JP2012076058A - 難分解性物質を含む排水の処理方法 - Google Patents

難分解性物質を含む排水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 難分解性物質を複数種類含み大量に排出されるガス化プラント排水に対して、安価かつ効率的で安全に処理可能な処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】 化石燃料を部分酸化して得られるガスを湿式洗浄した際に排出される排水の処理方法であって、排水を酸性側に調整して曝気することによって排水に含まれる遊離シアンを除去する遊離シアン除去工程2と、遊離シアン除去工程2で処理された排水を生物処理する生物処理工程3と、生物処理工程3で処理された排水に含まれるCOD成分を分解する分解処理工程4とからなる。分解処理工程4は、促進酸化処理する手段によって構成されていることが好ましく、排水にカルシウム系アルカリ剤を添加して硫酸カルシウムを晶析する工程を含んでもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガス化プラント排水の処理方法に関し、特にチオシアン類、シアン類、ポリチオン酸類、有機物などの難分解性物質が複数種類含まれているガス化プラント排水の処理方法に関する。
石油系(重質油、アスファルトを含む)や石炭系(コールタールを含む)などの化石燃料を部分酸化して得られるいわゆるガス化ガスには、煤塵、硫黄化合物などの不純物が含まれているため、湿式法又は乾式法による精製工程を用いる必要がある。湿式法で精製する場合、例えば湿式洗浄工程から排出される湿式洗浄排水(ガス化プラント排水とも称される)には、チオシアン類(SCN類)、シアン類(CN類)、チオ硫酸を含むポリチオン酸類、有機酸を含む有機物などに代表されるCOD成分、さらには、アンモニア、固形物が含まれることが知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
これらのうち、チオシアン類、シアン類、ポリチオン酸類、有機物などのCOD成分は、ギ酸、酢酸、アルコール類などと同様に分解しにくい難分解性物質であるため、従来の排水処理法である湿式触媒酸化処理、生物処理、次亜塩素酸などの酸化剤による処理だけでは十分かつ安定的に分解処理してCODを規制値以下まで低減することができなかった。そこで、促進酸化法や触媒酸化法をはじめとする様々な処理方法が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、難分解性物質を含む排水を高温高圧の状態にした上で、過硫酸ナトリウムなどの硫酸ラジカル源を添加するとともに急速攪拌混合し、これにより硫酸ラジカルを発生させて難分解性物質を酸化分解する技術が開示されている。また、特許文献2には、チオ硫酸イオンなどの難分解性物質を含む排水に次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、オゾンなどの酸化剤を添加した後、紫外線を照射して難分解性物質を分解する方法が開示されており、特許文献3には、難分解性物質を含む排水に対して過酸化水素、酸素ガス、空気などの酸化剤の存在下で紫外線を照射する技術が開示されている。
さらに特許文献4には、シアン濃度が変動する排水に対して第一鉄塩又は第二鉄塩を添加し、シアン化合物の一部を難溶性の鉄シアノ錯体に変換させた後、未反応のシアン化合物及び有機物を含む排水を微生物で分解除去する技術が開示されている。
特開2006−314880号公報 特開2005−224771号公報 特開2004−024995号公報 特開平10−118664号公報
「II−3 石炭・重質油等からのガス化燃料」火力原子力発電、Vol.50、No.10 「超臨界水中におけるチオ硫酸ナトリウム及びチオシアン酸ナトリウムの分解反応」日本エネルギー学会、Vol.85、No.2、2006
しかしながら、特許文献1に示す処理方法は、処理の際、排水を高温高圧に維持する必要があるため、大量に排出される湿式洗浄排水の処理法としては処理コストの観点から適切でなかった。また、特許文献2及び3に示す酸化剤と紫外線照射による処理方法は、湿式洗浄排水に含まれる固形物の量や着色の程度によっては、紫外線照射の効率が低下するという問題があった。
さらに特許文献4に示す技術は、難溶性の鉄シアノ錯塩を生成するためには多量の鉄化合物を注入する必要があり、その結果、注入した鉄化合物のほとんどが水酸化鉄として沈殿した後、固液分離されてスラッジとなるため、このシアン化合物を含むスラッジを処分しなければならないという問題があった。
このように、従来から提案されている湿式洗浄排水の処理技術は、処理コストや処理効率などの点において何らかの課題をかかえており、いずれも実用化の点において満足できる技術とはいえなかった。本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、チオシアン類、シアン類、チオ硫酸を含むポリチオン酸類、有機酸を含む有機物などに代表される難分解性物質を複数種類含み且つ大量に排出されるガス化プラント排水に対して、安価かつ効率的に処理可能な処理方法及び処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明が提供する排水の処理方法は、化石燃料を部分酸化して得られるガスを湿式洗浄した際に排出される排水の処理方法であって、排水を酸性側に調整して曝気することによって排水に含まれる遊離シアンを除去する遊離シアン除去工程と、遊離シアン除去工程で処理された排水を生物処理する生物処理工程と、生物処理工程で処理された排水に含まれるCOD成分を分解する分解処理工程とからなることを特徴としている。
本発明によれば、難分解性物質であるチオシアン類、シアン類、チオ硫酸を含むポリチオン酸類、及び有機酸や芳香族を含む有機物などのうちのいずれかを複数種含み且つ大量に排出されるガス化プラント排水を、一般的な生物処理を用いて処理することができるので、促進酸化法で処理する分解処理工程での処理負荷を低減でき、よって安価かつ効率的に処理でき、さらに処理が難しい促進酸化法の負荷が低減されるため、安定的に処理することができる。なお、ここでいう促進酸化法とは、オゾン、過酸化水素、紫外線などの物理化学的な処理手法を用いることによって、ヒドロキシラジカル(・OH)などの強力な酸化力を有する活性ラジカル種を発生させて、難分解性の汚染物質を分解除去する処理法のことである。
本発明の排水の処理方法の一具体例を示す概略フロー図である。
本発明の排水の処理方法は、化石燃料を部分酸化して得られるガス化ガスを湿式洗浄した際に排出されるガス化プラント排水を対象としている。ガス化プラント排水には、チオシアン類、シアン類、チオ硫酸を含むポリチオン酸類、有機酸や芳香族を含む有機物、アンモニアなどのCOD成分となる難分解性物質が含まれている。
これら複数種の難分解性物質を除害すべく、本発明のガス化プラント排水の処理方法は、排水を酸性側に調整して曝気することによって排水に含まれる遊離シアンを除去する遊離シアン除去工程と、遊離シアン除去工程で処理された排水を生物処理する生物処理工程と、生物処理工程で処理された排水に含まれるCOD成分を分解する分解処理工程とからなる。
以下、図1を参照しながら、本発明の排水の処理方法の一具体例について説明する。図1に示す一具体例の排水処理方法は、NH除去工程1、遊離シアン除去工程2、生物処理工程3、分解処理工程4、残留シアノ錯体除去工程5、セレン・フッ素除去工程6、及び逆浸透膜処理工程7から構成されている。
NH除去工程1は、ガス化プラント排水(以降、単に排水と称する)に含まれるNHをある程度除去することを目的としており、生物処理工程の前段にNH除去工程1を設けることにより、原水にNHが高濃度で含まれていても、生物処理工程の負荷を和らげることができる。これは、高濃度のNHの除去を生物処理(嫌気・好気処理)によって行なう場合は、アルコールの添加などのために処理コストが高くなる上、槽サイズが大きくなるからである。なお、NH除去工程1は、遊離シアン除去工程2と生物処理工程3の間に設置してもよい。
原水にNHが高濃度に含まれていない場合は、生物処理工程(嫌気・好気処理)の前段にNH除去工程1を設ける必要は特にないが、窒素排水規制をクリアするために、NH除去工程1の設置が必要となる場合がある。この場合は、NH除去工程1を、分解処理工程4の後段に設けるのが好ましい。また、高濃度のNHを極めて低濃度まで削減する場合は、NH除去工程1として例えば前段にストリッピング法を設け、その後段に生物処理法を設置するのが効率的である。NH除去工程1では、例えばストリッピング法、触媒酸化法、生物処理法、膜処理法、次亜塩素酸による酸化処理などの方法でNHの除去を行うことができる。
図1には、NH放散手段11とNHガス冷却手段12とでNHをストリッピングする例が示されている。NH放散手段11では、例えば熱媒に余剰スチームを用いた熱交換器などによって、排水を90℃程度もしくはそれ以上に加熱し、NaOH、Ca(OH)などのアルカリ剤を添加して排水のpHを10以上に調整し、スチームやエアーなどのガスを排水に導入してNHをストリッピングする。
導入するガスがスチームの場合は、NHのストリッピングと同時に排水の加熱も行うことができるのでより好ましい。NH放散手段11でストリッピングされたNHは、熱交換器などのNHガス冷却手段12に送られ、ここで例えば冷媒により冷却された後、安水などの形態で回収される。
NH除去工程1においてある程度NHが除去された排水は、次に遊離シアン除去工程2に送られる。遊離シアン除去工程2は、第1pH調整手段21と空気曝気手段22とシアンガス冷却手段23とで構成されている。先ず第1pH調整手段21において、硫酸や塩酸を用いて排水のpHを酸性側のpH3〜7、好ましくはpH4〜6に調整する。
上記pHを3未満としても空気曝気手段22での放散効率の向上は期待できないため、添加した酸が無駄になる場合がある。また、他の含有物質の変質(例えばチオ硫酸の分解など)が起こることもある。さらには、排水に含まれるシアン以外の低沸点物質の放散、例えばギ酸などの低沸点の有機酸の放散が増加する。これによって、ギ酸がシアンと同様に生物処理工程をパスして、その下流側の促進酸化等によりシアン等とともに分解されるため薬剤コストが増大し、安定処理し難くなることがわかった。一方、pHが7を超えるとシアンガスの分圧が低くなりすぎて、空気曝気手段22での放散効率が悪くなる。
pH調整された排水は、続いて曝気槽などの空気曝気手段22に送られ、ここで排水に空気を導入することによって曝気処理を行い、排水に含まれる遊離シアンをストリップする。この曝気処理の際は、排水の温度が20℃以上であることが好ましい。また、空気曝気手段22では排水が0.1〜2.0時間程度曝気処理されるのが好ましく、この条件から曝気槽の容量が定まる。曝気のために導入する空気の供給量は、排水1m当たり、0.1〜100Nm/hr程度が好ましい。
空気曝気手段22は、上記曝気槽に限定されるものではなく、液循環システムを伴う充填塔で排水を循環させながら塔下部より空気を導入することによって曝気を行い、ストリップしたシアンを塔上部から抜き出すようにしてもよいし、空気の代わりに、あるいは空気と併用してスチームを導入してもよい。
かかる曝気処理によって、後段の生物処理にとって好ましくない、すなわち生物の生育阻害となるシアン及びその化合物がストリップされる。具体的には、シアン化水素、シアンイオン、シアン酸及びそのイオン、さらには亜鉛やカドミウムなどのシアノ錯体の一部がストリップされる。なお、この曝気処理では鉄シアノ錯体はほとんど除去されないが、生育阻害に対する鉄シアノ錯体の悪影響は極めて小さいので、ほとんど問題にならない。なお、上記曝気処理は、曝気用ガスに空気を使用するものであったが、空気以外の非水溶性のガスを使用してもよく、さらにスチームを導入して高温でシアンガスをストリップしてもよい。
空気曝気手段22で除去された遊離シアンはシアンガス冷却手段23に送られ、ここでNaOH、Ca(OH)などのアルカリ剤を含むアルカリ溶液に吸収される。具体的には、冷却器を備えた液循環システムを伴う充填塔でアルカリ溶液を循環しながら、空気曝気手段22で除去されたシアンガスを塔下部から導入し、シアンガスとアルカリ溶液を気液接触させる。
その際、アルカリ溶液は冷却器で、40℃以上にならないようにしながら、ほぼ一定温度に維持されているので、シアンガスは冷却されるとともにアルカリ溶液に吸収される。このシアンガス中には、シアンとともに放散された物質(例えば酸性領域で分圧を有するギ酸や酢酸などの有機酸、さらには低沸点のアルコール類)が含まれており、これらとシアンガスを吸収したアルカリ溶液は、分解処理工程4に送られ、ここで他の難分解性物質とともに酸化分解される。アルカリ溶液のpHは7〜10程度が好ましい。このpHが7未満では吸収効率が悪くなる。一方、pHが10を超えても吸収効率が向上せず、かえって塩類濃度が高くなりすぎて分解処理工程4の効率が低下したり、後段の逆浸透膜処理工程7の負荷が高くなったりする。
なお、シアンガス冷却手段23においては、上記アルカリ溶液の代わりに、分解処理工程4で使用している溶液を一部抜き出して使用してもよい。また、シアンガスを吸収したアルカリ溶液は、残留シアノ錯体除去工程5に移送して処理してもよい。さらにはストリップしたシアンガスなどを燃焼器で処理することもできる。これにより、下流側の排水処理負荷を低減できるので好ましい。このように、本発明の排水処理方法においては、遊離シアンが生物処理工程3をバイパスするようになっている。これにより、遊離シアンによる生物処理阻害の問題を回避することができる。
遊離シアン除去工程2で処理された排水は、次に生物処理工程3に送られる。生物処理工程3の前段に排水中のカルシウムやマグネシウムなどを除去する軟化工程を設けて、生物処理をより効率的に行うこともできる。生物処理工程3は、混合手段31と生物処理手段32で構成されており、これらにより排水に含まれる有機酸などの有機物、アンモニア、硝酸を除去することができる。また、残留しているシアン類の一部も生物分解される。
混合手段31は、例えば攪拌機を備えた混合槽からなり、ここで、酸、アルカリによってpHが中性に調整される。さらにフッ素濃度が高濃度の場合には、必要に応じて混合槽に受け入れた排水に、pH調整を行いつつカルシウム源として例えば水酸化カルシウムと塩化カルシウム、さらには塩化カルシウムを少なくともフッ素固定化に見合う量(CaFとして換算する)添加して、排水に含まれるフッ素をフッ化カルシウムに固定化する処理が行われる。
この混合槽では、上記フッ素の固定化処理に代えて、あるいは上記固定化処理と並行して、排水に塩化第一鉄や塩化第二鉄を添加して、排水に含まれるチオシアン類を2価及び/又は3価の鉄イオンで錯体化する処理を行ってもよい。混合槽内では、排水の温度は常温程度に保たれるのが好ましい。このように、混合手段31ではpH調整に加えて必要に応じて排水に含まれるフッ素やチオシアン類を除去あるいは錯体化する処理が行われるので、これらによる生物処理の阻害を抑制することができる。なお、鉄化合物が添加されても遊離シアン類は前段でストリップされているため、難処理性の鉄シアノ錯体が生成することはない。
生物処理手段32は、一般的な嫌気処理若しくは好気処理又はこれら両方の処理を用いたり、マイクローザ(登録商標)などのバイオフィルムリアクターを用いたりすることによって、排水に含まれる有機酸、アンモニア、硝酸などを生物処理するものである。一般にシアンは1mg/L程度で生物処理において生育阻害を引き起こすが、本発明の排水処理方法では、前述したように、予め遊離シアン除去工程2で遊離シアンをはじめとして、安定した生物処理を阻害するシアン類が除去されているので、このような問題は生じない。
一方、フッ素とチオシアン類は、それらの存在形態によっては生物処理での分解速度を遅くさせるので、これらが原水にある程度高濃度に含まれる場合は、上記したように混合手段31を設けて、ここで処理するのが好ましい。フッ素やチオシアン類の濃度が高濃度ではない場合には、混合手段31の混合槽を設けずに、生物処理工程3の嫌気発酵槽や好気発酵槽にて中和、フッ素の固定化、及び/又はチオシアン類の錯体化の操作を行うことができる。
生物処理工程3で処理された排水は、次に分解処理工程4に送られる。分解処理工程4は、例えば促進酸化手段41と固液分離手段42で構成されており、排水に含まれる難分解性物質であるSCN類、S類、CN類などが除去される。促進酸化手段41は、酸化剤を添加して排水中に酸化力を有するラジカル、例えばOHラジカルやOラジカルなどを発生させ、その強力な酸化力を利用して排水に含まれる難分解性物質を酸化分解するものであり、ラジカル源となる酸化剤には過硫酸、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸化合物などを使用することができる。
この中では過硫酸が好ましい。その理由は、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸などの酸化剤は自己分解しやすく、これによる効率低下の問題を避けることができない上、不要な中間生成物が生成するおそれがあるからである。さらに、過酸化水素や次亜塩素酸やオゾンからは酸素ガス、塩素系ガス、オゾンガスが発生することがあり、これらガスに対する安全性、防爆性を考慮する必要があるからである。
従って、以下の説明においては、過硫酸を酸化剤として使用する促進酸化手段41について説明する。この促進酸化手段41は、排水に過硫酸(ペルオキソ二硫酸)及び/又はその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)を添加して加熱することにより、下記の反応過程に示すような硫酸イオンラジカルやOHラジカルを発生させ、これらラジカルを難分解性物質に反応させて、難分解性物質を酸化分解するものである。尚、上記過硫酸及び/又はその塩を、以降とくに断らない限り過硫酸と称する。
[化1]
2−+2e→2SO 2−
過硫酸による酸化分解が、上記したように各種の難分解性物質を高効率で分解できる理由は定かではないが、加熱により発生した硫酸イオンラジカルによる酸化機構によるものと推測される。さらにはOHラジカルが生成し、溶解している難分解性物質の近傍に、均一かつ高濃度に存在できることが高効率の分解に関係しているためと推測される。
促進酸化手段41は、例えばスチームや温水などの加熱媒体が流通するコイル及び/又はジャケットを備えた加熱槽と酸化処理槽とからなり、加熱槽で排水を一旦受け入れて、好ましくは50〜200℃の温度に加熱してから酸化処理槽に移送し、酸化処理槽で過硫酸を添加して難分解性物質の酸化分解処理を行う。なお、より効率よく加熱するため、加熱槽に攪拌機を設けてもよい。また、酸化処理槽は、密閉系とするのが好ましい。その際、酸化処理槽のガス相からガスを大気放出する場合は、温度(圧力)制御とは別に、放出前のガスを冷却して得られた液体留分を還流として酸化処理槽内の液相部に戻す装置を設けるのが好ましい。
加熱温度は、50℃より低くなるとほとんど分解が進行せず、200℃より高くなると過硫酸の自己分解が起こり、ロスが比較的大きくなるので好ましくない。分解時間を短くできるという点では、上記温度範囲内において、できるだけ高温側に設定するのが有利であるが、ある程度温度を抑えることによって低圧操作が可能となるので、60℃〜100℃がより好ましい。50℃〜200℃に加熱する場合は反応時間が10分〜5時間程度となるが、60℃〜100℃であれば、反応時間をより実用的な30分〜180分にすることができる。
過硫酸の添加量は、除去対象となる難分解性物質の種類や濃度によって異なるが、高除去率を得るには、一般的には理論分解量(ガス化プラント排水中の全ての難分解性物質を分解するのに必要な化学量論量)の0.3〜10倍、好ましくは0.3〜5倍、さらに好ましくは0.5〜2倍である。この添加量が0.3倍より少ないと、分解率が小さくなったり、アンモニアや硝酸以外の窒素含有化合物やポリチオン酸などの中間生成物が生成したりする恐れがある。
一方、添加量の上限は、過硫酸の自己分解や反応速度を考慮して理論分解量より多めに設定されているが、理論分解量の10倍より多すぎると、硝酸への酸化が進行し、原水に含まれるアンモニアの酸化も進行して、硝酸の除去のための大型設備が後段に必須となるので好ましくない。
上記した排水の加熱と過硫酸の添加により酸化分解が開始するが、その際、ガス化プラント排水のpHを強酸性領域にすると、チオ硫酸の不均化による硫黄析出や硫化水素の発生が起こり、酸性領域にすると、シアンガスの放散が起こる。一方、強アルカリ性領域にあればアンモニアガスの放散が起こる。よって、たとえ短時間であっても、酸化分解の際にガス化プラント排水のpHをこれらpH領域に入れるのは、分解率の低下や発生ガスの処理の必要性などの観点から好ましくない。
したがって、酸化分解の際は、ガス化プラント排水のpHを6〜9の中性付近に維持しておくのが好ましい。酸化分解の際のpHをこの中性付近に維持するには、例えば、過硫酸が熱分解して難分解性物質の酸化分解が開始する前段階で排水に酸もしくはアルカリを添加してpH調整すればよい。具体的には、酸化処理槽の前段に酸及び/又はアルカリ添加装置を備えたpH調整槽を設け、ここで排水のpHを7.0〜11.0程度のアルカリ性に調整することによって可能となる。なお、その後の酸化分解の進行に伴ってpHが低下する可能性があり、特に過硫酸は硫酸を副生しアルカリ不足となるので、pHが大きく低下することがある。従って、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどのアルカリ剤を適宜添加してpH調整するのが好ましい。これにより、pHを6〜9程度の中性付近に維持することができる。
なお、十分な除去性能を維持しつつ過硫酸のロスをより一層少なくするため、過硫酸の添加量を2以上に分割して排水に添加してもよい。例えば、上記加熱槽で加熱されたガス化プラント排水が酸化処理槽に導入される前に、前述した化学量論量から求めた過硫酸の添加量のうちの30%〜90%、より好ましくは50%〜80%を加熱槽から酸化処理槽に向けて移送途中の配管内の排水に添加する。そして、過硫酸の添加量の残りを酸化処理槽内の排水に添加する。最初に添加する量が30%未満では分割の効果が得られず、90%より多ければ添加量を適切に制御することができなくなる。
このように過硫酸の添加量を分割して添加する場合は、酸化処理槽から排出される酸化処理後の排水中に含まれる過硫酸濃度を計測し、その値に基づいて最初に添加する過硫酸の添加量を調整するのが好ましい。これにより、原水中の難分解性物質の濃度が変動しても、それに追随して過硫酸の添加量を調整することができるので結果的に過硫酸の消費量を削減することができる。
なお、高い除去率を確保するには、酸化処理槽から排出される酸化処理後の排水中に、ある程度過硫酸が残留するように酸化処理槽に添加する過硫酸の量を調整するのが好ましい。この残留濃度は2〜50mg/L、より好ましくは2〜10mg/Lである。過硫酸の濃度の計測には、たとえば、ORP計、ヨウ素メトリー、イオンクロマトグラフィなどが使用できる。
促進酸化手段41で処理された排水は、次に固液分離手段42に送られ、ここで促進酸化手段41で生成した硫酸の除去が行われる。具体的には、固液分離槽などの固液分離手段42に受け入れられた排水に、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムを、副生する硫酸を中和するのに必要な程度の量だけ添加して中和することによって排水中の硫酸を硫酸カルシウム(石膏)として晶析させた後、固液分離する。これらの操作では石膏の溶解度が低くなるように排水の温度を50〜70℃にするのが好ましい。
このように、カルシウムなどのアルカリ剤を添加しながら過硫酸を添加して酸化処理することは過硫酸の分解で生成する硫酸を石膏として固形化できるため、硫酸濃度の上昇を抑制できる。よって、過硫酸による酸化処理の速度や効率を低下させずに処理することができる。さらに、後流側でのセレン処理や逆浸透膜処理も効率的に行なうことができる。
上記説明では、促進酸化手段41と固液分離手段42とが別々の装置で構成されていたが、かかる場合に限定されるものではなく、促進酸化手段41と固液分離手段42とが同一の装置であってもよい。すなわち、促進酸化反応と硫酸カルシウムの中和・晶析反応を同一の反応槽内で並行して行ってもよい。分解処理工程4については、COD成分を分解できるものであれば促進酸化手段を含む方法に限定されるものではない。促進酸化手段以外の方法としては、例えば触媒酸化法や超臨界状態などの流体による処理方法を挙げることができる。
分解処理工程4で処理された排水は、必要に応じて次に残留シアノ錯体除去工程5に送られる。残留シアノ錯体除去工程5は、排水に含まれるシアノ錯体、チオシアン酸錯体などを分解するとともに、分解処理工程4までの工程で処理できなかったその他残留する難分解性物質を処理するいわば仕上げ工程としての役割を担っている。残留シアノ錯体除去工程5において、前述したように、遊離シアン除去工程2で除去されたシアンを処理することもできる。
残留シアノ錯体除去工程5は、具体的には、貯留槽などのシアノ錯体分解手段51からなり、ここに受け入れられた排水に、水酸化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムを添加してシアノ錯体などの分解処理を行う。鉄シアノ錯体は過硫酸による促進酸化法では完全に分解するのが難しいが、例えば紺青法やアルカリ塩素法で処理すれば良好に除去することができる。なお、この工程で採用する方法は、鉄シアノ錯体を良好に除去できるのであれば、これらに限定されない。アルカリ塩素法では、貯留槽において排水のpHを8〜10程度に、温度を70〜90℃程度あるいはそれ以上に維持するのが好ましい。
石炭のガス化排水には石炭中に含まれるセレン、ホウ素やフッ素が含有している場合が想定され、その場合には残留シアノ錯体除去工程5で処理された排水は、次にセレン・フッ素除去工程6に送られ、ここで排水に塩化アルミニウムを添加した後、酸化条件下で鉄材に接触させることによって、セレンやフッ素の除去が行われる。この工程ではフッ素としてはフルオロホウ酸などの難処理性フッ素が除去される。図1では、第2pH調整手段61、塩化Al添加手段62、鉄材接触手段63、鉄凝集手段64、スラッジ分離手段65からなるセレン・フッ素除去工程6が例示されており、この順に排水を処理することによって、セレンやフッ素を除去することができる。
以下、各手段について具体的に説明する。先ず排水を例えば攪拌槽からなる第2pH調整手段61に受け入れ、ここで攪拌しながら無機酸を添加して排水のpHを3以上7以下、より好ましくは4以上7以下に調整する。無機酸としては塩酸、硫酸などの一般的なものを用いることができるが、塩酸がより好ましい。その理由は、後述するように鉄凝集手段64においてカルシウム含有アルカリ剤が添加されるため、硫酸を使用した場合は、この硫酸とカルシウム含有アルカリ剤とが反応して石膏スケールを生成するおそれがあるからである。
さらに、無機酸に塩酸を使用した場合は、排水中の塩化物イオンの濃度が増加してCa濃度が増加し、フッ化カルシウムの生成が促進されてFの除去率が向上し、後述する塩化Al添加手段62におけるアルミニウム化合物の添加量を削減することができるので、この点においても塩酸を使用することが好ましい。
無機酸を添加する場所は、特に限定するものでなく、例えば上記攪拌槽にpH制御装置を設け、このpH制御装置でpH値を制御しながら攪拌槽に直接無機酸を添加してもよい。あるいは、上記攪拌槽の上流側にpH制御装置を備えたpH調整槽を別途設け、このpH調整槽に一旦排水を受け入れ、ここに無機酸を添加することによって、pH値が予め調整された排水を上記攪拌槽に受け入れるようにしてもよい。また、pH調整槽を設ける代わりに、上記攪拌槽への供給配管途中にインラインミキサーなどの混合装置を設け、ここで排水と無機酸とを混合してもよい。
第2pH調整手段61でpHが調整された排水は、次に、塩化Al添加手段62でアルミニウム化合物が添加され、排水中に含まれるフルオロホウ酸が分解される。アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムを用いることができるが、前述したように、硫酸アルミニウムを用いた場合は、カルシウム含有アルカリ剤と硫酸との反応による石膏スケール生成のおそれがあり、また、塩化アルミニウムを使用した場合は塩化物イオンの濃度を増やすことができるので、塩化アルミニウムがより好ましい。
アルミニウム化合物の添加は、前述した無機酸の添加と同時に上記攪拌槽に直接添加してもよいし、前述したインラインミキサーなどの混合装置やpH調整槽において予めpH調整を行っておき、上記攪拌槽にはアルミニウム化合物のみを添加するようにしてもよい。後者の添加方法は、排水のpH値がほぼ均一になった後にアルミニウム化合物によるフルオロホウ酸の分解を行うことができるので、より好ましい。アルミニウム化合物の添加量は、分解されるフルオロホウ酸の排水中の濃度や除去率に依存するが、通常はAl/Fの重量比で1〜20の範囲となるように添加するのが好ましい。
塩化Al添加手段62で処理された排水は、次に、鉄材接触手段63で鉄材との接触が行われる。その際、排水のpHは、上記第2pH調整手段61や塩化Al添加手段62と同等の3〜7程度に維持されているので、鉄材は排水中に溶出する。鉄材が溶出して排水中に生じたFe2+はさらにFe3+に酸化され、その間の還元力によって、排水中の6価のセレンが4価のセレンに還元される。
この鉄材接触手段63では、排水のpHが弱酸性であるため、排水に溶解促進剤として例えば空気などの酸素を含むガスを導入する。このように排水に酸素を含むガスを導入することによって鉄を溶解させ、溶解した鉄によって生じるFe2+は、多くが最終的にFe3+に酸化され、pHが3〜7に調整されているため、3価の水酸化鉄として沈殿する。沈殿の際、0価のセレンや4価のセレンが共沈する。後述する鉄凝集手段64においては、水酸化鉄の沈殿を中性付近で完結させることができるので、鉄凝集手段64で添加するカルシウム含有アルカリ剤を使用しないか、もしくはその使用量を大幅に削減できる。
なお、鉄材接触手段63での酸素導入量を少ないか若しくは導入しない制御により鉄材接触手段63で処理した後の排水中にFe2+が残留する場合は、鉄材接触手段63の後段に酸素を含むガスを別途導入する工程を設け、ここでFe2+を酸化して沈殿させてもよい。
鉄材接触手段63で処理された排水は、次に、鉄凝集手段64においてアルカリ剤としてカルシウム含有アルカリ剤(生石灰及び/又は消石灰)が添加され、これによって、排水中にCaイオンが供給されると共に、排水のpHが鉄材接触手段63の時よりも高いpHであって且つpH6以上9以下、より好ましくは6.5以上8.5以下に上げられる。なお、アルカリ剤はカルシウム含有アルカリ剤に限定されず、排水中にカルシウムが充分に溶解している場合にはナトリウム系アルカリ剤(NaOH、NaHCO、NaCOなど)を使用してもよい。
その結果、フッ化カルシウム(CaF)が生成され、さらに、水酸化鉄及び水酸化アルミニウムも生成される。なお、鉄凝集手段64でCa濃度が不足する場合は、カルシウム含有アルカリ剤と共にCaClを添加してもよい。これにより、溶解カルシウム濃度を高めることができるので、CaFによるF処理を効果的に行うことができる。
このように、鉄凝集手段64では、上流側でカルシウム源が添加されていない場合にはフッ化カルシウム生成のためのCa源(例えば水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムなど)の供給が必要となる一方、水酸化鉄及び水酸化アルミニウムを生成して沈殿させることも必要であるため、pHを鉄材接触手段63よりも高いpHにすることが好ましい。また、両性金属であるアルミニウムからなる水酸化アルミニウムは、アルカリ領域では再度溶解するため、pHは9以下にする必要がある。
さらにpH9以下で十分な水酸化鉄の固体析出を完結させるためには、上記のように排水中に溶解した鉄をFe3+にすることが必須となり、よって鉄凝集手段64において液中に空気を吹き込むなど、セレン除去率や鉄材の消費量を把握しつつ積極的な酸化を採用することができる。これにより、水酸化鉄と共にセレンも沈殿させることができ、ホウ素も一部を沈殿させることができる。水酸化アルミニウム、3価の水酸化鉄を沈殿、分離した排水中の溶解した鉄(Fe2+)を除去する場合には、空気酸化して3価の水酸化鉄として沈殿させたり、pHを強アルカリにして2価の水酸化鉄として沈殿させることができる。
生成したこれらフッ化カルシウム、水酸化鉄及び水酸化アルミニウムを含む排水は、次に、シックナーなどの比重差を利用した凝集沈殿槽などのスラッジ分離手段65に送られ、ここで固液分離される。これにより、フッ化カルシウム、水酸化鉄及び水酸化アルミニウムはスラッジとして排出され、除去対象物質が除去された液体画分が得られる。
なお、スラッジ分離手段65には、前述したシックナーなどの比重差を利用した凝集沈殿槽に代えて、砂ろ過装置や膜分離装置を使用してもよい。また、該凝集沈殿槽の後段にこれらの装置を設けてもよい。凝集沈殿槽の後段に膜分離装置として例えば精密ろ過膜(MF膜)を設ける場合は、前段の凝集沈殿槽で水酸化鉄と水酸化アルミニウムのほとんどが液体画分から除去されているので、膜のファウリングの問題を抑えることができる。
このように、鉄材接触手段63に酸素(空気)を導入することによって弱酸性から中性のpH領域で排水を処理することができるので、第2pH調整手段61〜鉄材接触手段63において、pHを大幅に変動させる必要がない。また、セレン・フッ素除去工程6全体をほぼ常温で処理することができるので、薬剤の消費量を削減できる上、少ないエネルギーで効率的にセレン類やフッ素類を除去することができる。
さらに、酸素(空気)を使用して弱酸性から中性のpH領域での排水処理が可能になることによって、鉄材の消費量を削減することができる上、水酸化鉄の凝集作用を併用することによって、フッ素処理のためのアルミニウム化合物の添加量も削減することができる。また、高分子凝集剤も加わって凝集作用が向上し、固液分離の効率がよくなる。さらに、還元成分は前段の促進酸化手段41で処理されているので、セレン・フッ素除去工程6では、効率が低下することなく通常の除去性能が得られる。
セレン・フッ素除去工程6で処理された排水の少なくとも一部は、次に逆浸透膜処理工程7に送られ、ここで排水にその浸透圧より高い500〜1000kPa程度の圧力を加えて膜処理を行うことにより、原水にもともと含まれる低分子の無機塩や、促進酸化手段41で生成したNH、硝酸などを分離して清澄な透過液を得ることができる。この透過液はそのまま放流してもよいし、工場内で工業用水として再利用してもよい。
一方、濃縮液は、生物処理工程3の上流にリサイクルすることによって効果的に処理することができる。なお、排水の全量を逆浸透膜処理工程7で処理する場合は、系内にNa、Clなどが蓄積するので、この場合は濃縮液側の一部を系外に抜き出して透過液で希釈した後放流するのが好ましい。
[実施例1]
純水に各試薬を溶解させて、シアン化ナトリウムが50mg/L(CNとして)、フェロシアン化カリウムが5mg/L(CNとして)、ギ酸ナトリウムが500mg/L(ギ酸として)、チオ硫酸ナトリウムが100mg/L(Sとして)に調製された模擬排水を作製した。この模擬排水を、希薄塩酸を用いてpH4.5にし、温度を40℃に調整したのち、模擬排水1Lに対して1分間に0.1L相当の空気を約30分間曝気した。排出空気は濃度1mol/LのNaOH水溶液にバブリングして実験用ドラフト内に放出した。このように空気曝気処理して得た曝気排水中の全シアン濃度(JIS K−0102による)は8mg/Lとなり、排出空気を処理したNaOH水溶液中にはシアン化物が検出された。
続いて、曝気排水を希薄NaOHでpH6.5に調整した後、容量2Lの好気処理槽に移すとともに好気性活性汚泥を添加し、空気を導入しながら好気処理を行なった。その結果、ギ酸は50mg/Lまで順調に生物処理することができた。次に、当該生物処理を行った液に上記シアン化物が検出されたNaOH水溶液を混合して85℃に加熱した後、過硫酸を1000mg/L(Sとして)となるように添加し、60分間分解処理(促進酸化処理)した。その結果、全シアン濃度は4mg/L以下、ギ酸濃度は10mg/L以下、チオ硫酸濃度は10mg/L以下まで分解除去できた。
[実施例2]
フッ化ナトリウムを200mg/L(Fとして)、チオシアン酸ナトリウムを50mg/L(SCNとして)さらに含む以外は実施例1と同様の模擬排水を調製した。この模擬排水に対して、実施例1と同様の条件で空気曝気処理を行い、得られた曝気排水にCa(OH)を添加してpH8に調整すると共に、硫酸第一鉄を120mg/L(Feとして)となるように添加した後、空気を導入しながら15分間攪拌混合して、CaF固体などを含むスラリー状の液体を得た。
得られたスラリー状の液体に対して、実施例1と同様の条件で生物処理を行ったところ、ギ酸は55mg/L以下まで低下し、順調に生物処理することができた。次に、当該生物処理を行った液に実施例1と同様にNaOH水溶液を混合し、この混合液に対して、過硫酸の添加量を1000mg/Lに代えて1800mg/L(Sとして)としたこと以外は実施例1と同様の条件で過硫酸による促進酸化処理を行った。その結果、チオシアン酸は分解率80%以上、フッ素は除去率90%以上、その他の物質は実施例1と同等の分解除去率を得た。
1 アンモニア除去工程
2 遊離シアン除去工程
3 生物処理工程
4 分解処理工程
5 残留シアノ錯体除去工程
6 セレン・フッ素除去工程
7 逆浸透膜処理工程

Claims (10)

  1. 化石燃料を部分酸化して得られるガスを湿式洗浄した際に排出される排水の処理方法であって、排水を酸性側に調整して曝気することによって排水に含まれる遊離シアンを除去する遊離シアン除去工程と、遊離シアン除去工程で処理された排水を生物処理する生物処理工程と、生物処理工程で処理された排水に含まれるCOD成分を分解する分解処理工程とからなることを特徴とする排水の処理方法。
  2. 前記分解処理工程が促進酸化処理する手段によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の排水の処理方法。
  3. 前記分解処理工程が、過硫酸及び/又は過硫酸塩を用いた促進酸化工程と、排水にカルシウム系アルカリ剤を添加して硫酸カルシウムを晶析する中和晶析工程とからなることを特徴とする、請求項1に記載の排水の処理方法。
  4. 前記促進酸化工程と前記中和晶析工程とが同一の反応槽内で並行して行われることを特徴とする、請求項3に記載の排水の処理方法。
  5. 前記遊離シアン除去工程と前記生物処理工程との間に、排水に水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び塩化カルシウムの内の少なくとも1種類を添加してフッ素をフッ化カルシウムに固定化する工程、及び排水に2価及び/又は3価の鉄イオンを添加してチオシアン類を錯体化する工程のうちの少なくとも一方が含まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の排水の処理方法。
  6. 前記遊離シアン除去工程で除去された遊離シアンをアルカリ液で回収した後、前記分解処理工程で処理することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の排水の処理方法。
  7. 排水に含まれるアンモニアを除去する工程をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の排水の処理方法。
  8. 前記分解処理工程で処理された排水の少なくとも一部を逆浸透膜で処理し、得られた濃縮液を前記生物処理工程の上流にリサイクルすることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の排水の処理方法。
  9. 前記分解処理工程と前記逆浸透膜での処理の間に、シアノ錯体を分解する工程、セレンを除去する工程、及び難処理性のフッ素化合物を除去する工程のうちの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする、請求項8に記載の排水の処理方法。
  10. 前記セレンを除去する工程及び前記難処理性のフッ素化合物を除去する工程が、排水に塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムを添加した後、酸化条件下で鉄材に接触させ、生成した固体を固液分離するものであることを特徴とする、請求項9に記載の排水の処理方法。
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