JP2012070510A - 電力供給装置及び電力供給方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリにおいて充放電容量の低下を防止する。
【解決手段】バッテリ(6)を有する車両(70)に搭載される電力供給装置(50)は、前記バッテリへ電力を出力するDC/DCコンバータ(3)と、前記DC/DCコンバータの出力に含まれる交流成分の大きさを調整する調整手段(4)と、車両が停止したことを判定する判定手段(S2)と、前記車両が停止した後、前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御する制御手段(1)と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力供給装置及び電力供給方法に関する。特に、本発明は、車両のバッテリの充電に使用する電力供給装置及び電力供給方法に関する。
特許文献1に記載された従来技術の自動車用電池制御装置は、12V補助バッテリ(鉛蓄電池)のサルフェーションの検出もしくは推定を行う。この従来の制御装置は、例えば、充放電の電流と電圧を測ることで充放電インピーダンス特性を得て、サルフェーションの状態を推定している。
ここで、サルフェーションとは、電極に析出した硫酸塩(硫酸鉛)で電極表面が覆われ、充放電容量が低下した状態をいう。一旦生成された硫酸塩は、最初、結晶が小さな状態で存在するが、充放電サイクルの繰り返しにより、段々と結晶が成長する。硫酸塩は、やがて固形化して電極に堆積し、充放電容量が低下する。
従来の制御装置は、サルフェーションによるバッテリの劣化状態と判定した場合、他の追加二次電池で12V補助バッテリの充放電を行う。適時に12V補助バッテリを充電してSOCを高めることで、電極に析出した硫酸塩の量が低減され、硫酸塩が電極表面で結晶成長することが防止される。従って、サルフェーションの発生が遅れ、12V補助バッテリの劣化が抑制される。
なお、他に関連する文献として特許文献2、3がある。
特開2008−147005号公報 特許第4360083号明細書 特許第3974644号明細書
しかしながら、従来技術では、結晶化して固化した硫酸塩(硫酸化合物)を積極的に除去するための手段を有さない。このため、既に電極で硫酸塩が結晶化して堆積している場合、充放電サイクルや温度サイクルにおける充放電容量の低下は避けられない。
本発明は、バッテリにおいて充放電容量の低下を防止することを目的とする。
本発明のある態様に係る電力供給装置は、バッテリを有する車両に搭載される。電力供給装置は、前記バッテリへ電力を出力するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータの出力に含まれる交流成分の大きさを調整する調整手段を備える。さらに、電力供給装置は、車両が停止したことを判定する判定手段と、前記車両が停止した後、前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御する制御手段と、を備える。
本発明によると、バッテリにおいて電極に堆積した化合物を除去できる。これにより、バッテリの充放電容量の低下を防止できる。
第一実施形態に係る電力供給装置を搭載した車両を示す概略図である。 第一実施形態に係るDC/DCコンバータ3の回路構成の一例を示す回路図である。 第一実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。 リップル増大モードと通常リップルモードにおけるDC/DCコンバータの出力電圧の時間依存性を示すタイムチャートである。 第二実施形態に係る電力供給装置を搭載した車両を示す概略図である。 第二実施形態に係るDC/DCコンバータの回路構成の一例を示す回路図である。 第三実施形態に係る電力供給装置を搭載した車両を示す概略図である。 第三実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。 第四実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。 第五実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。 第六実施形態に係る電力供給装置を搭載した車両を示す概略図である。 第七実施形態に係る電力供給装置を搭載した車両を示す概略図である。
以下では図面を参照して本発明を実施するための形態について、さらに詳しく説明する。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70を示す図である。第一実施形態において、電力供給装置50は、電気自動車やハイブリッド車両等の車両70に搭載されている。
車両70には、コントローラ(制御部)1、DC/DCコンバータ3、補助バッテリ(第一バッテリ)6、電装品負荷7、主バッテリ(第二バッテリ)9、インバータ10、電気モータ11が設けられる。コントローラ1は、DC/DCコンバータ3やインバータ10等を制御する。コントローラ1は、中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力インターフェース(I/O interface)を有するマイクロコンピュータを備える。電力供給装置50は、コントローラ1とDC/DCコンバータ3を備え、DC/DCコンバータ3は補助バッテリ6に電力を供給する。
本実施形態では、補助バッテリ6は、12Vの低電圧バッテリであり、主バッテリ9は、補助バッテリ6より高い電圧(例えば、400V)を有する高電圧バッテリであるが、これに限定されるものではない。主バッテリ9が、補助バッテリ6より低い電圧を有してもよい。補助バッテリ6は、鉛蓄電池であるが、充放電により電極に化合物が生成されるものであれば、本実施形態を適用可能である。
DC/DCコンバータ3は、主バッテリ9からの直流電圧を補助バッテリ6への直流電圧に変換する。主バッテリ9は、DC/DCコンバータ3を介して、補助バッテリ6を充電する電力を提供する。DC/DCコンバータ3として、スイッチングレギュレータが使用されてもよい。
電装品の負荷である電装品負荷7は、補助バッテリ6又はDC/DCコンバータ3から電力を供給される。電気モータ11は、車両駆動用のインバータ10を介して発電した電力を主バッテリ9に供給する。又、電気モータ11は、インバータ10を介して主バッテリ9から電力を供給され、車両の駆動輪を回転させる。
主バッテリ9は、充電回路からなる充電器31を介して、車両70の外部の給電設備(電力インフラ)32から充電される。充電器31は、車両70に搭載されている。例えば、充電器31のプラグを給電設備32のコンセントに差し込むことにより、主バッテリ9は充電される。
電流計101は、補助バッテリ6への充電電流と補助バッテリ6からの放電電流を計測する。電圧計102は、補助バッテリ6の電圧を計測する。
DC/DCコンバータ3は、リップル制御回路(交流成分除去回路)20と切替えスイッチ21からなる交流成分調整部4(交流成分調整手段)を有する。切替えスイッチ21の動作に応じてリップル制御回路20は、リップルノイズ(即ち交流成分)を除去する。これにより、交流成分調整部4は、DC/DCコンバータ3の出力(出力電圧、出力電力)に含まれる交流成分の大きさを調整できる。リップル制御回路20は、平滑回路(或いはローパスフィルタ回路)の一部又は全部であり、例えば、コンデンサ及び/又はコイルを含む回路である。
切替えスイッチ21は、DC/DCコンバータ3の出力ラインを選択し、DC/DCコンバータ3から電力がリップル制御回路20を通過して出力されるかバイパスして出力されるか否かを選択する。出力ライン(ワイヤハーネス)26が選択される場合、DC/DCコンバータ3から電力は、リップル制御回路20をバイパスして出力され、出力のリップルノイズ(即ち交流成分)は大きくなる(図4参照)。一方、出力ライン27が選択される場合、DC/DCコンバータ3から電力は、リップル制御回路20を通過して出力され、出力中のリップルノイズは小さくなる(図4参照)。コントローラ1は、切替えスイッチ21の動作を制御する。切替えスイッチ21は、トランジスタ等の半導体スイッチでよい。
図2は、DC/DCコンバータ3の回路構成の一例を示す回路図である。DC/DCコンバータ3のスイッチング素子としてのトランジスタTrは、スイッチング周期t1でオンオフする。主バッテリ9からの高電圧は、トランジスタTrのデューティファクタ(オン時間の比率)に応じた低電圧に変換される。トランジスタLとコンデンサC0からなるローパスフィルタを通過した電力は、コンデンサC1によりさらに平滑化される。
ここで、コンデンサC1はリップル制御回路20に相当し、トランジスタTr1は切替えスイッチ21に相当する。なお、コンデンサC1は、トランジスタL、コンデンサC0、コンデンサC1からなる回路全体をローパスフィルタとみなす場合には、ローパスフィルタ回路の一部となっている。
トランジスタTr1がオフするのに応じて、コンデンサC1はバイパスされ、DC/DCコンバータ3の出力における交流成分(リップルノイズ)が増加する。トランジスタTr1がオンするのに応じて、コンデンサC1は出力を平滑化し、DC/DCコンバータ3の出力における交流成分(リップルノイズ)は減少する。なお、コンデンサC1とコンデンサC0の容量を調整することにより、交流成分の増加量が調整できる。
交流成分が増加したDC/DCコンバータ3の出力電力が補助バッテリ6に供給される場合、補助バッテリ6の電極に析出した硫酸塩が大きな電荷移動により除去できるか、もしくは、電極におけるサルフェーションが抑制できる。なお、DC/DCコンバータ3のスイッチング素子のスイッチング動作により生来的に発生する交流成分を有効利用して、簡便にサルフェーション(硫酸化合物の生成)が抑制でき、もしくは、電極に堆積した硫酸塩(硫酸化合物)を除去できる。このため、補助バッテリ6の劣化が防止できるか、又は、劣化した補助バッテリ6を回復できる。
図3は、コントローラ1が実行する制御ルーチンを説明するフローチャートである。制御ルーチンは、所定の周期(例えば、数十ミリ秒)で繰返し実行される。
ステップS1において、センサ33を介して車両70の運転状態が検出される。具体的には、車両駆動用のインバータ10の動作情報が取得される。例えば、インバータ10の動作情報は、インバータ10へのPWM信号やインバータ10の出力電流などである。この場合、センサ33は、インバータ10へのPWM信号やインバータ10の出力電流を検出する。センサ33は、車両70の運転状態として車両70の速度を検出する速度センサでもよい。
ステップS2において、車両が停止しているか否か判定される。例えば、センサ33から取得したインバータ10へのPWM信号やインバータ10の出力電流がゼロである場合、車両が停止していると判定できる。車両が停止していない場合、ルーチンはステップS8に進む。一方、車両が停止している場合、ルーチンはステップS3に進む。
ステップS3において、主バッテリ9の充電状態がセンサ34を介して検出される。例えば、主バッテリ9の充電状態は、充電器31の充電電流や動作状態(オンオフ状態など)から分かる。コントローラ1は、充電器31の充電電流や動作状態を検出するセンサ34からの信号を受信する。
ステップS4において、主バッテリ9が充電中であるか否か判定される。例えば、充電器31が動作中(オン状態)である場合又は充電電流がゼロでない場合、主バッテリ9は充電中であると判定される。ここでの充電には、急速充電と通常充電の双方が含まれる。主バッテリ9が充電中でない場合、ルーチンはステップS8に進む。主バッテリ9が充電中である場合、ルーチンはステップS5に進む。
ステップS5において、補助バッテリ6の劣化状態が検出される。補助バッテリ6の劣化状態は、補助バッテリ6の電流値I及び電圧値Vから求められる。補助バッテリ6に接続された電流計101と電圧計102は、それぞれ、補助バッテリ6の電流値Iと電圧値Vを計測する。例えば、補助バッテリ6の劣化状態は、電流値Iと電圧値Vから求められる内部抵抗R(簡単にはV/I)で表わされる。
ステップS6において、補助バッテリ6が劣化しているか否か判定される。例えば、内部抵抗Rが閾値Rth以上であれば、補助バッテリ6はサルフェーションにより劣化していると判定できる。補助バッテリ6が劣化していない場合、ルーチンはステップS8に進む。補助バッテリ6が劣化している場合、ルーチンはステップS7に進む。
ステップS7において、主バッテリ9が充電中である場合にDC/DCコンバータ3が停止しているため、DC/DCコンバータ3が起動する。そして、DC/DCコンバータ3は、その出力においてリップルノイズが増加するリップル増大モードで動作する。切替えスイッチ21は、コントローラ1の指令によりオフ状態になり、DC/DCコンバータ3から電力がリップル制御回路20をバイパスして出力する。これにより、DC/DCコンバータ3の出力中のリップルノイズが増加する。
一方、ステップS8において、DC/DCコンバータ3は、その出力においてリップルノイズが小さくなる通常リップルモードで動作する。切替えスイッチ21は、コントローラ1の指令によりオン状態になり、DC/DCコンバータ3から電力がリップル制御回路20を通して出力する。これにより、DC/DCコンバータ3の出力中のリップルノイズが減少する。DC/DCコンバータ3は、リップルノイズが小さい電力又は電圧を電装品負荷7に供給できる。
上記の制御ルーチンは定期的に実行される。このため、車両70が動き出した時や、主バッテリ9の充電が終了した時や、補助バッテリ6の劣化状態が回復した時に、リップル増大モードが終了する。
図4は、リップル増大モード(実線)と通常リップルモード(点線)におけるDC/DCコンバータ3の出力電圧の時間依存性を示すタイムチャートである。リップル増大モードにおけるリップル電圧V2は、通常リップルモードにおけるリップル電圧V1から増加している。このように、リップル増大モードでは、車両70が動いている場合などに行われる通常リップルモードよりもリップルノイズ(即ち交流成分)が増加している。
車両が停止した状態では、多くの電装品が停止している可能性がある。この時にリップルノイズを増大させることで、増大したリップルノイズの影響を受ける電装品の数を小さくすることができる。
−作用効果−
本実施形態によると、電力供給装置は、DC/DCコンバータ3の出力に含まれる交流成分の大きさを調整する調整手段(交流成分調整部4)を有する。判定手段(ステップS2)は、車両が停止したことを判定する。制御手段(コントローラ1)は、車両が停止した後、交流成分を増加するよう調整手段を制御する。このため、バッテリ(補助バッテリ6)において電極に堆積した化合物を除去できる。これにより、バッテリの充放電容量の低下が防止されるか、もしくは充放電容量が回復する。さらに、補助バッテリ6のサイクル寿命の劣化を考慮して、補助バッテリ6の充放電容量を大きくしておく必要がなくなり、補助バッテリ6を小型化できる。
調整手段は、交流成分を除去する除去回路(リップル制御回路20)と、除去回路をバイパスして電力を出力するか否か選択するスイッチ回路(切替えスイッチ21)を備える。スイッチ回路は、制御手段の制御により、交流成分を増加するため除去回路をバイパスして電力を出力する。これにより、DC/DCコンバータ3の出力に含まれる交流成分が異なる二以上のモードを簡便に作ることができる。
電力供給装置は、DC/DCコンバータ3に接続する他のバッテリ(主バッテリ9)が車両の外部の電源(給電設備32)から充電中であるか否か判定する判定手段(ステップS4)を備え、当該他のバッテリが車両の外部の電源から充電中である場合に、制御手段は交流成分を増加するよう調整手段を制御する。他のバッテリ(主バッテリ9)が充電中である場合、多くの電装品が確実に停止している。この時にリップルノイズを増大させることで、増大したリップルノイズの影響を受ける電装品の数を最小限にすることができる。
<第二実施形態>
図5は、第二実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70を示す図である。図6は、第二実施形態に係るDC/DCコンバータ3の回路構成を示す回路図である。第二実施形態では、第一実施形態とDC/DCコンバータ3の構成が異なる。他の構成は、第二実施形態と第一実施形態で共通する。
第二実施形態では、第一実施形態と異なり、DC/DCコンバータ3においてトランジスタTrのスイッチング周期t1は可変である。図6のように、コントローラ1は、トランジスタTrのドライバ回路40を制御して、スイッチング周期t1を変更できる。スイッチング周期t1は、ドライバ回路40がトランジスタTrのベースに与えるオン信号の周期である。
なお、第一実施形態の切替えスイッチ21(トランジスタTr1)とコンデンサC1は、図6のDC/DCコンバータ3において存在しない。図6の回路全体が、交流成分の大きさを調整する交流成分調整部4に相当する。図6では、トランジスタTrのオン期間に通過した電流が、コイルLとコンデンサCからなるLCフィルタ回路により整流、平滑化されている。
図3のステップS7のリップル増大モードにおいて、コントローラ1は、ドライバ回路40を制御して、スイッチング周期t1を低下させる。これにより、DC/DCコンバータ3の出力においてリップルノイズ(即ち交流成分)が増加する。周知のとおり、DC/DCコンバータにおいて、スイッチング周期を低下させるとリップルノイズが増加する。
図3のステップS8の通常リップルモードにおいて、コントローラ1は、ドライバ回路40を制御して、スイッチング周期t1を増加させる。これにより、DC/DCコンバータ3の出力においてリップルノイズが減少する。
例示として、ステップS7のリップル増大モードでは、スイッチング周期t1は2kHzであり、ステップS8の通常リップルモードでは、スイッチング周期t1は10kHzである。
代替として、トランジスタTrの駆動パターンをドライバ回路40のオン信号の波形により変化させて、リップル増大モードと通常リップルモードとの間で、リップルノイズを増減させてもよい。
また、代替として、図6の素子を性能可変として、素子の性能を可変させて、前述の二つのモード間でリップルノイズを増減させてもよい。例えば、図6のLCフィルタ回路のコンデンサCが容量可変のバリアブルコンデンサである場合には、コントローラ1の指令によりコンデンサCが容量を変化させて、二つのモード間でリップルノイズを増減させてもよい。
第二実施形態によると、調整手段(交流成分調整部4)は、DC/DCコンバータ3のスイッチング周波数を変更できる。制御手段(コントローラ1)は、交流成分を増加するため、スイッチング周波数を減少するよう調整手段を制御する。第二実施形態では、第一実施形態の切替えスイッチ21(トランジスタTr1)を含まないため、DC/DCコンバータ3の製造コストが削減される。また、交流成分の増大するモードをハードウェアの切り替えを行わずに実現できる。
<第三実施形態>
図7は、第三実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70を示す図である。図8は、第三実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。コントローラ1は、制御ルーチンを所定の周期で繰返し実行する。なお、第一実施形態と同じ機能を有する部材やステップには、同じ番号を付して説明を省略する。
図7を参照すると、第三実施形態において、電力供給装置50は、時間を計測するための時間計測部(時間計測手段)45を有する。コントローラ1の指令により、時間計測部45は、DC/DCコンバータ3が停止している時間、車両70が停止している時間、アクセサリ電源系統51や主電源系統52が停止(パワーオフ)している時間などを計測する。
なお、アクセサリ電源系統51は、消費電力の小さいオーディオ機器などの電装品55に電力を供給する。主電源系統52は、アクセサリ電源系統51が電力を供給しない電装品に電力を供給する。例えば、主電源系統52は、エアコンディショナーなど消費電力の大きい電装品57に電力を供給する。主電源系統52は、エンジンを搭載した車両におけるイグニッション電源系統に相当する。
アクセサリ電源系統51と主電源系統52は、ともに車両70のキースイッチ47の状態に応じてオンオフする電源ラインである。アクセサリ電源系統51は、車両70のキースイッチ47が第一の位置(ACC位置)又は第二の位置(ON位置)にある場合にオンする電源ラインである。主電源系統52は、車両70のキースイッチが第二の位置(ON位置)にある場合にオンする電源ラインである。電圧センサ53は、アクセサリ電源系統51の電圧を測定し、アクセサリ電源系統51が停止(オフ)しているかオンしているか検出する。電圧センサ54は、主電源系統52の電圧を測定し、主電源系統52が停止(オフ)しているかオンしているか検出する。コントローラ1は、電圧センサ53、54を介して、アクセサリ電源系統51や主電源系統52のオンオフを検出できる。
図8を参照すると、ステップS2において、車両が停止している場合、ルーチンはステップS13に進む。ステップS13において、DC/DCコンバータ3が停止している時間(停止時間)が検出される。ステップS14において、停止時間が所定時間より大きいか判定される。停止時間が所定時間より大きい場合、ルーチンはステップS7に進み、DC/DCコンバータ3は、起動してリップル増大モードで動作する。停止時間が所定時間以下の場合、ルーチンは終了する。所定時間は、例えば、1週間又は1カ月である。ステップS15において、リップル増大モードが所定の待ち時間の間継続されて、補助バッテリ6が充電される。
なお、ステップS13において検出される停止時間は、車両が停止している時間そのものでもよいし、アクセサリ電源系統や主電源系統が停止している時間でもよい。
第三実施形態によると、電力供給装置は、DC/DCコンバータ3が停止している停止時間、車両が停止している停止時間、又は、車両の電源系統の一つが停止している停止時間を計測する時間計測手段(時間計測部45)を備える。時間計測手段が計測した停止時間が所定時間より大きい場合に、制御手段(コントローラ1)は交流成分を増加するよう調整手段(交流成分調整部4)を制御する。
このため、停止時間が所定時間より大きい場合に、DC/DCコンバータ3はリップル増大モードで動作して、補助バッテリ6のバッテリ上がりを防止するための充電と兼ねて、サルフェーションの抑制とバッテリ電極の硫酸塩の除去できる。停止時間が所定時間より大きい場合、多数の電装品が停止している可能性が高いため、増大したリップルノイズの影響を受ける電装品の数を最小限にすることができる。
<第四実施形態>
図9は、第四実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。コントローラ1は、制御ルーチンを所定の周期で繰返し実行する。なお、第一実施形態と第三実施形態と同じ機能を有する部材やステップには、同じ番号を付して説明を省略する。第四実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70は、図7に示されるものと同じである。
ステップS21において、アクセサリ電源系統51(又は主電源系統52)のオンオフ状態が、電圧センサ53(又は電圧センサ54)を介して取得される。ステップS22において、アクセサリ電源系統51(又は主電源系統52)がオフしているか否か判定される。アクセサリ電源系統51(又は主電源系統52)がオフ状態である場合、ルーチンはステップS7に進み、DC/DCコンバータ3はリップル増大モードで動作する。一方、アクセサリ電源系統51(又は主電源系統52)がオン状態である場合、ルーチンはステップS8に進み、DC/DCコンバータ3は通常リップルモードで動作する。
第四実施形態によると、電力供給装置は、車両の電源系統の少なくとも一つが停止しているか否か判定する判定手段(ステップS21)を備える。電源系統の少なくとも一つが停止している場合に、制御手段(コントローラ1)は交流成分を増加するよう調整手段を制御する。アクセサリ電源系統51(又は主電源系統52)が停止状態である場合、車両70のほとんどの電装品が確実に停止している。この時にリップルノイズを増大させることで、増大したリップルノイズの影響を受ける電装品の数を最小限にすることができる。
<第五実施形態>
図10は、第五実施形態に係る制御ルーチンを説明するフローチャートである。コントローラ1は、制御ルーチンを所定の周期で繰返し実行する。なお、第一と第三実施形態と同じ機能を有する部材やステップには、同じ番号を付して説明を省略する。第五実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70は、図7に示されるものと同じである。
第五実施形態において、車両70には、アクセサリ電源系統51から電力が供給される電装品55としてラジオ、テレビ、又は通信装置が搭載される。通信装置は、各種情報センターやユーザとの交信に用いられる。
ステップS31において、電装品55のオンオフ状態が取得される。電装品55のオンオフ状態を検出するセンサが設けられてよい。簡単には、このセンサは電圧センサ53でよく、電装品55のオンオフ状態は、電圧センサ53を介してアクセサリ電源系統51のオンオフ状態として取得されてよい。
ステップS32において、電装品55がオフしているか否か判定される。電装品55がオフ状態である場合、ルーチンはステップS7に進み、DC/DCコンバータ3はリップル増大モードで動作する。一方、電装品55がオン状態である場合、ルーチンはステップS8に進み、DC/DCコンバータ3は通常リップルモードで動作する。
第五実施形態によると、電力供給装置は、車両の電装品55が停止(パワーオフ)しているか否か判定する判定手段(ステップS32)を備える。電装品55が停止している場合に、制御手段(コントローラ1)は交流成分を増加するよう調整手段を制御する。ラジオ、テレビ、又は通信装置のような電装品は、電磁波や誘導電流の被害を受けやすい。電装品が停止している場合にのみリップルノイズを増大させることで、電装品が電磁波や誘導電流のリップルノイズの被害を受けることが防止できる。
<第六実施形態>
図11は、第六実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70を示す図である。第一実施形態の交流成分調整部4は、DC/DCコンバータ3内に存在しない。その代わり、車両70は、電力を生じる発電装置71とリップルノイズを発生するリップルノイズ発生装置72を有する。発電装置71は太陽電池であり、リップルノイズ発生装置72は、スイッチング素子を有する太陽電池コンディショナである。なお、発電装置71はオルタネータでもよく、リップルノイズ発生装置72は、スイッチング素子を有するスイッチングレギュレータでもよい。リップルノイズ発生装置72は、第一実施形態のDC/DCコンバータ3と同様に、ステップS7において、コントローラ1の指令に応じてリップル増大モードで動作する。
第六実施形態によると、DC/DCコンバータ3以外のリップルノイズ発生装置72を設けることにより、DC/DCコンバータ3は、リップルノイズ増大によりサルフェーションを抑制する必要がない車両でも使用でき、部品共通化によりコストが削減できる。
<第七実施形態>
図12は、第七実施形態に係る電力供給装置50を搭載した車両70を示す図である。第一実施形態の切替えスイッチ21(トランジスタTr1)とリップル制御回路20(コンデンサC1)は、DC/DCコンバータ3内に存在しない。その代わり、アクセサリ電源系統51又は主電源系統52に、交流成分調整部4として切替えスイッチ81とリップル制御回路82が設けられる。コントローラ1は、切替えスイッチ81のオンオフを制御する。
リップル増大モード(ステップS7)において、切替えスイッチ81がオフ状態になり、平滑回路を含むリップル制御回路82は、DC/DCコンバータ3の出力からリップルノイズを減少させない。このため、補助バッテリ6に供給される電力において、リップルノイズが大きくなる。主バッテリ9の充電中、コントローラ1は、切替えスイッチ81をオフ状態にし、リップル増大モードを実施する。
通常リップルモード(ステップS8)において、切替えスイッチ81がオン状態になり、平滑回路を含むリップル制御回路82は、DC/DCコンバータ3の出力からリップルノイズを減少させる。補助バッテリ6に供給される電力においてリップルノイズが小さくなる。
第七実施形態によると、DC/DCコンバータ3以外のリップルノイズ発生装置としてリップル制御回路82を設けることにより、DC/DCコンバータ3が軽量化できる。また、DC/DCコンバータ3は、リップルノイズ増大によりサルフェーションを抑制する必要がない車両でも使用できる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
例えば、上記の実施形態においてサルフェーション(硫酸化)は、バッテリの電極における化合物生成の一例であり、本発明は、サルフェーション以外の化学反応で化合物が堆積してバッテリの電極が劣化する場合にも、適用できる。
1 コントローラ(制御部)
3 DC/DCコンバータ
4 交流成分調整部(交流成分調整手段)
6 補助バッテリ(第一バッテリ)
7 電装品負荷
9 主バッテリ(第二バッテリ)
10 インバータ
11 電気モータ
20 リップル制御回路(交流成分除去回路)
21 切替えスイッチ
31 充電器
32 給電設備
45 時間計測部(時間計測手段)
47 キースイッチ
50 電力供給装置
51 アクセサリ電源系統
52 主電源系統
55、57 電装品
70 車両
101 電流計
102 電圧計

Claims (8)

  1. バッテリを有する車両に搭載される電力供給装置であって、
    前記バッテリへ電力を出力するDC/DCコンバータと、
    前記DC/DCコンバータの出力に含まれる交流成分の大きさを調整する調整手段と、
    車両が停止したことを判定する判定手段と、
    前記車両が停止した後、前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする電力供給装置。
  2. 前記調整手段は、交流成分を除去する除去回路と、前記除去回路をバイパスして電力を出力するか否か選択するスイッチ回路を備え、
    前記制御手段は、前記交流成分を増加するため、前記除去回路をバイパスして電力を出力するよう前記スイッチ回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
  3. 前記調整手段は、前記DC/DCコンバータのスイッチング周波数を変更でき、
    前記制御手段は、前記交流成分を増加するため、スイッチング周波数を減少するよう前記調整手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
  4. 前記DC/DCコンバータが停止している停止時間、車両が停止している停止時間、又は、車両の電源系統の一つが停止している停止時間を計測する時間計測手段を備え、
    前記時間計測手段が計測した停止時間が所定時間より大きい場合に、前記制御手段は前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電力供給装置。
  5. 前記DC/DCコンバータに接続する他のバッテリが、前記車両の外部の電源から充電中であるか否か判定する判定手段を備え、
    前記他のバッテリが前記車両の外部の電源から充電中である場合に、前記制御手段は前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電力供給装置。
  6. 前記車両の電装品が停止しているか否か判定する判定手段を備え、
    前記電装品が停止している場合に、前記制御手段は前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電力供給装置。
  7. 前記車両の電源系統の少なくとも一つが停止しているか否か判定する判定手段を備え、
    前記電源系統の少なくとも一つが停止している場合に、前記制御手段は前記交流成分を増加するよう前記調整手段を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電力供給装置。
  8. 車両においてDC/DCコンバータからバッテリへ電力を供給する電力供給方法であって、
    車両が停止したことを判定するステップと、
    前記車両が停止した後、前記DC/DCコンバータの出力に含まれる交流成分を増加するステップと、
    を含むことを特徴とする電力供給方法。
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