JPH0739889A - 高濃度アンモニア廃液の処理方法 - Google Patents

高濃度アンモニア廃液の処理方法

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JPH0739889A
JPH0739889A JP5187759A JP18775993A JPH0739889A JP H0739889 A JPH0739889 A JP H0739889A JP 5187759 A JP5187759 A JP 5187759A JP 18775993 A JP18775993 A JP 18775993A JP H0739889 A JPH0739889 A JP H0739889A
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ammonia
treatment
waste liquid
liquid
water
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JP5187759A
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Inventor
Akira Matsunaga
旭 松永
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高濃度アンモニア廃液の処理に際して、環境
上及び熱収支上の観点から好ましい上、処理効率が高
く、且つ実用化が容易な各種高濃度アンモニア廃液の処
理方法を提供することを目的とする。 【構成】 高濃度なアンモニア廃液であるゼオライト再
生液38もしくは下水汚泥脱水濾液43に下水汚泥42
を適量混合調整し、触媒湿式酸化処理39を適用して、
アンモニアを除去する方法を基本とし、更に電気透析処
理44及びアンモニアストリッピング回収処理47を併
用する方法と、可溶性マグネシウム塩48もしくは可溶
性コバルト塩を添加し、液pHを8〜10に調整してか
ら可溶性リン酸塩を適量添加し、混合することによって
溶液中のアンモニアを不溶性の結晶として析出させる晶
析を行い、沈澱分離によって除去する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゼオライトによるアンモ
ニア除去処理における再生液とか消化汚泥の脱水濾液
(脱離液とも呼ばれる)等の高濃度アンモニア廃液から
アンモニアを回収する方法及び該アンモニアを酸化して
窒素ガスとして排出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水等の低アンモニア濃度廃水からアン
モニアを除去する方法として、更にはゼオライトによる
アンモニア除去処理における再生液とか消化汚泥の脱水
濾液等の高濃度アンモニア廃液からアンモニアを除去す
る方法として、一般的にアンモニアストリッピング法が
知られている。
【0003】このアンモニアストリッピング法とは、ア
ンモニア態窒素(NH4−N)を含む水のpHを高め
て、遊離アンモニアとして大気と充分に接触させること
により、液相から気相に追い出す方法である。図6に上
記アンモニアストリッピングを適用した従来のアンモニ
ア除去方法のフローを示す。これを簡単に説明すると、
原水1に石灰2を加えてから急速撹拌槽3及び緩速撹拌
槽4で撹拌を行い、沈澱分離槽5で沈澱処理して、沈澱
物は脱水機6から石灰再生炉7で再生石灰8を生成する
一方、沈澱分離槽5の上澄液はストリッピング塔9で所
定のストリッピング操作、即ち液体中に溶解しているア
ンモニア態窒素を気相に移し、一次再炭酸化槽10から
炭酸カルシウム沈澱池11,二次再炭酸化槽12,急速
濾過槽13を経て処理水14として流下する。上記一次
再炭酸化槽10と二次再炭酸化槽12にはCO2ガスが
供給されている。
【0004】この方法は原水1をアルカリ性としてアン
モニアを液相から気相に移動させる処理であり、アンモ
ニアを最終的に無害化する方法ではない。アンモニア態
窒素はアルカリ性では遊離してくるので、曝気及び通風
を行うことにより気体アンモニアとして大気中に放散さ
れることになる。
【0005】図7は、原水のゼオライト処理及び再生液
のアンモニアストリッピング回収方法を組み合わせたア
ンモニア処理システムのフローを示しており、図示例で
は原水1を10基のゼオライト充填塔に送り込み、処理
水16を得る一方で再生液を再生液貯留槽17からアン
モニアストリッピング塔18に送り込んでファン19の
作動下でアルカリ槽20からNaOHもしくはNaCl
を添加し、更にアンモニアガス吸着塔21で酸性水22
を添加することにより、大気中に放散したアンモニアを
酸性水22に吸収させて排出回収する方法である。
【0006】他方で、従来から知られている有機性廃水
とか汚泥等を湿式酸化する方法(Zimmerman Process,
通称ジンプロ法と略称)を発展させた触媒湿式酸化処理
法という新規な方法が報告されている(〈株〉大阪ガ
ス)。この方法はアンモニア態窒素を窒素ガスとして放
散する方式であり、アンモニア廃液の処理方式として注
目されている。
【0007】例えば「用水と廃水」Vol34,No1
0,p859(1992年)には、上記触媒湿式酸化処
理法の適用例として、図8に示したガス液の高度処理法
のフロー図が記載されている。このフロー図によれば、
従来はコークス炉工場から発生するガス液を、同図
(A)に示すように脱フェノール処理,脱アンモニア処
理(NH3の回収又は分解),希釈水(他の排水)を加
えた活性汚泥処理,凝集沈澱処理,硝化・脱窒処理,砂
濾過処理及び活性炭処理という生物処理と物理化学的処
理の組み合わせによって処理を行っているのに対して、
同図(B)に示すように触媒湿式酸化処理という一段の
工程だけで実施可能であり、プロセスが極めて簡略化さ
れていることが特徴となっている。
【0008】同図(B)のプロセスは工程中に廃水の希
釈を要さず、一段の工程でCOD,アンモニア,BOD
成分とか懸濁物質を高度に分解除去するのに合わせて汚
泥も発生せず、脱色,脱臭,殺菌までを含めた高度処理
を実施することができる。この処理によれば、同図
(A)の活性炭処理工程の出口で得られる水質と同等ま
たはそれ以上の良好な水質が得られる。
【0009】図9は上記触媒湿式酸化処理法の一例を示
すフロー図であり、これを簡単に説明すると、廃水24
にアルカリ25を添加してから液昇圧ポンプ26を用い
て昇圧し、これに酸素源である空気27を圧縮器28で
ほぼ同圧に昇圧して加え、熱交換器29の手前で混合し
てから熱交換器29で加熱される。この熱交換器29は
多管式を用いる。ここで供給液と圧縮空気27(酸素)
が反応開始温度まで昇温される。プラントの始動時に
は、始動用の加熱炉30によって供給側流体が加熱さ
れ、所定の反応温度に達した時に外的熱源の供給が停止
される。反応器31による反応後、冷却器32を通して
から気液分離器33により排気34と処理水35として
分離処理される。
【0010】この触媒湿式酸化処理法での分解での汚濁
成分の分解反応は、以下の式に基づいて進行する。
【0011】(1)有機物(炭水化物・BOD・COD
成分) CH3COOH+2O2 → 2CO2+2H2O+208.3kcal/g・mol・・・(1) (2)窒素化合物(アンモニア・有機系窒素化合物) 4NH3+3O2 → 2N2+6H2O+76.2kcal/g・mol・・・・・・・・・・(2) (3)イオウ化合物(硫化水素・硫化物) H2S+2O2 → H2SO4+136.2kcal/g・mol・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) 尚、可燃性の汚濁成分も上記と同様に分解される。
【0012】図10は触媒湿式酸化処理法と燃焼法(8
16℃及び1093℃)における廃水中の有機物質濃度
(CODCr成分)とエネルギー必要量(BTU/ガロ
ン)の関係を比較して示すグラフである。湿式酸化法で
は廃水中のCODCr値として、10(g/l)以上にお
いては自燃させることが可能である。このプロセスでは
COD成分のみならず廃水又は汚泥中に含まれるアンモ
ニア成分の分解による反応熱も合わせて有効に熱回収さ
れるという特徴がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な従来のアンモニア廃液の処理方法は、環境上及び熱収
支上の観点から必ずしも満足する結果が得られず、実用
化上での多くの問題点が存在するという課題があった。
【0014】即ち、前記図6に示すアンモニアストリッ
ピング法は、大気中に放散したアンモニアが雨水に溶け
込んで土壌とか水域に還流され、富栄養化の原因になる
という環境上の悪影響が問題であり、又、水温とか気温
の影響を受け易く、例えば温度が低いとアンモニアの除
去率が低下する上、実施に際しては大容量のブロワを必
要とするため、騒音公害の原因になり易いという難点が
ある。更にpHが上昇した処理水は、酸を添加して中和
する必要があることから、下水のように低濃度アンモニ
アの除去方法としては不適当である。
【0015】アンモニアストリッピング回収方法は、下
水のような低濃度のアンモニアの除去処理には適用され
ないが、高濃度のアンモニア廃水処理として期待でき
る。更に下水のような低濃度のアンモニア廃水の処理方
法として、前記図7に示したゼオライトを用いた吸着方
法が適当と考えられるが、ゼオライト自体の問題に加え
て、再生液の処理に使用されるアンモニアストリッピン
グ法が前記した種々の問題点を抱えているという問題が
ある。
【0016】他方で、図8,図9に示す触媒湿式酸化処
理法は、反応が高温高圧下で行われるため、外部から熱
を供給する必要がある。又、前記(1)(2)(3)式
で示したように酸化過程で汚濁成分の酸化反応による反
応熱が発生し、この熱を回収して利用する。従って図1
0に示したように、廃水中の有機物濃度CODCr成分が
10〜300(g/l)程度の廃水を処理する場合は、
燃焼法と比較してエネルギー必要量が少なくて良いが、
CODCr成分が10(g/l)以下の場合には反応温度
を維持するために外部から熱を供給する必要があり、熱
収支上不利となる。そのため、触媒湿式酸化処理法は比
較的低濃度の廃水には適用することができない。
【0017】上記触媒湿式酸化処理法は、有機性廃水と
か汚泥等の処理方法として適している外、比較的高濃度
のアンモニア廃液、例えばゼオライトによるアンモニア
除去処理における再生液とか下水汚泥の脱水濾液にも適
用可能である。例えば図11に示したように、比較的低
濃度のアンモニア廃液35をゼオライト処理36によっ
て処理水37を得るとともに、高濃度アンモニア液であ
るゼオライト再生液38に触媒湿式酸化処理39を適用
し、窒素ガス40と処理水41を得る方法である。
【0018】この方法によれば、アンモニアが無害の窒
素ガスとなり、排ガス処理が不要である上、処理液は直
接放流可能であるという作用が得られるが、アンモニア
廃液中のアンモニアのみでは反応熱が少量であり、反応
温度を維持するためには、前記したように外部から熱源
を供給する必要がある。
【0019】更にその他の高濃度のアンモニア廃液処理
方法として、不連続塩素処理法が考えられる。即ち、ア
ンモニアは塩素によって酸化されて窒素ガスに変化する
が、有機物も塩素と反応して有害な有機塩素化合物を生
成するため、有機物を含むアンモニア廃液を対象とした
場合には実用化上で大きな難点が存在する。
【0020】現状では、高濃度アンモニア廃液はこれを
希釈した後、生物学的窒素除去処理法で処理する例が多
い。しかし生物学的方法は低温時に処理効率が低下する
ことと、高濃度のアンモニアを処理することが出来ない
ので、希釈を行わざるを得ないという問題点がある。従
って例えば硝化汚泥の脱水濾液等は返流水として流入原
水と混合されてから好気処理されるが。この脱水濾液中
には窒素及びリン濃度が高いことから水処理系の負荷を
高めてしまい、且つ処理水質が低下してしまう原因にな
ることがある。又、これを標準活性汚泥法を用いて処理
すると、一部が硝化されるが、全窒素濃度は30%程度
しか減少しないので、水素の富栄養化の原因になり易い
という問題が生じる。
【0021】そこで本発明は、上記の観点に基づいてな
されたものであって、環境上及び熱収支上の観点から満
足できるとともに処理効率が高められ、且つ実用化が容
易である各種高濃度アンモニア廃液の処理方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、先ず請求項1により、高濃度のアンモニ
ア廃液に下水汚泥を適量混合調整し、触媒湿式酸化処理
法を適用して、アンモニアを除去した処理水を得るよう
にした高濃度アンモニア廃液の処理方法を提供する。
【0023】更に請求項2により、高濃度のアンモニア
廃液に電気透析処理を施して、希釈水を処理水とすると
ともに、この電気透析処理によって得られた濃縮水に触
媒湿式酸化処理法を適用する処理方法にしてあり、請求
項3により、高濃度のアンモニア廃液に電気透析処理を
施して、希釈水を処理水とするとともに、この電気透析
処理によって得られた濃縮水にアンモニアストリッピン
グ回収処理法を適用する処理方法を提供する。
【0024】請求項4により、高濃度のアンモニア廃液
に可溶性マグネシウム塩もしくは可溶性コバルト塩を添
加し、液pHを8〜10に調整してから可溶性リン酸塩
を適量添加し、混合することによって溶液中のアンモニ
アを不溶性の結晶として析出させる晶析を行い、沈澱分
離によって除去する方法を提供する。更に請求項5によ
り、アンモニアの晶析及び沈澱分離後の上澄水に硫酸を
加えて脱炭酸処理及び炭酸塩化処理を行って炭酸塩とし
て晶析されたマグネシウムもしくはコバルトを砂濾過処
理により除去し、濾過水に消石灰を添加してリンをハイ
ドロキシアパタイトとして晶析させて除去する一方、前
記沈澱物の一部は有価物回収処理で処理するとともに、
有価物として回収できない沈澱物に酸を加えて溶解して
から触媒湿式酸化処理を行い、アンモニアを窒素ガスに
酸化すると同時にリンとマグネシウムもしくはコバルト
が含まれている処理液を回収してアンモニア晶析に再使
用するようにした高濃度アンモニア廃液の処理方法を提
供する。
【0025】
【作用】かかる請求項1記載の処理方法によれば、高濃
度なアンモニア廃液に下水汚泥を適量混合してから触媒
湿式酸化処理を行うことにより、下水汚泥に含まれてい
る高濃度の有機物が酸化されて反応熱を発生し、外部か
らの熱源を供給しなくても反応温度が維持されて、熱収
支が改善される。請求項2記載の処理方法によれば、電
気透析処理と触媒湿式酸化処理とを組み合わせたことに
より、アンモニア廃液の濃縮に伴って反応温度が高く維
持され、上記と同様に熱収支の改善をはかることができ
る。更に請求項3記載の処理方法によれば、電気透析処
理によってアンモニア廃水が濃縮されて液量が減少する
ので、アンモニアストリッピング装置の容量を縮小する
ことが可能となる。
【0026】請求項4記載の処理方法によれば、高濃度
なアンモニア液に可溶性マグネシウム塩もしくは可溶性
コバルト塩及び必要に応じて可溶性リン酸塩を適量添加
して、pH調整後に混合槽で混合することによって溶液
中のアンモニアが不溶性の結晶として晶析するので、こ
の結晶を沈澱分離槽で沈澱除去することができる。そし
て請求項5に記載したように、沈澱分離後の上澄水に硫
酸を加えて脱炭酸処理及び炭酸塩化処理を行うことによ
り、マグネシウム及びコバルトは炭酸塩として晶析され
て砂濾過処理により除去され、この砂濾過逆洗水から回
収して前記混合槽に戻して再使用することができる。更
に砂濾過処理した濾過水に消石灰を添加することによ
り、リンがハイドロキシアパタイトとして晶析させて除
去される。
【0027】沈澱分離槽の沈澱物の一部は有価物回収処
理で処理されるか、或は酸溶解槽で酸を加えて溶解して
から触媒湿式酸化処理を行い、アンモニアを窒素ガスに
酸化すると同時にリンとマグネシウムが含まれている処
理液が回収されてアンモニア晶析に再使用されるという
作用が得られる。
【0028】
【実施例】以下本発明にかかる高濃度アンモニア廃液の
処理方法の各種実施例を説明する。図1(A)(B)は
本発明の第1実施例を示すフロー図であり、本例は比較
的高濃度のアンモニア廃液に下水汚泥を混合調製してか
ら触媒湿式酸化処理法を適用した例である。即ち、図1
(A)の38は高濃度なアンモニア液であるゼオライト
再生液、42は下水汚泥であって、上記ゼオライト再生
液38に下水汚泥42を適量混合調整し、触媒湿式酸化
処理39を適用して処理水41を得ている。
【0029】図1(B)の43は同様に高濃度なアンモ
ニア液である下水汚泥脱水濾液、42は下水汚泥であっ
て、この下水汚泥脱水濾液43に下水汚泥42を適量混
合調整し、触媒湿式酸化処理39を適用して処理水41
を得ている。
【0030】上記実施例によれば、比較的高濃度なアン
モニア廃液に下水汚泥42を適量混合することにより、
下水汚泥に含まれている高濃度の有機物が酸化されて反
応熱を発生するため、外部から格別熱源を供給しなくて
も反応温度が維持され、熱収支を改善することができ
る。更に本実施例はアンモニア濃度が比較的低濃度の場
合でも適用可能であるという特徴を有している。
【0031】図2は本発明の第2実施例を示すフロー図
であり、本例では高濃度なアンモニア液であるゼオライ
ト再生液38に電気透析処理44を適用し、希釈水45
を処理水とするとともに、この電気透析処理44によっ
て得られた濃縮水46に前記触媒湿式酸化処理39を適
用して処理水41を得ている。ゼオライト再生液38の
みならず、図1(B)に示す下水汚泥脱水濾液43にも
適用可能であることは言うまでもない。
【0032】上記電気透析処理44は、アンモニア廃液
を濃縮して該アンモニア濃度を高める手段として用いら
れており、この電気透析処理44は、一般に塩類の除去
とか濃縮の分野、例えば食塩製造のための海水の濃縮、
海水や地下水からの飲料水もしくは工業用水の製造及び
各種製造工程での分離とか精製等に利用されている。更
に近時は廃液の処理とか廃液からの有価成分の回収、排
水の高度処理技術としての研究が進められている。
【0033】上記第2実施例では、この電気透析処理4
4と触媒湿式酸化処理39とを組み合わせたことによ
り、アンモニア廃液の濃縮に伴って反応温度を高く維持
することが可能となり、熱収支の改善をはかることがで
きる。
【0034】図3は本発明の第3実施例を示すフロー図
であり、本例では高濃度なアンモニア廃液であるゼオラ
イト再生液38に前記と同様に電気透析処理44を適用
し、希釈水45を処理水とするとともに、この電気透析
処理44によって得られた濃縮水46にアンモニアスト
リッピング回収処理47を適用して処理水41を得てい
る。ゼオライト再生液38に代えて下水汚泥脱水濾液4
3も適用可能である。
【0035】この第3実施例では電気透析処理44によ
ってアンモニア廃水が濃縮され、液量が減少するので、
アンモニアストリッピング装置の容量を縮小することが
可能である。
【0036】図4は本発明の第4実施例を示すフロー図
であり、溶液中のアンモニアを不溶性の結晶として析出
させて回収する方法である晶析法と、上記触媒湿式酸化
処理とを組み合わせた例を示している。晶析法とは過飽
和溶液から結晶を析出させる方法の一つであり、一般に
リンの除去方法として採用されていて、アンモニアの除
去には採用されていない。これはアンモニウム塩のほと
んどが溶解度が大きく、晶析が困難であることに起因し
ている。
【0037】しかしアンモニウム塩の全てが可溶性とい
うわけではなく、アンモニウムイオン以外に金属イオン
を含めた塩の中には不溶性もしくは難溶性のものがあ
り、例えばNH4MgPO4,NH4CoPO4,NH42
3及び(NH43〔PMo1240〕,NH4Fe(Cl
42を挙げることができる。これらの中でアンモニア
の晶析に実用化可能なものはNH4MgPO4とNH4
oPO4である。
【0038】上記NH4MgPO4は、消化槽内に沈積す
るスケールの原因物質であることが分析の結果から判明
しており、この六水和物(NH4MgPO4・6H2O)
の1部は7700部の水に溶解する。従って不溶性とは
言えず、難溶性である。
【0039】上記のNH4MgPO4は、計算上NH4
Nが13mg/l,PO4−Pが30mg/lで飽和濃
度に達するので、アンモニアとかリンが過飽和状態であ
る溶液にマグネシウムイオンを添加すれば結晶として析
出することになる。アンモニアとリンとマグネシウムの
当量比が1:1:1とすると晶析に最適であり、従って
図4に示した例では、高濃度なアンモニア液であるゼオ
ライト再生液38に可溶性マグネシウム塩48(例えば
MgSO4・7H2O)と、必要に応じて可溶性リン酸塩
49(例えばK2HPO4,KH2PO4,Na2HPO4
NaH2PO4等)を適量添加する。
【0040】そして別に添加したpH調整用のNaOH
50とともに混合槽51で混合してから溶液中のアンモ
ニアを不溶性の結晶として析出させ、次に沈澱分離槽5
2で沈澱分離を行った後、この上澄水53にH2SO4
4を加えて脱炭酸処理及び炭酸塩化処理55を行う。即
ち、NH4MgPO4によるアンモニア晶析では、アンモ
ニアとリンを完全に除去することが出来ないので、晶析
後の処理液は上記したように硫酸を加えて炭酸イオンを
遊離炭酸として脱炭酸処理を行う。この時にマグネシウ
ムは炭酸塩として晶析されるので、砂濾過処理56によ
り除去し、この砂濾過逆洗水57から回収して前記混合
槽51に戻して再使用することができる。砂濾過処理し
た濾過水57には、消石灰Ca(OH)2を添加してリ
ンをハイドロキシアパタイトとして晶析させて除去す
る。
【0041】 3HPO4 2-+5Ca2++4OH- → Ca5(OH)(PO43+3H2O・・・・・(1) (ハイドロキシアパタイト) このハイドロキシアパタイトは、次段の晶析脱リン58
により処理され、リンはリン肥料として利用され、処理
水59は酸もしくはアルカリの注入により中性域に調整
されてから放流されるか、更に該処理水59が活性汚泥
処理法に基づく水処理系に送り込まれて処理され、アル
カリ性の適当なpHに調整されてから放流される。
【0042】一方、NH4CoPO4は、事実上、水に不
溶性であるため、晶析によるアンモニアの除去率はNH
4MgPO4を用いる場合よりも高くなる。NH4MgP
4は肥料として使用できる可能性があり、同様にNH4
CoPO4も肥料として使用された実績がある。
【0043】上記沈澱分離槽52の沈澱物の一部は有価
物回収処理60で処理されるが、NH4MgPO4を有価
物として回収できない場合には、このNH4MgPO4
スラッジ状のまま、或は酸溶解槽61で酸を加えて溶解
してから触媒湿式酸化処理39を行い、処理水41を得
るとともにアンモニアを窒素ガスに酸化すると同時にリ
ンとマグネシウムが含まれている処理液を回収してアン
モニア晶析に再使用する。
【0044】又、前記NH4CoPO4を用いた晶析法で
は、高濃度アンモニア廃液に図4に示した可溶性マグネ
シウム塩48(例えばMgSO4・7H2O)に代えて可
溶性コバルト塩(例えばCoSO4・7H2O)を添加
し、必要に応じて可溶性リン酸塩(例えばNaHP
4,NaH2PO4等)を添加する。アンモニアとコバ
ルトとリンの当量比が1:1:1とすると晶析に最適で
あるので、アンモニア廃液中のアンモニアとリンの濃度
を測定してリンとコバルトの注入量を決定する必要があ
る。以下の操作は図4の概略工程及び前記の説明とほぼ
同一である。
【0045】尚、アンモニアの晶析には、晶析に適した
pHがあり、NH4MgPO4の場合はpH8〜10が晶
析に適していると考えられるので、このpH範囲に入ら
ない場合には酸(硫酸)又はアルカリ(NaOH)を添
加してpHを調節する必要がある。更にNH4CoPO4
を用いた晶析法の場合も、NH4MgPO4晶析法と同様
に肥料として直接回収できない時には、晶析後触媒湿式
酸化処理してアンモニアを窒素ガスに酸化し、リンとコ
バルトを含む処理液は晶析処理に再使用する。上記アン
モニア晶析処理の効果を検証する目的で、NH4MgP
4の結晶を生成して沈澱分離した上澄液を採取し、N
4−NとPO4−Pの濃度を測定した結果を以下に記
す。先ずアンモニア,リン,マグネシウムの一定濃度溶
液を調製した。アンモニアについては(NH42SO4
を水に溶解してNH4−N:5000mg/l液を調製
した。リンについてはKH2PO4とK2HPO4を等モル
づつ混合して水に溶解して、PO4−P:2000mg
/l溶液を調製した。マグネシウムについては、MgS
4・7H2Oを水に溶解してMg:2000mg/lを
調製した。
【0046】次にNH4−N:5000mg/l液を1
4ml,PO4−P:2000mg/lを77.4m
l,Mg:2000mg/l液を60.78mlをと
り、これらを混合した。この混合比でNH4 +,P
4 3-,Mg2+が等モルづつ混合されたことになり、N
4MgPO4のモル濃度は32.86mmole/lで
あり、各イオンの濃度の計算値はNH4−N;460m
g/l,PO4−P;1.013mg/l,Mg;79
9mg/lになる。この人工混合溶液を調製した際のp
Hは6.43であり、沈澱物は生成しなかった。しかし
ながら2NのNaOHを添加して徐々にpHを高めてい
くと、pH7付近から沈澱物が生成し、pH9以上では
アルカリを添加しても沈澱物の生成量はあまり変化しな
かった。
【0047】デカンテーションによって上澄液を採取
し、NH4−N濃度をサルチル酸法により、PO4−P濃
度をモリブデン青法により測定し、pHとの関係をプロ
ットした結果を図5に示す。
【0048】図5から上澄液のNH4−N濃度は、沈澱
生成が始まるpH7付近から減少し、pH7〜9の間は
89〜124mg/lの範囲にあり、pH10以上では
約40mg/lとなった。一方、上澄液のPO4−Pは
pH7では300mg/l,pH8では84mg/l,
pH9では41mg/l,pH10以上では約20mg
/lとなった。
【0049】NH4MgPO4の溶解度から予測した上澄
液のNH4−N濃度は13mg/l,同じくPO4−P濃
度は30mg/lであるので、NH4−Nは予測濃度よ
り高く、PO4−Pは予測濃度より低くなっている。こ
れはNH4MgPO4以外の沈澱生成、例えばマグネシウ
ムリン酸塩の生成とかpHの上昇によってNH4 +イオン
が遊離アンモニアとなって大気中へ揮散する現象に関係
しているものと考えられる。しかしながらpH7〜10
の範囲における上澄液のアンモニア濃度低下は、主とし
てNH4MgPO4の結晶の析出によるものと考えること
ができる。
【0050】pH8〜10ではアンモニアの74〜81
%が結晶として析出したことになり、アンモニア廃液の
高くなるほど結晶として析出する比率が高くなる。以上
の実験結果からNH4MgPO4を用いたアンモニア晶析
により、原理的にアンモニア廃水を濃縮することが可能
であることが判明した。又、NH4MgPO4の晶析に適
したpHは、pH10以上であればNH4の除去率が高
いが、晶析後の上澄液を中和する場合に酸の消費量が増
加することを考慮するとpH8〜pH10が適当であ
る。
【0051】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる高濃度アンモニア廃液の処理方法中の請求項1記載
の方法によれば、高濃度なアンモニア廃液に下水汚泥を
適量混合してから触媒湿式酸化処理を行うという単純な
プロセスによって処理可能であり、下水汚泥に含まれて
いる高濃度の有機物が酸化されて反応熱を発生し、外部
からの熱源を供給しなくても反応温度が維持され、熱収
支を改善することができる。又、請求項2記載の処理方
法によれば、電気透析処理と触媒湿式酸化処理とを組み
合わせたことにより、アンモニア廃液の濃縮に伴って反
応温度が高く維持されて熱収支の改善をはかることがで
きる。更に請求項3記載の処理方法によれば、電気透析
処理によってアンモニア廃水が濃縮されて液量が減少す
るので、アンモニアストリッピング装置の容量を縮小す
ることが可能となる。
【0052】更に請求項4記載の処理方法によれば、高
濃度なアンモニア廃液中のアンモニアを不溶性の結晶と
して晶析することが可能となり、この結晶を沈澱分離槽
で沈澱除去するとともに、得られたアンモニアを肥料等
の有価物として使用することができる。更にアンモニア
廃水が濃縮されて液量が減少するので、該沈澱物に酸を
加えて溶解してから触媒湿式酸化処理を行う際の処理容
量が縮小され、処理効率を高めることができる。
【0053】請求項5に記載の処理方法によれば、沈澱
分離後の上澄水に硫酸を加えて脱炭酸処理及び炭酸塩化
処理を行うことにより、マグネシウム及びコバルトは炭
酸塩として晶析されて砂濾過処理により除去され、且つ
逆洗水から回収して前記混合槽に戻して再使用すること
ができるとともに、濾過水に消石灰を添加することによ
ってリンをハイドロキシアパタイトとして晶析除去する
ことができる。
【0054】本発明にかかるアンモニア廃液の処理方法
は、従来の比較的低濃度のアンモニア廃水を対象とした
ゼオライトによる窒素除去処理がアンモニア再生液の処
理に難点があったのに対して、本実施例では該アンモニ
ア再生液の処理が容易に行えるため、通常のゼオライト
処理の実用性を高めるという効果がある。又、消化汚泥
等のアンモニアを除去することにより、水処理工程にお
いて返流水による窒素の負荷が低減され、生物学的窒素
除去処理の効率が高められるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)(B)は、本発明にかかる高濃度ア
ンモニア廃液の処理方法の第1実施例を示すフロー図。
【図2】本発明の第2実施例を示すフロー図。
【図3】本発明の第3実施例を示すフロー図。
【図4】本発明の第4実施例を示すフロー図。
【図5】晶析法におけるpHとNH4−N及びPO4−P
濃度の関係を示すグラフ。
【図6】従来のアンモニアストリッピング法を用いたア
ンモニア除去方法の一例を示すフロー図。
【図7】従来のゼオライト処理及びアンモニアストリッ
ピング法を組み合わせたアンモニア除去方法の一例を示
すフロー図。
【図8】従来のガス液の高度処理法の例を示すフロー
図。
【図9】触媒湿式酸化処理法の具体例を示すフロー図。
【図10】廃水中の有機物質濃度とエネルギー必要量の
関係を示すグラフ。
【図11】従来のアンモニア廃水に対するゼオライト処
理と触媒湿式酸化処理法を組み合わせた例を示すフロー
図。
【符号の説明】
38…ゼオライト再生液 39…触媒湿式酸化処理 42…下水汚泥 43…下水汚泥脱水濾液 44…電気透析処理 46…濃縮水 47…アンモニアストリッピング回収処理 48…可溶性マグネシウム塩 49…可溶性リン酸塩 51…混合槽 52…沈澱分離槽 56…砂濾過 57…逆洗水 58…晶析脱リン 60…有機物回収 61…酸溶解槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 9/00 502 R 7446−4D M 7446−4D P 7446−4D 503 G 7446−4D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高濃度のアンモニア廃液に下水汚泥を適
    量混合調整し、触媒湿式酸化処理法を適用して、アンモ
    ニアを除去した処理水を得ることを特徴とする高濃度ア
    ンモニア廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】 高濃度のアンモニア廃液に電気透析処理
    を施して、希釈水を処理水とするとともに、この電気透
    析処理によって得られた濃縮水に触媒湿式酸化処理法を
    適用して、アンモニアを除去した処理水を得ることを特
    徴とする高濃度アンモニア廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】 高濃度のアンモニア廃液に電気透析処理
    を施して、希釈水を処理水とするとともに、この電気透
    析処理によって得られた濃縮水にアンモニアストリッピ
    ング回収処理法を適用して、アンモニアを除去した処理
    水を得ることを特徴とする高濃度アンモニア廃液の処理
    方法。
  4. 【請求項4】 高濃度のアンモニア廃液に可溶性マグネ
    シウム塩もしくは可溶性コバルト塩を添加し、液pHを
    8〜10に調整してから可溶性リン酸塩を適量添加し、
    混合することによって溶液中のアンモニアを不溶性の結
    晶として析出させる晶析を行い、沈澱分離によって除去
    することを特徴とする高濃度アンモニア廃液の処理方
    法。
  5. 【請求項5】 高濃度のアンモニア廃液に可溶性マグネ
    シウム塩もしくは可溶性コバルト塩を添加し、液pHを
    8〜10に調整してから可溶性リン酸塩を適量添加し、
    混合することによってアンモニアの晶析を行い、沈澱分
    離後の上澄水に硫酸を加えて脱炭酸処理及び炭酸塩化処
    理を行って炭酸塩として晶析されたマグネシウムもしく
    はコバルトを砂濾過処理により除去し、濾過水に消石灰
    を添加してリンをハイドロキシアパタイトとして晶析さ
    せて除去する一方、前記沈澱物の一部は有価物回収処理
    で処理するとともに、有価物として回収できない沈澱物
    に酸を加えて溶解してから触媒湿式酸化処理を行い、ア
    ンモニアを窒素ガスに酸化すると同時にリンとマグネシ
    ウムもしくはコバルトが含まれている処理液を回収して
    アンモニア晶析に再使用するようにしたことを特徴とす
    る高濃度アンモニア廃液の処理方法。
  6. 【請求項6】 前記触媒湿式酸化処理法とは、廃水にア
    ルカリを添加してから液昇圧ポンプにより昇圧し、これ
    に酸素源である圧縮空気を加え、混合してから熱交換器
    で加熱を行って、供給液と圧縮空気を反応開始温度まで
    昇温し、始動用の加熱炉によって供給側流体を加熱し
    て、所定の反応温度に達した時に外的熱源の供給を停止
    し、反応器による反応後、冷却器を通してから気液分離
    器により排気と処理水に分離処理する方法である請求項
    1,2,4,5記載の高濃度アンモニア廃液の処理方
    法。
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