実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置について説明する。図1は実施の形態1における電力変換装置の概略構成図である。図1に示すように、電力変換装置は、交流電源1の交流電力を直流電力に変換して出力するための主回路101と制御回路8とを備える。主回路101は、交流電源1からの入力である交流電圧を整流するダイオード整流回路200と、限流回路としてのリアクトル3と、ハーフブリッジ構成のインバータ回路400と、半導体スイッチ501aと、半導体スイッチ601aと、出力電圧を平滑する平滑コンデンサ7とを備える。
交流電源1の正側母線と負側母線との間にダイオード整流回路200が接続されている。ダイオード整流回路200の正側母線P1側の端子は、リアクトル3に接続され、リアクトル3の後段にハーフブリッジ型のインバータ回路400の交流側端子が接続される。インバータ回路400は、2個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の
半導体スイッチ401a、402a、および直流コンデンサ403にて構成されるハーフブリッジ構成のインバータである。半導体スイッチ401aがインバータ回路400の正側の第1の半導体スイッチであり、半導体スイッチ402aがインバータ回路400の負側の第2の半導体スイッチである。そして、半導体スイッチ401aと半導体スイッチ402aとの接続点(交流側端子)がダイオード整流回路200の正側母線P1に接続される。
第3の半導体スイッチである半導体スイッチ501aは、インバータ回路400の正側の半導体スイッチ401aと平滑コンデンサ7の正側P2との間に接続される。第4の半導体スイッチである半導体スイッチ601aは、インバータ回路400の負側の半導体スイッチ402aと平滑コンデンサ7の負側N2との間に接続される。なお、半導体スイッチ401a、402aは、インバータ回路400を構成する半導体スイッチであり、半導体スイッチ501a、601aは、インバータ回路400を構成しない半導体スイッチである。平滑コンデンサ7の負側N2は、ダイオード整流回路200の負側母線N1側の端子に直接接続される。
半導体スイッチ401a、402aには、それぞれダイオード401b、402bが逆並列に接続されている。また、半導体スイッチ501aは、ダイオード501bを逆並列に接続したIGBT等の半導体スイッチ素子とし、半導体スイッチ601aも同様にダイオード502bを逆並列に接続したIGBT等の半導体スイッチ素子である。なお、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aは、IGBT以外の半導体スイッチ素子でも、ソース・ドレイン間にダイオードが内蔵されたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等でもよい。また、半導体スイッチ401a、半導体スイッチ501aを省略して、ダイオード401b、501bのみで構成してもよい。
また、電力変換装置は、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を測定する電圧計、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を測定する電圧計と、交流電源1からの交流電圧Vacを測定する電圧計、および交流電流Iacを測定する電流計を備える。
制御回路8は、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aのオン・オフを制御するものである。制御回路8は、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1と、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と、交流電源1からの交流電圧Vacと、交流電流Iacとに基づいて、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が一定の目標電圧Vc2*を保つように、また、交流電源1からの交流電流Iacが高力率を保つように、さらに、直流コンデンサ403の電圧Vc1が一定の目標電圧(指令値Vc1*)を保つように、インバータ回路400の各半導体スイッチ401a、402aや半導体スイッチ501a、601aへのゲート信号9を生成して、インバータ回路400および半導体スイッチ501a、601aを出力制御する。
より具体的には、制御回路8は、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が直流コンデンサ403の指令値Vc1*に追従するように半導体スイッチ601aのオン・オフを制御するとともに、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が平滑コンデンサ7の目標電圧Vc2*に追従し、交流電源1からの入力力率を調整し、入力力率が改善するように半導体スイッチ401a、402aのオン・オフを制御する。平滑コンデンサ7には図示しない負荷が接続され、通常時には、直流電圧Vc2が目標電圧Vc2*に比べて低く、制御回路8は、交流電源1からの交流電力を変換して平滑コンデンサ7に直流電力を供給するようにインバータ回路400および半導体スイッチ501a、601aを出力制御する。
このように構成される電力変換装置の動作、即ち平滑コンデンサ7に直流電力を出力する動作を図に基づいて説明する。図2〜図5は、電力変換装置の動作を説明する電流経路図である。図2〜図5において、回路構成は図1と同じであり、電流が流れる経路を太線で示している。また、図6は、電力変換装置の動作を説明する各部の波形とインバータ回路400の直流コンデンサ403の充放電を示す図である。図6において、図6(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図6(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図6(c)は直流コンデンサ403の充放電の状態を示す。
なお、出力段の平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図6では、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が一定の目標電圧Vc2*に制御されている状態を示す。このように制御回路8は、平滑コンデンサ7の直流電圧の目標電圧Vc2*を、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1より常に高く設定している。このように設定することによって、インバータ回路400の直流コンデンサ403から、平滑コンデンサ7への電力流出を防ぎ、電力変換装置の安定した制御を行うことができる。
交流電源1から出力される交流電圧Vacは、ダイオード整流回路200で全波整流されるため、交流電源1の交流周期の2倍周期で動作する。インバータ回路400は、交流電源1からの入力力率が概1になるようにPWM(Pulse Width Modulation)制御によって交流電流Iacを制御して出力し、交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。以下、交流電源1からの入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御することを、単に電流制御とする。
交流電源1の電圧位相をθとし、交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合の4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作について示す。ダイオード整流回路200による全波整流によって、負極性であるπ<θ≦2πの場合も、正極性0≦θ<πの場合と同様の動作となる。
半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、図2に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、図3に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。また、半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、図4に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、図5に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。このように、制御回路8は、半導体スイッチ501a、601aを、交流電源1の交流電圧Vacの1/4周期に一回、オン・オフを切り替えるように制御している。
このような4種の半導体スイッチのオン・オフ制御を組み合わせて、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aを制御してインバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充放電させ、電流制御を行う。なお、半導体スイッチ401a、501aに流れる電流が、エミッタからコレクタへ流れる時は、その半導体スイッチ素子をオフして逆並列接続されたダイオード401b、501bに電流を流しても良い。
図6に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相(θ=0、π)を中央とした±θ1(θ1をオン位相と称す)の位相範囲(所定の位相範囲)では、半導体スイッチ601aをオン状態(オンに固定)、半導体スイッチ501aをオフ状態(オフに固定)として、平滑コンデンサ7をバイパスさせる。このとき、図2に示すように、交流電源1からの交流電流Iacはリアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、半導体スイッチ601aを通り交流電源1に戻る。図2の動作モードによってリアクトル3が励磁され、図3の動作モードによってリアクトル3の励磁がリセットされる。また、図2の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーし、図3の動作モードの場合、直流コンデンサ403が充電される。従って、図2の動作モードと図3の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ電流制御を行うことができる。
次に、図6に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相を中央とした位相範囲±θ1以外の位相範囲では、半導体スイッチ601aをオフ状態、半導体スイッチ501aをオン状態として、平滑コンデンサ7へ直流電力を出力する。このとき、図4に示すように、交流電源1からの交流電流Iacはリアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、半導体スイッチ501aを通り平滑用コンデンサ7を充電して交流電源1に戻る。インバータ回路400は、電圧(Vc2*−Vac)を出力し、図4の動作モードと図5の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧(Vc2*−Vac)を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc2*に達するように平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を制御する。
インバータ回路400では、図4の動作モードによってリアクトル3が励磁され、図5の動作モードによってリアクトル3の励磁がリセットされる。また、図4の動作モードの場合、直流コンデンサ403が放電され、図5の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーする。従って、図4の動作モードと図5の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、電流制御を行うことができる。
以上のように、交流電源1の交流電圧Vacの電圧位相θのゼロクロス位相(θ=0、π)±θ1にて、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aとの制御を切り替え、このゼロクロス位相を中央として位相範囲±θ1でのみ、半導体スイッチ601aをオン状態、半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ7をバイパスさせる。このとき、制御回路8は、インバータ回路400が交流電圧Vacの逆極性にほぼ等しい電圧を発生するように制御しつつ、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御して出力し、直流コンデンサ403を充電する。
そして、このゼロクロス位相を中央とした位相範囲±θ1以外の位相範囲では、制御回路8は、半導体スイッチ501aをオン状態、半導体スイッチ601aをオフ状態として、インバータ回路400が平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に維持するように制御しつつ、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御して出力する。このとき、インバータ回路400は、平滑コンデンサ7の直流電圧と交流電源の差電圧(Vc2*−Vac)を発生し、直流コンデンサ403は放電される。なお、半導体スイッチ601aがオンとなるオン期間は、ゼロクロス位相(θ=0、π)を中央としたが、ゼロクロス位相を含む位相範囲で、いずれかに偏るものであっても良い。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しくなるように半導体スイッチ601aのオン期間を設定し、オン位相θ1を決定することができる。インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しいとすると、式(1)が成り立つ。但し、Vpは交流電圧Vacのピーク電圧、Ipは交流電流Iacのピーク電流である。
ここで、Vac=Vp・sinθ、Iac=Ip・sinθとすると、目標電圧Vc2*とピーク電圧Vpの関係式は式(2)となる。
ただし、目標電圧Vc2*の下限値は、ダイオード整流回路200によって、ピーク電圧Vpとなるため、目標電圧Vc2*がピーク電圧Vp以下となるようなオン位相θ1を設定すると動作不可能な条件となる。このように、平滑コンデンサ7の目標電圧Vc2*は、オン位相θ1によって決まり、オン位相θ1を変化させて制御できる。そして、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2は、該目標電圧Vc2*に追従するように制御される。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を、0≦θ<θ1およびθ1≦θ<π/2の各位相範囲におけるインバータ回路400の所望の発生電圧の大きさ以上に設定する。この場合、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が目標電圧Vc2*に維持でき、また、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御するインバータ回路400の電流制御を、交流電源1の全位相において信頼性良く行うことができる。この場合、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は式(3)、式(4)を満たすように設定する必要がある。
Vc1 ≧ Vp・sinθ1 ・・(3)
Vc1 ≧(|Vc2*−Vp・sinθ1|) ・・(4)
なお、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vp以下に設定する。PWM制御を行うインバータ回路400では、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が大きくなると損失が増大するため、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は式(3)、式(4)を満たす条件で小さく設定することが望ましい。
そして、ゼロクロス位相を中央として位相範囲±θ1(所定の位相範囲)のみで、半導体スイッチ601aをオン状態とし、平滑コンデンサ7をバイパスする期間とすることによって、制御回路8は、インバータ回路400を制御し、半導体スイッチ601aがオンの期間でも、オフの期間でも入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御し、かつ平滑コンデンサ7に所望の電圧の直流電力を出力することができる。つまり、制御回路8は、交流電源1の交流電圧の所定の位相範囲で、オン位相θ1を決定し、半導体スイッチ601aがオンとなるオン期間を調整し、直流コンデンサ403の直流電圧Vc2を所定の電圧に調整することができる。このような制御を行うことによって、直流コンデンサ403に外部電源を用いずに自立動作が可能となる。
なお、半導体スイッチ401aは、半導体スイッチ402aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ402aがオン状態の場合には半導体スイッチ401aはオフ状態とし、半導体スイッチ402aがオフ状態の場合には半導体スイッチ401aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチ401aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ401aをオフして、逆並列接続されたダイオード401bに電流を流しても良い。
次に、入力電流力率制御を行うためのインバータ回路400の制御の詳細について、図7に基づいて以下に説明する。図7は、制御回路8によるインバータ回路400の出力制御における制御ブロック図である。インバータ回路400の出力制御によって、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に維持し、また、交流電源1の力率が概1になるように交流電流Iacを制御する。まず、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と目標電圧Vc2*との差10aを減算器10によって求める。直流電圧Vc2と目標電圧Vc2*との差10aをフィードバック量として、PI制御器11によってPI制御した出力を振幅目標値11aとする。この振幅目標値11aと交流電源1の同期周波数Fsに基づいて、電流指令生成器12によって交流電源1の交流電圧Vacに同期した正弦波の電流指令(Iac*)12aを生成する。
次に、設定された電流指令(Iac*)12aと検出された交流電流Iacとの差13aを減算器13によって求める。電流指令Iac*と交流電流Iacとの差13aをフィードバック量として、PI制御器14によってPI制御した出力をインバータ回路400の発生電圧の目標値となる電圧指令14aとする。このとき、半導体スイッチ601aをオン状態、半導体スイッチ501aをオフ状態とする第1の制御と、半導体スイッチ601aをオフ状態、半導体スイッチ501aをオン状態とする第2の制御との切り替え時に同期したフィードフォワード補正電圧ΔVを求める。加算器15によって電圧指令14aにフィードフォワード補正電圧ΔVを加算して電圧指令14aを補正する。そして、補正後の電圧指令15aを用いて、ゲート信号生成器16においてPWM制御に対応したインバータ回路400の半導体スイッチ402aのゲート信号16aを作成し、インバータ回路400を動作させる。ゲート信号16aは、図7の制御ブロック図に示したキャリア周期三角波TWCに基づいて生成される固定デューティのPWM信号を適用してもよい。なお、半導体スイッチ401aのゲート信号は、半導体スイッチ402aのゲート信号と逆極性となるように動作させる。
このように、制御回路8は、インバータ回路400に流れる交流電流Iacが電流指令Iac*に追従するように補正後の電圧指令15aを生成してインバータ回路400を出力制御し、第1の制御と第2の制御との切り替え時となる半導体スイッチ601aのオン・オフ切り替え時にのみ、電圧指令14aにフィードフォワード補正電圧ΔVを加算するフィードフォワード制御を行う。フィードフォワード補正電圧ΔVは、第1の制御時には交流電源1の逆極性となる交流電圧−Vacであり、第2の制御時には平滑コンデンサ7の直流電圧と交流電源1の交流電圧との差電圧(Vc2−Vac)である。
半導体スイッチ601aに対する第1の制御と第2の制御との切り替え時に、インバータ回路400の出力電圧が、交流電源1の電圧に対して、平滑コンデンサ7と交流電源1との差電圧分が加算されるように、インバータ回路400の電圧指令を補正する。これによって、フィードバック制御の応答時間分、制御が遅れることを確実に防ぐことができる。また、第1の制御と第2の制御との切り替え時にも、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御でき、過渡的な電流変動を信頼性良く抑制して高調波電流の発生が抑制することができ、電流制御性が向上する。
次に、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aの出力制御であり、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を指令値Vc1*に追従させる制御について図8に基づいて説明する。図8は、制御回路8による半導体スイッチ601aの出力制御における制御ブロック図である。
まず、設定された指令値Vc1*と検出された直流電圧Vc1との差17aを減算器17によって求める。指令値Vc1*と直流電圧Vc1との差17aをフィードバック量として、PI制御器18によってPI制御した出力を電圧指令18aとする。電圧指令18aを用いて、ゲート信号生成器19においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号19aを生成する。ゲート信号生成器19におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波に用いて比較演算し、ゲート信号19aを生成する。即ち、このゲート信号19aにて半導体スイッチ601aの短絡期間も制御される。
半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ601aがオン状態の場合には、半導体スイッチ501aはオフ状態とし、半導体スイッチ601aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ501aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチ501aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ501aをオフして、逆並列接続されたダイオード501bに電流を流しても良い。
本実施の形態では、このような電流指令を用いてインバータ回路400を制御することによって、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に追従させ、交流電源1からの入力力率を改善するように制御して出力し、インバータ回路400の交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。このような制御によって、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aは、高周波スイッチングが不要である。また、インバータ回路400は、半導体スイッチのスイッチングで扱う電圧を交流電源1のピーク電圧よりも大幅に低減することができる。このため、リアクトル3への電圧急変防止が可能となり、従来限流のために必要であった大きなリアクトルを必要とすることなく、リアクトル3を小型化してもスイッチング損失とノイズとを低減することができる。
また、半導体スイッチ601aがオン状態の場合、平滑コンデンサ7をバイパスしてインバータ回路400の直流コンデンサ403を充電できるため、インバータ回路400に高い電圧を発生させることなく交流電源1に交流電流Iacを流すことができるとともに、充電されたエネルギーを平滑コンデンサ7への放電に使うことができる。このため、半導体スイッチのスイッチングで扱う電圧をさらに低減でき、高効率化、低ノイズ化がさらに促進できる。なお、この場合のリアクトル3は、エネルギーを貯めるものではなく、電流を制限する限流回路として動作し、電流制御の信頼性が向上する。また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を、交流電圧Vacのピーク電圧Vp以下に設定することによって、このような高効率化、低ノイズ化の効果を確実に得ることができる。
また、インバータ回路400を2つの半導体スイッチ401a、402aと、直流コンデンサ403とで構成されるハーフブリッジ型とし、半導体スイッチ501aをインバータ回路400の正側の半導体スイッチ401aと平滑コンデンサ7の正側P2との間に接続し、半導体スイッチ601aをインバータ回路400の負側の導体スイッチ402aと平滑コンデンサ7の負側N2との間に接続している。このため、より少ない半導体スイッチ素子で電流制御を実現することができ、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
また、交流電源1からの入力電圧の特定の位相でのみ半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aを動作させるため、電力変換装置を安定に制御でき、半導体スイッチのスイッチングに起因する損失もほとんど発生しない。また、ゼロクロス位相であるθ=0、πを中央とした位相範囲±θ1(短絡位相範囲)でのみ、半導体スイッチ601aをオン状態として平滑コンデンサ7をバイパスさせるため、交流電源1の交流電圧Vacが低い領域において平滑コンデンサ7へ出力する必要がなく、インバータ回路400の直流電圧を低く構成でき、高効率化、低ノイズ化を達成することができる。また、平滑コンデンサ7の目標電圧Vc2*は、オン位相θ1によって制御できるため、目標電圧Vc2*を容易に制御でき、制御性および制御上の自由度が向上する。
また、半導体スイッチ601aのオン・オフ切り替え時に、インバータ回路400は、フィードフォワード制御によって、直流コンデンサ403の充電、放電動作を切り替えるように制御されるため、フィードバック制御の応答時間分、制御が遅れることを防ぎ、高速制御が実現できる。
また、半導体スイッチ401aと半導体スイッチ501aを省略して、ダイオード401bとダイオード501bのみで構成し、上記のような電流制御を実現することができる。ダイオード501bとして低周波駆動用の低Vfダイオードを選択し、ダイオード401bとして高周波駆動用のリカバリ特性の優れ、低周波駆動用のダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードを選択してもよい。このような構成は、平滑コンデンサの正側に接続される半導体スイッチ501aをダイオードに置換え、インバータ回路400の正側の半導体スイッチ401aをこのダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードに置換えることと等価である。この場合、低周波で駆動するダイオード501bと高周波で駆動するダイオード401bのリカバリ損失と導通損失とを最適化することができ、損失をより低減することができる。さらに、半導体スイッチの省略と駆動回路の削減、冷却構造の小型化によって、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
また、半導体スイッチ402aには高周波駆動用のMOSFET、半導体スイッチ601aには低周波駆動用のIGBTを使用することができる。この場合、高周波駆動する半導体スイッチ402aと、低周波駆動する半導体スイッチ601aの損失をより低減することができ、冷却構造の小型化によって、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。また、制御回路8が、インバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aのオン・オフ制御の駆動周波数を、インバータ回路400を構成しない半導体スイッチ501a、601aのオン・オフ制御の駆動周波数よりも高くして各半導体スイッチ401a、402a、501a、601aをオン・オフする制御を行ってもよい。この場合も、高周波駆動する半導体スイッチ401a、402aと、低周波駆動する半導体スイッチ501a、601aの損失をより低減することができ、冷却構造の小型化によって、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、式(3)、式(4)を満たすように直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を設定し、半導体スイッチ601aをゼロクロス位相(θ=0、π)±θ1の位相範囲でのみオン状態とし、電流制御を全てインバータ回路400が行っていた。本実施の形態では、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を式(3)、式(4)の制約に関係なく設定し、式(3)、式(4)を満たさない場合のみ、電流制御をインバータ回路400から半導体スイッチ601aへ切り替える点が実施の形態1と異なる。なお、本実施の形態における回路構成は、実施の形態1における回路構成と同じである。
以下、実施の形態2の制御回路について説明する。図9は、制御回路8によるインバータ回路400の出力制御における制御ブロック図である。実施の形態1と同様に、インバータ回路400の出力制御によって、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に維持し、また交流電源1の力率が概1になるように交流電流Iacを制御するように、ゲート信号16aを生成する。本実施の形態では、ゲート信号選択器20を新たに設け、交流電源1の交流電圧Vacと、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1と、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2との関係に応じて、半導体スイッチ401aへのゲート信号21と半導体スイッチ402aへのゲート信号22とを選択する。
図10は、ゲート信号選択器20の詳細機能について記した制御ブロック図である。ゲート信号選択器20への入力信号20aは、ゲート信号16a、オン信号、およびオフ信号の3つの信号である。ゲート信号選択器20は、これら3パターンの信号を選択してゲート信号を出力する。ゲート信号を選択するための電圧情報20bは、交流電源1の交流電圧Vacと、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1と、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と、半導体スイッチ601aのゲート信号GS1である。
図11は、制御回路8による半導体スイッチ601aの出力制御における制御ブロック図である。実施の形態1と同様に、設定された指令値Vc1*と検出された電圧Vc1との差17aを減算器17によって求める。指令値Vc1*と直流電圧Vc1との差17aをフィードバック量として、PI制御器18によってPI制御した出力を電圧指令18aとする。電圧指令18aを用いて、ゲート信号生成器19においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号19aを生成する。本実施の形態ではゲート信号選択器23を新たに設け、交流電源1の交流電圧Vacと、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1と、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2との関係に応じて、半導体スイッチ501aへのゲート信号24と半導体スイッチ601aへのゲート信号25とを選択する。
図12は、ゲート信号選択器23の詳細機能について記した制御ブロック図である。ゲート信号選択器23への入力信号23aは、電流制御用PWM信号、オン信号、およびオフ信号の3つの信号である。ゲート信号選択器23は、これら3パターンの信号を選択してゲート信号を出力する。ゲート信号を選択するための電圧情報23bは、交流電源1の交流電圧Vacと、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1と、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と、半導体スイッチ601aのゲート信号GS1である。
電流制御用PWM信号として、固定デューティのPWM信号やフィードバック制御で得られるPWM信号などを適用してもよい。例えば、図9の制御ブロック図に示したキャリア周期三角波TWCに基づいて生成される固定デューティのPWM信号を適用してもよいし、図9の制御ブロック図においてフィードフォワード補正電圧を加えないでゲート信号生成器16が生成するPWM信号を適用してもよい。
ここで、図10および図12に示す、ゲート信号選択器20およびゲート信号選択器23の詳細動作について説明する。半導体スイッチ601aがオン設定の期間内で、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が交流電源1の交流電圧Vacより大きい場合、すなわち式(3)を満たす場合には、ゲート信号選択器20では、半導体スイッチ401aおよび半導体スイッチ402aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号16aを選択し、ゲート信号選択器23では、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択し(半導体スイッチ601aをオンに固定し)、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択する(半導体スイッチ501aをオフに固定する)。なお、半導体スイッチ401aのゲート信号と半導体スイッチ402aのゲート信号は逆極性の関係となる。
半導体スイッチ402aがオンの場合の電流経路は図2のとおりとなり、半導体スイッチ401aがオンの場合の電流経路は図3のとおりとなる。図2において、交流電源1の交流電圧Vacによってリアクトル3が励磁される。図3において、交流電源1の交流電圧Vacと平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2との差電圧によってリアクトル3の励磁がリセットされる。
次に、半導体スイッチ601aがオン設定の期間内で、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が交流電源1の交流電圧Vacより小さい場合、すなわち式(3)を満たさない場合には、ゲート信号選択器20では、半導体スイッチ401aのゲート信号としてオン信号を選択し(半導体スイッチ401aをオンに固定し)、半導体スイッチ402のゲート信号としてオフ信号を選択し(半導体スイッチ402aをオフに固定し)、ゲート信号選択器23では、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択する(半導体スイッチ501a、601aを同期させてPWM制御する)。なお、半導体スイッチ501aのゲート信号と半導体スイッチ601aのゲート信号は逆極性の関係となる。
半導体スイッチ601aがオンの場合の電流経路は図3のとおりとなり、半導体スイッチ601aがオフの場合の電流経路は図5のとおりとなる。図3において、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が交流電源1の交流電圧Vacより低いため、リアクトル3が励磁される。図5において、交流電源1の交流電圧Vacより平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が低いため、リアクトル3の励磁がリセットされる。従って、半導体スイッチ601aがオンの場合に、式(3)を満たさない動作条件が発生しても、ゲート信号選択器20、23において、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aのゲート信号を上記のとおり選択すると、直流コンデンサ403への充電動作と、交流電源1の高力率制御を継続することができる。
半導体スイッチ601aがオフ設定の期間内で、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と交流電源1の交流電圧Vacとの差電圧より大きい場合、すなわち式(4)を満たす場合には、ゲート信号選択器20では、半導体スイッチ401aおよび半導体スイッチ402aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号16aを選択し、ゲート信号選択器23では、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択し(半導体スイッチ601aをオフに固定し)、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオン信号を選択する(半導体スイッチ501aをオンに固定する)。なお、半導体スイッチ401aのゲート信号と半導体スイッチ402aのゲート信号は逆極性の関係となる。
半導体スイッチ402aがオンの場合の電流経路は図4のとおりとなり、半導体スイッチ401aがオンする場合の電流経路は図5のとおりとなる。図4において、交流電源1の交流電圧Vacによってリアクトル3が励磁される。図5において、交流電源1の交流電圧Vacと平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2との差電圧によってリアクトル3の励磁がリセットされる。
次に、半導体スイッチ601aがオフ設定の期間内で、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と交流電源1の交流電圧Vacとの差電圧より小さい場合、すなわち式(4)を満たさない場合には、ゲート信号選択器23では、半導体スイッチ401aのゲート信号としてオフ信号を選択し(半導体スイッチ401aをオフに固定し)、半導体スイッチ402aのゲート信号としてオン信号を選択し(半導体スイッチ402aをオンに固定し)、ゲート信号選択器23では、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択する(半導体スイッチ501a、601aを同期させてPWM制御する)。なお、半導体スイッチ501aのゲート信号と半導体スイッチ601aのゲート信号は逆極性の関係となる。
半導体スイッチ601aがオンの場合の電流経路は図2のとおりとなり、半導体スイッチ601aがオフの場合の電流経路は図4のとおりとなる。図2において、交流電源1の交流電圧Vacでリアクトル3が励磁される。図4において、交流電源1の交流電圧Vacと直流コンデンサ403の直流電圧Vc1との和電圧は、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2より低いためリアクトル3の励磁がリセットされる。従って、半導体スイッチ601aがオフの場合に、式(4)を満たさない動作条件が発生しても、ゲート信号選択器20、23において、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aのゲート信号を上記のとおり選択すると、直流コンデンサ403の放電動作と、交流電源1の高力率制御を継続することができる。
また、半導体スイッチ601aのオン期間に式(3)を満たさない場合、または半導体スイッチ601aのオフ期間に式(4)を満たさない場合に関わらず、図9において、半導体スイッチ401aをオフ状態とし、半導体スイッチ402aを半導体スイッチ601aと同期させて高周波駆動させてもよい。このような制御を行う場合の制御ブロック図を図13に示す。図13は、ゲート信号選択器20の詳細機能について記した制御ブロック図である。図13において、ゲート信号選択器20への入力信号20cは、PWM信号であるゲート信号16a、オン信号、オフ信号、および電流制御用PWM信号の4つの信号である。ゲート信号を選択するための電圧情報20bは、交流電源1の交流電圧Vacと、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1と、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と、半導体スイッチ601aのゲート信号GS1である。
電圧情報から、式(3)および式(4)を満たす場合には、半導体スイッチ401aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ402aゲート信号としてPWM信号であるゲート信号16aを選択する。また、式(3)または式(4)を満たさない場合には、半導体スイッチ401aのゲート信号としてオフ信号を選択し(半導体スイッチ401aをオフに固定し)、半導体スイッチ402aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択する。
半導体スイッチ402aと半導体スイッチ601aがオンする場合の電流経路は図2のとおりであり、半導体スイッチ402aと半導体スイッチ601aがオフする場合の電流経路は図5のとおりである。図2において、交流電源1の交流電圧Vacによって、リアクトル3が励磁され、図5において、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と交流電源1の交流電圧Vacとの差電圧でリアクトル3の励磁がリセットされる。
本実施の形態では、実施の形態1の構成によって得られる特徴に加えて、インバータ回路400で電流制御できる条件(式(3)、式(4))を満たさない場合でも、半導体スイッチ601aに切り替えることによって電流制御を継続することができる。これによって、交流電源1の交流電圧Vac、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2の動作電圧範囲を拡大することができ、広い動作条件に対応した高力率制御を継続することができる。
実施の形態3.
実施の形態1、2では、交流電源1の後段にダイオード整流回路200を備えているが、本実施の形態ではダイオード整流回路200を省略し、ハーフブリッジ型のインバータ回路を2段に接続した構成である。図14は、実施の形態3における電力変換装置の概略構成図である。図14に示すように、電力変換装置は、交流電源1の交流電力を直流電力に変換して出力するための主回路102と制御回路11とを備える。主回路102は、限流回路としての正側リアクトル2および負側リアクトル3と、ハーフブリッジ型の第1のインバータ回路であるインバータ回路400と、ハーフブリッジ型の第2のインバータ回路であるインバータ回路700と、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aと、出力電圧を平滑する平滑コンデンサ10とを備える。
交流電源1の出力は、交流電源1の正側母線に挿入される正側リアクトル2および交流電源1の負側母線に挿入される負側リアクトル3に接続される。正側リアクトル2の後段に半導体スイッチ401aと半導体スイッチ402aと第1の直流コンデンサである直流コンデンサ403から構成されるハーフブリッジ型のインバータ回路400が接続される。半導体スイッチ401aがインバータ回路400の正側の第1の半導体スイッチであり、半導体スイッチ402aがインバータ回路400の負側の第2の半導体スイッチである。そして、半導体スイッチ401aと半導体スイッチ402aとの接続点(交流側端子)が正側リアクトル2に接続される。また、負側リアクトル3の後段に半導体スイッチ701aと半導体スイッチ702aと第2の直流コンデンサである直流コンデンサ703から構成されるハーフブリッジ型のインバータ回路700が接続される。半導体スイッチ701aがインバータ回路700の正側の第5の半導体スイッチであり、半導体スイッチ702aがインバータ回路700の負側の第6の半導体スイッチである。そして、半導体スイッチ701aと半導体スイッチ702aとの接続点(交流側端子)が負側リアクトル3に接続される。
第3の半導体スイッチである半導体スイッチ501aは、インバータ回路400の正側の半導体スイッチ401aと平滑コンデンサ10の正側P2との間に接続される。第4の半導体スイッチである半導体スイッチ601aは、インバータ回路400の負側の半導体スイッチ402aと平滑コンデンサ10の負側N2との間に接続される。また、第7の半導体スイッチである半導体スイッチ801aは、インバータ回路700の正側の半導体スイッチ701aと平滑コンデンサ10の正側P2との間に接続される。第8の半導体スイッチである半導体スイッチ901aは、インバータ回路700の負側の半導体スイッチ702aと平滑コンデンサ10の負側N2との間に接続される。なお、半導体スイッチ401a、402a、701a、702aは、インバータ回路400、700を構成する半導体スイッチであり、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aは、インバータ回路400、700を構成しない半導体スイッチである。
実施の形態1、2と同様に、インバータ回路400は、ダイオード401b、402bを逆並列に接続した2個のIGBT等の半導体スイッチ401a、402a、および直流コンデンサ403にて構成されるハーフブリッジ構成のインバータである。インバータ回路700も同様に、ダイオード701b、702bを逆並列に接続した2個のIGBT等の半導体スイッチ701a、702a、および直流コンデンサ703にて構成されるハーフブリッジ構成のインバータである。半導体スイッチ501a、601a、801a、901aは、それぞれダイオード501b、601b、801b、901bを逆並列に接続したIGBT等の半導体スイッチ素子である。なお、半導体スイッチ素子401a、402a、701a、702a、501a、601a、801a、901aは、IGBT以外でも、ソース・ドレイン間にダイオードが内蔵されたMOSFET等でもよい。また、回生動作を行わない場合には、半導体スイッチ501a、801aを省略して、ダイオード501b、801bのみで構成してもよい。
また、電力変換装置は、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を測定する電圧計、インバータ回路700の直流コンデンサ703の直流電圧Vc5を測定する電圧計、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を測定する電圧計と、交流電源1からの交流電圧Vacを測定する電圧計、および交流電流Iacを測定する電流計を備える。
制御回路11は、半導体スイッチ素子401a、402a、701a、702a、501a、601a、801a、901aのオン・オフを制御する。制御回路11は、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4と、インバータ回路700の直流コンデンサ703の直流電圧Vc5と、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3と、交流電源1からの交流電圧Vacと、交流電流Iacとに基づいて、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*を保つように、また、交流電源1からの交流電流Iacが高力率に保つように、さらに、直流コンデンサ403の直流電圧Vc4と直流コンデンサ703の直流電圧Vc5が一定の指令値Vc4*、指令値Vc5*を保つように、インバータ回路400の各半導体スイッチ401a、402a、インバータ回路700の各半導体スイッチ701a、702a、および半導体スイッチ501a、601a、801a、901aへのゲート信号12、13を生成して、インバータ回路400、インバータ回路700、および半導体スイッチ501a、601a、801a、901aを出力制御する。
より具体的には、制御回路11は、直流コンデンサ403および直流コンデンサ703のそれぞれの直流電圧Vc4、Vc5がそれぞれの指令値Vc4*、Vc5*に追従するように、半導体スイッチ601aおよび半導体スイッチ901aのオン・オフを制御するとともに、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が平滑コンデンサ10の目標電圧Vc3*に追従し、交流電源1からの入力力率を調整し、入力力率が改善するように半導体スイッチ401a、402a、701a、702aのオン・オフを制御する。
また、制御回路11は、交流電源1の交流電圧Vacの極性に応じて、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aをオン・オフする制御と、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aをオン・オフする制御とを切り替え、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を平滑コンデンサ10の目標電圧Vc3*に追従させ、交流電源1からの入力力率を調整し、入力力率が改善する制御を行う。さらに、制御回路11は、平滑コンデンサ10の電力を交流電源1に回生する制御を行う。また、制御回路11は、力行動作時には直流コンデンサ403、703を充電するように、回生動作時には直流コンデンサ403、703を放電するように半導体スイッチ401a、402a、701a、702a、501a、601a、801a、901aのオン・オフを制御する。
このように構成される電力変換装置の力行動作、即ち平滑コンデンサ10に直流電力を出力する動作について、図に基づいて説明する。図15〜図22は、電力変換装置の力行動作を説明する電流経路図である。図15〜図18に、交流電圧Vacが正極性の場合の電流経路図を示す。図19〜図22に、交流電圧Vacが負極性の場合の電流経路図を示す。図15〜図22において、回路構成は図14と同じであり、電流が流れる経路を太線で示している。
また、図23は、電力変換装置の力行動作を説明する各部の波形とインバータ回路400、700の直流コンデンサ403、703の充放電を示す図である。図23において、図23(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図23(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図23(c)は半導体スイッチ401a、402aのオン・オフの状態、図23(d)は半導体スイッチ901aのオン・オフの状態、図23(e)は半導体スイッチ701a、702aのオン・オフの状態、図23(f)は直流コンデンサ403の充放電の状態、図23(g)は直流コンデンサ703の充放電の状態を示す。図23(f)および図23(g)において、矢印で示した範囲は充放電を行っていない期間である。
なお、出力段の平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図23では、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*に制御されている状態を示す。本実施の形態では、交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性の場合には、半導体スイッチ501a、601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aとを出力制御し、半導体スイッチ701a、702a、801a、901aをオフとする。交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性の場合には、半導体スイッチ801a、901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701a、702aとを出力制御し、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aをオフとする。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合における、4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作と電流経路について説明する。図15に示すとおり、半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。図16に示すとおり、半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。また、図17に示すとおり、半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。図18に示すとおり、半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。
このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。なお、インバータ回路700側を流れる電流は、ダイオード901b、ダイオード702bを経由して流れるが、半導体スイッチ901a、702aを適宜オン・オフして、半導体スイッチ901a、702aを経由して流れるように制御してもよい。
次に、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが負極性であるπ≦θ<2πの場合における、4つの半導体スイッチ701a、702a、801a、901aの動作と電流経路について説明する。図19に示すとおり、半導体スイッチ702a、901aがオン、半導体スイッチ701a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。図20に示すとおり、半導体スイッチ701a、901aがオン、半導体スイッチ702a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を充電するように流れる。また、図21に示すとおり、半導体スイッチ702a、801aがオン、半導体スイッチ701a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を放電するように流れる。図22に示すとおり、半導体スイッチ701a、801aがオン、半導体スイッチ702a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。
このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ703の充放電制御を行う。なお、インバータ回路400側を流れる電流は、ダイオード601b、ダイオード402bを経由して流れるが、半導体スイッチ601a、402aを適宜オン・オフして、半導体スイッチ601a、402aを経由して流れるように制御してもよい。
図23に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相を中央として位相範囲±θ1、すなわち位相範囲0〜θ1、位相範囲(π−θ1)〜πでは、半導体スイッチ601aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図15の動作モードと図16の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、インバータ回路400からダイオード901b、ダイオード702b(または半導体スイッチ901a、702a)を通り、交流電源1に戻る。このとき、図15の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図16の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図15の動作モードでは直流コンデンサ403はスルーとなり、図16の動作モードでは直流コンデンサ403は充電される。従って、図15の動作モードと図16の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図23に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、位相範囲θ1〜(π−θ1)では、半導体スイッチ601aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ501aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図17の動作モードと図18の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、インバータ回路400から半導体スイッチ501aを通り、平滑用コンデンサ10を充電して、ダイオード901b、ダイオード702b(または半導体スイッチ901a、702a)を介して交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路400は、電圧(Vc4*−Vac)を出力して、図17の動作モードと図18の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路400の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路400では、図17の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図18の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図17の動作モードでは、直流コンデンサ403は放電され、図18の動作モードでは、直流コンデンサ403はスルーされる。従って、図17の動作モードと図18の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図23に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相を中央として位相範囲±θ2、すなわち位相範囲π〜(π+θ2)、位相範囲(2π−θ2)〜2πでは、半導体スイッチ901aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ801aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図19の動作モードと図20の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700からダイオード601b、ダイオード402b(または半導体スイッチ601a、402a)を通り、交流電源1に戻る。このとき、図19の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図20の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図19の動作モードでは直流コンデンサ703はスルーとなり、図20の動作モードでは直流コンデンサ703は充電される。従って、図19の動作モードと図20の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図23に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、位相範囲(π+θ2)〜(2π−θ2)では、半導体スイッチ901aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ801aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図21の動作モードと図22の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700から半導体スイッチ801aを通り、平滑用コンデンサ10を充電して、ダイオード601b、ダイオード402b(または半導体スイッチ601a、402a)を介して交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路700は電圧(Vc5*−Vac)を出力して、図21の動作モードと図22の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路700の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路700では、図21の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図22の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図21の動作モードでは、直流コンデンサ703は放電され、図22の動作モードでは、直流コンデンサ703はスルーされる。従って、図21の動作モードと図22の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、電力変換装置の回生動作、即ち交流電源1に交流電力を出力する動作について、図に基づいて説明する。図24〜図31は、電力変換装置の回生動作を説明する電流経路図である。図24〜図27に、交流電圧Vacが正極性の場合の電流経路図を、図28〜図31に、交流電圧Vacが負極性の場合の電流経路図を示す。図24〜図31において、回路構成は図14と同じであり、電流が流れる経路を太線で示している。
また、図32は、電力変換装置の回生動作を説明する各部の波形とインバータ回路400、700の直流コンデンサ403、703の充放電を示す図である。図32において、図32(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図32(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図32(c)は半導体スイッチ401aのオン・オフの状態、図32(d)は半導体スイッチ402aのオン・オフの状態、図32(e)は半導体スイッチ901aのオン・オフの状態、図32(f)は半導体スイッチ701aのオン・オフの状態、図32(g)は半導体スイッチ702aのオン・オフの状態、図32(h)は直流コンデンサ403の充放電の状態、図32(i)は直流コンデンサ703の充放電の状態を示す。図32(h)および図32(i)において、矢印で示した範囲は充放電を行っていない期間である。
なお、出力段の平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図32では、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*に制御されている状態を示す。本実施の形態では、交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性の場合には、半導体スイッチ501a、601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aとを出力制御し、半導体スイッチ901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ702aとをオン状態とし、半導体スイッチ801aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701aとをオフとする。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性の場合には、半導体スイッチ801a、901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701a、702aとを出力制御し、半導体スイッチ601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ402aとをオン状態とし、半導体スイッチ501aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401aをオフとする。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合における、4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作と電流経路について説明する。図24に示すとおり、半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。図25に示すとおり、半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。また、図26に示すとおり、半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。図27に示すとおり、半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。これら4つの動作モードにおいて、半導体スイッチ702a、901aは常時オンとする。このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。
次に、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが負極性であるπ≦θ<2πの場合における、4つの半導体スイッチ701a、702a、801a、901aの動作と電流経路について説明する。図28に示すとおり、半導体スイッチ702a、901aがオン、半導体スイッチ701a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。図29に示すとおり、半導体スイッチ701a、901aがオン、半導体スイッチ702a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を放電するように流れる。また、図30に示すとおり、半導体スイッチ702a、801aがオン、半導体スイッチ701a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を充電するように流れる。図31に示すとおり、半導体スイッチ701a、801aがオン、半導体スイッチ702a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。これら4つの動作モードにおいて、半導体スイッチ402a、601aは常時オンとする。このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ703の充放電制御を行う。
図32に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相を中央として位相範囲±θ1、すなわち位相範囲0〜θ1、位相範囲(π−θ1)〜πでは、半導体スイッチ601aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図24の動作モードと図25の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、半導体スイッチ702a、901aを通り、半導体スイッチ601aを介してインバータ回路400へと入力される。このとき、図24の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図25の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図24の動作モードでは直流コンデンサ403はスルーとなり、図25の動作モードでは直流コンデンサ403は放電される。従って、図24の動作モードと図25の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図32に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、位相範囲θ1〜(π−θ1)では、半導体スイッチ601aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ501aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を入力する。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図26の動作モードと図27の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、半導体スイッチ501aを介してインバータ回路400へ入力され、交流電源1へと回生される。交流電源1からの電流は半導体スイッチ702a、901aを介して平滑コンデンサ10へと流れる。このとき、インバータ回路400は、電圧(Vc4*−Vac)を出力して、図26の動作モードと図27の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路400では、図26の動作によって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図27の動作によって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図26の動作モードでは、直流コンデンサ403は充電され、図27の動作モードでは、直流コンデンサ403はスルーされる。従って、図26の動作モードと図27の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図32に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相を中央として位相範囲±θ2の、すなわち位相範囲π〜(π+θ2)、位相範囲(2π−θ2)〜2πでは、半導体スイッチ901aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ801aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図28の動作モードと図29の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、交流電源1に戻る。このとき、図28の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図29の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図28の動作モードでは直流コンデンサ703はスルーとなり、図29の動作モードでは直流コンデンサ703は放電される。従って、図28の動作モードと図29の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図32に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、位相範囲(π+θ2)〜(2π−θ2)では、半導体スイッチ901aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ801aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図30の動作モードと図31の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700から交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路700は電圧(Vc5*−Vac)を出力して、図30の動作モードと図31の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路700の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路700では、図30の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図31の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図30の動作モードでは、直流コンデンサ703は充電され、図31の動作モードでは、直流コンデンサ703はスルーされる。従って、図30の動作モードと図31の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
このような、電力変換装置の力行動作や回生動作に関わらず、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合には、半導体スイッチ601aのオン期間を調整することによって、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を一定電圧に保つことができる。また、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合には、半導体スイッチ901aのオン期間を調整することによって、インバータ回路700の直流コンデンサ703の直流電圧Vc5を一定電圧に保つことができる。
このような駆動方法における、交流電源1の交流電圧Vacと、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3との関係は、実施の形態1と同様に、式(1)のように表される。ただし、式(1)の目標電圧Vc2*を目標電圧Vc3*に置き換える必要がある。そして、電流制御の成立条件も式(3)、式(4)と同様に、インバータ回路400で電流制御を行う場合には、式(5)、式(6)、インバータ回路700で電流制御を行う場合には、式(7)、式(8)を満たす必要がある。
Vc4 ≧ Vp・sinθ1 ・・(5)
Vc4 ≧(|Vc3*−Vp・sinθ1|) ・・(6)
Vc5 ≧ Vp・sinθ1 ・・(7)
Vc5 ≧(|Vc3*−Vp・sinθ1|) ・・(8)
上述した駆動方法において、電流制御の成立条件(式(5)〜式(8))を満たさない場合には、実施の形態2で説明した制御方法と同様に、電流制御をインバータ回路400、700から半導体スイッチ601a、901aに切り替えることによって、電流制御を継続することができる。
以下、力行動作における半導体スイッチ601a、901aによる電流制御における電流経路について説明する。交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、半導体スイッチ601aがオン設定の期間内で、式(5)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ401aをオン状態とし、半導体スイッチ601aをPWM制御する。電流経路は、半導体スイッチ601aがオンする場合には図16に示すような経路となり、半導体スイッチ601aがオフする場合には図18に示すような経路となる。図16に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図18に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁をリセットされる。また、図16において直流コンデンサ403は充電され、図18において直流コンデンサ403はスルーされる。従って、式(5)の条件を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ403の充電動作も継続することができる。
交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、半導体スイッチ601aがオフ設定の期間内で、式(6)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ402aをオン状態とし、半導体スイッチ601aをPWM制御する。電流経路は、半導体スイッチ601aがオンする場合には図15に示すような経路となり、半導体スイッチ601aがオフする場合には図17に示すような経路となる。図15に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図17に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図15において直流コンデンサ403はスルーし、図17において直流コンデンサ403は放電される。従って、式(6)を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ403の放電動作も継続することができる。
交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、半導体スイッチ901aがオン設定の期間内で、式(7)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ701aをオン状態とし、半導体スイッチ901aをPWM制御する。電流経路は、半導体スイッチ901aがオンする場合には図20に示すような経路となり、半導体スイッチ901aがオフする場合には図22に示すような経路となる。図20に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図22に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁をリセットされる。また、図20において直流コンデンサ703は充電され、図22において直流コンデンサ703はスルーされる。従って、式(7)の条件を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ703の充電動作も継続することができる。
交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、半導体スイッチ901aがオフ設定の期間内で、式(8)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ702aをオン状態とし、半導体スイッチ901aをPWM制御する。電流経路は、半導体スイッチ901aがオンする場合には図19に示すような経路となり、半導体スイッチ901aがオフする場合には図21に示すような経路となる。図19に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図21に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図19において直流コンデンサ703はスルーし、図21において直流コンデンサ703は放電される。従って、式(8)を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ703の放電動作も継続することができる。
回生動作時においても、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのオン・オフによって電流制御を継続することができる。交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、半導体スイッチ501aがオフ、半導体スイッチ601aがオン設定の期間内で、式(5)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ401aをオン状態とし、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aをPWM制御する。ここで、半導体スイッチ501aのオン・オフと半導体スイッチ601aのオン・オフは逆極性の関係とする。電流経路は、半導体スイッチ501aがオフ、半導体スイッチ601aがオンする場合には図25に示すような経路となり、半導体スイッチ501aがオン、半導体スイッチ601aがオフする場合には図27に示すような経路となる。図25に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図27に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁をリセットされる。また、図25において直流コンデンサ403は放電され、図27において直流コンデンサ403はスルーされる。従って、式(5)の条件を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ403の放電動作も継続することができる。
交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、半導体スイッチ501aがオン、半導体スイッチ601aがオフ設定の期間内で、式(6)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ402aをオン状態とし、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aをPWM制御する。ここでも、半導体スイッチ501aのオン・オフと半導体スイッチ601aのオン・オフは逆極性の関係とする。電流経路は、半導体スイッチ501aがオフ、半導体スイッチ601aがオンする場合には図24に示すような経路となり、半導体スイッチ501aがオン、半導体スイッチ601aがオフする場合には図26に示すような経路となる。図24に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図26に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図24において直流コンデンサ403はスルーし、図26において直流コンデンサ403は充電される。従って、式(6)を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ403の充電動作も継続することができる。
交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、半導体スイッチ801aがオフ、半導体スイッチ901aがオン設定の期間内で、式(7)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ701aをオン状態とし、半導体スイッチ801aと半導体スイッチ901aをPWM制御する。ここでも、半導体スイッチ801aのオン・オフと半導体スイッチ901aのオン・オフは逆極性の関係とする。電流経路は、半導体スイッチ801aがオフ、半導体スイッチ901aがオンする場合には図29に示すような経路となり、半導体スイッチ801aがオン、半導体スイッチ901aがオフする場合には図31に示すような経路となる。図29に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図31に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図29において直流コンデンサ703は放電され、図31において直流コンデンサ703はスルーされる。従って、式(7)の条件を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ703の放電動作も継続することができる。
交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、半導体スイッチ801aがオン、半導体スイッチ901aがオフ設定の期間内で、式(8)を満たさなくなった場合には、半導体スイッチ702aをオン状態とし、半導体スイッチ801aと半導体スイッチ901aをPWM制御する。ここでも、半導体スイッチ801aのオン・オフと半導体スイッチ901aのオン・オフは逆極性の関係とする。電流経路は、半導体スイッチ801aがオフ、半導体スイッチ901aがオンする場合には図28に示すような経路となり、半導体スイッチ801aがオン、半導体スイッチ901aがオフする場合には図30に示すような経路となる。図28に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図30に示した電流経路において正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図28において直流コンデンサ703はスルーし、図30において直流コンデンサ703は充電される。従って、式(8)の条件を満たさない場合であっても、電流制御を継続することができ、また、直流コンデンサ703の充電動作も継続することができる。
なお、インバータ回路400において、半導体スイッチ401aのオン・オフは、半導体スイッチ402aのオン・オフと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ402aがオン状態の場合には、半導体スイッチ401aはオフ状態とし、半導体スイッチ402aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ401aはオン状態とする。同様に、インバータ回路700についても、半導体スイッチ701aのオン・オフと半導体スイッチ702aのオン・オフも逆極性となるように動作させる。
次に、インバータ回路400、700の制御の詳細について説明する。図33は、制御回路11によるインバータ回路400、700の出力制御における制御ブロック図である。インバータ回路400、700では、インバータ回路を構成する半導体スイッチ401a、402a、701a、702aの出力制御によって、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を目標電圧Vc3*に維持し、また、交流電源1の力率が力行時には概1、回生時には概(−1)になるように交流電流Iacを制御する。
図33において、まず、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3と目標電圧Vc3*との差26aを減算器26によって求める。直流電圧Vc3と目標電圧Vc3*との差26aをフィードバック量として、PI制御器27によってPI制御した出力を振幅目標値27aとする。この振幅目標値27aと交流電源1の同期周波数Fsに基づいて、電流指令生成器28によって交流電源1の交流電圧Vacに同期した正弦波の電流指令(Iac*)28aを生成する。電流指令(Iac*)28aは、力行時には力率が1、回生時には力率が(−1)となるように調整される。
次に、設定された電流指令(Iac*)28aと検出された交流電流Iacとの差29aを減算器29によって求める。電流指令Iac*と交流電流Iacとの差29aをフィードバック量として、PI制御器30によってPI制御した出力をインバータ回路400、700の発生電圧の目標値となる電圧指令30aとする。このとき、半導体スイッチ601aまたは半導体スイッチ901aをオン状態、半導体スイッチ501aまたは半導体スイッチ801aをオフ状態とする第1の制御と、半導体スイッチ601aまたは半導体スイッチ901aをオフ状態、半導体スイッチ501aまたは半導体スイッチ801aをオン状態とする第2の制御との切り替え時に同期したフィードフォワード補正電圧ΔVを求める。加算器31によって電圧指令30aにフィードフォワード補正電圧ΔVを加算して電圧指令31aを補正する。そして、補正後の電圧指令31aを用いて、ゲート信号生成器32においてPWM制御に対応したインバータ回路400、700の各半導体スイッチのゲート信号32aを作成する。
このように、制御回路11は、第1の制御と第2の制御との切り替え時となる半導体スイッチ601a、901aのオン・オフ切り替え時にのみ、電圧指令30aにフィードフォワード補正電圧ΔVを加算するフィードフォワード制御を行う。フィードフォワード補正電圧ΔVは、第1の制御時には、交流電源1の逆極性となる交流電圧−Vacであり、第2の制御時には平滑コンデンサ10の直流電圧Vc5と交流電源1の交流電圧Vacとの差電圧(Vc5−Vac)である。
ゲート信号32aの演算後、ゲート信号選択器33にて、インバータ回路400、700の各半導体スイッチ401a、402a、701a、702aのゲート信号を動作条件に応じて選択する。このゲート信号選択器33の詳細機能について記した制御ブロック図を図34に示す。ゲート信号選択器33では、入力された交流電圧の極性と電圧情報33bとに応じて、入力信号33aの中から適切なゲート信号を選択し、半導体スイッチ401a、402a、701a、702aのゲート信号を生成する。ゲート信号選択器33への入力信号33aは、PWM信号であるゲート信号32a、オン信号、およびオフ信号の3つの信号である。ゲート信号選択器33は、これら3パターンの信号を選択してゲート信号を出力する。ゲート信号を選択するための電圧情報33bは、交流電圧Vacの極性判定と、式(5)〜式(8)の成立判定に必要な情報として、交流電源1の交流電圧Vacと、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3と、直流コンデンサ403の直流電圧Vc4と、直流コンデンサ703の直流電圧Vc5と、半導体スイッチ601a、901aのゲート信号GS2で構成される。また、ゲート信号選択器33には、力行・回生動作指令(力行/回生)も入力する。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性で、半導体スイッチ601aがオン状態の場合で、かつ式(5)の条件を満たす場合には、半導体スイッチ401a、402aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号32aを選択する。また、半導体スイッチ701aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ702aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性で、半導体スイッチ601aがオン状態の場合で、かつ式(5)の条件を満たさない場合には、電流制御をインバータ回路400から半導体スイッチ601aに移すため、半導体スイッチ401aのゲート信号としてオン信号を選択し、半導体スイッチ402aのゲート信号としてオフ信号を選択する。また、半導体スイッチ701aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ702aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性で、半導体スイッチ601aがオフ状態の場合で、かつ式(6)の条件を満たす場合には、半導体スイッチ401a、402aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号32aを選択する。また、半導体スイッチ701aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ702aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性で、半導体スイッチ601aがオン状態の場合で、かつ式(6)の条件を満たさない場合には、電流制御をインバータ回路400から半導体スイッチ601aに移すため、半導体スイッチ402aのゲート信号としてオン信号を選択し、半導体スイッチ401aのゲート信号としてオフ信号を選択する。また、半導体スイッチ701aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ702aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性で、半導体スイッチ901aがオン状態の場合で、かつ式(7)の条件を満たす場合には、半導体スイッチ701a、702aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号32aを選択する。また、半導体スイッチ401aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ402aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性で、半導体スイッチ901aがオン状態の場合で、かつ式(7)の条件を満たさない場合には、電流制御をインバータ回路700から半導体スイッチ901aに移すため、半導体スイッチ701aのゲート信号としてオン信号を選択し、半導体スイッチ702aのゲート信号としてオフ信号を選択する。また、半導体スイッチ401aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ402aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性で、半導体スイッチ901aがオフ状態の場合で、かつ式(8)の条件を満たす場合には、半導体スイッチ701a、702aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号32aを選択する。また、半導体スイッチ401aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ402aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性で、半導体スイッチ901aがオフ状態の場合で、かつ式(8)の条件を満たさない場合には、電流制御をインバータ回路700から半導体スイッチ901aに移すため、半導体スイッチ702aのゲート信号としてオン信号を選択し、半導体スイッチ701aのゲート信号としてオフ信号を選択する。また、半導体スイッチ401aのゲート信号として力行・回生時に関わらずオフ信号を選択し、半導体スイッチ402aのゲート信号として力行時にはオフ信号を選択し、回生時にはオン信号を選択する。
次に、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aの出力制御であり、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を指令値Vc4*に追従させる制御、インバータ回路700の直流コンデンサ703の電圧Vc5を指令値Vc5*に追従させる制御について説明する。図35は、制御回路11による半導体スイッチ601a、901aの出力制御における制御ブロック図である。
図35において、まず、設定された指令値Vc4*と検出された直流電圧Vc4との差36aを減算器36によって求める。指令値Vc4*と直流電圧Vc4との差36aをフィードバック量として、力行・回生選択装置38に入力する。力行・回生選択装置38は、力行時には1倍、回生時には(−1)倍したフィードバック量をPI制御器40に出力する。PI制御器40によってPI制御した出力を電圧指令40aとする。電圧指令40aを用いて、ゲート信号生成器42においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号42aを生成する。同様に、直流電圧Vc5の一定制御においても、半導体スイッチ901aのゲート信号43aを生成する。このPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波に用いて比較演算し、ゲート信号42a、43aを生成する。即ち、このゲート信号42a、43aにて半導体スイッチ601a、901aの短絡期間も制御される。
次に、ゲート信号選択器44にて、動作条件に応じて半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのゲート信号を選択する。図36は、ゲート信号選択器44の詳細機能について記した制御ブロック図である。ゲート信号選択器44では、電圧情報44bと力行・回生動作指令(力行/回生)とに応じて、入力信号44aの中から適切なゲート信号を選択し、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのゲート信号を生成する。
入力信号44aは、電流制御用PWM信号、オン信号、オフ信号、および図35に示した直流電圧Vc4、直流電圧Vc5をそれぞれ指令値Vc4*、指令値Vc5*に追従させるために演算した電圧指令に基づくゲート信号42a、43aの5つの信号である。電圧情報44bとしては、交流電圧の極性の判定と、式(5)〜式(8)の成立判定に必要な情報として、半導体スイッチ601a、901aのゲート信号GS2、交流電源1の交流電圧Vac、直流コンデンサ403の直流電圧Vc4、直流コンデンサ703の直流電圧Vc5、および平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を入力する。
まず、力行動作の場合について説明する。力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(5)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号42aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(5)を満たさない場合には、半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(6)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号42aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(6)を満たさない場合には、半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(7)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号43aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(7)を満たさない場合には、半導体スイッチ901aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(8)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号43aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(8)を満たさない場合には、半導体スイッチ901aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
次に、回生動作の場合について説明する。回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(5)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号42aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(5)を満たさない場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aには電流制御用PWM信号を選択する(半導体スイッチ501a、601aを同期させてPWM制御する)。ここでは、半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(6)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号42aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(6)を満たさない場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでも、半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(7)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号43aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(7)を満たさない場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでは、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(8)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号43aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(8)を満たさない場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでも、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。
なお、力行動作しか行わない場合には、平滑コンデンサ10の正側に接続される半導体スイッチ501a、801aをダイオードに置換え、インバータ回路400、700の正側の半導体スイッチ401a、701aをこのダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードに置換えてもよい。このような構成によって、ダイオードのリカバリ損失と導通損失とを最適化することができる。
本実施の形態では、以上のようにインバータ回路400、700を制御することによって、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を目標電圧Vc3*に追従させ、交流電源1からの入力力率を改善するように制御して出力し、インバータ回路400、700の交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。
以上のような構成によって、ダイオード整流回路を用いずに、交流電圧を直流電圧に変換する機能、交流電源を高力率に制御する機能を実現することができ、実施の形態1の構成における特徴に加えて回生動作を実現することができる。また、交流電源1の交流電圧の極性に応じて、2つのインバータ回路400、700を切り替えて制御するので、直流コンデンサ403、703の電力負担期間を半減させることができ、これによって電力変換装置の適用箇所を拡大することができる。
実施の形態4.
実施の形態1では、半導体スイッチ601aのオン位相を交流電源1の交流電圧Vacの1/4周期で1回、オフ位相を1回設けている。本実施の形態4では、半導体スイッチ601aのオン位相を1/4周期で2回、オフ位相を2回設けている点が実施の形態1と異なる。なお、本実施の形態4における回路構成は、実施の形態1の回路構成である図1と同じであり、電力変換装置の動作と電流経路との関係についても図2〜5と同じである。
以下、本実施の形態4の動作原理について説明する。図37は実施の形態4における電力変換装置の動作を説明する各部の波形とインバータ回路の直流コンデンサ充放電を示す図である。図37において、図37(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図37(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図37(c)は直流コンデンサ403の充放電の状態を示す。図37(b)において、位相範囲0〜θ1が第1のオン期間、位相範囲θ1〜θ2が第1のオフ期間、位相範囲θ2〜θ3が第2のオン期間、位相範囲θ3〜π/2が第2のオフ期間である。電圧位相θ1、θ2、θ3を設定することで、オン期間、オフ期間のそれぞれの期間の長さが決まる。
実施の形態1と同様に、出力段の平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図37では、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が一定の目標電圧Vc2*に制御されている状態を示す。また、交流電源1から出力される交流電圧Vacは、ダイオード整流回路200で全波整流されるため、交流電源1の交流周期の2倍周期で動作する。インバータ回路400は、交流電源1からの入力力率が概1になるようにPWM制御によって交流電流Iacを制御して出力し、交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。なお、位相範囲0〜π/2と位相範囲π/2〜πとでは、電圧位相π/2を中心に対称の動作を行う。このため、ここでは位相範囲0〜π/2における電力変換装置の動作について説明する。また、電圧位相θ1、θ2、θ3は、θ1<θ2<θ3の関係にある。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合の4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作について示す。ダイオード整流回路200による全波整流によって、負極性であるπ<θ≦2πの場合も、正極性0≦θ<πの場合と同様の動作となる。
半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、図2に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、図3に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、図4に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、図5に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。
このような4種の半導体スイッチのオン・オフ制御を組み合わせて、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aを制御してインバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充放電させ、電流制御を行う。なお、半導体スイッチ401a、501aに流れる電流が、エミッタからコレクタへ流れる時は、その半導体スイッチ素子をオフして逆並列接続されたダイオード401b、501bに電流を流しても良い。
図37に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相(θ=0、π)を中央とした位相範囲±θ1と、位相範囲θ2〜θ3とでは、半導体スイッチ601aをオン状態(オンに固定)、半導体スイッチ501aをオフ状態(オフに固定)として、平滑コンデンサ7をバイパスさせる。位相範囲0〜θ1と位相範囲θ2〜θ3とをオン位相とする。このとき、図2に示すように、交流電源1からの交流電流Iacはリアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、半導体スイッチ601aを通り交流電源1に戻る。図2の動作モードによってリアクトル3が励磁され、図3の動作モードによってリアクトル3の励磁がリセットされる。また、図2の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーし、図3の動作モードの場合、直流コンデンサ403が充電される。従って、図2の動作モードと図3の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ電流制御を行うことができる。
次に、図37に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacの位相範囲θ1〜θ2と、位相範囲θ3〜π/2とでは、半導体スイッチ601aをオフ状態、半導体スイッチ501aをオン状態として、平滑コンデンサ7へ直流電力を出力する。位相範囲θ1〜θ2と位相範囲θ3〜π/2とをオフ位相とする。このとき、図4に示すように、交流電源1からの交流電流Iacはリアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、半導体スイッチ501aを通り平滑用コンデンサ7を充電して交流電源1に戻る。インバータ回路400は、電圧(Vc2*−Vac)を出力し、図4の動作モードと図5の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧(Vc2*−Vac)を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc2*に達するように平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を制御する。
インバータ回路400では、図4の動作モードによってリアクトル3が励磁され、図5の動作モードによってリアクトル3の励磁がリセットされる。また、図4の動作モードの場合、直流コンデンサ403が放電され、図5の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーする。従って、図4の動作モードと図5の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、電流制御を行うことができる。
以上のように、交流電源1の交流電圧Vacの電圧位相θ1、θ2、θ3にて、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aとの制御を切り替え、位相範囲0〜θ1と位相範囲θ2〜θ3でのみ、半導体スイッチ601aをオン状態、半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ7をバイパスさせる。このとき、制御回路8は、インバータ回路400が交流電圧Vacの逆極性にほぼ等しい電圧を発生するように制御しつつ、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御して出力し、直流コンデンサ403を充電する。
そして、位相範囲θ1〜θ2と位相範囲θ3〜π/2とでは、制御回路8は、半導体スイッチ501aをオン状態、半導体スイッチ601aをオフ状態として、インバータ回路400が平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に維持するように制御しつつ、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御して出力する。このとき、インバータ回路400は、平滑コンデンサ7の直流電圧と交流電源の差電圧(Vc2*−Vac)を発生し、直流コンデンサ403は放電される。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しくなるように半導体スイッチ601aのオン期間を設定し、オン位相を決定することができる。オン期間での直流コンデンサ403の充電エネルギーは式(9)のように表すことができる。オフ期間での直流コンデンサ403の放電エネルギーは式(10)のように表すことができる。さらに、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しいとすると、目標電圧Vc2*とピーク電圧Vpの関係式は式(11)が成り立つ。但し、Vpは交流電圧Vacのピーク電圧、Ipは交流電流Iacのピーク電流である。
ただし、目標電圧Vc2*の下限値は、ダイオード整流回路200によって、ピーク電圧Vpとなるため、目標電圧Vc2*がピーク電圧Vp以下となるような電圧位相θ1、θ2、θ3を設定すると動作不可能な条件となる。このように、平滑コンデンサ7の目標電圧Vc2*は、電圧位相θ1、θ2、θ3によって決まり、オン位相である位相範囲0〜θ1、位相範囲θ2〜θ3を変化させて制御できる。そして、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2は、該目標電圧Vc2*に追従するように制御される。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を、0≦θ<θ1、θ1≦θ<θ2、θ2≦θ<θ3、およびθ3≦θ<π/2の各位相範囲におけるインバータ回路400の所望の発生電圧の大きさ以上に設定する。この場合、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が目標電圧Vc2*に維持でき、また、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御するインバータ回路400の電流制御を、交流電源1の全位相において信頼性良く行うことができる。この場合、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は0≦θ<θ1とθ2≦θ<θ3の位相範囲では式(12)、θ1≦θ<θ2とθ3≦θ<π/2の位相範囲では式(13)を満たすように設定する必要がある。
Vc1 ≧ Vp・sinθ1 ・・(12)
Vc1 ≧(|Vc2*−Vp・sinθ1|) ・・(13)
なお、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vp以下に設定する。PWM制御を行うインバータ回路400では、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が大きくなると損失が増大するため、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は式(12)、式(13)を満たす条件で小さく設定することが望ましい。
そして、0≦θ<θ1の位相範囲とθ2≦θ<θ3の位相範囲(所定の位相範囲)のみで、半導体スイッチ601aをオン状態とし、平滑コンデンサ7をバイパスする期間とすることによって、制御回路8は、インバータ回路400を制御し、半導体スイッチ601aがオンの期間でも、オフの期間でも入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御し、かつ平滑コンデンサ7に所望の電圧の直流電力を出力することができる。つまり、制御回路8は、交流電源1の交流電圧の所定の位相範囲で、オン位相である位相範囲0〜θ1、位相範囲θ2〜θ3を決定し、半導体スイッチ601aがオンとなるオン期間を調整し、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を所定の電圧に調整することができる。このような制御を行うことによって、直流コンデンサ403に外部電源を用いずに自立動作が可能となる。
なお、半導体スイッチ401aは、半導体スイッチ402aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ402aがオン状態の場合には半導体スイッチ401aはオフ状態とし、半導体スイッチ402aがオフ状態の場合には半導体スイッチ401aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチ401aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ401aをオフして、逆並列接続されたダイオード401bに電流を流しても良い。
次に、制御回路8の動作について説明する。入力電流力率制御を行うためのインバータ回路400の制御の詳細を実施の形態1で示した図7に基づいて説明する。図7は、制御回路8によるインバータ回路400の出力制御における制御ブロック図である。インバータ回路400の出力制御によって、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に維持し、また、交流電源1の力率が概1になるように交流電流Iacを制御する。まず、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2と目標電圧Vc2*との差10aを減算器10によって求める。直流電圧Vc2と目標電圧Vc2*との差10aをフィードバック量として、PI制御器11によってPI制御した出力を振幅目標値11aとする。この振幅目標値11aと交流電源1の同期周波数Fsに基づいて、電流指令生成器12によって交流電源1の交流電圧Vacに同期した正弦波の電流指令(Iac*)12aを生成する。
次に、設定された電流指令(Iac*)12aと検出された交流電流Iacとの差13aを減算器13によって求める。電流指令Iac*と交流電流Iacとの差13aをフィードバック量として、PI制御器14によってPI制御した出力をインバータ回路400の発生電圧の目標値となる電圧指令14aとする。このとき、半導体スイッチ601aをオン状態、半導体スイッチ501aをオフ状態とする第1の制御と、半導体スイッチ601aをオフ状態、半導体スイッチ501aをオン状態とする第2の制御との切り替え時に同期したフィードフォワード補正電圧ΔVを求める。加算器15によって電圧指令14aにフィードフォワード補正電圧ΔVを加算して電圧指令14aを補正する。そして、補正後の電圧指令15aを用いて、ゲート信号生成器16においてPWM制御に対応したインバータ回路400の半導体スイッチ402aのゲート信号16aを作成し、インバータ回路400を動作させる。なお、半導体スイッチ401aのゲート信号は、半導体スイッチ402aのゲート信号と逆極性となるように動作させる。
このように、制御回路8は、インバータ回路400に流れる交流電流Iacが電流指令Iac*に追従するように補正後の電圧指令15aを生成してインバータ回路400を出力制御し、第1の制御と第2の制御との切り替え時となる半導体スイッチ601aのオン・オフ切り替え時にのみ、電圧指令14aにフィードフォワード補正電圧ΔVを加算するフィードフォワード制御を行う。フィードフォワード補正電圧ΔVは、第1の制御時には交流電源1の逆極性となる交流電圧−Vacであり、第2の制御時には平滑コンデンサ7の直流電圧と交流電源1の交流電圧との差電圧(Vc2−Vac)である。
半導体スイッチ601aに対する第1の制御と第2の制御との切り替え時に、インバータ回路400の出力電圧が、交流電源1の電圧に対して、平滑コンデンサ7と交流電源1との差電圧分が加算されるように、インバータ回路400の電圧指令を補正する。これによって、フィードバック制御の応答時間分、制御が遅れることを確実に防ぐことができ、第1の制御と第2の制御との切り替え時にも、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御でき、過渡的な電流変動を信頼性良く抑制して高調波電流の発生が抑制することができ、電流制御性が向上する。
次に、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aの出力制御であり、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を指令値Vc1*に追従させる制御と、平滑コンデンサ7のリプル電圧ΔVc2を所定の目標値ΔVc2*に調整する制御について図38に基づいて説明する。図38は、制御回路8による半導体スイッチ601aの出力制御における制御ブロック図である。
まず、位相範囲0〜θ1におけるリプル電圧は式(14)の通りに表され、位相範囲θ3〜π/2におけるリプル電圧は式(15)の通りに表される。
式(14)において、Ploadは出力電力を表している。そして、目標とするΔVc2*からゲイン乗算器57によって、電圧位相θ1に相当するduty信号57aを演算する。ゲイン乗算器57の定数は式(16)から求めることができる。
式(16)において、Ploadは出力電力、T/4は1/4周期を表している。また、位相範囲0〜θ1における平滑コンデンサ7のリプル電圧と、位相範囲θ3〜π/2におけるリプル電圧が等しくなるように、duty信号57aからゲイン乗算器58を用いて電圧位相θ3に相当するduty信号58aを演算する。このゲイン乗算器58でのduty信号58aの導出は、式(17)に示すように、電圧位相θ1と電圧位相θ3の関係式より、電圧位相θ3について求め、π/2で割ることで求める。なお、電圧位相θ1は位相範囲0〜θ1における平滑コンデンサ7のリプル電圧の目標値から一定値に定めても良い。
次に、設定された指令値Vc1*と検出された直流電圧Vc1との差59aを減算器59によって求める。指令値Vc1*と直流電圧Vc1との差59aをフィードバック量として、PI制御器60によってPI制御した出力を電圧指令60aとする。電圧指令60aの増減極性を反転させるため、ゲイン乗算器61を介した出力を電圧指令61aとする。電圧指令61aは電圧位相θ2に相当するduty信号であるため、常にθ1<θ2<θ3を満たす必要がある。従って、電圧指令61aに、duty信号57aを下限リミット、duty信号58aを上限リミットとしたLIMIT器62を介して、電圧信号62aを生成する。これら3つの信号57a、58a、62aをゲート信号生成器63においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号64を生成する。
ゲート信号生成器63におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波として用いて比較演算し、0〜duty信号57aの区間を位相範囲0〜θ1、duty信号57a〜電圧信号62aの区間を位相範囲θ1〜θ2、電圧信号62a〜duty信号58aの区間を位相範囲θ2〜θ3、duty信号58a〜1の区間を位相範囲θ3〜π/2として、位相範囲0〜θ1と位相範囲θ2〜θ3でゲート信号64をオン信号、位相範囲θ1〜θ2と位相範囲θ3〜π/2でゲート信号64をオフ信号とする。即ち、このゲート信号64にて半導体スイッチ601aのオン期間も制御される。
半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ601aがオン状態の場合には、半導体スイッチ501aをオフ状態とし、半導体スイッチ601aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ501aをオン状態とする。ただし、半導体スイッチ501aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ501aをオフして、逆並列接続されたダイオード501bに電流を流しても良い。
本実施の形態では、このような電流指令を用いてインバータ回路400を制御することによって、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に追従させ、交流電源1からの入力力率を改善するように制御して出力し、インバータ回路400の交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。このような制御によって、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aは、高周波スイッチングが不要である。また、インバータ回路400は、半導体スイッチのスイッチングで扱う電圧を交流電源1のピーク電圧よりも大幅に低減することができる。このため、リアクトル3への電圧急変防止が可能となり、従来限流のために必要であった大きなリアクトルを必要とすることなく、リアクトル3を小型化してもスイッチング損失とノイズとを低減することができる。
また、半導体スイッチ601aがオン状態の場合、平滑コンデンサ7をバイパスしてインバータ回路400の直流コンデンサ403を充電できるため、インバータ回路400に高い電圧を発生させることなく交流電源1に交流電流Iacを流すことができるとともに、充電されたエネルギーを平滑コンデンサ7への放電に使うことができる。このため、半導体スイッチのスイッチングで扱う電圧をさらに低減でき、高効率化、低ノイズ化がさらに促進できる。なお、この場合のリアクトル3は、エネルギーを貯めるものではなく、電流を制限する限流回路として動作し、電流制御の信頼性が向上する。また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を、交流電圧Vacのピーク電圧Vp以下に設定することによって、このような高効率化、低ノイズ化の効果を確実に得ることができる。
また、インバータ回路400を2つの半導体スイッチ401a、402aと、直流コンデンサ403とで構成されるハーフブリッジ型とし、半導体スイッチ501aをインバータ回路400の正側の半導体スイッチ401aと平滑コンデンサ7の正側P2との間に接続し、半導体スイッチ601aをインバータ回路400の負側の導体スイッチ402aと平滑コンデンサ7の負側N2との間に接続している。このため、より少ない半導体スイッチ素子で電流制御を実現することができ、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
また、交流電源1からの入力電圧の特定の位相でのみ半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aを動作させるため、電力変換装置を安定に制御でき、半導体スイッチのスイッチングに起因する損失もほとんど発生しない。また、オン位相を1/4周期で2回設け、位相範囲0〜θ1と位相範囲θ3〜π/2を調整して平滑コンデンサ7のリプル電圧を積極的に調整することで、リプル電圧を抑制することができ、電力変換装置の動作電圧範囲を拡大することができる。また、リプル電圧を抑制できることで、必要なコンデンサ容量を減らすことができるため、必要なコンデンサの並列数を省略することができ、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
また、半導体スイッチ601aのオン・オフ切り替え時に、インバータ回路400は、フィードフォワード制御によって、直流コンデンサ403の充電、放電動作を切り替えるように制御されるため、フィードバック制御の応答時間分、制御が遅れることを防ぎ、高速制御が実現できる。
また、半導体スイッチ401aと半導体スイッチ501aを省略して、ダイオード401bとダイオード501bのみで構成し、上記のような電流制御を実現することができる。ダイオード501bとして低周波駆動用の低Vfダイオードを選択し、ダイオード401bとして高周波駆動用のリカバリ特性の優れ、低周波駆動用のダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードを選択してもよい。このような構成は、平滑コンデンサ7の正側に接続される半導体スイッチ501aをダイオードに置換え、インバータ回路400の正側の半導体スイッチ401aをこのダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードに置換えることと等価である。この場合、低周波で駆動するダイオード501bと高周波で駆動するダイオード401bのリカバリ損失と導通損失とを最適化することができ、損失をより低減することができる。さらに、半導体スイッチの省略と駆動回路の削減、冷却構造の小型化によって、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
また、半導体スイッチ402aには高周波駆動用のMOSFET、半導体スイッチ601aには低周波駆動用のIGBTを使用することができる。この場合、高周波駆動する半導体スイッチ402aと、低周波駆動する半導体スイッチ601aの損失をより低減することができ、冷却構造の小型化によって、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。また、制御回路8が、インバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aのオン・オフ制御の駆動周波数を、インバータ回路400を構成しない半導体スイッチ501a、601aのオン・オフ制御の駆動周波数よりも高くして各半導体スイッチ401a、402a、501a、601aをオン・オフする制御を行ってもよい。この場合も、高周波駆動する半導体スイッチ401a、402aと、低周波駆動する半導体スイッチ501a、601aの損失をより低減することができ、冷却構造の小型化によって、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
なお、本実施の形態4では、式(12)、式(13)を満たすように直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を設定し、半導体スイッチ601aをオン位相でのみオン状態とし、電流制御を全てインバータ回路400が行っている。しかしながら、実施の形態2で説明したような、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を式(12)、式(13)の制約に関係なく設定し、式(12)、式(13)を満たさない場合のみ、電流制御をインバータ回路400から半導体スイッチ601aへ切り替える制御を本実施の形態4で説明した制御と組み合わせてもよい。
実施の形態5.
実施の形態4では、半導体スイッチ601aのオン位相を1/4周期で2回、オフ位相を2回設けて、平滑コンデンサ7のリプル電圧ΔVc2を調整していた。本実施の形態では、半導体スイッチ601aのオン位相を1/4周期で2回、オフ位相を1回設けて、直流コンデンサ403のリプル電圧ΔVc1を調整する。なお、本実施の形態における回路構成は、実施の形態1における回路構成と同じである。
以下、本実施の形態5の動作原理について説明する。図39は電力変換装置の動作を説明する各部の波形とインバータ回路の直流コンデンサ充放電を示す図である。図39において、図39(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図39(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図39(c)は直流コンデンサ403の充放電の状態を示す。図39(b)において、位相範囲0〜θ4が第1のオン期間、位相範囲θ4〜θ5が第1のオフ期間、位相範囲θ5〜π/2が第2のオン期間である。電圧位相θ4、θ5を設定することで、オン期間、オフ期間のそれぞれの期間の長さが決まる。
実施の形態1と同様に、出力段の平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図39では、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が一定の目標電圧Vc2*に制御されている状態を示す。また、交流電源1から出力される交流電圧Vacは、ダイオード整流回路200で全波整流されるため、交流電源1の交流周期の2倍周期で動作する。インバータ回路400は、交流電源1からの入力力率が概1になるようにPWM制御によって交流電流Iacを制御して出力し、交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。なお、位相範囲0〜π/2と位相範囲π/2〜πとでは、電圧位相π/2を中心に対称の動作を行う。このため、ここでは位相範囲0〜π/2における電力変換装置の動作について説明する。また、電圧位相θ4、θ5は、θ4<θ5の関係にある。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合の4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作について示す。ダイオード整流回路200による全波整流によって、負極性であるπ<θ≦2πの場合も、正極性0≦θ<πの場合と同様の動作となる。
半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、図2に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、図3に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、図4に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、図5に示すとおりに交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。
このような4種の半導体スイッチのオン・オフ制御を組み合わせて、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aを制御してインバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充放電させ、電流制御を行う。なお、半導体スイッチ401a、501aに流れる電流が、エミッタからコレクタへ流れる時は、その半導体スイッチ素子をオフして逆並列接続されたダイオード401b、501bに電流を流しても良い。
図39に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相(θ=0、π)を中央とした位相範囲±θ4と、位相範囲θ5〜π/2とでは、半導体スイッチ601aをオン状態(オンに固定)、半導体スイッチ501aをオフ状態(オフに固定)として、平滑コンデンサ7をバイパスさせる。位相範囲0〜θ4と位相範囲θ5〜π/2をオン位相とする。このとき、図2に示すように、交流電源1からの交流電流Iacはリアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、半導体スイッチ601aを通り交流電源1に戻る。図2の動作モードによってリアクトル3が励磁され、図3の動作モードによってリアクトル3の励磁がリセットされる。また、図2の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーし、図3の動作モードの場合、直流コンデンサ403が充電される。従って、図2の動作モードと図3の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ電流制御を行うことができる。
次に、図39に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacの位相範囲θ4〜θ5では、半導体スイッチ601aをオフ状態、半導体スイッチ501aをオン状態として、平滑コンデンサ7へ直流電力を出力する。位相範囲θ4〜θ5をオフ位相とする。このとき、図4に示すように、交流電源1からの交流電流Iacはリアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、半導体スイッチ501aを通り平滑用コンデンサ7を充電して交流電源1に戻る。インバータ回路400は、電圧(Vc2*−Vac)を出力し、図4の動作モードと図5の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧(Vc2*−Vac)を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc2*に達するように平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を制御する。
インバータ回路400では、図4の動作モードによってリアクトル3が励磁され、図5の動作モードによってリアクトル3の励磁がリセットされる。また、図4の動作モードの場合、直流コンデンサ403が放電され、図5の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーする。従って、図4の動作モードと図5の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、電流制御を行うことができる。
以上のように、交流電源1の交流電圧Vacの電圧位相θ4、θ5にて、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aとの制御を切り替え、位相範囲0〜θ4と位相範囲θ5〜π/2でのみ、半導体スイッチ601aをオン状態、半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ7をバイパスさせる。このとき、制御回路8は、インバータ回路400が交流電圧Vacの逆極性にほぼ等しい電圧を発生するように制御しつつ、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御して出力し、直流コンデンサ403を充電する。
そして、位相範囲θ4〜θ5では、制御回路8は、半導体スイッチ501aをオン状態、半導体スイッチ601aをオフ状態として、インバータ回路400が平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2を目標電圧Vc2*に維持するように制御しつつ、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御して出力する。このとき、インバータ回路400は、平滑コンデンサ7の直流電圧と交流電源の差電圧(Vc2*−Vac)を発生し、直流コンデンサ403は放電される。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しくなるように半導体スイッチ601aのオン期間を設定し、オン位相を決定することができる。オン期間での直流コンデンサ403の充電エネルギーは式(18)のように表すことができる。オフ期間での直流コンデンサ403の放電エネルギーは式(19)のように表すことができる。さらに、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しいとすると、目標電圧Vc2*とピーク電圧Vpの関係式は式(20)が成り立つ。但し、Vpは交流電圧Vacのピーク電圧、Ipは交流電流Iacのピーク電流である。
ただし、目標電圧Vc2*の下限値は、ダイオード整流回路200によって、ピーク電圧Vpとなるため、目標電圧Vc2*がピーク電圧Vp以下となるような電圧位相θ4、θ5を設定すると動作不可能な条件となる。このように、平滑コンデンサ7の目標電圧Vc2*は、電圧位相θ4、θ5によって決まり、オン位相である位相範囲0〜θ4と位相範囲θ5〜π/2を変化させて制御できる。そして、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2は、該目標電圧Vc2*に追従するように制御される。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を、0≦θ<θ4、θ4≦θ<θ5、およびθ5≦θ<π/2の各位相範囲におけるインバータ回路400の所望の発生電圧の大きさ以上に設定する。この場合、平滑コンデンサ7の直流電圧Vc2が目標電圧Vc2*に維持でき、また、入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御するインバータ回路400の電流制御を、交流電源1の全位相において信頼性良く行うことができる。この場合、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は0≦θ<θ4とθ5≦θ<π/2では式(21)、θ4≦θ<θ5では式(22)を満たすように設定する必要がある。
Vc1 ≧ Vp・sinθ4 ・・式(21)
Vc1 ≧(|Vc2*−Vp・sinθ4|) ・・式(22)
なお、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vp以下に設定する。PWM制御を行うインバータ回路400では、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1が大きくなると損失が増大するため、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1は式(21)、式(22)を満たす条件で小さく設定することが望ましい。
そして、0≦θ<θ4とθ5≦θ<π/2の位相範囲(所定の位相範囲)のみで、半導体スイッチ601aをオン状態とし、平滑コンデンサ7をバイパスする期間とすることによって、制御回路8は、インバータ回路400を制御し、半導体スイッチ601aがオンの期間でも、オフの期間でも入力力率が概1になるように交流電流Iacを制御し、かつ平滑コンデンサ7に所望の電圧の直流電力を出力することができる。つまり、制御回路8は、交流電源1の交流電圧の所定の位相範囲で、オン位相である位相範囲0〜θ4、位相範囲θ5〜π/2を決定し、半導体スイッチ601aがオンとなるオン期間を調整し、直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を所定の電圧に調整することができる。このような制御を行うことによって、直流コンデンサ403に外部電源を用いずに自立動作が可能となる。
なお、半導体スイッチ401aは、半導体スイッチ402aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ402aがオン状態の場合には半導体スイッチ401aはオフ状態とし、半導体スイッチ402aがオフ状態の場合には半導体スイッチ401aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチ401aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ401aをオフして、逆並列接続されたダイオード401bに電流を流しても良い。
次に、制御回路8の動作について説明する。入力電流力率制御を行うためのインバータ回路400の制御は実施の形態4と同様である。ここでは、半導体スイッチ501aと半導体スイッチ601aの出力制御であり、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を指令値Vc1*に追従させる制御と、平滑コンデンサ7のリプル電圧ΔVc1を所定の目標値ΔVc1*に調整する制御とについて図40に基づいて説明する。図40は、制御回路8による半導体スイッチ601aの出力制御の制御ブロック図である。
まず、位相範囲θ5〜π/2におけるリプル電圧は式(23)の通りに表されるため、目標とするΔVc1*からゲイン乗算器65によって、電圧位θ5に相当するduty信号65aを演算する。ゲイン乗算器25の定数K4は式(24)の通り表すことができる。
次に、設定された指令値Vc1*と検出された直流電圧Vc1との差66aを減算器66によって求める。指令値Vc1*と直流電圧Vc1との差66aをフィードバック量として、PI制御器67によってPI制御した出力を電圧指令67aとする。電圧指令67aは電圧位相θ4に相当するduty信号であるため、常に0<θ4<θ5を満たす必要がある。従って、電圧指令67aに、下限リミットを0、上限リミットをduty信号65aとしたLIMIT器68を介して、電圧信号68aを生成する。
これら2つのduty信号65a、68aをゲート信号生成器69においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号70を生成する。ゲート信号生成器69におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波に用いて比較演算し、0〜duty信号68aの区間を位相範囲0〜θ4、duty信号68a〜duty信号65aの区間を位相範囲θ4〜θ5、duty信号65a〜1の区間を位相範囲θ5〜π/2として、位相範囲0〜θ4と位相範囲θ5〜π/2の区間でゲート信号70をオン信号、位相範囲θ4〜θ5の区間でゲート信号70をオフ信号とする。即ち、このゲート信号70にて半導体スイッチ601aのオン期間も制御される。
半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ601aがオン状態の場合には、半導体スイッチ501aはオフ状態とし、半導体スイッチ601aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ501aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチ501aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ501aをオフして、逆並列接続されたダイオード501bに電流を流しても良い。
本実施の形態では、実施の形態4の構成で得られる特徴に加えて、半導体スイッチ601aのオン位相を1/4周期で2回設け、オン位相である位相範囲θ5〜π/2を調整して直流コンデンサ403のリプル電圧を積極的に調整することができるため、直流コンデンサ403のリプル電圧を抑制することができ、電力変換装置の動作電圧範囲を拡大することができる。また、リプル電圧を抑制できることで、必要なコンデンサ容量を減らすことができるため、必要なコンデンサの並列数を省略することができ、電力変換装置の小型化、軽量化、部品点数の削減を実現することができる。
なお、本実施の形態4では、式(21)、式(22)を満たすように直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を設定し、半導体スイッチ601aをオン位相でのみオン状態とし、電流制御を全てインバータ回路400が行っている。しかしながら、実施の形態2で説明したような、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc1を式(21)、式(22)の制約に関係なく設定し、式(21)、式(22)を満たさない場合のみ、電流制御をインバータ回路400から半導体スイッチ601aへ切り替える制御を本実施の形態4で説明した制御と組み合わせてもよい。
実施の形態6.
実施の形態3では、半導体スイッチ601aのオン位相を交流電源1の交流電圧Vacの1/4周期で1回、オフ位相を1回設けている。本実施の形態6では、半導体スイッチ601aのオン位相を1/4周期で2回、オフ位相を2回設けている点が実施の形態3と異なる。なお、本実施の形態6における回路構成は、実施の形態3の回路構成である図14と同じであり、電力変換装置の動作と電流経路との関係についても図15〜図22、図24〜図31と同じである。
まず、このように構成される電力変換装置の力行動作、即ち平滑コンデンサ10に直流電力を出力する動作について説明する。図41は、電力変換装置の力行動作を説明する各部の波形とインバータ回路400、700の直流コンデンサ403、703の充放電を示す図である。図41において、図41(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図41(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図41(c)は半導体スイッチ401a、402aのオン・オフの状態、図41(d)は半導体スイッチ901aのオン・オフの状態、図41(e)は半導体スイッチ701a、702aのオン・オフの状態、図41(f)は直流コンデンサ403の充放電の状態、図41(g)は直流コンデンサ703の充放電の状態を示す。図41(f)および図41(g)において、矢印で示した範囲は充放電を行っていない期間である。図41(b)において、位相範囲0〜θ1が第1のオン期間、位相範囲θ1〜θ2が第1のオフ期間、位相範囲θ2〜θ3が第2のオン期間、位相範囲θ3〜π/2が第2のオフ期間である。電圧位相θ1、θ2、θ3を設定することで、オン期間、オフ期間のそれぞれの期間の長さが決まる。
なお、出力段の平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図41では、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*に制御されている状態を示す。本実施の形態では、交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性の場合には、半導体スイッチ501a、601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aとを出力制御し、半導体スイッチ701a、702a、801a、901aをオフとする。交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性の場合には、半導体スイッチ801a、901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701a、702aとを出力制御し、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aをオフとする。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合における、4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作と電流経路について説明する。図15に示すとおり、半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。図16に示すとおり、半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。また、図17に示すとおり、半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。図18に示すとおり、半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。
このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。なお、インバータ回路700側を流れる電流は、ダイオード901b、ダイオード702bを経由して流れるが、半導体スイッチ901a、702aを適宜オン・オフして、半導体スイッチ901a、702aを経由して流れるように制御してもよい。
次に、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが負極性であるπ≦θ<2πの場合における、4つの半導体スイッチ701a、702a、801a、901aの動作と電流経路について説明する。図19に示すとおり、半導体スイッチ702a、901aがオン、半導体スイッチ701a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。図20に示すとおり、半導体スイッチ701a、901aがオン、半導体スイッチ702a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を充電するように流れる。また、図21に示すとおり、半導体スイッチ702a、801aがオン、半導体スイッチ701a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を放電するように流れる。図22に示すとおり、半導体スイッチ701a、801aがオン、半導体スイッチ702a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。
このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ703の充放電制御を行う。なお、インバータ回路400側を流れる電流は、ダイオード601b、ダイオード402bを経由して流れるが、半導体スイッチ601a、402aを適宜オン・オフして、半導体スイッチ601a、402aを経由して流れるように制御してもよい。
図41に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ1の位相範囲とθ2からθ3の位相範囲、すなわち位相範囲0〜θ1、位相範囲θ2〜θ3では、半導体スイッチ601aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図15の動作モードと図16の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、インバータ回路400からダイオード901b、ダイオード702b(または半導体スイッチ901a、702a)を通り、交流電源1に戻る。このとき、図15の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図16の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図15の動作モードでは直流コンデンサ403はスルーとなり、図16の動作モードでは直流コンデンサ403は充電される。従って、図15の動作モードと図16の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図41に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、位相範囲θ1〜θ2と位相範囲θ3〜π/2では、半導体スイッチ601aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ501aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図17の動作モードと図18の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、インバータ回路400から半導体スイッチ501aを通り、平滑用コンデンサ10を充電して、ダイオード901b、ダイオード702b(または半導体スイッチ901a、702a)を介して交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路400は、電圧(Vc4*−Vac)を出力して、図17の動作モードと図18の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路400の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路400では、図17の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図18の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図17の動作モードでは、直流コンデンサ403は放電され、図18の動作モードでは、直流コンデンサ403はスルーされる。従って、図17の動作モードと図18の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図41に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ1nの位相範囲とθ2nからθ3nの位相範囲、すなわち位相範囲π〜(π+θ1n)、位相範囲(π+θ2n)〜(π+θ3n)では、半導体スイッチ901aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ801aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図19の動作モードと図20の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700からダイオード601b、ダイオード402b(または半導体スイッチ601a、402a)を通り、交流電源1に戻る。このとき、図19の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図20の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図19の動作モードでは直流コンデンサ703はスルーとなり、図20の動作モードでは直流コンデンサ703は充電される。従って、図19の動作モードと図20の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図41に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、位相範囲(π+θ1n)〜(π+θ2n)、位相範囲(π+θ3n)〜2πの位相範囲では、半導体スイッチ901aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ801aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図21の動作モードと図22の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700から半導体スイッチ801aを通り、平滑用コンデンサ10を充電して、ダイオード601b、ダイオード402b(または半導体スイッチ601a、402a)を介して交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路700は電圧(Vc5*−Vac)を出力して、図21の動作モードと図22の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路700の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路700では、図21の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図22の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図21の動作モードでは、直流コンデンサ703は放電され、図22の動作モードでは、直流コンデンサ703はスルーされる。従って図21の動作モードと図22の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、電力変換装置の回生動作、即ち交流電源1に交流電力を出力する動作について説明する。図42は、電力変換装置の回生動作を説明する各部の波形とインバータ回路400、700の直流コンデンサ403、703の充放電を示す図である。図42において、図42(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図42(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図42(c)は半導体スイッチ401aのオン・オフの状態、図42(d)は半導体スイッチ402aのオン・オフの状態、図42(e)は半導体スイッチ901aのオン・オフの状態、図42(f)は半導体スイッチ701aのオン・オフの状態、図42(g)は半導体スイッチ702aのオン・オフの状態、図42(h)は直流コンデンサ403の充放電の状態、図42(i)は直流コンデンサ703の充放電の状態を示す。図42(h)および図42(i)において、矢印で示した範囲は充放電を行っていない期間である。
なお、出力段の平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図42では、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*に制御されている状態を示す。本実施の形態では、交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性の場合には、半導体スイッチ501a、601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aとを出力制御し、半導体スイッチ901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ702aとをオン状態とし、半導体スイッチ801aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701aとをオフとする。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性の場合には、半導体スイッチ801a、901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701a、702aとを出力制御し、半導体スイッチ601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ402aとをオン状態とし、半導体スイッチ501aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401aをオフとする。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合における、4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作と電流経路について説明する。図24に示すとおり、半導体スイッチ402a、601aがオン、半導体スイッチ401a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。図25に示すとおり、半導体スイッチ401a、601aがオン、半導体スイッチ402a、501aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を放電するように流れる。また、図26に示すとおり、半導体スイッチ402a、501aがオン、半導体スイッチ401a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403を充電するように流れる。図27に示すとおり、半導体スイッチ401a、501aがオン、半導体スイッチ402a、601aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ403をスルーするように流れる。これら4つの動作モードにおいて、半導体スイッチ702a、901aは常時オンとする。このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。
次に、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが負極性であるπ≦θ<2πの場合における、4つの半導体スイッチ701a、702a、801a、901aの動作と電流経路について説明する。図28に示すとおり、半導体スイッチ702a、901aがオン、半導体スイッチ701a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。図29に示すとおり、半導体スイッチ701a、901aがオン、半導体スイッチ702a、801aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を放電するように流れる。また、図30に示すとおり、半導体スイッチ702a、801aがオン、半導体スイッチ701a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703を充電するように流れる。図31に示すとおり、半導体スイッチ701a、801aがオン、半導体スイッチ702a、901aがオフの場合には、交流電流Iacは直流コンデンサ703をスルーするように流れる。これら4つの動作モードにおいて、半導体スイッチ402a、601aは常時オンとする。このような4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ703の充放電制御を行う。
図42に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ1の位相範囲とθ2からθ3の位相範囲、すなわち位相範囲0〜θ1、位相範囲θ2〜θ3では、半導体スイッチ601aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図24の動作モードと図25の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、半導体スイッチ702a、901aを通り、半導体スイッチ601aを介してインバータ回路400へと入力される。このとき、図24の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図25の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図24の動作モードでは直流コンデンサ403はスルーとなり、図25の動作モードでは直流コンデンサ403は放電される。従って、図24の動作モードと図25の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図42に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、位相範囲θ1〜θ2、位相範囲θ3〜π/2では、半導体スイッチ601aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ501aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を入力する。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図26の動作モードと図27の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、半導体スイッチ501aを介してインバータ回路400へ入力され、交流電源1へと回生される。交流電源1からの電流は半導体スイッチ702a、901aを介して平滑コンデンサ10へと流れる。このとき、インバータ回路400は、電圧(Vc4*−Vac)を出力して、図26の動作モードと図27の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路400では、図26の動作によって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図27の動作によって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図26の動作モードでは、直流コンデンサ403は充電され、図27の動作モードでは、直流コンデンサ403はスルーされる。従って、図26の動作モードと図27の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図42に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ1nの位相範囲とθ2nからθ3nの位相範囲、すなわち位相範囲π〜(π+θ1n)、位相範囲(π+θ2n)〜(π+θ3n)では、半導体スイッチ901aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ801aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図28の動作モードと図29の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、交流電源1に戻る。このとき、図28の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図29の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図28の動作モードでは直流コンデンサ703はスルーとなり、図29の動作モードでは直流コンデンサ703は放電される。従って、図28の動作モードと図29の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図42に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、位相範囲(π+θ1n)〜(π+θ2n)、位相範囲(π+θ3n)〜3π/2の位相範囲では、半導体スイッチ901aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ801aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図30の動作モードと図31の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700から交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路700は電圧(Vc5*−Vac)を出力して、図30の動作モードと図31の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路700の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路700では、図30の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図31の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図30の動作モードでは、直流コンデンサ703は充電され、図31の動作モードでは、直流コンデンサ703はスルーされる。従って、図30の動作モードと図31の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
このような、電力変換装置の力行動作や回生動作に関わらず、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合には、半導体スイッチ601aのオン期間を調整することによって、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を一定電圧に保つことができる。また、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合には、半導体スイッチ901aのオン期間を調整することによって、インバータ回路700の直流コンデンサ703の直流電圧Vc5を一定電圧に保つことができる。
このような駆動方法における、交流電源1の交流電圧Vacと、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3との関係は、実施の形態1と同様に、式(1)のように表される。ただし、式(1)の目標電圧Vc2*を目標電圧Vc3*に置き換える必要がある。そして、電流制御の成立条件も、インバータ回路400で電流制御を行う場合には、実施の形態3で説明した式(5)、式(6)、インバータ回路700で電流制御を行う場合には、実施の形態3で説明した式(5)、式(6)を満たす必要がある。
上述した駆動方法において、電流制御の成立条件(式(5)〜式(8))を満たさない場合には、実施の形態2で説明した制御方法と同様に、電流制御をインバータ回路400、700から半導体スイッチ601a、901aに切り替えることによって、電流制御を継続することができる。
なお、力行動作における半導体スイッチ601a、901aによる電流制御、および回生動作時における、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのオン・オフによる電流制御については実施の形態3で説明したとおりである。また、インバータ回路400、700の出力制御についても実施の形態3で説明したとおりである。
次に、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aの出力制御であり、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を指令値Vc4*に追従させる制御、インバータ回路700の直流コンデンサ703の電圧Vc5を指令値Vc5*に追従させる制御、平滑コンデンサ10のリプル電圧ΔVc3を所定の目標値ΔVc3*に調整する制御について説明する。図43は、制御回路11による半導体スイッチ501a、601a、801a、901aの出力制御における制御ブロック図である。
まず、位相範囲0〜θ1におけるリプル電圧は式(25)の通りに表され、位相範囲θ3〜π/2におけるリプル電圧は式(26)の通りに表される。
式(25)において、Ploadは出力電力を表している。そして、目標とするΔVc3*からゲイン乗算器79によって、電圧位相θ1に相当するduty信号79aを演算する。ゲイン乗算器79の定数は式(27)から求めることができる。
式(27)において、Ploadは出力電力、T/4は1/4周期を表している。また、位相範囲0〜θ1における平滑コンデンサ7のリプル電圧と、位相範囲θ3〜π/2におけるリプル電圧が等しくなるように、duty信号79aからゲイン乗算器80を用いて電圧位相θ3に相当するduty信号80aを演算する。このゲイン乗算器80でのduty信号80aの導出は、式(28)に示すように、電圧位相θ1と電圧位相θ3との関係式より、電圧位相θ3について求め、π/2で割ることで求める。なお、電圧位相θ1は位相範囲0〜θ1における平滑コンデンサ7のリプル電圧の目標値から一定値に定めても良い。
次に、設定された指令値Vc4*と検出された直流電圧Vc4との差81aを減算器81によって求める。指令値Vc4*と直流電圧Vc4との差81aをフィードバック量として、力行回生選択装置82により指令値Vc4*と直流電圧Vc4との差81aの極性を定める。力行時には差81aを1倍とし、回生時には差81aを(−1)倍とする。極性を定めたフィードバック量82aをPI制御器83によってPI制御し、その出力を電圧指令83aとする。電圧指令83aの増減極性を反転させるため、ゲイン乗算器84を介した出力を電圧指令84aとする。電圧指令84aはθ2の電圧位相に相当するduty信号であるため、常にθ1<θ2<θ3を満たす必要がある。従って、電圧指令84aに、duty信号79aを下限リミット、duty信号80aを上限リミットとしたLIMIT器85を介して、電圧信号85aを生成する。これら3つの信号79a、80a、85aをゲート信号生成器91においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号91aを生成する。
ゲート信号生成器91におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波として用いて比較演算し、0〜duty信号79aの区間を位相範囲0〜θ1、duty信号79a〜電圧信号85aの区間を位相範囲θ1〜θ2、電圧信号85a〜duty信号80aの区間を位相範囲θ2〜θ3、duty信号80a〜1の区間を位相範囲θ3〜π/2として、位相範囲0〜θ1と位相範囲θ2〜θ3でゲート信号91aをオン信号、位相範囲θ1〜θ2と位相範囲θ3〜π/2でゲート信号91aをオフ信号とする。
また、設定された指令値Vc5*と検出された直流電圧Vc5との差86aを減算器86によって求める。指令値Vc5*と直流電圧Vc5との差86aをフィードバック量として、力行回生選択装置87により指令値Vc5*と直流電圧Vc5との差86aの極性を定める。力行時には差86aを1倍とし、回生時には差86aを(−1)倍とする。極性を定めたフィードバック量87aをPI制御器88によってPI制御し、その出力を電圧指令88aとする。電圧指令88aの増減極性を反転させるため、ゲイン乗算器89を介した出力を電圧指令89aとする。電圧指令89aはθ2の電圧位相に相当するduty信号であるため、常にθ1<θ2<θ3を満たす必要がある。従って、電圧指令89aに、duty信号79aを下限リミット、duty信号80aを上限リミットとしたLIMIT器90を介して、電圧信号90aを生成する。これら3つの信号79a、80a、90aをゲート信号生成器92においてPWM制御に対応した半導体スイッチ901aのゲート信号92aを生成する。
ゲート信号生成器92におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波として用いて比較演算し、0〜duty信号79aの区間を位相範囲π〜θ1n、duty信号79a〜電圧信号90aの区間を位相範囲θ1n〜θ2n、電圧信号90a〜duty信号80aの区間を位相範囲θ2n〜θ3n、duty信号80a〜1の区間を位相範囲θ3n〜3π/2として、位相範囲π〜θ1nと位相範囲θ2n〜θ3nの区間でゲート信号92aをオン信号、位相範囲θ1n〜θ2nと位相範囲θ3n〜3π/2の区間でゲート信号92aをオフ信号とする。
半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ601aがオン状態の場合には、半導体スイッチ501aをオフ状態とし、半導体スイッチ601aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ501aをオン状態とする。ただし、半導体スイッチ501aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ501aをオフして、逆並列接続されたダイオード501bに電流を流しても良い。同様に、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ901aがオン状態の場合には、半導体スイッチ801aをオフ状態とし、半導体スイッチ901aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ801aをオン状態とする。ただし、半導体スイッチ801aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ801aをオフして、逆並列接続されたダイオード801bに電流を流しても良い。
次に、ゲート信号選択器93にて、動作条件に応じて半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのゲート信号を選択する。図44は、ゲート信号選択器93の詳細機能について記した制御ブロック図である。ゲート信号選択器93では、電圧情報93bと力行・回生動作指令(力行/回生)とに応じて、入力信号93aの中から適切なゲート信号を選択し、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのゲート信号を生成する。
入力信号93aは、電流制御用PWM信号、オン信号、オフ信号、および図43に示した直流電圧Vc4、直流電圧Vc5をそれぞれ指令値Vc4*、指令値Vc5*に追従させるために演算した電圧指令に基づくゲート信号91a、92aの5つの信号である。電圧情報93bとしては、交流電圧の極性の判定と、式(5)〜式(8)の成立判定に必要な情報として、半導体スイッチ601、901aのゲート信号GS2、交流電源1の交流電圧Vac、直流コンデンサ403の直流電圧Vc4、直流コンデンサ703の直流電圧Vc5、および平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を入力する。
まず、力行動作の場合について説明する。力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(5)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号91aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(5)を満たさない場合には、半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(6)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号61aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(6)を満たさない場合には、半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(7)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号92aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(7)を満たさない場合には、半導体スイッチ901aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(8)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号92aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(8)を満たさない場合には、半導体スイッチ901aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
次に、回生動作の場合について説明する。回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(5)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号91aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(5)を満たさない場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aには電流制御用PWM信号を選択する(半導体スイッチ501a、601aを同期させてPWM制御する)。ここでは、半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(6)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号61aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(6)を満たさない場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでも、半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(7)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号92aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(7)を満たさない場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでは、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(8)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号62aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(8)を満たさない場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでも、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。
なお、力行動作しか行わない場合には、平滑コンデンサ10の正側に接続される半導体スイッチ501a、801aをダイオードに置換え、インバータ回路400、700の正側の半導体スイッチ401a、701aをこのダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードに置換えてもよい。このような構成によって、ダイオードのリカバリ損失と導通損失とを最適化することができる。
本実施の形態では、以上のようにインバータ回路400、700を制御することによって、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を目標電圧Vc3*に追従させ、平滑コンデンサ10のリプル電圧ΔVc3を目標電圧ΔVc3*に調整し、交流電源1からの入力力率を改善するように制御して出力し、インバータ回路400、700の交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vacに重畳する。
以上のような構成によって、ダイオード整流回路を用いずに、交流電圧を直流電圧に変換する機能、交流電源を高力率に制御する機能を実現することができ、実施の形態4、5の構成における特徴に加えて回生動作を実現することができる。また、交流電源1の交流電圧の極性に応じて、2つのインバータ回路400、700を切り替えて制御するので、直流コンデンサ403、703の電力負担期間を半減させることができ、これによって電力変換装置の適用箇所を拡大することができる。
実施の形態7.
実施の形態6では、半導体スイッチ601a、901aのオン位相を1/4周期で2回、オフ位相を2回設けて、平滑コンデンサ10のリプル電圧ΔVc3を調整していた。本実施の形態では、半導体スイッチ601a、901aのオン位相を1/4周期で2回、オフ位相を1回設けて、インバータ回路400の直流コンデンサ403のリプル電圧ΔVc2と、インバータ回路700の直流コンデンサ703のリプル電圧ΔVc3を調整する。なお、本実施の形態における回路構成は、実施の形態4における回路構成と同様である。
まず、このように構成される電力変換装置の力行動作、即ち平滑コンデンサ10に直流電力を出力する動作について説明する。図45は、電力変換装置の力行動作を説明する各部の波形とインバータ回路400、700の直流コンデンサ403、703の充放電を示す図である。図45において、図45(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図45(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図45(c)は半導体スイッチ401a、402aのオン・オフの状態、図45(d)は半導体スイッチ901aのオン・オフの状態、図45(e)は半導体スイッチ701a、702aのオン・オフの状態、図45(f)は直流コンデンサ403の充放電の状態、図45(g)は直流コンデンサ703の充放電の状態を示す。図45(f)および図45(g)において、矢印で示した範囲は充放電を行っていない期間である。図45(b)において、位相範囲0〜θ4が第1のオン期間、位相範囲θ4〜θ5の範囲が第1のオフ期間、位相範囲θ5〜π/2の範囲が第2のオン期間である。電圧位相θ4、θ5を設定することで、オン期間、オフ期間のそれぞれの期間の長さが決まる。
なお、出力段の平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図45では、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*に制御されている状態を示す。本実施の形態では、実施の形態6と同様に、交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性の場合には、半導体スイッチ501a、601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aとを出力制御し、半導体スイッチ701a、702a、801a、901aをオフとする。交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性の場合には、半導体スイッチ801a、901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701a、702aとを出力制御し、半導体スイッチ401a、402a、501a、601aをオフとする。
実施の形態6と同様に、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合、図15〜図18に示す4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。なお、インバータ回路700側を流れる電流は、ダイオード901b、ダイオード702bを経由して流れるが、半導体スイッチ901a、702aを適宜オン・オフして、半導体スイッチ901a、702aを経由して流れるように制御してもよい。
また、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが負極性であるπ≦θ<2πの場合も、実施の形態6と同様に、図19〜図22に示す4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。なお、インバータ回路400側を流れる電流は、ダイオード601b、ダイオード402bを経由して流れるが、半導体スイッチ601a、402aを適宜オン・オフして、半導体スイッチ601a、402aを経由して流れるように制御してもよい。
図45に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ4の位相範囲とθ5からπ/2の位相範囲、すなわち位相範囲0〜θ4、位相範囲θ5〜π/2では、半導体スイッチ601aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図15の動作モードと図16の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、インバータ回路400からダイオード901b、ダイオード702b(または半導体スイッチ901a、702a)を通り、交流電源1に戻る。このとき、図15の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図16の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図15の動作モードでは直流コンデンサ403はスルーとなり、図16の動作モードでは直流コンデンサ403は充電される。従って、図15の動作モードと図16の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図45に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、位相範囲θ4〜θ5では、半導体スイッチ601aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ501aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図17の動作モードと図18の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路400に入力され、インバータ回路400から半導体スイッチ501aを通り、平滑用コンデンサ10を充電して、ダイオード901b、ダイオード702b(または半導体スイッチ901a、702a)を介して交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路400は、電圧(Vc4*−Vac)を出力して、図17の動作モードと図18の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路400の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路400では、図17の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図18の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図17の動作モードでは、直流コンデンサ403は放電され、図18の動作モードでは、直流コンデンサ403はスルーされる。従って、図17の動作モードと図18の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図45に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ4nの位相範囲、すなわち位相範囲π〜(π+θ4n)では、半導体スイッチ901aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ801aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図19の動作モードと図20の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700からダイオード601b、ダイオード402b(または半導体スイッチ601a、402a)を通り、交流電源1に戻る。このとき、図19の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図20の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図19の動作モードでは直流コンデンサ703はスルーとなり、図20の動作モードでは直流コンデンサ703は充電される。従って、図19の動作モードと図20の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図45に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、位相範囲(π+θ4n)〜位相範囲(π+θ5n)では、半導体スイッチ901aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ801aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図21の動作モードと図22の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700から半導体スイッチ801aを通り、平滑用コンデンサ10を充電して、ダイオード601b、ダイオード402b(または半導体スイッチ601a、402a)を介して交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路700は電圧(Vc5*−Vac)を出力して、図21の動作モードと図22の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路700の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路700では、図21の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図22の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図21の動作モードでは、直流コンデンサ703は放電され、図22の動作モードでは、直流コンデンサ703はスルーされる。従って図21の動作モードと図22の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、電力変換装置の回生動作、即ち交流電源1に交流電力を出力する動作について説明する。図46は、電力変換装置の回生動作を説明する各部の波形とインバータ回路400、700の直流コンデンサ403、703の充放電を示す図である。図32において、図46(a)は交流電圧Vacの電圧波形、図46(b)は半導体スイッチ601aのオン・オフの状態、図46(c)は半導体スイッチ401aのオン・オフの状態、図46(d)は半導体スイッチ402aのオン・オフの状態、図46(e)は半導体スイッチ901aのオン・オフの状態、図46(f)は半導体スイッチ701aのオン・オフの状態、図46(g)は半導体スイッチ702aのオン・オフの状態、図46(h)は直流コンデンサ403の充放電の状態、図46(i)は直流コンデンサ703の充放電の状態を示す。図46(h)および図46(i)において、矢印で示した範囲は充放電を行っていない期間である。
なお、出力段の平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3は、交流電源1の交流電圧Vacのピーク電圧Vpより高く、図46では、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3が一定の目標電圧Vc3*に制御されている状態を示す。本実施の形態では、交流電源1の交流電圧Vacの極性が正極性の場合には、半導体スイッチ501a、601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401a、402aとを出力制御し、半導体スイッチ901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ702aとをオン状態とし、半導体スイッチ801aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701aとをオフとする。
交流電源1の交流電圧Vacの極性が負極性の場合には、半導体スイッチ801a、901aとインバータ回路700を構成する半導体スイッチ701a、702aとを出力制御し、半導体スイッチ601aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ402aとをオン状態とし、半導体スイッチ501aとインバータ回路400を構成する半導体スイッチ401aをオフとする。
まず、交流電源1の電圧位相をθとし、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合における、4つの半導体スイッチ401a、402a、501a、601aの動作と電流経路について説明する。なお、実施の形態6と同様に、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である0≦θ<πの場合、図24〜図27に示した4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ403の充放電制御を行うことができる。また、交流電源1の交流電圧Vacが負極性であるπ≦θ<2πの場合、図28〜図31に示した4種類の動作モードを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、交流電源1の高力率制御と、直流コンデンサ703の充放電制御を行うことができる。
図46に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ4の位相範囲とθ5からπ/2の位相範囲、すなわち位相範囲0〜θ4、位相範囲θ5〜π/2では、半導体スイッチ601aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ501aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図24の動作モードと図25の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、交流電源1からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、半導体スイッチ702a、901aを通り、半導体スイッチ601aを介してインバータ回路400へと入力される。このとき、図24の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図25の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図24の動作モードでは直流コンデンサ403はスルーとなり、図25の動作モードでは直流コンデンサ403は放電される。従って、図24の動作モードと図25の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図46に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが正極性である場合、位相範囲θ4〜θ5では、半導体スイッチ601aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ501aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を入力する。そして、インバータ回路400の半導体スイッチ401a、402aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図26の動作モードと図27の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、半導体スイッチ501aを介してインバータ回路400へ入力され、交流電源1へと回生される。交流電源1からの電流は半導体スイッチ702a、901aを介して平滑コンデンサ10へと流れる。このとき、インバータ回路400は、電圧(Vc4*−Vac)を出力して、図26の動作モードと図27の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路400では、図26の動作によって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図27の動作によって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図26の動作モードでは、直流コンデンサ403は充電され、図27の動作モードでは、直流コンデンサ403はスルーされる。従って、図26の動作モードと図27の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図46に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、交流電源1の交流電圧Vacのゼロクロス位相からθ4nの位相範囲とθ5nから3π/2の位相範囲、すなわち位相範囲π〜(π+θ4n)、位相範囲(π+θ5n)〜3π/2nでは、半導体スイッチ901aをオン状態、図示していないが半導体スイッチ801aをオフ状態として、平滑コンデンサ10をバイパスさせる。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図28の動作モードと図29の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、交流電源1に戻る。このとき、図28の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図29の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図28の動作モードでは直流コンデンサ703はスルーとなり、図29の動作モードでは直流コンデンサ703は放電される。従って、図28の動作モードと図29の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を放電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
次に、図46に示すとおり、交流電源1の交流電圧Vacが負極性である場合、位相範囲(π+θ4n)〜(π+θ5n)では、半導体スイッチ901aがオフ状態、図示していないが半導体スイッチ801aがオン状態として、平滑コンデンサ10へ直流電力を出力する。そして、インバータ回路700の半導体スイッチ701a、702aを交互にオン・オフするPWM制御を行う(図30の動作モードと図31の動作モードとを交互に行う)。
このような制御によって、平滑コンデンサ10からの電流は正側リアクトル2および負側リアクトル3にて限流され、インバータ回路700に入力され、インバータ回路700から交流電源1に戻る。このとき、インバータ回路700は電圧(Vc5*−Vac)を出力して、図30の動作モードと図31の動作モードとを繰り返すことによって、交流電源1の交流電圧Vacにインバータ回路700の出力電圧を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vc3*が得られるように平滑コンデンサ10の電圧Vc3を制御する。
インバータ回路700では、図30の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3が励磁され、図31の動作モードによって正側リアクトル2および負側リアクトル3の励磁がリセットされる。また、図30の動作モードでは、直流コンデンサ703は充電され、図31の動作モードでは、直流コンデンサ703はスルーされる。従って、図30の動作モードと図31の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路700をPWM制御することによって、直流コンデンサ703を充電させ、かつ交流電源1の高力率制御を行うことができる。
このような、電力変換装置の力行動作や回生動作に関わらず、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合には、半導体スイッチ601aのオン期間を調整することによって、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を一定電圧に保つことができる。また、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合には、半導体スイッチ901aのオン期間を調整することによって、インバータ回路700の直流コンデンサ703の直流電圧Vc5を一定電圧に保つことができる。
さらに、交流電圧Vacのピーク位相(π/2、3π/2)において、半導体スイッチ601a,901aのオン期間を新たに設けることで、最も電力が大きい位相条件で、インバータ回路400の直流コンデンサ403と、インバータ回路700の直流コンデンサ703に新たな充電期間を設けることができ、直流コンデンサ403のリプル電圧ΔVc2と、直流コンデンサ703のリプル電圧ΔVc3を減らすことができる。また、交流電圧Vacのピーク位相における半導体スイッチ601a,901aのオン期間幅を調整することで、直流コンデンサ403のリプル電圧ΔVc2と、直流コンデンサ703のリプル電圧ΔVc3を調整することができる。
このような駆動方法における、交流電源1の交流電圧Vacと、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3との関係は、実施の形態1と同様に、式(1)のように表される。ただし、式(1)の目標電圧Vc2*を目標電圧Vc3*に置き換える必要がある。そして、電流制御の成立条件も、インバータ回路400で電流制御を行う場合には、実施の形態3で説明した式(5)、式(6)、インバータ回路700で電流制御を行う場合には、実施の形態3で説明した式(5)、式(6)を満たす必要がある。
上述した駆動方法において、電流制御の成立条件(式(5)〜式(8))を満たさない場合には、実施の形態2で説明した制御方法と同様に、電流制御をインバータ回路400、700から半導体スイッチ601a、901aに切り替えることによって、電流制御を継続することができる。
インバータ回路400、700の制御は実施の形態6と同様であり、インバータ回路を構成する半導体スイッチ401a、402a、701a、702aの出力制御によって、平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を目標電圧Vc3*に維持し、また、交流電源1の力率が力行時には概1、回生時には概(−1)になるように交流電流Iacを制御する。
次に、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aの出力制御であり、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vc4を指令値Vc4*に追従させる制御、インバータ回路400の直流コンデンサ403のリプル電圧ΔVc4を所定の目標値ΔVc4*に調整する制御、インバータ回路700の直流コンデンサ703の電圧Vc5を指令値Vc5*に追従させる制御、インバータ回路700の直流コンデンサ703のリプル電圧ΔVc5を所定の目標値ΔVc5*に調整する制御について説明する。図47は、制御回路11による半導体スイッチ501a、601a、801a、901aの出力制御における制御ブロック図である。
まず、位相範囲θ5〜π/2におけるリプル電圧は式(29)の通りに表される。
そして、目標とする所定の目標値ΔVc5*からゲイン乗算器104によって、電圧位相θ5に相当するduty信号104aを演算する。ゲイン乗算器104の定数は式(30)から一意に求める。
次に、設定された指令値Vc4*と検出された直流電圧Vc4との差105aを減算器105によって求める。指令値Vc4*と直流電圧Vc4との差105aをフィードバック量として、力行回生選択装置106により指令値Vc4*と直流電圧Vc4との差105aの極性を定める。力行時には1倍、回生時には(−1)倍とする。極性を定めたフィードバック量106aをPI制御器107によってPI制御した出力を電圧指令107aとする。電圧指令107aは電圧位相θ4に相当するduty信号であるため、常にθ4<θ5を満たす必要がある。従って、電圧指令107aに、duty信号104aを上限リミットとしたLIMIT器108を介して、電圧信号108aを生成する。これら2つの信号104a、108aをゲート信号生成器109においてPWM制御に対応した半導体スイッチ601aのゲート信号109aを生成する。
ゲート信号生成器109におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波に用いて比較演算し、0〜電圧信号108aの区間を位相範囲0〜θ4、電圧信号108a〜duty信号104aの区間を位相範囲θ4〜θ5、duty信号104a〜1の区間を位相範囲θ5〜π/2とする。そして、ゲート信号109aは位相範囲0〜θ4と位相範囲θ5〜π/2の区間でオン信号、位相範囲θ4〜θ5の区間でオフ信号とする。
また、位相範囲(π+θ5n)〜π/2におけるリプル電圧は式(31)の通りに表される。
そして、目標とする所定の目標値ΔVc5*からゲイン乗算器110によって、θ5nに相当するduty信号110aを演算する。ゲイン乗算器110の定数は式(32)から一意に求める。
次に、設定された指令値Vc5*と検出された直流電圧Vc5との差111aを減算器111によって求める。指令値Vc5*と直流電圧Vc5との差111aをフィードバック量として、力行回生選択装置112により指令値Vc5*と直流電圧Vc5との差111aの極性を定める。力行時には1倍、回生時には(−1)倍とする。極性を定めたフィードバック量112aをPI制御器113によってPI制御した出力を電圧指令113aとする。電圧指令113aは電圧位相θ4nに相当するduty信号であるため、常にθ4n<θ5nを満たす必要がある。従って、電圧指令113aに、duty信号110aを上限リミットとしたLIMIT器114を介して、電圧信号114aを生成する。2つの信号110a、114aをゲート信号生成器115においてPWM制御に対応した半導体スイッチ901aのゲート信号115aを生成する。
ゲート信号生成器115におけるPWM制御では、交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波TWAC)をキャリア波に用いて比較演算し、0〜duty信号114aの区間を位相範囲π〜(π+θ4n)、duty信号114a〜duty信号110aの区間を位相範囲(π+θ4n)〜(π+θ5n)、duty信号70a〜1の区間を位相範囲(π+θ5n)〜3π/2とする。そして、ゲート信号75aは、位相範囲π〜(π+θ4n)と位相範囲(π+θ5n)〜3π/2の区間でオン信号、位相範囲(π+θ4n)〜(π+θ5n)の区間でオフ信号とする。
半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ601aがオン状態の場合には、半導体スイッチ501aをオフ状態とし、半導体スイッチ601aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ501aをオン状態とする。ただし、半導体スイッチ501aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ501aをオフして、逆並列接続されたダイオード501bに電流を流しても良い。同様に、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。すなわち、半導体スイッチ901aがオン状態の場合には、半導体スイッチ801aはオフ状態とし、半導体スイッチ901aがオフ状態の場合には、半導体スイッチ801aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチ801aは、常にエミッタからコレクタへ電流が流れるため、半導体スイッチ801aをオフして、逆並列接続されたダイオード801bに電流を流しても良い。
次に、ゲート信号選択器116にて、動作条件に応じて半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのゲート信号を選択する。図48は、ゲート信号選択器116の詳細機能について記した制御ブロック図である。ゲート信号選択器116では、電圧情報116bと力行・回生動作指令(力行/回生)とに応じて、入力信号116aの中から適切なゲート信号を選択し、半導体スイッチ501a、601a、801a、901aのゲート信号を生成する。
入力信号116aは、電流制御用PWM信号、オン信号、オフ信号、および図47に示した直流電圧Vc4、直流電圧Vc5をそれぞれ指令値Vc4*、指令値Vc5*に追従させるために演算した電圧指令に基づくゲート信号109a、115aの5つの信号である。電圧情報116bとしては、交流電圧の極性の判定と、式(5)〜式(8)の成立判定に必要な情報として、半導体スイッチ601a、901aのゲート信号GS2、交流電源1の交流電圧Vac、直流コンデンサ403の直流電圧Vc4、直流コンデンサ703の直流電圧Vc5、および平滑コンデンサ10の直流電圧Vc3を入力する。
まず、力行動作の場合について説明する。力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(5)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号109aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(5)を満たさない場合には、半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(6)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号109aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(6)を満たさない場合には、半導体スイッチ601aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(7)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号115aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(7)を満たさない場合には、半導体スイッチ901aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
また、力行動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(8)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号115aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。式(8)を満たさない場合には、半導体スイッチ901aのゲート信号として電流制御用PWM信号を選択し、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオフ信号を選択する。
次に、回生動作の場合について説明する。回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(5)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号109aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(5)を満たさない場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aには電流制御用PWM信号を選択する(半導体スイッチ501a、601aを同期させてPWM制御する)。ここでは、半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが正極性の場合であって、式(6)を満たす場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号109aを選択する。そして、半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(6)を満たさない場合には、半導体スイッチ501aおよび半導体スイッチ601aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでも、半導体スイッチ501aは、半導体スイッチ601aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ801aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ901aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(7)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号115aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(19)を満たさない場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでは、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。
また、回生動作時において、交流電源1の交流電圧Vacが負極性の場合であって、式(8)を満たす場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aのゲート信号としてPWM信号であるゲート信号115aを選択する。そして、半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。式(19)を満たさない場合には、半導体スイッチ801aおよび半導体スイッチ901aには電流制御用PWM信号を選択する。ここでも、半導体スイッチ801aは、半導体スイッチ901aと逆極性となるように動作させる。半導体スイッチ501aのゲート信号としてオフ信号を選択し、半導体スイッチ601aのゲート信号としてオン信号を選択する。
なお、力行動作しか行わない場合には、平滑コンデンサ10の正側に接続される半導体スイッチ501a、801aをダイオードに置換え、インバータ回路400、700の正側の半導体スイッチ401a、701aをこのダイオードよりも高周波駆動時の損失が小さい高周波ダイオードに置換えてもよい。このような構成によって、ダイオードのリカバリ損失と導通損失とを最適化することができる。
本実施の形態では、実施の形態3の構成における特徴に加えて、インバータ回路400の直流コンデンサ403のリプル電圧ΔVc4と、インバータ回路700の直流コンデンサ703のリプル電圧ΔVc5を調整することができ、電力変換装置の動作電圧範囲を拡大できるほか、コンデンサへ流入するリプル電流を高周波化することでコンデンサの寿命を延ばすことができる。さらに、リプル電圧ΔVc4、ΔVc5を減少させた分だけ、必要なコンデンサ容量、並列数を低減することができ、電力変換装置の小型化を達成することができる。
なお、全ての実施の形態において、インバータ回路400、700を構成する正側の半導体スイッチ401a、701aに高周波駆動用のMOSFETを用い、インバータ回路400、700の正側の半導体スイッチ401a、701aと平滑コンデンサ7、10の正側P2との間に接続される半導体スイッチ501a、801aには低周波駆動用のIGBTを用いてもよい。このような構成によって、半導体スイッチ401a、701aと半導体スイッチ501a、801aのスイッチング損失と導通損失とを最適化することができる。
この場合、低周波駆動用のIGBTを珪素によって形成し、高周波駆動用のMOSFETを珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成してもよい。また、低周波駆動用のダイオードを珪素によって形成し、高周波駆動用の高周波ダイオードを珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成してもよい。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドがある。
このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成された半導体スイッチは、高周波駆動時の電力損失が低いため、高周波駆動用のMOSFETの高効率化が可能である。一方、低周波駆動用のIGBTについては、高周波駆動を行わないので、珪素によって形成しても電力変換装置全体としての電力損失に大きな影響を与えることはない。一般的に、ワイドバンドギャップ半導体によって形成した半導体スイッチは、珪素によって形成した半導体スイッチに比べて高価であるが、このように、電力損失が大きくなる半導体スイッチを優先してワイドバンドギャップ半導体によって形成することによって、電力変換装置の装置価格を抑えることができる。
また、ワイドバンドギャップ半導体を適用した半導体スイッチは、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、半導体スイッチの小型化が可能であり、これら小型化された半導体スイッチを用いることによって、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化が可能となる。また耐熱性も高いため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、半導体モジュールの一層の小型化が可能になる。