JP2012077354A - 清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼の溶製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 転炉による一次精錬とRH真空脱ガス装置による二次精錬とを組み合わせて、酸化物系介在物の極めて少ない高清浄な低炭素アルミキルド鋼を安定して溶製する。
【解決手段】 炭素を0.02〜0.06質量%含有する低炭素アルミキルド鋼の溶製方法であって、転炉で溶製した溶鋼を未脱酸の状態で転炉から取鍋に出鋼し、出鋼後、Alを含有するスラグ改質剤を、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上の添加量で、未脱酸状態の溶鋼上に存在する取鍋内のスラグに上置き添加し、添加したAlによってスラグ中の低級酸化物を還元し、次いで、RH真空脱ガス装置にて、新たに酸素源を溶鋼に供給することなく溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素とを減圧下で反応させて脱炭処理を行い、0.015質量%以上の脱炭量が確保され、且つ、溶鋼中の炭素濃度が0.02〜0.06質量%となった時点で脱炭処理を終了し、その後、減圧下の溶鋼にAlを添加して溶鋼を脱酸する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼の溶製方法に関し、詳しくは、転炉による一次精錬とRH真空脱ガス装置による二次精錬との組み合わせによって清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼を安定して溶製する方法に関する。
酸化物系非金属介在物の少ない高清浄性のアルミキルド鋼を溶製する手段として、転炉で溶製された溶鋼を転炉から取鍋に出鋼後、取鍋内の溶鋼上に滞留するスラグにスラグ改質剤を添加し、スラグ中の低級酸化物(FeOやMnOなど)の濃度を低減し、スラグ中の低級酸化物と溶鋼中のAlとの反応によるAl23(アルミナ)の生成を抑制する方法が広く行われている。
例えば、特許文献1には、炭素含有量が0.005質量%以下のアルミキルド極低炭素鋼を溶製する際に、転炉で溶製された炭素含有量が0.03〜0.06質量%の溶鋼を未脱酸のまま取鍋に出鋼し、取鍋内の溶鋼上に滞留するスラグにAlを含有するスラグ改質剤を添加し、スラグ中のFeO及びMnOの合計濃度を5質量%以下に調整し、その後、RH真空脱ガス装置にて、溶鋼中炭素濃度が0.005質量%以下となるまで減圧下で脱炭処理し、脱炭処理後、溶鋼にAlを添加して脱酸する溶製方法が提案されている。
特許文献2には、取鍋内の溶鋼上に存在するスラグへAlを含有するスラグ改質剤を添加してスラグを改質する際に、スラグ中のFeOを過不足なく還元するために、スラグ改質剤添加前のスラグ中のFeO濃度を分析し、このFeO濃度の分析値とスラグ量とに応じてスラグ改質剤の添加量を決定する方法が提案されている。尚、特許文献2では、スラグ改質剤を添加する際に、溶鋼は脱酸されていてもまたは未脱酸のままでもどちらでも適用できるとしている。
また、特許文献3には、転炉と真空脱ガス設備とを用いて炭素濃度が0.02〜0.06質量%の低炭素アルミキルド鋼を溶製するに際し、転炉では溶鋼中の炭素濃度が0.07〜0.12質量%になるまで脱炭精錬し、脱炭精錬終了後はAlによる溶鋼の脱酸を実施しないまま前記真空脱ガス設備に搬送し、真空脱ガス設備では、大気圧よりも低い雰囲気下の溶鋼に酸素ガスを吹き付けて炭素濃度が0.02〜0.06質量%になるまで減圧下で脱炭処理し、その後、溶鋼にAlを添加して脱酸する溶製方法が提案されている。特許文献3は、好ましい形態として、出鋼時或いは出鋼後に取鍋内のスラグにスラグ改質剤を添加することを提案している。
特開平5−239537号公報 特開2003−41315号公報 特開2006−183103号公報
本発明者らは、炭素含有量が0.02〜0.06質量%である、酸化物系非金属介在物の少ない高清浄性の低炭素アルミキルド鋼を溶製する手段として、出鋼後に、Alを含有するスラグ改質剤を取鍋内のスラグに添加することを前提として、転炉での一次精錬とRH真空脱ガス装置での二次精錬(減圧下での脱炭処理)とを用いて溶製する方法を検討した。
その結果、スラグ改質剤の添加量が過剰になる、或いは、スラグ改質剤中のAlが溶鋼と直接接触するなどして、RH真空脱ガス装置での減圧下での脱炭処理の前に、スラグ改質剤中のAlと溶鋼中に溶解している酸素(溶存酸素という)とが反応して溶鋼中にAl23が生成されると、生成するAl23が多く、生成したAl23の溶鋼からの浮上・分離が遅れ、溶鋼の清浄性が向上しないことを知見した。つまり、溶鋼の清浄性を高めるためには、減圧下での脱炭反応によって溶存酸素を可能な限り減少させ、その後にAlで脱酸処理することが必要であることを知見した。また、RH真空脱ガス装置における減圧下での脱炭処理において、溶鋼中炭素の酸化剤として、酸素ガスや酸化鉄などの酸素源を新たに供給すると、溶鋼中の溶存酸素濃度が上昇し、清浄性が劣化することを知見した。
この知見に基づいて上記従来技術を検証すれば、特許文献1は、スラグ改質剤の添加量が過剰になっても問題としておらず、特許文献2は、スラグ改質剤を過剰に添加しないことを提案するものの、定量的に把握することが困難なスラグ質量(スラグ厚み測定値からの推定値程度の精度)に基づいてスラグ改質剤の添加量を設定することから、スラグ改質剤添加量の精度は良くなく、且つ、スラグ中の低級酸化物のうちのMnOを考慮しておらず、また、特許文献3は、スラグ改質剤を添加すると記載するだけで具体的な方法は全く記載していない。つまり、上記従来方法は、何れの方法もスラグ改質が精度良く行われておらず、改善の余地のあることが分った。
また、特許文献3は、真空脱ガス設備において、溶鋼に酸素ガスを吹き付けて脱炭処理しており、酸素ガスによって溶鋼が酸化され、溶鋼中の溶存酸素濃度が高くなり、溶鋼中の酸化物系非金属介在物が増加するという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉による一次精錬とRH真空脱ガス装置による二次精錬とを組み合わせることによって、炭素濃度が0.02〜0.06質量%の低炭素アルミキルド鋼を溶製するにあたり、適正なスラグ改質によって減圧下での脱炭処理で溶存酸素を大幅に低減し、これにより酸化物系非金属介在物の極めて少ない高清浄な低炭素アルミキルド鋼を安定して溶製する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼の溶製方法は、炭素を0.02〜0.06質量%含有する低炭素アルミキルド鋼の溶製方法であって、転炉で溶製した溶鋼を未脱酸の状態で転炉から取鍋に出鋼し、出鋼後、Alを含有するスラグ改質剤を、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上の添加量で、未脱酸状態の溶鋼上に存在する取鍋内のスラグに上置き添加し、添加したAlによってスラグ中の低級酸化物を還元し、次いで、RH真空脱ガス装置にて、新たに酸素源を溶鋼に供給することなく溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素とを減圧下で反応させて脱炭処理を行い、0.015質量%以上の脱炭量が確保され、且つ、溶鋼中の炭素濃度が0.02〜0.06質量%となった時点で脱炭処理を終了し、その後、減圧下の溶鋼にAlを添加して溶鋼を脱酸することを特徴とする。
本発明によれば、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上のスラグ改質剤でスラグを改質するとともに、RH真空脱ガス装置における減圧下での脱炭処理では、新たに酸素源を供給することなく、0.015質量%以上の脱炭量を確保し、且つ、溶鋼中の炭素濃度が0.02〜0.06質量%となった時点で脱炭処理を終了し、その後、Alによる脱酸処理を行うので、つまり、溶鋼中の溶存酸素濃度が十分に低下した時点でAl脱酸するので、Al脱酸によって生成するAl23が少なく、且つ、Al脱酸後の溶鋼中Alとスラグとの反応が防止され、その結果、酸化物系非金属介在物の少ない清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼を安定して溶製することが実現される。
本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略図である。 減圧下での脱炭処理における脱炭量と製品での酸化物系非金属介在物指数との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼を溶製することを目的としており、従って、主たる鉄源として、銅や錫などの不純物成分の少ない、高炉から出銑された溶銑を使用する。ここで、低炭素アルミキルド鋼とは、炭素濃度が0.02〜0.06質量%で、Mnをおよそ0.2〜0.6質量%、Alを0.02〜0.06質量%程度含有し、その他必要に応じて、B、Ca、Cr、Nb、Ti、Bなどを微量含有する鋼のことである。
高炉から出銑された溶銑をトピードカーや溶銑鍋などの溶銑保持・搬送用容器で受銑し、次工程の脱炭精錬を行う転炉に搬送する。通常、この搬送途中で、溶銑に対して脱硫処理や脱燐処理などの溶銑予備処理が施されており、本発明においては、低炭素アルミキルド鋼の成分規格上からは溶銑予備処理が必要でない場合でも、これらの溶銑予備処理を実施することが好ましい。これは、溶銑予備処理を施すことによって転炉精錬で必要とする媒溶剤を少なくすることができ、製鋼工程における製造コストを低減できるからである。
このようにして得た溶銑を一次精錬炉の転炉に装入して大気圧下で転炉脱炭精錬を行う。この大気圧下での転炉脱炭精錬は、必要に応じて少量の生石灰(CaO)などを媒溶剤として用い、酸素ガスを上吹きまたは底吹きして溶銑の脱炭精錬を行う。この転炉精錬においては、マンガン源としてマンガン鉱石を添加することができる。尚、予備処理の施されていない溶銑を使用する場合には、スラグの塩基度が3〜5程度となるように、媒溶剤として生石灰を添加して脱炭精錬を実施する。
溶銑の脱炭精錬は、溶鋼中の炭素濃度が0.08質量%以下になるまで実施する。これは以下の理由による。
転炉で溶製された未脱酸状態の溶鋼では、熱力学的に、溶存酸素濃度(質量%)と炭素濃度(質量%)との積は、温度一定の条件下では大略一定であり(「ベーチャー・ハミルトン曲線」と呼ぶ)、1600℃における積は0.0024となる。本発明では、次工程のRH真空脱ガス装置において、新たに酸素源を供給することなく、溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中炭素とを、減圧下で反応させて脱炭処理(以下、「真空脱炭処理」と記す)しており、溶存酸素は真空脱炭処理時に消費される。転炉終点の溶鋼中炭素濃度が0.08質量%の場合、溶存酸素濃度は0.03質量%程度となり、脱炭反応は炭素と酸素との化学当量(C/O=12/16)に基づいて反応することから、0.03質量%の溶存酸素によって脱炭される炭素量(「脱炭量」という)は高々0.022質量%程度である。
つまり、本発明は、炭素濃度が0.02〜0.06質量%の低炭素鋼を製造対象としており、転炉終点の溶湯中の炭素濃度が0.08質量%を超えると、化学量論的に0.06質量%以下まで脱炭処理ができなくなるからである。この場合、溶製する低炭素鋼の炭素濃度の目標値が0.02〜0.06質量%の範囲の下限に近い場合には、転炉終点の溶鋼中炭素濃度を0.06質量%以下にする必要がある。
一方、転炉終点における溶鋼中炭素濃度の下限値は特に規定する必要はないが、本発明は、炭素濃度が0.02〜0.06質量%の低炭素鋼を製造対象としていること、更には、0.03質量%以下となるまで脱炭精錬すると、精錬時間が長くなる、転炉耐火物の溶損量が多くなる、酸化される鉄が多くなり鉄歩留りが低下する、スラグ中のFeOが増加してスラグ改質剤の使用量が増える、などの弊害が生じるので、下限値は0.03質量%程度とすればよく、更に、真空脱炭処理を前提としていることから、望ましくは0.05質量%程度とすればよい。
従って、炭素濃度が0.03〜0.08質量%、望ましくは0.05〜0.06質量%の範囲まで脱炭精錬されたなら、転炉内への酸素ガスの供給を停止して脱炭精錬を終了する。出鋼時の溶鋼温度は、製鋼工場の各設備の配置などから定まるリードタイムによって決まるもので一概にはいえないが、例えば1620〜1650℃程度で十分である。
転炉にて溶製した溶鋼に、Al、Si、Ti、Ca、Zr、Mgなどの脱酸剤を添加せず、未脱酸のまま転炉から取鍋に出鋼する。出鋼の末期、溶鋼に混入して転炉内のスラグが取鍋内に流出し、溶鋼の上に滞留するので、出鋼後、溶鋼の上に滞留するスラグにAlを含有するスラグ改質剤を上置き添加し、スラグ改質剤中のAlでスラグ中の低級酸化物(FeO、MnOなど)を還元する。Alを含有するスラグ改質剤としては、金属Al単体、鉄―Al合金、Al製品のスクラップを溶解再生するときに発生するアルミドロス(金属Alを30〜50質量%程度含有する)、或いは、これらに生石灰などを混合したものを使用する。
スラグ改質剤の添加量は、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上とする。本発明者らは、スラグ改質剤の添加量がAl純分あたり0.3kg/溶鋼−t未満であると、スラグ中の低級酸化物を十分に還元できないことを経験的に把握している。スラグ改質剤を添加する際に、スラグ改質剤が溶鋼と直接接触しないように、つまり、スラグ改質剤のAlと溶鋼中の溶存酸素とが反応しないように、スラグに上置き添加する。
スラグ改質剤の添加後、取鍋をRH真空脱ガス装置に搬送する。図1に、本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の1例を示す。図1はRH真空脱ガス装置の概略縦断面図であり、図1において、1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口であり、真空槽5は、上部槽6と下部槽7とから構成されている。
RH真空脱ガス装置1では、搬送された取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2に収容された溶鋼3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8に環流用Arガスを吹き込むとともに、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧する。真空槽5が減圧されると、取鍋2に収容された溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるArガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
溶鋼3に対してRH真空脱ガス精錬が施されると、溶鋼3は未脱酸状態であるので、真空槽5の内部では溶鋼3に含有される炭素と溶存酸素との反応が生じ、炭素はCOガスとなって排ガスとともに真空槽5からダクト11を介して排出され、溶鋼3に真空脱炭処理が施される。即ち、大気圧下の転炉で脱炭精錬された0.03〜0.08質量%の炭素濃度の溶鋼3には、0.08〜0.03質量%程度の酸素が含有されており、新たに酸素源を供給しなくても、この溶鋼3を環流させて真空槽5の内部で減圧下にさらすと、真空槽5の内部の雰囲気中のCOガス分圧は、大気圧下の転炉での脱炭精錬(COガス分圧=1.0気圧)に比較して十分に低く、溶鋼3に含有される炭素と溶存酸素との反応が起こる。尚、真空脱炭処理時における真空槽5の内部の雰囲気中COガス分圧は0.1〜0.2気圧程度であることが経験的に知られている。この場合、溶鋼3に、新たに酸素源を供給しないので、炭素と反応して溶存酸素も減少する。つまり、脱酸反応も同時に起こる。
本発明においては、この真空脱炭処理時の脱炭量を0.015質量%以上確保する。つまり、真空脱炭処理において溶存酸素濃度を少なくとも0.020質量%以上(=0.015×16÷12)減少させる。
前述したように、本発明は、RH真空脱ガス装置での真空脱炭処理の前に、スラグ改質剤中のAlと溶鋼中の溶存酸素とが反応して溶鋼中にAl23が生成されると、換言すれば、溶存酸素濃度が高い状態で溶鋼3をAl脱酸すると、生成するAl23が多く、Al23の溶鋼からの浮上・分離は遅いことから、溶鋼3の清浄性は向上せず、溶鋼3の清浄性を高めるためには、溶存酸素を可能な限り減少させた後にAl脱酸することが必要であることを知見してなされたものである。本発明者らは、真空脱炭処理において溶存酸素濃度を少なくとも0.020質量%以上減少させること、具体的には、脱炭量を0.015質量%以上確保することで、溶鋼3の清浄性が向上することを確認している。尚、スラグ改質剤の添加量が過剰であったり、スラグ改質剤を添加した際にスラグ改質剤中のAlと溶存酸素との反応があったりすると、溶存酸素は減少し、真空脱炭処理において0.015質量%以上の脱炭量を確保できなくなる。
0.015質量%以上の脱炭量を確保し、且つ、溶鋼中の炭素濃度が0.02〜0.06質量%の範囲内になったなら、脱酸用のAlを原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3を脱酸し、真空脱炭処理を終了する。Al脱酸によって溶存酸素が低下すると、自ずと脱炭反応が終了する。真空脱炭処理の終了後も更に数分間程度の環流を継続し、必要に応じてAl、Mn、B、Ca、Cr、Nb、Ti、Vなどの成分調整剤を原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3の成分を調整した後、真空槽5を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了し、低炭素アルミキルド鋼を溶製する。
このように、本発明によれば、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上のスラグ改質剤でスラグを改質するとともに、RH真空脱ガス装置における減圧下での脱炭処理では、0.015質量%以上の脱炭量を確保し、且つ、溶鋼中の炭素濃度が0.02〜0.06質量%となった時点で脱炭処理を終了し、その後、Alによる脱酸処理を行うので、つまり、溶鋼中の溶存酸素濃度が十分に低下した時点でAl脱酸するので、Al脱酸によって生成するAl23が少なく、且つ、Al脱酸後の溶鋼中Alとスラグとの反応が防止され、その結果、酸化物系非金属介在物の少ない清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼を安定して溶製することが実現される。
高炉から出銑された溶銑を転炉にて脱炭精錬して溶鋼を溶製し、この溶鋼を図1に示すRH真空脱ガス装置で真空脱炭処理して、炭素濃度の成分規格範囲が0.02〜0.05質量%の低炭素アルミキルド鋼を溶製する試験を行った。用いた溶銑は脱硫処理、脱燐処理が施された溶銑であり、転炉では合金鉄の代替としてマンガン鉱石を添加した。転炉での脱炭精錬終了時の炭素濃度は0.06±0.005質量%を目標として調整し、1630〜1650℃で未脱酸のまま取鍋に出鋼した。出鋼時に溶鋼とともに転炉から排出されたスラグに、出鋼後、取鍋内でAl純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上のアルミドロス粉末をスラグ改質剤として添加した。
RH真空脱ガス装置では、溶鋼に新たに酸素源を供給することなく、真空脱炭処理を9〜10分間実施し、その後、金属Alを添加して溶鋼を脱酸し、炭素濃度が0.02〜0.05質量%の低炭素アルミキルド鋼を溶製した。溶製した溶鋼を連続鋳造機でスラブ鋳片に鋳造し、このスラブ鋳片を熱間圧延、冷間圧延して薄鋼板製品とし、この薄鋼板製品において、酸化物系非金属介在物の密度を超音波探傷法によって調査した。
表1に、各試験におけるスラグ改質剤添加量、真空脱炭処理時間、溶鋼中の炭素濃度、真空脱炭処理での脱炭量、及び製品での酸化物系非金属介在物密度の調査結果を示す。但し、酸化物系非金属介在物の密度は指数化して表示している。
Figure 2012077354
また、図2に、真空脱炭処理での脱炭量と製品での酸化物系非金属介在物指数との関係を示す。
これらの結果から、出鋼後、Alを含有するスラグ改質剤を、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上の添加量で、未脱酸状態の溶鋼上に存在する取鍋内スラグに上置き添加し、次いで、RH真空脱ガス装置にて、新たに酸素源を溶鋼に供給することなく溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素とを減圧下で反応させて脱炭処理を行い、0.015質量%以上の脱炭量が確保された以降にAl脱酸することで、酸化物系非金属介在物の少ない清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼を安定して溶製できることが確認された。
また、スラグ改質剤を、Al純分あたり0.4kg/溶鋼−tを超えて添加すると、場合によっては、スラグ改質剤の添加が過剰となり、清浄性が向上しないことも発生した。従って、スラグ改質剤の添加量は、Al純分あたり0.4kg/溶鋼−t以下とすることが望ましいことも確認できた。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口

Claims (1)

  1. 炭素を0.02〜0.06質量%含有する低炭素アルミキルド鋼の溶製方法であって、転炉で溶製した溶鋼を未脱酸の状態で転炉から取鍋に出鋼し、出鋼後、Alを含有するスラグ改質剤を、Al純分あたり0.3kg/溶鋼−t以上の添加量で、未脱酸状態の溶鋼上に存在する取鍋内のスラグに上置き添加し、添加したAlによってスラグ中の低級酸化物を還元し、次いで、RH真空脱ガス装置にて、新たに酸素源を溶鋼に供給することなく溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素とを減圧下で反応させて脱炭処理を行い、0.015質量%以上の脱炭量が確保され、且つ、溶鋼中の炭素濃度が0.02〜0.06質量%となった時点で脱炭処理を終了し、その後、減圧下の溶鋼にAlを添加して溶鋼を脱酸することを特徴とする、清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼の溶製方法。
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