JP6651278B1 - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

回転電機100は固定子1と回転子2とを備え、回転子2は、軸方向に積層された複数段のロータユニット201および202を有している。ロータユニット201および202のそれぞれは、一対の永久磁石21と、1列以上のスリット22aおよび22bとを有する。スリット22aおよび22bは弧状形状を有して、弧状形状の両端は回転子2の外周側に配置されている。弧状形状の両端の位置と回転子2の回転軸中心とを結んだ2つの直線が成す角度を弧角としたとき、スリット22aの弧角および列数の少なくともいずれか一方が、少なくとも2つのロータユニット201および202間で互いに異なる。

Description

本発明は、回転子と固定子とを備えた回転電機に関する。
回転電機において、トルクリップルを低減させる手法としては、回転子の磁気中心角を、ステータの1スロット角度分だけ、回転方向にスキューさせる技術が一般的である。
しかしながら、回転子の磁気中心角をスキューさせると、回転位置における磁気抵抗差が小さくなってしまうため、出力トルクが低下してしまうという課題がある。
また、トルクリップルを低減させる別の手法として、回転子の非磁性領域の面積を積層方向に徐々に変化させることで、固定子に鎖交する磁石磁束の変化を緩やかにすることが提案されている。当該手法によれば、トルク変動を抑えることができるので、トルクリップルを低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−219291号公報
上述したように、特許文献1の回転電機によれば、磁石磁束に由来するトルクリップルを低減させることができる。しかしながら、磁石磁束が低下してしまうため、結果として、出力トルクが低減してしまうという課題があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、トルクリップルを低減し、出力トルクの低減を抑えることができる回転電機を得ることを目的とする。
本発明に係る回転電機は、環状の固定子と、前記固定子の内側に設けられた回転子とを備え、前記回転子は、軸方向に積層された複数段のロータユニットを有し、前記複数段のロータユニットのそれぞれは、一対の永久磁石と、前記一対の永久磁石間に径方向に1列以上配列されたスリットとを有し、前記複数段のロータユニットのそれぞれに配置される前記一対の永久磁石の形状は、それぞれの前記複数段のロータユニットにおいて同一であり、前記スリットは、内径方向に向かって湾曲した突状の周方向に延びた弧状形状を有し、前記スリットの開口は前記固定子の内周面に対向し、前記弧状形状の両端の位置と前記回転子の回転軸中心とを結んだ2つの直線が成す角度を、前記スリットの弧角としたとき、前記スリットの弧角および前記スリットの列数の少なくともいずれか一方が、少なくとも2つのロータユニット間で異なることで,リラクタンス磁束の磁路を少なくとも2つのロータユニット間で異ならせる
本発明に係る回転電機によれば、トルクリップルを低減し、出力トルクの低減を抑えることができる。
本発明の実施の形態1に係る回転電機の全体の構成を示した断面図である。 本発明の実施の形態1に係る回転電機の構成を示した斜視図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施の形態1に係る回転電機の回転子の構成を示した斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る回転電機の回転子の1極分の構成を示した分解斜視図である。 図5に示した第1ロータユニットの部分断面図である。 図5に示した第2ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態1に係る回転電機におけるトルク脈動を検証した解析結果のグラフを示した図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の第1ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の第2ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の第1ロータユニットにおける固定子からの磁束の流れを表した図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の第1ロータユニットにおける固定子からの磁束の流れを表した図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の第2ロータユニットにおける固定子からの磁束の流れを表した図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の第2ロータユニットにおける固定子からの磁束の流れを表した図である。 本発明の実施の形態3に係る回転電機の第1ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態3に係る回転電機の第2ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態4に係る回転電機の回転子の1極分の構成を示した分解斜視図である。 本発明の実施の形態5に係る回転電機の回転子の1極分の構成を示した分解斜視図である。 本発明の実施の形態6に係る回転電機の第1ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態6に係る回転電機の第2ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態7に係る回転電機の構成を示した図1のA−A断面図である。 本発明の実施の形態7に係る回転電機の第1ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態7に係る回転電機の第2ロータユニットの部分断面図である。 本発明の実施の形態8に係る回転電機の回転子の1極分の構成を示した分解斜視図である。 本発明の実施の形態8に係る回転電機の回転子の1極分の構成を示した分解斜視図である。
以下、図面を用いて、本発明に係る回転電機の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る回転電機の全体の構成を示した断面図である。図2は、図1に示した回転電機の斜視図である。但し、図2においては、図1のハウジング9Aおよび9B、支軸4などのいくつかの構成要素については図示を省略している。図3は、図1のA−A断面図である。
なお、実施の形態1では、回転電機100として、8極48スロットの分布巻き方式の3相の永久磁石式回転電機を例に挙げて説明する。
図1〜図3に示すように、回転電機100は、環状の固定子1と、固定子1の内側に配置された円柱状の回転子2とを備えて構成されている。固定子1の内周面と回転子2の外周面との間には空隙が設けられている。また、図2に示すように、回転子2の中央部分には、支軸挿入孔250が設けられている。支軸挿入孔250は、回転子2の軸方向を貫通する貫通穴である。支軸4は、支軸挿入孔250内に挿入される。支軸4は、回転子2に固定される。
図1に示すように、支軸4の軸方向の両端の外周面には、2個のベアリング5が嵌め合わされている。各ベアリング5の外周面と第1ハウジング9Aの内周面とが互いに嵌め合わされることで、各ベアリング5は第1ハウジング9Aに保持されている。これにより、支軸4は、第1ハウジング9Aにより支持される。
図1に示すように、固定子1は、固定子鉄心10と固定子コイル12とを備えて構成されている。固定子鉄心10は、電機子鉄心から構成される。固定子鉄心10の外周面と第2ハウジング9Bの内周面とが嵌め合わされることで、固定子1は第2ハウジング9Bに固定されている。なお、第1ハウジング9Aと第2ハウジング9Bとで、回転電機100の筐体としてのハウジングが構成される。
以上の構成によって、回転子2は、支軸4により、固定子1に対して相対的に回転自在に支持されている。回転子2は、支軸4を中心にして回転する。以下では、支軸4の軸方向の中心線を回転軸Xと呼ぶこととする。
次に、図3を用いて、固定子1の固定子鉄心10の構成について説明する。固定子鉄心10は、円環状のコアバック部101と、コアバック部101から回転子2側に突出した48個のティース103と、ティース103間に形成された48個のスロット102とを備えて構成されている。ティース103は、固定子鉄心10の内周に沿って、周方向に間隔を空けて配置されている。ティース103は、例えば等間隔で、配置される。固定子鉄心10は、渦電流を低減する目的で、同一形状の複数枚の固定子鉄心シートを軸方向に積層されて構成されている。固定子鉄心シートは、電磁鋼板から、同一形状で打ち抜かれて形成される。固定子鉄心10の各ティース103の先端部は、空隙を介して、回転子2の外周面と対向している。固定子コイル12は、48個の巻線から構成されている。48個の巻線は、スロット102内に収められている。各巻線は、分布巻き方式で、固定子鉄心10に巻き付けられている。分布巻き方式とは、巻線が、複数のティース103に跨って巻き付けられる方式である。固定子コイル12は、1相当たり16個の巻線から構成されている。従って、固定子コイル12は、3相分の計48個の巻線から構成されている。48個の巻線は結線されている。各巻線は、図示しない電力変換器であるインバータに接続されている。インバータから固定子コイル12に対して三相の交流電流を通電することによって、回転磁界が固定子1から空隙に対して発生し、それにより、回転子2にトルクが発生する。
図4は、本実施の形態1に係る回転子2の全体図である。図4に示すように、回転子2は、第1ロータユニット201と、第2ロータユニット202とを備えて構成されている。第1ロータユニット201の上に、第2ロータユニット202が積層されている。第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とは、外形寸法が同じである。
回転子2は、後述するように、8対の永久磁石21を有している。8対の永久磁石は、それぞれ、磁極を形成する。そのため、回転子2は、8個の磁極を有することになる。回転子2の8個の磁極の中心角は均等である。従って、本実施の形態1では、8個の磁極の中心角は、それぞれ、45度になる。図5は、本実施の形態1に係る回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示した分解斜視図である。図5に示すように、1つの磁極を構成する第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とは、基本的に同じ構成を有しているが、後述するスリット22aおよび22bの構成が異なっている。以下の説明においては、「22a」および「22b」のように、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とにおいて対応する構成要素については、同一の数字にアルファベットの小文字を続けた表記で示す。
図6は、図5に示した第1ロータユニット201の断面形状を示す図である。従って、図6は、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図6は、第1ロータユニット201の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。回転子2の8個の磁極は同じ構成を有しているので、以下では、1つの磁極部分の構成についてのみ説明する。図6に示すように、第1ロータユニット201は、各磁極ごとに、一対の永久磁石21aと、一対の永久磁石21aの間に形成されたスリット22aと、一対のフラックスバリア23aとを備えて構成されている。
一対の永久磁石21aは、磁石挿入孔24aに挿入されて固定されている。ここで、一対の永久磁石21aが形成する磁極の中心線をd軸60と呼ぶこととする。一対の永久磁石21aは、d軸60に対して線対称になるように、V字状に配置されている。具体的には、一対の永久磁石21a間の距離は、回転子2の中心から外周に向かって、徐々に増加している。但し、一対の永久磁石21aは、互いに離間しており、接触はしていない。また、一対の永久磁石21a間には、周方向に延びた3列のスリット22aが形成されている。各スリット22aは、内側に向かって湾曲した弧状形状を有するスリットである。孤状形状のスリット22aの開口は、固定子1の内周面に対向している。3列のスリット22aは、同心円状に配置されている。各スリット22aは、d軸60を中心に線対称の形状になるように形成されている。また、各スリット22aは、内径側が突状になっている。すなわち、各スリット22aは、弧状形状の両端部が回転子2の外周側に配置され、弧状形状の中央部分が両端部よりも回転子2の中心側になるように、配置されている。また、3列のスリット22aのうち、回転子2の最も外周側に設けられているスリット22aの周方向の長さが最も短く、回転子2の最も中心側に設けられているスリット22aの周方向の長さが最も長い。ただし、3列のスリット22aの幅は同じである。また、回転子2の外周部分には、一対のフラックスバリア23aが設けられている。それぞれのフラックスバリア23aは、永久磁石21aの磁石挿入孔24aに連結するように形成されている。
ここで、図3に示す回転子2の断面と回転軸Xとの交点を、回転軸中心Oと呼ぶこととする。図6では、回転軸中心Oが図示されていないが、スリット22aの両端部の最も外側の位置と回転軸中心Oとをそれぞれ結んだ2つの直線間の角度を「弧角」と定義する。このとき、図6に示すように、3列のスリット22aの各弧角が、それぞれ、弧角θ1、θ2およびθ3となるように、各スリット22aは配置される。また、フラックスバリア23aの外周側の両端部の最も内側の位置と回転軸中心Oとを結んだ直線間の角度を、「一対のフラックスバリアが成す角度」と定義する。このとき、図6に示すように、一対のフラックスバリア23aが成す角度がθmとなるように、一対のフラックスバリア23aは形成されている。
また、図7は、図5に示した第2ロータユニット202の断面形状を示す図である。従って、図7は、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図7は、第2ロータユニット202の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。第2ロータユニット202は、図7に示すように、各磁極ごとに、一対の永久磁石21bと、一対の永久磁石21bの間に形成されたスリット22bと、フラックスバリア23bとを備えて構成されている。
一対の永久磁石21bは、磁石挿入孔24bに挿入されて固定されている。ここで、一対の永久磁石21bが形成する磁極の中心線をd軸60と呼ぶこととする。一対の永久磁石21bは、d軸60に対して線対称になるように、V字状に配置されている。具体的には、一対の永久磁石21b間の距離は、回転子2の中心から外周に向かって、徐々に増加している。但し、一対の永久磁石21bは、互いに離間しており、接触はしていない。また、一対の永久磁石21b間には、2列のスリット22bが形成されている。各スリット22bは、内側に湾曲した弧状形状を有するスリットである。孤状形状のスリット22bの開口は、固定子1の内周面に対向している。2列のスリット22bは、同心円状に配置されている。各スリット22bは、d軸60を中心に線対称の形状になるように形成されている。また、各スリット22bは、内径側が突状になっている。すなわち、各スリット22bは、弧状形状の両端部が回転子2の外周側で、弧状形状の中央部分が両端部よりも回転子2の中心側になるように、配置されている。また、各スリット22bは、弧状形状の両端部が回転子2の外周側で、弧状形状の中央部分が両端部よりも中心側になるように、配置されている。また、2列のスリット22bのうち、回転子2の最も外周側に設けられているスリット22bの周方向の長さが最も短く、回転子2の最も中心側に設けられているスリット22bの周方向の長さが最も長い。ただし、2列のスリット22bの幅は同じである。また、回転子2の外周部分には、一対のフラックスバリア23bが設けられている。それぞれのフラックスバリア23bは、永久磁石21bの磁石挿入孔24bに連結するように形成されている。
ここで、上述したように、図3に示すように、回転子2の回転軸Xが通る回転軸中心を、回転軸中心Oと呼ぶこととする。図7では、回転軸中心Oが図示されていないが、スリット22bの両端部の最も外側の位置と回転軸中心Oとをそれぞれ結んだ直線間の角度を「弧角」と定義する。このとき、図7に示すように、2列のスリット22bの各弧角が、それぞれ、弧角θ’1およびθ’2となるように、各スリット22bは配置される。また、フラックスバリア23bの回転子2の外周側の両端部の最も内側の位置と、回転軸中心Oとを結んだ直線間の角度がθmとなるように、一対のフラックスバリア23bは形成されている。
なお、ここで、図6および図7において、弧角θ1、θ2、θ3、θ’1およびθ’2を、スリット22aおよび22bの両端の最も外側の位置と回転軸中心Oとを結ぶ直線間の角度としているが、その場合に限らず、スリット22aおよび22bの両端の最も内側の位置と回転軸中心Oとを結ぶ直線間の角度としてもよい。また、同様に、角度θmを、フラックスバリア23aおよび23bの両端の最も内側の位置と回転軸中心Oとを結ぶ直線間の角度としているが、その場合に限らず、フラックスバリア23aおよび23bの両端の最も外側の位置と回転軸中心Oとを結ぶ直線間の角度としてもよい。さらに、本実施の形態1では、フラックスバリア23aおよび23bの両端の位置を用いて角度θmを定義したが、その場合に限らず、永久磁石21aおよび21bの両端の位置を用いて角度θmを定義するようにしてもよい。
このように、軸方向に隣り合った第1ロータユニット201と第2ロータユニット202間で、スリット22aおよびスリット22bの弧角および列数が異なる。これにより、第1ロータユニット201の磁石磁束の通る磁路と、第2ロータユニット202の磁石磁束の通る磁路とが異なる。従って、本実施の形態1では、ロータユニット201および202間で、永久磁石21aおよび21bの磁束が互いに異なる。
なお、本実施の形態1では、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202において、スリット22aおよびスリット22b間で、弧角と列数の両方が異なる場合を示したが、その場合に限らず、弧角と列数の少なくともいずれか一方が異なっていればよい。
一方、一対の永久磁石21aを挿入する磁石挿入孔24aおよび一対の永久磁石21bを挿入する磁石挿入孔24bの形状および位置は、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202で同一である。また、一対の永久磁石21aおよび一対の永久磁石21bの形状も、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202で同一である。
以下、本実施の形態1に係る回転電機100から得られる効果について説明する。電磁力Fは、下記の(1)式に示す通り、空隙磁束密度Bの2乗に比例し、磁束密度は空間高調波次数k、時間高調波次数νの関数として表すことが出来る。ここで、θは周方向位置、tは時間、ωは角周波数とする。また、A(k,ν)は高調波空間次数および高調波時間次数に対する振幅を表し、φ(k,ν)は高調波空間次数および高調波時間次数に対する位相を表すこととする。
Figure 0006651278
さらに、空隙磁束密度Bは、回転子2のパーミアンスと永久磁石21aおよび21bの起磁力との乗算結果に基づいて計算される。パーミアンスは磁気抵抗の粗密である。スリット22aおよび22bおよびフラックスバリア23aおよび23bの弧角および個数に応じて、回転子2のパーミアンス高調波成分の振幅と位相が変化する。その結果、空隙磁束密度の振幅A(k,ν)と位相φ(k,ν)とが変化する。ここで、トルクリップルは、空間次数0次、時間次数ν次で表現できる電磁力Fの一つの形態である。そのため、スリット22aおよび22bおよびフラックスバリア23aおよび23bの弧角と個数とに影響を受けて、振幅と位相とが変化するといえる。
さらに、永久磁石式回転電機において、起磁力とパーミアンスとの乗算結果が、空隙磁束密度Bに与える影響は大きい。そのため、磁石磁束の通る磁路が異なるように、スリット22aおよび22bおよびフラックスバリア23aおよび23bの形状を変えることで、トルクリップルの振幅と位相とを変えることが出来る。また、スリット22aおよび22bを円弧状のスリットにすることで、磁束が流れにくいd軸と、磁束の流れやすいd軸に垂直なq軸とを形成することができる。その結果、リラクタンストルクを増加させる役割を担っている。
図8は、本実施の形態1に係る回転電機100について、有限要素法により解析したトルクの変化を示している。横軸は電気角を示し、縦軸はトルクを示す。また、図8において、実線80は第1ロータユニット201に発生するトルク脈動を示し、破線81は第2ロータユニット202に発生するトルク脈動を示し、一点鎖線82は第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とを組み合わせた回転子2に発生するトルク脈動を示す。第1ロータユニット201と第2ロータユニット202において、同様の電流条件で発生している或る次数のトルク脈動は、それぞれ、振幅と位相とが異なる。そこで、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202のトルク脈動の特定の次数の振幅が同等で、且つ、位相が反転するように、軸長比を設定することで、ロータユニット全体として電気角平均トルクは落とすことなく、トルクリップルを相殺することが出来る。ここで,軸長比とは各ロータユニットの高さの比である。
なお、上記の説明においては、スリット22aとスリット22bとが弧状形状を有するスリットであると説明したが、その場合に限定されない。スリット22aとスリット22bとは、周方向に拡がったU字形状で、且つ、内径側が突状であればよいため、3つ以上の直線を組み合わせた形状でもよく、3つ以上の曲線を組み合わせた形状でもよく、あるいは、1つの円弧から構成されていてもよい。
以上のように、本実施の形態1においては、回転子2が、軸方向に積層された2段のロータユニット、すなわち、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とを有している。第1ロータユニット201および第2ロータユニット202のそれぞれは、一対の永久磁石21aおよび21bと、一対の永久磁石21aおよび21b間のそれぞれに設けられた弧状形状の1列以上のスリット22aおよび22bとを有している。このとき、スリット22aおよび22bの弧状形状の両端の位置と回転子2の回転軸中心Oとを結んだ2つの直線が成す角度を弧角としたとき、スリット22aおよび22bの弧角およびスリット22aおよび22bの列数の少なくともいずれか一方が、軸方向に隣り合う第1ロータユニット201および第2ロータユニット202間で互いに異なる。当該構成により、ロータユニット毎に発生するトルクリップルの位相が異なるため、回転子2全体としてみたときのトルクリップルを相殺することができる。これにより、トルクリップルを低減することができる。また、本実施の形態1においては、回転子2にスキューを施していないため、出力トルクが低減することはなく、出力トルクの低減を抑えることができる。さらに、本実施の形態1では、スリットの磁石磁束およびフラックスバリアの磁石磁束を考慮しているため、磁石磁束の低減によるトルク出力の低減も抑えることができる。
実施の形態2.
図9および図10は、本発明の実施の形態2に係る回転電機の第1ロータユニット201および第2ロータユニット202の断面図である。図9および図10は、上記の図6および図7と同様に、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図9は、第1ロータユニット201の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。また、図10は、第2ロータユニット202の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。
上記の実施の形態1と本実施の形態2との違いについて説明する。
上記の実施の形態1では、第1ロータユニット201のスリット22aが3列、第2ロータユニット202のスリット22bが2列だったが、本実施の形態2では、第1ロータユニット201のスリット22c、および、第2ロータユニット202のスリット22dが、共に、1列ずつである。
また、上記の実施の形態1では、3列のスリット22aおよび2列のスリット22bの幅がすべて同じであったが、本実施の形態2では、スリット22cの幅とスリット22dの幅とが異なる。具体的には、スリット22cの幅が、スリット22dの幅よりも大きい。
他の構成については、実施の形態1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
以下、本実施の形態2について詳細に説明する。
図9に示すように、第1ロータユニット201は、上記の実施の形態1と同様に、一対の永久磁石21cと、スリット22cと、一対のフラックスバリア23cとを備えて構成されている。また、図10に示すように、第2ロータユニット202は、上記の実施の形態1と同様に、一対の永久磁石21dと、スリット22dと、一対のフラックスバリア23dとを備えて構成されている。
第1ロータユニット201のスリット22cの弧角はθ1である。一方、第2ロータユニット202のスリット22dの弧角はθ2である。ここで、弧角θ1は、弧角θ2より大きい。また、上述したように、スリット22cの幅は、スリット22dの幅より大きい。ここで、スリット22cおよび22dの回転子2の外周部に位置する端部を「外周部端部」と呼ぶこととする。スリット22cおよび22dの外周部端部の縁は、回転子2の外周に沿って配置されている。このとき、スリット22cの外周部端部の幅を示す周方向距離w1は、スリット22dの外周部端部の幅を示す周方向距離w2より大きい。なお、上記の説明においては、スリット22cの幅が、全体的に、スリット22dの幅より大きいと説明した。しかしながら、その場合に限らず、少なくとも、スリット22cの外周部端部の幅が、スリット22dの外周部端部の幅より大きければよい。
図11および図12は、本実施の形態2における、第1ロータユニット201の時刻t=T1および時刻t=T2における固定子1からの磁束の流れの一部を示した図である。図11および図12において、矢印の上に記載された表記「×」は、磁束の流れがスリット22cに遮られていることを示す。
図13および図14は、本実施の形態2における、第2ロータユニット202の時刻t=T1および時刻t=T2における固定子1からの磁束の流れの一部を示した図である。図14において、矢印の上に記載された表記「△」は、磁束の流れがスリット22dによって完全には遮られていない状態を示す。
まず、第1ロータユニット201を示している図11と図12を比較する。時刻t=T1の図11においては、2つの矢印のうちの右側の方に「×」の表記がある。一方、時刻t=T2の図12においては、2つの矢印のうちの左側の方に「×」の表記がある。従って、スリット22cが固定子1からの磁束を遮るタイミングが位置によって異なることがわかる。
次に、同一時刻t=T1の図11のスリット22cと図13のスリット22dとを比較する。図11のスリット22cにおいては、2つの矢印のうちの1つに「×」の表記があり、磁束の流れがスリット22cに遮られていることが分かる。一方、図13のスリット22dにおいては、2つの矢印の両方に「×」の表記はなく、従って、磁束の流れがスリット22dによって遮られていないことがわかる。
同様に、別の同一時刻t=T2の図12のスリット22cと図14のスリット22dとを比較する。図12のスリット22cにおいては、2つの矢印のうちの1つに「×」の表記があり、磁束の流れがスリット22cに遮られていることが分かる。一方、図14のスリット22dにおいては、2つの矢印のうちの一方に「△」の表記があり、磁束の流れがスリット22dによって完全には遮られていないことがわかる。
このように、時刻t=T1および時刻t=T2のいずれにおいても、第1ロータユニット201のスリット22cの方が、第2のロータユニット202のスリット22dよりも、固定子1からの磁束の流れを効率よく遮っていることがわかる。その理由は、スリット22cの外周部端部の周方向距離w1の方が、スリット22dの外周部端部の周方向距離w2より大きいことに起因する。すなわち、スリットは、外周部端部の周方向距離が大きくなるにつれて、固定子1からの磁束の流れを効率よく遮るようになる。
以上のように、スリット22cおよび22dの外周側端部の周方向距離を変えることで、固定子1からの磁束が妨げられるタイミングを変えることができる。そこで、本実施の形態2では、スリット22cおよび22dの外周側端部の周方向距離w1およびw2を異なる値に設定している。このように、スリット22cおよび22dの外周側端部の周方向距離w1およびw2を、適宜、適切な値に設定することにより、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202毎に発生するトルクリップルの位相を適宜調整することが出来る。
以上のように、本実施の形態2においては、弧状形状のスリット22cおよび22dの外周部端部の周方向距離w1およびw2が、軸方向に隣り合う第1ロータユニット201および第2ロータユニット202間で互いに異なる。そのため、ロータユニット毎に発生するトルクリップルの位相が異なるため、回転子2全体としてみたとき、トルクリップルを相殺することができる。その結果、トルク出力の低減を抑えながら、トルクリップルを低減させることができる。
実施の形態3.
図15および図16は、本発明の実施の形態3に係る回転電機の第1ロータユニット201および第2ロータユニット202の断面図である。図15および図16は、上記の図6および図7と同様に、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図15は、第1ロータユニット201の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。また、図16は、第2ロータユニット202の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。
上記の実施の形態1および2と本実施の形態3との違いについて説明する。
上記の実施の形態1では、第1ロータユニット201の一対のフラックスバリア23aが成す角度θmと第2ロータユニット202の一対のフラックスバリアが成す角度θmとが同じであった。しかしながら、本実施の形態3では、第1ロータユニット201の一対のフラックスバリア23eが成す角度θm1と第2ロータユニット202の一対のフラックスバリア23fが成す角度θm2とが異なる。
また、上記の実施の形態1では、第1ロータユニット201のスリット22aが3列、第2ロータユニット202のスリット22bが2列だったが、本実施の形態3では、第1ロータユニット201のスリット22e、および、第2ロータユニット202のスリット22fが、共に、1列ずつである。
また、上記の実施の形態2では、第1ロータユニット201のスリット22cの幅と第2ロータユニット202のスリット22dの幅とが異なっていた。しかしながら、本実施の形態3では、第1ロータユニット201のスリット22eの幅と第2ロータユニット202のスリット22fの幅とが同じである。
他の構成については、実施の形態1または2と同じであるため、ここでは説明を省略する。
以下、本実施の形態3について詳細に説明する。
図15に示すように、第1ロータユニット201は、上記の実施の形態1と同様に、一対の永久磁石21eと、スリット22eと、一対のフラックスバリア23eとを備えて構成されている。また、図16に示すように、第2ロータユニット202は、一対の永久磁石21fと、スリット22fと、一対のフラックスバリア23fとを備えて構成されている。
上述したように、本実施の形態3では、第1ロータユニット201の一対のフラックスバリア23eが成す角度θm1と第2ロータユニット202の一対のフラックスバリア23fが成す角度θm2とが異なっている。また、本実施の形態3では、第1ロータユニット201のスリット22eの弧角θ1は、第2ロータユニット202のスリット22fの弧角θ2と異なる。
その結果、回転子2の外周側を通る磁束の磁路が異なる。そのため、固定子1からの磁束の通り方が、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202毎に異なる。その結果、発生するトルクリップルの脈動を減らすことが出来る。
以上のように、本実施の形態3においては、第1ロータユニット201の一対のフラックスバリア23eが成す角度θm1と第2ロータユニット202の一対のフラックスバリア23fが成す角度θm2とが異なっている。また、本実施の形態3では、第1ロータユニット201のスリット22eの弧角θ1は、第2ロータユニット202のスリット22fの弧角θ2と異なる。そのため、ロータユニット毎に発生するトルクリップルの位相が異なるため、回転子2全体としてみたとき、トルクリップルを相殺することができる。その結果、トルク出力の低減を抑えながら、トルクリップルを低減させることができる。
実施の形態4.
図17は、本発明の実施の形態4に係る回転子2の分解斜視図である。図17は、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。図17に示すように、本実施の形態4においては、回転子2は、3段のロータユニットを備えて構成されている。他の構成については、実施の形態1と同じである。
図17に示すように、3段のロータユニットのうち、下から数えて、1段目と3段目のロータユニットは同様の形状であり、1段目と2段目のロータユニットの形状が異なる。具体的には、例えば、1段目と3段目のロータユニットを、上記の実施の形態1で示した第2ロータユニット202で構成し、2段目のロータユニットを、上記の実施の形態1で示した第1ロータユニット201で構成する。このように、複数段のロータユニットを、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202の2種類から構成し、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とを交互に積層させる。
回転子2の回転軸の軸方向の位置に応じて、発生するトルクリップルの位相が変化する。具体的には、回転子2の回転軸両端と中央部分とではトルクリップルの位相が逆位相になる。そのため、回転子2を3段のロータユニットで構成し、且つ、2段目のロータユニットだけを異なる構成にすることにより、回転子2の回転軸Xを、回転軸Xに対して垂直な方向に曲げるように発生する振動のモードを変えることが出来る。そのため、回転子2の共振周波数のモードと一致しないように3段のロータユニットを用いて回転子2を設計することで、振動・騒音を低減することが出来る。
以上のように、本実施の形態4においては、回転子2を、3段のロータユニットで構成している。また、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とが交互に積層されている。これにより、ロータユニット毎に発生するトルクリップルの位相が異なるため、回転子2全体としてみたとき、トルクリップルを相殺することができる。そのため、トルクリップルを低減することができる。また、各ロータユニットで発生する電磁力が異なるため、回転軸の高さ方向でみたとき、回転軸Xを変形させる共振周波数のモードを変えることができ、振動・騒音を減らすことができる。
なお、本実施の形態4においては、3段のロータユニットを積層する例について説明したが、奇数個であれば、任意の段数にしてもよい。その場合においても、同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、本実施の形態4においては、2段目のロータユニットを、1段目および3段目のロータユニットと異なる構成にした。また、この場合に限定されず、3段目のロータユニットを、1段目および2段目のロータユニットと異なる構成にしてもよく、あるいは、1段目のロータユニットを、2段目および3段目のロータユニットと異なる構成にしてもよい。さらに、ロータユニットを3種類にして、1段目のロータユニット、2段目のロータユニット、および、3段目のロータユニットの全てが互いに異なる構成にしてもよい。このように、本実施の形態4においては、少なくとも2つのロータユニット間で、スリットの弧角およびスリットの列数の少なくともいずれか一方が異なるようにすればよい。
実施の形態5.
図18は、本発明の実施の形態5に係る回転子2の分解斜視図である。図18は、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。図18に示すように、本実施の形態4においては、回転子2は、4段のロータユニットを備えて構成されている。他の構成については、実施の形態1と同じである。
図18に示すように、4段のロータユニットのうち、下から数えて、1段目と3段目のロータユニットは同様の形状であり、2段目と4段目のロータユニットは同様の形状である。但し、1段目と2段目のロータユニットの形状は異なる。具体的には、例えば、1段目と3段目のロータユニットを、上記の実施の形態1で示した第2ロータユニット202で構成し、2段目と4段目のロータユニットを、上記の実施の形態1で示した第1ロータユニット201で構成する。このように、複数段のロータユニットを、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202の2種類から構成し、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とを交互に積層させる。
回転子2の回転軸の軸方向の位置に応じて、発生するトルクリップルの位相が変化する。具体的には、回転子2の回転軸両端と中央部分とではトルクリップルの位相が逆位相になる。そのため、回転子2を4段のロータユニットで構成し、且つ、2段目および4段目のロータユニットだけを異なる構成にすることにより、回転子2の回転軸を、回転軸に対して垂直な方向に曲げるように発生する振動のモードを変えることが出来る。そのため、回転子2の共振周波数のモードと一致しないように4段のロータユニットを用いて回転子2を設計することで、振動・騒音を低減することが出来る。
以上のように、本実施の形態5においては、回転子2を、4段のロータユニットで構成している。また、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とが交互に積層されている。これにより、ロータユニット毎に発生するトルクリップルの位相が異なるため、回転子2全体としてみたとき、トルクリップルを相殺することができる。そのため、トルクリップルを低減することができる。また、各ロータユニットで発生する電磁力が異なるため、回転軸の高さ方向でみたとき、回転軸Xを変形させる共振周波数のモードを変えることができ、振動・騒音を減らすことができる。
なお、本実施の形態5においては、4段のロータユニットを積層する例について説明したが、偶数個であれば、任意の段数にしてもよい。その場合においても、同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、本実施の形態5においては、第1ロータユニット201と第2ロータユニット202とが交互に積層されている場合について説明した。しかしながら、この場合に限定されず、例えば、下から順に、第1ロータユニット201、第2ロータユニット202、第2ロータユニット202、および、第1ロータユニット201のように積層してよい。また、ロータユニットを3種類にして、下から順に、第1ロータユニット201、第2ロータユニット202、第2ロータユニット202、および、第3ロータユニットのように積層してよい。あるいは、下から順に、第1ロータユニット201、第1ロータユニット201、第2ロータユニット202、および、第3ロータユニットのように積層してよい。さらに、ロータユニットを4種類にして、1段目から4段目までのロータユニットの全てが互いに異なる構成にしてもよい。また、積層する順序は、任意の順でよい。このように、本実施の形態5においては、少なくとも2つのロータユニット間で、スリットの弧角およびスリットの列数の少なくともいずれか一方が異なるようにすればよい。
実施の形態6.
図19は、本発明の実施の形態6に係る回転子2の第1ロータユニット201の断面形状を示す図である。図19は、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図19は、第1ロータユニット201の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。
図20は、本発明の実施の形態6に係る回転子2の第2ロータユニット202の断面形状を示す図である。図20は、回転子2の8個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図20は、第2ロータユニット202の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。
上記の実施の形態3と本実施の形態6との違いについて説明する。
上記の実施の形態3においては、第1ロータユニット201のスリット22eおよび第2ロータユニット202のスリット22fが、共に、d軸60に対して線対称形状であったが、本実施の形態6においては、第1ロータユニット201のスリット22gおよび第2ロータユニット202のスリット22hが、共に、d軸60に対して線対称形状でない。
また、上記の実施の形態3においては、第1ロータユニット201の一対のフラックスバリア23eが成す角度θm1と第2ロータユニット202の一対のフラックスバリア23fが成す角度θm2とが異なっており、且つ、第1ロータユニット201のスリット22eの弧角θ1と第2ロータユニット202のスリット22fの弧角θ2とが異なっていた。
これに対し、本実施の形態6では、第1ロータユニット201の一対のフラックスバリア23gが成す角度θmと第2ロータユニット202の一対のフラックスバリア23hが成す角度θmとが同一であり、且つ、第1ロータユニット201のスリット22gの弧角θ1と第2ロータユニット202のスリット22hの弧角θ2とが同一である。
他の構成については、実施の形態1〜5のいずれかと同じである。
以下、実施の形態6について詳細に説明する。
図19に示すように、第1ロータユニット201は、上記の実施の形態1と同様に、一対の永久磁石21gと、スリット22gと、一対のフラックスバリア23eとを備えて構成されている。また、図20に示すように、第2ロータユニット202は、一対の永久磁石21hと、スリット22hと、一対のフラックスバリア23hとを備えて構成されている。
上述したように、本実施の形態6においては、第1ロータユニット201のスリット22gがd軸60に対して線対称でない。そのため、以下の説明においては、図19に示すように、スリット22gの弧角をd軸を境界線にして2つに分けて、回転方向進み側の弧角をθ11と呼び、回転方向戻り側の弧角をθ12と呼ぶこととする。従って、スリット22gの弧角は、θ11+θ12となる。このとき、回転方向進み側の弧角θ11と回転方向戻り側の弧角θ12とは異なる。
同様に、第2ロータユニット202のスリット22hがd軸60に対して線対称でない。そのため、以下の説明においては、図20に示すように、スリット22hの弧角をd軸を境界線にして2つに分けて、回転方向進み側の弧角をθ21と呼び、回転方向戻り側の弧角をθ22と呼ぶこととする。従って、スリット22hの弧角は、θ21+θ22となる。このとき、回転方向進み側の弧角θ21と回転方向戻り側の弧角θ22とは異なる。
また、図19と図20とを比較すると、図19に示すスリット22gの回転方向進み側の弧角θ11と、図20に示すスリット22hの回転方向進み側の弧角θ21とは異なる。同様に、図19に示すスリット22gの回転方向戻り側の弧角θ12と、図20に示すスリット22hの回転方向戻り側の弧角θ22とは異なる。
本実施の形態6においては、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202毎に、スリット22gの弧角とスリット22hの弧角とを異なる角度にすることで、第1ロータユニット201に発生するトルクリップルの位相と第2ロータユニット202に発生するトルクリップルの位相とを変えることができる。
また、本実施の形態6においては、第1ロータユニット201および第2のロータユニット202のそれぞれにおいて、回転方向進み側の弧角と回転方向戻り側の弧角とを異なる角度にすることで、リラクタンストルクがピーク値となる電流進角をシフトすることが出来る。これにより、リラクタンストルクがピーク値となる電流進角を、マグネットトルクがピーク値となる電流進角に近づけることが出来る。その結果、最大トルクを向上させることが出来る。
以上のように、本実施の形態6においては、第1ロータユニット201において、回転方向進み側の弧角θ11と回転方向戻り側の弧角θ12とが異なり、第2ロータユニット202において、回転方向進み側の弧角θ21と回転方向戻り側の弧角θ22とは異なる。さらに、第1ロータユニット201の回転方向進み側の弧角θ11と、第2ロータユニット202の回転方向進み側の弧角θ21とが異なり、第1ロータユニット201の回転方向戻り側の弧角θ12と、第2ロータユニットの回転方向戻り側の弧角θ22とが異なる。これにより、ロータユニット毎に発生するトルクリップルの位相が違うため、回転子2全体としてみたとき、トルクリップルを相殺することが出来る。さらに、スリットの弧角を回転方向進み側と回転方向戻り側で変えることにより、磁石磁束の位相を回転方向進み側に偏在化させ、リラクタンス磁束の位相を回転方向戻り側に偏在化することができる。その結果、磁石トルクがピークとなる電流進角とリラクタンストルクがピークとなる電流進角とを互いに近づけることが可能となり、出力トルクを上昇させることが出来る。
実施の形態7.
図21は、本発明の実施の形態7に係る回転電機の構成を示した平面図である。本実施の形態7に係る回転電機100Aは、固定子41と回転子42とを備える。本実施の形態7においては、回転電機100Aとして、12極18スロットの集中巻き方式の3相の永久磁石式回転電機を例に挙げて説明する。
本実施の形態7に係る回転電機100Aの全体の構成は、図1と基本的に同じあるため、ここでは、その説明を省略する。
また、本実施の形態7に係る回転電機100Aの固定子41と回転子42の構成は、極数とスロット数とが異なるものの、実施の形態1で説明した固定子1と回転子2と基本的に同じであるため、ここでは、その説明を省略する。ただし、上記の実施の形態1では、固定子コイル12が固定子鉄心10に設けられた各ティース103に対して分布巻方式で巻き付けられていたが、本実施の形態7では、固定子コイル12が固定子鉄心10に設けられた各ティース103に対して集中巻方式で巻き付けられている点が異なる。
また、本実施の形態7においては、回転子42は、実施の形態1と同様に、軸方向に2段のロータユニットが積み重ねられて構成されている。以下では、1段目のロータユニットを第1ロータユニット203と呼び、2段目のロータユニットを第2ロータユニット204と呼ぶ。
図22は、本発明の実施の形態7に係る回転子42の第1ロータユニット203の断面形状を示す図である。図22は、回転子42の12個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図22は、第1ロータユニット203の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。
図23は、本発明の実施の形態7に係る回転子42の第2ロータユニット204の断面形状を示す図である。図23は、回転子42の12個の磁極のうちの1つの磁極部分を示している。なお、図23は、第2ロータユニット204の軸方向に対して垂直な平面に沿った断面を示している。
図22に示すように、第1ロータユニット203は、一対の永久磁石21iと、一対の永久磁石21i間に設けられたスリット22iと、一対のフラックスバリア23iとを備えて構成されている。一対の永久磁石21iは、磁石挿入孔24iに挿入されて固定されている。一対の永久磁石21iは、d軸60に対して線対称になるように、V字状に配置されている。
本実施の形態7においては、スリット22iは、帯状形状を有している。ここで、図22において、一対の永久磁石21iのうち、回転方向戻り側に配置された永久磁石21i側の一点を点Pとする。点Pと当該永久磁石21iとの間には空隙が設けられている。点Pは、当該永久磁石21iの長手方向の2辺のうちの外周側に近い方の1辺に沿って配置される。また、点Pよりも回転方向進み側にシフトされ、且つ、回転子2の外周側の一点を点Qとする。スリット22iは、点Pと点Qとを繋ぐ直線に沿って形成されている。すなわち、スリット22iの長手方向の距離は、点Pと点Qとの間の直線距離と同じである。このとき、点Qと回転軸中心Oとを結ぶ直線61とd軸60とが成す角度を、帯状形状のスリット22iの偏向角と呼び、偏向角θ31とする。なお、点Pをd軸60よりも回転方向戻り側に配置させ、点Qをd軸60よりも回転方向進み側に配置させることが望ましい。また、図22に示すように、点Pが配置された側の永久磁石21iの1辺と点Qと点Pとを結ぶ直線との交点から当該永久磁石21iの端部までの距離を距離Lとしたとき、当該距離Lは、任意の値に適宜設定する。
このように、第1ロータユニット203において、d軸60に対して、回転方向に、スリット22iの外周側端部を傾けて配置することで、磁石磁束の位相を回転方向進み側に偏在化し、また、リラクタンス磁束の位相を回転方向戻り側に偏在化することができる。それにより、力行運転時に、磁石トルクがピークとなる電流進角とリラクタンストルクがピークとなる電流進角とを互いに近づけることができ、結果として、トルクを上昇させることが出来る。
また、図23に示すように、第2ロータユニット204は、一対の永久磁石21jと、一対の永久磁石21j間に設けられたスリット22jと、一対のフラックスバリア23jとを備えて構成されている。一対の永久磁石21jは、磁石挿入孔24jに挿入されて固定されている。一対の永久磁石21jは、d軸60に対して線対称になるように、V字状に配置されている。
本実施の形態7においては、スリット22jは、帯状形状を有している。ここで、図23において、一対の永久磁石21jのうち、回転方向戻り側に配置された永久磁石21j側の一点を点Pとする。点Pと永久磁石21jとの間には空隙が設けられている。点Pは、当該永久磁石21iの長手方向の2辺のうちの外周側に近い方の1辺に沿って配置される。また、点Pよりも回転方向進み側で、且つ、回転子2の外周側の一点を点Qとする。スリット22jは、点Pと点Qとを繋ぐ直線に沿って形成されている。すなわち、スリット22jの長手方向の距離は、点Pと点Qとの間の距離と同じである。このとき、点Qと回転軸中心Oとを結ぶ直線61とd軸60とが成す角度を、帯状形状のスリット22jの偏向角と呼び、偏向角θ32とする。なお、点Pをd軸60よりも回転方向戻り側に配置させ、点Qをd軸60よりも回転方向進み側に配置させることが望ましい。また、図22に示すように、点Pが配置された側の永久磁石21iの1辺と点Qと点Pとを結ぶ直線との交点から当該永久磁石21iの端部までの距離を距離Lとしたとき、当該距離Lは、任意の値に適宜設定する。ここで、図22の偏向角θ31と図23の偏向角θ32とは、θ31≠θ32とする。
このように、第2ロータユニット204において、d軸60に対して、回転方向に、スリット22jの外周側端部を傾けて配置することで、磁石磁束の位相を回転方向進み側に偏在化し、また、リラクタンス磁束の位相を回転方向戻り側に偏在化することができる。それにより、力行運転時に、磁石トルクがピークとなる電流進角とリラクタンストルクがピークとなる電流進角とを互いに近づけることができ、結果として、トルクを上昇させることが出来る。
また、上述したように、本実施の形態7では、図22の偏向角θ31と図23の偏向角θ32とは、θ31≠θ32としている。このように、第1ロータユニット203と第2ロータユニット204とのそれぞれで、スリット22iの偏向角θ31と、スリット22jの偏向角θ32とを異なる角度にすることで、磁石磁束の磁路が変り、回転子42のパーミアンス高調波の振幅・位相が変化する。そのため、第1ロータユニット203に発生するトルクリップルの位相と第2ロータユニット204に発生するトルクリップルの位相とを変えることが可能である。その結果、回転子42全体としてトルクリップルを相殺することが出来る。
以上のように、本実施の形態7においては、回転方向に向かってスリット22iおよび22jの外周側端部を傾けることで、磁石磁束の位相を回転方向進み側に偏在化し、リラクタンス磁束の位相を回転方向戻り側に偏在化することができる。そのため、力行運転時に、磁石トルクがピークとなる電流進角とリラクタンストルクがピークとなる電流進角とを互いに近づけることが可能となり、出力トルクを上昇させることが出来る。
さらに、第1ロータユニット203におけるスリット22iの偏向角θ31と、第2ロータユニット204におけるスリット22jの偏向角θ32とを異なる角度としたので、磁石磁束の磁路が変り、回転子42のパーミアンス高調波の振幅・位相が変化する。そのため、そのため、第1ロータユニット203に発生するトルクリップルの位相と第2ロータユニット204に発生するトルクリップルの位相とを変えることが可能であるため、回転子42全体としてトルクリップルを相殺することが出来る。その結果、トルクリップルを低減することができる。
なお、実施の形態7では、スリット22iおよび22jの列数を1としたが、この場合限らず、スリット22iおよび22jの列数を2以上の任意の値にしてもよい。また、ロータユニットの段数を2段として説明したが、任意の段数にしてもよい。但し、帯状形状のスリット22iおよび22jの偏向角およびスリット22iおよび22jの列数の少なくともいずれか一方が、軸方向に隣り合うロータユニット間で異なるように回転子42を構成する。
実施の形態8.
図24は、本発明の実施の形態8に係る回転電機の構成を示した回転子の1極分を示した分解斜視図である。回転子は、第1ロータユニット401と、第2ロータユニット402とで構成されている。第1ロータユニット401は、3列の磁気スリット43aを有し、第2ロータユニット402は2列の磁気スリット43bを有し、それぞれ異なる断面形状となっている。第1ロータユニット401における磁気スリット43aは、極毎に、対称軸63を有している。また、第2ロータユニット402における磁気スリット43bは、極毎に、対称軸64を有している。
第1ロータユニット401においては、図24に示すように、対称軸63に対して線対称になるように、1対の磁石44aと、1対の磁石挿入孔45aと、フラックスバリア46aと、磁気スリット43aとが、配置されている。
同様に、第2ロータユニット402においては、図24に示すように、対称軸64に対して線対称になるように、1対の磁石44bと、1対の磁石挿入孔45bと、フラックスバリア46bと、磁気スリット43bとが、配置されている。
本実施の形態8においては、第1ロータユニット401の対称軸63が、第2ロータユニット402の対称軸64に対して、回転子の回転軸を中心に、角度δ[deg]だけ、反時計回りに回転した位置になるように、第1ロータユニット401が、第2ロータユニット402に対してシフトされて配置されている。
このように、第1ロータユニット401と第2ロータユニット402とが回転してずれることで、スキューされたロータユニットとなり、磁石の起磁力自体の空間位相を、第1ロータユニット401と第2ロータユニット402との間でずらすことが出来る。その結果、第1ロータユニット401および第2ロータユニット402の各々で発生するトルクリップルの位相をずらすことが出来るため、回転子全体としてトルクリップルを低減することが可能となる。
なお、本実施の形態8は、図24の構成に限定されない。
例えば、図25に示すような構成であってもよい。すなわち、図25に示すように、回転軸の高さ方向から見た時、第1ロータユニット403の磁石47aの位置と、第2ロータユニット404の磁石47bの位置とが同一であってもよい。この場合において、第1ロータユニット403が有する磁気スリット48aの対称軸を対称軸65とし、第2ロータユニット404が有する磁気スリット48bの対称軸を対称軸66とする。このとき、対称軸65は、対称軸66に対して、回転子の回転軸を中心に、角度δ[deg]だけ反時計回りに回転した位置に配置されている。すなわち、図25では、回転軸の高さ方向から見た時、対称軸65は、対称軸66に対して、同一の位置ではなく、シフトされた位置に配置されている。
このように、図25に示す例のように、第1ロータユニット403の磁石47aの位置と第2ロータユニット404の磁石47bの位置とを同一とする構成とすることで、製造時に、磁石47a,47bを、回転軸高さ方向から、第1ロータユニット403および第2ロータユニット404を貫いて挿入することが出来る。また、磁石47a,47bによる第1ロータユニット403および第2ロータユニット404間の漏れ磁束も低減することが出来る。また、第1ロータユニット403の磁気スリット48aの対称軸65と、第2ロータユニット404の磁気スリット48bの対称軸66とが、角度δ[deg]だけシフトすることで、極の中心に対して、非磁性領域を偏在化させることができる。それにより、磁石磁束を回転方向進み側と戻り側でずらすことが出来るため、第1ロータユニット403および第2ロータユニット404の磁石磁束の位相をずらすことが出来る。その結果、磁石磁束に起因するトルクリップルを低減することが出来る。
なお、上記の実施の形態8の説明においては、図24および図25において、いずれも、ロータユニットが2つの場合を例に挙げて説明したが、ロータユニットの個数は3個以上でもよい。その場合には、複数段のロータユニットのうち、少なくとも1つのロータユニットの磁気スリットの対称軸が、他のロータユニットの磁気スリットの対称軸に対して、回転軸を軸中心とする回転方向に、予め設定された角度δ[deg]だけシフトされるように、各ロータユニットを配置すればよい。
なお、角度δ[deg]は、特に限定されるものではなく、任意の角度に適宜設定すればよい。
なお、上記の実施の形態1〜8においては、スリット22の中が空洞の場合を例に挙げて説明しているが、その場合に限定されない。たとえば、第1ロータユニット201および第2ロータユニット202を構成する素材自身の透過率よりも透過率の低い樹脂、放熱材などをスリット22内に充填させるようにしてもよい。
1 固定子、2 回転子、4 支軸、5 ベアリング、9A 第1ハウジング、9B 第2ハウジング、10 固定子鉄心、12 固定子コイル、21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21h,21i,21j 永久磁石、22,22a,22b,22c,22d,22e,22f,22g,22h,22i,22j スリット、23a,23b,23c,23d,23e,23f,23g,23h,23i,23j フラックスバリア、41 固定子、42 回転子、60 d軸、100,100A 回転電機、101 コアバック部、102 スロット、103 ティース、201,203 第1ロータユニット、202,204 第2ロータユニット、250 支軸挿入孔。

Claims (13)

  1. 環状の固定子と、
    前記固定子の内側に設けられた回転子と
    を備え、
    前記回転子は、軸方向に積層された複数段のロータユニットを有し、
    前記複数段のロータユニットのそれぞれは、一対の永久磁石と、前記一対の永久磁石間に径方向に1列以上配列されたスリットとを有し、
    前記複数段のロータユニットのそれぞれに配置される前記一対の永久磁石の形状は、それぞれの前記複数段のロータユニットにおいて同一であり、
    前記スリットは、内径方向に向かって湾曲した突状の周方向に延びた弧状形状を有し、前記スリットの開口は前記固定子の内周面に対向し、
    前記弧状形状の両端の位置と前記回転子の回転軸中心とを結んだ2つの直線が成す角度を、前記スリットの弧角としたとき、
    前記スリットの弧角および前記スリットの列数の少なくともいずれか一方が、少なくとも2つのロータユニット間で異なることで,リラクタンス磁束の磁路を少なくとも2つのロータユニット間で異ならせる
    回転電機。
  2. 前記複数段のロータユニットのそれぞれに配置される前記一対の永久磁石の位置は、前記複数段のロータユニットのすべてのロータユニットにおいて同一である
    請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記複数段のロータユニットのそれぞれに配置される前記一対の永久磁石が挿入される磁石挿入孔の形状および位置は、前記複数段のロータユニットのすべてのロータユニットにおいて同一である
    請求項1または2に記載の回転電機。
  4. 前記複数段のロータユニットのそれぞれに配置される前記スリットの端部の位置は、ロータユニット間で異なる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
  5. 各前記スリットは、一対の永久磁石が形成する磁極の中心線をとおるように形成されている
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の回転電機。
  6. 前記スリットの少なくとも両端の幅は、少なくとも2つのロータユニット間で異なる、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の回転電機。
  7. 前記複数段のロータユニットのそれぞれは、
    前記一対の永久磁石が挿入される一対の磁石挿入孔と、
    前記一対の磁石挿入孔に連結して設けられた一対のフラックスバリアと
    をさらに有し、
    前記一対のフラックスバリアの外周側端部と前記回転軸中心とをそれぞれ結んだ2つの直線が成す角度を、前記一対のフラックスバリアが成す角度としたとき、
    前記一対のフラックスバリアが成す角度は、少なくとも2つのロータユニット間で異なる、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の回転電機。
  8. 前記複数段のロータユニットのうち、少なくとも1つのロータユニットの前記スリットの対称軸が、他のロータユニットの前記スリットの対称軸に対して、前記回転子の回転軸を軸中心とする回転方向にシフトされて配置されている、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の回転電機。
  9. 前記一対の磁石挿入孔の形状および位置は、前記複数段のロータユニット間で互いに同一である、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の回転電機。
  10. 前記複数段のロータユニットの段数は、3以上である、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の回転電機。
  11. 前記複数段のロータユニットは、第1ロータユニットと第2ロータユニットの2種類から構成され、
    前記第1ロータユニットと前記第2ロータユニットとは交互に積層されている、
    請求項1から10までのいずれか1項に記載の回転電機。
  12. 前記スリットの前記弧角を、前記一対の永久磁石が形成する磁極の中心線から2つに分けて、一方を回転方向進み側の弧角とし、他方を回転方向戻り側の弧角としたとき、
    前記複数段のロータユニットのそれぞれにおいて、前記回転方向進み側の弧角と前記回転方向戻り側の弧角とは互いに異なり、
    前記回転方向進み側の弧角は、少なくとも2つのロータユニット間で異なり、
    前記回転方向戻り側の弧角は、少なくとも2つのロータユニット間で異なる、
    請求項1から11までのいずれか1項に記載の回転電機。
  13. 環状の固定子と、
    前記固定子の内側に設けられた回転子と
    を備え、
    前記回転子は、軸方向に積層された複数段のロータユニットを有し、
    前記複数段のロータユニットのそれぞれは、一対の永久磁石と、前記一対の永久磁石間に設けられ、直線状に延びた1列以上の帯状形状のスリットとを有し、
    前記複数段のロータユニットのそれぞれに配置される前記一対の永久磁石の形状は、それぞれの前記複数段のロータユニットにおいて同一であり、
    前記帯状形状のスリットの第1端は、前記一対の永久磁石のうち、回転方向戻り側に配置された一方の永久磁石側に配置され、
    前記帯状形状のスリットの第2端は、前記第1端の位置よりも回転方向進み側にシフトされ、且つ、前記回転子の外周側に配置され、
    前記第2端と前記回転子の回転軸中心とを結ぶ直線と、前記一対の永久磁石が形成する磁極の中心線とが成す角度を、前記スリットの偏向角としたとき、
    前記帯状形状のスリットの偏向角および前記スリットの列数の少なくともいずれか一方が、少なくとも2つのロータユニット間で異なることで,リラクタンス磁束の磁路を少なくとも2つのロータユニット間で異ならせる
    回転電機。
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