JP2012075263A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インバータ回路100を交流電源1に直列接続し、その後段に半導体スイッチ素子101a〜104aによるコンバータ回路300を介して平滑コンデンサ3を接続し、1周期内にコンバータ回路300の交流端子間を短絡させる短絡期間を設けてコンバータ回路300を制御し、平滑コンデンサ3の電圧が目標電圧となるように電流指令を用いて交流電源1の力率を改善するようにインバータ回路100を制御する。インバータ回路100の直流コンデンサ105の電圧が所定の下限値から上限値までの範囲を超えると、短絡期間に拘わらずコンバータ回路300の交流端子間を強制的に短絡/開放して直流コンデンサ105の電圧を復帰させる。
【選択図】図1
Description
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置について説明する。図1はこの発明
の実施の形態1による電力変換装置の概略構成図である。
図1に示すように、電力変換装置は、交流電源1の交流電力を直流電力に変換して出力するための主回路と制御回路10とを備える。
主回路は、限流回路としてのリアクトル2とインバータ回路100とコンバータ回路300と平滑コンデンサ3とを備える。交流電源1の第1の端子からの出力は、リアクトル2に接続され、その後段に単相インバータにて構成されたインバータ回路100の交流側が直列接続される。コンバータ回路300は、一方の交流端子がインバータ回路100の後段の交流出力線に接続され、他方の交流端子が交流電源1の第2の端子に接続され、コンバータ回路300の直流母線3a、3b間に接続された平滑コンデンサ3に直流電力を出力する。
コンバータ回路300は、直流母線間に複数の半導体スイッチ素子301a〜304aを有し、この場合、ダイオード301b〜304bを逆並列に接続した複数個のIGBT等の半導体スイッチ素子301a〜304aをそれぞれ2個直列接続した2つのブリッジ回路を直流母線間に並列接続して構成する。
インバータ回路100の後段の交流出力線にはコンバータ回路300の半導体スイッチ素子301aのエミッタと半導体スイッチ素子302aのコレクタとの接続点が接続される。また半導体スイッチ素子303aのエミッタと半導体スイッチ素子304aのコレクタとの接続点が交流電源1の上記第2の端子に接続される。
また、リアクトル2はインバータ回路100とコンバータ回路300との間に直列接続しても良い。また、コンバータ回路300の半導体スイッチ素子301a〜304aの代わりに機械式スイッチを用いても良い。
平滑コンデンサ3には図示しない負荷が接続され、通常時は電圧Vdcは目標電圧Vdc*に比べて低く、制御回路10は、交流電源1からの交流電力を変換して平滑コンデンサ3に直流電力を供給するようにインバータ回路100およびコンバータ回路300を出力制御する。
交流電源1からの電圧Vinは、図6、図7に示すような波形となる。インバータ回路100は、交流電源1からの入力力率が概1になるようにPWM制御により電流Iinを制御して出力し、交流側の発生電圧を交流電源1の出力である電圧Vinに重畳する。
インバータ回路100では、半導体スイッチ素子101a、104aがオン、半導体スイッチ素子102a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105を充電するように流れ、半導体スイッチ素子102a、103aがオン、半導体スイッチ素子101a、104aがオフの時には、直流コンデンサ105を放電するように流れる。また、半導体スイッチ素子101a、103aがオン、半導体スイッチ素子102a、104aがオフの時、および半導体スイッチ素子102a、104aがオン、半導体スイッチ素子101a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105をスルーして電流が流れる。このような4種の制御の組み合わせにて半導体スイッチ素子101a〜104aを制御してインバータ回路100をPWM動作させることで直流コンデンサ105を充放電させ、電流制御を行う。なお、各半導体スイッチ素子101a〜104aに流れる電流が、エミッタからコレクタへ流れる時は、その半導体スイッチ素子をオフして逆並列接続されたダイオード101b〜104bに電流を流しても良い。
交流電源1の電圧Vinのゼロクロス位相を中央として±θ1の位相範囲(以下、短絡期間Tと称す)では、図3に示すように、コンバータ回路300では、短絡スイッチとなる半導体スイッチ素子302aをオン状態として平滑コンデンサ3をバイパスさせる。このとき、コンバータ回路300内の他の半導体スイッチ素子301a、303a、304aをオフさせる。交流電源1からの電流はリアクトル2にて限流され、インバータ回路100に入力されて直流コンデンサ105を充電し、コンバータ回路300内の半導体スイッチ素子302a、ダイオード304bを経て交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路100では、直流コンデンサ105を充電する制御とスルーさせる制御の組み合わせによりPWM動作させることで直流コンデンサ105を充電させ、電流制御を行う。
インバータ回路100では、半導体スイッチ素子102a、103aがオン、半導体スイッチ素子101a、104aがオフの時には、直流コンデンサ105を充電するように流れ、半導体スイッチ素子101a、104aがオン、半導体スイッチ素子102a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105を放電するように流れる。また、半導体スイッチ素子101a、103aがオン、半導体スイッチ素子102a、104aがオフの時、および半導体スイッチ素子102a、104aがオン、半導体スイッチ素子101a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105をスルーして電流が流れる。このような4種の制御の組み合わせにて半導体スイッチ素子101a〜104aを制御してインバータ回路100をPWM動作させることで直流コンデンサ105を充放電させ、電流制御を行う。
短絡期間Tでは、図5に示すように、コンバータ回路300では、短絡スイッチとなる半導体スイッチ素子304aをオン状態として平滑コンデンサ3をバイパスさせる。このとき、コンバータ回路300内の他の半導体スイッチ素子301a、302a、303aをオフさせる。交流電源1からの電流は、コンバータ回路300の半導体スイッチ素子304a、ダイオード302bを経てインバータ回路100に入力され、直流コンデンサ105を充電してリアクトル2を経て交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路100では、直流コンデンサ105を充電する制御とスルーさせる制御の組み合わせによりPWM動作させることで直流コンデンサ105を充電させ、電流制御を行う。
また、電力変換装置の降圧時には、図7に示すように、インバータ回路100は、短絡期間Tにおいて電圧(−Vin)を出力して交流電源1により直流コンデンサ105を充電し、その後、交流電源1の電圧Vinにインバータ回路100の出力電圧を加算することで、交流電源1のピーク電圧より低い目標電圧Vdc*に平滑コンデンサ3の電圧Vdcを制御する。交流電源1の電圧Vinが平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*と等しくなる時の位相θ=θ2(0<θ2<π/2)とすると、θ1≦θ<θ2、π−θ2≦θ<π−θ1である時、インバータ回路100は電圧(Vdc*−Vin)を出力して直流コンデンサ105を放電し、θ2≦θ<π−θ2である時、インバータ回路100は電圧(Vin−Vdc*)を出力して直流コンデンサ105を充電する。
なお、短絡期間Tは、ゼロクロス位相(θ=0、π)が短絡期間Tの中央としたが、ゼロクロス位相を含む位相範囲で、いずれかに偏るものであっても良い。
Vdc*=Vp・π/(4cosθ1)
となり、Vdc*の下限値はθ1が0となる時であり、値は(π/4)Vpとなる。
このように、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*は短絡期間Tの位相範囲を決定するθ1により決まり、即ちθ1を変化させて制御できる。そして、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcは該目標電圧Vdc*に追従するように制御される。
直流コンデンサ105の電圧Vsubを、昇圧時では、0≦θ<θ1、θ1≦θ<π/2、また降圧時では、0≦θ<θ1、θ1≦θ<θ2、θ2≦θ<π/2、の各位相範囲におけるインバータ回路100の所望の発生電圧の大きさ以上に設定することで、インバータ回路100は上述した所望の制御が信頼性よく行える。即ち、
A:Vsub≧Vp・sinθ1
B:Vsub≧(Vdc*−Vp・sinθ1)
C:Vsub≧(Vp−Vdc*)
の3条件を満たす必要がある。
但し、Vpは電圧Vinのピーク電圧であり、電圧Vsubはピーク電圧Vp以下に設定する。
PWM制御するインバータ回路100では、直流コンデンサ105の電圧Vsubが大きくなると損失が増大するため、電圧Vsubは上記設定可能範囲を満たす電圧条件で小さく設定するのが望ましい。
そして、ゼロクロス位相を中央として±θ1の位相範囲のみを平滑コンデンサ3をバイパスする短絡期間Tとすることで、インバータ回路100は、短絡期間Tでも、それ以外の期間でも入力力率が概1になるように電流Iinを制御し、かつ平滑コンデンサ3に所望の電圧の直流電力を出力できる。
図9に示すように、インバータ回路100の出力制御では、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、また交流電源1の力率が概1になるように電流Iinを制御する。まず、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcと目標電圧Vdc*との差21aをフィードバック量として、PI制御した出力を振幅目標値22aとして、この振幅目標値22aに基づいて、交流電源同期周波数23から、電圧Vinに同期した正弦波の電流指令Iin*を生成する。次に、電流指令Iin*と検出された電流Iinとの差24をフィードバック量として、PI制御した出力をインバータ回路100の発生電圧の目標値となる電圧指令25とする。
そして、補正後の電圧指令26を用いて、PWM制御によりインバータ回路100の各半導体スイッチ素子101a〜104aへのゲート信号11を生成し、インバータ回路100を動作させる。
まず、設定された指令値Vsub*と検出された電圧Vsubとの差32をフィードバック量として、PI制御した出力33を電圧指令としてPWM制御部34によりコンバータ回路300の各半導体スイッチ素子301a〜304aへの基本ゲート信号36を生成する。このPWM制御部34では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源同期三角波)35をキャリア波に用いて比較演算し、比較演算した信号を交流電源1の極性により基本ゲート信号36を生成する。この基本ゲート信号36は、電圧Vinのゼロクロス位相を中央とする±θ1の位相範囲、即ち、コンバータ回路300の交流端子間を短絡する短絡期間Tを制御するもので、電圧Vsubが低下すると短絡期間Tは長く、電圧Vsubが増加すると短絡期間Tは短くなるように制御される。
また平滑コンデンサ3をバイパスする短絡期間Tを有してコンバータ回路300を制御し、インバータ回路100は、短絡期間Tにて直流コンデンサ105を充電する。このため、インバータ回路100が高い電圧を発生させることなく電流0となるのが回避できると共に、直流コンデンサ105に充電されたエネルギを平滑コンデンサ3への放電に使える。このため、インバータ回路100では、スイッチングで扱う電圧をさらに低減でき、高効率化、低ノイズ化がさらに促進できる。
なお、この場合リアクトル2は、エネルギーを貯めるものではなく、電流を制限する限流回路として動作し、電流制御の信頼性が向上する。
上記実施の形態1では、電力変換装置の力行動作のみ示したが、この実施の形態2では、電力変換装置は回生機能を備え、通常は力行動作を行うが、平滑コンデンサ3の電圧が上昇すると回生動作により交流電源1に電力を回生する。なお、回路構成は図1と同様であり、また力行動作については上記実施の形態1と同様である。
図12〜図15は、回生動作における電流経路図を示す。制御回路10は、平滑コンデンサ3の電圧Vdcが目標電圧をVdc*より所定の電圧分、増大すると、電力変換装置の制御を力行動作から回生動作に切り替える。
インバータ回路100では、半導体スイッチ素子101a、104aがオン、半導体スイッチ素子102a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105を放電するように流れ、半導体スイッチ素子102a、103aがオン、半導体スイッチ素子101a、104aがオフの時には、直流コンデンサ105を充電するように流れる。また、半導体スイッチ素子101a、103aがオン、半導体スイッチ素子102a、104aがオフの時、および半導体スイッチ素子102a、104aがオン、半導体スイッチ素子101a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105をスルーして電流が流れる。インバータ回路100は、このような4種の制御の組み合わせにて半導体スイッチ素子101a〜104aを制御して交流電源1の力率が概(−1)になるようにPWM制御により電流Iinを制御して出力することで直流コンデンサ105を充放電させ、交流側の発生電圧を交流電源1の出力である電圧Vinに重畳する。なお、各半導体スイッチ素子101a〜104aに流れる電流が、エミッタからコレクタへ流れる時は、その半導体スイッチ素子をオフして逆並列接続されたダイオード101b〜104bに電流を流しても良い。
インバータ回路100では、半導体スイッチ素子102a、103aがオン、半導体スイッチ素子101a、104aがオフの時には、直流コンデンサ105を放電するように流れ、半導体スイッチ素子101a、104aがオン、半導体スイッチ素子102a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105を充電するように流れる。また、半導体スイッチ素子101a、103aがオン、半導体スイッチ素子102a、104aがオフの時、および半導体スイッチ素子102a、104aがオン、半導体スイッチ素子101a、103aがオフの時には、直流コンデンサ105をスルーして電流が流れる。インバータ回路100は、このような4種の制御の組み合わせにて半導体スイッチ素子101a〜104aを制御して交流電源1の力率が概(−1)になるようにPWM制御により電流Iinを制御して出力することで直流コンデンサ105を充放電させ、交流側の発生電圧を交流電源1の出力である電圧Vinに重畳する。
なお、短絡期間Tは、ゼロクロス位相(θ=0、π)が短絡期間Tの中央としたが、ゼロクロス位相を含む位相範囲で、いずれかに偏るものであっても良い。
まず上記実施の形態1と同様に、設定された指令値Vsub*と検出された電圧Vsubとの差32をフィードバック量としてPI制御した出力33を、力行・回生選択装置38に入力する。力行・回生選択装置38には、PI制御した出力33を極性反転した信号33aも入力され、力行・回生信号39に基づいて力行動作時には出力33を、回生動作時には信号33aが選択されて出力される。
このゲート信号変換装置37は、力行動作時には上記実施の形態1と同様に、電圧Vsubが予め設定されたVsub下限値より低くなると、低くなる期間のみコンバータ回路300の短絡スイッチをオンさせ交流端子間を強制的に短絡させ、また電圧Vsubが予め設定されたVsub上限値を超えると、超える期間のみコンバータ回路300の短絡スイッチをオフさせ交流端子間を強制的に開放させるように、基本ゲート信号36を変更する。また、回生動作時には、電圧Vsubが予め設定されたVsub下限値より低くなると、低くなる期間のみコンバータ回路300の短絡スイッチをオフさせ交流端子間を強制的に開放させ、また電圧Vsubが予め設定されたVsub上限値を超えると、超える期間のみコンバータ回路300の短絡スイッチをオンさせ交流端子間を強制的に短絡させるように、基本ゲート信号36を変更する。電圧VsubがVsub下限値からVsub上限値までの間では、力行、回生のいずれの動作でも、ゲート信号12は基本ゲート信号36と同じ状態となる。
そして、力行/回生のいずれの動作においても、電圧Vsubが上限値を超える期間および下限値より低くなる期間で、上述したように、短絡期間に拘わらず強制的に短絡スイッチを制御することにより、電圧Vsubを下限値から上限値までの間に速やかに復帰させることができる。これにより、インバータ回路100による電流制御および平滑コンデンサ3に目標電圧Vdc*を出力する電圧制御を安定して継続することができる。また、インバータ回路100の各部に過電圧が印加されるのを防止し、直流コンデンサ105の容量を低減でき小型化を促進できるとともに、直流コンデンサ105の劣化を防止でき信頼性を向上できる。また、入力される交流電圧Vinに対して平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの比率が高い状態でも、電力変換装置を制御性良く高い信頼性で運転できる。
上記実施の形態1では、ゲート信号変換装置37により基本ゲート信号36を変更して短絡スイッチを強制的に制御するのは、電圧VsubがVsub下限値より低くなる期間およびVsub上限値を超える期間のみであった。
この実施の形態では、ヒステリシスコンパレータ40a、40bを用い、Vsub下限値およびVsub上限値にそれぞれヒステリシス幅を設定する。
図17はこの発明の実施の形態3によるコンバータ回路300の出力制御における制御ブロック図である。図18は、このような制御による電力変換装置の力行動作を説明する各部の波形図である。なお、インバータ回路100の制御は、上記実施の形態1と同様である。
このゲート信号変換装置37は、電圧VsubがVsub下限値より低くなると、電圧Vsubが(Vsub下限値+α)を超えるまで短絡スイッチをオンさせてコンバータ回路300の交流端子間を強制的に短絡させ、また電圧VsubがVsub上限値を超えると、電圧Vsubが(Vsub上限値−α)より低くなるまで短絡スイッチをオフさせてコンバータ回路300の交流端子間を強制的に開放させるように、基本ゲート信号36を変更する。電圧VsubがVsub下限値からVsub上限値までの間では、ゲート信号12は基本ゲート信号36と同じ状態となる。
上記実施の形態1〜3では、電圧Vsubが下限値から上限値までの範囲を超える場合に、短絡期間を制御する基本ゲート信号36を変更して、コンバータ回路300の交流端子間を強制的に短絡/開放させたが、この実施の形態では、電圧Vsubの指令値Vsub*を変化させる。なお、回路構成は上記実施の形態1と同様である(図1参照)。
図19はこの発明の実施の形態4によるコンバータ回路300の出力制御における制御ブロック図である。この場合、力行動作のみを行うものとする。図20は、このような制御による電力変換装置の力行動作を説明する各部の波形図である。なお、インバータ回路100の制御は、上記実施の形態1と同様である。
この指令値変更装置42は、電圧VsubがVsub下限値より低くなると指令値Vsub*を増加させ、電圧VsubがVsub上限値を超えると指令値Vsub*を低下させて変更後の指令値Vsub*43を出力する。電圧Vsubが下限値から上限値までの範囲内にある場合には、指令値Vsub*を変更することなく出力する。
電圧VsubがVsub上限値を超える場合は、指令値Vsub*を低下させることにより、一時的にフィードバック量を大きくして短絡期間を短縮し、直流コンデンサ105の放電量を効果的に増大させて、電圧Vsubを速やかに低下させる。また、電圧Vsubは変更後の指令値Vsub*に追従制御されるため、電圧Vsubの電圧変化の最大値と最小値は低下する。
このように、力行/回生の双方向制御を行う電力変換装置においても、同様の効果が得られる。
上記各実施の形態では、インバータ回路は、1つの単相インバータで構成されたものを示したが、図21に示すように、複数個の単相インバータ100、200の交流側を直列接続してインバータ回路110を構成しても良い。各単相インバータ100、200は、上記実施の形態1と同様に、ダイオード101b〜104b、201b〜204bを逆並列に接続した複数個のIGBT等の自己消弧型半導体スイッチ素子101a〜104a、201a〜204aおよび直流コンデンサ105、205から構成されるフルブリッジ構成のインバータである。この場合、各単相インバータ100、200の出力の総和が、インバータ回路110の出力となる。
Vsub+Vsuba≧Vp・sinθ1
Vsub+Vsuba≧(Vdc*−Vp・sinθ1)
Vsub+Vsuba≧(Vp−Vdc*)
の3条件を満たす必要がある。
このような電圧条件を満たす範囲内で、各電圧Vsub、Vsubaの指令値Vsub*、Vsuba*は設定され、またVsub上限値、Vsub下限値も上記実施の形態と同様に予め設定されて保持される。
単相インバータ100、200が3個以上の場合も、コンバータ回路300で短絡期間を制御することで1つの単相インバータ100の直流コンデンサ105の電圧Vsubを指令値Vsub*に追従させ、残りの複数の単相インバータ200は、それぞれ独立して直流コンデンサ205の充放電を調整する。
上記実施の形態5で示した回路構成の電力変換装置において、直流コンデンサ105、205の電圧Vsub、Vsubaが、設定された下限値より低下したり上限値を超えると、それぞれの指令値Vsub*、Vsuba*を変更して制御するものについて以下に示す。
図22は、実施の形態6による制御回路10aにおけるインバータ回路110の直流コンデンサ105、205の電圧指令値Vsub*、Vsuba*を変更する制御ブロック図である。
指令値変更装置44には、電圧VsubがVsub上限値を超えると、また電圧VsubaがVsuba上限値を超えると、また電圧和(Vsub+Vsuba)が下限値より低下すると、それぞれコンパレータから信号が入力される。指令値変更装置44は、電圧VsubがVsub上限値を超える、あるいは電圧VsubaがVsuba上限値を超えると、2つの直流コンデンサ105、205の総エネルギは変化させずに、電圧指令値Vsub*、Vsuba*を和(Vsub*+Vsuba*)が低下するように変更する。また、また電圧和(Vsub+Vsuba)が下限値より低下すると、2つの直流コンデンサ105、205の総エネルギは変化させずに、電圧指令値Vsub*、Vsuba*を和(Vsub*+Vsuba*)が増加するように変更する。各コンパレータから信号が出力されないときは、指令値変更装置44において電圧指令値Vsub*、Vsuba*は変更されずにそのまま出力される。
また、電圧和(Vsub+Vsuba)の下限値および、Vsub上限値、Vsuba上限値は、予め設定されて保持される。
直流コンデンサ105、205の容量をCsub、Csubaとし、各エネルギWsub、Wsubaの和を一定値Kとすると、
Wsub+Wsuba=1/2(Csub・Vsub2+Csuba・Vsuba2)=K
と表せる。
Vsub+Vsuba=S
とすると、Sは比例関数の切片である。
切片Sが上記楕円方程式上で最小となるのは、Vsub=0、またはVsuba=0、の場合であり、容量Csub、Csubaが小さい方の電圧Vsuba(またはVsub)を0とした場合に、2つの直流コンデンサ105、205の電圧和(Vsub+Vsuba)は最小となる。直流コンデンサ205の方が容量が小さいとすると、最小となるS(=Vsub+Vsuba)は、Vsuba=0の場合で、
S=Vsub=(2K/Csub)1/2
となる。
Vsub=(2Csuba・K/((Csub+Csuba)・Csub))1/2
Vsuba=(2Csub・K/((Csub+Csuba)・Csuba))1/2
の場合で、最大となるS(=Vsub+Vsuba)は、
S=(2K(Csub+Csuba)/(Csub・Csuba))1/2
となる。
Vsub*=(2Csuba・K/((Csub+Csuba)・Csub))1/2
Vsuba*=(2Csub・K/((Csub+Csuba)・Csuba))1/2
とする。
また、電圧和(Vsub+Vsuba)が下限値より低下すると、複数の直流コンデンサ105、205の総エネルギは変化させずに、電圧指令値Vsub*、Vsuba*を和(Vsub*+Vsuba*)が増加するように変更する。これにより電圧和(Vsub+Vsuba)が下限値以上に速やかに復帰して、インバータ回路110による電流制御および平滑コンデンサ3に目標電圧Vdc*を出力する電圧制御を安定して継続することができる。
次に、この発明の実施の形態7による電力変換装置について説明する。
この実施の形態では、インバータ回路の直流電圧Vsubの変動が大きくなると平滑コンデンサ3の電圧Vdcの目標電圧Vdc*を変更し、電圧Vsubの変動を抑制する。なお、回路構成は上記実施の形態1と同様であり(図1参照)、この場合も、力行動作のみ行うものを説明するが、力行/回生の双方向制御を行う電力変換装置に適用できる。
コンバータ回路300の制御は、直流コンデンサ105の電圧Vsubを予め設定された指令値Vsub*に追従させる。まず、指令値Vsub*と検出された電圧Vsubとの差32をフィードバック量として、PI制御した出力33を電圧指令としてPWM制御部34によりコンバータ回路300の各半導体スイッチ素子301a〜304aへのゲート信号12を生成する。このPWM制御部34では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源同期三角波)35をキャリア波に用いて比較演算し、比較演算した信号を交流電源1の極性によりゲート信号12を生成し、これによりコンバータ回路300の交流端子間を短絡する短絡期間を、電圧Vsubが低下すると長く、電圧Vsubが増加すると短くなるように制御する(図23参照)。
図25に示すように、インバータ回路100の出力制御では、Vdc指令値変換装置45を備えて、直流コンデンサ105の電圧Vsubの変動幅が大きくなると、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*を低下させるように調整する。まず設定された目標電圧Vdc*はVdc指令値変換装置45に入力される。Vdc指令値変換装置45では、直流コンデンサ105の電圧Vsubの半周期における最大値−最小値である変動幅を、予め設定された上限値と比較するコンパレータからの信号が入力されて、電圧Vsubの変動幅が上限値を超えると目標電圧Vdc*を低く調整して調整後の目標電圧Vdc*46を出力する。
このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチ素子やダイオードは、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため小型化が可能である。また耐熱性も高いため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であり、全体の装置構成の小型化が図れる。更に電力損失が低いため、電力変換装置の効率向上を図れる。なお、高周波動作させるインバータ回路100のみにワイドバンドギャップ半導体による素子を用いてもよい。
10,10a 制御回路、11,11a,11b,12 ゲート信号、
42,44 指令値変更装置、100 インバータ回路(単相インバータ)、
101a〜104a 半導体スイッチ素子、105 直流コンデンサ、
110 インバータ回路、200 単相インバータ、
201a〜204a 半導体スイッチ素子、205 直流コンデンサ、
300 コンバータ回路、301a〜304a 半導体スイッチ素子、
Iin 電流、Iin* 電流指令、T,Ta,Tb 短絡期間、Vin 交流電源電圧、
Vdc 平滑コンデンサの電圧、Vdc* 平滑コンデンサの目標電圧、
Vsub,Vsuba 直流コンデンサの電圧、
Vsub*,Vsuba* 直流コンデンサの電圧指令値、ΔVsub Vsub変化幅。
Claims (12)
- 複数の半導体スイッチ素子と直流コンデンサとから成る単相インバータの交流側を1以上直列接続して構成され、該交流側を交流電源の第1の端子に直列接続して上記各単相インバータの出力の総和を上記交流電源の出力に重畳するインバータ回路と、
直流母線間に複数のスイッチを有し、一方の交流端子が上記インバータ回路の後段の交流出力線に接続され、他方の交流端子が上記交流電源の第2の端子に接続され、上記直流母線間に直流電力を出力するコンバータ回路と、
上記直流母線間に接続され、上記コンバータ回路の出力を平滑する平滑コンデンサと、
上記コンバータ回路の上記交流端子間を短絡させて上記平滑コンデンサをバイパスさせる短絡期間を有して上記インバータ回路の上記直流コンデンサの電圧を設定された電圧指令値に追従させるように上記コンバータ回路を制御すると共に、上記平滑コンデンサの電圧を目標電圧に追従させるように上記インバータ回路を電流指令を用いて制御する制御回路とを備え、
上記制御回路は、
上記インバータ回路の上記直流コンデンサ電圧の、予め設定された下限値と上限値とを有し、
上記コンバータ回路の制御において、
上記平滑コンデンサへ電力を出力する力行時に、上記インバータ回路の上記直流コンデンサを上記短絡期間において充電し、上記直流コンデンサ電圧が低下すると上記短絡期間を長く、増加すると上記短絡期間を短くするように上記コンバータ回路を制御し、上記直流コンデンサ電圧が上記上限値を超える期間で上記コンバータ回路の上記交流端子間を強制的に開放させ、上記直流コンデンサ電圧が上記下限値より低くなる期間で上記コンバータ回路の上記交流端子間を強制的に短絡させることを特徴とする電力変換装置。 - 上記制御回路は、
上記平滑コンデンサからの電力を上記電源に回生する回生機能を備え、
上記コンバータ回路の制御において、
上記平滑コンデンサからの電力回生時に、上記インバータ回路の上記直流コンデンサを上記短絡期間において放電し、上記直流コンデンサ電圧が低下すると上記短絡期間を短く、増加すると上記短絡期間を長くするように上記コンバータ回路を制御し、上記直流コンデンサ電圧が上記上限値を超える期間で上記コンバータ回路の上記交流端子間を強制的に短絡させ、上記直流コンデンサ電圧が上記下限値より低くなる期間で上記コンバータ回路の上記交流端子間を強制的に開放させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。 - 上記直流コンデンサ電圧の上記下限値および上記上限値に、それぞれヒステリシス幅を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 複数の半導体スイッチ素子と直流コンデンサとから成る単相インバータの交流側を1以上直列接続して構成され、該交流側を交流電源の第1の端子に直列接続して上記各単相インバータの出力の総和を上記交流電源の出力に重畳するインバータ回路と、
直流母線間に複数のスイッチを有し、一方の交流端子が上記インバータ回路の後段の交流出力線に接続され、他方の交流端子が上記交流電源の第2の端子に接続され、上記直流母線間に直流電力を出力するコンバータ回路と、
上記直流母線間に接続され、上記コンバータ回路の出力を平滑する平滑コンデンサと、
上記コンバータ回路の上記交流端子間を短絡させて上記平滑コンデンサをバイパスさせる短絡期間を有して上記インバータ回路の上記直流コンデンサの電圧を設定された電圧指令値に追従させるように上記コンバータ回路を制御すると共に、上記平滑コンデンサの電圧を目標電圧に追従させるように上記インバータ回路を電流指令を用いて制御する制御回路とを備え、
上記制御回路は、
上記インバータ回路の上記直流コンデンサ電圧の、予め設定された下限値と上限値とを有し、上記直流コンデンサ電圧が上記上限値を超えると上記電圧指令値を低下させ、上記直流コンデンサ電圧が上記下限値より低くなると上記電圧指令値を増加させ、
上記コンバータ回路の制御において、
上記平滑コンデンサへ電力を出力する力行時に、上記インバータ回路の上記直流コンデンサを上記短絡期間において充電し、上記直流コンデンサ電圧が低下すると上記短絡期間を長く、増加すると上記短絡期間を短くするように上記コンバータ回路を制御することを特徴とする電力変換装置。 - 複数の半導体スイッチ素子と直流コンデンサとから成る単相インバータの交流側を1以上直列接続して構成され、該交流側を交流電源の第1の端子に直列接続して上記各単相インバータの出力の総和を上記交流電源の出力に重畳するインバータ回路と、
直流母線間に複数のスイッチを有し、一方の交流端子が上記インバータ回路の後段の交流出力線に接続され、他方の交流端子が上記交流電源の第2の端子に接続され、上記直流母線間に直流電力を出力するコンバータ回路と、
上記直流母線間に接続され、上記コンバータ回路の出力を平滑する平滑コンデンサと、
上記コンバータ回路の上記交流端子間を短絡させて上記平滑コンデンサをバイパスさせる短絡期間を有して上記インバータ回路の上記直流コンデンサの電圧を設定された電圧指令値に追従させるように上記コンバータ回路を制御すると共に、上記平滑コンデンサの電圧を目標電圧に追従させるように上記インバータ回路を電流指令を用いて制御する制御回路とを備え、
上記制御回路は、
上記インバータ回路の上記直流コンデンサ電圧の電圧変動幅が予め設定された上限値を超えると、上記平滑コンデンサの上記目標電圧を低く調整し、
上記コンバータ回路の制御において、
上記平滑コンデンサへ電力を出力する力行時に、上記インバータ回路の上記直流コンデンサを上記短絡期間において充電し、上記直流コンデンサ電圧が低下すると上記短絡期間を長く、増加すると上記短絡期間を短くするように上記コンバータ回路を制御することを特徴とする電力変換装置。 - 上記制御回路は、
上記平滑コンデンサからの電力を上記電源に回生する回生機能を備え、
上記コンバータ回路の制御において、
上記平滑コンデンサからの電力回生時に、上記インバータ回路の上記直流コンデンサを上記短絡期間において放電し、上記直流コンデンサ電圧が低下すると上記短絡期間を短く、上記直流コンデンサ電圧が増加すると上記短絡期間を長くするように上記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項4または5に記載の電力変換装置。 - 上記インバータ回路は、複数の上記単相インバータを直列接続して構成され、
上記制御回路は、上記複数の単相インバータの複数の直流コンデンサの総電力量を保持して、該複数の直流コンデンサの電圧指令値の総和が増加あるいは低下するように、上記各直流コンデンサの上記電圧指令値を変更することを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。 - 上記制御回路は、上記複数の単相インバータの複数の直流コンデンサの総電力量を保持して、該複数の直流コンデンサの電圧指令値の総和が最大あるいは最小となるように、上記各直流コンデンサの上記電圧指令値を変更することを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
- 上記制御回路は、上記予め設定された下限値として上記複数の直流コンデンサの電圧総和の下限値を有し、上記複数の直流コンデンサの電圧総和が上記下限値より低くなると上記複数の直流コンデンサの上記電圧指令値の総和が増加するように、上記各直流コンデンサの上記電圧指令値を変更することを特徴とする請求項7または8に記載の電力変換装置。
- 上記制御回路は、上記予め設定された上限値として上記複数の直流コンデンサの各上限値を有し、上記複数の直流コンデンサのいずれかの電圧が上記上限値を超えると上記複数の直流コンデンサの上記電圧指令値の総和が低下するように、上記各直流コンデンサの上記電圧指令値を変更することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 上記インバータ回路は、複数の上記単相インバータを直列接続して構成され、
上記制御回路は、上記インバータ回路内の1つの単相インバータの直流コンデンサの電圧を設定された電圧指令値に追従させるように上記コンバータ回路を制御し、上記電流指令を用いて上記インバータ回路を制御する際に、他の単相インバータの直流コンデンサの充放電を調整することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 上記インバータ回路内の上記半導体スイッチ素子はシリコンよりもバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体により形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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