JP2012064839A - 結晶シリコン系太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】単結晶シリコン基板を用いた光起電力装置において、集電極の電気抵抗値を低くすることによって集電極での抵抗損を減らし、光電変換効率に優れ、生産性も向上した結晶シリコン太陽電池を提供する。
【解決手段】単結晶シリコン基板の片面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、p型シリコン系薄膜層をこの順に有し、他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、n型シリコン系薄膜層をこの順に有する結晶シリコン太陽電池であって、前記単結晶シリコン基板は、前記単結晶シリコン基板表面上にテクスチャ構造を有し、前記テクスチャ構造は光入射面側の光受光部と集電極部で高さがことなり、光受光部で3μm以上15μm以下であり、集電極部で0.1μm以上0.5μm以下である。
【選択図】図1
【解決手段】単結晶シリコン基板の片面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、p型シリコン系薄膜層をこの順に有し、他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、n型シリコン系薄膜層をこの順に有する結晶シリコン太陽電池であって、前記単結晶シリコン基板は、前記単結晶シリコン基板表面上にテクスチャ構造を有し、前記テクスチャ構造は光入射面側の光受光部と集電極部で高さがことなり、光受光部で3μm以上15μm以下であり、集電極部で0.1μm以上0.5μm以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、単結晶シリコン基板表面にヘテロ接合を有する結晶シリコン太陽電池に関するものである。
結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン太陽電池は、光電変換効率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。
中でも単結晶シリコンとはギャップの異なる非晶質シリコン系薄膜を単結晶表面へ製膜し、拡散電位を形成したヘテロ接合太陽電池において、拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン表面の間に、薄い真性な非晶質シリコン層を介在させる太陽電池は、変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つである。このように結晶表面と導電型非晶質シリコン系薄膜の間に薄い真性な非晶質シリコン層を製膜することで、結晶表面に存在する欠陥をパッシベートすることができ、また、導電型非晶質シリコン系薄膜を製膜する際の、キャリア導入不純物の結晶シリコン表面への拡散を防止することができる。
結晶シリコンは、その周期構造を反映した電子状態の異方性を有しており、価電子バンドの頂上と伝導帯バンドの底の波数ベクトルが一致しないため、電子のバンド間遷移にはフォノンと相互作用が必要となる(間接遷移という)ことから、「間接遷移型半導体」と呼ばれている。間接遷移型半導体を太陽電池に用いた場合、フォノンとの相互作用を必要としない直接遷移型半導体と比較して、光吸収係数が低いため、光を如何に光電変換層に閉じ込めるかが重要な技術の一つとなる。光を閉じ込めるためには太陽電池の光学特性を制御する必要があり、その光学特性は主に屈折率差を有する界面形状と各層の膜厚によって決定される。
一般的に結晶シリコン太陽電池のシリコン層は、表面に製膜されている透明電極層よりも屈折率が高く、幾何光学上光が閉じ込められやすい(以下「光閉じ込め効果」という)。この光閉じ込め効果を増大させるためには、例えば入射面に対して界面へ波長程度の大きさのテクスチャ構造を設けることで、屈折率差を有する界面に対して光を斜入射(すなわち屈折)させることができ、光の進行方向を曲げることができる。その結果、入射光が入射側界面や裏面側界面に到達した場合などに、光が高屈折率側(シリコン側)に閉じ込められる確率が高くなる。
結晶シリコン基板の表面にテクスチャを形成する手法としては、単結晶シリコンの(001)面と(111)面のエッチング速度の違いを利用した「異方性エッチング」による手法が知られている。(001)面を表面にもつ単結晶シリコン基板をエッチングすると、エッチング速度の極めて遅い(111)面からなる四角錐状テクスチャが形成される。
特許文献1では、(001)面を表面にもつ基板を異方性エッチングすることにより入射面及び側面、裏面周縁部をテクスチャ構造とすることによって、太陽電池の光吸収効率を向上させている。
また、異方性エッチングによって形成されるテクスチャのサイズを制御する方法として、異方性エッチングに先だって、結晶シリコン基板表面接着剤を点状に付着させる方法が知られている。(特許文献2)接着剤をエッチングマスクとすることにより、異方性エッチングにより形成されるテクスチャの密度を増加させることができ、結果として個々のテクスチャの大きさを小さくすることができる。
集電極は、太陽電池素子の発電層で作られた電力を集め、配線部材を通して外部へ取り出すための電極である。電気抵抗のある電極を電流が流れる場合、電極の電気抵抗値に電流値の自乗を乗じた量の電力が、抵抗損となり失われる。結晶シリコン太陽電池素子は、電圧が低く電流が大きい特徴があるため、集電極の電気抵抗値が高いと抵抗損が大きくなる。したがって結晶シリコン太陽電池素子の集電極は電気抵抗値が低いことが要求される。電気抵抗値は電極の断面積に反比例し、電極の長さに比例する。集電極の断面積は集電極の幅と高さで決まるが、集電極は不透明な材料で構成されるため、断面積を増やすために幅を広くすると、太陽電池素子の発電層へ届く光を遮ることとなり、発電に寄与できる光の量が減少し、その結果発電効率が低下する。そこで、発電に寄与できる光を増やし、同時に抵抗損を減らすためには、集電極は幅が狭く高さが高い必要がある。
特許文献3では、幅が狭く高さの高い集電極を形成する方法として、集電極を形成する基板表面を撥水性にする方法が記載されている。スクリーン印刷などの方法で集電極材料を基板表面に塗布することに先だって基板表面を撥水性にすることにより、集電極材料の液だれを防ぎ、このことによって幅が狭く高さの高い集電極を形成している。
また、シリコン基板表面に作成したテクスチャ構造により、透明電極層と集電極とが接触する面積が増加し、接触面はテクスチャ構造の凹凸に沿った立体構造となる。その結果、テクスチャ構造がない場合と比較して透明電極層と集電極との付着強度は強くなる。この効果は集電極と集電極をつなぐ配線部材との接触面にも表れ、付着強度はテクスチャ構造がない場合と比較して強くなる。その結果、配線部材に張力がかかる状況において集電極と配線部材との剥離が発生しにくくなる。
しかしながら集電極をテクスチャ構造の凹凸に沿って形成すると、集電極を流れる電流が通る経路テクスチャ構造の凹凸を反映して上下するため、平坦な構造に沿って形成する場合と比較して長くなり、その結果集電極の電気抵抗値が高くなる。特許文献1では、単結晶シリコン基板全面に、数μmから数十μmのピラミッド形状の凹凸を形成し、この上に集電極を形成している。このように高低差のある凹凸構造に沿って集電極を形成すると、前記の理由により、集電極の電気抵抗値が高くなり、その結果太陽電池の発電効率が低下する。また、スクリーン印刷法で集電極を作成した場合、凹凸構造の凹部と凸部で集電極の厚さが変わるため、太陽電池素子が急激な温度変化にさらされたとき、凹凸の端部に破壊的な応力集中がおこり、製品の歩留り低下や故障発生の原因となるといった問題がある。
以上のことを踏まえて、本発明においては、単結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン太陽電池において、集電極の電気抵抗値を低くすることによって集電極での抵抗損を減らし、光電変換効率に優れ、生産性も向上した結晶シリコン太陽電池を提供することを目的としている。
本発明においては、単結晶シリコン基板表面にテクスチャ構造を形成する際、集電極部のテクスチャ構造を光受光部と比較して小さくすることにより、光受光部では光閉じ込め効果を維持しつつ、集電極では実効上の電気伝導経路長の増加を抑えることができ、また付随効果としてスクリーン印刷法で形成される集電極の幅が狭くなり高さが高くなる結果、発電効率などが向上することを見出した。すなわち、本発明は以下に関する。
(1)単結晶シリコン基板の片面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、p型シリコン系薄膜層をこの順に有し、他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、n型シリコン系薄膜層をこの順に有する結晶シリコン太陽電池であって、前記単結晶シリコン基板は、前記単結晶シリコン基板表面上にテクスチャ構造を有し、前記テクスチャ構造は光入射面側の光受光部と集電極部で高さがことなり、光受光部で3μm以上15μm以下であり、集電極部で0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする結晶シリコン太陽電池。
(2)前記p型シリコン系薄膜層および前記n型シリコン系薄膜層の上に、さらに透明電極層、集電極をこの順にそれぞれ有することを特徴とする(1)に記載の結晶シリコン太陽電池。
(3)(1)〜(2)のいずれかに記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法であって、前記単結晶シリコン基板表面を異方性エッチングするに先立って微粒子を塗布することによりテクスチャサイズの異なる領域を形成されることを特徴とする結晶シリコン太陽電池の製造方法。
(4)前記微粒子は、平均直径10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
(5)前記微粒子を塗布した際、結晶シリコン基板上での微粒子の平均密度が1平方マイクロメートルあたり光受光部で0.002個以上0.2個以下、集電極部で5個以上100個以下であることを特徴とする請求項3に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
(6)一度の異方性エッチングによりテクスチャサイズの異なる領域を形成し、形成したパターンを位置合わせ用のマークとして使用することを特徴とする請求項3〜5に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
(7)一度の異方性エッチングによりテクスチャサイズの異なる領域を形成し、形成したパターンを製品識別用の文字列または記号として使用することを特徴とする請求項3〜5に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
テクスチャ構造をもった単結晶シリコン基板を使って太陽電池素子を作成する際、集電極での電力の抵抗損を低く抑え、熱衝撃耐性を向上させる。また上記結晶シリコン太陽電池の集電極上に配線部材を形成してモジュール化する際にも応力による剥離が発生し難くなり、結果として歩留まりが飛躍的に向上する。さらに、集電極部が形成される下地が撥水性となった結果、スクリーン印刷により集電極を形成すると、下地が撥水性を示さない場合と比較して幅が狭く、高さの高い集電極が作成でき、その結果太陽電池素子の光受光面積を広くすることができ、発電効率が向上する。
本発明に係る結晶シリコン太陽電池は、単結晶シリコン基板の片面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、p型シリコン系薄膜層をこの順に有し、他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、n型シリコン系薄膜層をこの順に有する結晶シリコン太陽電池であって、前記単結晶シリコン基板表面上にテクスチャ構造を有し、前記テクスチャ構造は光入射面側の光受光部と集電極部で高さがことなり、光受光部で3μm以上15μm以下であり、集電極部で0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴としている。
まず、本発明の結晶シリコン太陽電池における、単結晶シリコン基板について説明する。
単結晶シリコン基板は、導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有させたものが一般的に用いられる。単結晶シリコン基板は、ケイ素原子に対して電子を導入するリン原子を供給したn型と、ホール(正孔ともいう)を導入するボロン原子を供給したp型がある。上記単結晶シリコン基板を太陽電池に用いる場合、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子正孔対を効率的に分離回収することができる。よって入射側のヘテロ接合は逆接合とすることが好ましい。一方で、正孔と電子を比較した場合、電子は、有効質量及び散乱断面積が小さいために一般的に移動度は大きくなる。以上の観点から、本発明において使用する単結晶シリコン基板は、n型単結晶シリコン基板であることがより好ましい。
本発明における単結晶シリコン基板の厚みは、原料シリコン節約の観点からは、60μm以上120μm以下が好ましい。一般的に、上記のように厚みを薄くした場合、光吸収効率が少なくなる。しかしながら本発明の単結晶シリコン基板を用いた場合は、優れた光閉じ込め効果が期待できるため、上記のように厚みを薄くすることが可能となる。この場合、光吸収層での光吸収効率などの観点からは、80μm以上120μm以下がより好ましい。また単結晶シリコン基板の厚みが上記範囲である場合、太陽電池へ入射する光の内、900nm以上の長波長光が裏面界面に到達する割合が多くなる。このため、裏面側にもテクスチャ構造を備え、長波長光を散乱することにより光閉じ込め効果の更なる向上を図ることが好ましい。また、製造時の安定性などの観点からも上記範囲が好ましい。
本発明における単結晶シリコン基板は、表面上に、四角錐状テクスチャ構造を備えており、上記四角錐状テクスチャの形状としては、(111)面で構成された四角錐状テクスチャが一般的である。このような形状は結晶シリコンのエッチング速度が(001)面と(111)面で異なることを利用することで容易に得ることができる。
前記四角錐状テクスチャを形成する方法としては、(001)面を表面にもつ単結晶シリコン基板を異方性エッチングすることが挙げられるが、(001)面から2〜35度傾いた面で切り出された単結晶シリコン基板(すなわち基板表面と(001)面のなす角度θがθ=2〜35度)を用いて異方性エッチングしてもよい。
上記異方性エッチングを行うことにより、(111)面で構成された四角錐状テクスチャを比較的均一に形成することが可能であり、また生産性の観点からも好ましい。テクスチャの頂点は光学的な観点からは鋭いほうが好ましいが、この上に製膜するシリコン系薄膜層の製膜しやすさ及びキャリア回収という観点から、頂点(山部と谷部のうち、特に谷部)が丸くなっていることが好ましい。丸みの程度としては、製膜するシリコン系薄膜層の膜厚と同じオーダーで丸みを帯びていることが好ましく、曲率半径が100nm以上1500nm以下であることが好ましい。
前記基板の四角錐状テクスチャ構造の形成方法については特に制限はなく、例えば、アルカリ溶液によるウェットエッチング、ラビング、ブラスト処理、プラズマエッチング等の公知の方法により形成することができるが、本発明においては、面内での形状均一性、光閉じ込めの観点から、特にアルカリ水溶液によるウェットエッチングによって形成することが好ましい。
一般的に、テクスチャサイズはエッチングが進行すればするほど大きくなる傾向がある。例えば、エッチング時間を長くするとテクスチャサイズは大きくなるが、この他にも例えば反応速度が大きくなるようにエッチング溶液の濃度や供給速度の増加、または液温の上昇等によってもテクスチャサイズを大きくすることができる。
また、エッチングが開始される表面状態によってもエッチング速度が異なるため、研磨等の機械的工程を実施した表面と実施していない表面とではテクスチャサイズが異なる、ということを利用してもよい。さらに、(111)面で形成された四角錐状の構造が隣接した場合、つまり(111)面で表面が覆われた場合、エッチング速度は遅くなる傾向がある。このような場合は、エッチングの起点を設けておくことで、テクスチャ構造の密度を制御、すなわちテクスチャの大きさを制御できる。エッチング起点は、例えば、研磨等の機械的工程によって形成することができる。
一度の異方性エッチングで、テクスチャサイズの異なる領域を単結晶シリコン基板表面に作る方法としては、異方性エッチングに先だって単結晶シリコン基板表面に微粒子などの微細なエッチングマスクを選択的に配置し、次に異方性エッチングを行うことにより、初期に発生するテクスチャ密度を制御することが好ましい。エッチングマスクのある領域はエッチングされないため、エッチング後にはテクスチャの頂点となる。
上記微粒子を単結晶シリコン基板表面に選択的に配置する方法としては、上記微粒子を溶液中に分散させることにより、フレキソ印刷法やスクリーン印刷法、マスクを利用したスプレー法などにより基板内の設計された領域に設計された密度で選択的に付着させる方法が好ましい。この基板を異方性エッチングすることにより、一度の異方性エッチングで基板内でのテクスチャの大きさの、単結晶シリコン基板表面での分布を所望のパターンに制御することができる。
上記微粒子のシリコン基板表面での密度は、上記微粒子の分散濃度を変えることにより制御することができる。上記微粒子のシリコン基板表面での密度は、上記微粒子が異方性エッチング中に剥離する割合に応じて、作成するテクスチャの頂点密度かそれ以上とすることが好ましく、テクスチャの高さを0.2μm〜0.5μmとするためには、1平方マイクロメートルあたり10個以上100個以下とすることが好ましい。
上記異方性エッチングによって作成したパターンは、後の工程での位置合わせ用マークとして使用することができ、ほかの方法で位置合わせ用マークを作成する場合と比較して、一度の異方性エッチングで作製する方法は追加の工程が必要ない点から好ましく、またマーク作成時に基板へのダメージが発生しない点からも好ましい。
上記異方性エッチングによって作成したパターンは、後の工程で製品識別用の文字列または記号として使用することもでき、位置合わせ用マークとして使用する場合と同様の点から好ましい。また、異方性エッチングで作成した文字列または記号は、光入射面にあっても光を遮らず、文字列または記号のある領域も発電に寄与できるため、製品識別用の文字列または記号を印刷などの方法で作成する場合と比較して、発電効率の観点から好ましい。
上記微粒子としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン系ポリマー、アクリル系ポリマーやこれらの凝集体が例としてあげられる。なかでも、ラテックス系微粒子はエッチング溶液に対する耐性や単結晶シリコン基板表面との付着強度の点から好ましい。
上記微粒子の粒子径は10nm以上200nm以下であることが好ましい。微粒子の粒子径が大きすぎると、単結晶シリコン基板表面での微粒子の密度を高くすることが出来ず、異方性エッチング後のテクスチャサイズを小さくすることが出来ない。また、微粒子の粒子径が小さすぎる場合には異方性エッチングの進行に伴って微粒子と単結晶シリコン基板表面との接触面積が小さくなりすぎるため、微粒子の付着強度が低下し単結晶シリコン基板表面にとどまることが出来ない。
上記異方性エッチングの際、選択的に付着させる微粒子の密度を高くすることにより、選択された所望の領域のみのテクスチャサイズを小さくすることができ、微細な突起状構造とすることにより撥水性を持たせることができる。
なお、上記の異方性エッチングに使用する媒質は、例えば、プラズマやアルカリ水溶液が例示され、中でも、面内での形状均質性の観点から、アルカリ水溶液がより好ましい。
また上記テクスチャ形成後に、(111)面と(001)面の選択性のない、すなわち(111)面と(001)面のエッチング速度に差がない「等方性エッチング」を行うことで、形状に丸みを帯びさせることができる。上記等方性エッチングは、例えばエッチング溶液に硝酸とフッ酸の混合溶液を用いる方法などで実施できる。これによりテクスチャ上に製膜するシリコン系薄膜層の欠陥を抑制し、キャリア回収特性を向上させることができる観点から好ましい。
本発明における結晶シリコン太陽電池の製造方法においては、前記テクスチャ構造を形成する工程に加え、前記テクスチャ構造の表面を「酸化処理する工程」と、前記酸化処理する工程によって形成された「酸化シリコン層を除去する工程」を含むことが好ましい。
前記テクスチャ構造の表面を「酸化処理する工程」については、酸化皮膜を表面に形成することで、前記テクスチャ構造の表面近傍組成を変化させることができる。上記方法としては、例えば酸素雰囲気中で熱酸化させる方法(以下「熱酸化処理」という)の場合、頂点で厚く、谷部に薄く緻密な酸化皮膜が形成され、また、酸素プラズマ中で酸化処理を施す方法の場合、放電条件にも依るが熱酸化処理の場合と比較してポーラスな酸化皮膜が形成される。「酸化処理する工程」としてその他の方法を用いることもできるが、テクスチャ構造の平滑性を保つという観点から緻密な酸化膜が得られる熱酸化処理が好ましい。
また、前記酸化処理する工程によって形成された「酸化シリコン層を除去する工程」については、これを行うことでテクスチャ構造において局所的に異なる酸化皮膜の厚みを反映してテクスチャ形状を制御できる。すなわち酸化皮膜の厚いところは多く削れ、薄いところは少なく削れるので、例えば四角錐状テクスチャ構造の場合は、頂点やテクスチャ側面端部、谷部が丸くなる。
酸化皮膜除去方法としては、還元雰囲気中でのプラズマ処理や、フッ酸への浸漬等が上げられるが、使用後の表面清浄性、ダメージの少なさという観点からフッ酸による除去が好ましい。頂点部、テクスチャ側面端部あるいは谷部が丸くなることで表面形状が緩和され、前記単結晶シリコン基板上に、シリコン系薄膜を製膜する際の欠陥の生成が抑制できる。
上記の如く、単結晶シリコン基板表面に特定のテクスチャ構造を形成後、単結晶シリコン基板表面にシリコン系薄膜を製膜する。製膜方法としては、例えばプラズマCVD法が好ましい。
前記シリコン系薄膜の製膜条件としては、例えば、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cm2が好ましく用いられ、必要に応じて適宜調整することができる。前記シリコン系薄膜の形成に使用する原料ガスとしては、例えば、SiH4、Si2H6等のシリコン含有ガス、またはそれらのガスとH2を混合したものが好適に用いられる。光電変換ユニットにおけるp型またはn型層を形成するためのドーパントガスとしては公知のものが使用できるが、例えば、B2H6またはPH3等が好ましく用いられる。また、リンやボロンといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiH4やH2で希釈された混合ガスを用いることが好ましい。また、CH4、CO2、NH3、GeH4等といった異種元素を含むガスを添加することで、合金化しエネルギーギャップを変更することもできる。
本発明における単結晶シリコン基板表面の四角錘状テクスチャ構造は、光受光部では底辺の一辺が1μm〜30μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。上記範囲にあることで、光閉じ込め効果などが期待できる。また四角錐状テクスチャはそれぞれ独立した四角錐である必要はなく、隣り合う四角錐の一部または大半が重なり合い複数の四角錐が連結されていてもよい。
また、本発明における単結晶シリコン基板表面の四角錘状テクスチャ構造は、集電極部では底辺の一辺が0.1μm〜1μmであることが好ましく、0.1μm〜0.5μmであることがより好ましい。上記範囲にあることで、集電極の電気抵抗値を低く抑えながら、熱衝撃試験の歩留りが向上し、かつ撥水性を持たせることが期待できる。また四角錐状テクスチャはそれぞれ独立した四角錐である必要はなく、隣り合う四角錐の一部または大半が重なり合い複数の四角錐が連結されていてもよい。
本発明における「実質的に真性なシリコン系薄膜層」とは、キャリア供給源となる不純物が5×1018cm-3以下であるシリコン系薄膜層や、あるいはキャリア供給源となる不純物があってもn型とp型で補償することによりn型またはp型半導体として働かないシリコン系薄膜層を意味する。
本発明におけるp型シリコン系薄膜層は、p型水素化非晶質シリコン層かp型酸化非晶質シリコン層であることが好ましい。p型水素化非晶質シリコン層は、不純物拡散や直列抵抗の観点から好ましい。一方で、p型酸化非晶質シリコン層は、ワイドギャップの低屈折率層として光学的なロスを低減できる点において好ましい。
本発明におけるn型シリコン系薄膜層は、例えばn型水素化非晶質シリコン、n型微結晶シリコン、n型シリコンナイトライドなどが例示されるが、中でもi型シリコン系薄膜層への製膜ダメージや不純物拡散の低減の観点から、n型水素化非晶質シリコンが好ましい。
本発明における結晶シリコン系太陽電池は、p型シリコン系薄膜層およびn型シリコン系薄膜層の上に、電極層をそれぞれ有することが好ましい。入射側(すなわちp型シリコン系薄膜層上)に関しては、光を透過させるために透明である必要があるため、上記電極層として透明電極層を用いることが好ましく、中でも透明導電性酸化物層がより好ましく用いられる。前記透明導電性酸化物層として用いられる化合物としては、例えば酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン等が上げられ、中でも、製膜温度及び抵抗/膜厚比、湿熱耐久性という観点から酸化インジウムがより好ましい。裏面側(すなわちi型シリコン系薄膜層上)に関しては、金属からなる電極層を形成してもよいが、薄い基板の両面での応力を一致させるという観点から、入射側と略同等の透明電極層を用いることが好ましい。上記電極層として例えば、酸化亜鉛等を主成分とする透明導電性酸化物層を用いた場合の膜厚は、光閉じ込めの観点から、60〜120nmの範囲であることが好ましい。
本発明においては、上記単結晶シリコン基板としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合、本発明の構成(透明電極層/p型シリコン系薄膜層/実質的に真性なシリコン系薄膜層/単結晶シリコン基板/実質的に真性なシリコン系薄膜層/n型シリコン系薄膜層/透明電極層)のうちの好適な構成としては、導電性酸化物層/p型非晶質シリコン系薄膜層/i型非晶質シリコン系薄膜層/n型単結晶シリコン基板/i型非晶質シリコン系薄膜層/n型非晶質シリコン系薄膜層/導電性酸化物層が例示される。この場合、p型非晶質シリコン系薄膜層として光学的ロスの少ないp型酸化非晶質シリコン層などを光入射面側に配置できるという観点から裏面をn型とすることが好ましい。
本発明における結晶シリコン系太陽電池は、前記入射側および裏面側の電極層上にさらに集電極をそれぞれ有することが好ましい。集電極は、インクジェット、スクリーン印刷、導線接着、スプレー等の公知技術によって作製できるが、生産性の観点からスクリーン印刷が好ましい。すなわち金属粒子と樹脂バインダーからなる導電性ペーストをスクリーン印刷によって印刷し、集電極を形成する工程が好ましく用いられる。
本発明における結晶シリコン太陽電池は、前記集電極上に配線部材を接着したもの(以下「結晶シリコン太陽電池モジュール」という)を用いることが好ましい。このように、集電極上に配線部材を形成することにより、他の太陽電池との電気的接続や外部への電力取り出しに利用されうる。配線部材と集電極との接触面に発生する応力による、集電極と電極層との剥離を避けるためには、集電極表面が粗面化していることが好ましい。集電極の粗面化は、集電極のエッチングや印刷による立体構造形成、単結晶シリコン基板への四角錐状テクスチャ構造の形成等の方法により実現できるが、生産性の観点から単結晶シリコン基板への四角錐状テクスチャ構造の形成が好ましい。
また上記配線部材により隣接する前記結晶シリコン太陽電池同士を電気的に接続することがより好ましい。この場合、製造時に配線部材の剥離が発生しにくくなり、歩留まりが飛躍的に向上した結晶シリコン太陽電池モジュールを作製することができる。
集電極に用いられうる導電ペーストの固化も兼ねて、集電極形成後の太陽電池のアニールを行ってもよい。アニールによって、透明電極層(以下「TCO」ともいう)の透過率/抵抗率比の向上、接触抵抗や界面準位の低減といった各界面特性の向上なども得られる。アニール温度としては非晶質シリコン系薄膜の製膜温度から100℃前後の温度領域に留めることが好ましい。上記範囲とすることで、導電型非晶質シリコン系薄膜層から真性非晶質シリコン系薄膜層へのドーパントの拡散、TCOからシリコン領域への異種元素の拡散による不純物準位の形成、非晶質シリコン中での欠陥準位の形成などを抑制することができ、太陽電池の効率向上の観点から好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、本発明に従う実施例1の結晶シリコン太陽電池を示す模式的断面図である。具体的には実施例の集電極に沿った断面模式図である。本実施例の結晶シリコン太陽電池はヘテロ接合太陽電池であり、n型単結晶シリコン基板1の両側の表面にそれぞれテクスチャが形成されている。n型単結晶シリコン基板1の入射面にはi型非晶質シリコン層2/p型非晶質シリコン層4/酸化インジウム層6が製膜されている。一方、基板1の裏面にはi型非晶質シリコン層3/n型非晶質シリコン層5/酸化インジウム層7が製膜されている。酸化インジウム層6、7の上には集電極8が形成されている。
図1は、本発明に従う実施例1の結晶シリコン太陽電池を示す模式的断面図である。具体的には実施例の集電極に沿った断面模式図である。本実施例の結晶シリコン太陽電池はヘテロ接合太陽電池であり、n型単結晶シリコン基板1の両側の表面にそれぞれテクスチャが形成されている。n型単結晶シリコン基板1の入射面にはi型非晶質シリコン層2/p型非晶質シリコン層4/酸化インジウム層6が製膜されている。一方、基板1の裏面にはi型非晶質シリコン層3/n型非晶質シリコン層5/酸化インジウム層7が製膜されている。酸化インジウム層6、7の上には集電極8が形成されている。
図1に示す実施例1の結晶シリコン太陽電池を以下のようにして製造した。
n型単結晶シリコン基板(以下「基板」とも言う)として、基板表面が(001)面であり、厚みが150μmのものを用いた。基板をアセトン中で洗浄した後、2重量%のHF水溶液に5分間浸漬し、表面の酸化シリコン層を除去し、超純水によるリンスを2回行った。次に基板上の集電極が形成される位置に、微粒子分散液をフレキソ印刷(日本写真印刷社製オングストローマ印刷機使用)により塗布した。微粒子分散液はコアフロント社製単分散ポリマーラテックス粒子micromerのCOOH表面装飾品、平均粒子径50nmをエタノールで50倍に希釈した分散液である。微粒子分散液塗布後の単結晶シリコン基板を電子顕微鏡観察したところ、単結晶シリコン基板表面に微粒子が付着している様子が確認され、微粒子の密度は1平方マイクロメートルあたり65.2個だった。
こうして準備した基板1を75℃に保持した5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に10分間浸漬した。次に超純水によるリンスを2回行った後、2重量%のHF水溶液に5分間浸漬し、超純水によるリンスを2回行い、常温で乾燥させた。AFM(パシフィックnanotech社製nano―R)による単結晶シリコン基板1の表面観察を行ったところ、基板入射面には(111)面が露出した四角錐状のテクスチャ構造が形成されており、光受光部のテクスチャ高さは3μm以上15μm以下、集電極部のテクスチャ高さは0.1μm以上0.2μm以下だった。裏面は光受光部と同様の四角錐状のテクスチャ構造が形成されていた。
エッチングが終了した単結晶シリコン基板1をCVD装置へ導入し、入射面にi型非晶質シリコン層2を3nm製膜した。i型非晶質シリコン層2の製膜条件は、基板温度が170℃、圧力120Pa、SiH4/H2流量比が3/10、投入パワー密度が0.03W/cm−2であった。i型非晶質シリコン層2の上にp型非晶質シリコン層4を4nm製膜した。p型非晶質シリコン層4の製膜条件は基板温度が170℃、圧力130Pa、SiH4/H2/B2H6流量比が1/10/3、投入パワー密度が0.04W/cm−2であった。なお、上記でいうB2H6ガスは、B2H6濃度を5000ppmまでH2で希釈したガスを用いた。
次に裏面側にi型非晶質シリコン層3を5nm製膜した。i型非晶質シリコン層3の製膜条件は、基板温度が170℃、圧力120Pa、SiH4/H2流量比が3/10、投入パワー密度が0.03W/cm−2であった。i型非晶質シリコン層3上にn型非晶質シリコン層5を7nm製膜した。n型非晶質シリコン層5の製膜条件は、基板温度が170℃、圧力60Pa、SiH4/PH3流量比が1/2、投入パワー密度が0.02W/cm−2であった。なお、上記でいうPH3ガスは、PH3濃度を5000ppmまでH2で希釈したガスを用いた。次にp型非晶質シリコン層4とn型非晶質シリコン層5上へ酸化インジウム層6、7をスパッタリング法によって、それぞれ80nmと100nm製膜した。スパッタリングターゲットはIn2O3へSnを5%添加したものを用いた。両面の酸化インジウム層6、7上に、銀ペーストをスクリーン印刷し、櫛形電極を形成し、集電極8とした。その後、図2に示すように集電極8上に配線部材9を形成した。なお、図2は、実施例の集電極に沿った断面模式図、および基板面上の配線部材を示す模式図である。集電極8の配線部材9との接着部に、配線部材9をはんだ付けし、電気特性測定用の配線部材9を接着してシリコン系太陽電池モジュールを作製した。
(実施例2)
実施例2では、使用した微粒子分散液の希釈濃度が100倍であり、微粒子の密度が1平方マイクロメートルあたり29.5個であって、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ0.2μm以上0.5μm以下である点において実施例1と異なっていた。
実施例2では、使用した微粒子分散液の希釈濃度が100倍であり、微粒子の密度が1平方マイクロメートルあたり29.5個であって、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ0.2μm以上0.5μm以下である点において実施例1と異なっていた。
(比較例1)
比較例1では、使用した微粒子分散液の希釈濃度が10倍であり、微粒子の密度が1平方マイクロメートルあたり410.8個であって、異方性エッチングにより集電極部にテクスチャがほとんど形成されず、ほぼフラットである点において実施例1と異なっていた。
比較例1では、使用した微粒子分散液の希釈濃度が10倍であり、微粒子の密度が1平方マイクロメートルあたり410.8個であって、異方性エッチングにより集電極部にテクスチャがほとんど形成されず、ほぼフラットである点において実施例1と異なっていた。
(比較例2)
比較例2では、使用した微粒子分散液の希釈濃度が1000倍であり、微粒子の密度が1平方マイクロメートルあたり3.2個であって、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ3μm以上5μm以下である点において実施例1と異なっていた。
比較例2では、使用した微粒子分散液の希釈濃度が1000倍であり、微粒子の密度が1平方マイクロメートルあたり3.2個であって、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ3μm以上5μm以下である点において実施例1と異なっていた。
(比較例3)
比較例3では、使用した微粒子分散液の微粒子径が500nmであり、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ5μm以上15μm以下である点において実施例1と異なっていた。
比較例3では、使用した微粒子分散液の微粒子径が500nmであり、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ5μm以上15μm以下である点において実施例1と異なっていた。
(比較例4)
比較例4では、使用した微粒子分散液の微粒子径が平均5nmであり、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ3μm以上15μm以下である点において実施例1と異なっていた。
比較例4では、使用した微粒子分散液の微粒子径が平均5nmであり、異方性エッチングにより作成された集電極部のテクスチャが高さ3μm以上15μm以下である点において実施例1と異なっていた。
(比較例5)
比較例5では、集電極部に限らず光受光部にまで微粒子分散液を塗布後、異方性エッチングを行なった結果、光受講部のテクスチャが集電極部と同等である点において実施例2と異なっていた。
比較例5では、集電極部に限らず光受光部にまで微粒子分散液を塗布後、異方性エッチングを行なった結果、光受講部のテクスチャが集電極部と同等である点において実施例2と異なっていた。
実施例1〜2及び比較例1〜5を比較すると、集電極部分のテクスチャが小さい実施例1〜2および比較例1はFFが高く、発電効率も20.5%を超えているのに対し、比較例2〜4では集電極部のテクスチャが大きくなるにともなってFFが低下し、発電効率も低くなった。集電極部のテクスチャの凹凸に沿って集電極が形成された結果、集電極での抵抗損が増大し、発電効率が低下したと考えられる。また、比較例1では熱衝撃耐性が他と比べて悪い結果となった。比較例1では集電極部にテクスチャの凹凸が無いため、熱衝撃により発生する応力を緩和することが出来ないためと考えられる。また、表には示していないが比較例1のサンプル作製中に配線部材が集電極からはがれる現象が頻発した。これは比較例1では集電極と配線部材との接合部分が粗面化されていないため、配線部材からの張力に接合部が耐えられなかったためと考えられる。比較例1以外のサンプルでは同様の現象は見られなかった。以上により、実施例1〜2および比較例1〜4の中では、特に集電極部のテクスチャ高さが0.2〜0.5μmである実施例2で、発電効率が高くなり、熱衝撃耐性も良好となった。
また、実施例1〜2と比較例5を比較すると、FFには大きな差は見られなかったが、光受光部のテクスチャ高さが0.1〜0.2μmである比較例4では、発電効率が大きく低下した。比較例4の発電効率が低下したのは、光受光部のテクスチャ高さが不十分で、光閉じ込め効果が十分に働かなかったためと考えられる。
これらの結果から考察すると、発電効率が高く、熱衝撃耐性に優れた結晶シリコン太陽電には、集電極部に高さが0.1〜0.5μmを満たすテクスチャを有し、光受光部には高さが3μm以上15μm以下であるテクスチャを有する構造が効果的であることがわかる。
1.単結晶シリコン基板
2.i型シリコン系薄膜層
3.i型シリコン系薄膜層
4.p型シリコン系薄膜層
5.n型シリコン系薄膜層
6.透明電極層
7.透明電極層
8.集電極
9.配線部材
2.i型シリコン系薄膜層
3.i型シリコン系薄膜層
4.p型シリコン系薄膜層
5.n型シリコン系薄膜層
6.透明電極層
7.透明電極層
8.集電極
9.配線部材
Claims (7)
- 単結晶シリコン基板の片面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、p型シリコン系薄膜層をこの順に有し、他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層、n型シリコン系薄膜層をこの順に有する結晶シリコン太陽電池であって、前記単結晶シリコン基板表面上にテクスチャ構造を有し、前記テクスチャ構造は光入射面側の光受光部と集電極部で高さがことなり、光受光部で3μm以上30μm以下であり、集電極部で0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする結晶シリコン太陽電池。
- 前記p型シリコン系薄膜層および前記n型シリコン系薄膜層の上に、さらに透明電極層、集電極をこの順にそれぞれ有することを特徴とする請求項1に記載の結晶シリコン太陽電池。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法であって、前記単結晶シリコン基板表面を異方性エッチングするに先立って微粒子を塗布することによりテクスチャサイズの異なる領域を形成することを特徴とする結晶シリコン太陽電池の製造方法。
- 前記微粒子は、平均直径10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
- 前記微粒子を塗布した際、結晶シリコン基板上での微粒子の平均密度が1平方マイクロメートルあたり、集電極部で10個以上100個以下であることを特徴とする請求項3に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
- 一度の異方性エッチングによりテクスチャサイズの異なる領域を形成し、形成したパターンを位置合わせ用のマークとして使用することを特徴とする請求項3〜5に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
- 一度の異方性エッチングによりテクスチャサイズの異なる領域を形成し、形成したパターンを製品識別用の文字列または記号として使用することを特徴とする請求項3〜5に記載の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
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