JP2008141901A - 直流電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高調波電流低減と力率改善を図った直流電源装置において、リアクトルの騒音とスイッチングノイズおよびスイッチング損失を防ぐこと。
【解決手段】交流電源1と、交流電源に接続されたリアクトルと、ブリッジ整流回路9と、平滑コンデンサ10と、ブリッジ整流回路の交流入力端子間に接続された双方向性スイッチと、直流出力間に直列接続された第1から第4の補助スイッチ4から7と、コンデンサ8とを備え、双方向性スイッチ3がオンした後、オフするまでの間に補助スイッチを2個オンし、次に双方向性スイッチがオフするまでの間に残りの2個の補助スイッチをオンすることによってコンデンサ8の充放電を制御するよう構成し、リアクトル2の電圧急変を防止して騒音の発生を抑制するとともに、双方向性スイッチ3のゼロ電流スイッチング、ゼロ電圧スイッチングを実現して、ノイズと損失の低減が可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】交流電源1と、交流電源に接続されたリアクトルと、ブリッジ整流回路9と、平滑コンデンサ10と、ブリッジ整流回路の交流入力端子間に接続された双方向性スイッチと、直流出力間に直列接続された第1から第4の補助スイッチ4から7と、コンデンサ8とを備え、双方向性スイッチ3がオンした後、オフするまでの間に補助スイッチを2個オンし、次に双方向性スイッチがオフするまでの間に残りの2個の補助スイッチをオンすることによってコンデンサ8の充放電を制御するよう構成し、リアクトル2の電圧急変を防止して騒音の発生を抑制するとともに、双方向性スイッチ3のゼロ電流スイッチング、ゼロ電圧スイッチングを実現して、ノイズと損失の低減が可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、交流を直流に変換するとともに交流電源に流れる高調波電流を低減し、力率の改善を図る直流電源装置に関するものである。
従来、数kW出力程度までの直流電源装置においては、1個ないしは2個のスイッチを用いて、そのスイッチを交流電源の半周期に1度ないしは数度、オンオフ動作させることで交流電源の高調波電流を低減するとともに力率を改善し、交流を目標の直流電圧に変換する方式が取られてきた。
例えば、従来の直流電源装置としては、ブリッジ整流回路と、リアクトルと、スイッチと、逆流防止ダイオードの組み合わせから構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら従来の直流電源装置について図12と図13を用いて説明する。図12は、特許文献1の代表図として記載されている従来の直流電源装置の回路ブロック図を示している。交流電源1は単相の商用交流電源であり、ブリッジ整流回路9は4個のダイオードで構成されている。
リアクトル2は、ブリッジ整流回路9の正極出力とスイッチ23および逆流防止用ダイオード24のアノード端子に接続され、平滑コンデンサ10は、逆流防止用ダイオード24のカソード端子に接続されて直流電圧を平滑し、負荷11に脈動の小さな直流電圧を供給する。そして、スイッチ制御回路25は、スイッチ23のオンタイミング発生回路26と、オフタイミング発生回路27と、スイッチ駆動回路28とから構成されている。
次に、このように構成された直流電源装置についてその動作を説明する。オンタイミング発生回路26は交流電源1の電源電圧と同期し、かつ、交流電源1のゼロ電圧点から所定の駆動遅延時間を持たせてスイッチ23を駆動するための信号を、スイッチ駆動回路28を介して送出する。そして、スイッチ23が閉じると交流電源1からリアクトル2と、ブリッジ整流回路9を介して短絡電流が流れ始め、次第に増加する。
次いで、電源電圧に同期して、オフタイミング発生回路27からスイッチ23を停止するための信号がスイッチ駆動回路28を介して送出されると、スイッチ23は開放され、それまでリアクトル2を流れていた短絡電流は、逆流防止用ダイオード24を介して平滑コンデンサ10の充電電流となり、次第に減少する。
その後、交流電源1の電源電圧がピーク電圧付近になると、交流電源1からブリッジ整流回路9、リアクトル2、逆流防止ダイオード24を通して平滑コンデンサ10に充電電流が流れることとなる。このときの交流電源1の電源電圧Viと、交流電源1の低負荷時入力電流I1および高負荷時入力電流I2を図13に示す。
図13に示されるように、低負荷時は高負荷時に比べてオンタイミング発生回路26からのオンタイミングの信号が遅れるように制御されている。そして、このように制御することによって、交流電源1からの入力電流は通流角度が広がり、高調波電流低減と力率改善が実現される。
ただし、この回路構成においては、逆流防止ダイオードの損失が大きいため効率が悪い
という欠点があるため、スイッチを双方向性スイッチとしてブリッジ整流回路の交流側でリアクトルを短絡し、逆流防止ダイオードを省いて高効率とした回路方式の直流電源装置が一般的になりつつある(例えば、特許文献2の図1参照)。
という欠点があるため、スイッチを双方向性スイッチとしてブリッジ整流回路の交流側でリアクトルを短絡し、逆流防止ダイオードを省いて高効率とした回路方式の直流電源装置が一般的になりつつある(例えば、特許文献2の図1参照)。
この回路構成については詳細な説明を省くが、交流電源周波数の半周期に1回ないし数回、双方向性スイッチをオンして、リアクトルに蓄えたエネルギーを双方向性スイッチのオフ時に平滑コンデンサ側に放出することで、前述の直流側にスイッチを用いた従来の直流電源装置と同様の効果を得るものである。基本的な回路構成を図14に示す。
特開平7−7946号公報
特開平10−337031号公報
しかしながら、前記従来の直流電源装置では、低周波スイッチングでリアクトルに急峻な電圧変動が発生するため、これが原因でリアクトルから騒音が発生するという課題があった。
また、この課題を解決するためにリアクトルのギャップに騒音低減のための樹脂材を挟み込んだ上、リアクトルを騒音遮蔽するといったようなことを行う必要があり、コストアップにつながっていた。
さらに、商用周波数に対して1回ないし数回のスイッチングで電力を伝達するためにリアクトルのインダクタンスを大きくする必要があり、体積と質量が大きく、装置全体の体積と質量アップにつながっていた。
しかし、これらの問題を解決するために、数kHz以上の高周波スイッチングを採用すれば、損失やノイズが増大するために、放熱器の大型化やスナバ回路の追加などの対策が必要となり、かえって体積質量だけでなく、コストもアップするおそれがあった。
前記従来の課題を解決するために、本発明の直流電源装置は、交流電圧を整流するブリッジ整流回路と、前記ブリッジ整流回路の出力電圧を平滑化する平滑コンデンサと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端子に接続されたリアクトルと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端子間に接続された双方向性スイッチと、前記ブリッジ整流回路の直流出力端子間に直列に接続された第1から第4までの補助スイッチと、一端が前記第1の補助スイッチと前記第2の補助スイッチとの接続点に接続され他端が前記第3の補助スイッチと前記第4の補助スイッチとの接続点に接続されたコンデンサと、前記双方向性スイッチと前記第1から第4までの補助スイッチとを制御するスイッチ駆動制御手段とを備えたものである。
上記構成において本発明の直流電源装置は、双方向性スイッチがオフする前に2つの補助スイッチをオンとし、コンデンサの充電を利用してリアクトル電流の連続性を保ち、リアクトルの電圧変動を緩やかにして騒音を低減するものである。そして、次の双方向性スイッチのオフとなるまでに、残りの2つの補助スイッチによってコンデンサの電荷を直流出力側に放出して、エネルギー損失の少ないスイッチング動作を実現するものである。
本発明の直流電源装置は、双方向性スイッチのオフに伴うリアクトルの急峻な電圧変動を緩やかにすることにより騒音を低減し、騒音防止のための樹脂材や騒音遮蔽のコストを削減できる。また、従来の低周波スイッチングに適用可能なだけでなく、数kHz以上の
高周波スイッチングにも適用可能であるため、リアクトルの小型軽量化も可能である。
高周波スイッチングにも適用可能であるため、リアクトルの小型軽量化も可能である。
さらに、双方向性スイッチにはスイッチング損失がほとんど発生しないため、双方向性スイッチとしてスイッチングスピードの遅い素子などのコストの安い素子が使える。そして、一般的に、スイッチング速度と飽和電圧はトレードオフの関係にあるため、双方向性スイッチの低損失化が実現できる。
第1の発明は、交流電圧を整流するブリッジ整流回路と、前記ブリッジ整流回路の出力電圧を平滑化する平滑コンデンサと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端子に接続されたリアクトルと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端子間に接続された双方向性スイッチと、前記ブリッジ整流回路の直流出力端子間に直列に接続された第1から第4までの補助スイッチと、一端が前記第1の補助スイッチと前記第2の補助スイッチとの接続点に接続され他端が前記第3の補助スイッチと前記第4の補助スイッチとの接続点に接続されたコンデンサと、前記双方向性スイッチと前記第1から第4までの補助スイッチとを制御するスイッチ駆動制御手段とを備えたものである。
そして、双方向性スイッチをオンすることでリアクトルに流れる電流を増大させ、その際に蓄えたエネルギーをオフすることによってブリッジ整流回路を介して直流出力側に放出するとともに力率を改善するという基本的な動作に関しては従来の直流電源装置と同様である。ただし、スイッチ駆動制御手段は双方向性スイッチがオフする寸前に2つの補助スイッチをオンすることで充電電圧がゼロのコンデンサが双方向性スイッチに並列接続されるように制御することによってリアクトル電流の連続性を保ち、リアクトルの騒音を防止するとともに双方向性スイッチのオフ時のスイッチングをゼロ電圧スイッチングとすることが出来るのでスナバ回路などのコスト削減も可能となる。
また、コンデンサに蓄えられた電荷は次の双方向性スイッチがオフするまでの間に先ほどオンしていた2つの補助スイッチをオフして、異なる2つの補助スイッチをオンすることで直流側にエネルギーとして放出することができるため、商用周期の半周期に一回のスイッチングに対応するだけでなく数回、あるいは数kHz以上の高周波スイッチングにも適用可能であるのでリアクトルの小型化や更なる低騒音化も可能である。
第2の発明は、第1の発明において、前記交流電圧を検出する入力電圧検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出された電圧極性もしくは電圧ゼロクロスに基づいて第1から第4までの補助スイッチを制御するものである。
これにより、ゼロクロス付近での電流歪の抑制に効果を発揮するとともに、交流電源の電圧値に応じて目標となる直流電圧を変更することで昇圧比を変更して効率アップに貢献できる。
第3の発明は、第1の発明において、前記リアクトルに流れる電流を検出する入力電流検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は検出された電流極性もしくは電流ゼロクロスに基づいて、第1から第4までの補助スイッチを制御するものである。
これにより、ゼロクロス付近での電流歪の抑制に効果を発揮するとともに、入力電流量によって電圧値に応じて目標となる直流電圧を変更することで昇圧比を変更して効率アップに貢献できる。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記平滑コンデンサの電圧を検出する直流電圧検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、前記直流電圧検
出手段で検出した直流電圧が所定値と等しくなるように、前記双方向性スイッチの導通時間とオンオフの周波数との少なくともいずれかを制御するものである。これにより、負荷に安定した直流電圧を供給することが可能となる。
出手段で検出した直流電圧が所定値と等しくなるように、前記双方向性スイッチの導通時間とオンオフの周波数との少なくともいずれかを制御するものである。これにより、負荷に安定した直流電圧を供給することが可能となる。
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記平滑コンデンサの電圧を検出する直流電圧検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、前記直流電圧検出手段で検出した直流電圧が所定値に等しくなるように、前記双方向性スイッチをオンオフする駆動信号の密度を制御するものである。これにより、負荷に安定した直流電圧を供給することが可能となる。
第6の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、直流出力電流あるいは直流出力電力によって負荷量を判定する負荷量判定手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出した前記負荷量に応じて前記双方向性スイッチの導通時間とオンオフの周波数との少なくともいずれかを制御するものである。これにより、負荷に安定した直流電圧を供給することが可能となる。
第7の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、直流出力電流あるいは直流出力電力によって負荷量を判定する負荷量判定手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出した前記負荷量に応じて前記双方向性スイッチをオンオフする駆動信号の密度を制御するものである。これにより、負荷に安定した直流電圧を供給することが可能となる。
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、少なくとも第1と第3の補助スイッチのいずれか一方と、第2と第4の補助スイッチのいずれか一方を、前記コンデンサ充電時には低いインピーダンスでオンし、前記コンデンサ放電動作時には高いインピーダンスを持ってオンするよう構成したものである。
これにより、上記の各発明の効果に加えてコンデンサ放電時のdi/dtを抑制することによるノイズ低減が可能となる。また、インピーダンスを高くするためにリアクトルを用いることによってさらにノイズを低減するとともに損失も低減することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における直流電源装置のブロック図である。図1において、交流電源1がブリッジ整流回路9で整流されたのち、平滑コンデンサ10で直流に平滑され、負荷11に直流電圧を供給する構成は、従来と同様である。そして、リアクトル2は交流電源1とブリッジ整流回路9の交流入力端子との間に接続され、双方向性スイッチ3はブリッジ整流回路9の交流入力端子間に接続される。
図1は、本発明の第1の実施の形態における直流電源装置のブロック図である。図1において、交流電源1がブリッジ整流回路9で整流されたのち、平滑コンデンサ10で直流に平滑され、負荷11に直流電圧を供給する構成は、従来と同様である。そして、リアクトル2は交流電源1とブリッジ整流回路9の交流入力端子との間に接続され、双方向性スイッチ3はブリッジ整流回路9の交流入力端子間に接続される。
また、第1の補助スイッチ4と第2の補助スイッチ5は2個直列として、ブリッジ整流回路のリアクトル2が接続された交流入力端子と正極の直流出力端子との間に接続される。そして、第3の補助スイッチ6と、第4の補助スイッチ7は2個直列として、ブリッジ整流回路のリアクトル2が接続された交流入力端子と負極の直流出力端子との間に接続される。コンデンサ8は一方を第1と第2の補助スイッチ4、5の接続点に接続され、他方を第3と第4の補助スイッチ6、7の接続点に接続される。
以下、図2から図5までの図面を用いながら、その動作、作用を、双方向性スイッチが商用周期の半周期に複数回オンオフするものとして説明する。ただし、双方向性スイッチをオンオフして高調波電流抑制と入力力率の改善を図るといった基本的動作については従
来と同様であり、従来の直流電源装置の動作と同様の動作については詳細な説明を省く。
来と同様であり、従来の直流電源装置の動作と同様の動作については詳細な説明を省く。
図2は、直流電源装置の動作を説明するための初期状態を示したものであり、コンデンサ8の充電初期値はゼロボルトとする。そして、この時点では回路内には電流は流れておらず、双方向性スイッチ3と第1から第4の補助スイッチ4から7は全てオフしており、平滑コンデンサはVdcに充電されているものとする。
図3は、交流電圧1の正の半周期における双方向性スイッチ3のスイッチング動作を説明するため、双方向性スイッチ3と第1から第4の補助スイッチ4から7のオンオフの状態と、回路に流れる電流の流れ、および、コンデンサの電圧変化を示したものである。図3において、矢印は電流の流れを示し、そのうち、破線の矢印はコンデンサ8の充放電電流を示している。
次に、詳細な動作説明を行う。双方向性スイッチ3のスイッチング動作としては、まず、双方向性スイッチ3をオンして交流電源1をリアクトル2で短絡し、リアクトル2の電流を増加させる。このときの状態を図3(a)に示す。初期状態では回路内に電流が流れていないため双方向性スイッチ3は、ゼロ電流スイッチングを行うことになる。
そして、所定の時間後、第2と補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7とをオンしてから双方向性スイッチ3をオフする。そうすると、それまで双方向性スイッチ3を流れていた電流は、その全てが第2の補助スイッチ5からコンデンサ8、第4の補助スイッチ7、および、ダイオード9dを通して流れることになる。このときの状態を図3(b)に示す。当然、それまでコンデンサ8には充電がされていないため、双方向性スイッチ3は、ゼロ電圧スイッチングを行うことになる。
しばらくして、コンデンサ8の電圧は、平滑コンデンサの電圧Vdcと等しくなったとき(厳密には、Vdcにダイオード9aのオン電圧を加えた電圧となったとき)に、ダイオード9aにリアクトル2の電流が転流し、平滑コンデンサ10に電流が流れ込むこととなり、第2の補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7とコンデンサ8に電流は流れなくなる。その後、第2の補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7をオフする。このときの状態を図3(c)に示す。この際の第2の補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7のオフ動作は、ゼロ電流スイッチングとなる。
次に、リアクトル2に電流が流れている間に、第1の補助スイッチ4と第3の補助スイッチ6をオンする。すると、コンデンサ8に蓄えられていた電荷は、第1の補助スイッチ4と第3の補助スイッチ6を介して平滑コンデンサ10側に放電され、ほぼゼロボルトになる。これは、リアクトル2に電流が流れている間は、リアクトル2のブリッジ整流回路9側の電位がVdcまで上昇しているためである。
このとき、交流電源1から、リアクトル2を介して平滑コンデンサ10に流れ込む電流と重畳して電流が流れることになる。このときの状態を図3(d)に示す。
その後、第1の補助スイッチ4と第3の補助スイッチ6をオフする。この場合も、当然ゼロ電流スイッチングが行われる。そして、リアクトル電流がゼロとなれば初期状態に戻ることになり、双方向性スイッチ3のオン時間を等しくして、図3で示した動作を繰り返せば、リアクトル2の電流波形は、入力電圧に比例した電流ピークを持った波形となる。
また、以上の説明は正の半周期での動作説明であるが、負の半周期においては第2の補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7のオンオフ順序と、第1の補助スイッチ4と第3の補助スイッチ6のオンオフ順序を入れ替えることで、同様の動作となる。
このように、リアクトル2の電流が一連の動作でゼロまで必ず放電する、いわゆる電流不連続モードで動作するように構成した場合の入力電圧とリアクトル2の電流波形の波形図を図4に示す。
また、リアクトル電流がゼロとなる前に、再度、図3で示した一連の動作をさせると、双方向性スイッチ3がオンするときにゼロ電流スイッチングを実現することはできないが、リアクトル2に流れるリップル電流を小さくすることが可能となる、いわゆる電流連続モードでの動作となる。
そして、このとき、リアクタ2のインダクタンスを十数mH以上の値として適切に選定することにより、商用周期の半周期に数回のスイッチングでも十分入力力率の改善や高調波電流低減は可能となる。
図5に、商用周期の半周期に2回、双方向性スイッチ3を動作させたときの入力電圧電流波形と双方向性スイッチ3の駆動信号、第2の補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7の駆動信号を波形図に示す。この波形図では、リアクトル2に流れる電流がゼロとなる前に、双方向性スイッチ3の2回目のスイッチングが行われた例を示している。
図5では、スイッチング回数が2回のみであり、リアクトルのインダクタンスも5mHとしているため、正弦波電流とはかなり異なった電流波形となっているが、入力力率は改善されており、スイッチング回数を増やせば歪率が5%以下の入力電流とすることも可能であり、その場合の入力力率はほぼ1とすることができる。
また、図5については、全体としてみた場合、電流波形などは双方向性スイッチ3の動作に依存しており、波形的には第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7が動作してもしなくともほとんど変わらない。
しかし、上記の場合などは、実際にはリアクトル2の電流が双方向性スイッチ3からブリッジ整流回路9に転流するまでの時間は、第2の補助スイッチ5と第4の補助スイッチ7がオンする寸前のリアクトル2の電流が20A、コンデンサ8の容量を2uF、Vdcを280Vとすれば、30us近くまで大きくすることができ、単に双方向性スイッチ3のオフのみを利用した場合の転流時間数百nsに比べて十分大きくなり、電流、電圧の変動速度を小さくできるために大幅な騒音低減が実現できる。
また、以上の説明では、第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7の中点がブリッジ整流回路9とリアクトル2の接続点に接続されているが、ブリッジ整流回路9の交流入力端子のどちらに中点を接続しても、同じ効果を得ることができる。
また、双方向性スイッチや第1から第4の補助スイッチの構成は、通常、図6に示すようにスイッチ用ブリッジ整流回路13とスイッチング素子14の組み合わせを用いることが多い。しかし、本実施の形態においては、双方向性スイッチ3については問題ないが、第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7については、図6の構成のままでは駆動に工夫が必要となる。
つまり、コンデンサ8の充電時には、リアクトル2のインピーダンスが介在するため、第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7のオン時のdi/dtや電流ピーク値は制限されるが、コンデンサ8の放電時のdi/dtや電流ピーク値を抑えるための要素がなく、ノイズ発生を抑えるためにスイッチング素子14のスイッチング速度を落とす、不飽和動作させるなどの工夫が必要となる。そのため、スイッチング損失が大きくなるうえ
、装置容量が大きくなると、これらの対策にも限界がでてくる。
、装置容量が大きくなると、これらの対策にも限界がでてくる。
そこで、少なくとも第1と第3の補助スイッチのいずれか一方と、第2と第4の補助スイッチのいずれか一方の構成を、図7のようにスイッチ用ブリッジ整流回路13と、コンデンサ8の充電時にオンする充電用スイッチング素子15と、放電時にオンする放電用スイッチング素子16および放電時の電流制限用インピーダンス17とから構成するようにしてもよい。
これよって、コンデンサ8の放電時のdi/dtや電流ピーク値を任意に制限することが可能となり、ノイズ低減ができる。また、電流制限用インピーダンスとして可飽和リアクトルを用いてノイズと損失の両方を低減したり、あるいは飽和しない補助リアクトルを用いてコンデンサ8との共振を利用してノイズと損失を大幅に低減したりするように構成してもよい。
また、電流制限用インピーダンスとしてリアクトル類を用いる場合は、ゼロ電流でスイッチング出来なかった場合の保護用にリアクトル類に並列にダイオードを設けることが望ましい。
なお、上記のように2組の補助スイッチのうち1つだけでもよいとしたのは、図6で示される構成とした補助スイッチを先にオンすることで上記の効果を得ることができるためである。
(実施の形態2)
図8は、本発明の第2の実施の形態における直流電源装置のブロック図である。本実施の形態においては、実施の形態1で説明した双方向性スイッチ3と第1から第4の補助スイッチ4から7の動作や、騒音低減とスイッチングノイズやスイッチング損失の低減を図るとともに高調波電流も低減し、入力力率を改善するといった基本的な動作や効果については同様である。
図8は、本発明の第2の実施の形態における直流電源装置のブロック図である。本実施の形態においては、実施の形態1で説明した双方向性スイッチ3と第1から第4の補助スイッチ4から7の動作や、騒音低減とスイッチングノイズやスイッチング損失の低減を図るとともに高調波電流も低減し、入力力率を改善するといった基本的な動作や効果については同様である。
ただし、図8においては、実施の形態1で説明した直流電源装置に対して、交流電源1の電圧を検出する入力電圧検出手段18と、直流電圧検出手段19が追加されている。
そして、本実施の形態においては、スイッチ駆動制御手段12は入力電圧検出手段18によって電圧ゼロクロスを検出する、もしくは、電圧極性を検出することで、第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7のオンオフ順序を決定するとともに、直流電圧検出手段19で検出した直流電圧が所望の目標直流電圧よりも低い場合には双方向性スイッチ3のオン時間を長くし、逆の場合には双方向性スイッチ3のオン時間を短く制御することによって、直流電圧の安定化を図るものである。
したがって、本実施の形態における直流電源装置では、実施の形態1で説明した各種の効果に加えて、ゼロクロス付近の電流歪を低減し、負荷に安定した直流電圧を供給することが可能という利点がある。
なお、本実施の形態では、入力電圧検出手段18によって電圧ゼロクロスあるいは電圧極性を判定したが、入力電流検出手段を設けて入力電流の極性によって第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7のオンオフ順序を決定してもよい。
また、本実施の形態における直流電源装置では、直流出力電圧の安定化のために直流電圧検出手段19を用いたが、図9に示すように出力電流検出手段20を設ける、あるいは、直流出力電力を検出することによって負荷量を判定し、双方向性スイッチ3のオン時間
を制御することで、直流電圧の安定化を図るようにしてもよい。
を制御することで、直流電圧の安定化を図るようにしてもよい。
また、本実施の形態では、双方向性スイッチ3のオン時間を制御しているが、オン時間に変えてスイッチング周波数を制御しても良く、あるいはオン時間とスイッチング周波数の両方を制御しても良い。さらに、これらの制御に変えて双方向性スイッチ3をオンオフするための駆動パルスの密度を変化させることによって、直流出力電圧とリアクトル2に流れる電流とを制御してもよい。
(実施の形態3)
図10は、本発明の第3の実施の形態における直流電源装置のブロック図である。本実施の形態においては、実施の形態1で説明した双方向性スイッチ3と第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7の動作や、騒音低減とスイッチングノイズやスイッチング損失の低減を図るとともに高調波電流も低減し、入力力率を改善するといった基本的な動作や効果については同様である。
図10は、本発明の第3の実施の形態における直流電源装置のブロック図である。本実施の形態においては、実施の形態1で説明した双方向性スイッチ3と第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7の動作や、騒音低減とスイッチングノイズやスイッチング損失の低減を図るとともに高調波電流も低減し、入力力率を改善するといった基本的な動作や効果については同様である。
ただし、図10においては、実施の形態1で説明した直流電源装置に対して、交流電源1の電圧を検出する入力電圧検出手段18と、直流電圧検出手段19および入力電流検出手段21が追加されている。
そして、本実施の形態においては、スイッチ駆動制御手段12は入力電圧検出手段18によって、電圧ゼロクロスを検出する、もしくは、電圧極性を検出することで第1の補助スイッチ4から第4の補助スイッチ7のオンオフ順序を決定するとともに、直流電圧検出手段19で検出した直流電圧が所望の目標直流電圧よりも低い場合には、双方向性スイッチ3のオン時間を長くし、逆の場合には、双方向性スイッチ3のオン時間を短く制御することによって直流電圧の安定化を図ることについては、実施の形態2と同様である。
本実施の形態において特徴的な点は、直流電圧を一定に保ちつつ入力電流を目標とする目標電流波形に一致するよう制御する点である。これは、従来からも用いられている入力電流の制御手法であり、詳細な説明は省くが、直流出力電圧の目標値と検出値の誤差を基準波形に乗算することにより目標電流波形を得て、入力電流をその目標電流波形に追従させるよう制御するものである。
なお、本実施の形態においては、入力電流を検出して制御するよう構成されているが、図11のように入力電流に変えて、電解コンデンサに流れる電流を直流電流検出手段22によって検出し、この波形が目標値に一致するよう制御しても良い。
このように本実施の形態における直流電源装置では、実施の形態1や実施の形態2で示した効果だけでなく、入力電流をより精度よく制御することが可能となり、更なる入力力率の改善や高調波電流の低減性能の向上ができ、入力電流を任意の波形とすることができることによりピーク電流の抑制によるリアクトル2の小型化などが可能となる。
以上のように、本発明にかかる直流電源装置は、高調波電流を低減するとともに力率を改善することが可能な直流電源装置において、騒音の低減とスイッチングノイズ、スイッチング損失の低減が可能となるので、汎用インバータの入力段回路やエアコンまたは冷蔵庫などのコンプレッサを用いた家電機器の入力段回路の用途に適用できる。
1 交流電源
2 リアクトル
3 双方向性スイッチ
4 第1の補助スイッチ
5 第2の補助スイッチ
6 第3の補助スイッチ
7 第4の補助スイッチ
8 コンデンサ
9 ブリッジ整流回路
10 平滑コンデンサ
11 負荷
12 スイッチ駆動制御手段
13 スイッチ用ブリッジ整流回路
14 スイッチング素子
15 充電用スイッチング素子
16 放電用スイッチング素子
17 電流制限用インピーダンス
18 入力電圧検出手段
19 直流電圧検出手段
20 出力電流検出手段
21 入力電流検出手段
22 直流電流検出手段
2 リアクトル
3 双方向性スイッチ
4 第1の補助スイッチ
5 第2の補助スイッチ
6 第3の補助スイッチ
7 第4の補助スイッチ
8 コンデンサ
9 ブリッジ整流回路
10 平滑コンデンサ
11 負荷
12 スイッチ駆動制御手段
13 スイッチ用ブリッジ整流回路
14 スイッチング素子
15 充電用スイッチング素子
16 放電用スイッチング素子
17 電流制限用インピーダンス
18 入力電圧検出手段
19 直流電圧検出手段
20 出力電流検出手段
21 入力電流検出手段
22 直流電流検出手段
Claims (8)
- 交流電圧を整流するブリッジ整流回路と、前記ブリッジ整流回路の出力電圧を平滑化する平滑コンデンサと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端子に接続されたリアクトルと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端子間に接続された双方向性スイッチと、前記ブリッジ整流回路の直流出力端子間に直列に接続された第1から第4までの補助スイッチと、一端が前記第1の補助スイッチと前記第2の補助スイッチとの接続点に接続され他端が前記第3の補助スイッチと前記第4の補助スイッチとの接続点に接続されたコンデンサと、前記双方向性スイッチと前記第1から第4までの補助スイッチとを制御するスイッチ駆動制御手段とを備えた直流電源装置。
- 前記交流電圧を検出する入力電圧検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出された電圧極性もしくは電圧ゼロクロスに基づいて第1から第4までの補助スイッチを制御する請求項1に記載の直流電源装置。
- 前記リアクトルに流れる電流を検出する入力電流検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出された電流極性もしくは電流ゼロクロスに基づいて、第1から第4までの補助スイッチを制御する請求項1に記載の直流電源装置。
- 前記平滑コンデンサの電圧を検出する直流電圧検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、前記直流電圧検出手段で検出した直流電圧が所定値と等しくなるように、前記双方向性スイッチの導通時間とオンオフの周波数との少なくともいずれかを制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の直流電源装置。
- 前記平滑コンデンサの電圧を検出する直流電圧検出手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、前記直流電圧検出手段で検出した直流電圧が所定値に等しくなるように、前記双方向性スイッチをオンオフする駆動信号の密度を制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の直流電源装置。
- 直流出力電流あるいは直流出力電力によって負荷量を判定する負荷量判定手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出した前記負荷量に応じて前記双方向性スイッチの導通時間とオンオフの周波数との少なくともいずれかを制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の直流電源装置。
- 直流出力電流あるいは直流出力電力によって負荷量を判定する負荷量判定手段をさらに備え、前記スイッチ駆動制御手段は、検出した前記負荷量に応じて前記双方向性スイッチをオンオフする駆動信号の密度を制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の直流電源装置。
- 少なくとも第1と第3の補助スイッチのいずれか一方と、第2と第4の補助スイッチのいずれか一方を、前記コンデンサ充電時には低いインピーダンスでオンし、前記コンデンサ放電動作時には高いインピーダンスを持ってオンするよう構成した請求項1〜7のいずれか1項に記載の直流電源装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006327743A JP2008141901A (ja) | 2006-12-05 | 2006-12-05 | 直流電源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006327743A JP2008141901A (ja) | 2006-12-05 | 2006-12-05 | 直流電源装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008141901A true JP2008141901A (ja) | 2008-06-19 |
Family
ID=39602797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006327743A Pending JP2008141901A (ja) | 2006-12-05 | 2006-12-05 | 直流電源装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008141901A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2006
- 2006-12-05 JP JP2006327743A patent/JP2008141901A/ja active Pending
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