JP2012068428A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウォームアップ性能の向上させることができる定着装置を提供する。
【解決手段】熱源84により加熱されるとともに回転する加熱ローラ78と、加熱ローラ78の外周表面の一部と摺動接触する固定部材74と、加熱ローラ78と固定部材74に架け渡される可撓性を有する定着ベルト77と、定着ベルト77を介して固定部材74と加圧接触してニップ部を形成する加圧ローラ72と、をニップ部形成のための加圧方向にこの順番で配列して備え、かつ、加熱ローラ78と固定部材74とを離間させる離間手段を備え、ニップ部の圧力は、定着ベルト77及び固定部材74を介した、加熱ローラ78と加圧ローラ72との間の加圧力により付与される。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。さらに詳述すると、高速印刷が可能な電子写真方式のカラー画像形成装置に好適な定着装置に関する。
複写機、レーザープリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体上に形成した静電潜像を現像装置で現像し、そのトナー像を記録媒体(用紙、被定着材、記録材ともいう)上に転写し、定着装置によって定着して画像形成を行っている。
この定着装置としては様々な方式のものが提案されており、例えば、ローラ定着方式の定着装置が知られている。ローラ定着方式は、例えば、図13に示すように、定着ローラ91と、加圧ローラ92からなり、それぞれ金属パイプ93,94の表層にゴム層95,96を設け、内側にハロゲンヒータ97,98を備えている。このようなローラ定着方式の定着装置では、ゴム層が熱抵抗となるため、表面を一定温度に制御すると、金属パイプとゴム層の界面温度が高くなり、ゴムの耐熱温度を超えてしまう。そのため、ゴム層は薄くする必要がある(0.5〜2mm程度)。しかしながら、薄いゴム層の定着ローラと加圧ローラから得られるニップ幅は小さく、幅広いニップが必要な高速機には、ローラ定着方式では対応することができなかった。
また、例えば、特許文献1には、図14に示すような、加熱回転体78と、定着部材(回転体)74と、加熱回転体78と定着部材74によって張られた定着ベルト77と、定着ベルト77を介して定着部材74に加圧接触する加圧回転体72とから構成されるベルト定着方式の定着装置が開示されている。この定着装置は、定着部材74と加圧回転体72とが加圧され、加熱回転体78は、定着ベルト77と密着しながら従動回転するものである。
特許文献1に記載のベルト定着方式の定着装置によれば、ローラ定着方式によるものと比較して、定着ローラのゴム層を厚くすることができ、幅広いニップを得ることができる。しかしながら、例えば、50ppm以上の高速機では幅広いニップ幅を得るためにローラ径が直径50mm以上であることが必要となる。このような大径ローラは曲率が小さい(曲がり具合が緩い)ので、ニップ出口部での用紙はローラに巻きついてしまう(自然分離できない)。そのため、ニップ出口部のベルト表面に接触する分離爪83による強制分離が必要であるが、ベルト表面に接触した分離爪83による磨耗傷が画像に転写される不具合が生じてしまうという問題がある。
また、特許文献2には、ベルト定着方式において、定着部材を固定部材とし、固定部材には補助コロを追加する構成とした定着装置が開示されている。この定着装置は、定着部材(固定部材)と加圧回転体とが加圧され、加熱回転体は、定着ベルトと密着しながら従動回転するものである。
特許文献2に記載の定着装置によれば、定着部材を固定部材として省スペースで幅広いニップ幅を得ることが容易となる。この際、定着ベルトと固定部材とが摺動するおそれがあるが、補助コロを追加することにより、摺動低減を実現している。また、固定部材の形状によって、ニップ出口部曲率を大きくし(曲がり具合がきつい)、用紙分離性を改善している(自然分離が可能)。しかしながら、固定部材が小さいため、高圧力に耐えられない。すなわち、撓んでしまい、均一なニップを確保できないという課題があった。
また、特許文献3には、ベルト定着方式において、定着部材を固定部材と回転体とした定着装置が開示されている。この定着装置は、定着部材(固定部材と回転体)と加圧回転体とが加圧され、加熱回転体は、定着ベルトと密着しながら従動回転するものである。
特許文献3に記載の定着装置によれば、定着部材を固定部材と回転体とし、省スペースで幅広いニップ幅を得ることが容易となる。この際、定着ベルトと固定部材が摺動する欠点があるが、回転部材により、摺動低減を実現している。また、定着部材の回転体が小径なので、ニップ出口部の曲率を大きくし、用紙分離性を改善している(自然分離が可能)。しかしながら、上記特許文献2と同様に、固定部材が小さいため、高圧力に耐えられないという課題があった。
また、特許文献4には、固定した円筒形の加熱部材と、加熱部材と定着ベルトと、定着ベルトを介して加熱部材に加圧接触する加圧回転体とから構成される定着装置が開示されている。この定着装置は、加熱部材と加圧回転体とが加圧され、加熱部材は固定され、定着ベルトは加熱部材と接触、又は微小なクリアランスを保ちながら摺動回転するものである。
特許文献4に記載の定着装置によれば、特許文献1〜3に開示されたベルト定着方式の定着装置に比べ、ウォームアップタイムやファーストプリントタイムを短縮することができる。しかしながら、特許文献4に記載の技術では、定着ベルトと加熱部材とが摺動している。ここで、加熱部材から定着ベルトへの熱伝達性能を上げるためには、加熱部材と定着ベルトとのクリアランスを0に近づけ、接触面積を増やす必要があるが、摺動抵抗は増加してしまう。また、定着ベルトの走行性を保つためには、加熱部材と定着ベルトとのクリアランスを広げ、摺動抵抗を減らす必要があるが、熱伝達性能は低下してしまう。また、クリアランスが生じる部分は、対流や輻射による熱伝達となるため、加熱部材側が定着ベルト側より高温となり、加熱部材の熱膨張や熱変形、熱劣化が問題となる。
近年、画像形成装置はカラー化、高画質化、高速化が進んでいる。カラー画像を高画質で定着するためには、記録紙がニップと接触している時間(以下、ニップ時間)は、40〜60msec必要であり、ニップ部での圧力が7N/cm以上必要である。特に、50PPM(A4サイズ)以上の高速機では、記録紙の搬送速度が速いため、上記ニップ時間を確保するために、ニップ幅は10mm以上と広く必要で、かつ7N/cm以上の面圧を必要とする。また、高速機で利用の多いコート紙(樹脂コートされた紙)は、ニップ通過中に水蒸気によるトナー画像乱れが生じやすいため、さらなる高面圧(12N/cm以上)を必要とする。
また、高画質化のためには、ニップ部出口では記録紙が自然分離する必要があり、ニップ部の形状や、ニップ出口部のローラ曲率、ガイド部材を工夫している。なお、分離爪などをローラに当接させて記録紙を強制分離する方法もあるが、ローラの磨耗傷が画像に転写されてしまい、画像を劣化させてしまうおそれがある。
このような高速画像形成装置においては、ニップ幅を確保しやすい、上記特許文献1のようなベルト定着装置が多く採用されている。しかしながら、10mm以上の広いニップ幅、および高面圧を得るためには、定着ローラと加圧ローラの間に高い加圧力が必要であり、この加圧力にたわまず、軸方向に均一なニップ幅を得るためには、強度が高い直径50mm以上の大径のローラが必要となる。
大径ローラのベルト定着装置は、装置自体が大型化し、部品コストも増加するという問題がある。また、ニップ出口のローラ曲率が小さくなり、記録紙が自然分離しにくくなるため、例えば、溶融したトナーの粘着力によって定着ベルトに記録紙が巻きついてしまう等の不具合が発生する。また、分離爪による強制分離とすると、画像が劣化するおそれがある。
また、定着部材を固定部材とした上記特許文献2,3のような定着装置では、定着部材を固定部材とすることで、定着ベルトと固定部材が摺動するため、摺動抵抗により定着ベルト走行性が悪化したり、各々の部材の磨耗劣化などの問題が生じることとなる、これに対し、特許文献2,3では、固定部材にコロを設けて摺動抵抗を低減させたり、各々の部材の材質やグリスなどを工夫して解決を図っているが、固定部材は大径ローラと比較して小さいので、強度不足となってしまう。そのため、高面圧が得られず、画質向上を図りにくいという問題があった。
また、特許文献4の定着装置では、加熱部材を大径化し、補強部材を大きくすることで高面圧に対応することが可能であり、ニップ部の形状によって、幅広いニップを得ることができるが、加熱部材を大径化すると、特許文献1のベルト定着装置と同様に、ニップ出口のローラ曲率が小さくなるので、記録紙が自然分離しにくく、溶融したトナーの粘着力によって定着ベルトに記録紙が巻きついてしまう問題があった。また、熱伝達性能とベルト走行性を両立するのが難しく、高速の画像形成装置に採用するのは困難であった。
そこで本発明は、ニップ部の圧力を固定部材だけではなく加熱回転体も利用して受けることで、固定部材を大きくすることなく、幅広、高面圧なニップを得ることを可能とし、定着ベルト周長を短くすることで小型化を図り、かつ、ウォームアップ性能を向上させることができる定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の定着装置は、熱源により加熱されるとともに回転する加熱回転体と、加熱回転体の外周表面の一部と摺動接触する固定部材と、加熱回転体と固定部材に架け渡される可撓性を有する定着ベルトと、定着ベルトを介して固定部材と加圧接触してニップ部を形成する加圧回転体と、をニップ部形成のための加圧方向にこの順番で配列して備え、かつ、加熱回転体と固定部材とを離間させる離間手段を備え、ニップ部の圧力は、定着ベルト及び固定部材を介した、加熱回転体と加圧回転体との間の加圧力により付与されるものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の定着装置において、離間手段は、加圧回転体と定着ベルトとを離間させるものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の定着装置において、離間手段は、ニップ部形成のための加圧回転体の加熱回転体側への押圧を解除することにより、加熱回転体と固定部材とを離間させるものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の定着装置において、定着ベルトを所定温度まで上昇させるウォームアップ動作時に、離間手段により加熱回転体と固定部材とを離間させるものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の定着装置において、離間手段は、加圧回転体を加熱回転体側に押圧する加圧手段と、固定部材を加熱回転体から離間する方向に付勢する付勢手段と、からなり、加熱回転体と固定部材との接触状態では、加圧手段による押圧力が付勢手段による付勢力よりも大きく、加熱回転体と固定部材との離間状態では、加圧手段による押圧力が付勢手段による付勢力よりも小さいものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5までのいずれかに記載の定着装置において、加圧回転体を回転駆動させる加圧回転体駆動手段と、加熱回転体を回転駆動させる加熱回転体駆動手段と、を備え、離間手段により加熱回転体と固定部材とが離間した状態においては、定着ベルトは、加熱回転体駆動手段による加熱回転体の回転駆動に従動回転するものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の定着装置において、加熱回転体駆動手段による加熱回転体の回転速度は、加熱回転体が、加圧回転体駆動手段により回転駆動される加圧回転体に従動回転する定着ベルトを介して従動回転する場合の回転速度よりも低速であるものである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7までのいずれかに記載の定着装置において、加熱回転体と固定部材とは、固定部材に設けられた回転体を介して接触しているものである。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8までのいずれかに記載の定着装置において、ニップ部入口及び/又は出口では、定着部材と固定部材とは、固定部材に設けられた回転体を介して接触しているものである。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の定着装置において、固定部材は、ニップ部入口側又は出口側の一方に設けられた回転中心を有しており、離間手段により、回転中心を有しない側において、加熱回転体と離間するものである。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から10までのいずれかに記載の定着装置において、熱源は、中空パイプ形状である加熱回転体の内部に配置される赤外線ヒータであるものである。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1から11までのいずれかに記載の定着装置において、熱源は、加熱回転体の内部又は外部に設けられる誘導加熱装置であるものである。
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の定着装置において、誘導加熱装置に対し、整磁合金層と、磁気遮蔽層とがこの順に設けられているものである。
また、請求項14に記載の画像形成装置は、請求項1から13までのいずれかに記載の定着装置を備えるものである。
本発明によれば、固定部材を大きくすることなく、幅広、高面圧なニップを得ることを可能とし、定着ベルト周長を短くすることで定着装置の小型化を実現することができ、かつ、ウォームアップ性能を向上させることができる。
本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 定着装置の側面図の一例である。 第1状態における巻きつけ角度を示す説明図である。 第2状態における巻きつけ角度を示す説明図である。 コロを有する固定部材の模式図である。 突起形状を有する固定部材の模式図である。 固定部材が回転支点により回動する様子を示す模式図である。 加熱ローラと固定部材とが離間し、加圧ローラが定着ベルトを介して固定部材と接触する定着装置の概略構成図である。 定着装置の側面図の他の例である。 熱源として誘導加熱手段を用いた定着装置の一例を示す概略構成図である。 熱源として誘導加熱手段を用いた定着装置の他の例を示す概略構成図である。 従来のローラ定着方式の定着装置の概略構成図である。 従来のベルト定着方式の定着装置の概略構成図である。
以下、本発明に係る構成を図1から図12に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(画像形成装置)
図1に、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の位置実施形態であるカラー複写機の全体概略構成を示す。図中符号100は、複写機本体である。複写機本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を、図示例では駆動ローラ14と第1の従動ローラ15と第2の従動ローラ16に掛け回して図中時計まわりに回転搬送可能に設ける。もちろん、別途中間転写体10の片寄りを調整するローラに掛け回すなど、4つ以上のローラに掛け回すようにしてもよい。なお、中間転写体10は、図示例ではほぼ水平に張り渡すが、水平ではなく、斜めに傾斜して張り渡すようにしてもよい。
この図示例では、図示省略するが、第2の従動ローラ16に近接し、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置を設ける。
また、駆動ローラ14と第2の従動ローラ16間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・イエロ・マゼンタ・シアンの4つの単色作像手段18を横に並べて配置してタンデム作像装置20を設ける。タンデム作像装置20の上には、さらに露光装置21を設ける。
一方、中間転写体10の張り渡し領域の下方には、ローラを用いた2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、第1の従動ローラ15に押し当てて中間転写体10上の画像を記録媒体Pに転写する。2次転写装置22の横には、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである搬送ベルト24を掛け渡して設ける。搬送ベルト24の横には、記録媒体P上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。
上述した2次転写装置22には、画像転写後の記録媒体Pを搬送する媒体搬送機能も備えている。もちろん、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、この媒体搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
さて、このような2次転写装置22、搬送ベルト24、および定着装置25の下方には、用紙・OHPフィルム等の記録媒体Pを収納する媒体収納カセット28を備える。
ところで、いまこのカラー複写機を用いてコピーをとるときは、スキャナ200の原稿台30上に原稿Gをセットし、不図示の原稿押えで押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、スキャナ200を駆動して原稿内容を読み取ることができる。すなわち、ハロゲンランプ等の光源31で原稿Gを照射してその反射光をミラー32で反射し、レンズ33を透して集光してCCD34に入れ、画像を電気信号に変換する。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、同時に不図示の駆動モータで駆動ローラ14を回転駆動して従動ローラ15・16を従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の単色作像手段18でその像担持体40を回転して各像担持体40上にそれぞれ、ブラック・イエロ・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次重ね1次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙コロ35を回転し、媒体収納カセット28から記録媒体Pを繰り出し、給紙路36に入れてレジストローラ37に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ37を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間に記録媒体Pを送り込み、2次転写装置22で中間転写体10上の合成カラー画像を一括して2次転写して記録媒体P上にカラー画像を形成する。
画像転写後の記録媒体Pは、搬送ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、排紙トレイ38上にスタックする。
一方、画像転写後の中間転写体10は、不図示のベルトクリーニング装置で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像装置20による再度の画像形成に備える。
さて、上述したタンデム作像装置20において、各単色作像手段18は、詳しくは、ドラム状の像担持体40のまわりに、帯電装置41、現像装置42、1次転写装置43、クリーニング装置44、不図示の除電装置などを備えてなる。
図示省略するが、これら単色作像手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
単色作像手段18を構成する部分のうち、帯電装置41は、図示例では帯電ローラを用い、像担持体40に接触して電圧を印加することによりその像担持体40の帯電を行う。
現像装置42は、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。
1次転写装置43は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで像担持体40に押し当てて設ける。別に、ローラ状に限らず、ブラシや非接触のチャージャであってもよい。
クリーニング装置44は、像担持体40に接触してクリーニングブレードやクリーニングブラシなどのクリーニング部材を備え、そのクリーニング部材で像担持体40上の残留トナーを除去する。
不図示の除電装置は、例えばランプであり、光を照射して像担持体40の表面電位を初期化する。
そして、像担持体40の回転とともに、まず帯電装置41で像担持体40の表面を一様に帯電し、次いでスキャナ200の読取り内容に応じ、上述した露光装置21において、レーザやLED等による書込み光Lをポリゴンミラー47で反射してさらにミラー48で反射し、像担持体40に照射して像担持体40上に静電潜像を形成する。
その後、現像装置42によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写装置43で中間転写体10上に転写する。画像転写後の像担持体40の表面は、クリーニング装置44で残留トナーを除去して清掃し、除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
(定着装置)
本実施形態に係る定着装置25は、熱源84により加熱されるとともに回転する加熱ローラ78と、加熱ローラ78の外周表面の一部と摺動接触する固定部材74と、加熱ローラ78と固定部材74に架け渡される可撓性を有する定着ベルト77と、定着ベルト77を介して固定部材74と加圧接触してニップ部を形成する加圧ローラ72と、をニップ部形成のための加圧方向にこの順番で配列して備え、かつ、加熱ローラ78と固定部材74とを離間させる離間手段(カム50等)を備え、ニップ部の圧力は、定着ベルト77及び固定部材74を介した、加熱ローラ78と加圧ローラ72との間の加圧力により付与されるものである。なお、本明細書においては、「周方向」とは、加熱回転体(および加圧回転体)の回転方向をいい、「軸方向」とは、加熱回転体(および加圧回転体)の回転軸方向をいう。
[定着動作時(第1状態)]
図2に本実施形態に係る定着装置の概略構成図(正面図)を示す。また、図3に図2に示す定着装置の右側面図を示す。なお、図2に示す定着装置は、用紙上のトナー画像を定着する定着動作時の状態(以下、図2に示す状態を、第1状態(加圧状態)ともいう)を示している。
定着装置25は、フレームに回転可能に支持された加熱ローラ78と、加熱ローラ78の外周部と摺動接触し、図中の上下方向のみに移動可能なように固定された固定部材74と、加熱ローラ78と固定部材74との外側に楕円状に掛け回された可撓性の定着ベルト77と、加圧ローラ72とにより構成されており、定着ベルト77を介して固定部材74に対して加圧ローラ72を押し当てて定着ニップ部(定着ベルト77と加圧ローラ72との接触部をいう)が形成される。
定着ベルト77は、固定部材74に対して加圧ローラ72によって密着し、また、定着ベルト77には円形に戻ろうとする力(張力)が生じるため、加熱ローラ78に密着する。
加圧ローラ72には、図中の上方向の加圧力が与えられ、この加圧力は、定着ベルト77、固定部材74および加熱ローラ78に伝わる。したがって、定着ニップ部、固定部材74と定着ベルト77との接触部、固定部材74と加熱ローラ78との接触部には圧力が生じることとなる。
定着ベルト77の定着ニップ部の出口側には、定着ベルト77から用紙Pを分離補助する分離板83を先端部が定着ベルト77と接触しないように設置されている。ここで、分離板83は、搬送方向下流側に回転支点を有し、分離板先端近傍の位置決め部(軸方向で見て、用紙幅より外側にある)を定着ベルト77にバネ部材等で付勢して、分離板先端部と定着ベルト77とを微小なギャップとなるようにしている。よって、定着ニップ部の出口側で自然分離した用紙Pは、この分離板83によってガイドされ、定着ベルト77に巻きつくことはない。
加熱ローラ78は、内部に熱源84を備えている。熱源は、例えば、ハロゲンヒータ、赤外線ヒータ等であり、誘導加熱手段、熱抵抗等を用いても良い。
サーモパイル85−1は、加熱ローラ78に掛け回された定着ベルト77の掛け回し終わり後の位置での表面温度を検知する。なお、サーモパイル85−1は定着ベルト77に非接触で配置され、図3に示すように、軸方向における用紙幅内に設けられる。
また、サーミスタ85−2は、加熱ローラ78に掛け回された定着ベルト77の掛け回されている部分での表面温度を検知する。なお、サーミスタ85−2は定着ベルト77に接触させて配置され、図3に示すように、軸方向における用紙幅の外側に設けられる。
そして、定着ベルト停止中はサーミスタ85−2の検知温度に基づき、定着ベルト走行中はサーモパイル85−1の検知温度に基づき、不図示のコントローラにより、熱源84をオンオフ制御し、加熱ローラ78を所定温度に保持する。
加圧ローラ72も同様に、内部にハロゲンヒータ等の熱源86を備えており、同様に周面にサーミスタ87が押し当てられている。そして、サーミスタ87の検知温度に基づき不図示のコントローラで熱源86をオンオフ制御し、加圧ローラ72も同じく所定温度に保持する。
定着装置25の入口側には入口ガイド88が設けられ、用紙Pを定着ニップ部へと導くようにしている。
定着ベルト77の表面に接触している部材は、サーミスタ85−2、分離板83の突き当て部であるが、いずれも用紙幅より外側に配置しているので、用紙幅内の定着ベルト77に磨耗傷を生じさせることなく、磨耗傷が用紙Pのトナー画像に転写されることによる画像劣化が生じることはない。
本実施形態では、加圧ローラ72として、鋼等の金属パイプに厚さ2mmのシリコーンゴム層を設け、直径が40mm、両端のジャーナル部60を直径20mmに絞ったものを用いている。両端のジャーナル部60には、ベアリング61が設けられている。また、定着装置のフレームに回転可能に設けた加圧レバー82と圧縮スプリング62によって、ベアリング61を加熱ローラ78方向に加圧している(加圧手段)。そして、図示しない駆動手段からの駆動が、加圧ローラ端部に設けたギヤ(以下、加圧ローラ駆動ギヤともいう)63に入力され反時計まわりに回転する。このように構成された加圧ローラ72が回転することにより、定着ニップ部の定着ベルト77が従動回転する。
加熱ローラ78としては、熱伝導率のよい、厚さ0.5mm〜3mmのアルミニウム製のパイプ(中空パイプ形状)であって、直径40mmのものを用いている。加圧ローラ78の表面は、定着ベルト77との接触や、固定部材74との摺動接触による摩耗を防止するため、アルマイト処理やフッ素樹脂処理等が施されている。また、内面には耐熱黒塗装が施され、熱源84からの熱を吸収しやすくしている。
また、加熱ローラ78の両端部は、フレーム81にベアリング64を介して回転可能に支持されている。このように構成された加熱ローラ78は、定着ベルト77の回転によって従動回転しながら、定着ベルト77を加熱する。なお、加熱ローラ78は、加圧ローラ72からの圧接力を受けても、ほとんど撓むことのない剛性を有している。
固定部材74は、その上面を加熱ローラ78と摺動接触し、下面を定着ベルト77と摺動接触している。図中の左右方向の寸法は、加熱ローラ78の外径より小さく、かつ定着ニップ部より広い幅としている。また、図中の上下方向は、定着ベルト77が加熱ローラ78と固定部材74の両方に緩く張られるような寸法としている。
固定部材74の材質としては、耐熱性や摺動性に良好で、加熱ローラ78からの熱移動が少ない耐熱樹脂を使用することが好ましい。例えば、LCP(液晶ポリマー),PPS(ポリフェニレンサルファイド),PAI(ポリアミドイミド),PI(ポリイミド)等を用いることができる。
また、定着ベルト77との対向面は、一部シリコーンゴムなどの耐熱弾性体74−2とすることにより、定着ベルト77と用紙Pとの密着性を上げ、高画質化を図ることができる。また、固定部材74の摺動面には、フッ素樹脂をコーティングしたり、フッ素樹脂シートを介在させたりして、摺動抵抗を低減することが好ましい。
また、加熱ローラ78との対向面は、周方向における2箇所の接触部74−1で加熱ローラ78と摺動接触している。加熱ローラ対向面は加熱ローラ78との摺動抵抗が小さく、かつ熱移動しにくいような構成とすることが好ましい。例えば、図6に示すように、接触部74−1をコロなどの回転体で構成することや、図7に示すように、加熱ローラ78との接触面に、多数の半円状の突起形状74−5で形成し接触面積を低減することにより、摺動抵抗を低減し、熱移動防止を図ることができる。
また、定着ベルト77との対向面は、加圧ローラ72の外形面と同方向の曲面で形成され、定着ニップを形成している。このような固定部材側に凸形状のニップ形状では用紙Pは加圧ローラ側に沿って排出されるため、用紙Pが定着ベルト77に巻きつきにくくなる。なお、ニップ形状は、これに限られるものではなく、例えば、定着ベルト77との対向面をフラットにして、フラットなニップ形状としても良い。フラットな定着ニップ形状は、用紙Pの搬送性が良好でシワなどの用紙搬送不良が生じにくい。
また、定着ベルト77との対向面の左右にある定着ベルト進入部(入口部)74−3および/または出口部74−4は、加熱ローラ外形面と同方向の小さいR形状としている。定着ベルト77は、この2箇所のR部分と接触するように張られている。直径40mmローラ対による定着ニップでは、出口部の曲率が小さく(R=20mm)、用紙が自然分離しにくい欠点があるが、本構成では出口部の曲率が大きく(R=8mm)設定されており、用紙が自然分離しやすい特徴がある。
また、定着ベルト進入部74−3や出口部74−4は定着ベルト77と摺動接触しているので、摺動抵抗が小さくなる構成とするのが好ましい。例えば、図6に示すように、その接触部をコロなどの回転体で構成することにより、摺動抵抗を低減できる。
定着ベルト77は、例えば、耐熱性の高い、厚さが0.05〜0.2mmのポリイミド樹脂の表層と裏層に離型層をコーティングした、直径45mmのベルトである。ここで、表離型層は、例えば、シリコーンゴム、フッ素樹脂、シリコーンゴムとフッ素樹脂の2層構造、シリコーンゴムとフッ素樹脂の混合体などの材質から構成され、用紙上のトナーの凹凸に追従するために弾性を持たせている。また、裏離型層は、固定部材74との摺動抵抗を低減させるために、フッ素樹脂処理が施されている。さらに、フッ素グリスなどの潤滑材を塗布することも好ましい。なお、定着ベルト77の基材としては、樹脂に限らず、例えば、ステンレス、ニッケル、銅などの金属を用いたり、ゴム等を用いたりすることも好ましい。
以上のように構成した定着ベルト77は、大径の加熱ローラ78に巻きついて加熱され、定着ニップ部で用紙を加熱加圧することで、用紙P上のトナー画像を定着させる。
[ウォームアップ動作時(第2状態)]
次に、定着装置25の定着動作時以外の状態について説明する。定着動作時以外の状態には、例えば、ウォームアップ動作時、待機時、定着装置(画像形成装置)の電源オフ時などがある。
ここで、「ウォームアップ動作」とは、定着ベルト77の温度が定着動作可能な温度になるまで加熱させる動作をいい、定着ベルト77および加熱ローラ78を回転駆動させて熱源84のオンにして、定着ベルト77を均一に加熱するものである。また、「待機時」とは、定着動作から次の定着動作までの装置を使用していない状態をいう。従来、待機時においては、定着ベルト温度を一定温度にコントロールしていたが、近年、省エネ化のために温度コントロールを行わない定着装置も多い。このような定着装置では、待機時にも定着ベルト温度が低下していくので、次の定着動作前にウォームアップ動作を行う必要がある。また、「待機時」および「装置の電源オフ時」は、定着ベルト77の動作は停止している。
本実施形態に係る定着装置は、加熱ローラ78と固定部材74との接触状態を解除する離間手段を備えるものである。離間手段は、圧縮スプリング62の加圧レバー82の他端側に設けられたカム50により構成される。図2に示すカム50を、不図示の駆動手段によりカム軸50aを中心として回転動作させることにより、加圧手段(圧縮スプリング62および加圧レバー82)の加圧ローラ72に対する加圧力を弱めて、非加圧の状態とすることができる。この非加圧状態を、以下、第2状態ともいう。
図2に示す加圧状態(第1状態)から、カム50を180度回転させて非加圧状態(第2状態)とすることにより、加圧ローラ72は、自重により図中の下方向(加熱ローラ78から離れる方向)に移動し、定着ベルト77から離間する。
また、図3に示すように、固定部材74の軸方向における両端には、引張りスプリング51が設けられ、固定部材74を加熱ローラ78から離れる方向に付勢している(引張っている)。ここで、引張りスプリング51による付勢力は、圧縮スプリング62による加圧力よりも弱いものとしている。
したがって、図3に示す第1状態では、圧縮スプリング62の加圧力に押され、引張りスプリング51は伸長した状態となっている。これに対し、第2状態では、圧縮スプリング62の加圧力を受けないため、引張りスプリング51により固定部材74が下方向に引っ張られ、固定部材74が加熱ローラ78から離間する。すなわち、引張りスプリング51は、非加圧状態において、固定部材74を加熱ローラ78から離間させる離間手段として機能する。
また、引張りスプリング51の付勢力は、定着ベルト77を強く張るのに必要な力以上であるものとしている。このため、第2状態においては、引張りスプリング51は、定着ベルト77を第1状態より強く張ることとなる。
また、図3に示すように、加熱ローラ78の軸方向における端部には、ギヤ(以下、加熱ローラ駆動ギヤともいう)52が設けられており、ギヤ52の内部には、ワンウェイクラッチ57が設けられている。ここで、加熱ローラ駆動ギヤ52と加圧ローラ駆動ギヤ63とは、不図示の駆動手段(モータ)に連結され、双方のギヤが同時に駆動する。
上述のように、第1状態では、加熱ローラ78は、加圧ローラ72に従動駆動する定着ベルト77により従動回転するが、この際、加熱ローラ駆動ギヤ52は、加熱ローラ78より数%(1〜5%程度)遅い速度で回転するようにしている。ここで、ワンウェイクラッチ57は、「加熱ローラ従動回転速度>加熱ローラギヤ回転速度」の状態ではロックされないフリーの状態となっている。
これに対し、第2状態では、加圧ローラ72が定着ベルト77から離れるため、定着ベルト77は加圧ローラ72には、従動駆動されない。したがって、この場合は、ワンウェイクラッチ57が加熱ローラギヤ回転速度でロックされ、加熱ローラ78は第1状態より数%遅い回転数で駆動回転することとなる。
このように構成とすることで、第1状態では、加圧ローラ72による定着ベルト77及び加熱ローラ78の駆動、第2状態では加熱ローラ78による定着ベルト77の駆動を実現することができる。
ここで、定着動作時である第1状態では、加圧ローラ72と定着ベルト77の間に、用紙Pが進入するため、加圧ローラ72が定着ベルト77を従動駆動しにくくなり、スリップが生じるおそれがある。特に、厚手の用紙やコーティングが施された用紙等を用いる場合にスリップが生じるおそれがある。
しかしながら、このような場合でも、本実施形態に係る定着装置は、上述のように加熱ローラ78が、加熱ローラ駆動ギヤ52によって、数%遅い速度ではあるが定着ベルト77を回転させることができるので、定着ベルト77が回転停止することがない。したがって、ニップ部で用紙が停止してしまい、ジャムとなる不具合を防止することができる。また、定着ベルト77が停止することがないので、スリップが生じてもすぐに加圧ローラ72が定着ベルト77を駆動させる状態に復帰することができる。
[巻きつけ角度]
次に、定着ベルト77の巻きつけ角度について説明する。なお、巻きつけ角度とは、加熱ローラ78の円周(360°)のうち定着ベルト77が加熱ローラ78と接触している(巻きついている)部分の角度をいうものとする。図4は、第1状態における巻きつけ角度を説明する図、図5は、第2状態における巻きつけ角度を説明する図である。
本実施形態では、第1状態(図4)において、巻きつけ角度aが110°となるように固定部材74の形状等を設定している。ここで、巻きつけ角度が小さすぎると、加熱ローラ78から定着ベルト77への熱伝達時間が不足するため、効率よく熱を伝えることができない。
また、定着ベルト77が加熱ローラ78を従動回転する力より、加熱ローラ78と固定部材74の摩擦力が大きい場合は、加熱ローラ78が従動回転しないという問題が生じてしまう。なお、本実施形態では、加熱ローラ78にギヤ52を設けているので、加熱ローラ78が従動回転しなくとも問題はないが、後述する実施形態(第3の実施形態)のようにギヤ52を有しない構成では、加熱ローラ78が回転せず問題となる。
一方、巻きつけ角度が大きすぎると、定着ベルト77の回転抵抗が増加するため、加圧ローラ72が定着ベルト77を従動回転させられず、定着ベルト77が回転しないという問題が生じてしまう。本実施形態では、加熱ローラ78にギヤ52を設けているため、定着ベルト77は回転するが、加圧ローラ72に従動回転する場合の速度より遅く回転するため問題となる。このように、巻きつけ角度は、小さすぎても大きすぎても問題が生じるが、本願発明者らの検討によれば、定着動作時(第1状態)においては、巻きつけ角度が90°〜180°程度の範囲とすることで良好な定着動作を行うことが可能である。
また、第2状態を示す図5は、加圧手段による加圧状態が解除されることで、加圧ローラ72が3mm下方に移動して定着ベルト77から離間し、かつ、固定部材74が引張りスプリング51によって1.9mm下方に引張られて加熱ローラ78から離間し、定着ベルト77が強く張られた状態を示している。このため、第2状態では、巻きつけ角度が大きくなる。図5に示す例では、巻きつけ角bは220°である。
また、上述のように固定部材74のニップ形成面を固定部材側に凸形状としているので、第2状態では、ニップ形成面と定着ベルト77との間に隙間が生じることになる。さらに、第2状態では、非加圧状態であるため、加圧ローラ72、固定部材74および加熱ローラ78に大きな加圧力がかかることがなく、待機時や電源オフの状態が長く続いても、部品の変形等が生じることがない。
また、本実施形態に係る定着装置は、ウォームアップ動作を第2状態で行うものである。第2状態では、巻きつけ角が大きいので、確実に定着ベルト77を駆動させることができ、加熱ローラ78から定着ベルト77に効率よく熱を伝えることができる。また、加熱ローラ78と固定部材74とが離間しているので、加熱ローラ78から固定部材74への熱移動を防止することもできる。また、固定部材74と定着ベルト77との接触面積が小さくなっているので、定着ベルト77から固定部材74への無駄な熱移動を防止することもできる。さらに、定着ベルト77と加圧ローラ72が離間しているので、定着ベルト77から加圧ローラ72への無駄な熱移動も防止することができる。
このように、ウォームアップ動作時に非加圧状態(第2状態)とすることにより、加圧状態(第1状態)でウォームアップするよりも、速くウォームアップ動作を完了することが可能となる。
[定着装置の動作]
以上説明した定着装置25の動作フローの一例を説明する。なお、上述のように、待機時においては、温度コントロールを行わないため、画像形成動作前にウォームアップ動作を行うものである。
(ステップS1)装置の電源がオンとなる。この場合は、第2状態で停止した状態である。
(ステップS2)待機状態となり、プリント指令信号が到達すると、ステップS3へ移る。
(ステップS3)ウォームアップ動作が開始する。すなわち、第2状態において、駆動手段(加熱ローラ)が駆動し、熱源がオンとなる。
(ステップS4)定着ベルト温度が所定温度(例えば、140℃)に到達すると、第1状態に切替える。
(ステップS5)さらに、定着ベルト温度が所定温度(ステップS4の所定温度以上の温度、例えば、160℃)に到達すると、当該温度での温度コントロールを開始する。この時点でウォームアップ動作は終了する。
(ステップS6)画像形成動作が開始する。すなわち、第1状態において、各駆動手段の駆動および温度コントロールを行う。
(ステップS7)画像形成動作が終了する。熱源をオフとし、駆動手段の駆動を停止後、第2状態に切替える。
(ステップS8)再び待機状態となる。ステップS2へ戻る。
以上説明したように、本実施形態に係る定着装置は、ニップ部の圧力を固定部材だけではなく加熱回転体も利用して受けているので、固定部材を大きくする(強度を増やす)ことなく、幅広、高面圧なニップを得ることができ、高速、高画質画像の対応が可能となる。また、固定部材が小さく、また加熱回転体と接触しているため、定着ベルト周長を短くすることができ、装置を小型化できる。また、固定部材の形状によって、ニップ出口の定着ベルト曲率を大きくすることができ、分離性能に優れ、自然分離が可能である。また、加熱回転体は回転しながら定着ベルトと接しているため、加熱回転体から定着ベルトへの熱伝達効率も優れたものとすることができる。
また、本実施形態に係る定着装置は、加熱回転体と固定部材とが離間する方向に移動した状態とすることで、定着ベルトの加熱回転体への巻きつき角が大きくなり加熱効率が向上する。また、固定部材と加熱ローラが離れること、および固定部材と定着ベルトの接触面積も減少することにより固定部材側への無駄な伝熱を防止することができ、ウォームアップ動作に要する時間を短縮することができる。さらに、加圧回転体が定着ベルトと離れる方向に移動して、ニップ幅が小さくなるため、定着ベルトから加圧回転体への無駄な伝熱を防止することができ、ウォームアップ動作に要する時間を短縮することができる。このように、ウォームアップ性能を向上することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る定着装置の他の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
上記実施形態では、図5に示したように、固定部材74が引張りスプリング51によって下方向に引張られ、加熱ローラ78とは完全に離間し、接触していない例について説明した。しかしながら、加熱ローラ78の外径より小さく小型化が図られた固定部材74を平行移動させるように、引張りスプリング51の位置等を設計することは困難な場合もある。
そこで、本実施形態では、図8に示すように、固定部材74の74−3側に、フレームに軸支された回転支点53を設け、固定部材74の74−4側を引張りスプリング51により付勢することにより、固定部材74を、回転支点53を中心として回動させるようにしてもよい。この場合、固定部材の74−3側は加熱ローラ78と接触していてもよい。
(第3の実施形態)
上記実施形態では、加圧ローラ72は第2状態において定着ベルト77とは離れているため、第2状態においては、定着ベルト77を加圧ローラ72に従動回転させることはできず、加熱ローラ78側に設けた駆動手段により、従動回転させている。
しかしながら、図9に示すように、例えば、引張りスプリング51の付勢力を上記実施形態よりも大きくすること等により、固定部材74の下方への移動を加圧ローラ72の下方への移動に追従させて、加熱ローラ78と固定部材74とは離間するが、加圧ローラ72は定着ベルト77を介して固定部材と接触するようにしても良い。なお、第2状態では、第1状態のように定着に必要な加圧力を必要としないため、固定部材74と加圧ローラ72との加圧力は、定着ベルト77の駆動ができる程度の小さい加圧力で有れば良い。
このように構成された定着装置によれば、第2状態においても、定着ベルト77を加圧ローラ72に従動回転させることができるので、加熱ローラ78側の駆動手段を設ける必要がなく、装置構成の簡略化により低コスト化を図ることが可能となる。
(第4の実施形態)
上記実施形態では、図3に示したように、加圧ローラ側に加圧手段を備える構成について説明したが、図10に示すように、加熱ローラ側に加圧手段を備えるように、すなわち、加圧ローラ72をフレーム81に固定し、加熱ローラ側から加圧するようにしても良い。なお、図10に示す例では、ベアリング64に圧縮スプリング62を設けているが、図2と同様に、加熱ローラ78側に加圧レバー82を設けて、これに圧縮スプリング62を設けるようにしても良い。また、固定部材74を固定して、加熱ローラ側及び加圧ローラ側の両方向から加圧するようにしても良い。
(第5の実施形態)
また、熱源として、図11に示すように誘導加熱手段89を用いることとしても良い。符号54はコイルを示している。誘導加熱手段89は、定着ベルト外面側に非接触で配置され、加熱ローラ78の表層に設けた発熱層を加熱し、発熱した加熱ローラ78が定着ベルト77と接触加熱する。なお、誘導加熱手段89を加熱ローラ内面側に配置して、加熱ローラ78を加熱して間接的に定着ベルト77を加熱するようにしても良い。
定着ベルト外面側に非接触で誘導加熱手段89を用いることで、加熱ローラ78の内部に熱源を備える必要がないこととなる。そこで、加熱ローラ78の内面側に、例えば、図11に示すリブ68を設けるようにすることで強度を増加させ、より高面圧に対応することが可能となる。
(第6の実施形態)
また、熱源として誘導加熱手段89を用いる場合において、図12に示すように、加熱ローラ78の内面側に、所定温度に達すると、磁束を素通りさせて熱を発生させなくする整磁合金層55を設けることが好ましい。例えば、200℃近辺で透磁率が急変するキュリー点を持つ整磁合金(例えば、Ni38,Fe62など)を加熱ローラ78に対して接触又は非接触で備えるものである。なお、図12の例では、0.3mmの間隔を有し非接触としている。さらに、この場合において、整磁合金層55の内面側に磁気を遮蔽する磁気遮蔽層56を設けることが好ましい。磁気遮蔽層56は、例えば、アルミ合金であり、これを整磁合金層55に対して非接触で備えるものである。なお、図12に示す例では、整磁合金層55を加熱ローラ78とは別に構成しているが、加熱ローラ78に整磁合金層55を設けて一体として構成するようにしてもよい。
このように構成することにより、高温時に誘導加熱手段89による発熱を抑制することが可能となる。すなわち、定着動作時には、定着ベルト77が所定温度になるように誘導加熱手段89を制御しているが、この時、整磁合金層55はキュリー点以下の温度に保たれるので、誘導加熱手段89で発生した磁束が整磁合金層55に沿ったループを形成し、加熱ローラ78を誘導加熱によって加熱することができる。しかしながら、例えば、幅の狭い用紙を通紙している場合、非通紙部は用紙によって熱が奪われないため、非通紙部の加熱ローラ78の温度が上昇してしまう。そのため加熱ローラ78近傍の整磁合金層55も温度上昇し、キュリー点温度を超え、整磁合金層55は磁束を透過するようになる。整磁合金層55を透過した磁束は、アルミ合金層に達して逆磁束が発生するので、非通紙部の磁束が減少し、誘導加熱による発熱を抑制することができる。このように、幅の狭い用紙を通紙しても、非通紙部の温度上昇を防止することが可能となる。
また、以上説明した構成による定着装置25を備えた画像形成装置(図1)とすることにより、上述のように機能する画像形成装置を構成することができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
10 中間転写体
14 駆動ローラ
15 第1の従動ローラ
16 第2の従動ローラ
18 単色作像手段
20 タンデム作像装置
21 露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ
24 搬送ベルト
25 定着装置
28 媒体収納カセット
30 原稿台
31 光源
32 ミラー
33 レンズ
34 CCD
35 給紙コロ
36 給紙路
37 レジストローラ
38 排紙トレイ
40 像担持体
41 帯電装置
42 現像装置
43 1次転写装置
44 クリーニング装置
47 ポリゴンミラー
48 ミラー
50 カム
51 引張りスプリング
52 ギヤ
53 回転支点
54 コイル
55 整磁合金層
56 磁気遮蔽層
57 ワンウェイクラッチ
60 ジャーナル部
61,64 ベアリング
62 圧縮スプリング
63 ギヤ
68 リブ
72 加圧ローラ
74 固定部材
77 定着ベルト
78 加熱ローラ
81 フレーム
82 加圧レバー
83 分離爪
84,86 熱源
85−1 サーモパイル
85−2,87 サーミスタ
88 入口ガイド
89 誘導加熱手段
100 複写機本体
200 スキャナ
G 原稿
L 書込み光
P 記録媒体(用紙)
特開平4−50883号公報 特開2004−252354号公報 特開2004−198556号公報 特開2007−334205号公報

Claims (14)

  1. 熱源により加熱されるとともに回転する加熱回転体と、
    前記加熱回転体の外周表面の一部と摺動接触する固定部材と、
    前記加熱回転体と前記固定部材に架け渡される可撓性を有する定着ベルトと、
    前記定着ベルトを介して前記固定部材と加圧接触してニップ部を形成する加圧回転体と、
    を前記ニップ部形成のための加圧方向にこの順番で配列して備え、
    かつ、前記加熱回転体と前記固定部材とを離間させる離間手段を備え、
    前記ニップ部の圧力は、前記定着ベルト及び前記固定部材を介した、前記加熱回転体と前記加圧回転体との間の加圧力により付与されることを特徴とする定着装置。
  2. 前記離間手段は、前記加圧回転体と前記定着ベルトとを離間させることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記離間手段は、前記ニップ部形成のための前記加圧回転体の前記加熱回転体側への押圧を解除することにより、前記加熱回転体と前記固定部材とを離間させることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記定着ベルトを所定温度まで上昇させるウォームアップ動作時に、
    前記離間手段により前記加熱回転体と前記固定部材とを離間させることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記離間手段は、
    前記加圧回転体を前記加熱回転体側に押圧する加圧手段と、
    前記固定部材を前記加熱回転体から離間する方向に付勢する付勢手段と、からなり、
    前記加熱回転体と前記固定部材との接触状態では、前記加圧手段による押圧力が前記付勢手段による付勢力よりも大きく、
    前記加熱回転体と前記固定部材との離間状態では、前記加圧手段による押圧力が前記付勢手段による付勢力よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記加圧回転体を回転駆動させる加圧回転体駆動手段と、
    前記加熱回転体を回転駆動させる加熱回転体駆動手段と、を備え、
    前記離間手段により前記加熱回転体と前記固定部材とが離間した状態においては、
    前記定着ベルトは、前記加熱回転体駆動手段による前記加熱回転体の回転駆動に従動回転することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記加熱回転体駆動手段による前記加熱回転体の回転速度は、
    前記加熱回転体が、前記加圧回転体駆動手段により回転駆動される前記加圧回転体に従動回転する前記定着ベルトを介して従動回転する場合の回転速度よりも低速であることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記加熱回転体と前記固定部材とは、前記固定部材に設けられた回転体を介して接触していることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記ニップ部入口及び/又は出口では、前記定着部材と前記固定部材とは、前記固定部材に設けられた回転体を介して接触していることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記固定部材は、前記ニップ部入口側又は出口側の一方に設けられた回転中心を有しており、
    前記離間手段により、前記回転中心を有しない側において、前記加熱回転体と離間することを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記熱源は、中空パイプ形状である加熱回転体の内部に配置される赤外線ヒータであることを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の定着装置。
  12. 前記熱源は、前記加熱回転体の内部又は外部に設けられる誘導加熱装置であることを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の定着装置。
  13. 前記誘導加熱装置に対し、
    整磁合金層と、磁気遮蔽層とがこの順に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の定着装置。
  14. 請求項1から13までのいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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