JP5430980B2 - グリース基油 - Google Patents

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本発明は、グリース基油及びそれを含有する潤滑油に関する。
低温から高温にわたる幅広い使用温度範囲で優れた潤滑性を長期間にわたって呈する合成エステルを含有してなるグリース基油が提案されている(特許文献1)。しかしながら、前記グリース基油を含有する潤滑油を、長期間使用すると潤滑性が不充分となる場合があった。
また、幅広い温度範囲で優れた性質を示し、長期間使用しても安定して充分な潤滑性を呈するものとして、ペンタエリスリトールとカルボン酸とのエステルであって、前記カルボン酸として、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量に対する2‐エチルヘキサン酸の含有量の重量比〔2‐エチルヘキサン酸/(n‐ヘプタン酸+n‐オクタン酸)〕で、65/35〜35/65の割合で用いた、グリース基油が提案されている(特許文献2)。
また、幅広い温度範囲で優れた性質を示し、高温負荷環境下において長期間使用しても粘度上昇を抑制でき、安定して充分な潤滑性を呈する耐熱性の良好な、グリース基油として、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルであって、前記カルボン酸として、2‐エチルヘキサン酸の含有量が15〜35重量%であり、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量が65〜85重量%である、グリース基油が提案されている(特許文献3)。
特開平11−80766号公報 特開2006−124429号公報 特開2008−214380号公報
しかし、特許文献2に記載のグリース基油は、低温下(−40℃)では粘度が安定しているものの、耐熱性が不十分であった。即ち、特許文献2では、高温特性に係る揮発量(180℃の恒温槽内で500時間加熱した後に、当該加熱前後の重量から算出)は、30重量%以下を合格基準(実施例では24重量%、21重量%が記載)としているが、耐熱性のさらなる要求により、揮発量を20重量%以下にすることが望まれている。
一方、特許文献3では、耐熱性が良く、前記高温特性に係る揮発量が20重量%以下を満足することができ、かつ低温(−50℃)での流動性を満足することができるものの、低温(−40℃)での保管安定性が十分ではなく、長時間に亘って低温(−40℃)で保管すると結晶が析出してしまう。
本発明は、潤滑性を維持しつつ、高温で分解しにくいため高温特性に係る揮発量が小さく、即ち耐熱性が良好であり、かつ低温特性に係る流動性および保管安定性を満足することができ、幅広い温度範囲で使用可能な、グリース基油を提供することを目的とする。さらに本発明は、前記グリース基油を含有する場合も含む潤滑油を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルを含有してなるグリース基油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量と、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸の合計含有量との重量比(2‐エチルヘキサン酸の含有量)/(n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸の合計含有量)が36/64〜44/56である、グリース基油、に関する。さらに、本発明は、前記グリース基油を含有してなる潤滑油、に関する。
本発明では、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルを含有してなるグリース基油及びそれを含有する潤滑油であって、前記カルボン酸として、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を主成分とし、かつ、2‐エチルヘキサン酸の含有量と、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸との合計含有量との重量比(2‐エチルヘキサン酸の含有量)/(n‐ヘプタン酸の含有量及びn‐オクタン酸の合計含有量)が36/64〜44/56のものを用いることにより、高温でも分解が起こりにくく高温でも揮発量が少なく、即ち耐熱性が良好であり、かつ低温特性に係る流動性及び保管安定性を満足することができ、幅広い温度範囲で使用可能なグリース基油及び潤滑油を実現している。
本発明では、エステルのカルボン酸として前記3種の混合カルボン酸を用いることにより、得られるエステルの分子の対称性を小さくすることで、エステルに低温特性を付与している。また、前記3種の混合カルボン酸のなかで、2‐エチルヘキサン酸は、アルキル基が分岐鎖であることから、各カルボン酸の分子間引力を低下させるため、特に低温特性を向上させるものと考えられるが、2‐エチルヘキサン酸は分岐鎖(3級炭素)を有することから熱的に弱いため、3級炭素を起点にして分解が起こり易く、重合や粘度上昇の原因になる。一方、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸は、アルキル基が直鎖であることから、2‐エチルヘキサン酸に比べて熱に強いため耐熱性を向上させるものと考えられる。そこで、本発明では、エステルの原料カルボン酸として、2‐エチルヘキサン酸の含有量と、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸の合計含有量との比を、極めて特定の範囲に制御することにより、流動性、保管安定性、耐熱性の両立を実現しているが、主に2‐エチルヘキサン酸によって低温特性に係る流動性及び保管安定性を満足させるとともに、主にn‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸によって耐熱性を満足させていると考えられる。
このように本発明のグリース基油及び当該グリース基油を含有する潤滑油は、耐熱性が良好であり、低温から高温にわたる幅広い温度範囲で優れた潤滑性を示し、長期間安定して使用可能である。
本発明のグリース基油は、ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルを含有してなるものであって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなるものである。2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量は98〜100重量%が好ましく、99〜100重量%がより好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。即ち、本発明のグリース基油は、ペンタエリスリトールと少なくとも前記3種類のカルボン酸の混合物を反応させて得られるものであり、ペンタエリスリトールと各カルボン酸とを反応させて得られる各エステルをそれぞれ配合したものではない。
また、グリース基油が、耐熱性が良好であり、かつ低温特性に係る流動性及び保管安定性を満足することができ、幅広い温度範囲で使用可能とする観点から、n‐ヘプタン酸とn‐オクタン酸との合計含有量に対する2‐エチルヘキサン酸の含有量の重量比〔2‐エチルヘキサン酸/(n‐ヘプタン酸+n‐オクタン酸)〕は36/64〜44/56であり、好ましくは36/64〜43/57である。
アルキル基の鎖長が長いと分子が動きにくくなると考えられるので、低温での保管安定性に関しては、n−ヘプタン酸よりも、アルキル基の鎖長が長いn−オクタン酸の方が好ましくないが、耐熱性はn−オクタン酸が多いほど向上すると考えられる。そこで、本発明では、低温での保管安定性と耐熱性を両立するため、n−ヘプタン酸とn−オクタン酸の重量比[n−ヘプタン酸/n-オクタン酸]は低温での保管安定性の観点から1.6〜5が好ましく、1.6〜4.1がより好ましく、1.6〜2.5がさらに好ましく、1.6〜2.2がよりさらに好ましい。
さらに、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸の合計含有量のうち、2‐エチルヘキサン酸の含有量の割合は、低温での保管安定性の観点から、好ましくは36〜44重量%であり、より好ましくは36〜43重量%である。n‐ヘプタン酸の含有量の割合は前記3種のカルボン酸の合計含有量中、低温での保管安定性の観点から好ましくは20〜50重量%であり、より好ましくは20〜48重量%であり、さらに好ましくは36〜48重量%である。n‐オクタン酸の含有量の割合は、前記3種のカルボン酸の合計含有量中、低温での保管安定性の観点から、好ましくは10〜40重量%であり、より好ましくは12〜38重量%であり、さらに好ましくは12〜28重量%である。
前記カルボン酸には、本発明の所望の効果の発現を阻害しない範囲で、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸以外のその他のカルボン酸が任意に含まれていてもよい。その他のカルボン酸としては、例えば、n‐ペンタン酸、n‐ヘキサン酸、n‐ノナン酸、n‐デカン酸、その他α位にアルキル基を有する炭素数6〜10の分岐鎖脂肪酸等が挙げられる。
ペンタエリスリトールと、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を所定量含むカルボン酸とのエステルは、公知の方法(例えば、特開平11−80766号公報参照)に従って、両成分間でエステル化反応を行うことにより調製することができる。
ペンタエリスリトールとカルボン酸との反応に際して、両者の当量比は、通常、ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対してカルボン酸のカルボキシル基が1〜1.3当量となるように調整することが好ましく、1.1〜1.2当量となるように調整することがより好ましい。なお、カルボン酸のカルボキシル基の比率を高くするとペンタエリスリトールとカルボン酸との反応性が良好となる反面、反応終了後、過剰のカルボン酸を除去する必要がある。多量のカルボン酸を用いた場合には、例えば、減圧留去、スチーミング、吸着剤を用いた吸着、除去などの方法により、過剰のカルボン酸を除去すればよい。
本発明のグリース基油は、前記エステルを好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%含有してなる。100重量%含有されている場合、グリース基油は本発明のエステルそのものからなる。本発明に用いられるエステル以外の他のエステルとして、例えば、ジ‐2‐エチルヘキシルセバケート等のジエステル油、トリメチロールプロパンやネオペンチルグリコール等とカルボン酸から製造されるポリオールエステル油、ピロメリット酸やトリメリット酸とアルコールから製造される芳香族エステル油等が挙げられる。グリース基油中のエステル以外の成分として、炭化水素油やエーテル等が挙げられる。
本発明のグリース基油の揮発量は、グリース基油を高温で長期間使用した場合であっても優れた潤滑性を維持し得る耐熱性を有する観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18.5重量%以下である。揮発量は、後述する方法により求めることができる。
また、本発明のグリース基油の流動点は、低温時における潤滑性を保つ観点から−45℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましく、−52.5℃以下であることが更に好ましい。流動点は、JIS K2269により測定する。そのような流動点を有するエステルを含むグリース基油は、例えば、エアコンファンモーター用軸受、自動車用軸受、音響機器用軸受、コンピューター用軸受、スピンドルモーター軸受等などに用いた場合、低温起動トルクを飛躍的に減少させることができる。
また、本発明のグリース基油は、低温時における保管安定性の観点から、−40℃での保管時の結晶析出時間(透明性、流動性がなくなるまでの時間)が、100時間以上であることが好ましく、120時間以上であることがより好ましく、140時間以上であることが更に好ましく、180時間以上であることがよりさらに好ましい。
従って、本発明のグリース基油としては、流動点が−52.5℃以下であり、−40℃での保管時の結晶析出時間が180時間以上であり、かつ揮発量(180℃で500時間保管後)が18.5重量%以下であるものが更に好ましい。
本発明のグリース基油の40℃における動粘度としては、本発明のグリース基油を用いたモータの潤滑性を確保する観点から、好ましくは22mm2/秒以上、より好ましくは24mm2/秒以上、さらに好ましくは25.5mm2/秒以上である。また始動性及び省エネの観点から好ましくは30mm2/秒以下、より好ましくは28.5mm2/秒以下、さらに好ましくは27.5mm2/秒以下である。40℃における動粘度は、JIS K2283により測定される。
本発明のグリース基油の酸価は、耐熱性を良くし、潤滑対象のモータ軸受けなどの金属表面との反応を抑えて、金属腐食を防止する観点から、0.1mgKOH/g以下が好ましく、0.05mgKOH/g以下がより好ましく、0.03mgKOH/g以下がさらに好ましく、0.02mgKOH/g以下がよりさらに好ましい。また、生産性の観点から0.001mgKOH/g以上が好ましい。すなわち、0.001〜0.1mgKOH/gが好ましく、0.001〜0.05mgKOH/gがより好ましく、0.001〜0.03mgKOH/gがさらに好ましく、0.001〜0.02mgKOH/gがよりさらに好ましい。
前記範囲に酸価を抑制するには、前記の過剰のカルボン酸を除去する方法の中で、減圧脱酸温度を高くし、減圧脱酸時間を長くする(例えば175℃〜195℃で1時間以上減圧脱酸する)ことで達成できるが、適宜サンプリングしつつ酸価が0.1mgKOH/g以下となるまで減圧脱酸処理をすすめることが好ましい。また、スチーミングによる脱酸を行う、さらに以上の操作の後に酸吸着剤の量を増やして処理することでも達成できる。
また、本発明のグリース基油の水酸基価は、耐熱性を良くし、潤滑対象のモータ軸受けなどの金属表面との反応を抑えて、金属腐食を防止する観点から、5mgKOH/g以下が好ましく、4mgKOH/g以下がより好ましく、3mgKOH/g以下がさらに好ましい。また、生産性の観点から0.01mgKOH/g以上が好ましい。すなわち、0.01〜5mgKOH/gが好ましく、0.01〜4mgKOH/gがより好ましく、0.01〜3mgKOH/gがさらに好ましい。前記範囲に水酸基価を抑制するには、エステル反応時の温度を上げ、エステル反応時間を長くすることで達成できるが、エステル反応中に適宜サンプリングしつつ水酸基価が5mgKOH/g以下になるまでエステル反応をすすめるのが好ましい。
本発明の潤滑油は、前記グリース基油を含有してなる。本発明のグリース基油はそのまま潤滑油として用いることができる。本発明のグリース基油及び、当該本発明のグリース基油を含有する潤滑油の物性は本発明に係るエステルの物性を反映したものであり、互いにそれらの物性は共通している。本発明の潤滑油において、本発明のグリース基油を用いる場合、その含有量としては、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%である。
前記のように、本発明の潤滑油は、本発明のグリース基油を含有することで本発明に係るエステルを含有する。本発明の潤滑油が本発明に係るエステル以外の成分を含有するものである場合には、予め当該エステルを含有する本発明のグリース基油を用いて本発明の潤滑油を調製してもよく、又は、当該エステルを本発明のグリース基油とは別に添加して本発明の潤滑油を調製してもよい。例えば、本発明の潤滑油は本発明にかかるエステル以外のグリース基油を含有する場合があるが、本発明にかかるエステル以外のグリース基油は、予め本発明のグリース基油に含有させておいてもよく、あるいは、本発明の潤滑油の調製の際に本発明にかかるエステルを含有しないグリース基油(以下、便宜的に「第2の基油」ともいう。)として別途添加してもよい。同様に、本発明の潤滑油は各種添加剤を含有することができるが、当該添加剤は、予め本発明のグリース基油又は第2の基油に含有させておいてもよく、又は、本発明の潤滑油の調製の際に本発明の潤滑油又は第2の基油とは別に添加してもよい。さらに、本発明のグリース基油及び本発明の潤滑油において、本発明にかかるエステル以外の成分が、本発明のグリース基油、第2の基油又は添加剤のいずれに由来するものであるかについては特に制限されない。
さらに本発明の潤滑油は、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来より公知の潤滑油添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、防錆剤、消泡剤、抗乳化剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、脂肪酸等の油性剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等を、本発明の目的が阻害されない範囲内の量で、所望により前記エステルと適宜混合することにより調製してもよい。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の含有量は、潤滑油全量基準で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
酸化防止剤としては、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール、4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、ビスフェノールA等などのフェノール系酸化防止剤;p,p´‐ジオクチルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン、3,7‐ジオクチルフェノチアジン、フェニル‐1‐ナフチルアミン、フェニル‐2‐ナフチルアミン、アルキルフェニル‐1‐ナフチルアミン、アルキルフェニル‐2‐ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤;アルキルジサルファイド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系酸化防止剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
極圧剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ジアルキルポリサルファイド、トリアリールフォスフェート、トリアルキルフォスフェート、塩素化パラフィン、硫黄化合物等が挙げられる。これらの極圧剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
防錆剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエート、グリセリンモノオレエート、アミンフォスフェート等が挙げられる。これらの防錆剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油やジエチルシリケート等のオルガノシリケート類等が挙げられる。これらシリコーン系等の消泡剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの抗乳化剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本発明のグリース基油を用いてグリースを調製する場合には、増ちょう剤、必要に応じて酸化防止剤、錆止め剤、極圧剤、油性剤、固体潤滑剤等の添加剤を混合すればよい。増ちょう剤としては、例えば、カルシウム石鹸、ナトリウム石鹸、リチウム石鹸等の石鹸;カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸、リチウムコンプレックス石鹸等のコンプレックス石鹸;テレフタルアミド酸塩、ウレア、シリカエアロジェル等が挙げられる。
また、本発明の潤滑油の酸価は、潤滑油が適用される基材の腐食を防止するため、及び本発明の潤滑油に含有されるエステルの分解を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下である。なお、本発明において、酸価は後述の測定により得た。
また、本発明の潤滑油の灰分は、本発明の潤滑油の耐熱性と流動性及び保管安定性を高め、さらにスラッジの発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に基づいて測定した灰分の値を意味する。また、潤滑油中の灰分の含有量を低減するには、原料のカルボン酸や脂肪酸に由来する無機物の含有量を低減すれば良い。エステル合成後に無機物を取り除く方法としては、活性炭、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライト、イオン交換樹脂等により吸着することで灰分量を抑えることができる。
本発明のグリース基油及びそれを含有する場合を含む潤滑油は、耐熱性、流動性及び保管安定性に優れるため、高温及び低温環境下においても好適に用いられ、エアコンファンモーター用軸受、自動車用軸受、音響機器用軸受、コンピューター用軸受、スピンドルモーター軸受等の、耐熱性及び低温特性が要求される部品に使用されるグリースに用いた場合に、より好適に長期間安定に使用可能である。また、水分と接触し得る開放系、例えば外部の水、又は、結露により生じた水が潤滑剤に混入し得る環境で用いられる部品に対して用いた場合でも、長期間安定に使用可能である。
例えば、自動車や鉄道の電装補機や家電室外機等は、冬季に0℃以下という環境にさらされる。また航空機に使用される電装の場合には、与圧・保温されていない部位は−40℃を下回る極低温になる。これらの機械を起動する際に、グリース基油又は潤滑油の低温特性が不良であると所定操作が行なわれなくなる。一方、前記装置類の稼動時の部位は120℃を超える高温であり、グリース基油又は潤滑油の耐熱性が不十分では、漏出、分解、揮発により潤滑性の低下を招き、更には焼付け等による装置の破損を招く。本発明のグリース基油及び潤滑油は、耐熱性及び低温特性がよく、低温から高温に到る幅広い温度範囲で使用可能であり、各環境下において、各装置の所定操作を良好に行なうことができる。
実施例1
(エステルの原料仕込み)
2リットルの4つ口フラスコに、攪拌機、温度計、窒素ガス吹き込み管及び冷却管を取り付けた。このフラスコに、カルボン酸(脂肪酸)として、2‐エチルヘキサン酸(商品名:オクチル酸,協和発酵工業社製)458g、n‐ヘプタン酸(アトフィナ社製)508g、n‐オクタン酸(商品名:ルナック8−98,花王社製)305gを入れ、これにペンタエリスリトール(商品名:ペンタリット,広栄パーストープ社製)250gを添加した。なお、2‐エチルヘキサン酸:n‐ヘプタン酸:n‐オクタン酸の割合(重量比)は、36:40:24、であり、ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記カルボン酸のカルボキシル基は1.25当量になるよう設定した。重量比[n−ヘプタン酸/n-オクタン酸]は、1.67である。
(エステルの調製)
次に、フラスコ内に、窒素ガスを吹き込みながら230℃で14時間エステル化反応をさせ、留出する水を除去した。反応終了後、0.13kPaの減圧下で過剰のカルボン酸を除去し、0.67kPaの減圧下で1時間スチーミングを行い、吸着剤(商品名:キョーワード500SH,協和化学工業社製)で残存しているカルボン酸を吸着した後、ろ過を行い、エステルを得た。当該エステルの酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は1.2mgKOH/gであった。当該エステルをグリース基油として用いた。
(潤滑油の調製)
前記エステルをグリース基油として使用し、後述する処方、操作により潤滑油を調製した。
グリース基油:87重量%
増ちょう剤(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム,商品名S−7000H,堺化学工業社製):12重量%
酸化防止剤(アルキルジフェニルアミン,商品名スミライザー9A,住友化学社製):1重量%
増ちょう剤全量をグリース基油全量に加熱溶解し、25℃まで冷却した後、酸化防止剤全量を加え、3段ロールミルでミリングを行い、脱泡処理して潤滑油を調製した。また、当該エステルは潤滑油としても使用でき、揮発量、流動点、保管安定性及び40℃の動粘度は、潤滑油の指標ともなる。以下の実施例2〜7及び比較例1〜8も、同様に、グリース基油としての評価であると共に、潤滑油としての評価でもある。
実施例2〜7、比較例1〜8
実施例1において、用いたカルボン酸(脂肪酸)の種類及び割合を、表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、エステルを調製した。また当該エステルをグリース基油として用いて、実施例1と同様にして潤滑油を調製した。
<評価>
前記実施例及び比較例で得られたグリース基油(潤滑油)について後述する評価を行った。結果を表1に示す。
(1)<耐熱性>:揮発量:得られたグリース基油を、直径約55mmの100ccガラス製ビーカーに試料油として20gを秤量し180℃にセットした恒温槽内(STAC−5200,島津理化社製)で500時間加熱した後、再び秤量し、後述する式より、揮発量を求めた。揮発量は少ないほど基油の分解が少なく、耐熱性に優れることを示す。
揮発量(重量%)={(加熱前の試料油の重量)−(加熱後の試料油の重量)}/(加熱前の試料油の重量)×100
(2)流動点:JIS K2269により流動点(℃)を求めた。流動点が低いほどより低温での流動性に優れることを示す。
(3)低温での保管安定性:調製した直後のグリース基油(新油)を20g秤量した後、30cmのガラス製スクリュー管に入れた後、キャップを装着した。当該スクリュー管を、−40℃にセットした超低温恒温槽(RL6CP,LAUDA社製)に保管して20時間までは1時間ごと、20時間以降は10時間毎に外観及び流動性を、下記のように評価した。スクリュー管を1秒間に45°傾けて、45°傾けてから10秒以内に液面が動かない場合流動性なしと判断した。また、27Wの蛍光管を装着した卓上電気スタンドと30cm離れた位置にいる測定者の中間にスクリュー管を配し、スクリュー管内部に微小な綿状の物質の析出が認められた場合、析出物ありと判断した。流動性がなくなるか、または、析出物が観察されるまで試験を続けた。最長200時間が経過するまで観察を行った。前記時間が長いほど保管安定性に優れることを示す。
(4)40℃における動粘度:JIS K2283により40℃における動粘度(mm2/秒)を求めた。前記動粘度は、調製した直後のグリース基油について測定した。
(5)酸価及び水酸基価:酸価は、JIS K0070 3.1により酸価を求めた。水酸基価は、JIS K0070 7.2により水酸基価を求めた。
Figure 0005430980
表1中、2EHは2‐エチルヘキサン酸、nC7はn‐ヘプタン酸、nC8はn‐オクタン酸、である。なお、表1の比較例1乃至4が、特開2008−214380号公報(特許文献3)の実施例1乃至4に、比較例6乃至8が特開2006‐124429号公報(特許文献2)の実施例1乃至3に相当する。
耐熱性は実施例1〜7と比較例1〜4がよいが、低温での保管安定性は実施例1〜7と比較例5〜8がよい。実施例1〜7のグリース基油及び潤滑油は、揮発量は20重量%以下、流動点は−50℃以下、低温(−40℃)での保管安定性は100時間以上を満足しており、耐熱性を有し高温潤滑性が良く、また低温での流動性、保管安定性を有する。特に、n−ヘプタン酸とn−オクタン酸の重量比[n−ヘプタン酸/n-オクタン酸]が1.6〜5の範囲にある、実施例1、3、4、5、7は、長期の保管安定性を有する。
一方、比較例1乃至4は、実施例と同じ組成のカルボン酸(脂肪酸)を用いているが、2EHの割合が少ないため(n−ヘプタン酸とn−オクタン酸の合計量の割合が多いため)、低温での保管安定性を満足できていないことが分かる。比較例5乃至8は、2EHの割合が多いため(n−ヘプタン酸とn−オクタン酸の合計量の割合が少ないため)、が大きく、高温(180℃)での揮発量が多く、耐熱性が十分でないことが分かる。

Claims (4)

  1. ペンタエリスリトールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルを含有してなるグリース基油であって、前記カルボン酸が、2‐エチルヘキサン酸、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸を合計含有量で95〜100重量%含有してなり、かつ、カルボン酸中、2‐エチルヘキサン酸の含有量と、n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸の合計含有量との重量比(2‐エチルヘキサン酸の含有量)/(n‐ヘプタン酸及びn‐オクタン酸の合計含有量)が36/64〜44/56であり、
    カルボン酸中、n−ヘプタン酸とn−オクタン酸の重量比[n−ヘプタン酸/n-オクタン酸]が1.6〜5である、グリース基油。
  2. カルボン酸中、2−エチルヘキサン酸の含有量が36〜44重量%である請求項1に記載のグリース基油。
  3. 酸価が0.001〜0.1mgKOH/g、水酸基価が0.01〜5mgKOH/gである、請求項1または2に記載のグリース基油。
  4. 請求項1〜いずれかに記載のグリース基油を含有してなる潤滑油。
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