JP2008214380A - 潤滑油基油 - Google Patents

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Abstract

【課題】 幅広い温度範囲で優れた性質を示し、高温負荷環境下において長期間使用しても安定して充分な潤滑性を呈する耐熱性の良好な、潤滑油基油及び潤滑油を提供すること。
【解決手段】 ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油基油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である、潤滑油基油及び潤滑油。
【選択図】 なし

Description

本発明は、潤滑油基油及びそれを含有する場合を含む潤滑油に関する。
低温から高温にわたる幅広い使用温度範囲で優れた潤滑性を長期間にわたって呈する合成エステルを含有してなる潤滑油基油が提案されている(特許文献1)。しかしながら、前記潤滑油基油を含有する潤滑油を、長期間使用すると潤滑性が不充分となる場合があった。
また、幅広い温度範囲で優れた性質を示し、長期間使用しても安定して充分な潤滑性を呈するものとして、ペンタエリスリトールとカルボン酸とのエステルであって、前記カルボン酸として2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量に対する2‐エチルヘキサン酸の含有量の重量比〔2‐エチルヘキサン酸/(n‐ヘプタン酸+n‐オクタン酸)〕で、65/35〜35/65の割合で用いた、潤滑油基油が提案されている(特許文献2)。
特開平11−80766号公報 特開2006−124429号公報
しかし、前記特許文献2に記載の潤滑油基油であっても、比較的低温下では粘度が安定しているが、高温負荷環境下においては、粘度が上昇してしまい耐熱性が不十分であった。
高耐熱性基油としては、フッ素系化合物が考えられるが、フッ素系化合物は高価であり、また熱分解時にフッ化水素発生のおそれがある。また、フェニルエーテルを用いることも考えられるが、フェニルエーテルは粘度が高く、潤滑性が十分とはいえない。
本発明は、幅広い温度範囲で優れた性質を示し、高温負荷環境下において長期間使用しても粘度上昇を抑制でき、安定して充分な潤滑性を呈する耐熱性の良好な、潤滑油基油を提供することを目的とする。さらに本発明は、前記潤滑油基油を含有する場合も含む潤滑油を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油基油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である、潤滑油基油、に関する。
また本発明は、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である、潤滑油、に関する。
本発明では、ペンタエリスリトールとカルボン酸とのを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油基油及び該潤滑油基油を含有する場合のある潤滑油であって、前記カルボン酸として、2‐エチルヘキサン酸の含有量の割合が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量の割合が65〜85重量%の割合のものを用いることにより、幅広い温度範囲で優れた性質を示し、高温負荷環境下において長期間使用しても安定に充分な潤滑性を呈する耐熱性の良好な、潤滑油基油及び潤滑油を実現している。当該潤滑油基油及び潤滑油は、カルボン酸として、2‐エチルヘキサン酸の含有量と、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が、前記範囲に制御されることで、当該潤滑油基油及び潤滑油の化学構造が高温負荷環境下においても安定で、高温負荷環境下においても潤滑油基油及び潤滑油内に発生する高分子量物の量が抑えられ、その結果、耐熱性が向上していると考えられる。また、当該潤滑油基油及び潤滑油によれば、高温負荷環境下における揮発量も小さくなり、この点からも耐熱性が向上していることが分かる。
このように本発明の潤滑油基油、または当該潤滑油基油を含有する場合のある潤滑油は、耐熱性が良好であり、低温から高温にわたる幅広い温度範囲で優れた潤滑性を示し、長期間安定して使用可能である。
本発明の潤滑油基油は、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなるものであって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなるものである。即ち、本発明の潤滑油基油は、ペンタエリスリトールと少なくとも前記3種類のカルボン酸の混合物を反応させて得られるものであり、ペンタエリスリトールと各カルボン酸とを反応させて得られる各合成エステルをそれぞれ配合したものではない。
また、潤滑油基油が幅広い温度範囲で優れた潤滑性を有するように、特に高温負荷環境下においても、長期間安定して使用し得るようにする観点から、カルボン酸は、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%になるように制御される。n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量に対する2‐エチルヘキサン酸の含有量の重量比〔2‐エチルヘキサン酸/(n‐ヘプタン酸+n‐オクタン酸)〕としては、好ましくは15/85〜32/68であり、より好ましくは20/80〜30/70であり、さらに好ましくは27/75〜30/70である。
さらに、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量としては好ましくは15〜32重量%であり、より好ましくは20〜30重量%であり、さらに好ましくは25〜30重量%である。カルボン酸中、n‐ヘプタン酸の含有量としては好ましくは30〜50重量%であり、より好ましくは40〜50重量%であり、さらに好ましくは40〜45重量%である。カルボン酸中、n‐オクタン酸の含有量としては好ましくは20〜50重量%であり、より好ましくは25〜40重量%であり、さらに好ましくは25〜35重量%である。
前記カルボン酸には、本発明の所望の効果の発現を阻害しない範囲で、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸以外のその他のカルボン酸が任意に含まれていてもよい。その他のカルボン酸としては、例えば、n‐ペンタン酸、n‐ヘキサン酸、n‐ノナン酸、n‐デカン酸、その他α位にアルキル基を有する炭素数6〜10の分岐鎖脂肪酸等が挙げられる。
ペンタエリスリトールと、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を所定量含むカルボン酸とのエステルは、公知の方法(例えば、特開平11−80766号公報参照)に従って、両成分間でエステル化反応を行うことにより調製することができる。
ペンタエリスリトールとカルボン酸との反応に際して、両者の当量比は、通常、ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対してカルボン酸のカルボキシル基が1〜1.3当量となるように調整することが好ましい。なお、カルボン酸のカルボキシル基の比率を高くするとペンタエリスリトールとカルボン酸との反応性が良好となる反面、反応終了後、過剰のカルボン酸を除去する必要がある。多量のカルボン酸を用いた場合には、例えば、減圧留去、スチーミング、吸着剤を用いた吸着、除去などの方法により、過剰のカルボン酸を除去すればよい。
本発明の潤滑油基油は、前記エステルを好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%含有してなる。100重量%含有されている場合、潤滑油基油は本発明のエステルそのものからなる。本発明に用いられるエステル以外の他のエステルとして、例えば、ジ‐2‐エチルヘキシルセバケート等のジエステル油、トリメチロールプロパンやネオペンチルグリコール等とカルボン酸から製造されるポリオールエステル油、ピロメリット酸やトリメリット酸とアルコールから製造される芳香族エステル油等が挙げられる。潤滑油基油中のエステル以外の成分として、炭化水素油やエーテル等が挙げられる。
本発明の潤滑油基油は、高温負荷環境下においても潤滑油基油内に発生する高分子量物の量が抑えられ、その結果、耐熱性が向上していると考えられ、特に、後述する分子量分布測定方法により測定される分子量1500以上、その中でも分子量3000を超える高分子量物の発生が、従来の潤滑油基油に比べて優れて抑制される。
本発明の潤滑油基油の揮発量は、潤滑油基油を高温で長期間使用した場合であっても優れた潤滑性を維持し得る耐熱性を有する観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。揮発量は、後述する方法により求めることができる。
また、本発明の潤滑油基油の流動点は、低温時における潤滑性がより一層優れた低温流動性を有する観点から、−45℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましく、−52.5℃以下であることが更に好ましい。流動点は、JISK2269により測定する。そのような流動点を有するエステルを含む潤滑油基油は、例えば、エアコンファンモーター用軸受、自動車用軸受、音響機器用軸受、コンピューター用軸受、スピンドルモーター軸受等などに用いた場合、低温起動トルクを飛躍的に減少させることができる。
従って、本発明の潤滑油基油としては、流動点が−45℃以下であり、かつ揮発量が30重量%以下であるものが更に好ましい。
また、本発明の潤滑油基油の40℃における動粘度としては、モーターの始動性及び高温負荷環境下で長時間使用できる等の潤滑性を確保する観点から、好ましくは20〜40mm2/秒、より好ましくは22〜36mm2/秒、さらに好ましくは24〜32mm2/秒であり、熱負荷試験前に前記の値であったものが、熱負荷試験後には、好ましくは20〜300mm2/秒、より好ましくは20〜200mm2/秒、さらに好ましくは20〜150mm2/秒、よりさらに好ましくは20〜120mm2/秒である。40℃における動粘度は、JIS K2283により測定し、熱負荷試験方法は後述する。高温負荷環境下においても、長期間安定して使用し得るようにする観点から、前記動粘度の差(粘度上昇)は、100mm2/秒以下であることが好ましく、90mm2/秒以下がより好ましく、80mm2/秒以下がさらに好ましく、70mm2/秒以下がよりさらに好ましい。
本発明の潤滑油基油の酸価は、引火点、酸化安定性、熱安定性、耐加水分解性、金属腐食性等が良好であることから、好ましくは0.5mgKOH/g以下、より好ましくは0.1mgKOH/g以下である。また、本発明の潤滑油基油の水酸基価は、引火点、低温流動性、熱安定性、耐加水分解性等が良好であることから、好ましくは4mgKOH/g以下、より好ましくは3mgKOH/g以下である。
本発明の潤滑油基油はそのまま潤滑油として用いることができる。本発明の潤滑油基油及び、当該本発明の潤滑油基油を含有する潤滑油の物性は本発明に係る合成エステルの物性を反映したものであり、互いにそれらの物性は共通している。本発明の潤滑油において、本発明の潤滑油基油を用いる場合、その含有量としては、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%である。
また、本発明の潤滑油は、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である。当該潤滑油に用いる合成エステルに関する各カルボン酸等の割合は、潤滑油基油と同様である。
上記のように、本発明の潤滑油は、本発明の潤滑油基油を含有することで本発明に係る合成エステルを含有するか、または別途調製した上記本発明に係る合成エステルにより、本発明に係る合成エステルを含有する。本発明の潤滑油が本発明に係る合成エステル以外の成分を含有するものである場合には、予め当該合成エステルを含有する本発明の潤滑油基油を用いて本発明の潤滑油を調製してもよく、または、当該合成エステルを本発明の潤滑油基油とは別に添加して本発明の潤滑油を調製してもよい。例えば、本発明の潤滑油は本発明にかかる合成エステル以外の潤滑油基油を含有する場合があるが、本発明にかかる合成エステル以外の潤滑油基油は、予め本発明の潤滑油基油に含有させておいてもよく、あるいは、本発明の潤滑油の調製の際に本発明にかかる合成エステルを含有しない潤滑油基油(以下、便宜的に「第2の基油」ともいう。)として別途添加してもよい。同様に、本発明の潤滑油は各種添加剤を含有することができるが、当該添加剤は、予め本発明の潤滑油基油又は第2の基油に含有させておいてもよく、または、本発明の潤滑油の調製の際に本発明の潤滑油又は第2の基油とは別に添加してもよい。さらに、本発明の潤滑油基油及び本発明の潤滑油において、本発明にかかる合成エステル以外の成分が、本発明の潤滑油基油、第2の基油又は添加剤のいずれに由来するものであるかについては特に制限されない。
さらに本発明の潤滑油は、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来より公知の潤滑油添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、防錆剤、消泡剤、抗乳化剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、脂肪酸等の油性剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等を、本発明の目的が阻害されない範囲内の量で、所望により前記合成エステルと適宜混合することにより調製してもよい。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の含有量は、潤滑油全量基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール、4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、ビスフェノールA等などのフェノール系酸化防止剤;p,p´‐ジオクチルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン、3,7‐ジオクチルフェノチアジン、フェニル‐1‐ナフチルアミン、フェニル‐2‐ナフチルアミン、アルキルフェニル‐1‐ナフチルアミン、アルキルフェニル‐2‐ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤;アルキルジサルファイド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系酸化防止剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記極圧剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ジアルキルポリサルファイド、トリアリールフォスフェート、トリアルキルフォスフェート、塩素化パラフィン、硫黄化合物等が挙げられる。これらの極圧剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記防錆剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエート、グリセリンモノオレエート、アミンフォスフェート等が挙げられる。これらの防錆剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油やジエチルシリケート等のオルガノシリケート類等が挙げられる。これらシリコーン系等の消泡剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの抗乳化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、本発明の潤滑油基油を用いてグリースを調製する場合には、増ちょう剤、必要に応じて酸化防止剤、錆止め剤、極圧剤、油性剤、固体潤滑剤等の添加剤を混合すればよい。前記増ちょう剤としては、例えば、カルシウム石鹸、ナトリウム石鹸、リチウム石鹸等の石鹸;カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸、リチウムコンプレックス石鹸等のコンプレックス石鹸;テレフタルアミド酸塩、ウレア、シリカエアロジェル等が挙げられる。
本発明の潤滑油の40℃における動粘度は、液状潤滑油として設計される場合、モーターの始動性及び高温負荷環境下で長時間使用できる等の潤滑性を確保する観点から、好ましくは20〜40mm2/秒、より好ましくは22〜36mm2/秒、さらに好ましくは24〜32mm2/秒であり、熱負荷試験前に前記の値であったものが、熱負荷試験後には、好ましくは20〜300mm2/秒、より好ましくは20〜200mm2/秒、さらに好ましくは20〜150mm2/秒、よりさらに好ましくは20〜120mm2/秒である。
また、本発明の潤滑油の酸価は、潤滑油が適用される基材の腐食を防止するため、および本発明の潤滑油に含有される合成エステルの分解を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下である。なお、本発明において、酸価は後述の測定により得た。
また、本発明の潤滑油の灰分は、本発明の潤滑油の安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油および石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に基づいて測定した灰分の値を意味する。
本発明の潤滑油基油及びそれを含有する場合を含む潤滑油は、耐熱性に優れるため、高温環境下でも好適に用いられ、エアコンファンモーター用軸受、自動車用軸受、音響機器用軸受、コンピューター用軸受、スピンドルモーター軸受等の、耐熱性を要求される部品に使用されるグリースに用いた場合に、より好適に長期間安定に使用可能である。また、水分と接触し得る開放系、例えば外部の水、または、結露により生じた水が潤滑剤に混入し得る環境で用いられる部品に対して用いた場合でも、長期間安定に使用可能である。
実施例1
2リットルの4つ口フラスコに、攪拌機、温度計、窒素ガス吹き込み管および冷却管を取り付けた。このフラスコに、カルボン酸(脂肪酸)として、2‐エチルヘキサン酸379g、n‐ヘプタン酸568g、n‐オクタン酸316gを入れ、これにペンタエリスリトール250gを添加した。なお、n‐ヘプタン酸:n‐オクタン酸:2‐エチルヘキサン酸の割合(重量比)は、30:45:25、であり、ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記カルボン酸のカルボキシル基は1.25当量になるよう設定した。
次に、フラスコ内に、窒素ガスを吹き込みながら230℃で14時間反応させ、留出する水を除去した。反応終了後、0.13kPaの減圧下で過剰のカルボン酸を除去し、0.67kPaの減圧下で1時間スチーミングを行い、吸着剤(協和化学工業(株)製、商品名:キョーワード500SH)で残存しているカルボン酸を吸着した後、ろ過を行い、エステルを得た。当該エステルの酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.50mgKOH/gであった。当該エステルを潤滑油基油として用いた。また、当該エステルは潤滑油としても使用でき、揮発量、流動点及び40℃の動粘度は、潤滑油の指標ともなる。以下の実施例2〜4及び比較例1〜10も、同様に、潤滑油基油としての評価であると共に、潤滑油としての評価でもある。
実施例2〜4、比較例1〜10
実施例1において、用いたカルボン酸(脂肪酸)の種類および割合を、表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、エステルを合成した。当該エステルを潤滑油基油として用いた。
比較例11
比較例4、比較例5および比較例6で得られた各エステルを、比較例4:比較例5:比較例6の割合(重量比)が、45:25:30、となるように配合して、混合エステルを調製した。当該混合エステルを潤滑油基油として用いた。
<評価>
上記実施例および比較例で得られた潤滑油基油について下記評価を行った。結果を表1に示す。
(1)揮発量:得られた潤滑油基油を、直径約55mmの100ccガラス製ビーカーに試料油として約20gを秤量し、雰囲気温度が180℃の恒温槽内で500時間加熱した後、再び秤量し、下記式より、揮発量を求めた。
揮発量(重量%)={(加熱前の試料油の重量)−(加熱後の試料油の重量)}/(加熱前の試料油の重量)×100
(2)流動点:JIS K2269により流動点(℃)を求めた。
(3)40℃における動粘度:JIS K2283により40℃における動粘度(mm2/秒)を求めた。前記動粘度は、調製した直後の潤滑油基油(新油)について、また、新油20gを100mlのビーカーに入れ、180℃、空気雰囲気下で500時間放置した後の熱負荷試験を行ったものについて測定した。また、表1には、新油と熱負荷試験後のものとの前記動粘度の差(粘度上昇)も併せて記載した。
(4)酸価および水酸基価:酸価は、JIS K0070 3.1により酸価を求めた。水酸基価は、JIS K0070 7.2により水酸基価を求める。
(5)分子量分布:調製した直後の潤滑油基油(新油)について、また、新油20gを100mlのビーカーに入れ、180℃、空気雰囲気下で500時間放置した後の熱負荷試験を行ったものについて重量平均分子量1500未満、1500以上3000未満、3000以上の各成分の割合を測定した。
上記重量平均分子量の割合はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークの面積比(%)に基づいて算出した値である。
カラム:G2000HXL+G1000HXL(東ソー株式会社)
溶離液:THF
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI検出器
標準物質:ポリスチレン換算
Figure 2008214380
表1中、nC7はn‐ヘプタン酸である。キョーワノイックGH(協和発酵(株)製)は、製品全量中、2‐エチルペンタン酸(17重量%)、2‐メチルヘキサン酸(62重量%)、2‐エチルヘキサン酸(21重量%)を主成分とする混合物である。nC8はn‐オクタン酸である。2EHは2‐エチルヘキサン酸である。iC9酸は3,5,5‐トリメチルヘキサン酸である。エマゾール874(エメリー製)は、製品全量中、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、環状オクタデカン酸の合計量が90重量%以上の混合物である。なお、表1の比較例1乃至3が、特開2006‐124429号公報の実施例1乃至3に相当する。
実施例1〜4の潤滑油基油は、揮発量30重量%、流動点−45℃以下、動粘度の差(粘度上昇)が100mm2/秒以下であり、優れた耐熱性を有し、低温流動性、及び高温潤滑性を有する。
一方、比較例1乃至3は、実施例と同じ組成のカルボン酸(脂肪酸)を用いているが、2EHの割合が多いため熱負荷後の粘度上昇が顕著であり、耐熱性を満足できていない。さらには実施例に比べて蒸発量が大きく、この点からも耐熱性が十分でないことが分かる。比較例4〜6は実施例、比較例1〜3に用いた各カルボン酸(脂肪酸)を単独で用いたものであり、流動点が高く、潤滑油基油として使用できない。また、比較例10は、比較例4〜6で得られた各エステルを混合して実施例2と同じカルボン酸(脂肪酸)を模して調製したものであるが、流動点が高く使用できない。比較例7〜9は、実施例とは異なる組成のカルボン酸(脂肪酸)を用いた場合であるが、蒸発量は低いものの熱負荷後の粘度上昇が大きく耐熱性を満足できない。

Claims (5)

  1. ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油基油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である、潤滑油基油。
  2. カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸の含有量が30〜50重量%であり、及びn‐オクタン酸の含有量が20〜50重量%である、請求項1記載の潤滑油基油。
  3. 熱負荷試験前の40℃動粘度が20〜40mm/秒で、熱負荷試験後の40℃動粘度が20〜300mm/秒である請求項1または2記載の潤滑油基油。
  4. ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られる合成エステルを含有してなる潤滑油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である、潤滑油。
  5. カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸の含有量が30〜50重量%であり、及びn‐オクタン酸の含有量が20〜50重量%である、請求項4記載の潤滑油。
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