JP5834613B2 - インタラクティブボード用の透過型スクリーン、インタラクティブボード、インタラクティブボードシステム - Google Patents
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Description
この特許文献1に示すインタラクティブボードでは、パーソナルコンピュータからの画像を、ボードの前面側、即ち、観察者側から投射している。そのため、ボードに手書きで文字等の情報を書き加える際に、投影画像が遮られるという問題や、ボードの前面に投影機を設置するための場所が必要となるという問題がある。
請求項1の発明は、背面側から映像光を投射するインタラクティブボード用の透過型スクリーンであって、入射側に設けられ、光が入射する入射面と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面とを備える単位プリズム(111)が複数配列されたプリズム層(11)と、前記プリズム層(11)よりも出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層(12)と、前記プリズム層よりも出射側に設けられ、該透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層(13)と、を備え、前記光拡散層は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、前記第1拡散材は、前記光拡散層の母材との屈折率差が、前記第2拡散材と前記光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が前記第2拡散材よりも大きく、前記第1拡散材の平均粒径は、前記第2拡散材の平均粒径よりも小さく、前記光拡散層が含有する前記第1拡散材の重量は、前記光拡散層が含有する前記第2拡散材の重量よりも少なく、前記第2拡散材は、前記光拡散層をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する前記第2拡散材の表面積の和が前記単位面積の2倍以上であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記光拡散層の前記第1拡散材及び前記第2拡散材を含有する母材は、アクリル系樹脂であり、前記光拡散層の厚さは、200μmであること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項3の発明は、請求項2のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記第1拡散材は、シリコン製の粒子であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記第2拡散材は、アクリル系樹脂製の粒子であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、出射側に、少なくともハードコート機能を有する機能層(14)を備えること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項7の発明は、請求項6に記載のインタラクティブボード(50)と、前記インタラクティブボードの前記インタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)の背面側から映像光を投射する光源部(60)と、前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの観察面への接触による入力を検出して検出信号を出力する検出部と、前記検出部からの検出信号に応じて、表示する映像に応じた映像光を前記光源部から投影させる制御部(70)と、を特徴とするインタラクティブボードシステムである。
(1)インタラクティブボード用の透過型スクリーンは、プリズム層と、プリズム層よりも出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、プリズム層よりも出射側に設けられ、該透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層とを備え、光拡散層は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、第1拡散材は、光拡散層の母材との屈折率差が、第2拡散材と光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が第2拡散材よりも大きく、第2拡散材は、光拡散層をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する第2拡散材の表面積の和がその単位面積の2倍以上である。従って、光拡散層は、十分な拡散作用を発揮でき、インタラクティブボード用の透過型スクリーンは、良好な視野角を有しつつ、輝線を低減でき、良好な映像を表示できる。また、第1拡散材と第2の拡散材とは、光拡散層の母材との屈折率差が異なり、第1拡散材と光拡散層の母材との屈折率差が、第2拡散材と光拡散層の母材との屈折率差よりも大きいものとしたので、各屈折率差の調整により、拡散作用の大きさの調整が容易である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無い。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、光学シートは、光学フィルムとしてもよいし、光学板としてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、スクリーン10を備えるインタラクティブボード50及びインタラクティブボードシステムの実施形態を示す図である。
インタラクティブボードシステムは、インタラクティブボード50と、投影機60と、パーソナルコンピュータ70と、インタラクティブボード50の観察面上に文字や図形等を描画可能な入力部80と、不図示の情報検出部とを備えている。
インタラクティブボード50は、支持部材51とインタラクティブボード用の透過型スクリーン(以下、理解を容易にするため、単にスクリーン又はボードという)10とを備えている。このインタラクティブボード50は、背面側から映像光を投射して観察面に映像を表示する形態である。
支持部材51は、スクリーン10の四辺を保持してその平面性を維持し、かつ、所定の高さにスクリーン10を支持する部材である。本実施形態の支持部材は、スクリーン10の四辺の周縁部を保持する枠部材52と、枠部材52の両端から鉛直方向に延び、スクリーンを所定の高さに指示する脚部53とを備えている。なお、支持部材51は、スクリーン10の高さを変えられるものとしてもよいし、変えられないものとしてもよい。また、支持部材51の脚部53の床面との接地部分に車輪等を設けて、移動可能な形態としてもよい。
投影機60は、スクリーン10(インタラクティブボード50)の背面側から映像光Lを投射する光源部である。本実施形態の投影機60は、プロジェクタであり、図1に示すように、スクリーン10の中央部より下側から斜め上へ向けて映像光を投影する形態のものである。
不図示の情報検出部は、入力部80によって描画された文字や図形等の情報を検出し、パーソナルコンピュータ70へ伝送する機能を有している。本実施形態の情報検出部は、位置センサを用いているが、これに限らず、各種方式のタッチパネル等を用いることができる。
また、この情報検出部は、パーソナルコンピュータ等の制御部と有線又は無線によって通信可能であり、本実施形態の情報検出部は、パーソナルコンピュータ70とUSBケーブル等により接続され、通信可能となっている。
本実施形態のパーソナルコンピュータ70は、USBケーブル等を用いて有線で情報検出部及び投影機60と接続され、通信可能となっているが、これに限らず、少なくとも一方と無線で通信可能な形態としてもよい。
なお、本実施形態ではパーソナルコンピュータ70を用いる例を示したが、少なくともインタラクティブボードシステムを統括的に制御可能な機能を有するものであれば、例えば、携帯電話等の携帯情報端末を用いてもよく、使用環境等に応じて適宜選択して用いてよい。
さらに、スクリーン10は、一般的なホワイトボード等のように、マーカー等の所定の筆記具を用いてその表面(観察面)に手書きで文字や図形等の情報を描画したり、描画した文字等を消去したりすることも可能である。
図2では、スクリーン10を、使用状態における画面上下方向に平行であって、スクリーン10の厚み方向(スクリーン面に直交する方向)に平行な方向で切断した場合の断面の一部を拡大して示している。
ここで、スクリーン面とは、スクリーン10全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中及び特許請求の範囲において、同一の定義として用いている。また、以下の明細書中において、スクリーン10(インタラクティブボード50)の使用状態におけるスクリーン10の画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)は、特に断りが有る場合を除いて単に画面上下方向、画面左右方向という。
本実施形態のスクリーン10は、図2に示すように、使用状態における光の入射側(背面側)から順に、プリズム層11、光拡散層12、基板層13、表面機能層14を有している。また、スクリーン10は、光拡散層12と基板層13の間に接合層15aが設けられ、基板層13と表面機能層14との間に接合層15bが設けられ、それぞれ接合層15a,15bにより一体に接合されている。このスクリーン10は、背面側に位置する投影機60から投影された映像光Lを結像して表示する。
また、本実施形態のスクリーン10は、観察面側から見て略矩形状であり、その画面サイズは、例えば、対角80インチサイズ(1220mm×1620mm)である。
プリズム層11は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により形成される。本実施形態のプリズム層11は、屈折率1.55のウレタンアクリレート系樹脂製である。
プリズム層11は、前述の図2に示すように、入射側(背面側)の面に、単位プリズム111がシート面(プリズム層11全体としてみたときの平面方向となる面であって、スクリーン面に平行な面)に沿って一方向(画面上下方向)に複数配列されている。
単位プリズム111は、図3に示すように、入射側へ凸となる形状であり、光が入射する入射面A1と、入射面A1から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面A2とを備えている。本実施形態の単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とによって形成される頂角α=38°であり、その配列ピッチP1=50μmである。
スクリーン10の下方に位置する投影機60から斜めに照射された映像光のうち入射面A1の頂部近傍に入射した光の少なくとも一部は、光L1のように、入射面A1で屈折して全反射面A2側へ進み、全反射面A2で全反射し、垂直方向においてスクリーン面の法線方向に略平行光となって観察者側へ進む。
上述のように、本実施形態の光拡散層12に含まれる拡散材であるシリコン系ビーズ及びアクリル系ビーズは、シリコン系ビーズの方が、アクリル系ビーズよりも光拡散層12の母材となる樹脂との屈折率差が大きく、その拡散特性が異なっている。
また、光拡散層12に用いられるアクリル系ビーズは、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在するアクリル系ビーズの表面積の和が、その単位面積の2倍以上であることが好ましい。この理由については後述する。
この基板層13は、スクリーン10を構成する他の層に比べて厚さが最も厚く、これにより、スクリーン10の平面性を維持するために充分な剛性を有している。従って、スクリーン10は、基板層13を備えることにより、剛直となり、その観察面に筆記された場合にも透過型スクリーンが撓んだり、変形したり、破損したりすることを防止できる。本実施形態の基板層13は、光透過性を有する略平板状のガラス板を用いており、その屈折率が1.52であり、厚さが6mmである。
なお、基板層13としては、PC樹脂やMBS樹脂、MS樹脂等の樹脂製のシート状の部材を用いてもよい。また基板層13の厚さは、その材質や使用環境等に応じて適宜設定してよいが、平面性維持等の観点から、樹脂製のシート状の部材の場合で8〜10mmの範囲内が特に好ましく、ガラス板の場合で4〜8mmの範囲内が特に好ましい。
スクリーン10の観察面(前面)は、使用者Sがタッチペン等の入力部80によって文字等を筆記する面であるため、耐擦傷性が求められ、また、筆記等が滑らかに行えるように、ある程度の平滑性も求められる。その一方で、スクリーン10の観察面は、室内の照明光等の反射や映り込み等を低減し、画面の見易さを向上させる観点から、防眩機能を有していることが好ましい。
図4は、シリコン系ビーズとアクリル系ビーズとの拡散特性を示す図である。図4において、縦軸は、ゲインを規格化したものであり、横軸は、出射角度である。この図4のグラフでは、測定例1のピークゲイン(ゲインの最大値)を基準(1.0)として、測定例2〜4のゲインを規格化している。また、この図4に示すグラフは、母材をMBS樹脂(屈折率1.55)とし、1種類の拡散材のみを含有する測定例1〜4の光拡散層のサンプルをそれぞれ作製し、自動変角光度計(株式会社村上色彩技術研究所製 GP−500)によって、各サンプルの背面側から各光拡散層の法線方向に光(白色光)を投射した場合の透過光の拡散度合いを測定し、そのゲインを規格化して得た結果である。なお、測定例1〜4の厚さは等しい。
図4に示す測定例3(シリコン系1)は、屈折率1.41、平均粒径約2μmのシリコン系ビーズを拡散材として含有する測定例3の光拡散層である。また、図4に示す測定例4(シリコン系2)は、屈折率1.41、平均粒径約2μmのシリコン系ビーズを拡散材として含有する測定例4の光拡散層である。測定例3と測定例4との違いは、拡散材となるシリコン系ビーズの量であり、測定例4の方が、シリコン系ビーズの量が多い。
G=π×A/I ・・・(式1)
なお、(式1)において、ゲインをG、円周率をπ、輝度をA(cd/m2)、照度をI(lx)で示している。測定したゲインは、各光拡散層のシート面の中心においてそれぞれの角度から観察している。
アクリル系ビーズは、母材との屈折率差が小さく、粒径も大きいため、ピークゲインに対する拡散特性が小さく、図4に示すように、視野角範囲内のゲインの分布変化が急峻である。この傾向は、アクリル系ビーズの量を増やしても変わらず、その拡散特性の分布の広がりは、シリコン系ビーズに比べて小さい。また、アクリル系ビーズでは、多重拡散が生じ、光源側に戻される光が多く発生しており、利用効率も低下している。
一方、シリコン系ビーズは、母材との屈折率差も大きく、拡散効果も高いため、拡散材として、少量で高い光拡散性を発揮でき、ピークゲインに対する拡散特性も大きい。従って、上述のように、視野角範囲内のゲインの分布が滑らかである。
しかし、このシリコン系ビーズのみを拡散材として光拡散層に用いた場合、シリコン系ビーズが少量であり、かつ、その粒径が小さいため、拡散材に当たらず、拡散作用を受けずに出射する映像光(以下、素抜け光という)が生じる場合がある。そのような映像光は、観察者には輝線として観察され、画質が低下する場合がある。
一方、アクリル系ビーズ及びシリコン系ビーズを拡散材として用いた本実施形態の光拡散層12では、そのような局所的に高いゲインはなく、素抜け光が低減されている。
よって、本実施形態によれば、光拡散層12が、拡散材としてシリコン系ビーズに加えて、母材となる樹脂(屈折率1.55のMBS樹脂)との屈折率差が小さく、その粒径がシリコン系ビーズに比べて大きいアクリル系ビーズを用いることにより、輝線の原因となる素抜け光を拡散し、輝線の低減することができる。
アクリル系ビーズを半径Rの略球形であるとすると、ある一方向から見たその投影面積は、πR2に相当し、また、その表面積は、4πR2に相当する。従って、光拡散層12において、スクリーン面の法線方向から見た単位面積内に存在し、厚み方向に一列に隙間なく配列された拡散材が、単位面積の4倍以上の表面積を有していれば、その単位面積に入射した光は必ず拡散材に当たり、輝線の原因となる素抜け光を防止できるといえる。
しかし、図4に示すように、アクリル系ビーズだけでは、視野角範囲内のゲインの分布が急峻であり、所望の拡散特性を得られないので、ある程度、主たる拡散作用を発揮するシリコン系ビーズを含有する必要がある。また、図5に示すグラフにおいて、素抜け光のある比較例のピークゲインを、素抜け光のない本実施形態のピークゲインで割った値は、約1.04である。従って、素抜け光となる光の成分は、1割未満である。
この条件を満たすことにより、所望の好適な拡散特性を実現しながら、素抜け光を防止して、輝線の低減を図ることができる。一方、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在するアクリル系ビーズの表面積の和が、その単位面積の2倍未満である場合には、アクリル系ビーズの拡散作用が不十分であり、素抜け光が存在し、輝線が発生してしまう。
本実施形態において、アクリル系ビーズは、その平均粒径が8μmであり、上述の重量比から、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積当たりの光拡散層12に存在するアクリル系ビーズの個数は、約400万個となる。よって、この単位面積当たりに存在するアクリル系ビーズの表面積は、8.16cm2であり、単位面積(1cm2)の2倍以上であり、好ましい範囲を満たしている。
よって、光拡散層12を備える本実施形態のスクリーン10は、主たる拡散作用を有するシリコン系ビーズの拡散特性に大きな影響を与えることがなく、かつ、アクリル系ビーズによって素抜け光を拡散でき、輝線を低減できる。なお、アクリル系ビーズは、余り多く配合すると、多重拡散により光源側(背面側)に戻される光が増え、正面輝度が低下する等の問題が生じるため、適宜調整することが好ましい。
なお、本実施形態の光拡散層12では、(光拡散層12の全重量):(アクリル系ビーズの重量):(シリコン系ビーズの重量)=18:1.04:0.50となっている。
以上のことから、本実施形態によれば、輝線等が観察されず、かつ、高い正面輝度と良好な視野角特性を有し、良好な映像を表示可能である。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とを備える全反射プリズムであり、シート面に沿って画面上下方向(垂直方向)に配列される例を示したが、これに限らず、画面左右方向(水平方向)に配列してもよい。さらに、以下に示すような形態としてもよい。
図6は、スクリーンの変形形態を示す図である。
各実施形態において、プリズム層11は、単位プリズム111がシート面に沿って垂直方向に配列される例を示したが、例えば、図6(a)に示す変形形態のスクリーン30のように、単位プリズム111がシート面に沿って同心円状に配列されているプリズム層31としてもよい。単位プリズム111は、シート面の延長上に位置する点Cを中心として同心円状に配列されている。このとき、投影機60は、点Cを通りシート面に垂直な直線上に位置している。
全反射プリズム形状411aは、入射面A1と全反射面A2とを備えており、各実施形態において示した単位プリズム111の形状の一部である。屈折フレネルレンズ形状411bは、この全反射プリズム形状411aの垂直方向下側に隣接し、入射面A1と対向し、光が入射する入射面である第3の面A3と、第3の面A3と凸形状をなす第4の面A4とを備えており、所謂、屈折フレネルレンズの形状の一部である。
この第3の面A3に入射した光L2は、界面(第3の面A3)で屈折し、画面上下方向においてスクリーン面の法線方向に略平行光となって観察面側へ進む。そのため、このようなハイブリッド型のプリズム形状とすることにより、略平行光となる映像光の光量を増やすことができ、迷光を低減する効果も高めることができる。
反射防止機能を有する場合は、照明光等の映りこみを防止し、コントラストを向上させることができる。帯電防止機能を有する場合は、静電気を除去し、観察面上への埃等の付着を防止できる。紫外線吸収機能を有する場合は、外光に含まれる紫外線によるスクリーンの黄変を防止できる。防汚機能を有する場合は、スクリーンの表面に汚れが付着することを防止できる。着色や減光機能を有する場合は、コントラストの向上を図ることができる。
なお、このような各種機能を有する層は1つでもよいし、複数設けてもよく、使用環境等に応じて適宜選択して組み合わせて用いてよい。また、1つの表面機能層がこれらの機能を併せ持つ形態としてもよい。さらに、基板層13が十分な耐擦傷性を有するならば、ハードコート機能を有する表面機能層14を設けない形態としてもよいし、表面機能層14に替えてこれらの機能を有する層を設けてもよい。さらにまた、表面機能層14は、ハードコート機能のみを有するハードコート層としてもよく、これらの層に上述の各機能を有する層を適宜組み合わせて使用してもよい。
リアプロジェクションテレビ型のインタラクティブボードとする場合、スクリーン10の背面側は筐体によって覆われ、暗室となるので、窓からの光や照明光等のような外光が、スクリーン10の背面から入射することを防止でき、コントラストの向上等を図ることができ、より明瞭な映像を表示できる。
また、壁面に所定の距離を有して固定されたインタラクティブボードとした場合、不図示のミラー部を壁面に配置し、映像光をミラーで反射してスクリーンの背面に投影する形態としてもよいし、ミラー部を備える投影機をスクリーン10の下方に配置し、映像光Lをミラー部で反射してスクリーン10の背面に投影してもよい。
このような構成とすることにより、壁面に固定されるので、背面側からスクリーン10に入射する不要な光を低減でき、コントラストの低下を低減できる。
このような形態とすることにより、スクリーンの薄型化を図ることができる。また、スクリーンを構成する層が少なくなるので、層間の界面で反射する光量を抑えることができ、透過光量を上げ、明るい映像を表示できる。
11 プリズム層
111 単位プリズム
12 光拡散層
13 基板層
14 表面機能層
15a,15b 接合層
50 インタラクティブボード
51 支持部材
60 光源部
70 パーソナルコンピュータ
80 入力部
Claims (7)
- 背面側から映像光を投射するインタラクティブボード用の透過型スクリーンであって、
入射側に設けられ、光が入射する入射面と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面とを備える単位プリズムが複数配列されたプリズム層と、
前記プリズム層よりも出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、
前記プリズム層よりも出射側に設けられ、該透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層と、
を備え、
前記光拡散層は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、
前記第1拡散材は、前記光拡散層の母材との屈折率差が、前記第2拡散材と前記光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が前記第2拡散材よりも大きく、
前記第1拡散材の平均粒径は、前記第2拡散材の平均粒径よりも小さく、
前記光拡散層が含有する前記第1拡散材の重量は、前記光拡散層が含有する前記第2拡散材の重量よりも少なく、
前記第2拡散材は、前記光拡散層をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する前記第2拡散材の表面積の和が前記単位面積の2倍以上であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記光拡散層の前記第1拡散材及び前記第2拡散材を含有する母材は、アクリル系樹脂であり、前記光拡散層の厚さは、200μmであること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項2に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記第1拡散材は、シリコン製の粒子であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項2又は請求項3に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記第2拡散材は、アクリル系樹脂製の粒子であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
出射側に、少なくともハードコート機能を有する機能層を備えること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンと、
前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンを支持する支持部材と、
を備えるインタラクティブボード。 - 請求項6に記載のインタラクティブボードと、
前記インタラクティブボードの前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの背面側から映像光を投射する光源部と、
前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの観察面への接触による入力を検出して検出信号を出力する検出部と、
前記検出部からの検出信号に応じて、表示する映像に応じた映像光を前記光源部から投影させる制御部と、
を特徴とするインタラクティブボードシステム。
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