JP2005094901A - ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 高出力化を図ると共に、騒音及び振動を低減することができ、回転バランスの良いステータ及びブラシレスモータを提供する。
【解決手段】 ロータ20のマグネット26に対向し放射状に配設された複数の鉄芯部35a〜35iにU相、V相、W層の3相の巻線が巻装されたブラシレスモータであって、鉄芯部35a〜35iのマグネット26に対向する面には、それぞれロータ回転軸に平行な切欠き溝50a〜50iが形成されている。
本例のブラシレスモータでは、それぞれ異なる位置に切欠き溝50を設けた3タイプの鉄芯部35が、周方向に順に配設されている。従って、隣り合う鉄芯部においては、常に各々の鉄芯部の中心線に対して、各々の切欠き溝の最も深く切り込まれた部位の位置が異なる構成とされている。また、各相の巻線は3タイプの鉄芯部に一箇所ずつ巻装され、各相の鉄芯部の切欠き溝50の体積は略同一となる。
【選択図】 図5
【解決手段】 ロータ20のマグネット26に対向し放射状に配設された複数の鉄芯部35a〜35iにU相、V相、W層の3相の巻線が巻装されたブラシレスモータであって、鉄芯部35a〜35iのマグネット26に対向する面には、それぞれロータ回転軸に平行な切欠き溝50a〜50iが形成されている。
本例のブラシレスモータでは、それぞれ異なる位置に切欠き溝50を設けた3タイプの鉄芯部35が、周方向に順に配設されている。従って、隣り合う鉄芯部においては、常に各々の鉄芯部の中心線に対して、各々の切欠き溝の最も深く切り込まれた部位の位置が異なる構成とされている。また、各相の巻線は3タイプの鉄芯部に一箇所ずつ巻装され、各相の鉄芯部の切欠き溝50の体積は略同一となる。
【選択図】 図5
Description
本発明はブラシレスモータに係り、特に作動時に発生するトルクリップルを低減することにより、騒音及び振動を低減する構造を有するブラシレスモータに関する。
ブラシレスモータ等の回転磁界型電動機は、ステータが有する複数の鉄芯部に巻装された巻線に順次電流が流されることにより回転磁界を発生させ、ロータに配設されたマグネット又は巻線による磁界と前記回転磁界との相互作用によってロータを回転させるように構成されている。そして、インナロータ型の電動機の場合は、該ロータの径方向外側にステータの鉄芯部が放射状に配置され、巻線の巻軸となる鉄芯部に巻線が巻装される構成となっている。
上記ステータはケイ素鋼板等の薄肉の磁性材料から成る所定形状のコアシートを電動機の回転軸方向に積層することによって形成されている。このようなステータには、ロータの径方向外側に配置される複数の鉄芯部と該複数の鉄芯部の半径方向内側の端部を互いに連繋する橋絡部とを備えた柱状のインナコアと、該インナコアの鉄芯部の半径方向外側の端部を互いに連繋して固定する円筒形状のアウタコアと、をそれぞれ所定形状のコアシートを積層することにより形成し、これらインナコアとアウタコアとを組み付けることにより形成されたものがある。
そして、このように構成されたステータの橋絡部の一部をコアシートの厚さよりも軸方向に薄く形成して実効断面積を縮小し、磁気抵抗を大きくすることによって、漏れ磁束を防ぐ構成としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、このように構成されたステータの橋絡部の一部をコアシートの厚さよりも軸方向に薄く形成して実効断面積を縮小し、磁気抵抗を大きくすることによって、漏れ磁束を防ぐ構成としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
上記構成の電動機では橋絡部を薄く形成することにより漏れ磁束を小さくして高出力化を図ることができる反面、橋絡部が薄く形成されることにより電動機に生起される回転トルクのコギングトルク(脈動トルク)が大きくなり、トルクリップル(トルクむら)が増大する。そして、このコギングトルク、トルクリップルは、ブラシレスモータ作動時の振動や騒音等の原因となっていた。
また、従来から、コギングトルクを低減させるため、鉄芯部の半径方向内側の面に切り込み部(補助溝)を設けたものがあった。コギングトルクは、ロータマグネットの磁極数とステータの突極磁極数との最小公倍数を1回転あたりの脈動数とする波形で発生し、コギングトルクの大きさは脈動数に反比例する。そして、この切り込み部では隣り合う鉄芯部間の空隙部と同様に磁気抵抗が増大されるため、ステータの突極磁極数を擬似的に増加させるのと同じ磁気的効果を奏する。従って、各々の鉄芯部に切り込み部を設けることにより、1回転あたりの脈動数が増加され、コギングトルクが低減されるというものがあった(例えば、特許文献2参照)。
また、巻線が巻装された鉄芯部からなる主極と主極との間に、巻線が巻装されない鉄芯部からなる補極をそれぞれ配置した電動機において、主極の半径方向外側(ロータマグネット側)の端面に補助溝を設けたものがあった。この補助溝は、特許文献2の切り込み部と同様に、主極と補極との間の空隙部とほぼ同じ磁気抵抗を有する。そして、この補助溝は、各々の主極において、所定の式で定められたそれぞれ異なる位置に配置されている。このように構成すると、特許文献2のように等間隔で補助溝を配置するのに比べて、コギングトルクの周波数成分のうち、より高次の周波数成分をも低減させることができるため、少ない補助溝でコギングトルク低減効果を達成できるというものがあった(例えば、特許文献3参照)。
しかし、特許文献2に記載された補助溝は、等角度間隔で設けられた鉄芯部において周方向に等間隔に設けられ、かつ同一形状とされていた。従って、補助溝を設けたことによりステータに与えられる磁束が低減される位置が各々の鉄芯部において同一となり、トルク変動の周波数成分が分散されない。従って、コギングトルクの低減効果が弱く、十分な効果が得られなかった。
また、特許文献3に記載された補助溝は、周方向に不等間隔となるように形成されていた。従って、等間隔に設けた場合と比較すれば、有効磁束を低減させずに、より高次の周波数成分をも低減させることができ、コギングトルク低減効果が大きくなる反面、巻線が巻装されない補極が設けられているため、巻線の占積率が悪くなり、出力が向上されず高効率化が図れなかった。
更に、特許文献2及び特許文献3においては、隣り合う鉄芯部にそれぞれ異なる形状の補助溝を設けるという記載は無かった。また、補助溝を設けたことによる磁束低減量の合計を各相毎に均等にして回転バランスの良い電動機を得るという技術思想、及び磁束発生量の周方向の分布を均等にして回転バランスの良い電動機を得るという技術思想については記載されていなかった。
また、特許文献3に記載された補助溝は、周方向に不等間隔となるように形成されていた。従って、等間隔に設けた場合と比較すれば、有効磁束を低減させずに、より高次の周波数成分をも低減させることができ、コギングトルク低減効果が大きくなる反面、巻線が巻装されない補極が設けられているため、巻線の占積率が悪くなり、出力が向上されず高効率化が図れなかった。
更に、特許文献2及び特許文献3においては、隣り合う鉄芯部にそれぞれ異なる形状の補助溝を設けるという記載は無かった。また、補助溝を設けたことによる磁束低減量の合計を各相毎に均等にして回転バランスの良い電動機を得るという技術思想、及び磁束発生量の周方向の分布を均等にして回転バランスの良い電動機を得るという技術思想については記載されていなかった。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、高出力化を図ると共に、騒音及び振動を低減することができ、回転バランスの良いブラシレスモータを提供することにある。
前記課題は、請求項1に記載のブラシレスモータによれば、異なる極性のマグネットが周方向に交互に配置されたロータと、前記マグネットに対向し放射状に配設された複数の鉄芯部、該鉄芯部に巻装された複数相の巻線、を有するステータと、を備え、前記鉄芯部の前記マグネットに対向する面に切欠き部が形成されたブラシレスモータであって、前記切欠き部のうち、隣り合う鉄芯部の一方に設けられた切欠き部の少なくとも一つと、他方に設けられた切欠き部とは、各々の切欠き部の最も深く切り込まれた部位が、各々の鉄芯部の径方向を向く中心線を異なる角度で移動させた仮想線上、または異なる方向に移動させた仮想線上の少なくともいずれかに位置されて形成されたこと、により解決される。
一般に、鉄芯部に切欠き部が形成されると、当該部分ではステータとロータマグネットとの間のギャップが他の部分に比べて大きくなるため、ステータに与えられる磁束が低減される。従って、請求項1に記載の構成により切り欠き部が形成されると、隣り合う鉄芯部において、磁束の低減量が最も大きくなる位置が異なる位置とされる。それにより、隣り合う鉄芯部においては、巻線に発生する誘起電力の波形が異なるものとなる。結果として、各巻線に発生する誘起電力の合成値に基づく合成トルクのトルク変動は、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
このとき、請求項2に記載のように、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記切欠き部のうち、隣り合う鉄芯部に設けられた切欠き部の少なくとも一つは、周方向に非対称な形状に形成してもよい。
このように形成すると、切り欠かれた深さが周方向に非対称となるため、磁束の低減量が周方向に非対称になる。従って、例えば、隣り合う鉄芯部の一方に周方向に対称な切欠き部を設け、他方に周方向に非対称な切欠き部を設けた場合、各々の切り欠き部が鉄芯部上の同位置に設けられていても、磁束の低減量が最も大きくなる位置は異なる位置とされる。その結果、合成トルクのトルク変動は、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
このように形成すると、切り欠かれた深さが周方向に非対称となるため、磁束の低減量が周方向に非対称になる。従って、例えば、隣り合う鉄芯部の一方に周方向に対称な切欠き部を設け、他方に周方向に非対称な切欠き部を設けた場合、各々の切り欠き部が鉄芯部上の同位置に設けられていても、磁束の低減量が最も大きくなる位置は異なる位置とされる。その結果、合成トルクのトルク変動は、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
そして、請求項3に記載のように、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記切欠き部は、切り欠かれた体積が略同一となるように形成されると好適である。
このように形成すると、ステータとロータマグネットとの間のギャップに基づく磁束低減量は、切欠き部それぞれにおいて略等しい低減量となる。従って、各々の鉄芯部に同一数の切欠き部を設けることにより、各々の鉄芯部における有効磁束発生量を略等しくすることができるため、ロータの回転に伴って順次与えられる有効磁束がそれほど変化せず、回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
なお、このとき、請求項4に記載のように、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記切欠き部を略同一形状に形成すると、切り欠かれた体積が同一となり好適である。
このように形成すると、ステータとロータマグネットとの間のギャップに基づく磁束低減量は、切欠き部それぞれにおいて略等しい低減量となる。従って、各々の鉄芯部に同一数の切欠き部を設けることにより、各々の鉄芯部における有効磁束発生量を略等しくすることができるため、ロータの回転に伴って順次与えられる有効磁束がそれほど変化せず、回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
なお、このとき、請求項4に記載のように、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記切欠き部を略同一形状に形成すると、切り欠かれた体積が同一となり好適である。
また、請求項5に記載のように、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記切欠き部は、前記複数相の一相の巻線が巻装された鉄芯部に設けられた切欠き部の体積の合計と、他の一相の巻線が巻装された鉄芯部に設けられた切欠き部の体積の合計とが略同一になされるように形成されると好適である。
このように形成されると、ステータとロータマグネットとの間のギャップに基づく磁束低減量は、各相毎の磁束低減量の合計を略等しくされることになる。従って、各相毎の有効磁束発生量が略等しくされるため、各相の励磁電流が順次流されることにより与えられる回転磁界とロータマグネットから与えられる有効磁束による相互作用がそれほど変化せず、回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
このように形成されると、ステータとロータマグネットとの間のギャップに基づく磁束低減量は、各相毎の磁束低減量の合計を略等しくされることになる。従って、各相毎の有効磁束発生量が略等しくされるため、各相の励磁電流が順次流されることにより与えられる回転磁界とロータマグネットから与えられる有効磁束による相互作用がそれほど変化せず、回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
また、請求項6に記載のように、請求項5に記載のブラシレスモータにおいて、前記鉄芯部のうち、同一相の巻線が巻装された複数の鉄芯部は、周方向に連続して配設されると、なお好適である。
このように形成されると、周方向に順次各相の巻線が巻装された鉄芯部がそれぞれ連続して配設され、かつ各相毎の磁束低減量の合計が略等しいものとされているため、有効磁束発生量の周方向の分布が偏らない。従って、各相の励磁電流が順次流されることにより与えられる回転磁界とロータマグネットから与えられる有効磁束による相互作用がそれほど変化せず、しかも周方向にもバランスがとれているため、より回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
このように形成されると、周方向に順次各相の巻線が巻装された鉄芯部がそれぞれ連続して配設され、かつ各相毎の磁束低減量の合計が略等しいものとされているため、有効磁束発生量の周方向の分布が偏らない。従って、各相の励磁電流が順次流されることにより与えられる回転磁界とロータマグネットから与えられる有効磁束による相互作用がそれほど変化せず、しかも周方向にもバランスがとれているため、より回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
また、請求項7に記載のように、前記ステータは、前記複数の鉄芯部の前記マグネット側の端部を互いに連携する橋絡部を備えると共に、前記複数の鉄芯部を略平行に配設して巻線を巻装した後、前記橋絡部側を円環状に巻き込んで形成されると好適である。
このように形成されると、鉄芯部の橋絡部側の先端、すなわちロータマグネットに対向する面には各々切欠き部が設けられているため、切欠き部が設けられていない部位に比べて小さな力で変形させることができる。従って、円環状に成形する際により小さな力で巻き込むことができ、成形装置を小型化させることができるため、製造コストを抑えることができる。また、巻き込み作業が容易化されるため、成形精度が向上される。
このように形成されると、鉄芯部の橋絡部側の先端、すなわちロータマグネットに対向する面には各々切欠き部が設けられているため、切欠き部が設けられていない部位に比べて小さな力で変形させることができる。従って、円環状に成形する際により小さな力で巻き込むことができ、成形装置を小型化させることができるため、製造コストを抑えることができる。また、巻き込み作業が容易化されるため、成形精度が向上される。
以上のように、本発明のブラシレスモータによれば、ステータの鉄芯部のロータマグネットに対向する面に設けられた切欠き部のうち、隣り合う鉄芯部の一方に設けられた切欠き部の少なくとも一つと、他方に設けられた切欠き部とは、各々の切欠き部の最も深く切り込まれた部位が、各々の鉄芯部の径方向を向く中心線を異なる角度で移動させた仮想線上、または異なる方向に移動させた仮想線上の少なくともいずれかに位置されて形成されている。これにより、各巻線に発生する誘起電力の合成値に基づく合成トルクのトルク変動は、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化されるため、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
また、各相毎に切欠き部の体積の合計を略同一とすることにより、有効磁束発生量を各相毎に均等にして回転バランスの良いブラシレスモータを得ることができる。この際、同一相の巻線が巻装された鉄芯部を周方向に連続して設けることにより、有効磁束発生量の周方向の分布が偏らない構成とされ、より回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
また、各相毎に切欠き部の体積の合計を略同一とすることにより、有効磁束発生量を各相毎に均等にして回転バランスの良いブラシレスモータを得ることができる。この際、同一相の巻線が巻装された鉄芯部を周方向に連続して設けることにより、有効磁束発生量の周方向の分布が偏らない構成とされ、より回転バランスが良いブラシレスモータを得ることができる。
本発明の実施の形態について、回転電機としてのブラシレスモータMを例にとって図面を参照して説明する。また、以下に説明する配置、形状等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1は実施例のブラシレスモータの断面図、図2乃至図6は第1の実施例のブラシレスモータに係り、図2、図5はステータ及びロータの断面図、図3はステータのアウタコアの斜視図、図4はステータのインナコアの斜視図、図6はステータの部分拡大図である。そして、図7は改変例のステータの部分拡大図である。また、図8は第2の実施例のブラシレスモータに係るステータの部分拡大図である。図9及び図10は第3の実施例のブラシレスモータに係り、図9はインナコアシートの斜視図、図10はアウタコアシートの斜視図である。
(第1の実施例)
図1に基づき、本発明の実施例に係るインナ−ロータ型のブラシレスモータMの構成を説明する。ブラシレスモータMは、シャフト22が取着されたロータ20と、ロータ20を回転可能に支承する軸受41、42と、ロータ20の径方向外側に配置され3相励磁電流(U相,V相,W相)に対応する巻線38(巻線38U,38V,38W)が巻装されたステータ30と、これらを収納するハウジング40とを備える。
また、図示しないが、ブラシレスモータMには、ホ−ル素子、整流素子、位置検出用磁石等から構成される周知の位置検出器と制御回路が備えられており、これらによってロータ20の回転中の位置検出が行われる。この位置検出によって得られる位置信号と速度設定値を基に、制御回路から巻線38の各相巻線に電流が与えられることにより、ステータ30に回転磁界が発生しロータ20は安定して回転することができる。
図1に基づき、本発明の実施例に係るインナ−ロータ型のブラシレスモータMの構成を説明する。ブラシレスモータMは、シャフト22が取着されたロータ20と、ロータ20を回転可能に支承する軸受41、42と、ロータ20の径方向外側に配置され3相励磁電流(U相,V相,W相)に対応する巻線38(巻線38U,38V,38W)が巻装されたステータ30と、これらを収納するハウジング40とを備える。
また、図示しないが、ブラシレスモータMには、ホ−ル素子、整流素子、位置検出用磁石等から構成される周知の位置検出器と制御回路が備えられており、これらによってロータ20の回転中の位置検出が行われる。この位置検出によって得られる位置信号と速度設定値を基に、制御回路から巻線38の各相巻線に電流が与えられることにより、ステータ30に回転磁界が発生しロータ20は安定して回転することができる。
図2にロータ20及びステータ30の断面図を示す。ロータ20は、シャフト22が取着されたスペーサ24の外周面にマグネット26が配置された構成となっている。マグネット26は僅かに湾曲した板状に形成され、板厚方向に磁束が向くように磁化されている。
本例のロータ20は磁極が8極であり、ロータ20の外周面には磁束の向きが異なる2種類のマグネット26をロータ20の回転角で45度づつずれた位置に交互に配設した構成となっている(すなわちマグネットの極数は8)。
本例のロータ20は磁極が8極であり、ロータ20の外周面には磁束の向きが異なる2種類のマグネット26をロータ20の回転角で45度づつずれた位置に交互に配設した構成となっている(すなわちマグネットの極数は8)。
図3及び図4に示すように、ステータ30は、円筒形のアウタコア30aと、アウタコア30aの内側に固着されるインナコア30bとによって構成されるステータコアと、インナコア30bの鉄芯部35(鉄芯部35a乃至鉄芯部35i)に巻装された巻線38(巻線38U,巻線38V,巻線38W)と、を備えている。
アウタコア30aは、帯状の金属製板材(電磁鋼板)32の片側に凹状の嵌合部32aを予め定めた間隔に打ち抜き形成し、スパイラル状に巻回し積層することによって円筒形状に形成される。このとき、アウタコア30aの内側面には、図3に示すように、嵌合部32aが積層され、9本の嵌合溝31が等間隔かつ平行に形成される。
アウタコア30aは、帯状の金属製板材(電磁鋼板)32の片側に凹状の嵌合部32aを予め定めた間隔に打ち抜き形成し、スパイラル状に巻回し積層することによって円筒形状に形成される。このとき、アウタコア30aの内側面には、図3に示すように、嵌合部32aが積層され、9本の嵌合溝31が等間隔かつ平行に形成される。
インナコア30bは、図4に示すように、帯状の金属製板材(電磁鋼板)34の片側に鉄芯片34bを予め定めた間隔に打ち抜き形成し、スパイラル状に巻回し積層することによって柱状に形成される。
鉄芯片34bの半径方向内側の端部を連繋する連結部の中間部分は、他の部位よりも薄肉とされており、所定の幅を有する薄肉部37が形成されている。薄肉部37は、金属製板材34がプレス加工により所定形状に打抜かれると共に、該当箇所が押圧されることによって金属製板材34の他の部位の半分程度の厚さに薄肉化されている。また、鉄芯片34bの半径方向外側の先端には、アウタコア30aを形成する金属製板材32の嵌合部32aに嵌合されるタブテール片34aが形成されている。そして、各々の鉄芯片34bの連結部側の先端には、半円形状の切欠き部51が1箇所づつ形成されている。
鉄芯片34bの半径方向内側の端部を連繋する連結部の中間部分は、他の部位よりも薄肉とされており、所定の幅を有する薄肉部37が形成されている。薄肉部37は、金属製板材34がプレス加工により所定形状に打抜かれると共に、該当箇所が押圧されることによって金属製板材34の他の部位の半分程度の厚さに薄肉化されている。また、鉄芯片34bの半径方向外側の先端には、アウタコア30aを形成する金属製板材32の嵌合部32aに嵌合されるタブテール片34aが形成されている。そして、各々の鉄芯片34bの連結部側の先端には、半円形状の切欠き部51が1箇所づつ形成されている。
なお、これらアウタコア30a,インナコア30bを形成する金属製板材32、34は、絶縁皮膜等の絶縁処理を表面に施した同板厚のケイ素鋼板等の磁性材料をプレス加工により所定形状に成形したものである。
この金属製板材(電磁鋼板)34をスパイラル状に巻回し積層してインナコア30bが形成されると、図4に示すように、鉄芯片34bが積層され、外側に放射状に伸びる9個の鉄芯部35a乃至鉄芯部35i(すなわち突極磁極数は9)が形成される。鉄芯部35は中心角略40度の等角度間隔で配設されている。鉄芯部35の外周側の端部にはそれぞれタブテール片34aが積層され、タブテール部33が形成される。このタブテール部33は鉄芯部35の中心線上に形成されている。
この金属製板材(電磁鋼板)34をスパイラル状に巻回し積層してインナコア30bが形成されると、図4に示すように、鉄芯片34bが積層され、外側に放射状に伸びる9個の鉄芯部35a乃至鉄芯部35i(すなわち突極磁極数は9)が形成される。鉄芯部35は中心角略40度の等角度間隔で配設されている。鉄芯部35の外周側の端部にはそれぞれタブテール片34aが積層され、タブテール部33が形成される。このタブテール部33は鉄芯部35の中心線上に形成されている。
また、インナコア30bの内側には切欠き部51が積層されて9本の切欠き溝50が形成される。この切欠き溝50は、後述するように、周方向に一部不等間隔で配置されると共に、ロータの回転軸に対して平行に積層されて形成される。なお、この切欠き溝50が、本発明に係る切欠き部に相当する。
そして、上述した鉄芯片34bを連繋する連結部が積層されて、鉄芯部35の半径方向内側の端部を連繋する橋絡部36が形成される。この橋絡部36は径方向に幅狭となっており、複数の鉄芯部35を一体的に連繋して支えている。それぞれの橋絡部36の周方向略中央部の金属製板材34は、上述したように他の部位よりも薄肉とされているため、上下に積層された金属製板材34とは離間している。
そして、インナコア30bの鉄芯部35にそれぞれ巻線38が巻装された後、アウタコア30aの嵌合部32aにインナコア30bのタブテール片34aを圧入することによって、アウタコア30aとインナコア30bが一体的に組み付けられる。
そして、上述した鉄芯片34bを連繋する連結部が積層されて、鉄芯部35の半径方向内側の端部を連繋する橋絡部36が形成される。この橋絡部36は径方向に幅狭となっており、複数の鉄芯部35を一体的に連繋して支えている。それぞれの橋絡部36の周方向略中央部の金属製板材34は、上述したように他の部位よりも薄肉とされているため、上下に積層された金属製板材34とは離間している。
そして、インナコア30bの鉄芯部35にそれぞれ巻線38が巻装された後、アウタコア30aの嵌合部32aにインナコア30bのタブテール片34aを圧入することによって、アウタコア30aとインナコア30bが一体的に組み付けられる。
図2に示すように、本例のブラシレスモータMでは、鉄芯部35a乃至鉄芯部35cにはそれぞれ巻線38U1乃至巻線38U3が集中巻にて巻装され、巻線38Uが構成されている。また、同様に鉄芯部35d乃至鉄芯部35f,鉄芯部35g乃至鉄芯部35iには、各々巻線38V1乃至巻線V3,巻線38W1乃至巻線38W3が巻装されて、それぞれ巻線38V,巻線38Wが構成されている。ただし、巻線38U1,38U3,38V1,38V3,38W1,38W3は同方向に巻装され、残りの巻線38U2,38V2,38W2は逆の方向に巻装されている。
各相巻線38U,38V,38Wに対しては、図示しない制御回路から電気角で120°の位相差をもつU相,V相,W相励磁電流が供給される。すると、ステータ30に回転磁界が発生し、その回転磁界に基づいてロータ20が回転する。
ロータ20が回転すると、マグネット26による磁束変化によって、巻線38U,38V,38Wには、各相毎に3つ設けられた鉄芯部に巻装された巻線に発生する誘起電圧の合成値となる誘起電圧が発生する。そして、この誘起電圧によって、各相にはそれぞれトルクが発生する。そして、ブラシレスモータM全体としては、3相を合成したトルクが発生する。
各相巻線38U,38V,38Wに対しては、図示しない制御回路から電気角で120°の位相差をもつU相,V相,W相励磁電流が供給される。すると、ステータ30に回転磁界が発生し、その回転磁界に基づいてロータ20が回転する。
ロータ20が回転すると、マグネット26による磁束変化によって、巻線38U,38V,38Wには、各相毎に3つ設けられた鉄芯部に巻装された巻線に発生する誘起電圧の合成値となる誘起電圧が発生する。そして、この誘起電圧によって、各相にはそれぞれトルクが発生する。そして、ブラシレスモータM全体としては、3相を合成したトルクが発生する。
このように構成されたステータ30は、アウタコア30aの薄肉部37に相当する部位が軸方向に向けて断続的に肉抜きされた状態となっている。したがって、薄肉部37に相当する部位は磁束が流れる磁路の実効断面積が小さくなっているので磁気抵抗が増大される。したがって、ロータ20のマグネット26から発生してステータ30内を流れる磁束のうち、橋絡部36を通過して隣接するマグネット26の方向へ流れる漏れ磁束が低減されるので、鉄芯部35内を流れる有効磁束を増大させることができる。
そして、上述した切欠き溝50が各鉄芯部35に1箇所づつ設けられたことにより、擬似的にステータの突極磁極数が倍になったのと同じ効果を奏する。ロータの1回転についてマグネットの極数と突極磁極数との最小公倍数だけコギングトルクの脈動が生起され、またコギングトルクの大きさは脈動数に反比例する。本例のブラシレスモータMではマグネット26の極数を8、鉄芯部35の数を9となされているが、切欠き溝50を設けたことにより、コギングトルクの脈動数が増加され、コギングトルクの平均的な大きさは低減されている。
一方、切欠き溝50が設けられた部位では鉄芯部35とマグネット26との間のギャップが他の部分に比べて大きくなるため、鉄芯部35に与えられる磁束が低減され、有効磁束発生量が低減される。従って、本例のブラシレスモータMでは、切欠き溝50を設けたことにより、コギングトルクが減少される反面、出力は低減される。
一方、切欠き溝50が設けられた部位では鉄芯部35とマグネット26との間のギャップが他の部分に比べて大きくなるため、鉄芯部35に与えられる磁束が低減され、有効磁束発生量が低減される。従って、本例のブラシレスモータMでは、切欠き溝50を設けたことにより、コギングトルクが減少される反面、出力は低減される。
本例の鉄芯部35に設けられた切欠き溝50の配置を図5に基づいて説明する。鉄芯部35a乃至35iのマグネット26側の先端には、それぞれ半円形状の切欠き溝50a乃至50iが設けられている。これらは同一形状に形成されている。図5において、一点鎖線はロータの回転中心Oと各々の鉄芯部35の周方向幅の中央とを通る中心線である。上述したように、鉄芯部35は等角度間隔で配設されている。また、点線はロータの回転中心Oと各々の切欠き溝50の最も深く切り込まれた部位(すなわち、半円形状の切欠き溝においては周方向幅の中央)とを通る線である。なお、この一点鎖線で示す鉄芯部の中心線が、本発明に係る鉄芯部の径方向を向く中心線に相当する。
図中11時半付近と12時半付近に位置する切欠き溝50a,50bのそれぞれの最も深く切り込まれた部位がロータ20の回転中心Oに対してなす角度を角度aとし、順次隣合う切欠き溝50の中央が回転中心Oに対してなす角度を時計方向にそれぞれ角度b,c,d,e,f,g,h,iとする。
図中11時半付近と12時半付近に位置する切欠き溝50a,50bのそれぞれの最も深く切り込まれた部位がロータ20の回転中心Oに対してなす角度を角度aとし、順次隣合う切欠き溝50の中央が回転中心Oに対してなす角度を時計方向にそれぞれ角度b,c,d,e,f,g,h,iとする。
図6は図5に示したステータ30の一部拡大図である。図中の一点鎖線は、図5で説明した鉄芯部35の中心線であり、図中の点線は、ロータの回転中心Oと、半円形の切欠き溝50において最も深く切り込まれた部位に相当する切欠き溝50の周方向幅の中央を通る線である。なお、鉄芯部35bに設けた切欠き溝50bにおいては、鉄芯部35bの中心線上に切欠き溝50の周方向幅の中央が位置されている。
ここで、隣り合う鉄芯部35aと35bにおいては、切欠き溝50aは鉄芯部35aの中心線からa−x度移動された仮想線上に位置されており、切欠き溝50bは鉄芯部35bの中心線からゼロ度移動された仮想線上に位置されている。同様に、隣り合う鉄芯部35bと35cにおいては、切欠き溝50bは鉄芯部35bの中心線からゼロ度移動された仮想線上に位置されており、切欠き溝50cは鉄芯部35cの中心線からb−x度移動された仮想線上に位置されている。すなわち、磁束の低減量が最も大きくなる位置が、隣り合う鉄芯部35aと35b、35bと35cにおいて、それぞれの中心線から異なる角度移動されて位置されている。更に、図5に示される隣り合う鉄芯部35iと35aにおいては、切欠き溝50i、50aは各々の鉄芯部35i、35aの中心線からa−x度逆方向に移動された仮想線上に位置されている。
ここで、隣り合う鉄芯部35aと35bにおいては、切欠き溝50aは鉄芯部35aの中心線からa−x度移動された仮想線上に位置されており、切欠き溝50bは鉄芯部35bの中心線からゼロ度移動された仮想線上に位置されている。同様に、隣り合う鉄芯部35bと35cにおいては、切欠き溝50bは鉄芯部35bの中心線からゼロ度移動された仮想線上に位置されており、切欠き溝50cは鉄芯部35cの中心線からb−x度移動された仮想線上に位置されている。すなわち、磁束の低減量が最も大きくなる位置が、隣り合う鉄芯部35aと35b、35bと35cにおいて、それぞれの中心線から異なる角度移動されて位置されている。更に、図5に示される隣り合う鉄芯部35iと35aにおいては、切欠き溝50i、50aは各々の鉄芯部35i、35aの中心線からa−x度逆方向に移動された仮想線上に位置されている。
本例においては、図5に示した角度a,b,d,e,g,hが同一角度であって、鉄芯部35の中心角度よりも大きく、角度c,f,iが同一角度であって、鉄芯部35の中心角度よりも小さくなるように構成されている。すなわち、それぞれ異なる位置に切欠き溝50を設けた3タイプの鉄芯部35が、周方向に順に配設されている。この3タイプの鉄芯部35は、35a(35d、35gと同一)、35b(35e、35hと同一)、35c(35f、35iと同一)である。
その結果、図6において示したように、隣り合う鉄芯部においては、常に各々の鉄芯部の中心線に対して、各々の切欠き溝の最も深く切り込まれた部位の位置が異なる構成とされている。このような構成により、本例のブラシレスモータMは、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
その結果、図6において示したように、隣り合う鉄芯部においては、常に各々の鉄芯部の中心線に対して、各々の切欠き溝の最も深く切り込まれた部位の位置が異なる構成とされている。このような構成により、本例のブラシレスモータMは、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
ここで、上述したように、U相、V相、W相の巻線は周方向に連続して設けられた3箇所の鉄芯部に巻装されている。従って、各相の巻線は、それぞれ3タイプの鉄芯部に一箇所ずつ巻装された構成となっている。本例では、切欠き溝50の形状は同一であることから、各相の鉄芯部に設けられた切欠き溝50の体積は略同一となる。このような構成により、本例のブラシレスモータMは、各相毎の有効磁束発生量が略等しくされるため、回転バランスが向上され、また有効磁束発生量の周方向の分布が偏らないため、回転バランスが向上されている。
なお、本例では切欠き溝50は全て断面を半円形状としたが、図7に示すように、断面がV字状の切欠き溝150としてもよいのは勿論である。また、これに限らず、断面が矩形、W字型、U字型、階段状、波型、複数の山型等の溝を形成してもよい。また、2個以上の切り欠き溝を同一の鉄芯部に設ける構成としてもよい。この際には、隣り合う鉄芯部の一方に設けられた切欠き部の少なくとも一つが、その最も深く切り込まれた部位を、他方に設けられた切欠き部全ての最も深く切り込まれた部位と異なる位置に設けられていればよい。
なお、本例では切欠き溝50は全て断面を半円形状としたが、図7に示すように、断面がV字状の切欠き溝150としてもよいのは勿論である。また、これに限らず、断面が矩形、W字型、U字型、階段状、波型、複数の山型等の溝を形成してもよい。また、2個以上の切り欠き溝を同一の鉄芯部に設ける構成としてもよい。この際には、隣り合う鉄芯部の一方に設けられた切欠き部の少なくとも一つが、その最も深く切り込まれた部位を、他方に設けられた切欠き部全ての最も深く切り込まれた部位と異なる位置に設けられていればよい。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、第1の実施例と共通する部位には共通の符号を付し、また重複する説明は省略する。
第2の実施例のロータ20は第1の実施例のロータ20と同一であり、磁極数は8である。また、第2の実施例のステータ30は第1の実施例のステータ30と同様に9つの切欠き溝150a乃至切欠き溝150iを有しているが、第1の実施例の切欠き溝とは異なり全てが同一形状とはされていない。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、第1の実施例と共通する部位には共通の符号を付し、また重複する説明は省略する。
第2の実施例のロータ20は第1の実施例のロータ20と同一であり、磁極数は8である。また、第2の実施例のステータ30は第1の実施例のステータ30と同様に9つの切欠き溝150a乃至切欠き溝150iを有しているが、第1の実施例の切欠き溝とは異なり全てが同一形状とはされていない。
図8に示されている第2の実施例の切欠き溝250a、250b、250cのうち、切欠き溝250aと250cとは、ロータの回転中心から見て周方向に非対称な断面形状に形成されている。切欠き溝250aは、周方向に沿って徐々に切込みの奥行きが増加または減少する直角三角形とされている。
このように構成されているので、第2の実施例では、図8において鉄芯部235aと鉄芯部235cに設けられた切欠き溝250aと250cは、切り欠かれた深さが周方向に非対称となり、磁束の低減量が周方向に非対称になる。従って、例えば、鉄芯部235aと鉄芯部235cの中間にあり、双方と隣り合う鉄芯部235bが周方向に対称に形成されていても、磁束の低減量が最も大きくなる位置は隣り合う鉄芯部において異なる位置とされる。その結果、合成トルクのトルク変動は、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
このように構成されているので、第2の実施例では、図8において鉄芯部235aと鉄芯部235cに設けられた切欠き溝250aと250cは、切り欠かれた深さが周方向に非対称となり、磁束の低減量が周方向に非対称になる。従って、例えば、鉄芯部235aと鉄芯部235cの中間にあり、双方と隣り合う鉄芯部235bが周方向に対称に形成されていても、磁束の低減量が最も大きくなる位置は隣り合う鉄芯部において異なる位置とされる。その結果、合成トルクのトルク変動は、全体としてその周波数成分が分散されるとともに、その波形が平滑化される。従って、コギングトルク、トルクリップルに起因するモータの騒音や振動を低減することができる。
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例について説明する。なお、第2の実施例と同様に共通する部位には共通の符号を付し、また重複する説明は省略する。
第3の実施形態は、第1の実施形態のステータ30の製造方法を変更したものである。第1の実施形態では、帯状に打ち抜き形成された金属製板材(電磁鋼板)32をスパイラル状に巻回し積層することによってアウタコア30aとインナコア30bとを形成していたが、第3の実施形態では、まず、金属製板材(電磁鋼鈑)が打ち抜き成形され、薄肉板状のアウタコアシート332とインナコアシート334とが各々複数枚形成される。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。なお、第2の実施例と同様に共通する部位には共通の符号を付し、また重複する説明は省略する。
第3の実施形態は、第1の実施形態のステータ30の製造方法を変更したものである。第1の実施形態では、帯状に打ち抜き形成された金属製板材(電磁鋼板)32をスパイラル状に巻回し積層することによってアウタコア30aとインナコア30bとを形成していたが、第3の実施形態では、まず、金属製板材(電磁鋼鈑)が打ち抜き成形され、薄肉板状のアウタコアシート332とインナコアシート334とが各々複数枚形成される。
アウタコアシート332は帯状に形成されており、片側に凹状の嵌合部332aを予め定めた間隔に打ち抜き形成されている。インナコアシート334は帯状に形成されており、等間隔かつ平行に配置された9つの鉄芯片334bと、隣接する鉄芯片334bを連携する連結部とを有する。鉄芯片334bの連結部側の端部には切欠き部351が1箇所づつ形成され、もう一方の端部には、タブテール片334aが形成されている。
このアウタコアシート332を複数枚積層すると、片側に9本の嵌合溝331が等間隔かつ平行に形成された積層体330aが形成される。また、インナコアシート334をそれぞれ複数枚積層されると、等間隔かつ平行に配置された9つの鉄芯部335と鉄芯部335の端部を連繋する橋絡部336とを有する積層体330bが形成される。積層体330bには、切欠き部351が積層されて9本の切欠き溝350が不等間隔で形成される。
続いて、この積層体330bの鉄芯部335にそれぞれ巻線38が巻装された後、積層体330bの橋絡部336側の両端部を、輪状となるよう巻き込んで連結することにより、鉄芯部335が外側を向いて放射状に配置された柱状のインナコア30bが形成される。また、積層体330aの両端部を、嵌合溝331が内側を向くよう巻き込んで連結することにより、円筒形状のアウタコア30aが形成される。
そして、アウタコア30aの嵌合溝331にインナコア30bのタブテール部333を圧入することによって、アウタコア30aとインナコア30bが一体的に組み付けられる。
続いて、この積層体330bの鉄芯部335にそれぞれ巻線38が巻装された後、積層体330bの橋絡部336側の両端部を、輪状となるよう巻き込んで連結することにより、鉄芯部335が外側を向いて放射状に配置された柱状のインナコア30bが形成される。また、積層体330aの両端部を、嵌合溝331が内側を向くよう巻き込んで連結することにより、円筒形状のアウタコア30aが形成される。
そして、アウタコア30aの嵌合溝331にインナコア30bのタブテール部333を圧入することによって、アウタコア30aとインナコア30bが一体的に組み付けられる。
従って、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、積層体330bの略平行に形成された鉄芯部335に予め巻線38を巻装してから円環状に巻き込んでインナコア30bを成形するため、巻装作業が容易化され、作業性が向上する。また、切欠き溝50が設けられていることにより、より小さな力で巻き込み成形することができる。従って、成形装置を小型化させることができるため、製造コストを抑えることができる。また、巻き込み作業が容易化されるため、成形精度が向上される。
また、前記鉄芯部が平行に配設された形状を打ち抜き成形した板材を積層して製造することができるので、前記鉄芯部が放射状に配設された形状を打ち抜き成形した板材を使用するのに比較して、金属製板材の歩留まりを向上させることができ、製造コストを抑えることができる。
また、前記鉄芯部が平行に配設された形状を打ち抜き成形した板材を積層して製造することができるので、前記鉄芯部が放射状に配設された形状を打ち抜き成形した板材を使用するのに比較して、金属製板材の歩留まりを向上させることができ、製造コストを抑えることができる。
○なお、上記実施の形態では、磁極数を8,突極磁極数を9とした例を示したが、これに限定されることなく、他の組み合わせの磁極数,突極磁極数とすることも可能である。
○また、上記実施の形態では、各鉄芯部35の中央部の磁束を小さくするために、切欠き溝50を設けているが、これに限らず、各鉄芯部の先端の中央部の透磁率を小さくすることにより、同様の効果を得ることが可能である。このため、中央部に鉄芯部本体よりも透磁率の弱い材料を配した構成としても良い。
○また、上記実施の形態では、各鉄芯部35の中央部の磁束を小さくするために、切欠き溝50を設けているが、これに限らず、各鉄芯部の先端の中央部の透磁率を小さくすることにより、同様の効果を得ることが可能である。このため、中央部に鉄芯部本体よりも透磁率の弱い材料を配した構成としても良い。
20 ロータ、22 シャフト、24 スペーサ、26 マグネット、30 ステータ、30a アウタコア、30b インナコア、31 嵌合溝、32,34 金属製板材、32a 嵌合部、33 タブテール部、34a タブテール片、34b 鉄芯片、35,35a乃至35i 鉄芯部、36 橋絡部、37,37a乃至37i 薄肉部、38,38U,38U1乃至38U3,38V,38V1乃至38V3,38W,38W1乃至38W3 巻線、40 ハウジング、41,42 軸受、50,50a乃至50 切欠き溝、51 切欠き部、332 アウタコアシート、334 インナコアシート、a乃至i 角度、M ブラシレスモータ、O 回転中心
Claims (7)
- 異なる極性のマグネットが周方向に交互に配置されたロータと、前記マグネットに対向し放射状に配設された複数の鉄芯部、該鉄芯部に巻装された複数相の巻線、を有するステータと、を備え、前記鉄芯部の前記マグネットに対向する面に切欠き部が形成されたブラシレスモータであって、
前記切欠き部のうち、隣り合う鉄芯部の一方に設けられた切欠き部の少なくとも一つと、他方に設けられた切欠き部とは、各々の切欠き部の最も深く切り込まれた部位が、各々の鉄芯部の径方向を向く中心線を異なる角度で移動させた仮想線上、または異なる方向に移動させた仮想線上の少なくともいずれかに位置されて形成されたことを特徴とするブラシレスモータ。 - 前記切欠き部のうち、隣り合う鉄芯部に設けられた切欠き部の少なくとも一つは、周方向に非対称な形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
- 前記切欠き部は、切り欠かれた体積が略同一となるように形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータ。
- 前記切欠き部は略同一形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
- 前記切欠き部は、前記複数相の一相の巻線が巻装された鉄芯部に設けられた切欠き部の体積の合計と、他の一相の巻線が巻装された鉄芯部に設けられた切欠き部の体積の合計とが略同一になされるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
- 前記鉄芯部のうち、同一相の巻線が巻装された複数の鉄芯部は、周方向に連続して配設されたことを特徴とする請求項5に記載のブラシレスモータ。
- 前記ステータは、前記複数の鉄芯部の前記マグネット側の端部を互いに連携する橋絡部を備えると共に、前記複数の鉄芯部を略平行に配設して巻線を巻装した後、前記橋絡部側を円環状に巻き込んで形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
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