JP2019124753A - 定着装置、画像形成装置、および、制御方法 - Google Patents

定着装置、画像形成装置、および、制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】使用環境や使用状況に依存せずに、確実に稼働できる定着装置を提供することである。【解決手段】定着装置は、加圧ローラーおよび加熱ローラーの回転を制御する駆動機構を備える。定着ベルトは加熱ローラーの回転に伴い、加圧パッドの表面を摺動しながら走行する。駆動機構は、加圧ローラーおよび加熱部材の少なくとも一方を移動させることで、加圧ローラーおよび加圧パッドの間を通過する用紙に圧力を加え、トナー像を用紙に定着させ、加圧ローラーと定着ベルトとが接触している接触状態と、加圧ローラーと定着ベルトとが離間している離間状態とを切り替え、加熱部材のウォームアップの期間に所定の条件が満たされた場合、接触状態とする。【選択図】図3

Description

本開示は、画像形成装置に関し、特に画像形成装置が備える定着装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置が普及している。電子写真方式の画像形成装置は、印刷工程として、入力画像に応じたトナー像を感光体上の形成する工程と、感光体上のトナー像を転写ベルト上に一次転写する工程と、転写ベルト上のトナー像を用紙に二次転写する工程と、定着装置によってトナー像を用紙に熱で定着させる工程とを実行する。
定着装置による定着工程では、加圧ローラーと加熱部材との接触領域に、トナー像が形成された用紙を通過させる。加熱部材は、ヒーターを含む加熱ローラーと、加熱ローラーに無端状に巻きつけられた定着ベルトとを備える。定着ベルトが走行してヒーターからの熱を接触領域に伝達することで、通過する用紙を加熱および加圧して用紙上に形成されたトナー像を用紙に定着させる。
近年、省エネルギー化を実現するために、熱容量が小さく、かつ、加圧ローラーとの接触部分が大きなパッド部を加熱部材に用いる定着器が主流となっている。パッド部の表面には、定着ベルトを摺動させるための潤滑剤が塗布される。
このような定着装置に関する技術の一例として、特開2009−205067号公報(特許文献1)は、加熱部材と加圧ローラーとのそれぞれに駆動手段を設けて互いに離間させて加熱部材のウォームアップを行い、加圧ローラーへの熱移動をなくしてウォームアップ時間の短縮を図る定着装置を開示している。
特開2009−205067号公報
しかし、特許文献1の技術では、パッド部と定着ベルトとの摺動部分に塗布された潤滑剤が、温度が低いほど粘度が高くなることから、低温環境では定着ベルトがパッド部に固着してしまい、ウォームアップ開始時に定着ベルトを走行できないといった不具合が発生していた。
また、画像形成装置を長期間使用しなかったことにより、定着ベルトがパッド部の形状に沿って変形し、定着ベルトを走行できないといった事象も発生していた。したがって、使用環境や使用状況に依存せずに稼働できる定着装置が必要とされている。
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ある局面における目的は、使用環境や使用状況に依存せずに稼働できる定着装置を提供することである。
ある局面に従うと、用紙の上に形成されたトナー像を用紙に定着させるための定着装置であって、用紙を加圧するための加圧ローラーと、用紙を加熱するための加熱部材とを備える。加熱部材は、加圧ローラーと対向して設けられている加圧パッドと、ヒーターを含む加熱ローラーと、加圧パッドおよび加熱ローラーに無端状に巻きつけられた定着ベルトとを含む。定着装置は、さらに、加圧ローラーおよび加熱ローラーの回転を制御する駆動機構を備え、定着ベルトは加熱ローラーの回転に伴い、加圧パッドの表面を摺動しながら走行し、駆動機構は、加圧ローラーおよび加熱部材の少なくとも一方を移動させることで、加圧ローラーおよび加圧パッドの間を通過する用紙に圧力を加え、トナー像を用紙に定着させ、加圧ローラーと定着ベルトとが接触している接触状態と、加圧ローラーと定着ベルトとが離間している離間状態とを切り替え、加熱部材のウォームアップの期間に所定の条件が満たされた場合、接触状態とする。
好ましくは、所定の条件は、加熱部材のウォームアップが開始されたことである。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間であって、接触状態である期間には、ウォームアップが完了した後の期間と比べて、加圧ローラーと定着ベルトとの間に発生する圧力が弱くなるように、少なくとも一方を移動させる。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間であって、接触状態である期間には、ウォームアップが完了した後の期間と比べて、加圧ローラーを低い速度で回転させる。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間における接触状態において加圧ローラーと定着ベルトとの間に発生する摩擦力が、離間状態において定着ベルトの張力により加熱ローラーと定着ベルトとの間に発生する摩擦力よりも大きくなるように、少なくとも一方を移動させる。
好ましくは、加圧ローラーは、回転軸方向の両端部に、回転軸方向の中央部よりも摩擦係数の大きなグリップ部を有する。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間において、接触状態に切り替えてから所定時間が経過した場合に、離間状態に切り替える。
好ましくは、加圧パッドの表面には、潤滑剤が塗布されており、駆動機構は、ウォームアップの期間であって、接触状態である期間において、潤滑剤の温度が第1閾値を上回る場合に、離間状態に切り替える。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間であって、離間状態である期間において、潤滑剤の温度が第1閾値より高い第2閾値を上回る場合に、接触状態に切り替える。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間であって、接触状態である期間において、定着ベルトの温度が第1閾値を上回る場合に、離間状態に切り替える。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップの期間であって、離間状態である期間において、定着ベルトの温度が第1閾値より高い第2閾値を上回る場合に、接触状態に切り替える。
好ましくは、所定の条件は、定着装置の稼働量が所定の閾値を上回ることである。
好ましくは、加圧パッドの表面には、潤滑剤が塗布されており、所定の条件は、画像形成装置内の温度、定着ベルトの温度、または、潤滑剤の温度の少なくとも一つが所定の閾値を下回ることである。
好ましくは、駆動機構は、画像形成装置内の温度、定着ベルトの温度、または、潤滑剤の温度の少なくとも一つが所定の閾値を下回る場合に、接触状態とし、定着装置の画像形成装置内の温度、定着ベルトの温度、または、潤滑剤の温度が所定の閾値以上となる場合に、離間状態とする。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップ開始時に離間状態とし、定着ベルトが走行したことを検知した後にヒーターを発熱する。
好ましくは、駆動機構は、ウォームアップ開始時に離間状態とし、定着ベルトが走行したことを検知しない場合に、接触状態に切り替える。
他の局面に従うと、上述した定着装置を備える画像形成装置が提供される。
さらに他の局面に従うと、用紙の上に形成されたトナー像を用紙に定着させるための定着装置の制御方法が提供される。定着装置は、用紙を加圧するための加圧ローラーと、用紙を加熱するための加熱部材とを備える。加熱部材は、加圧ローラーと対向して設けられている加圧パッドと、ヒーターを含む加熱ローラーと、加圧パッドおよび加熱ローラーに無端状に巻きつけられた定着ベルトとを含む。制御方法は、加圧ローラーおよび加熱部材の少なくとも一方を移動させることで、加圧ローラーおよび加圧パッドの間を通過する用紙に圧力を加え、トナー像を用紙に定着させるステップと、加圧ローラーと定着ベルトとが接触している接触状態と、加圧ローラーと定着ベルトとが離間している離間状態とを切り替えるステップと、加熱部材のウォームアップの開始時に接触状態とするステップとを含む。
ある局面において、定着装置は、環境に依存せずに確実に加熱部材を駆動することができる。
上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
画像形成装置の全体構造の一例を示す図である。 画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る定着装置を模式的に示す図である。 ウォームアップ制御処理の手順を示す図である。 潤滑剤の粘度と温度との関係を示す図である。 ウォームアップ制御の開始時点からの経過時間と、潤滑剤および加圧ローラーの温度との関係を示す図である。 変形例における定着器を示す図である。 第2の実施の形態におけるウォームアップ制御処理の手順を示す図である。 離間状態からのウォームアップ制御処理の手順を示す図である。 潤滑剤の粘度とウォームアップ制御の関係を示す図である。 潤滑剤の粘度と、定着部材の稼働量との関係を示す図である。 第3の実施の形態におけるウォームアップ制御処理の手順を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
<第1の実施の形態>
[1.画像形成装置100の構成]
図1を参照して、第1の実施の形態に従う画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の全体構造の一例を示す図である。
図1には、カラープリンターとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンターとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンターに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンターであってもよいし、モノクロプリンター、カラープリンターおよびファクシミリの複合機(いわゆるMFP(Multi Functional Peripheral))であってもよい。
画像形成装置100は、画像読取部としてのスキャナー20と、画像形成部90(詳細には、画像形成部90Y,90M,90C,90K)を含むプリンター25とを備える。スキャナー20は、カバー21と、用紙台22と、ADF(Auto Document Feeder)24とを備える。カバー21の一端は、用紙台22に固定されており、カバー21は、当該一端を支点として開閉可能に構成されている。
画像形成装置100のユーザーは、カバー21を開くことで、原稿を用紙台22にセットすることができる。画像形成装置100は、原稿が用紙台22にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙台22にセットされた原稿のスキャンを開始する。また、画像形成装置100は、原稿が用紙トレイ37にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、ADF24によって1枚ずつ自動的に原稿を読み取る。
プリンター25は、画像形成部90Y,90M,90C,90Kと、IDC(Image Density Control)センサー19と、転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、転写駆動機32と、二次転写ローラー33と、用紙トレイ37(詳細には、用紙トレイ37A,37B,37C)と、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、レジストローラー40と、クリーニングユニット43と、定着器60と、制御装置101とを備える。
画像形成部90Y,90M,90C,90Kは、転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成部90Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成部90Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成部90Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成部90Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
画像形成部90Y,90M,90C,90Kは、それぞれ、転写ベルト30に沿って転写ベルト30の回転方向の順に配置されている。すなわち、転写ベルト上における画像形成の経路において、画像形成部90Yが最上流に配置され、90M、90Cと続き、画像形成部90Kが最下流に配置されている。画像形成部90Y,90M,90C,90Kはそれぞれ、回転可能に構成されている感光体10と、帯電部材11と、露光装置13と、現像器14と、クリーニングユニット17と、除電装置18とを備える。
画像形成部90Y,90M,90C,90Kがそれぞれ、上述したように作動した後に、転写駆動機32の転写によって、イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が転写ベルト30上に形成される。
IDCセンサー19は、転写ベルト30上に形成されるトナー像の濃度を検出する。典型的には、IDCセンサー19は、反射型フォトセンサーからなる光強度センサーであり、転写ベルト30の表面からの反射光強度を検出する。
一例では、一次転写ローラー31は、金属製ローラーによって構成される。一次転写ローラー31は、弾性体ローラーによって構成されてもよいし、弾性シートなどのシート状部材によって構成されてもよい。弾性体ローラーまたは弾性シートは、たとえば、ゴムなどの熱可塑性エラストマーを用いることができる。詳細は後述するが、一次転写ローラー31は、転写電圧を印加されることにより、感光体10上のトナーを転写ベルト30上に転写する。
転写ベルト30は、従動ローラー38と駆動ローラー39とに張架されている。駆動ローラー39はモーター(図示しない)に接続されている。制御装置101が当該モーターを制御することにより、駆動ローラー39は回転する。転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、転写ベルト30上のトナー像35が二次転写ローラー33に送られる。
用紙トレイ37A,37B,37Cのそれぞれには、たとえば、異なるサイズまたは紙種の用紙がセットされる。用紙は、用紙トレイ37A,37B,37Cの内から給紙トレイとして設定されたものから1枚ずつ搬送経路41に搬送される。用紙は、レジストローラー40によって二次転写ローラー33に送られる。
制御装置101は、用紙が送り出されるタイミングに合わせて、二次転写ローラー33に印加される転写電圧を制御する。二次転写ローラー33は、トナー像35の帯電極性と逆極性の転写電圧を搬送中の用紙に印加する。その結果、トナー像35は、転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、転写ベルト30上のトナー像35が転写される。
二次転写ローラー33への用紙の搬送タイミングは、転写ベルト30上のトナー像35の位置に合わせてレジストローラー40によって制御される。その結果、転写ベルト30上のトナー像35は、用紙の適切な位置に転写される。
定着器60は、定着器60内を通過する用紙を加圧および加熱する。これにより、用紙上に形成されたトナー像が用紙に定着される。その後、用紙は、排紙トレイ48に排出される。定着器60、およびその制御処理の詳細は、後述する。
クリーニングユニット43は、転写ベルト30から用紙へのトナー像の転写後に転写ベルト30の表面に残留するトナーを回収する。回収されたトナーは、搬送スクリュー(図示しない)で搬送され、廃トナー容器(図示しない)に貯められる。
[2.ハードウェア構成]
図2を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。図2は、画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置100は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ネットワークインターフェイス104と、操作パネル105と、スキャナー20と、画像形成部90と、記憶装置120と、温湿度センサー80と、定着器60とを含む。なお、図2に示すように、制御装置101と定着器60とにより、定着装置70が構成される。
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
制御装置101は、画像形成装置100の制御パラメーターを調整するためのプログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置100の動作を制御する。制御装置101は、プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からRAM103にプログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
ネットワークインターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、プログラム122をアンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
操作パネル105は、ディスプレイ(図示しない)とタッチパネル(図示しない)とを含む。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、画像形成装置100は、タッチパネルに対する操作を受け付ける。
温湿度センサー80は、画像形成装置100内の温度(以下、環境温度ともいう)および湿度を検知するための温度計および湿度計を含む。温湿度センサー80が検知した情報に基づいて、制御装置101は、画像形成における各種パラメーターを制御する。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)その他の記憶装置である。記憶装置120は、内蔵式、外付け式のいずれであってもよい。記憶装置120は、本実施の形態に従うプログラム122などを格納する。ただし、プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従うプログラム122の趣旨を逸脱するものではない。
さらに、プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーがプログラム122の処理の一部を実行する、いわゆるクラウドサービスのような形態で本実施の形態に従う制御処理が実現されてもよい。
[3.定着装置70]
(3.1.構成)
図3を参照して、第1の実施の形態に係る定着装置70について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る定着装置70を模式的に示す図である。
図3(A)に示すように、定着装置70は、制御装置101と定着器60とを備える。定着器60は、加圧ローラー61と、加熱部材62と、駆動モーターM1,M2、M3とを含む。制御装置101と、駆動モーターM1、M2、M3とにより、駆動機構が構成される。
加圧ローラー61は、駆動モーターM1によって回転可能に構成されている。制御装置101の回転部107が駆動モーターM1を制御して、加圧ローラー61が回転する。加熱部材62は、定着ベルト63と、加圧パッド64と、潤滑剤供給部65と、支持部66と、加熱ローラー67とを含む。
定着ベルト63は、加熱ローラー67および加圧パッド64に無端状に所定の張力Tで巻きつけられている。定着ベルト63の構造としては、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。多層構造のベルトとしては、ベース層と離型層とを有するもの等が挙げられる。
定着ベルト63のベース層の材質としては、例えば、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。定着ベルト63の離型層の材質としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、および、それらの複合材料などが挙げられる。
加圧パッド64は、加圧ローラー61と対向するように設けられており、樹脂などの弾性体で構成されている。加圧パッド64としては、例えば、シリコーンゴムやフッ素含有ゴム等の弾性体、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属、板バネ等が用いられる。
支持部66は、加圧パッド64と潤滑剤供給部65とを支持している。潤滑剤供給部65は、フェルトに潤滑剤が含浸されており、加圧パッド64と定着ベルト63との間に潤滑剤を供給する。
潤滑剤としては、例えば、脂肪酸金属塩を用いることができる。脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好ましい。また、脂肪酸金属塩の金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チタン、鉄等が挙げられる。
潤滑剤供給部65は、さらに、潤滑剤の温度を測定するための温度センサー65aを備える。温度センサー65aが検知した潤滑剤の温度情報は、制御装置101へ出力される。
加熱ローラー67の内部には、ヒーター68が設けられている。ヒーター68は、制御装置101の発熱部113により発熱される。ヒーター68の発熱に伴い、加熱ローラー67が加熱される。
加熱ローラー67は、駆動モーターM2によって回転可能に構成されている。制御装置101の回転部107が駆動モーターM2を制御して、加熱ローラー67が回転する。
加熱ローラー67の回転に伴い、定着ベルト63は、張力Tにより加熱ローラー67との間に発生する摩擦力によって無端状に走行する。その結果、ヒーター68により発生した熱は、加圧パッド64の表面を摺動しながら走行する定着ベルト63によって、加圧パッド64に伝えられる。その結果、加圧ローラー61と加熱部材62との間に形成される搬送経路41を搬送される用紙が加熱される。ここで、定着ベルト63の走行は、図示しない移動センサーによって検知されている。
加圧ローラー61は、加熱部材62に対して移動可能に構成されている。具体的には、制御装置101の移動部115は、駆動モーターM3を制御することにより、加圧ローラー61と定着ベルト63とが接触している接触状態(図3(B)参照)と、加圧ローラー61と定着ベルト63とが離間している離間状態(図3(A)参照)とを切り替え可能に構成されている。加圧ローラー61は、移動部115によって移動されて加圧パッド64を加圧し、搬送経路41を搬送される用紙が加圧される。以上のようにして、定着装置70は、搬送経路41を搬送される用紙を加熱および加圧することで、用紙上に形成されたトナー像を用紙に定着させる。
(3.2.ウォームアップ制御の概要)
以下において、定着装置70のウォームアップ制御について説明する。ここでいうウォームアップ制御とは、トナー像が形成された用紙の定着作業を行う前に、加圧パッド64の温度を所定の温度まで高めておくための制御のことである。
本実施形態では、ウォームアップ制御の開始時において、移動部115は、加圧ローラー61と定着ベルト63とが接触している接触状態とする。このように、ウォームアップの開始時に加圧ローラー61と定着ベルト63とを接触させるため、加圧ローラー61の回転により定着ベルト63を確実に走行させることが可能となる。より詳細には、加圧ローラー61からの圧力により定着ベルト63と加圧ローラー61との間に摩擦力が発生する。そして、加圧ローラー61が回転することにより、当該摩擦力によって定着ベルト63が走行する。
定着ベルト63が走行した後、発熱部113はヒーター68を発熱する。ヒーターにおいて発生した熱は、定着ベルト63の走行に伴って、潤滑剤供給部65に伝えられる。そして、加熱された潤滑剤が潤滑剤供給部65から加圧パッド64の表面へ供給され、加圧パッド64と定着ベルト63との間における摩擦係数が低減する。その結果、加熱ローラー67の回転のみでも定着ベルト63の走行が可能となる。
好ましくは、移動部115は、ウォームアップ制御の期間に発生する加圧ローラー61と定着ベルト63との間の圧力を、ウォームアップ制御が完了した後、用紙の定着作業を行う期間に発生する当該圧力と比べて弱くなるように、加圧ローラー61の移動を制御する。このようにすることで、加圧ローラー61の回転に必要な駆動モーターM1の消費電力を抑えることができる。なお、以下において、用紙の定着作業を行う期間に、加圧ローラー61と定着ベルト63との間に発生する圧力を通常圧といい、ウォームアップ期間に発生する通常圧よりも弱い圧力を軽圧ともいう。
また、好ましくは、回転部107は、ウォームアップ制御における接触状態である期間には、ウォームアップが完了した後の期間と比べて、加圧ローラー61を低い速度で回転させる。駆動モーターM1の出力は回転速度と回転トルクの積で定められているため、回転速度を低くすることで、より強い回転トルクで加圧ローラー61を回転させることが可能となり、より確実に定着ベルト63を走行させることが可能となる。
また、好ましくは、移動部115は、ウォームアップ制御における接触状態である期間には、加圧ローラー61と定着ベルト63との間に発生する摩擦力が、離間状態において定着ベルト63の張力により加熱ローラー67と定着ベルト63との間に発生する摩擦力よりも大きくなるように、加圧ローラー61を移動させる。このようにすることで、離間状態における加熱ローラー67の回転では定着ベルト63を走行できない場合においても、接触状態として加圧ローラー61を回転させ、定着ベルト63を走行させることが可能となる。
一例として、移動部115は、加圧ローラー61を移動させて、約150Nで定着ベルト63に押し当てる。離間状態における定着ベルト63の張力が約40Nであるため、加熱ローラー67と定着ベルト63との間に発生する摩擦力よりも大きな摩擦力を、加圧ローラー61と定着ベルト63との間に発生させることが可能となる。これにより、離間状態での加熱ローラー67の回転では定着ベルトが走行できない場合でも、接触状態での加圧ローラー61の回転により確実に定着ベルト63を走行させることが可能となる。
[4.処理手順]
図4を参照して、第1の実施の形態に係るウォームアップ制御処理の手順を説明する。図4は、ウォームアップ制御処理の手順を示すフローチャートである。当該処理は、たとえば制御装置101として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
ステップS410において、制御装置101は、移動部115として、加圧ローラー61を移動させ、軽圧での接触状態に切り替える。制御装置101は、処理をステップS420へ進める。
ステップS420において、制御装置101は、回転部107として、加圧ローラー61の回転を開始する。制御装置101は、処理をステップS430へ進める。
ステップS430において、制御装置101は、発熱部113として、ヒーター68を発熱させる。制御装置101は、処理をステップS440へ進める。
ステップS440において、制御装置101は、潤滑剤の温度が第1閾値未満か否かを判定する。潤滑剤の温度が第1閾値未満の場合(ステップS440においてYES)、制御装置101は、処理を継続する。そうでない場合(ステップS440においてNO)、制御装置101は、処理をステップS450へ進める。
ステップS450において、制御装置101は、移動部115として、加圧ローラー61を移動させ、離間状態に切り替える。制御装置101は、処理をステップS460へ進める。
ステップS460において、制御装置101は、潤滑剤の温度が第2閾値未満か否かを判定する。潤滑剤の温度が第2閾値未満の場合(ステップS460においてYES)、制御装置101は、処理を継続する。そうでない場合(ステップS460においてNO)、制御装置101は、処理をステップS470へ進める。
ステップS470において、制御装置101は、給紙トレイにセットされている坪量と環境温度とが所定の第1の条件を満たすか否かを判定する。一例として、坪量<75g/m、かつ、環境温度>15℃の場合(ステップS470においてYES)、制御装置101は、処理をステップS500へ進める。そうでない場合(ステップS470においてNO)、制御装置101は、処理をステップS480へ進める。
ステップS480において、制御装置101は、給紙トレイにセットされている坪量と環境温度とが所定の第2の条件を満たすか否かを判定する。一例として、坪量>160g/m、かつ、環境温度≦15℃の場合(ステップS480においてYES)、制御装置101は、処理をステップS490へ進める。そうでない場合(ステップS480においてNO)、制御装置101は、処理をステップS495へ進める。
ステップS490において、制御装置101は、移動部115として、加圧ローラー61を移動させ、通常圧での接触状態に切り替える。制御装置101は、処理をステップS500へ進める。
ステップS495において、制御装置101は、移動部115として、加圧ローラー61を移動させ、軽圧での接触状態に切り替える。制御装置101は、処理をステップS500へ進める。
ステップS500において、制御装置101は、潤滑剤の温度がウォームアップ完了温度未満か否かを判定する。潤滑剤の温度がウォームアップ完了温度未満の場合(ステップS500においてYES)、制御装置101は、処理を継続する。そうでない場合(ステップS500においてNO)、制御装置101は、処理を終了する。
[5.接触状態と離間状態との切替タイミング]
図5および図6を参照して、接触状態と離間状態との切替タイミングを説明する。図5は、潤滑剤の粘度と温度との関係を示す図である。図6は、ウォームアップ制御の開始時点からの経過時間と、潤滑剤および加圧ローラーの温度との関係を示す図である。
図5に示すように、温度が下がるにつれて、潤滑剤の粘度は上昇する。そのため、低温環境においては、潤滑材の粘度が上昇することにより、定着ベルト63が加圧パッド64に固着しやすくなる。また、低温領域においては、温度変化に対する粘度の変化が大きい。
加圧パッド64の表面に供給される潤滑剤は、印刷工程での温度環境(室温環境よりも高温)でもっとも最適な粘度になるように選択されている。そのため、室温環境でのウォームアップ制御時には粘度が高くなり、その結果、定着ベルト63と加圧パッド64との間に発生する摩擦係数も高くなる。特に、画像形成装置100の動作保証温度の下限である10℃を下回るような場合、または、動作保証温度内であっても、加圧パッド64の表面の耐久劣化により粘度が上昇している場合などには、加熱ローラー67による回転では定着ベルト63を走行させること困難な場合がある。
それに対して、図5に示すように、温度が上昇すると、潤滑剤の粘度は低下し、定着ベルト63と加圧パッド64との間に発生する摩擦係数は低下する。当該摩擦係数が低下すると、加熱ローラー67による回転で定着ベルト63を走行させることが容易となる。
そこで、図6に示すように、ウォームアップ制御の開始後、回転部107は、温度センサー65aが検知する潤滑剤の温度に基づいて、潤滑剤が適正粘度となる第1閾値まで、定着ベルト63と接触している接触状態のままで加圧ローラー61を回転して定着ベルトを走行させる。そして、潤滑剤の温度が第1閾値を上回ると、移動部115は、加圧ローラー61を移動させて、接触状態を離間状態に切り替える(ステップS450に相当)。
このようにすることで、潤滑剤の粘度が低下して定着ベルト63と加圧パッド64との間における摩擦係数が低下し、加熱ローラー67の回転のみで定着ベルト63を走行させることが可能となる。そしてその後、離間状態に切り替えることで、ヒーター68からの熱を加圧ローラー61へ逃がすことがなくなり、加熱部材62を効率的にウォームアップすることが可能となる。
さらに好ましくは、移動部115は、図6に示すように、潤滑剤の温度が第1閾値より高い第2閾値を上回ると、接触状態に切り替える(ステップS490、S495に相当)。このようにすることで、たとえば、印刷対象の坪量が大きい場合や、環境温度が低温の場合、または、印字枚数が多い場合など、加圧ローラー61に蓄熱が必要な場合に、再度加熱部材62と加圧ローラー61とを接触させることにより、加圧ローラー61に蓄熱させることが可能となる。
ここで、第2閾値は、ウォームアップ完了までに加圧ローラー61に必要な蓄熱量を蓄積するのに必要な時間と昇温速度より決められる。移動部115は、必要な蓄熱量に応じて、接触状態における加圧ローラー61と定着ベルト63との間の圧力を、軽圧と通常圧とで切り替えてもよい。また、移動部115は、環境温度が高い条件、薄紙、通紙枚数が少数の場合など、蓄熱が必要ない場合には、潤滑剤の温度が第2閾値に到達した後も離間状態のままとしてもよい。
このようにすることで、ウォームアップ完了直後の加圧ローラー61の蓄熱量を、後続の印刷処理に必要な熱量とすることができるため、すぐに印刷処理を実施することができる。ここで、潤滑剤の温度が第1閾値から第2閾値までに到達するまでの期間は離間状態のため、加圧ローラー61は温められず、ヒーター68で発生した熱はすべて、加熱部材62を温めるのに使われる。よって、この期間において、加熱部材62および潤滑剤はもっとも高速に昇温される。
[6.小括]
以上のようにして、本実施形態では、制御装置101は、加圧ローラー61と定着ベルト63とが接触している接触状態と、加圧ローラー61と定着ベルト63とが離間している離間状態とを切り替え可能に構成されており、加熱部材のウォームアップの開始時に接触状態して、加圧ローラー61を回転させる。
上記構成とすることにより、使用環境や使用状況などにより、定着ベルト63が加圧パッドに固着して加熱ローラー67の回転のみでは走行できない場合に、加圧ローラー61を定着ベルト63に接触させて回転させることができ、定着ベルト63を確実に走行させることが可能となる。
[7.変形例]
図7を参照して、変形例における定着器71について説明する。図7は、変形例における定着器71を示す図である。
図7に示すように、変形例における定着器71は、定着器60の備える構成の他に、さらに、加圧ローラー61の、回転軸方向の両端部に、回転軸方向の中央部よりも摩擦係数の大きなグリップ部75を有する。
グリップ部75は、加圧ローラー61の長手方向端部であって、加圧ローラー61と加熱部材62との間を通過する用紙が接触しない領域に設けられる。好ましくは、図7に示すように、加圧ローラー61の長手方向の両端部に設けられる。これにより、ウォームアップ制御の開始時に接触状態とした際、加圧ローラー61と定着ベルト63との間に発生する摩擦力が大きくなり、定着ベルト63をより確実に走行させることが可能となる。
<第2の実施の形態>
[1.概要]
以下、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、ウォームアップ開始時に離間状態とするか接触状態とするかを制御装置が判定する点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態においては、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成には、画像形成装置100の符号と同一の符号を付してある。したがって、それらの説明は繰り返さない。
[2.詳細]
図8を参照して、第2の実施の形態におけるウォームアップ制御処理の手順を説明する。図8は、第2の実施の形態におけるウォームアップ制御処理の手順を示す図である。
ステップS810において、制御装置101は、環境温度が10℃以下であるか否かを判定する。環境温度が10℃以下である場合(ステップS810においてYES)、制御装置101は、ステップS820へ処理を進める。そうでない場合(ステップS810においてNO)、制御装置101は、ステップS830へ処理を進める。
ステップS820において、制御装置101は、接触状態からのウォームアップ制御を実施する。ここで、接触状態からのウォームアップ制御とは、第1の実施の形態におけるウォームアップ制御を意味する(図4におけるステップS410〜S500に相当)。制御装置101は、処理を終了する。
一方、ステップS830において、制御装置101は、離間状態からのウォームアップ制御を実施する。離間状態からのウォームアップ制御については、詳細を後述する。制御装置101は、処理を終了する。
図9を参照して、離間状態からのウォームアップ制御の処理手順を説明する。図9は、離間状態からのウォームアップ制御の処理手順を示す図である。当該処理は、たとえば制御装置101として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。なお、第1の実施の形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付し、説明を繰り返さない。
ステップS910において、制御装置101は、移動部115として、加圧ローラー61を移動させ、離間状態に切り替える。制御装置101は、処理をステップS920へ進める。
ステップS920において、制御装置101は、回転部107として、加圧ローラー61の回転を開始する。制御装置101は、処理をステップS930へ進める。
ステップS930において、制御装置101は、移動センサーによって定着ベルト63の走行が検知されたか否かを判定する。定着ベルト63の走行が検知されない場合(ステップS930においてYES)、制御装置101は、処理を継続する。そうでない場合(ステップS930においてNO)、制御装置101は、処理をステップS940へ進める。
ステップS940において、制御装置101は、発熱部113として、ヒーター68を発熱させる。制御装置101は、処理をステップS460へ進める。その後、制御装置は、ステップS460〜ステップS500の処理を行う。
図10を参照して、第2の実施の形態における潤滑剤の粘度とウォームアップ制御の切替との関係を説明する。図10は、潤滑剤の粘度とウォームアップ制御の切替との関係を示す図である。
本実施形態では、上述したように、環境温度が10℃未満の場合においては、接触状態からのウォームアップ制御処理を行い、環境温度が10℃以上の場合においては、接触状態からのウォームアップ制御を行う。本実施形態の画像形成装置100は、環境温度動作保証範囲が10℃以上に設定されているため、このようにすることで、10℃以下の低温環境において、定着ベルト63を確実に走行させることが可能となる。
図10に示すように、環境温度と潤滑剤の温度とは密接な関係がある。そこで、本実施の形態では、制御装置101は、環境温度に基づいて、接触状態からのウォームアップ制御を行うか、離間状態からのウォームアップ制御を行うかを判定する。
なお、制御装置101は、潤滑剤の温度が所定温度未満の場合に接触状態からのウォームアップ制御を行い、潤滑剤の温度が所定閾値以上の場合に離間状態からのウォームアップ制御を行ってもよい。また、制御装置101は、定着ベルト63の温度が所定閾値未満の場合に接触状態からのウォームアップ制御を行い、定着ベルト63の温度が所定閾値以上の場合に離間状態からのウォームアップ制御を行ってもよい。この場合、所定閾値は、定着ベルト63および潤滑剤に対応して、それぞれ設定される。
すなわち、制御装置101は、ウォームアップの開始時において、定着装置70の外部の環境温度、定着ベルト63の温度、または、潤滑剤の温度の少なくとも一つが所定の閾値を下回る場合に接触状態としてもよい。また、制御装置101は、ウォームアップの開始時において、定着装置70の外部の環境温度、定着ベルト63の温度、または、潤滑剤の温度の少なくとも一つが所定の閾値以上となる場合に離間状態としてもよい。
または、制御装置101は、印字枚数などの定着装置の稼働量に基づいて、離間状態からのウォームアップ制御とするか、接触状態からのウォームアップ制御とするかを判定してもよい。例えば、制御装置101は、稼働量が所定稼働量を上回る場合に接触状態からのウォームアップ制御とするか、または、稼働量が所定稼働量以下の場合に離間状態からのウォームアップ制御とする。
また、本実施の形態では、離間状態において、加熱ローラー67の回転により定着ベルト63の走行を検知した後に、発熱部113はヒーター68を発熱する。このようにすることで、ヒーターの発熱によって加熱ローラー67の周囲の潤滑剤の温度が上昇して粘度が低下し、加熱ローラー67が空回りする事態を防ぐことができる。
[3.小括]
以上のようにして、本実施形態では、制御装置101は、環境温度に基づいて、ウォームアップ開始時に、離間状態とするか接触状態とするかを切り替える。
上記構成とすることにより、環境温度に基づいて、加熱ローラー67の回転による摩擦力のみで定着ベルト63を走行可能か否かを判定し、ウォームアップ開始時に接触状態とするか離間状態とするかを切り替えることができる。その結果、必要な場合のみ接触状態として定着ベルトを確実に走行させつつ、必要が無い場合には、離間状態とすることで、短時間でのウォームアップ完了を実現できる。
<第3の実施の形態>
[1.概要]
以下、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、駆動機構は、離間状態でのウォームアップ制御を行った後に、定着ベルトの走行を検知できない場合に、接触状態でのウォームアップ制御を行う点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態に係る画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備えるハードウェア構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
[2.詳細]
図11を参照して、潤滑剤の粘度と、加熱部材62の稼働量との関係を説明する。図11は、潤滑剤の粘度と、加熱部材62の稼働量との関係を示す図である。
加熱部材62の稼働量が増加すると、定着ベルト63の加圧パッド64の形状に沿った変形、耐久劣化による潤滑剤の変質、または、潤滑剤の枯渇等により、潤滑剤の粘度と温度の関係が変化する。具体的には、図11に示すように、温度変化に対して、粘度がより高くなる。この場合、環境温度に基づいてウォームアップ開始時に接触状態とするか否かを正確に判定することが困難となる。
そこで、第3の実施の形態では、ウォームアップの開始時は離間状態とした上で、所定の時間内に定着ベルトの走行が検知されない場合に、接触状態として加圧ローラー61を回転させて定着ベルトを走行させる。
図12を参照して、第3の実施の形態におけるウォームアップ制御処理の処理手順を説明する。図12は、第3の実施の形態におけるウォームアップ制御処理の処理手順である。当該処理は、たとえば制御装置101として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
ステップS1210において、制御装置101は、離間状態からのウォームアップ制御(図9におけるステップS910〜S500に相当)を実施する。制御装置101は、処理をステップS1220へ進める。
ステップS1220において、制御装置101は、移動センサーによって定着ベルト63の走行を検知したか否かを判定する。定着ベルト63の走行を検知した場合(ステップS1220においてYES)、制御装置101は、処理を終了する。定着ベルト63の走行を検知しない場合(ステップS1220においてNO)、制御装置101は、ステップS1230へ処理を進める。
ステップS1230において、制御装置101は、接触状態からのウォームアップ制御(図4におけるステップS410〜S500に相当)を実施する。制御装置101は、処理を終了する。
[3.小括]
以上のようにして、第3の実施の形態では、離間状態からウォームアップ制御をした後に、定着ベルトの走行が検知されない場合に、接触状態からのウォームアップ制御をさらに実行する。
上記構成とすることにより、離間状態からのウォームアップ制御のみで定着ベルト63の走行が検知された場合には、短時間でウォームアップを行うことが可能となる。その一方で、定着ベルト63の走行が検知されない場合には、接触状態からのウォームアップ制御を行うことにより、確実に定着ベルト63を走行させることが可能となる。
<他の実施形態>
なお、本開示に係る技術的思想の適用範囲は、上記実施形態に限定されない。例えば、制御装置の備える移動部115は、加圧ローラー61を移動するのではなく、加熱部材62を移動させてもよく、加圧ローラー61と加熱部材62との両方を移動させてもよい。すなわち、移動部115は、加圧ローラー61および加熱部材62の少なくとも一方を移動させる。また、離間状態と接触状態とを切り替える条件として、環境温度および坪量に代わって、または、環境温度および坪量に加えて、印字枚数などにもとづく定着装置の稼働量を閾値として用いてもよい。
さらに、ウォームアップ制御の期間における接触状態と離間状態との切替については、潤滑剤の温度ではなく、定着ベルトの温度、環境温度などの検知温度に基づいて判断してもよい。この場合、それぞれの検知温度に対応する第1閾値および第2閾値が設定されることとなる。一例として、移動部115は、ウォームアップ制御での接触状態の期間において、定着ベルト63の温度が第1閾値を上回る場合に、離間状態に切り替え、定着ベルト63の温度が前1閾値より高い第2閾値を上回る場合に、接触状態に切り替えてもよい。
または、移動部115は、ウォームアップを開始し、所定の時間経過後に接触状態を離間状態に切り替えるように構成されてもよい。この場合、接触状態における潤滑剤の昇温速度等に基づいて、所定の時間経過後に潤滑剤の温度が目標温度(例えば、潤滑剤が適正粘度となる第1閾値)に到達するように、当該所定の時間が設定される。これらのようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 感光体、11 帯電部材、13 露光装置、14 現像器、15 トナーボトル、17,43 クリーニングユニット、18 除電装置、19 センサー、20 スキャナー、21 カバー、22 用紙台、25 プリンター、30 転写ベルト、31 一次転写ローラー、32 転写駆動機、33 二次転写ローラー、35 トナー像、37 用紙トレイ、38 従動ローラー、39 駆動ローラー、40 レジストローラー、41 搬送経路、48 排紙トレイ、60,71 定着器、61 加圧ローラー、62 加熱部材、63 定着ベルト、64 加圧パッド、65 潤滑剤供給部、65a 温度センサー、66 支持部、67 加熱ローラー、68 ヒーター、70 定着装置、75 グリップ部、80 温湿度センサー、90 画像形成部、100 画像形成装置、101 制御装置、102 ROM、103 RAM、104 ネットワークインターフェイス、105 操作パネル、107 回転部、113 発熱部、115 移動部、120 記憶装置、122 プログラム。

Claims (18)

  1. 用紙の上に形成されたトナー像を前記用紙に定着させるための定着装置であって、
    前記用紙を加圧するための加圧ローラーと、
    前記用紙を加熱するための加熱部材とを備え、
    前記加熱部材は、
    前記加圧ローラーと対向して設けられている加圧パッドと、
    ヒーターを含む加熱ローラーと、
    前記加圧パッドおよび前記加熱ローラーに無端状に巻きつけられた定着ベルトとを含み、
    前記定着装置は、さらに、
    前記加圧ローラーおよび前記加熱ローラーの回転を制御する駆動機構を備え、
    前記定着ベルトは前記加熱ローラーの回転に伴い、前記加圧パッドの表面を摺動しながら走行し、
    前記駆動機構は、
    前記加圧ローラーおよび前記加熱部材の少なくとも一方を移動させることで、前記加圧ローラーおよび前記加圧パッドの間を通過する前記用紙に圧力を加え、前記トナー像を前記用紙に定着させ、
    前記加圧ローラーと前記定着ベルトとが接触している接触状態と、前記加圧ローラーと前記定着ベルトとが離間している離間状態とを切り替え、
    前記加熱部材のウォームアップの期間に所定の条件が満たされた場合、前記接触状態とする、定着装置。
  2. 前記所定の条件は、前記加熱部材のウォームアップが開始されたことである、請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間であって、前記接触状態である期間には、前記ウォームアップが完了した後の期間と比べて、前記加圧ローラーと前記定着ベルトとの間に発生する圧力が弱くなるように、前記少なくとも一方を移動させる、請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間であって、前記接触状態である期間には、前記ウォームアップが完了した後の期間と比べて、前記加圧ローラーを低い速度で回転させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間における前記接触状態において前記加圧ローラーと前記定着ベルトとの間に発生する摩擦力が、前記離間状態において前記定着ベルトの張力により前記加熱ローラーと前記定着ベルトとの間に発生する摩擦力よりも大きくなるように、前記少なくとも一方を移動させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記加圧ローラーは、回転軸方向の両端部に、回転軸方向の中央部よりも摩擦係数の大きなグリップ部を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間において、前記接触状態に切り替えてから所定時間が経過した場合に、前記離間状態に切り替える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記加圧パッドの表面には、潤滑剤が塗布されており、
    前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間であって、前記接触状態である期間において、前記潤滑剤の温度が第1閾値を上回る場合に、前記離間状態に切り替える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間であって、前記離間状態である期間において、前記潤滑剤の温度が前記第1閾値より高い第2閾値を上回る場合に、前記接触状態に切り替える、請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間であって、前記接触状態である期間において、前記定着ベルトの温度が第1閾値を上回る場合に、前記離間状態に切り替える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの期間であって、前記離間状態である期間において、前記定着ベルトの温度が前記第1閾値より高い第2閾値を上回る場合に、前記接触状態に切り替える、請求項10に記載の定着装置。
  12. 前記所定の条件は、前記定着装置の稼働量が所定の閾値を上回ることである、請求項1に記載の定着装置。
  13. 前記加圧パッドの表面には、潤滑剤が塗布されており、
    前記所定の条件は、前記定着装置の外部の環境温度、前記定着ベルトの温度、または、前記潤滑剤の温度の少なくとも一つが所定の閾値を下回ることである、請求項1に記載の定着装置。
  14. 前記駆動機構は、前記ウォームアップの開始時において、前記定着装置の外部の環境温度、前記定着ベルトの温度、または、前記潤滑剤の温度の少なくとも一つが所定の閾値を下回る場合に、前記接触状態とし、前記定着装置の外部の環境温度、前記定着ベルトの温度、または、前記潤滑剤の温度が所定の閾値以上となる場合に、前記離間状態とする、請求項13に記載の定着装置。
  15. 前記駆動機構は、前記ウォームアップ開始時に前記離間状態とし、前記定着ベルトが走行したことを検知した後に前記ヒーターを発熱する、請求項1に記載の定着装置。
  16. 前記駆動機構は、前記ウォームアップ開始時に前記離間状態とし、前記定着ベルトが走行したことを検知しない場合に、前記接触状態に切り替える、請求項1に記載の定着装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の定着装置を備える、画像形成装置。
  18. 用紙の上に形成されたトナー像を前記用紙に定着させるための定着装置の制御方法であって、
    前記定着装置は、
    前記用紙を加圧するための加圧ローラーと、
    前記用紙を加熱するための加熱部材とを備え、
    前記加熱部材は、
    前記加圧ローラーと対向して設けられている加圧パッドと、
    ヒーターを含む加熱ローラーと、
    前記加圧パッドおよび前記加熱ローラーに無端状に巻きつけられた定着ベルトとを含み、
    前記制御方法は、
    前記加圧ローラーおよび前記加熱部材の少なくとも一方を移動させることで、前記加圧ローラーおよび前記加圧パッドの間を通過する前記用紙に圧力を加え、前記トナー像を前記用紙に定着させるステップと、
    前記加圧ローラーと前記定着ベルトとが接触している接触状態と、前記加圧ローラーと前記定着ベルトとが離間している離間状態とを切り替えるステップと、
    前記加熱部材のウォームアップの開始時に前記接触状態とするステップとを含む、制御方法。
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