JP2012062361A - 潤滑油基油 - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い、合成エステルを含有する潤滑油基油を提供すること。
【解決手段】トリメチロールプロパンを90重量%以上含むアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含み、かつ、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含むカルボン酸成分とを反応させて得られる合成エステルからなる潤滑油基油であって、重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67であり、重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10である潤滑油基油。
【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油基油及びそれを含有する潤滑油に関する。本発明の潤滑油基油は、トリメチロールプロパンを原料アルコールとして用いた、流動点が低くかつ引火点の高い、低粘度の合成エステルを含有する潤滑油基油に係わり、特に、作動油や加工油、グリースに適した潤滑油基油に関する。
エンジン油やグリース、作動油に使用されている潤滑油基油は、鉱物油と合成油に大別することができる。合成油はさらに主として合成炭化水素、ジエステル、ヒンダードエステルに分けられる。これら潤滑油基油に求められる性能としては、高粘度指数、良好な低温流動性、優れた熱酸化安定性、低揮発性などが挙げられる。
鉱物油は安価であり、古くから潤滑油の基油として広く使用されている。しかし、鉱物油は粘度指数が低い、低温流動性が悪い、熱酸化安定性が悪い、揮発量が多いなどの欠点を有している。このような鉱物油の欠点を解決するために、前記合成油が開発され、使用されている。合成油は、その種類により、各種性能に利点や欠点を持つものの、鉱物油と比較して価格の面を除きほぼ全ての面で優れている。
例えば、合成炭化水素は、鉱物油に比べ揮発性が低く、また、熱酸化安定性にも優れている。ジエステルは、さらに合成炭化水素よりも揮発性が低く、粘度指数も高く、また低温流動性も良好であるが、熱酸化安定性は合成炭化水素に劣る。ヒンダードエステルは、ジエステルと同様に揮発性が低く、粘度指数、低温流動性はジエステルよりやや劣るが、鉱物油に比べ十分良好なものである。また、ヒンダードエステルの熱酸化安定性は、これら合成油の中で最も優れている。即ち、ヒンダードエステルは、最もトータルバランスの優れた合成油であり、高性能なエンジン油基油として、あるいは高級グリースの基油として現在では幅広く使用されている。
ヒンダードエステルに係る潤滑油基油としては、例えば、トリフルオロメタン又はペンタフルオロエタンを含有する冷媒との相溶性に優れ、かつ潤滑性、安定性等の特性に優れた冷凍機油に、炭素数5〜15の多価アルコールと炭素数3〜12の1価脂肪酸より合成されたエステル油を用いることが提案されている(特許文献1)。また、切削・研削加工時における極微量油剤供給方式で生じがちなミストによる工具等に付着した油剤のべたつき性の改善や更に高い潤滑性を得るために、1価アルコールおよび/または多価アルコールと1塩基酸および/または多塩基酸より合成された一定の特性を有するエステルを用いることが提案されている(特許文献2)。また、トリメチロールプロパンのトリ脂肪酸エステルを農業機械もしくは建設機械用の共通潤滑作動油に用いることが提案されている(特許文献3)。
特開平5−17789号公報 特開2001−192685号公報 特開平7−109477号公報
前記のように、様々な分野において、潤滑性を高めるために合成エステルが潤滑油基油として使用されている。しかし、近年、省エネルギー化のためにより低粘度でありながら、潤滑性が良好な潤滑油基油が求められるようになってきており、特許文献1乃至3に記載のヒンダードエステルは必ずしも満足できる性能を有するものではなかった。また、潤滑油基油には、使用時の安全性の観点から引火点を高くすること望まれるが、引火点を高くする場合には、潤滑油基油の高粘度化する傾向があった。
本発明は、低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い、合成エステルからなる潤滑油基油を提供することを目的とする。さらに本発明は、前記潤滑油基油を含有する場合も含む潤滑油を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、トリメチロールプロパンを90重量%以上含むアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含み、かつ、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含むカルボン酸成分とを反応させて得られる合成エステルからなる潤滑油基油であって、
前記エナント酸と、前記カプリル酸との重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67であり、
前記カプリン酸と、前記エナント酸と前記カプリル酸の合計の重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10である潤滑油基油、に関する。
また本発明は、トリメチロールプロパンを90重量%以上含むアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含み、かつ、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含むカルボン酸成分とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油であって、
前記エナント酸と、前記カプリル酸との重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67であり、
前記カプリン酸と、前記エナント酸及び前記カプリル酸との重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10である潤滑油、に関する。
本発明では、トリメチロールプロパンを主成分とするアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を主成分として、かつこれらを所定割合で含有するカルボン酸成分を反応させて得られる合成エステルからなる潤滑油基油及び該潤滑油基油を含有する場合のある潤滑油を用いることにより、低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い潤滑油基油及び潤滑油を実現している。
このように本発明の潤滑油基油、又は当該潤滑油基油を含有する潤滑油は、例えば、40℃での動粘度が20mm/s未満の低粘度を満足できる。また、本発明の潤滑油基油、又は当該潤滑油基油を含有する潤滑油は、引火点が260℃以上、かつ、流動点−50℃以下を満足することができ、使用温度領域が広く、種々の環境下において好適に適用できる。
本発明の潤滑油基油は、トリメチロールプロパンを90重量%以上含むアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含み、かつ、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含むカルボン酸成分とを反応させて得られる合成エステルからなる。
前記合成エステルに用いられる、アルコール成分は、トリメチロールプロパンを90重量%以上含む。前記トリメチロールプロパンの割合は95重量%以上であるのが好ましく、98重量%以上がより好ましく、100重量%であるのがさらに好ましい。合成エステルのアルコール成分として、トリメチロールプロパンを90重量%以上用いることにより、低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い潤滑油基油を得ることができる。
なお、トリメチロールプロパン以外のアルコール成分としては、各種の1価アルコールまたは多価アルコールを用いることができる。1価アルコールの炭素数は、通常、1〜24であり、炭素鎖は直鎖または分岐のいずれでも良く、また飽和または不飽和のいずれであっても良い。多価アルコールとしては、通常、2〜10価のものが用いられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン等のトリメチロールプロパン以外のトリメチロールアルカン及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類等が挙げられる。
前記合成エステルに用いられるカルボン酸成分はエナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含む。また、カルボン酸成分はエナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含む。エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸の総量の割合は、95重量%以上であるのが好ましく、97重量%以上がより好ましく、実質100重量%であるのがさらに好ましい。合成エステルのカルボン酸成分として、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸の3種を含有し、かつこれらを総量で90重量%以上用いることにより、低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い潤滑油基油を得ることができる。
また、前記エナント酸と前記カプリル酸は、これらの重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67になるように用いられる。前記重量比(エナント酸/カプリル酸)は、0.45〜0.65が好ましく、0.50〜0.64がより好ましい。前記重量比(エナント酸/カプリル酸)を満足することで、低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い潤滑油基油を得ることができる。
前記カプリン酸と、前記エナント酸及び前記カプリル酸の合計量とは、これらの重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10になるように用いられる。前記重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))は、0.04〜0.08が好ましく、0.04〜0.06がより好ましい。前記重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))を満足することで、低粘度でありながら、引火点が高く、かつ流動点が低い潤滑油基油を得ることができる。
エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸の総量を100重量%とした場合、潤滑油基油の粘度低減と低温流動性の向上の観点から、当該総量に対して、エナント酸は20〜40重量%が好ましく、30〜37重量%がより好ましい。カプリル酸は50〜75重量%が好ましく、55〜70重量%がより好ましい。またカプリン酸は、引火点を高める観点から、4〜9重量%が好ましく、4〜6重量%がより好ましい。
なお、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸以外のカルボン酸成分としては、各種の1塩基酸(エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を除く)または多塩基酸を用いることができる。1塩基酸の炭素数は、通常、2〜24であり、炭素鎖は直鎖または分岐のいずれでも良く、また飽和または不飽和のいずれあっても良い。多塩基酸は、通常、炭素数2〜16であり、炭素鎖は直鎖または分岐のいずれでも良く、また飽和または不飽和のいずれあっても良い二塩基酸及びトリメリト酸等が挙げられる。
前記合成エステルは、トリメチロールプロパンを主成分とするアルコール成分と、前記エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を主成分とするカルボン酸成分とを、公知の方法(例えば、特開平11−80766号公報参照)に従って、両成分間でエステル化反応を行うことにより調製することができる。
アルコール成分とカルボン酸成分との反応に際して、両者の当量比は、エステル化反応促進の観点から、通常、アルコール成分の水酸基1当量に対してカルボン酸成分のカルボキシル基が好ましくは1.05〜1.5当量、より好ましくは1.1〜1.3当量となるように調整する。なお、カルボン酸成分のカルボキシル基の比率を高くするとアルコール成分とカルボン酸成分との反応性が良好となる反面、反応終了後、過剰のカルボン酸成分を除去する必要がある。多量のカルボン酸成分を用いた場合には、例えば、減圧留去、スチーミング、吸着剤を用いた吸着、除去などの方法により、過剰の直鎖脂肪酸を除去すればよい。
本発明の合成エステルは、金属部材表面を腐食させない潤滑油基油をとして用いることができ、その酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.1mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.05mgKOH/g以下である。また、本発明の合成エステルは、劣化が少なく長期間使用可能な潤滑油基油として用いることができ、その水酸基価は、好ましくは4.0mgKOH/g以下であり、より好ましくは2.5mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは1.5mgKOH/g以下である。
本発明の潤滑油基油は、前記合成エステルを、通常、95〜100重量%含有してなる。前記合計量は、低温特性、引火点及び潤滑性の向上の観点から、好ましくは96〜100重量%、より好ましくは98〜100重量%である。本発明の潤滑油基油は、前記合成エステル以外に、他のエステルとして、例えば、ジ‐2‐エチルヘキシルセバケート等のジエステル油、ペンタエリスリトール等とカルボン酸から製造されるポリオールエステル油、ピロメリット酸やトリメリット酸とアルコールから製造される芳香族エステル油等や、エステル以外の成分として、炭化水素油やエーテル等を含有することができる。
本発明の好ましい潤滑油基油としては、40℃における動粘度が20mm/秒以下を満足することができる。前記動粘度は低温下での潤滑油基油の流動性を確保する観点から、より好ましくは18mm2/秒以下、さらに好ましくは16mm2/秒以下である。40℃における動粘度は、JIS K2283により測定したものである。
また、本発明の好ましい潤滑油基油としては、引火点260℃以上を満足することができる。引火点は安全性を確保する観点及び取り扱い性が容易であることから、より好ましくは262℃以上であり、さらに好ましくは264℃以上である。引火点は、JIS K2265(クリーブランド開放式)より測定される。
また、本発明の潤滑油基油は、流動点−50℃以下を満足することができる。流動点は、低温時における潤滑性がより一層優れることから、より好ましくは−52.5℃以下であり、さらに好ましくは−55℃以下である。流動点は、JIS K2269により測定される。
本発明の潤滑油基油はそのまま潤滑油として用いることができる。本発明の潤滑油基油及び当該本発明の潤滑油基油を含有する潤滑油の物性は、本発明に係る合成エステルの物性を反映したものであり、互いにそれらの物性は共通している。本発明の潤滑油において、本発明の潤滑油基油を用いる場合、その含有量としては、低温特性、引火点及び潤滑性の向上の観点から、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%である。
本発明の潤滑油は、前記合成エステルに係る潤滑油基油の他に、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来より公知の潤滑油添加剤を含有することができる。添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、防錆剤、消泡剤、抗乳化剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、脂肪酸等の油性剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、酸補足剤等を、本発明の目的が阻害されない範囲内の量で、所望により前記合成エステルと適宜混合することにより調製してもよい。前記の他、添加剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、リン酸エステル等があげられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の含有量は、低温特性、引火点、生分解性及び潤滑性の向上観点から、潤滑油全量基準で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール、4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、ビスフェノールA等などのフェノール系酸化防止剤;p,p´‐ジオクチルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン、3,7‐ジオクチルフェノチアジン、フェニル‐1‐ナフチルアミン、フェニル‐2‐ナフチルアミン、アルキルフェニル‐1‐ナフチルアミン、アルキルフェニル‐2‐ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤;アルキルジサルファイド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系酸化防止剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記極圧剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ジアルキルポリサルファイド、トリアリールフォスフェート、トリアルキルフォスフェート等のリン酸エステル、塩素化パラフィン、硫黄化合物等が挙げられる。これらの極圧剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。リン酸エステルの具体例としては、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニルハイドロジェンホスフート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどが挙げられ、極圧性を向上させる観点から、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェートがより好ましい。リン酸エステルを添加することにより鉄の耐摩耗性を大幅に向上することができる。
前記防錆剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエート、グリセリンモノオレエート、アミンフォスフェート等が挙げられる。これらの防錆剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油やジエチルシリケート等のオルガノシリケート類等が挙げられる。これらシリコーン系等の消泡剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの抗乳化剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本発明の潤滑油基油を用いてグリースを調製する場合には、増ちょう剤、必要に応じて酸化防止剤、錆止め剤、極圧剤、油性剤、固体潤滑剤等の添加剤を混合すればよい。前記増ちょう剤としては、例えば、カルシウム石鹸、ナトリウム石鹸、リチウム石鹸等の石鹸;カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸、リチウムコンプレックス石鹸等のコンプレックス石鹸;テレフタルアミド酸塩、ウレア、シリカエアロジェル等が挙げられる。
実施例1
(合成エステルの調製)
2リットルの4つ口フラスコに、撹拌機、温度計、窒素ガス吹き込み管及び冷却管を取り付けた。このフラスコに、カルボン酸成分として、エナント酸306g、カプリル酸918g及びカプリン酸51gを入れ、これにアルコール成分として、トリメチロールプロパン350gを添加した。なお、トリメチロールプロパンの添加量は、トリメチロールプロパンの水酸基1当量に対してカルボン酸成分のカルボキシル基は1.15当量になるよう設定した。
次に、フラスコ内に、窒素ガスを吹き込みながら230℃で14時間反応させ、留出する水を除去した。反応終了後、0.13kPaの減圧下で過剰のカルボン酸成分を除去し、0.67kPaの減圧下で1時間スチーミングを行い、吸着剤(協和化学工業社製、商品名:キョーワード500SH)で残存しているカルボン酸成分を吸着した後、ろ過を行い、合成エステルを得た。当該合成エステルの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.7mgKOH/gであった。
(潤滑油基油)
前記で得られた合成エステルを潤滑油基油として用いた。当該潤滑油基油は潤滑油としても使用でき、40℃の動粘度、引火点、流動点は、潤滑油の指標ともなる。以下の実施例及び比較例も、同様に、潤滑油基油としての評価であると共に、潤滑油としての評価でもある。
実施例2〜6、比較例1〜10
実施例1において、合成エステルの調製にあたり、アルコール成分の種類、カルボン酸成分の種類および割合を表1に示すものに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、合成エステルを調製して、潤滑油基油として用いた。なお、表1において、各例のアルコール成分の使用量は実施例1と同じであり、アルコール成分の水酸基1当量に対してカルボン酸成分のカルボキシル基が1.15当量になるよう、各カルボン酸成分を配合した。各カルボン酸成分の割合については、カルボン酸成分の合計100重量%に対する割合を表1に示す。得られた合成エステルの酸価、水酸基価を表1に示す。
<評価>
前記実施例及び比較例で得られた合成エステル(潤滑油基油)について下記評価を行った。結果を表1に示す。
(1)40℃における動粘度:JIS K2283により40℃における動粘度(mm2/秒)を求めた。前記動粘度は、調製した直後の合成エステルについて測定した。
(2)引火点:JIS K2265(クリーブランド開放式)により引火点(℃)を求めた。
(3)流動点:JIS K2269により流動点(℃)を求めた。
(4)酸価及び水酸基価:酸価は、JIS K0070 3.1により酸価を求めた。水酸基価は、JIS K0070 7.2により水酸基価を求めた。
Figure 2012062361
表1中、アルコール成分における、TMPはトリメチロールプロパン(パーストープ製)、PETはペンタエリスリトール(広栄パーストープ社製)、NPGはネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)、である。カルボン酸成分中、カプロン酸(nC6)は和工純薬社製のn−ヘキサン酸、エナント酸(nC7)はアルケマ社製のn−ヘプタン酸、カプリル酸(nC8)は花王社製のルナック8−98、カプリン酸(nC10)は花王社製のルナック10−98、ラウリン酸(nC12)は花王社製のルナックL−98、イソヘプタン酸(bC7)は協和発酵社製のキョーワノイックGH、である。鉱物油としては、富士興産社製のフッコールNT−60(動粘度:9.52mm/秒)とフッコールNT−150(動粘度:28.11mm/秒)を重量比(フッコールNT−60/フッコールNT−150)が46/54で混合した混合物を用いた。
実施例の潤滑油基油はいずれも、合成エステルのアルコール成分がメチロールプロパンであり、カルボン酸成分がエナント酸、カプリル酸及びカプリン酸であり、かつ、重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67であり、かつ、重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10を満足しており、40℃における動粘度が20mm/秒未満で、引火点260℃以上、流動点−50℃以下であり、使用温度領域が広い。
一方、比較例1はカルボン酸成分がエナント酸のみであり引火点が低い。比較例2は、カルボン酸成分がカプリル酸のみであり流動点が高い。比較例3は、カルボン酸成分がカプリン酸のみであり流動点が高く、また、動粘度も高い。比較例4、5は、本発明のカルボン酸成分を含有するが、比較例4では重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.67を超えておりエナント酸の割合が多すぎるため引火点が低く、比較例5では重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.10を超えておりカプリン酸の割合が多すぎるため流動点が高い。比較例6、10は、本発明における必須のカルボン酸成分であるエナント酸の代わりにカプロン酸を用いており、比較例6は引火点が低く、比較例10は流動点が高い。比較例7は、本発明における必須のカルボン酸成分であるエナント酸の代わりに、ラウリン酸を用いており流動点が高く、また、動粘度も高い。比較例8、9は、本発明と同様のカルボン酸成分を本発明と同様の割合で含有するが、比較例8ではアルコール成分がペンタエリスリトールであるため流動点が高く、また、動粘度も高く、比較例9ではアルコール成分がネオペンチルグリコールであるため引火点が低い。なお、比較例11は、潤滑油基油として鉱物油を用いた場合であり、引火点が低い。

Claims (4)

  1. トリメチロールプロパンを90重量%以上含むアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含み、かつ、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含むカルボン酸成分とを反応させて得られる合成エステルからなる潤滑油基油であって、
    前記エナント酸と、前記カプリル酸との重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67であり、
    前記カプリン酸と、前記エナント酸と前記カプリル酸の合計の重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10である潤滑油基油。
  2. 40℃での動粘度が20mm/秒未満であり、引火点が260℃以上であり、かつ、流動点が−50℃以下である請求項1記載の潤滑油基油。
  3. トリメチロールプロパンを90重量%以上含むアルコール成分と、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を含み、かつ、エナント酸、カプリル酸及びカプリン酸を総量で90重量%以上含むカルボン酸成分とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油であって、
    前記エナント酸と、前記カプリル酸との重量比(エナント酸/カプリル酸)が0.33〜0.67であり、
    前記カプリン酸と、前記エナント酸及び前記カプリル酸との重量比(カプリン酸/(エナント酸+カプリル酸))が0.04〜0.10である潤滑油。
  4. 40℃での動粘度が20mm/秒未満であり、引火点が260℃以上であり、かつ、流動点が−50℃以下である請求項3記載の潤滑油。
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