JP2012074597A - 波長可変光源 - Google Patents

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欽之 今井
Kazunori Naganuma
和則 長沼
Shigeo Ishibashi
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Abstract

【課題】従来技術の電気光学結晶をプリズム型に加工した電気光学偏向器を利用した波長可変光源では、以下の問題があった。(1)印加電圧の変化を通じて変化させることのできる波長範囲が狭い。(2) 共振器モード番号を不変に保った、モードホップのない滑らかな波長変化動作が実現されていない。(3)大きな寸法の電気光学偏向器を用いるために、高速動作が困難であって光学的均一性の確保も難しい。
【解決手段】本発明の波長可変光源は、共振器内に利得媒質と回折格子とを有し、利得媒質と回折格子との間に電気光学偏向器を挿入し、回折格子の電気光学偏向器の挿入したのと異なる側に直入射端面鏡を配置する。回折格子への電気光学偏向器側からの光入射角θと、回折格子への直入射端面鏡側からの光入射角φとの間で、|θ|>|φ|の関係を満たす。回折格子と電気光学偏向器との間に、2分の1波長板を挿入することもできる。さらに、凹面回折格子を使用することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は波長可変光源に関し、特に、広い波長範囲にわたって波長を制御するレーザ光源に関する。本発明により、電気信号によってその波長を迅速かつ正確に制御することができる波長可変光源を提供することができる。
有機色素、また半導体に代表される広帯域の利得媒質を有するレーザ発振器では、その利得帯域内から1つの発振波長を選択して、発振動作させることが可能である。この選択波長を再現性良く切換えることができれば、分光器を用いないレーザ分光が実現される。また、選択波長の切換えを十分迅速に行うことができれば、波長掃引測距あるいは電子デバイスまた取分け生体の断面像を非破壊に観測する光コヒーレンストモグラフィ(OCT)などの新たな応用を開くことができる。したがって、このような波長可変光源に対しては、純粋科学から日常医療にわたる広い技術分野の発展への寄与が期待されている。
波長可変光源として、現在までに、共振器内に回折格子による波長フィルタを備える構成が、広く用いられている。
図10は、従来技術の波長可変光源の第1の例の構成を示す図である。図10に示された波長可変光源は、共振器の片端にある反射鏡の傾きを変えることによって、発振波長を切換える構成の例である。例えば、非特許文献1に開示されている。この構成例では、利得媒質として有機色素が用いられている。以下、まず第1の例の構成と動作について説明する。
第1の構成例において、利得媒質601は、第1の集光レンズ611および第2の集光レンズ602の間に配置されている。利得媒質601は、第2の集光レンズ602を経て、回折格子606および直入射する端面鏡610から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ611は、出力結合鏡612に相対しており、このようにして出力結合鏡612と端面鏡610を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡612から、この光共振器によるレーザ作用による出力光613が得られる。
上述の波長フィルタにおいて、回折格子606への第2の集光レンズ602に面する側からの入射角θは、端面鏡610に面する側からの入射角φと比較して、通常、その絶対値が大きく設定される。その結果、回折格子606への回折格子入射光束607と比べて、回折格子出射光束608が伸張され、太く広がり角の小さい光束として端面鏡610で反射される。このため、波長フィルタの選択波長幅を狭窄化することができる。選択波長の変化は、端面鏡610の傾きを変えて、回折格子606への入射角φを変えることによって行われる。
さらに、本構成例において波長を変化させる時は、回折格子606上の反射面の延長と出力結合鏡612の反射面の延長とによってできる交線の周りに、端面鏡610を回転させることによって、端面鏡610の傾きを変える。このようにすると、選択波長の変化と同時に共振器長の変化が生じる。したがって、共振器内に含まれる光定在波の個数、すなわち共振器モード番号を不変に保ちつつ、選択波長を変化することができる。非特許文献1には、その結果、波長の変化に際して、共振器モード番号の不連続的な変化に伴う発振波長の飛び、すなわちモードホップのない滑らかな変化が実現されることが開示されている。このような波長可変光源の共振器構成は、非特許文献1の著者の名を冠してLittman-Metcalf共振器と呼ばれ、今日広く用いられている。
第1の構成例の波長可変光源では、波長を変化させるために、端面鏡610の傾きを変えるという動作を行う必要がある。このような力学的運動は、端面鏡610の質量、さらには空気より受ける抵抗によってその速度を制限され、迅速に行うことは難しい。そこで、可動部の介在なしに波長変化をより高速に行うために、別の構成例として、電気光学偏向器を用いる波長可変光源が開示されている。
図11は、従来技術の波長可変光源の第2の例の構成を示す図である。本構成では、端面鏡610の傾きを変える代わりに、その前面に電気光学結晶をプリズム型に加工した電気光学偏向器609を設置した点に特徴がある。例えば、非特許文献2に開示されている。 本構成例でも、利得媒質としては有機色素が用いられている。
第2の構成例において、利得媒質601は、第1の集光レンズ611および第2の集光レンズ602の間に配置されている。利得媒質601は、第2の集光レンズ602を経て、回折格子606、電気光学偏向器609および直入射する端面鏡610から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ611は、出力結合鏡612に相対し、このようにして出力結合鏡612と端面鏡610を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡612から、この光共振器によるレーザ作用による出力光613が得られる。
上述の波長フィルタにおいて、回折格子606への第2の集光レンズ602に面する側からの入射角θは、端面鏡610に面する側からの入射角φと比較して、その絶対値が大きく設定され、その結果、波長フィルタの選択波長幅を狭窄化することができる。選択波長の変化は、電気光学偏向器609に結線された制御電圧源604の電圧により、電気光学偏向器609に対して付与される図11の紙面に垂直な方向の電界を変化させることによって行われる。
すなわち、電気光学偏向器609に与えられる電界により電気光学偏向器609で形成されるプリズムの屈折率の一様な変化が惹起される。その結果、このプリズムの回折格子606に相対する側の空気界面において光束が受ける屈折量が変化する。他方、光束が端面鏡610による反射を受けた後、往路を逆行して共振器に戻るためには、端面鏡610に密着する側の界面には、光束が直入射(入射角を零と)する必要がある。この束縛条件のために、電界印加時に光束が共振器に帰還するためには、プリズム型の電気光学偏向器609に、無電界時とは異なる角を持って入射する必要がある。これは即ち、第1の構成例の場合と同様に回折格子606への入射角φを変化させることとなる。このようにして、第2の構成例においては、電気光学偏向器609に印可する電圧を変えることによって、可動部の介在なしに高速な波長変化が実現されている。
国際公開公報WO2006/137408明細書
Michael G. Littman and Harold J. Metcalf「Spectrally narrow pulsed dye laser without beam expander」(Applied Optics誌、17巻 2224-2227頁、1978年) S. V. Vasil’ev, L. I. Ivleva and V. A. Sychugov「Frequency scanning of a laser with a Littman-Metcalf cavity using an electrooptic deflector」(Quantum Electronics誌、31巻 825-828頁、2001年)
しかしながら、上述の第2の構成例による可動部を持たない波長可変光源には、以下のような問題があり、依然として十分に満足できるものではなかった。
第1の問題は、このような第2の構成例において、印加電圧を通じて変化できる波長の範囲が狭いことである。非特許文献2によれば、電気光学材料SBNをプリズム型に加工して用いる場合、電極間間隔(プリズム厚)3mmの時、500Vの印加電圧に対して100GHzの光周波数変化が見込まれている。これは、1.3μm帯における波長にして、僅かに0.56nmの波長範囲に過ぎない。たとえ、プリズム厚を1mmまで狭めたとしても、波長範囲は3倍に増えて1.69nm程度が望めるのみである。ところがこの場合でも、SBNの屈折率変化は既に0.17%に達している。これを越えるような大きい屈折率変化を実現するのは、他の電気光学材料を使用したとしても期待できない。
第2の問題は、第2の構成例においては、非特許文献1で見られたような共振器モード番号を不変に保った、モードホップのない滑らかな波長変化動作の条件が示されていない。そもそもこのようなモードホップのない滑らかな波長変化動作が可能かどうかすら判然としていない。
さらに、非特許文献2に開示された第2の構成例には別の第3の問題がある。上述の波長フィルタ構成では、その選択波長幅の狭窄化のために、回折格子606への回折格子入射光束607と比較して、回折格子出射光束608は、太く広がり角の小さい光束となっている。非特許文献2において、電気光学偏向器609はこの光束が伸張され太い箇所に挿入されている。このために、電気光学偏向器609のプリズムの辺長(≒プリズム高さ)に対して、太い光束を受容する大きさが要求される。その結果、偏向器のサイズが大きくなって電気光学偏向器609の静電容量が増してしまう。さらには、電気光学偏向器609を駆動する制御電圧源604に対して要求される皮相電力が増える。このような状況において特に高速動作時には、制御電圧源604が大きな過渡電流をはき出し吸入しなければならない。制御電圧源604に要求される駆動能力の制限により、波長変化の高速性が阻害される事態も生じる。
第2の構成例にはさらに別の問題もある。寸法が大きい電気光学偏向器609には、光学的一様性の問題が伴う。これは、電気光学偏向器の材料である電気光学結晶を大きく均一に結晶成長することが、そもそも困難だからである。実際、非特許文献2において、上で見込んだ光周波数変化が現実には得られなかった理由が、電気光学偏向器の不均一性の問題に帰されている。
以上詳細に述べたように、要約すれば、従来技術の第2の構成例のような可動部を持たない波長可変光源には、次の問題があった。
(1)印加電圧により誘起できる屈折率変化が高0.1%オーダであることから、印加で電圧の変化を通じて変化させることのできる波長範囲が狭い。
(2) 共振器モード番号を不変に保った、モードホップのない滑らかな波長変化動作が実現されていない。
(3)大寸法の電気光学偏向器を用いるために、高速動作が困難であって光学的均一性の確保も難しい。
本発明は、従来技術におけるこれらの問題を解決し、波長が広範囲に変化でき、モードホップのない滑らかな波長変化動作が可能で、かつ電気光学偏向器の静電容量や電気光学偏向器の材料の不均一性の問題を免れた波長可変を提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために、請求項1の発明は、利得媒質と、前記利得媒質の一端からの光が入射する回折格子と、前記回折格子への前記入射光の回折光が直入射する端面鏡とを含み、前記回折格子を介して前記利得媒質と前記端面鏡を包含する共振器を備えた波長可変光源において、前記利得媒質と前記回折格子との間であって、前記共振器により形成される光路上に配置された電気光学偏向器をさらに備え、前記回折格子への前記電気光学偏向器側からの光入射角θと、前記回折格子への前記端面鏡側からの光入射角φとの間に、|θ|>|φ|の関係が存することを特徴とする波長可変光源である。
請求項2に記載の発明は、請求項1の波長可変光源であって、前記回折格子と前記電気光学偏向器との間で、前記共振器により形成される光路上に、2分の1波長板をさらに備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の波長可変光源であって、前記回折格子は平面回折格子であり、前記電気光学偏向器と前記回折格子との間の光路長l2が、残余の共振器の光路長l1との間で、前記光入射角θおよび前記光入射角φを含む式
Figure 2012074597
の関係を満たすことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2の波長可変光源であって、前記回折格子は凹面回折格子であり、前記電気光学偏向器と前記回折格子との間の光路長l2を、前記凹面回折格子の曲率半径Rと前記光入射角θの余弦の積とによって規格化した量g=l2(R/cosθ)が、前記光入射角θおよび光入射角φを含む3次方程式
Figure 2012074597
の正の実数解で与えられ、かつ、前記凹面回折格子の前記曲率半径Rが、残余の共振器の光路長l1との間で、前記gおよび前記光入射角θおよび前記光入射角φを含む式
Figure 2012074597
の関係を満たすことを特徴とする。本構成により、共振器モード番号を不変に保った、モードホップのない滑らかな波長変化動作を行うことができる。
本発明の波長可変光源は、回折格子への入射角が大きく光束が細い側に、小寸法で電荷注入を伴う電気光学偏向器を挿入するので、印加電圧を通じて波長が広範囲に変化できる。本発明の波長可変光源は、電気光学偏向器を回折格子から特定の距離離れた地点に配置することで、モードホップのない滑らかな波長変化動作が可能となる。さらに回折格子を凹面回折格子とすれば、全波長範囲にわたってモードホップのない動作もできる。また、本発明の波長可変光源は、電気光学偏向器の静電容量や不均一性の問題を免れることができる。特にそのために電気光学偏向器を折返し光路構成とすることもできるため小型化が可能であり、工業的に大きな効果が得られる。
本発明の波長可変光源の第1の構成を示す図である。 第1の構成を変形した本発明の波長可変光源の構成を示す図である。 本発明の波長可変光源の第2の構成を示す図である。 第2の構成を変形した本発明の波長可変光源の構成を示す図である。 本発明の波長可変光源に使用される偏向器の構成・動作を説明する図である。 図6は、実施例1の波長可変光源における共振器の幾何学モデルを示す図である。 図7の(a)は、実施例1の可変波長光源の偏向角と発振波長との関係を示した図であり、(b)は発振波長と共振器モード番号との関係を示した図である。 図8は、実施例2の波長可変光源における共振器の幾何学モデルを示す図である。 図9の(a)は、実施例2の可変波長光源の偏向角と発振波長との関係を示した図であり、(b)は発振波長と共振器モード番号との関係を示した図である。 従来技術の波長可変光源の第1の例の構成を示す図である。 従来技術の波長可変光源の第2の例の構成を示す図である。
本発明の波長可変光源は、共振器内に利得媒質と回折格子とを有する波長可変光源において、利得媒質と回折格子との間に電気光学偏向器を挿入し、回折格子の電気光学偏向器の挿入したのと異なる側に直入射端面鏡を配置する。このとき、回折格子への電気光学偏向器側からの光入射角θと、回折格子への直入射端面鏡側からの光入射角φとの間で、|θ|>|φ|の関係を満たすことを特徴とする。
本発明の波長可変光源では、電気光学偏向器および回折格子のそれぞれにとって望ましい偏光方向を調整するために、回折格子と電気光学偏向器との間に、2分の1波長板を挿入することもできる。
以下の説明では、共振器モード番号を不変に保った、モードホップのない滑らかな波長変化動作を行うために、回折格子が平面回折格子の場合、電気光学偏向器と平面回折格子との間の光路長l2が、残余の共振器の光路長l1との間で、光入射角θと光入射角φ含む所定の関係を満たすように配置すれば良いことを明らかにする。
同じく、モードホップのない滑らかな波長変化動作を行うために、回折格子が凹面回折格子の場合を検討する。ここで、電気光学偏向器と凹面回折格子との間の光路長l2を、凹面回折格子の曲率半径Rおよび光入射角θの余弦の積によって規格化した量g=l2/(Rcosθ)を定義する。この量gおよび光入射角θと光入射角φとを含む3次方程式の解に基づいて、曲率半径Rが、残余の共振器の光路長l1との間に、gおよび光入射角θと光入射角φとを含む所定の関係を満たすように波長フィルタを構成すれば良いことを明らかにする。以下、本発明の構成および動作、さらに使用する電気光学材料の詳細な検討を行い、具体的な実施例についても説明する。
従来の可動部を持たない波長可変光源に関る第3の問題、すなわち、大きな寸法の電気光学偏向器が必要であった理由は、次の点にある。すなわち、図11の構成において、電気光学偏向器が、回折格子への入射角が小さくこのために光束が太い側に挿入されていたためである。 これに対して、回折格子への入射角が大きくその結果光束が細い側に電気光学偏向器を配置すれば、小さな寸法の電気光学偏向器で十分となる。しかしながら、従来技術と同一のプリズム型の電気光学偏向器を使用したのでは、従来技術に関る第1の問題をかえって悪化させることとなる。すなわち、変化させることのできる波長範囲がさらに狭くなってしまう。なぜならば、回折格子への入射角が大きい程、入射角変化に対する選択波長の変化の感度が低下してしまうからである。
そこで、発明者らは、従来技術の場合とは別種の、電荷注入を伴う電気光学偏向器を用いることに思い至った。このような電気光学偏向器では、100mrad程度の偏向角範囲が得られる。この偏向角範囲は、従来技術のプリズム型の偏向器での偏向角範囲が、高々0.5mrad程度に留まるのと比較して、極めて大きい。電荷注入を伴う電気光学偏向器による偏向は、従来技術のプリズム型の場合と異なり、電界と共面方向に生じる。従って、太い光束を偏向するのは現実的でない。電極間隔が広くなってしまい、必要な電圧が非現実的に高くなってしまうからである。しかしながら、電荷注入を伴う電気光学偏向器は光束が細い箇所には挿入可能であり。電荷注入を伴う電気光学偏向器の上述のような巨大な偏向角範囲は、回折格子への入射角が大きいことに伴う入射角に対する波長変化感度の低下を補って余りある。
このようにして、電極間隔が狭く自ずと小寸法である電荷注入を伴う電気光学偏向器を、回折格子への入射角が大きくその結果光束が細い側に配置することで、従来技術の可動部を持たない波長可変光源に関る第1の問題および第3の問題が解決される。それでは、従来技術の第2の問題についてはどうであろうか。発明者らは、この点についてもさらに検討を進め、この残る問題についてもその解決法を確立した。
大きい入射角をもって回折格子に偏向光が入射するということは、低い仰角をもって偏向光が回折格子面に当たることに他ならない。この場合、偏向角の変化に伴って、回折格子面上の入射点の位置が大きく移動し、偏向中心からこの入射点までの光路長も大きく変化する。ここで、回折格子への入射角が小さくなる方向に偏向が生じた場合、回折格子面上の入射点は偏向中心に近づく向きに変化し、この分だけ、共振器長は短くなる。一方、回折格子への入射角が小さくなれば、選択波長は小さくなる。これらの関係は、共振器長を波長で除した共振器モード番号が一定に保たれ得る変化の方向の組み合わせである。従って、初期の回折格子面上の入射点と偏向中心との間の距離を適切に設定することによって、共振器モード番号を不変に保ったモードホップのない波長変化を実現できる。
これによって、確かに、初期の中心波長の周りではモードホップのない波長変化となる。しかし、より広い波長範囲に対して共振器モード番号を計算すると、中心波長から離れるに従って、共振器長が過大になってしまうことが分かる。これは、その位置が固定された偏向中心から、平面形状である回折格子に光が入射することに伴うものである。従って、共振器長が過大になってしまうこの問題の改善のためには、回折格子の形状を凹面とし、初期の入射点から離れるに従って、回折格子の面が偏向中心に近づくようにすれば良い。上述の共振器モード番号を不変に保つ条件については、後に、実施例とともに数式を用いて詳述する。以下、最初に本発明の波長可変光源の基本構成と動作条件について詳述する。
図1は、本発明の波長可変光源の第1の構成を示す図である。 図1において、利得媒質101は、第1の集光レンズ111および第2の集光レンズ102の間に配置される。利得媒質101は、第2の集光レンズ102を経て、電気光学偏向器103、回折格子106および直入射する端面鏡110から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ111は、出力結合鏡112に相対し、このようにして出力結合鏡112と端面鏡110を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡112からは、この光共振器によるレーザ作用による出力光113が得られる。
上述の波長フィルタにおいて、回折格子106への集光レンズ102に面する側からの入射角θは、端面鏡110に面する側からの入射角φと比較して、絶対値が大きく設定される。その結果、回折格子106への回折格子入射光束107に比して、回折格子出射光束108が伸張され、太く広がり角の小さい光束として端面鏡110で反射される。したがって、波長フィルタの選択波長幅を狭窄化することができる。選択波長の変化は、電気光学偏向器103に結線された制御電圧源104を通じ、回折格子入射光束107を偏向することによって行われる。
すなわち、電気光学偏向器103による偏向によって、回折格子106への入射角θを変化させることになる。本発明の構成においては、電気光学偏向器103に印可する電圧を変えることによって、可動部の介在なしに高速に波長を変化させることができる。電気光学偏向器については、後に詳細に説明する。
電気光学偏向器103および回折格子106は、それぞれ、望ましい偏光方向を持っている。図1の構成の場合、両者の望ましい偏光方向が異なっている場合がある。多くの場合、電気光学定数は電界方向と光の電界方向が一致する場合に最大となる。そのような場合、電気光学偏向器103にとって望ましい偏光方向は、図1において上下方向(y方向)の直線偏光である。一方、刻線タイプの回折格子では、多くの場合、光の電界方向が刻線方向に平行な場合に、回折効率が最大となる。その場合、回折格子106にとって望ましい偏光方向は、図1において図面に垂直方向(z方向)の直線偏光である。上述の相異なる偏光方向の要請を調整するために、電気光学偏向器103と回折格子106との間に、2分の1波長板を挿入することができる。
図2は、第1の構成を変形した本発明の波長可変光源の構成を示す図である。図1の構成に対して、2分の1波長板をさらに備えている点で、図1と相違している。図2において、利得媒質101は、第1の集光レンズ111および第2の集光レンズ102の間に配置される。利得媒質101は、第2の集光レンズ102を経て、電気光学偏向器103、2分の1波長板105、回折格子106および直入射する端面鏡110から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ111は、出力結合鏡112に相対し、このようにして出力結合鏡112と端面鏡110とを両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡112からは、この光共振器によるレーザ作用による出力光113が得られる。
2分の1波長板105を備えることで、電気光学偏向器103および回折格子106の偏向方向を一致させることができる。波長フィルタにおける回折格子106への2つの入射角θ、φの関係、および、電気光学偏向器103に結線された制御電圧源104を通じた波長変化動作は、図1に示した構成に準じたものなので、説明は省略する。
図3は、より広い波長範囲に対してモードホップのない波長変化動作を行う、本発明の波長可変光源の第2構成を示す図である。図3において、利得媒質201は、第1の集光レンズ211および第2の集光レンズ202の間に配置される。また、利得媒質201は、第2の集光レンズ202を経て、電気光学偏向器203、凹面回折格子206および直入射する端面鏡210から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ211は、出力結合鏡212に相対し、このようにして出力結合鏡212と端面鏡210を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡212からは、この光共振器によるレーザ作用による出力光213が得られる。
波長フィルタにおける凹面回折格子206への2つの入射角θ、φの関係、および、電気光学偏向器203に結線された制御電圧源2044を通じた波長変化動作は、図1に示した基本構成に準じているので説明を省略する。
図3に示した第2の構成においても、電気光学偏向器203と、凹面回折格子206との間で相異なる偏光方向の要請を調整するために、電気光学偏向器203と凹面回折格子206との間に、2分の1波長板を挿入することができる。
図4は、第2の構成を変形した本発明の波長可変光源の構成を示す図である。図4において、利得媒質201は、第1の集光レンズ211および第2の集光レンズ202の間に配置される。また、利得媒質201は、第2の集光レンズ202を経て、電気光学偏向器203、2分の1波長板205、凹面回折格子206および直入射する端面鏡210から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ211は、出力結合鏡212に相対し、このようにして出力結合鏡212と端面鏡210を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡212からは、この光共振器によるレーザ作用による出力光213が得られる。
波長フィルタにおける凹面回折格子206への2つの入射角θ、φの関係、および、電気光学偏向器203に結線された制御電圧源204を通じた波長変化動作は、図3に示した構成に準じているので、説明を省略する。
以上、図1から図4に示した各構成においては、出力結合鏡112、212を個別の部品として示したが、他の構成も可能である。例えば、利得媒質101、201が半導体チップの場合、それらの出力光側劈開面、またはこのような端面に施した蒸着膜を、出力結合鏡の替わりに使用できるのは言うまでもない。
次に、本発明の波長可変光源に使用される電気光学偏向器について、以下詳細に説明する。
最近、特定の電気光学効果結晶において、新たな現象が見出された。この電気光学効果結晶では、電圧印加による電界に伴って、結晶に電荷の注入が行なわれる。その結果、結晶内に、その注入電荷の形成する空間電荷分布、または、注入電荷がさらに電気光学結晶中に捕捉されて生成されるトラップ電荷分布が生じる。そして、この電荷分布による非一様な電界分布が屈折率の勾配を惹起し、この勾配に直交する光線の進路を屈曲させる現象が生じる。
この現象の発生には、屈折率変化か電界の二乗に比例して生じる2次の電気光学効果が必要である。さらに、この効果を示す結晶が、大きい誘電率および小さい易動度を有して初めて、現実的な値の印加電圧や電流に伴って、この偏向現象が発現する。この種の結晶の代表的な例として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-x Nbx3 :KTN)や、さらにリチウムをドープした(K1-yLiyTa1-xNbx3)が知られている。
このような結晶においては、結晶内のすべての部分が偏向作用を担う。光線の伝搬経路上の各部分での作用が累積された偏向を受けて、光線は結晶から出射する。即ち、得られる偏向量は結晶内の光の伝搬長に比例する。この点において、従来技術に用いられていたプリズム型の光偏向器と比べて、その動作原理の性質を全く異にしている。その特有の偏向作用原理の結果、偏向動作が高速であって、かつ、偏向角範囲が大きく取れるという特徴を有する。このような電気光学偏向器は、特許文献1に詳細が開示されている。
図5は、本発明の波長可変光源に使用される偏向器の構成および動作を説明する図である。図5の(a)は、偏向器の偏向面内を見た、基本的な構成および動作を説明している。電気光学結晶301の対向面には、それぞれ電極302および接地電極303が形成される。入射光305は、これら2つの電極の中間を通る中心光軸308に沿って伝搬する。ここで、制御電圧源304によって電極302に電圧を印加すると、結晶内の光線は負極(正電圧印加時を示す図5の(a)では、接地電極303)側に屈曲した偏向光路307を辿り、偏向した出射光306として結晶301から出射する。
偏光光路307を出射端面Aの「結晶側(内部)」において観察すると、あたかも結晶中心に位置する偏光中心310から、光線が発しているように見える。すなわち、偏向作用によって光線が、この偏光中心310の周りに回転するように見える。これを結晶の「外部」の出射光306について観察すると、今度は、あたかも偏向作用によって射出中心309の周りに回転するように見える。このような射出中心309は、出射端面Aにおける屈折作用によって出射端面側に近づき、結晶長をLとすると、出射端面AからL/(2n)の場所に位置する。ここでnは結晶の屈折率である。
電気光学偏向器において得られる上述の偏向量は結晶長に比例する。しかしながら、結晶を長くしようとすると、結晶の均一性の確保がより困難となる。また、結晶を長くすると、静電容量が大きくなるため制御電圧源304に要求される皮相電力が増加する。この結果、電気光学偏向器の高速駆動に障害を来す。このような種類の電気光学偏向器では、実際に必要な長さの結晶を用いる替わりに、内部反射による光路の折り返しを利用することによって、結晶長を増したのと等価な効果を得ることができる。
図5の(b)は、光路の折り返しを行う光偏向器の構成を示す図である。(a)で示したのと同様に、電気光学結晶301には、電極302および接地電極303が形成される。中心光軸308に沿って入射した入射光305は、結晶301内を3回行き来した後で、初めて出射光306として外部に現れる。光路の折り返しを利用することにより、3倍長い結晶を用いた時に相当する偏向角が得られる。
図5の(c)は、図5(b)の側面図である。結晶301内での光路に折り返しのために、(c)に示すように、入出射端面に、部分的に反射膜が付与されている。入射光305は、電気光学結晶301にその側面から見て斜めに入射し、出射端面Aに達する。ここで、端面に付与された反射膜311によって反射され、光学結晶301内を逆行して再び入射端面に戻る。同様に、光線はこの入射端面で、端面に付与された反射膜312によって反射され、光学結晶301内を進行する。今度は、光線は、出射端面A上の反射膜311の付与されていない箇所に達し、この箇所を透過して、出射光306として結晶を離脱する。
(c)に示した構成の場合、偏光光路307を出射端面の結晶側(内部)において観察すると、あたかも3L/2離れた位置にある偏光中心310から、光線が発しているように見える。これを結晶の外部の出射光306について見れば、射出中心309は、この場合、出射端面から3L/(2n)の場所に位置する。ここでnは結晶の屈折率である。
次に、上述の本発明の波長可変光源の第1の構成および第2の構成に関して、それぞれ、より具体的な実施例を述べる。
本実施例は、本発明の波長可変光源の第1の構成に対応するものである。以下、本実施例の波長可変光源の動作を幾何学モデルに基づいて、共振器モード番号を不変に保ったモードホップのない波長変化のための条件を検討する。
図6は、実施例1の波長可変光源における共振器の幾何学モデルを示す図である。図6において、共振器は出力結合鏡412、回折格子406および端面鏡410から構成される。それぞれの上の光線の入射点P、O、Qを結んだ折れ線が中心波長に対する共振器内光路を表す。回折格子406への出力結合鏡側からの入射角をθ、直入射端面鏡410側からの入射角をφとする。ここで、電気光学偏光器の射出中心、すなわち偏向器外部の光線にとっての偏向による回転中心Cが、回折格子からl2だけ離れて位置し(OC=l2)、さらに共振器の残余の光路長をl1とする。
電気光学偏光器による偏向角δによって回折格子406への入射角θはθ−δに変じ、これに伴って選択波長λが、次の回折格子公式に従って変化する。
Figure 2012074597
式(1)において、Λは回折格子のピッチを、mは回折次数をそれぞれ表す。
上述の電気光学偏光器による偏向角δの発生と同時に、共振器内光路はP、C、O´、Q´を結んだ折れ線へと変化する。ここで、新たな光路と元の光路との長さの差Δlを求めると、下式を得る。
Figure 2012074597
式(2)うち、右辺第1項はCO´、 第2項はO´Q´に関る変化分である。正の偏向角δに対して第1項は常に負であるが、第2項はφの符号によって負にも正にもなり得る。
以上の波長λの変化と共振器長変化Δlが、次式(3)で表される共振器モード番号を一定に保つように連関して生じる条件を求める。
Figure 2012074597
このとき、l2を下式の値に選べば良いことが分かる。
Figure 2012074597
前述したように、波長フィルタの狭窄化の観点から、入射角θは直角にできるだけ近い大きい値が望ましい。しかしながら、入射角θを直角にできるだけ近い値にすることによって式(4)の右辺分子は小さい値となり、l2が現実的でない程小さい値となり兼ねない。この困難を避けるためには、端面鏡側からの入射角φを、入射角θとは逆符号にとるのが良い。
上述の設計に基づき、1.3μm帯の波長可変光源を構築した。利得媒質を半導体光増幅チップとし、分布屈折率レンズを集光レンズとして用いた。偏向器として、電極間隔が1mmのKTN電気光学偏向器を用い、ビーム直径0.5mmの光線を、電界に平行な直線偏光で入射した。KTN電気光学偏向器は、結晶長が4mmであり、反射膜により図5の(b)に示した構成の反射膜で形成された折り返し光路を経て、光を出射する。この出射光を2分の1波長板を介して、刻線数600mm-1、ブレーズ波長1.6μmの回折格子に入射する。入射角θおよび入射角φは、それぞれ61.15°、−3.77°に設定した。上述の構成によって、中心波長1350nmでの発振が生じた。
図7の(a)は、実施例1の可変波長光源の偏向角と発振波長との関係を示した図である。KTN電気光学偏向器に±350Vの電圧を印加すると、角±50mradの範囲の偏向が生じた。それに伴い、図7の(a)に示すように、光源の発振波長が80nm変化した。このような発振波長の変化幅は、従来技術によるものより優に一桁以上広い。
本波長可変光源の共振器長 は30cmであり、ここでKTN電気光学偏向器を回折格子から106.5mm離した箇所に挿入した。これは、共振器モード番号を不変に保つモードホップのない波長変化動作の条件に則した値である。
図7の(b)は、実施例1の可変波長光源の発振波長と共振器モード番号との関係を示した図である。上述の構成により、中心波長1350nmの周り±1nmの範囲で、共振器モード番号を不変に保ったまま、KTN偏向器への印加電圧を通じて波長を変化できた。より広い波長範囲では、共振器モード番号が増してしまい一定には保たれなかった。しかしながら、共振器モード番号の変化量は80nmの全波長変化にわたって2000と0.45%に留まっている。共振器モード番号に何も対処しない場合に想定される変化量5.9%と比べて、一桁以上も抑圧されている。
本実施例は、本発明の波長可変光源の第2の構成に対応するものである。以下、本実施例の波長可変光源の動作を幾何学モデルに基づいて、共振器モード番号を不変に保ったモードホップのない波長変化のための条件を検討する。
図8は、実施例2の波長可変光源における共振器の幾何学モデルを示す図である。図8において、共振器は出力結合鏡512、凹面回折格子506および端面鏡510から構成される。それぞれの上の入射点P、O、Qを結んだ折れ線が、中心波長に対す共振器内光路を表す。凹面回折格子506への出力結合鏡側からの入射角をθ、直入射端面鏡510側からの入射角をφとする。ここで、凹面回折格子の曲率半径をRとし、凹面回折格子の底Oにおいて接する半径R/2の補助円を作図する。この補助円と入射方向との交点をSとして、電気光学偏向器の射出中心CのOからの距離l2を、弦OSで規格化してgと表す。弦OSの長さは量Rcosθであるから、g=l2/(Rcosθ)の関係が成り立つ。さらに、共振器の残余の光路長をl1としよう。
電気光学偏向器による偏向角δによって、凹面回折格子506への入射角θはθ―(1−g)δに変じ、またこのとき、入射角φにもφ+gδへの変化が生じる。これらに伴って選択波長λが、下記回折格子公式に従って変化する。
Figure 2012074597
式(5)において、実施例1と同様に、Λは凹面回折格子のピッチを、mは回折次数をそれぞれ表す。凹面回折格子の場合、入射点が変化すると、凹面回折格子の曲率中心Kの周りに入射法線も変化する。入射法線の変化角度は、補助円上の交点Sから入射点変化を見込む角γに等しく、また小さい角についてγ=gδ が良い近似で成り立つため、式(5)の回折格子公式が得られる。
入射角θおよびφの変化と同時に、偏向は、共振器内光路をP、C、O´、Q´を結んだ折れ線へと変化する。ここで、新たな光路と元の光路との間の長さの差Δlを求めると、次式を得る。
Figure 2012074597
式(6)の中で、右辺第1項はCO´、 第2項はO´Q´に関る変化分である。正の偏向角 に対して第1項は常に負であるが、第2項はφの符号によって負にも正にもなり得る。
以上の波長λの変化と共振器長変化Δlが、次式で表される共振器モード番号を一定に保つように連関して生じる条件を求める。
Figure 2012074597
先ずgは、光入射角θと光入射角φとを含む次の3次方程式の正の実数解によって与えられる。
Figure 2012074597
さらに、このgを用いて、曲率半径Rを下式の値に選べば良い。
Figure 2012074597
本実施例の場合も、入射角φを入射角θ と逆符号にとるのが良い。
上述の設計に基づいて、1.3μm帯の波長可変光源を構築した。利得媒質およびKTN電気光学偏向器は、実施例1と同様のものであった。刻線数300mm-1の凹面回折格子を用い、入射角θおよびφは、それぞれ70.00°、−32.32°に設定した。上述の構成により、中心波長1350nmにおいて発振が生じた。
式(8)に則して、これらの入射角に応じて定まる3次方程式からgの値を求めると、0.437を得た。
本波長可変光源の共振器長lは30cmであり、このgの値を用いて必要な曲率半径Rが、906mmと算定された。これらの値により、KTN電気光学偏向器を、凹面回折格子から135.2mm離した場所に設置した。
図9の(a)は、実施例2の可変波長光源の偏向角と発振波長との関係を示した図である。KTN電気光学偏向器に±350Vの電圧を印加すると、実施例1の場合と同様に角±50mradの範囲の偏向が生じ、それに伴い、(a)に示すように、光源の発振波長が60nm変化した。このような発振波長の変化幅は、従来技術によるものより優に一桁以上広い。回折格子のピッチがより粗いにも拘らず、上述の実施例1と比較して波長可変範囲が狭いのは、この場合、実質的な入射角変化がgの程度の比率で、減少するためである。
図9の(b)は、実施例2の可変波長光源の発振波長と共振器モード番号との関係を示した図である。本実施例の場合、モードホップに関しては、(b)に示したように、中心波長1350nmの周り±30nmの全変化範囲において、共振器モード番号を不変に保つことができた。KTN偏向器への印加電圧を変化させるだけで、従来技術と比べて格段に広い範囲で波長を変化させ、共振器モード番号を不変に保ってモードホップのない波長変化を実現できた。
以上詳細に説明したように、本発明の波長可変光源は、電気光学偏向器を回折格子から特定の距離だけ離れた地点に配置することで、モードホップのない滑らかな波長変化動作が可能となる。さらに回折格子を凹面回折格子とすれば、全波長範囲にわたってモードホップのない動作もできる。また、本発明の波長可変光源は、電気光学偏向器の静電容量や不均一性の問題を免れることができる。電気光学偏向器を折返し光路構成とすることもできるため小型化が可能であり、工業的に大きな効果が得られる。
本発明は、光学装置に利用できる。さらに、波長掃引測距あるいは電子デバイス光コヒーレンストモグラフィなどにも利用できる。
101、201、601 利得媒質
102、111、202、211、602、611 集光レンズ
103、203、609 電気光学偏向器
104、204、304 制御電圧原
105、205 2分の1波長板
106、206、406、506、606 回折格子
110、210、410、510、610 端面鏡
112、212、412、512、612 出力結合鏡
301 電気光学結晶
311、312 反射膜

Claims (4)

  1. 利得媒質と、前記利得媒質の一端からの光が入射する回折格子と、前記回折格子への前記入射光の回折光が直入射する端面鏡とを含み、前記回折格子を介して前記利得媒質と前記端面鏡を包含する共振器を備えた波長可変光源において、
    前記利得媒質と前記回折格子との間であって、前記共振器により形成される光路上に配置された電気光学偏向器をさらに備え、
    前記回折格子への前記電気光学偏向器側からの光入射角θと、前記回折格子への前記端面鏡側からの光入射角φとの間に、|θ|>|φ|の関係が存すること
    を特徴とする波長可変光源。
  2. 前記回折格子と前記電気光学偏向器との間で、前記共振器により形成される光路上に、2分の1波長板をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源。
  3. 前記回折格子は平面回折格子であって、
    前記電気光学偏向器と前記回折格子との間の光路長l2が、残余の共振器の光路長l1との間で、前記光入射角θおよび前記光入射角φを含む式
    Figure 2012074597
    の関係を満たすこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の波長可変光源。
  4. 前記回折格子は凹面回折格子であって、
    前記電気光学偏向器と前記回折格子との間の光路長l2を、前記凹面回折格子の曲率半径Rと前記光入射角θの余弦の積とによって規格化した量g=l2(R/cosθ)が、前記光入射角θおよび光入射角φを含む3次方程式
    Figure 2012074597
    の正の実数解で与えられ、かつ、前記凹面回折格子の前記曲率半径Rが、残余の共振器の光路長l1との間で、前記gおよび前記光入射角θおよび前記光入射角φを含む式
    Figure 2012074597
    の関係を満たすこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の波長可変光源。
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