JP2012078516A - インタラクティブボード用の透過型スクリーン、インタラクティブボード、インタラクティブボードシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インタラクティブボード用のスクリーン10は、入射側に設けられ、単位プリズム111が複数配列されたプリズム部112を有するプリズム層11と、プリズム層11より出射側に設けられる基板層12と、プリズム層11より出射側に設けられて光透過部132と光吸収部133とを備える光制御層13と、光制御層13より出射側に設けられる光拡散層14とを備え、光吸収部133及び光透過部132は、画面上下方向に平行であってスクリーン面に対して直交する断面において、スクリーン面に平行な面に沿って交互に配置されており、光吸収部133の断面形状が、略楔形形状又は略矩形形状であるものとした。
【選択図】図2
Description
この特許文献1に示すインタラクティブボードでは、パーソナルコンピュータからの画像を、ボードの前面側、即ち、観察者側から投射している。そのため、ボードに手書きで文字等の情報を書き加える際に、投影画像が遮られるという問題や、ボードの前面に投影機を設置するための場所が必要となるという問題がある。
そこで、特許文献2に示すような、背面から投射された映像を表示可能な透過型スクリーンをボードとして用い、パーソナルコンピュータ等の表示部の画像を、光源装置を用いてボード(透過型スクリーン)の背面側から投射して表示するインタラクティブボード等も開発が進められている。特許文献2の透過型スクリーンでは、光が入射する入射面と、入射面から入射した光を全反射する全反射面とを備えるプリズムを配列したプリズム層を備えており、このようなプリズム層を用いることにより、透過型スクリーンを用いた表示装置の薄型化等を図っている。また、特許文献3に示すように、透過型スクリーンを用いた対話型のリアプロジェクションテレビの開発も進められている。
このような迷光に起因とする2重像(以下、ゴーストという)を低減するために、光拡散層を透過型スクリーン内の比較的入射側に配置する等の対策が成されている。しかし、このような層構成とする場合、映像光が主に光拡散層で結像するので、観察面(スクリーンの出射側表面)と結像面との距離は、離れてしまう。
そのため、このような層構成の透過型スクリーンの観察面に映像を表示し、例えば、スクリーンの正面方向から見る場合と斜め方向からみる場合等のようにスクリーンを観察する方向によって、観察面上において映像が観察される位置が異なるという問題があった(以下、このような現象を、視差が生じているという)。また、このような層構成の透過型スクリーンとし、観察面にタッチした指やタッチペン部等によって反射された赤外光を検出することによりその位置を検出するIR(infrared)カメラ方式の位置情報検出装置を用いる場合、観察面と光拡散層との距離が離れることにより、IRカメラによる位置情報の検出の精度が低下するという問題があった。
特許文献1〜3には、そのような視差の解消やタッチパネルの情報検出の方式による検出精度の低下に関する対策は一切成されていない。
請求項1の発明は、背面側から映像光を投射するインタラクティブボード用の透過型スクリーンであって、映像光の入射側に設けられ、光が入射する入射面(A1)と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面(A2)とを備える単位プリズム(111,211)が入射側の面に複数配列されたプリズム部を有するプリズム層(11)と、前記プリズム層より出射側に設けられ、該インタラクティブボード用の透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層(12)と、前記プリズム層より出射側に設けられ、光を透過する光透過部(132,332)と光を吸収する光吸収層(133,333)とを備える光制御層(13,23)と、前記光制御層より出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層(14)と、を備え、前記光透過部及び前記光吸収部は、使用状態における画面上下方向に平行であってスクリーン面に対して直交する断面において、スクリーン面に平行な面に沿って交互に配置されており、前記光吸収部は、前記断面における断面形状が、略楔形形状又は略矩形形状であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10,20,30)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記光吸収部(133)は、前記断面における断面形状が、略楔形形状であり、出射側の幅が広く、入射側に向かって幅が次第に狭くなっていること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10,20)である。
請求項3の発明は、請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記光吸収部(333)は、前記断面における断面形状が、略楔形形状であり、入射側の幅が広く、出射側に向かって幅が次第に狭くなっていること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(30)である。
請求項4の発明は、請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記光吸収部は、前記断面における断面形状が、略矩形形状であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーンである。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、出射側に少なくともハードコート機能を有する機能層(15、14,152)を備えること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10,20,30)である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記単位プリズム(211)の配列方向における少なくとも一部の領域において、前記単位プリズム(211)の前記入射面(A1)と前記全反射面(A2)とがなす頂部は、入射側に凸となる曲面によって形成されていること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(20)である。
請求項9の発明は、請求項8に記載のインタラクティブボード(50)と、前記インタラクティブボードの前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの背面側から映像光を投射する光源部(60)と、前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの観察面への接触による入力を検出して検出信号を出力する検出部と、前記検出部からの検出信号に応じて、表示する映像に応じた映像光を前記光源部から投影させる制御部(70)と、を備えるインタラクティブボードシステムである。
(1)インタラクティブボード用の透過型スクリーンは、映像光の入射側に設けられ、入射面と全反射面とを備える単位プリズムが入射側の面に複数配列されたプリズム部を有するプリズム層と、プリズム層より出射側に設けられ、この透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層と、プリズム層より出射側に設けられ、光を透過する光透過部と光を吸収する光吸収層とを備える光制御層と、光制御層より出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層とを備え、光透過部及び光吸収部は、使用状態における画面上下方向に平行であってスクリーン面に対して直交する断面において、スクリーン面に平行な面に沿って交互に配置されており、光吸収部は、その断面における断面形状が、略楔形形状又は略矩形形状である。
従って、単位プリズムの入射面の谷側に入射して全反射面で反射せずに出射側へ向かい、迷光となる光を光制御層の光吸収部によって吸収し、ゴーストを低減する事ができる。また、光吸収部によって出射側(観察面側)から入射する照明光等の外光を吸収してコントラストを向上することができる。
さらに、光拡散層をスクリーンの厚み方向において出射側に配置することができるので、インタラクティブボードとして使用した場合に生じる視差を低減でき、インタラクティブボードとしての品質を向上できる。さらにまた、光拡散層をスクリーンの厚み方向において出射側に配置することができるので、インタラクティブボードとして使用し、入力部の位置情報を検出する手段としてIRカメラ方式のタッチパネル等を用いた場合にも、位置情報の検出の精度が低下しない。従って、精度の高い位置情報の検出を行うことができる。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、光学シートは、光学フィルムとしてもよいし、光学板としてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、第1実施形態のインタラクティブボード用の透過型スクリーン10を備えるインタラクティブボード50及びインタラクティブボードシステムを示す図である。
インタラクティブボードシステムは、インタラクティブボード50と、投影機60と、パーソナルコンピュータ61と、インタラクティブボード50の観察面上に文字や図形等を描画可能な入力部62と、不図示の情報検出部とを備えている。
インタラクティブボード50は、支持部材51とインタラクティブボード用の透過型スクリーン(以下、理解を容易にするため、単にスクリーン又はボードという)10とを備えている。このインタラクティブボード50は、背面側から映像光Lを投射して観察面に映像を表示する形態である。
支持部材51は、スクリーン10の四辺を保持してその平面性を維持し、かつ、所定の高さにスクリーン10を支持する部材である。本実施形態の支持部材51は、スクリーン10の四辺の周縁部を保持する枠部材52と、枠部材52の両端から鉛直方向に延び、スクリーンを所定の高さに支持する脚部53とを備えている。なお、支持部材51は、スクリーン10の高さを変えられるものとしてもよいし、変えられないものとしてもよい。また、支持部材51の脚部53の床面との接地部分に車輪等を設けて、移動可能な形態としてもよい。
投影機60は、スクリーン10(インタラクティブボード50)の背面側から映像光Lを投射する光源部である。本実施形態の投影機60は、プロジェクタであり、図1に示すように、スクリーン10の中央部より下側から斜め上へ向けて映像光を投影する形態のものである。
不図示の情報検出部は、入力部62によって描画された文字や図形等の情報を検出し、パーソナルコンピュータ61へ伝送する機能を有している。本実施形態の情報検出部は、IRカメラ方式の位置センサを用いている。この情報検出部(IR方式の位置センサ)は、スクリーンの背面側から赤外線を照射する照射部と、観察面に接触した入力部62(指やタッチペン等)により反射された赤外線による像を撮像する赤外線カメラとを有している。そして、観察面に接触した入力部62により反射された赤外線の像を赤外線カメラにより撮像して観察面上に入力部62が接触した点の座標位置を検出することにより、使用者Sが観察面上に描画した図形や文字等の情報を検出し、パーソナルコンピュータ等の制御部に検出した信号を出力する。なお、情報検出部は、IRカメラ方式のものに限らず、各種方式のタッチパネルや位置センサ等を用いることができる。
また、情報検出部は、パーソナルコンピュータ等の制御部と有線又は無線によって通信可能であり、本実施形態の情報検出部は、パーソナルコンピュータ61とUSBケーブル等により接続され、通信可能となっている。
本実施形態のパーソナルコンピュータ61は、USBケーブル等を用いて有線で情報検出部及び投影機60と接続され、通信可能となっているが、これに限らず、少なくとも一方と無線で通信可能な形態としてもよい。
なお、本実施形態ではパーソナルコンピュータ61を用いる例を示したが、少なくともインタラクティブボードシステムを統括的に制御可能な機能を有するものであれば、例えば、携帯電話等の携帯情報端末を用いてもよく、使用環境等に応じて適宜選択して用いてよい。
さらに、スクリーン10は、一般的なホワイトボード等のように、マーカー等の所定の筆記具を用いてその表面(観察面)に手書きで文字や図形等の情報を描画したり、描画した文字等を消去したりすることも可能である。
ここで、スクリーン面とは、スクリーン10全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中及び特許請求の範囲において、同一の定義として用いている。また、以下の明細書中において、スクリーン10(インタラクティブボード50)の使用状態におけるスクリーン10の画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)は、特に断りが有る場合を除いて単に画面上下方向、画面左右方向という。
本実施形態のスクリーン10は、図2に示すように、使用状態における光の入射側(背面側)から順に、プリズム層11、基板層12、光制御層13、光拡散層14、表面機能層15を有している。また、スクリーン10は、プリズム層11と基板層12、基板層12と光制御層13、光制御層13と光拡散層14、光拡散層14と表面機能層15とは、それぞれ接合層16a〜16dを介して一体に接合されている。このスクリーン10は、背面側に位置する投影機60から投影された映像光Lを結像し、映像を表示する。
プリズム部112は、プリズム層11の入射側に設けられ、その入射側表面に単位プリズム111が複数配列されている。プリズム部112は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により形成される。本実施形態のプリズム部112は、屈折率は、1.55のウレタンアクリレート系樹脂製である。
プリズム基材層113は、プリズム部112のベースとなる層であり、その入射側の面にプリズム部112がUV成形により一体に形成されている。
単位プリズム111は、図2に示すように、プリズム層11の入射側(背面側)の面に、シート面に沿って一方向(画面上下方向)に複数配列されている。
単位プリズム111は、図3(a)に示すように、入射側へ凸となる形状であり、光が入射する入射面A1と、入射面A1から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面A2とを備えている。本実施形態の単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とによって形成される頂角α=38°であり、その配列ピッチP1=50μmである。
スクリーン10の下方に位置する投影機60から斜めに照射された映像光のうち入射面A1から単位プリズム111へ入射した光の少なくとも一部の光束R1は、図3(a)に示す光L1のように、入射面A1で屈折して全反射面A2側へ進み、全反射面A2で全反射し、垂直方向においてスクリーン面の法線方向に略平行光となって観察者側へ進む。
なお、基板層12としては、PC樹脂やMBS樹脂、MS樹脂等の樹脂製のシート状の部材を用いてもよい。また基板層12の厚さは、その材質や使用環境等に応じて適宜設定してよいが、平面性維持等の観点から、樹脂製のシート状の部材の場合で8〜10mmの範囲内が特に好ましく、ガラス板の場合で4〜8mmの範囲内が特に好ましい。
光制御基材層131は、この光制御層のベース(基材)となる層であり、樹脂製のシート状の部材を用いることができる。本実施形態の光制御基材層131は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製であり、その厚さは150μmである。
光透過部132は、光透過性を有し、光制御基材層131の出射側の面に、複数配列されて一体に形成されている。本実施形態の光透過部132は、図2及び図3(b)に示すように、画面上下方向に平行であってスクリーン面に対して直交する断面における断面形状が、背面側(入射側)における幅が観察面側(出射側)における幅よりも広い略台形形状である。そして、光透過部132は、画面左右方向に同一断面形状(略台形形状)で延在し、スクリーン面に平行な面に沿って画面上下方向に複数配列されている。
図2及び図3(b)に示すように、光透過部132と光吸収部133とは、使用状態においてスクリーン面に平行な面に沿って画面上下方向に交互に配列されている。本実施形態の光吸収部133は、画面上下方向に平行であってスクリーン面に直交する断面において、その断面形状が略台形形状であり、画面左右方向に同一断面形状(略台形形状)で延在している。なお、光吸収部133は、画面上下方向に平行であってスクリーン面に直交する断面における断面形状が、略三角形形状としてもよく、例えば略二等辺三角形状としてもよい。
また、本実施形態の光吸収部133は、光透過部132と略同等の屈折率を有しているが、これに限らず、例えば、光透過部132と同等の屈折率を有していてもよいし、僅かに屈折率差を有するものとしてもよい。
なお、本実施形態の光透過部132及び光吸収部133は、図2及び図3(b)に示すように、スクリーン面に直交して画面上下方向に平行な断面において、画面上下方向において対称な形状をしているが、画面上下方向において非対称な形状としてもよい。
本実施形態の光拡散層14は、接合層16cを介して光制御層13の出射側に積層されている。光拡散層14は、その厚さが200μmであり、屈折率が1.55であるMBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂を基材とし、拡散材として略均一に混錬されたシリコン系ビーズ(屈折率1.41、粒径約2μm)とアクリル系ビーズ(屈折率1.53、粒径約8μm)とを含有している。本実施形態の光拡散層14は、その基材に拡散材が配合される割合が7.6重量%前後である。
そこで、拡散材を含有する基材となる樹脂との屈折率差が小さく、その粒径もシリコン系ビーズに比べて大きいアクリル系ビーズを、シリコン系ビーズと組み合わせて用いることにより、上述のような輝線の原因となる光を拡散することができる。
スクリーン10の観察面(前面)は、使用者Sがタッチペン等の入力部62によって文字等を筆記する面であるため、耐擦傷性が求められ、また、筆記等が滑らかに行えるように、ある程度の平滑性も求められる。その一方で、スクリーン10の観察面は、室内の照明光等の反射や映り込み等を低減し、画面の見易さを向上させる観点から、防眩機能を有していることが好ましい。
本実施形態の表面機能層15は、厚さ100μmのPET樹脂製のシート状の部材を機能基材層151とし、その出射側(観察面側)の表面に、スチレン粒子(平均粒径7.5〜8.0μm、屈折率1.59)を含有する電離放射線硬化型樹脂を膜厚7μm程度で塗布して防眩層152が形成されている。本実施形態の表面機能層15は、その表面粗さである算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が136nm、最大高さRz(JIS B0601−2001)が453nmであり、防眩機能を発揮するに十分な表面粗さを有しつつ、その筆記性を妨げることはない。
ここで、プリズム層11は、図3(a)に示すように、入射面A1に入射する光束のうち、光L1を含む光束R1は、全反射面A2に到達し、全反射面A2によって全反射して略平行光となって出射側へ進む。しかし、光束R1より垂直方向下側に位置する残りの光束R2は、全反射面A2に到達することができず、光L2に示すように正面方向(スクリーン面の法線方向)から大きくそれた方向へ向かい、迷光となってしまう。
このような迷光は、ゴーストと呼ばれる現象を引き起こし、映像が見えにくくなり、画質の低下を引き起こし、観察者に不快感を与える原因となる場合がある。
そこで、従来は、スクリーン10の厚み方向において入射側(プリズム層11側)に光拡散層14を配置し、ゴーストの発生を低減する等の対策が採られていた。
図4は、視差や情報検出部の情報検出の様子を説明する図である。図4(a),(b)は、視差を説明する図である。図4(c)は、IRカメラ方式の情報検出部の検出方法を説明する図であり、図4(d)は、光拡散層14をスクリーン10Aの入射側に配置した場合の位置情報の検出の様子を示し、図4(e)は光拡散層14をスクリーン10Aの出射側に配置した場合の位置情報の検出の様子を示している。なお、図4では、理解を容易にするために、スクリーンの層構成を単純化してスクリーン10A内における光拡散層14のみを示している。
スクリーン10Aの背面側から投射された映像光は、主に光拡散層14で結像する。そのため、図4(a)に示すように、点Aで結像した映像をスクリーン正面で観察する場合には、点Bで観察されるが、スクリーン正面方向に対して角度をなす方向から観察する場合には、点Cで観察される。このとき、点Bと点Cとの距離d1が小さいほうが、視差が小さく、高品質なスクリーンである。図4(a),(b)に示すように、光拡散層14が入射側に位置し、点Aと観察面との距離d2が大きい方が、距離d1が大きく、視差が大きい。
視差が大きいスクリーンでは、スクリーンを観察する方向によって映像が観察される位置が大きく異なり、会議や授業等で、観察面上に表示された映像を入力部62等で指し示して使用するインタラクティブボードとしては、その品位が低下する。
そのため、図4(d)に示すように、光拡散層14の位置がスクリーンの入射側(背面側)に設けられる場合には、乱反射された赤外線がスクリーン10Aを透過しながら広がるため、光拡散層14で結像する赤外線の像の大きさDが大きくなり、反射した赤外光の光強度が分散して弱くなってしまう。そのため、反射した赤外光の像の強度が低下し、赤外線カメラ部63Bによって赤外線の像を認識することが困難となり、検出精度が低下する。一方、図4(e)に示すように、光拡散層14がスクリーンの出射側に位置する場合は、光拡散層14で結像する赤外線の像の大きさDが小さく、反射した赤外光の光強度の分散が抑えられ、反射した赤外光の像の強度が高く保たれ、赤外線カメラ部63Bによって十分その像を認識することできる。従って、光拡散層14が背面側(入射側)に位置するスクリーンは、光拡散層14が観察面側(出射側)に位置するスクリーンに比べて赤外線カメラ部63Bによる入力部62の位置情報の検出の精度が低下する。
そこで、本実施形態は、光拡散層14をスクリーン10の厚み方向において出射側に配置し、さらに、光拡散層14より入射側に光制御層13を備えることにより、上述のような視差や情報検出の精度の低下を極力抑えながら、ゴーストの発生を低減した。
比較例のスクリーン10Bは、光制御層13を備えていない点が本実施形態のスクリーン10と異なる以外は、本実施形態のスクリーン10と略同様の形態である。従って、本実施形態のスクリーン10と共通する機能を果たす部分には、共通の符号を付している。
本実施形態のスクリーン10及び比較例のスクリーン10Bにおいて、プリズム層11の単位プリズム111に入射する光のうち、図3(a)に示すように、光束R1は観察者側の正面方向へ出射し、光束R2は迷光となる点は共通している。
比較例のスクリーン10Bを用いたインタラクティブボードシステムでは、前述のような光拡散層が入射側に設けられたスクリーンを用いたインタラクティブボードシステムに比べて、視差やIRカメラ方式の情報検出部を用いた場合の位置情報の検出精度が低下は改善されていた。しかし、比較例のスクリーン10Bでは、図5(b)に示すように、光吸収部133を備える光制御層13を備えていないため、迷光となった光束R2が吸収されることなく光拡散層14で拡散されて光束R1とは離れた位置で結像する。そのため、比較例のスクリーン10Bでは、画面(スクリーン)上に、ゴーストが発生しており、画質の劣化が生じており、使用に適さないものであった。
また、本実施形態の光透過部132は、画面上下方向に平行であってスクリーン面に対して直交する断面における断面形状が、出射側における幅よりも入射側における幅の方が広い略台形形状であるので、映像光の透過率を高く、明るい映像を表示できる。
さらに、光吸収部133によって、観察面側からスクリーン10に入射する照明光等の外光を吸収することができるので、コントラストを向上することができる。特に、本実施形態の光吸収部133の断面形状は、出射側の幅が広いので、外光吸収によるコントラスト向上効果を高めることができる。
図6は、第2実施形態のスクリーン20の単位プリズム211の形状を示す図である。
第2実施形態のスクリーン20は、プリズム部212の単位プリズム211の形状が異なる点等が、前述の第1実施形態のスクリーン10とは異なる。従って、本実施形態では、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態のスクリーン20は、プリズム部212を有するプリズム層11以外は前述の第1実施形態のスクリーンと同様の層構成を備えている。
プリズム層11は、単位プリズム211が形成されたプリズム部212とプリズム基材層113とを備えている。
単位プリズム211は、入射側に凸となるプリズム形状である。しかし、単位プリズム211は、図6に示すように、その頂部が入射側(背面側)に凸となる曲面によって形成されている。
このような形態とした場合、単位プリズム211の頂部近傍に入射する光(例えば、図6中に示す光L3)は、単位プリズム211の入射面A1に入射した後、全反射面A2で全反射してスクリーンの正面方向へ進む。しかし、頂部の曲面に入射した光は、図6中に示す光L4のように全反射面A2で全反射することなく観察面側へ透過して正面方向に対して大きくそれた方向に出射したり、全反射した場合にも正面方向に対して大きくそれた方向に出射したりする場合がある。このような光は、迷光となり、ゴーストが発生しやすくなる。
また、わずかではあるが、特にスクリーン面への入射角度が比較的小さい場合には、光L5のように、単位プリズム211の頂部が曲面となったために、頂部に曲面を形成しなかった場合には入射するだろう単位プリズム211の頂部に入射せず、隣の単位プリズム211の入射面の谷側に入射して、全反射することなく正面方向に対して大きくそれた方向へ出射する光もあり、このような光も迷光となってゴーストの要因となる。
以上のことから、本実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができ、迷光を効果的に吸収してゴーストを低減できる。また、スクリーン20の製造時や搬送時におけるプリズム層11やスクリーン20のハンドリングが容易となり、歩留りが向上し、スクリーン20の生産性が向上する。また、使用時における単位プリズム211の頂部の破損等も低減できる。
図7は、第3実施形態のスクリーン30の層構成を示す図である。
第3実施形態のスクリーン30は、光透過部332及び光吸収部333の断面の向きが異なる点等が、前述の第1実施形態のスクリーン10とは異なる。従って、本実施形態では、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第3実施形態のスクリーン30は、前述の第1実施形態のスクリーン10と同様に、支持部材51によって支持してインタラクティブボード50とし、不図示の情報検出部や投影機60やパーソナルコンピュータ61等を備えるインタラクティブボードシステムに用いることができる。
光制御層33は、光透過部332と光吸収部333とを備え、光透過部332と光吸収部333とは、スクリーン面に平行な面に沿って画面上下方向に交互に配列されている。光制御層33は、接合層16eを介して基板層12の出射側に一体に積層されている。この接合層16eは、前述の接合層16a等と同様の層である。
本実施形態の光透過部332は、画面上下方向に平行であってスクリーン面に直交する断面における断面形状が出射側(観察面側)の幅の方が入射側(背面側)の幅よりも広い略台形形状となっている。本実施形態では、光拡散層14の入射側の面にUV成形により光透過部332が一体に形成されている。
光吸収部333は、配列された光透過部332間の間隙部分に形成されている。本実施形態の光吸収部333は、画面上下方向に平行であってスクリーン面に直交する断面における断面形状が、入射側の幅が広く、出射側の幅が狭い略台形形状である。即ち、前述の第1実施形態の光吸収部133と略台形形状の向きが逆になっている。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とを備える全反射プリズムであり、シート面に沿って画面上下方向(垂直方向)に配列される例を示したが、これに限らず、画面左右方向(水平方向)に配列してもよいし、以下に示すような形態としてもよい。
図8は、スクリーンの変形形態を示す図である。
各実施形態において、プリズム層11は、単位プリズム111がシート面に沿って垂直方向に配列される例を示したが、例えば、図8(a)に示す変形形態のスクリーン40のように、単位プリズム111がシート面に沿って同心円状に配列されているプリズム層41としてもよい。単位プリズム111は、シート面の延長上に位置する点Oを中心として同心円状に配列されている。このとき、投影機60は、点Oを通りシート面に垂直な直線上に位置している。
全反射プリズム形状711aは、入射面A1と全反射面A2とを備えており、各実施形態において示した単位プリズム111の形状の一部である。屈折フレネルレンズ形状711bは、この全反射プリズム形状711aの垂直方向下側に隣接し、入射面A1と対向し、光が入射する入射面である第3の面A3と、第3の面A3と凸形状をなす第4の面A4とを備えており、所謂、屈折フレネルレンズの形状の一部である。
この第3の面A3に入射した光L6は、界面(第3の面A3)で屈折し、画面上下方向においてスクリーン面の法線方向に略平行光となって観察面側へ進む。そのため、このようなハイブリッド型のプリズム形状とすることにより、略平行光となる映像光の光量を増やすことができ、迷光を低減する効果も高めることができる。
一方、第4の面A4に入射した光L7は、界面(第4の面)で屈折して正面方向から大きく外れた方向へ進み、迷光となってゴーストの原因となる場合がある。しかし、このような単位プリズム711において発生する迷光によるゴーストも、光制御層13の光吸収部によって吸収することにより、効果的に低減できる。
また、例えば、第3実施形態においても、第2実施形態の単位プリズム211のように、単位プリズム111の頂部に曲面を形成してもよい。
なお、光透過部は、断面形状を他の多角形形状としてもよいし、一部が曲面により形成される形態としてもよいし、配列方向において非対称な形状としてもよいし、配列方向沿ってしだいにその斜面がスクリーン面となす角度が変化する形態としてもよい。
光透過部及び光吸収部の形状は、使用する環境や所望する光学特性等に応じて、適宜選択して設定してよい。
反射防止機能を有する場合は、照明光等の映りこみを防止し、コントラストを向上させることができる。帯電防止機能を有する場合は、静電気を除去し、観察面上への埃等の付着を防止できる。紫外線吸収機能を有する場合は、外光に含まれる紫外線によるスクリーンの黄変を防止できる。防汚機能を有する場合は、スクリーンの表面に汚れが付着することを防止できる。着色や減光機能を有する場合は、コントラストの向上を図ることができる。
なお、このような各種機能を有する層は1つでもよいし、複数設けてもよく、使用環境等に応じて適宜選択して組み合わせて用いてよい。また、1つの表面機能層がこれらの機能を併せ持つ形態としてもよい。さらに、光拡散層14が十分な耐擦傷性を有するならば、ハードコート機能を有する表面機能層15を設けない形態としてもよいし表面機能層15に替えてこれらの機能を有する層を設けてもよい。さらにまた、機能層は、ハードコート機能のみを有するハードコート層としてもよく、これらの層に上述の各機能を有する層を適宜組み合わせて使用してもよい。
リアプロジェクションテレビ型のインタラクティブボードとする場合、スクリーン10の背面側は筐体によって覆われ、暗室となるので、窓からの光や照明光等のような外光が、スクリーン10の背面から入射することを防止でき、コントラストの向上等を図ることができ、より明瞭な映像を表示できる。
また、壁面に所定の距離を有して固定されたインタラクティブボードとした場合、不図示のミラー部を壁面に配置し、映像光をミラーで反射してスクリーンの背面に投影する形態としてもよいし、ミラー部を備える投影機をスクリーン10の下方に配置し、映像光Lをミラー部で反射してスクリーン10の背面に投影してもよい。
このような構成とすることにより、壁面Hに固定されるので、背面側からスクリーン10に入射する不要な光を低減でき、コントラストの低下を低減できる。
また、第1及び第2実施形態において、防眩層152は、機能基材層151の出射側に形成される例を示したが、これに限らず、例えば、光拡散層14の出射側の面に一体に形成してもよい。
このような形態とすることにより、スクリーンの更なる薄型化を図ることができる。また、スクリーンを構成する層が少なくなるので、層間の界面で反射する光量を抑えることができ、透過光量を上げ、明るい映像を表示できる。
さらに、第3実施形態において、防眩層152が光拡散層14の出射側の面に形成される例を示したが、これに限らず、例えば、前述の第1実施形態のように、光拡散層14の出射側に接合層を介して表面機能層を接合する形態としてもよい。
11 プリズム層
111,211 単位プリズム
112,212 プリズム部
113 プリズム基材層
12 基板層
13,33 光制御層
14 光拡散層
15 表面機能層
16a〜16e 接合層
50 インタラクティブボード
51 支持部材
60 投影機
61 パーソナルコンピュータ
62 入力部
Claims (9)
- 背面側から映像光を投射するインタラクティブボード用の透過型スクリーンであって、
映像光の入射側に設けられ、光が入射する入射面と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面とを備える単位プリズムが入射側の面に複数配列されたプリズム部を有するプリズム層と、
前記プリズム層より出射側に設けられ、該インタラクティブボード用の透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層と、
前記プリズム層より出射側に設けられ、光を透過する光透過部と光を吸収する光吸収部とを備える光制御層と、
前記光制御層より出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、
を備え、
前記光透過部及び前記光吸収部は、使用状態における画面上下方向に平行であってスクリーン面に対して直交する断面において、スクリーン面に平行な面に沿って交互に配置されており、
前記光吸収部は、前記断面における断面形状が、略楔形形状又は略矩形形状であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記光吸収部は、前記断面における断面形状が、略楔形形状であり、出射側の幅が広く、入射側に向かって幅が次第に狭くなっていること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記光吸収部は、前記断面における断面形状が、略楔形形状であり、入射側の幅が広く、出射側に向かって幅が次第に狭くなっていること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記光吸収部は、前記断面における断面形状が、略矩形形状であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記光制御層は、前記基板層より出射側に設けられること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
出射側に、少なくともハードコート機能を有する機能層が設けられていること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記単位プリズムの配列方向における少なくとも一部の領域において、前記単位プリズムの前記入射面と前記全反射面とがなす頂部は、入射側に凸となる曲面によって形成されていること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンと、
前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンを支持する支持部材と、
を備えるインタラクティブボード。 - 請求項8に記載のインタラクティブボードと、
前記インタラクティブボードの前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの背面側から映像光を投射する光源部と、
前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの観察面への接触による入力を検出して検出信号を出力する検出部と、
前記検出部からの検出信号に応じて、表示する映像に応じた映像光を前記光源部から投影させる制御部と、
を備えるインタラクティブボードシステム。
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