、ティース鍔部8d,8eの基端側が、ティース基部8aとの連結部に向かって幅広に形成されているので、磁気飽和が発生しづらくなり、ロータ2の工作誤差に起因するコギングトルクの成分が著しく低減されたものと判断される。
以上のように、実施の形態2の電動機1Bでは、電動機1Aよりも一層のコギングトルクの低減効果を得ることができる。
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3に係る電動機を構成するステータの要部拡大断面図であり、ヨークの軸方向の一端側近傍に位置するステータの部位の断面を示している。
なお、図8において上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略し、説明の便宜上、ステータ巻線の図示は省略している。
図8において、電動機1Cは、ステータコア6Aに代えステータコア6Cを備えている他は、電動機1Aと同様に構成されている。
ヨーク7の軸方向に関し、一端側に位置するティース基部8a内にスロット開口10aが入り込むように形成されている。
ティース基部8a内にスロット開口10aが入り込むとは以下のものをいう。ティース基部8aの先端側の幅が、ティース基部8aの基端側の幅に比べて狭まるようにスロットの開口が形成されているものをいう。
なお、図示しないが、ヨーク7の軸方向の他端側では、一端側でスロット開口10aが入り込むように形成されたティース基部8aと周方向に相対するティース基部8a内に、スロット開口10aが入り込むように形成されている。つまり、長さ方向の全域で、ヨーク7の軸方向に対して同じ角度でスキューされているスロット開口10aの一端及び他端がティース基部8aに入り込んでいる。
他の電動機1Cの構成は、電動機1Aと同様に構成されている。
ここで、ヨーク7の周方向に関し、ヨーク7の軸方向の一端での、言い換えれば、最もティース基部8aに入り込んでいるスロット開口10aが位置するヨーク7の軸方向の位置でのスロット開口10aの幅方向の中心と、当該スロット開口10aを有するスロット10を構成する一対のティース基部8aの間の中心との角度をa°とする。
つまり、スロット開口10aは、ヨーク7の周方向の角度で、2a°分に相当する角度幅を占有するように形成される。
仮に、スロット開口10aをティース基部8a内に入り込ませない場合、aの値が小さくなる。
即ち、スロット開口10aをティース基部8a内に入り込ませた場合のスロット開口10aのスキュー角度は、スロット開口10aをティース基部8a内に入り込ませないものよりも大きくとれる。
従って、この実施の形態3の電動機1Cによれば、スロット開口10aのスキュー角度を大きくとれるので、スロット開口10aをティース基部8a内に入り込ませないものに比べ、より低い周波数成分のコギングトルクやトルクリップルを低減させることが可能となる。
なお、この実施の形態3によれば、スロット開口10aは、長さ方向の全域で、ヨーク7の軸方向に対するスキュー角度を同じにして延在されるものとして説明したが、スロット開口10aをヨーク7の軸方向の一端から他端に向かってジグザグに延在させる場合には、スロット開口10aの山部に相当する部位を、ティース基部8aに入り込むようにすれば、スロット開口10aのスキュー角度を大きくとれる。即ち、スロット10の開口が、ヨーク7の軸方向の所定部位で、ティース基部8aに入り込むようにティース8が形成することで、スロット開口10aのヨーク7の軸方向に対するスキュー角度を大きくとれるので、低い周波数成分のトルクリップルを低減させることが可能となる。
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4に係る電動機のスロット開口のヨークの軸方向に対するスキュー角度とスキュー係数の関係を示す図である。
この実施の形態4に係る発明の電動機は、電動機1Aと同様のものを想定している。また、極数、及びスロット数は、10、及び12に限らず、Zを自然数として、極数が10Z、スロット数が12Zに設定されたもののいずれかが用いられる。
そして、スロット開口10aのスキュー角度は、kを1,2,3のいずれかとして、±(3k/Z)°のいずれかに設定されている。
図9は、横軸はスロット開口10aのスキュー角度であり、縦軸はスロット開口10aのスキュー角度に対するスキュー係数の理論値を示している。
スキュー係数は、スロット開口10aのスキュー角度が0である場合のコギングトルクの振幅の大きさを1としたときのスロット開口10aのスキュー角度に対するコギングトルクの理論値として表している。
また、例えば、ステータコア6Aが、所望の形状に対して工作誤差を有している場合に、ステータコア6Aの工作誤差に起因して、コギングトルクが発生する。このコギングトルクは、ロータ2の回転角度に関し、永久磁石4の配列間隔である(36/Z)°を周期として振幅する第1成分と、第1成分の1/2の間隔である(18/Z)°を周期として振幅する第2成分を有する。
図9では、ステータコア6Aの工作誤差に起因するコギングトルクの第1成分を太線で示し、第2成分を破線で示している。
また、極数:スロット数=10:12である場合の極数・スロット数に起因するコギングトルクの成分を細線にて示す。
図9に示されるとおり、スキュー係数の値は、スキュー角度を±(3k/Z)°とした場合に、極数・スロット数に起因するコギングトルクの成分が理論的に著しく減少する。
従って、この実施の形態4によれば、スロット開口10aのスキュー角度が、±(3k/Z)°に設定されているので、コギングトルクを効果的に低減できる。
ここで、スロット数が12Zの電動機1Aでは、スロット10を区画するティース基部8aを含む1スロットあたりのヨーク7の周方向に関する機械角度(以下、1スロット当たりの機械角度とする)は、(30/Z)°となる。
なお、隣接するスロット10を区画するティース基部8aは、幅方向の中心の一側及び他側のそれぞれが、一方及び他方のスロット10のそれぞれを区画するものとみなす。つまり、1スロットあたりの機械角度には、ティース基部8aが、1つ分含まれる。
一般的な電動機では、1スロットあたりの機械角度のうち、ティース基部8aが占める角度は(15/Z)°〜(20/Z)°である。
そのため、スロット開口10aを、ティース基部8aに入り込ませずにスキューさせた電動機では、スロット開口10aのスキュー角度を±(6/Z)°、±(9/Z)°に設定することが困難となる。一方、実施の形態3の電動機1Cのように、軸方向の一端及び他端側のスロット開口10aをティース基部8aに入り込むようにすることで、スロット開口10aのスキュー角度を±(6/Z)°、±(9/Z)°に容易に設定できる。
なお、この実施の形態4の電動機は、電動機1Aにおいて、極数を10Z、スロット数を12Zとし、スキュー角度を±(3k/Z)°に設定したものと説明したが、実施の形態2,3の電動機において、極数を10Z、スロット数を12Zとし、スキュー角度を±(3k/Z)°に設定したものでもよい。
また、上記各実施の形態では、回転電機は電動機1A〜1Cであるものとして説明したが、回転電機は、各実施の形態と同等の構成のステータ及びロータを備える発電機であってもよい。
1A〜1C 電動機(回転電機)、2 ロータ、5 ステータ、6A〜6C ステータコア、7 ヨーク、8 ティース、8a ティース基部、8b〜8e ティース鍔部、10 スロット。

Claims (4)

  1. ロータと、上記ロータを囲繞するように上記ロータに同軸に配設されるステータコアを有するステータとを備え、
    上記ステータコアは、上記ロータに同軸に配設されるヨークと、それぞれ、上記ヨークの軸方向の両端間に突設されるティース基部、及び上記ティース基部の先端から両側に突出されるティース鍔部により構成され、上記ヨークの周方向に互いに間隔をあけて配列される複数のティースとを備え、隣接する上記ティース間に形成されるスロットの開口が上記ヨークの軸方向に対してスキューされた回転電機であって、
    上記ティース鍔部は、上記ティース基部との連結部から先端に向かって幅が狭くなっていることを特徴とする回転電機。
  2. 上記ティース鍔部の基端側の部位が、上記ティース基部との連結部に向かって幅が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 上記スロットの開口が、上記ヨークの軸方向の所定部位で、上記ティース基部に入り込んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
  4. 上記ロータの極数が10Z(但し、Zは自然数)であり、上記スロットの数が12Zであり、上記スロットの開口の上記ヨークの軸方向に対する角度が±(3k/Z)(但し、kは1,2,3のいずれか)であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
JP2010225976A 2010-08-26 2010-10-05 回転電機 Expired - Fee Related JP5777869B2 (ja)

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