JP2013005490A - 回転電機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】できるだけ少ない損失で可変磁束型の回転電機におけるトルクリップルを抑制する技術を提供する。
【解決手段】相対位置を調整可能な第1ロータ及び第2ロータを有するロータユニットを備えた可変磁束型の回転電機の相対位置を固定した状態でロータユニットを回転させた場合にロータユニットのトルクに現れるトルクリップルを抑制するように、ロータユニットの回転位置に応じて相対位置を変動させる。
【選択図】図11

Description

本発明は、可変磁束型の回転電機を制御対象とする回転電機制御装置に関する。
今日、永久磁石型の回転電機(PMSM:permanent magnet synchronous motor)が広く用いられている。PMSMでは、通常、永久磁石はロータコアに固定されているため、ロータから発生する磁束は一定である。このため、PMSMでは、ロータの回転速度が上昇するに従ってステータコイルに発生する誘起電圧が高くなるが、この誘起電圧が駆動電圧を超えないように制御する必要がある。このため、ある回転速度以上では、トルクに寄与しない電流をステータコイルに流して永久磁石からの磁束を相殺し、ロータからの磁界を実質的に弱める弱め界磁制御が行われる。但し、弱め界磁制御を行うと回転電機から出力されるトルクに対してステータコイルに流れる電流が大きくなるため、銅損が大きくなり効率が低下する。また、永久磁石からステータに到達する磁束が一定のままでは、ロータの回転速度が高い領域において、ステータコアに生じる鉄損も大きくなり、効率が低下する。
そこで、ロータが備える永久磁石からステータに到達する磁束をロータの回転速度に応じて変化させる可変磁束型の回転電機が提案されている。特開2002−58223号公報(特許文献1)には、径外側ロータ(100)と、このロータの径内側に収容される径内側ロータ(200)とを有した回転電機が開示されている(符号は特許文献1のもの。以下、背景技術の説明において同様。)。ステータコア(301)の内周面に対面しつつ回転する径外側ロータ(100)は、界磁束を形成する永久磁石(103)を有する。径内側ロータ(200)は、径外側ロータの内周面に対面する外周面を有して回転自在に配接されるヨーク又は磁石ロータからなる。両ロータの周方向の相対位相は、ギヤハウジング(4)内に収納された遊星減速ギヤ機構により変更可能である(特許文献1:第27〜37段落、図1〜3、要約等。)。
ところで、永久磁石型の回転電機は、ロータが回転する際の鎖交磁束の変化に伴ってトルクが細かく変動し、トルクリップルやコギングトルクと称される脈動を生じることがある。トルクリップルは、回転電機の騒音や振動の原因ともなるので、これを抑制する技術が種々提案されてきた。上述したような可変磁束型の回転電機においても、このようなトルクリップルは生じるので、トルクリップルを抑制する対策が施されることが望ましい。トルクリップルは、回転電機に対する電流指令を調整することによって抑制することも可能であるが、トルクに寄与しない電流を流すと損失を増加させることにもつながる。従って、できるだけ少ない損失でトルクリップルを抑制する技術の提供が望まれる。
特開2002−58223号公報
上記背景に鑑みて、できるだけ少ない損失で可変磁束型の回転電機におけるトルクリップルを抑制する技術の提供が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る回転電機制御装置の特徴構成は、
相対位置を調整可能な第1ロータ及び第2ロータを有するロータユニットと、ステータコイルを有するステータとを備え、前記第1ロータ及び前記第2ロータの少なくとも一方に備えられた永久磁石により生じて前記ステータコイルに鎖交する界磁磁束が前記相対位置に応じて変化する可変磁束型の回転電機を制御対象とする回転電機制御装置であって、
前記相対位置を調整する相対位置制御部を備え、
前記相対位置制御部は、前記相対位置を固定した状態で前記ロータユニットを回転させた場合に前記ロータユニットのトルクに現れるトルクリップルを抑制するように、前記ロータユニットの回転位置に応じて前記相対位置を変動させるトルクリップル抑制制御を実行する点にある。
ロータユニットを構成する第1ロータと第2ロータとには、ステータからの電機子磁束(回転磁界)に応じてそれぞれトルクが生じる。これら2つのロータを有するロータユニットのトルクは、第1ロータに生じるトルクと第2ロータに生じるトルクとを合算したものである。ここで、第1ロータ及び第2ロータの何れか一方を基準として、ロータユニットのステータに対する相対位置(回転位置)を規定する。可変磁束型の回転電機では、この相対位置(回転位置)が同じであっても、電機子磁束や永久磁石による界磁磁束が通る経路が変動する。このため、第1ロータと第2ロータとの相対位置を変更することによって、第1ロータと第2ロータとにそれぞれ生じるトルクも変化し、これらが合成されたロータユニットのトルクも変化する。各トルクに現れるトルクリップルも同様に変化することになる。換言すれば、ロータユニットの回転位置に応じて適切に第1ロータと第2ロータとの相対位置を設定すれば、ロータユニットのそれぞれの回転位置においてロータユニットに所望のトルクを出力させることができる。この所望のトルクを一定の値に近づけるように制御すれば、ロータユニットのトルクからトルクリップルが除かれることになる。本構成によれば、2つのロータの相対位置を調整する相対位置調整部が、相対位置を固定した状態でロータユニットを回転させた場合にロータユニットのトルクに現れるトルクリップルを抑制するように、ロータユニットの回転位置に応じて相対位置を変動させるトルクリップル抑制制御を実行する。従って、トルクに寄与しない電流を流すようなことなく、少ない損失で可変磁束型の回転電機におけるトルクリップルを良好に抑制することができる。
第1ロータに生じるトルクの方向と、第2ロータに生じるトルクの方向とが同じ方向となるとは限らない。両ロータのトルクの方向が異なると、合算されたトルクであるロータユニットのトルクが相殺されて小さくなってしまう。トルクリップルを抑制するためであっても、ロータユニットのトルクを減少させてしまうことは好ましくないので、両ロータのトルクの方向が回転方向における同じ方向となる範囲で相対位置が変動されると好適である。1つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置の前記相対位置制御部は、前記トルクリップル抑制制御において、前記第1ロータに生じる第1ロータトルクの方向と前記第2ロータに生じる第2ロータトルクの方向とが回転方向における同じ方向となる相対位置領域内で前記相対位置を変動させると好適である。
第1ロータに生じるトルクリップルは第1ロータを通る磁束の変化に伴って生じ、第2ロータに生じるトルクリップルは第2ロータを通る磁束の変化に伴って生じる。そして、ロータユニットのトルクリップルは、第1ロータ及び第2ロータのそれぞれに生じるトルクリップルの合算である。従って、ロータユニットの回転位置に応じて第1ロータと第2ロータとの相対位置を変動させることで、合算されたトルクリップルを小さくすることができる。より好適には、第1ロータトルクのトルクリップルと第2ロータトルクのトルクリップルとが互いに打ち消し合うように、両ロータのトルクを生じさせる相対位置が設定されるとよい。トルクリップルは、安定した直流成分(あるいは低周波数の交流成分)であることが望ましいロータユニットのトルクに対する交流成分である。従って、それぞれのロータに生じるリップル(交流成分)の位相を互いに異ならせることによって合算されたリップルの振幅を低減することができる。1つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置の前記相対位置制御部は、前記トルクリップル抑制制御として、前記相対位置を変動させることによって前記第1ロータトルクと前記第2ロータトルクとに互いに異なる位相のトルクリップルを生じさせると共に、前記第1ロータトルクのトルクリップルと前記第2ロータトルクのトルクリップルとが互いに打ち消し合うように前記相対位置を前記ロータユニットの回転位置に応じて変動させる制御を実行すると好適である。
相対位置が磁束最大位置から離れるに従ってロータユニットのトルクは小さくなるため、相対位置が一定の範囲を超えると、必要なトルクを出力することができなくなる。このため、所定範囲内で相対位置を調整する必要がある。例えば、相対位置を漸次変化させていくことを、上述したような所定の範囲内において繰り返すようにすると、トルクリップルを安定的に抑制する上で好ましい。つまり、ロータの回転位置の変化に従って相対位置を次第に一方向に変化させた後、一気に逆方向に戻す制御が周期的に繰り返されると好適である。1つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置の前記相対位置制御部は、所定の制御周期ごとに前記相対位置を決定するものであり、前記ロータユニットの回転位置の変化に応じて前記相対位置を複数回の前記制御周期にわたって一方向に次第に変化させた後、1回の前記制御周期で複数回の前記制御周期にわたる前記相対位置の変化量に相当する変化量を逆方向に変化させる制御を、周期的に繰り返すと好適である。
可変磁束型の回転電機は、第1ロータと第2ロータとの相対位置に応じて、ロータユニットが備える永久磁石からステータに到達する磁束を変化させることが可能である。例えば、ロータユニットの回転速度が高くなると、逆起電力も大きくなるので、磁束が少なくなるように両ロータの相対位置が変更することが可能である。相対位置制御部は、この相対位置を基準相対位置として、回転電機の動作状態(例えば、回転速度や目標トルクなど。)に応じて設定することが可能である(例えば、基準相対位置設定制御。)。さらに、相対位置制御部は、この基準相対位置においてロータユニットのトルクに現れるトルクリップルを抑制するために、上述したトルクリップル抑制制御を実施することが可能である。この際、基準相対位置におけるロータユニットの平均トルクを出力するように、トルクリップル抑制制御が実行されて相対位置が決定されると好適である。つまり、相対位置制御部は、基準相対位置における目標トルクを出力しつつ、トルクリップルを抑制可能なように両ロータの相対位置を調整することができる。
1つの好適な態様として、本発明に係る回転電機制御装置の前記相対位置制御部は、前記トルクリップル抑制制御とは別に、前記回転電機の動作状態に応じた前記界磁磁束を実現するための前記相対位置である基準相対位置を設定する基準位置設定制御を実行するように構成され、前記トルクリップル抑制制御において、前記基準相対位置における前記ロータユニットのトルクの平均トルクを出力する前記相対位置が規定されたリップル抑制位置マップに基づいて前記相対位置を変動させると好適である。
尚、始動時など、回転電機の動作状態が低回転で高トルクの場合には、誘起電圧は問題ではなく、高トルクを出力するために永久磁石からステータに到達する磁束が最大磁束となるように両ロータの相対位置が調整される。つまり、基準相対位置として、界磁磁束が最大となる相対位置が選択される。このような相対位置では、界磁磁束が強いために、トルクリップルも大きくなる。従って、トルクリップル抑制制御により、トルクリップルが抑制されると好適である。また、実質的にこのような相対位置は、初期位置として設定される場合が多いので、相対位置制御部は、基準相対位置設定制御にはほとんど演算負荷を掛けず、トルクリップル抑制制御を実行することができる。例えば、装置規模や演算時間などの制約により、基準相対位置設定制御とトルクリップル抑制制御との何れか一方しか実行できないような場合、少なくとも界磁磁束が最大となる相対位置においてトルクリップル抑制制御が実行可能な相対位置制御部が備えられていれば、良好にトルクリップルを抑制可能な回転電機制御装置を得ることができる。
可変磁束型の回転電機の構成の一例を示す模式図 ロータユニット及びステータの構造の一例を示す回転軸直交断面図 界磁磁束が最大となる相対位置(位相0度)の磁束分布の一例を示す図 界磁磁束が最小となる相対位相(位相90度)の磁束分布の一例を示す図 回転電機制御装置の構成の一例を模式的に示すブロック図 各ロータのトルクとロータユニットのトルクの関係を示すグラフ ロータユニットの回転位置と第2ロータトルクとの関係を示すグラフ ロータユニットの回転位置と第1ロータトルクとの関係を示すグラフ ロータユニットの回転位置と合計トルクとの関係を示すグラフ 両ロータの位相差と捻り合いトルクとの関係を示すグラフ ロータユニットの平均トルクと両ロータの位相差との関係を示す波形図 各ロータのトルク、ロータユニットのトルク、両ロータの位相差の相対関係を示す波形図 ロータユニット及びステータの構造の他の例を示す回転軸直交断面図
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。はじめに、図1〜図5を利用して、本実施形態において例示する可変磁束型の回転電機の構造、制御形態について説明する。図1の模式図に示すように、本実施形態で例示する可変磁束型の回転電機100は、回転機構部20と、相対位置調整機構50とを有して構成される。回転機構部20は、本実施形態では、一定の範囲内で周方向の相対位置を調整可能な第1ロータ41及び第2ロータ42を有するロータユニット40と、ステータコイル32を有するステータ30とを備えて構成されている。本例では、回転機構部20は、相対的にステータ30の内側にロータユニット40が備えられたインナーロータ型の構造である。ロータユニット40は、相対的に内側に配置される内側ロータ(第1ロータ41)と相対的に外側に配置される外側ロータ(第2ロータ42)とを有して構成されている。第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置は、相対位置調整機構50により調整可能である。ステータコイル32に鎖交する界磁磁束は、この相対位置の調整により、つまり、第1ロータ41と第2ロータ42との周方向(ロータ回転方向)の相対位置に応じて変化する。即ち、回転電機100は、ロータユニット40に備えられた永久磁石により生じてステータコイル32に鎖交する界磁磁束を、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置に応じて調整可能な可変磁束型の回転電機である。
ロータユニット40を構成する第1ロータ41及び第2ロータ42の少なくとも一方には永久磁石が備えられる。本実施形態では、第1ロータ41のみに永久磁石が備えられる例を示している。図2〜図4等に示すように、第1ロータ41は、ロータコア(第1ロータコア43)の内部に埋め込まれて、ステータコイル32と鎖交する界磁磁束を提供する永久磁石24(24N,24S)を備えて構成される。一方、第2ロータ42は、界磁磁束に対して磁気抵抗となる磁気抵抗部としての空隙48をロータコア(第2ロータコア44)に備えて構成される。これら2つのロータ41,42の周方向の相対位置に応じてステータコイル32に鎖交する界磁磁束が変化し、可変磁束型の回転機構部20が実現される。図1に示すように、回転機構部20は、第1ロータ41と第2ロータ42との周方向の相対位置を調整する相対位置調整機構50と共に可変磁束型の回転電機100を構成する。回転電機100の駆動力(トルクと同義)は出力軸Xに伝達可能に構成されている。
回転機構部20の電機子を構成するステータ30は、ステータコア31とステータコア31に巻装されたステータコイル32とを備えている。ステータコア31は、本例では、複数枚の電磁鋼板を積層して構成されており、円筒状に形成されてケース(図示は省略)に固定されている。界磁を構成するロータユニット40は、ステータ30の径方向内側において、ステータ30に対して回転軸周りに回転可能に上記ケースに支持されている(図示は省略)。第1ロータ41の第1ロータコア43及び第2ロータ42の第2ロータコア44は、本例では、ステータコア31と同様に複数枚の電磁鋼板を積層して構成されている。ロータユニット40を構成する第2ロータ42は、一定の径方向厚さを有する円筒状に形成され、内側に第1ロータ41を備えている。第1ロータ41と第2ロータ42とは、同軸に配置される。図1に示すように、第1ロータコア43及び第2ロータコア44は、径方向視において重複するように配置されている。本例では、第1ロータコア43及び第2ロータコア44は、軸方向に同じ長さ(軸方向長さ)を有し、径方向視において完全に重複するように配置されている。第1ロータ41は、第1ロータコア43を支持すると共に第1ロータコア43と一体回転する第1ロータコア支持部材45を備えている。また、第2ロータ42は、第2ロータコア44を支持すると共に第2ロータコア44と一体回転する、第2ロータコア支持部材46を備えている。
本実施形態では、図3に示すように、第2ロータコア44は、界磁磁束に対して磁気抵抗となる空隙(磁極間空隙、磁気抵抗部)48を備えている。この空隙48は、両ロータ41,42の相対位置が所定の初期位置(相対位相γ=0度)にある状態で、周方向に隣接する磁極の磁極端部の間(即ち、磁極間)に配置される。この空隙48により、第1ロータ41と第2ロータ42との間の周方向の相対位置に応じてステータコイル32に到達する鎖交磁束が変化する。以下、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置を電気的(磁気的)な位相によって表す場合には、適宜、相対位相や位相、位相差などと称する。
図3は、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置(相対位相γ)に応じた、マグネットトルクに関係する界磁磁束(d軸磁束)を破線により例示している。相対位相γは、電気角で示されている。図3は、ロータユニット40の軸直交断面を示しており、おおよそ電気角の1周期に相当する部分断面図である。例えば、図3は、永久磁石24から第2ロータコア44内を通る漏れ磁束が抑制されてステータ30に到達する磁束(界磁磁束)が多くなる状態を例示している。一方、図4は、第2ロータコア44内を通る漏れ磁束が多くなってステータ30に到達する磁束が少なくなる状態を例示している。このように、永久磁石24及び空隙48は、ステータ30に到達する磁束(界磁磁束)が多くなる状態(図3:γ=0度)と、ステータ30に到達する磁束が少なくなる状態(図4:γ=90度)との間で遷移可能に配置されている。つまり、第1ロータ41と第2ロータ42との間の周方向の相対位置を調整することによって、ステータコイル32に到達する鎖交磁束が調整可能である。
図1に示すように、相対位置調整機構50は、第1ロータコア43と一体回転する第1ロータコア支持部材45と、第2ロータコア44と一体回転する第2ロータコア支持部材46との間の周方向の相対位置を調整する機構である。本実施形態では、相対位置調整機構50は、第1差動歯車装置51及び第2差動歯車装置52の2つの差動歯車装置(差動歯車機構)を備えて構成される。第1差動歯車装置51及び第2差動歯車装置52は、本実施形態では、3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。第1差動歯車装置51は、複数のピニオンギヤを支持する第1キャリヤ51bと、これらピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第1サンギヤ51a及び第1リングギヤ51cとを回転要素として有している。また、第2差動歯車装置52は、複数のピニオンギヤを支持する第2キャリヤ52bと、これらピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第2サンギヤ52a及び第2リングギヤ52cとを回転要素として有している。
第1サンギヤ51aは、第1ロータコア支持部材45と一体回転するように駆動連結され、第2サンギヤ52aは、第2ロータコア支持部材46と一体回転するように駆動連結されている。第1キャリヤ51b及び第2キャリヤ52bは、出力軸Xと一体回転するように駆動連結されている。これにより、第1ロータコア支持部材45及び第2ロータコア支持部材46は、相対位置調整機構50を介して出力軸Xに駆動連結される。即ち、本例では、第1ロータコア支持部材45と第2ロータコア支持部材46との双方が、相対位置調整機構50を介して共通の出力軸Xに駆動連結されている。また、第2リングギヤ52cは、リング状部材を介してケースの内壁80に固定されている。
第1リングギヤ51cの外周面(径方向外側を向く面、以下同様)にはウォームホイール54bが設けられている。このウォームホイール54bは、第1リングギヤ51cの
回転位置(周方向位置)を調整するためのウォームギヤ54aと噛み合っている。ウォームギヤ54aは、モータなどの駆動力源(アクチュエータ)56と接続されている(図5参照)。この駆動力源56によりウォームギヤ54aを回転させることで、ウォームホイール54bを介して第1リングギヤ51cの回転位置(周方向位置)を変えることができる。第1リングギヤ51cの回転位置の調整時には駆動力源56によりウォームギヤ54aが回転駆動され、調整時以外では停止した駆動力源56を介してウォームギヤ54aが固定される。つまり、第1リングギヤ51cは、回転位置の調整時を除いて固定された状態となる。
本実施形態では、第1キャリヤ51bと第2キャリヤ52bとは一体的に一体キャリヤ53を構成しており、一体キャリヤ53が出力軸Xと一体回転するように駆動連結されている。また、本実施形態では、第1差動歯車装置51と第2差動歯車装置52とは互いに同径に構成され、第1差動歯車装置51の歯数比(=第1サンギヤ51aの歯数/第1リングギヤ51cの歯数)と第2差動歯車装置52の歯数比(=第2サンギヤ52aの歯数/第2リングギヤ52cの歯数)とは互いに等しく設定されている。そして、第1リングギヤ51cの回転位置の調整時を除いて、第1リングギヤ51c及び第2リングギヤ52cの双方は固定された状態となる。よって、第1サンギヤ51aに駆動連結された第1ロータコア支持部材45と、第2サンギヤ52aに駆動連結された第2ロータコア支持部材46とは、互いに同じ回転速度(ロータ回転速度)で回転する。本実施形態では、出力軸Xの回転速度は、ロータ回転速度に対して減速されたものとなり、出力軸Xには、回転機構部20のトルクが増幅されて伝達される。
上述したように、本実施形態では、第2リングギヤ52cがケースの内壁80に固定されているのに対し、第1リングギヤ51cは回転位置が調整可能となっている。即ち、キャリヤが一体的に形成された2つの遊星歯車機構において、一方のリングギヤを他方のリングギヤに対して周方向に相対移動(すなわち相対回転)させることが可能となっている。この相対回転に伴い、一方のサンギヤが他方のサンギヤに対して相対回転する。よって、第1リングギヤ51cの回転位置を調整することで、第1サンギヤ51aと第2サンギヤ52aとの間の周方向の相対位置を調整することができる。その結果、第1ロータコア支持部材45と第2ロータコア支持部材46との間の周方向の相対位置を調整することができる。
ところで、本発明の回転電機制御装置は、このような回転機構部20をロータユニット40と同速度で回転する回転座標系に設定された直交ベクトル空間におけるベクトル制御によって制御する。また、本発明の回転電機制御装置は、一定の範囲内で周方向の相対位置を調整可能な第1ロータ41及び第2ロータ42を有するロータユニット40の、当該相対位置を制御する。以下、図5も利用して、そのような回転電機制御装置の好適な実施形態について説明する。回転機構部20及び相対位置調整機構50を制御する各機能部は、好適にはマイクロコンピュータやDSP(digital signal processor)などのハードウェアと、当該ハードウェア上で実行されるプログラムなどのソフトウェアとの協働によって実現される。従って、各機能部は、一部又は全てにおいて、同一のハードウェアや、同一のプログラムモジュールが兼用されるものであってよい。
図5に示すように、回転電機制御装置は、主として相対位置調整機構50を制御する機能部として、相対位置制御部1を備えて構成されている。相対位置制御部1により、不図示の駆動回路を介して駆動力源56が駆動されることによって差動歯車装置51,52(特に第1差動歯車装置51)が駆動制御される。また、回転電機制御装置は、主として回転機構部20を制御する機能部として、インバータ制御部3を備えて構成されている。インバータ制御部3は、例えば、トルク制御部(電流指令演算部)、電流制御部(電圧指令演算部)、電圧制御部(駆動指令演算部)などを備えて構成される。インバータ制御部3により、直流電圧源8とステータコイル32との間で直流交流変換を行うインバータ6が駆動制御される。
また、回転電機制御装置は、位置検出部93と、速度検出部94とを備えて構成されている。ステータ30には、互いに直交する固定軸として例えばα軸及びβ軸が設定される。α軸及びβ軸により規定されるα−βベクトル空間は固定座標系である。ステータ30に対するロータユニット40の位置が所定の基準位置である場合、α軸はd軸と一致し、β軸はq軸と一致する。つまり、固定座標系のα−βベクトル空間と、回転座標系のd−qベクトル空間とが一致する。本実施形態の場合、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位相γが変動するので、何れかのロータ、例えば外ロータである第2ロータ42の位置を基準としてd軸及びq軸を規定する。
ロータユニット40がステータ30に対して回転すると、固定座標系のα軸と回転座標系のd軸との間には、電気角における回転角度θが生じる(β軸とq軸との間も同様)。ロータユニット40の回転角度θは、レゾルバなどの回転センサ92を利用して計測され、位置検出部93においてα軸とd軸との角度として検出される。当然ながら、回転センサ92が回転角度θを出力するように構成されていてもよい。この回転角度θを用いて、3相のステータコイル32と、回転座標系のd−qベクトル空間との間における電気信号の座標変換が行われる。
相対位置制御部1は、界磁磁束を調整するための相対位置(相対位相γ)を示す位相指令γを設定し、相対位置調整機構50を制御して相対位置を調整する機能部である。相対位置制御部1は、例えば、回転電機100の動作状態に応じて規定されたγマップ7(位相マップ)に基づいて、位相指令γを決定して、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置を調整する(基準位置設定制御)。ここで、回転電機100の動作状態とは、例えば目標トルクT及び回転速度ωである。相対位置調整機構50の実際の移動量は、センサ等によって検出された実際の相対位相、あるいは駆動回路に与えた駆動信号から予測される推測値として、相対位置制御部1により取得される。相対位置制御部1は、検出された相対位相や推測値としての相対位相を、相対位相γとしてインバータ制御部3に伝達してもよい。上述した位相指令γや相対位相γは、トルクリップルを抑制するためのトルクリップル抑制制御における位相指令γや相対位相γではなく、基準位置設定制御における位相指令γや相対位相γである。以下、トルクリップル抑制制御の説明を容易にするために、ここでは、基準位置設定制御における位相指令γがγ=0に設定され、相対位相γがγ=0(初期位置)である場合を例として説明する。
インバータ制御部3は、目標トルクT及び回転速度ωに基づき、相対位相γに対応するトルクマップ(電流指令マップ)を参照してステータコイル32に流す電流の指令である電流指令id,iqを演算する。電流指令マップは、回転機構部20のトルク特性(トルクマップ)に基づいて予め生成されたマップである。尚、必要に応じてインバータ制御部3は、直流電圧源8の正極Pと負極Nとの間の直流電圧に対するステータコイル32の3相交流電圧の実効値の比率であり、変換率を示す変調率も用いて電流指令id,iqを演算する。
次に、インバータ制御部3は、電流フィードバック制御を行って電圧指令vd,vqを演算する。具体的には、電流センサ91によって測定された、実際にステータコイル32を流れる実電流iu,iv,iwをフィードバックし、電流指令id,iqとの偏差を取って比例積分(PI)制御や比例微積分(PID)制御を実施する。尚、本実施形態では、ホール効果を利用してバスバーなどの電流配線に近接して非接触で電流を検出する電流センサ91を例示している。また、本実施形態では、3相全ての電流を検出する例を示しているが、3相は平衡しているので、2相のみを検出して残りの1相は演算により求めてもよい。uvw相の3相のステータコイル32を流れる実電流iu,iv,iwは、3相交流であるからインバータ制御部3において2相のフィードバック電流に変換される。一般的には、3相から2相への変換に際しては、固定座標系であるα−βベクトル空間と回転座標系との角度、例えば、ロータユニット40の回転角度θに基づいて座標変換される。
次に、インバータ制御部3は、電圧指令vd,vqに基づいてインバータ6を構成するIGBTなどのスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成して、インバータ6をスイッチング制御する。インバータ6は、よく知られているように、3相それぞれに対応する3レッグのブリッジ回路により構成される。直流電圧源8の正極Pと負極Nとの間に2つのIGBTが直列に接続され、この直列回路が3回線並列接続される。つまり、u相、v相、w相に対応するステータコイル32のそれぞれに1組の直列回路(アーム)が対応したブリッジ回路が構成される。対となる各相のIGBTによる直列回路の中間点、つまり、IGBTの接続点はステータコイル32にそれぞれ接続される。
駆動信号は、例えば各IGBTのゲート駆動信号として生成される。一般的に、インバータを駆動するパワー系の電気回路と、マイクロコンピュータなどの電子回路とは、電源電圧が大きく異なる。このため、低電圧の電子回路により生成されたIGBTのゲート駆動信号は、ドライバ回路を介して高電圧のパワー系の電気回路に配置された各IGBTに供給される。図5では、このドライバ回路もインバータ6に含むものとして図示している。
永久磁石型の回転電機は、ロータが回転する際の鎖交磁束の変化に伴ってトルクが細かく変動し、トルクリップルやコギングトルクと称される脈動を生じる。図6は、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位相(位相差)γ=0°の場合(基準相対位置が初期位置の場合)の第1ロータ41及び第2ロータ42の各トルク、及びロータユニット40のトルクを示している。図6は、相対位置を位相差γ=0°で固定した状態で、ロータユニット40をおおよそ電気角60°に相当する範囲で回転させた場合のトルクを示している。
本実施形態では、相対位置が位相差γ=0°の場合には、第2ロータ42に設けられた空隙48がステータ30からの界磁磁束の通り道とは外れた位置に配置されている。このため、永久磁石24を備えた内側ロータである第1ロータ41を通る磁束は、永久磁石24の磁力によりほぼ拘束されることになり、磁力線の方向はロータユニット40が回転してもほぼ一定となる。磁力線の方向がロータユニット40の回転に応じて変化すると、この変化に応じたトルクが生じるが、相対位置が位相差γ=0°の場合には、磁力線の方向がほぼ一定に維持されることにより、大きなトルクは生じない。図6に示すように、第1ロータ41のトルクである第1ロータトルクの大きさは第2ロータのトルクである第2ロータトルクに比べて小さくなっている。また、磁力線の方向がほぼ一定に維持されることにより、トルクリップルも小さくなり、図6に示すように、第1ロータトルクはほぼ一定となっている。
一方、本実施形態では、第2ロータ42には永久磁石24が備えられておらず、第1ロータ41に比べて回転磁界である電機子磁束の磁力線の向きが変わり易い。このため、ロータユニット40の回転に応じて変化する磁力線の方向の変化に応じたトルクは大きくなり、図6に示すように第2ロータトルクは第1ロータトルクよりも大きなトルクとなる。また、磁力線の方向が変わりやすいことから、第2ロータトルクには第1ロータトルクに比べて大きなトルクリップルが現れる。このトルクリップルは、高調波成分として現れる。本実施形態のように、ステータ30が48スロット、永久磁石24が4極対の場合には、12次高調波が強く表れることが知られている。第1ロータトルクと第2ロータトルクとを合算した合計トルクがロータユニット40のトルクであるロータユニットトルクとなる。上述したように、相対位置が位相差γ=0°の場合には、第1ロータトルクにはほとんどトルクリップルはなく、ロータユニットトルクには、第2ロータトルクに重畳されるトルクリップルがほぼそのまま現れることになる。
本発明の回転電機制御装置では、このようなトルクリップルを抑制するために、相対位置制御部1によりトルクリップル抑制制御が実行される。具体的には、相対位置制御部1は、相対位置を固定した状態でロータユニット40を回転させた場合にロータユニットトルクに現れるトルクリップルを抑制するように、ロータユニット40の回転位置(回転角度θ)に応じて相対位置を変動させるトルクリップル抑制制御を実行する。
図7〜図9は、異なる相対位置で両ロータを固定した状態で、ロータユニット40を電気角でおおよそ60°回転させた範囲におけるロータユニット40の回転位置と各トルクとの関係を示している。図に示すように、異なる相対位置として、位相差γ=0°、10°、20°、30°、−10°、−20°、−30°の場合のトルクを例示している。また、図7は第2ロータトルクを示し、図8は第1ロータトルクを示し、図9は合計トルクであるロータユニットトルクを示している。
図7及び図8を参照すると、相対位置に応じて第2ロータトルク及び第1ロータトルクの大きさが大きく変化することが判る。ここで、相対位置とトルクの大きさとの関係は、第1ロータトルクと第2ロータトルクとで、ほぼ逆の関係となる。つまり、図7に示すように、第2ロータトルクは、位相差γ=0°の相対位置の場合のトルクが最も大きく、位相差γの絶対値が大きくなるに従ってトルクが小さくなる傾向がある。一方、図8に示すように、第1ロータトルクは、位相差γ=0°の相対位置の場合のトルクに比べて、位相差γが正方向に大きくなるに従ってトルクが大きくなる傾向がある。位相差γが負の場合には、位相差γ=0°の場合よりもトルクが小さくなることがあるが、位相差γの絶対値が大きくなるに従ってトルクが大きくなる傾向が見られることは同様である。このため、図9に示すように、第1ロータトルクと第2ロータトルクとの合成トルクであるロータユニットトルクは、振幅中心(平均値)がほぼ同じような大きさのトルクとなる。
また、図7を参照すると、相対位置に応じて第2ロータトルクに現れるトルクリップルの位相が変化していることが判る。また、図8を参照すると、相対位置が位相差γ=0°の場合にはほぼ一定であった第1ロータトルクにも、相対位置によってはトルクリップルが現れることが判る。また、そのトルクリップルは、第2ロータトルクと同様に相対位置に応じて変化していることが判る。上述したように、ロータユニットトルクは、振幅中心(平均値)がほぼ同じような大きさのトルクとなっている。従って、相対位置を適切に変動させることによって、ロータユニットトルクのトルクリップルを低減させて、ロータユニットトルクをほぼ一定の値とすることができる。
尚、図8に示すように、本実施形態では、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置によっては、第1ロータトルクの方向と第2ロータトルクの方向とが逆方向となる場合がある。図10は、第1ロータ41と第2ロータ42との相対位置と、第1ロータトルクとの関係を示している。つまり、図10は、ロータユニット40がある回転位置(例えばθ=10°)の場合に、相対位置を位相差γ=−30°〜30°の範囲で変動させた場合の第1ロータトルクの変化を示している。図10から明らかなように、ブロック矢印Y9で示す位相差領域(相対位置領域)では、第1ロータトルクが負の値となり、ロータユニット40の回転方向(第2ロータトルクの方向及びロータユニットトルクの方向)とは逆方向となる。つまり、第1ロータトルクと第2ロータトルクとが互いに逆方向のトルクとなる「捻れ」が生じる。このような捻れが生じる位相差領域では、トルクが相殺されるために回転電機の効率が低下する。従って、相対位置を適切に変動させることによって、ロータユニットトルクのトルクリップルを低減させるに際しては、このような捻れが生じる位相差領域を外して、所定の位相差領域(所定の相対位置領域)が設定されると好適である。後述するように、位相差γ=0°の相対位置を基準相対位置とする本実施形態では、おおよそ位相差γ=0°からγ=20°(概ね十数°)までの範囲を所定の相対位置領域とする。
図11は、相対位置制御部1によるトルクリップル抑制制御の原理を示している。図11においてトルクTavは、相対位置がγ=0°の場合の平均トルク(ロータユニットトルクの振幅中心)を示している。相対位置制御部1によるトルクリップル抑制制御における制御目標値は、この平均トルクTavである。図11に示すように、ロータユニット回転位置(回転角度θ)がAのときには、相対位置がγ=0°の場合のロータユニットトルクの値が平均トルクTavとなる。また、ロータユニット位置がθ=Bのときには、相対位置がγ=10°の場合のロータユニットトルクの値が平均トルクTavとなる。図7〜図10を利用して上述したように、各ロータのトルクやロータユニットトルクは相対位置に応じて変化する。ここで、図11の下段に示すように、ロータユニット40の回転位置がθ=Aのときの相対位置を位相差γ=0°とし、ロータユニット40の回転位置がθ=Bのときの相対位置を位相差γ=10°として、θ=Aからθ=Bへとロータユニット40の回転位置が変化するに従って位相差γ=0°からγ=10°へと相対位置を次第に変化させる。これにより、図11の上段に破線のブロック矢印Y1で示すように、ロータユニット40がθ=Aからθ=Bまで回転する間、ロータユニットトルクの値は平均トルクTavとなり、トルクリップルが抑制される。
ロータユニット位置がθ=Bからθ=Cに向かう場合も同様である。図11の上段に破線のブロック矢印Y2で示すように、ロータユニット40がθ=Bからθ=Cまで回転する間、ロータユニットトルクの値は平均トルクTavとなり、トルクリップルが抑制される。ここで、ロータユニット位置がθ=Cでは再び相対位置がγ=0°の場合のロータユニットトルクの値が平均トルクTavとなる。従って、この場合、ロータユニット40の回転位置が変化するに従って次第に変化してきた相対位置は、ロータユニット40の回転位置がθ=Cに達すると直ちにγ=0°に復帰している。
上述したように、回転電機制御装置は、好適にはマイクロコンピュータなどを中核として構成される。従って、相対位置制御部1は、所定の制御周期ごとに相対位置を決定すると好適である。例えば、相対位置制御部1は、ロータユニット40の回転位置(回転角度θ)の変化に応じて相対位置(位相差γ)を複数回の制御周期にわたって一方向に次第に変化させた後、1回の制御周期で複数回の制御周期にわたる相対位置の変化量に相当する変化量を逆方向に変化させる制御を、周期的に繰り返す。つまり、図11の下段に例示されるように、相対位置制御部1は、ロータユニット40の回転位置(回転角度θ)の変化に応じて相対位置(位相差γ)をのこぎり波状に変化させる。尚、この際の「1回の制御周期で逆方向に変化させる変化量」は、「複数回の制御周期にわたって一方向に次第に変化した相対位置の総変化量」に「相当」するものであるが、「等価」な変化量に限定されるものではない。複数回の制御周期にわたって次第に変化する一方向とは逆方向に、当該一方向へ変化する際の単位変化量よりも大きな変化量で逆方向へ所定量変化すればよい。
図12は、相対位置制御部1のトルクリップル抑制制御による相対位置(位相差γ)の変化と、各トルクとの関係を示している。図12は、おおよそ、ロータユニット40が電気角で60°回転する範囲を示している。図12の下段に示すように、トルクリップル抑制制御の実行により相対位置を変動させることによって第1ロータ41に生じる第1ロータトルクと第2ロータ42に生じる第2ロータトルクとに互いに異なる位相のトルクリップルが生じる。この相対位相は、第1ロータトルクのトルクリップルと第2ロータトルクのトルクリップルとが互いに打ち消し合うようにロータユニット40の回転位置(回転角度θ)に応じて変動される。これにより、トルクリップルは抑制され、安定したロータユニットトルクが得られる。
尚、上述したように、一方向に次第に変化する相対位置の変化量と、その後に一気に逆方向へ変化する相対位置の変化量とは等価でなくてよい。また、図12の上段の右側に例示するように、必ずしも常に基準相対位置(本実施形態ではγ=0°)から一方向に次第に変化したり、常に基準相対位置に復帰したりしなくてもよい。
このようなロータユニット40の回転位置(回転角度θ)に応じた相対位置(相対位相γ)は、相対位置制御部1により位相指令γとして設定される。例えば、図5に示すγマップ7に、回転電機100の動作状態(目標トルクT及び回転速度ω)に応じた位相指令γtmp と共に、この位相指令γtmp を基準としてリップル抑制制御のために変動させる際の位相差Δγが記憶されていてもよい。相対位置制御部1は、例えば、目標トルクT、回転速度ω、回転角度θを引数としてγマップ7から位相差Δγが加味された位相指令γを読み出して設定することができる。この場合、γマップ7は、トルクリップル抑制制御において、基準相対位置におけるロータユニットトルクの平均トルクを出力する相対位置が規定されたリップル抑制位置マップに相当する。
また、別の構成として、回転電機100の動作状態(目標トルクT及び回転速度ω)に応じた仮の位相指令γtmp が格納されたマップ(例えばγマップ7)とは別にリップル抑制位置マップが備えられていてもよい。この場合、相対位置制御部1は、まず、回転電機100の動作状態(目標トルクT及び回転速度ω)に応じて、γマップ7から仮の位相指令γtmp を取得する。そして、相対位置制御部1は、回転角度θ及び仮の位相指令γtmp に基づいて、リップル抑制位置マップから位相指令γを読み出して設定する。
ところで、上記においては、相対位置制御部1が、常に基準位置設定制御とリップル抑制制御との双方を実行する場合を例として説明したが、何れか一方の制御を選択的に実行するように構成されていてもよい。基準位置設定制御は、主にロータユニット40の回転速度ωが高く、誘起電圧が高くなることを抑制することを目的としている。一方、リップル抑制制御は、ロータユニット40のトルクに現れるトルクリップルを抑制することを目的としている。そして、このようなトルクリップルは、回転電機100の始動時や強いトルクが要求される場合に影響が大きい。このような始動時や強いトルクが要求される場合には、誘起電圧は問題とはならない。従って、高トルクを出力可能とするために、永久磁石からステータに到達する磁束が最大磁束となるように両ロータの相対位置が調整される。つまり、基準位置設定制御が実行されたとしても、両ロータの相対位置は、上述した初期位置(相対位相γ=0°)に制御されることになる。例えば、基準位置設定制御を実行することなく、機械的な付勢力や油圧による初期化などによって相対位置を初期位置に設定することが可能であれば、基準位置設定制御を実行することなく、リップル抑制制御のみを実行することができる。
初期位置では、界磁磁束が強いために、トルクリップルも大きくなる傾向がある。従って、初期位置においては、トルクリップル抑制制御により、トルクリップルが抑制されると好適である。一方、ロータユニット40の回転速度ωが高く、誘起電圧が高くなるような場面では、トルクリップルが目立たない場合も多い。従って、回転電機100の動作条件や要求トルクなどに応じて、基準位置設定制御とリップル抑制制御との何れか一方の制御を選択的に実行するように相対位置制御部1が構成されていてもよい。
〔その他の実施形態〕
以下、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、可変磁束型の回転機構部20として、第1ロータ41のみに永久磁石24が備えられている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第2ロータ42のみに永久磁石24が備えられ、第1ロータ41に空隙が形成された構成とすることもできる。また、図13に示すように、第1ロータ41及び第2ロータ42の双方に永久磁石24が備えられてもよい。また、それぞれのロータ41,42が、永久磁石を備えると共に空隙を有していてもよい。当然ながら、永久磁石24の配置方向及び形状、空隙の方向及び形状等も、本実施形態に限定されるものではない。尚、界磁磁束を変更するための機構は、上記各形態に限定されることなく、様々な形態及び方式を用いることが可能である。例えば、ロータ内の永久磁石の位置や向きを変更することによって可変磁束型の回転電機が実現されてもよい。
(2)上記実施形態においては、ロータユニットとステータとが径方向に重複して設置される構成を例示した。しかし、この構成に限定されることなく、ロータユニットとステータとが軸方向に重複して設置されるアキシャル型の回転電機であってもよい。また、第1ロータと第2ロータが、径方向に異なる位置に配置される構成に限らず、軸方向に異なる位置に配置されてもよい。また、上記実施形態では、インナロータ型の回転電機を例として説明したが、当然ながらアウタロータ型の回転電機に適用することもできる。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本発明及び本発明と均等な構成を備え、発明の要旨を逸脱しなければ、上記実施形態の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
本発明は、相対位置を調整可能な第1ロータ及び第2ロータを有するロータユニットと、ステータコイルを有するステータとを備え、前記第1ロータ及び前記第2ロータの少なくとも一方に備えられた永久磁石により生じて前記ステータコイルに鎖交する界磁磁束が前記相対位置に応じて変化する可変磁束型の回転電機を制御対象とする回転電機制御装置に適用することができる。
γ :位相差、相対位相(相対位置)
θ :回転角度
ω :回転速度
1 :相対位置制御部
7 :γマップ(リップル抑制位置マップ)
20 :回転機構部
24 :永久磁石
30 :ステータ
32 :ステータコイル
40 :ロータユニット
41 :第1ロータ
42 :第2ロータ
50 :相対位置調整機構
100 :回転電機
Tav :平均トルク

Claims (5)

  1. 相対位置を調整可能な第1ロータ及び第2ロータを有するロータユニットと、ステータコイルを有するステータとを備え、前記第1ロータ及び前記第2ロータの少なくとも一方に備えられた永久磁石により生じて前記ステータコイルに鎖交する界磁磁束が前記相対位置に応じて変化する可変磁束型の回転電機を制御対象とする回転電機制御装置であって、
    前記相対位置を調整する相対位置制御部を備え、
    前記相対位置制御部は、前記相対位置を固定した状態で前記ロータユニットを回転させた場合に前記ロータユニットのトルクに現れるトルクリップルを抑制するように、前記ロータユニットの回転位置に応じて前記相対位置を変動させるトルクリップル抑制制御を実行する回転電機制御装置。
  2. 前記相対位置制御部は、前記トルクリップル抑制制御において、前記第1ロータに生じる第1ロータトルクの方向と前記第2ロータに生じる第2ロータトルクの方向とが回転方向における同じ方向となる相対位置領域内で前記相対位置を変動させる請求項1に記載の回転電機制御装置。
  3. 前記相対位置制御部は、前記トルクリップル抑制制御として、前記相対位置を変動させることによって前記第1ロータトルクと前記第2ロータトルクとに互いに異なる位相のトルクリップルを生じさせると共に、前記第1ロータトルクのトルクリップルと前記第2ロータトルクのトルクリップルとが互いに打ち消し合うように前記相対位置を前記ロータユニットの回転位置に応じて変動させる制御を実行する請求項1又は2に記載の回転電機制御装置。
  4. 前記相対位置制御部は、所定の制御周期ごとに前記相対位置を決定するものであり、前記ロータユニットの回転位置の変化に応じて前記相対位置を複数回の前記制御周期にわたって一方向に次第に変化させた後、1回の前記制御周期で複数回の前記制御周期にわたる前記相対位置の変化量に相当する変化量を逆方向に変化させる制御を、周期的に繰り返す請求項1から3の何れか一項に記載の回転電機制御装置。
  5. 前記相対位置制御部は、前記トルクリップル抑制制御とは別に、前記回転電機の動作状態に応じた前記界磁磁束を実現するための前記相対位置である基準相対位置を設定する基準位置設定制御を実行するように構成され、
    前記トルクリップル抑制制御において、前記基準相対位置における前記ロータユニットのトルクの平均トルクを出力する前記相対位置が規定されたリップル抑制位置マップに基づいて前記相対位置を変動させる請求項1から4の何れか一項に記載の回転電機制御装置。
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