JP5572242B2 - 冷凍機油および冷凍機用作動流体ならびに冷蔵庫 - Google Patents

冷凍機油および冷凍機用作動流体ならびに冷蔵庫 Download PDF

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本発明は、省エネルギーに優れた低粘度の冷凍機油およびこれを用いる冷凍機用作動流
体ならびに冷蔵庫に関する。
従来、冷凍機、空調機、冷蔵庫等に用いられている冷媒圧縮式冷凍サイクル装置には、
冷媒としてフッ素と塩素を構成元素とするフロン、例えばクロロフルオロカーボン(CF
C)であるR‐11(トリクロロモノフルオロメタン)、R‐12(ジクロロジフルオロ
メタン)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)であるR‐22(モノクロロジ
フルオロメタン)等が使用されてきたが、オゾン層破壊問題に関連し、国際的にその生産
及び使用が規制され、現在では、塩素を含有しない水素含有フロン冷媒、例えば、ジフル
オロメタン(R‐32)、テトラフルオロエタン(R‐134又はR‐134a)や、さ
らに温室効果が小さいハロゲン原子を含まない炭化水素冷媒、例えばエタン、プロパン、
ブタン、イソブタン等に転換されてきている。
発明者らは、これらの冷媒に使用する冷媒用冷凍機油としてポリオールなどの多価アル
コールを用いたエステルを基油とする冷媒用冷凍機油を提案してきた(特許文献1)。こ
れにより、作動流体に低級炭化水素冷媒等を用いた場合にオリゴマー(高分子物質)の発
生を防止するという効果を得ることができた。ところが最近は冷凍機、空調機、冷蔵庫等
に更なる省エネルギー化が求められ、冷凍機油についても、低粘度化を図った省エネルギ
ータイプの冷凍機油が求められてきている。
特許文献2には、ある種の脂肪酸ポリオールエステルが低粘度で、潤滑性に優れている
ことが開示されているが、脂肪酸ポリオールエステルで粘度を下げるには、脂肪酸の炭素
数が5以下でなければならず、加水分解安定性が著しく低下する。
また、特許文献3には、低粘度で加水分解安定性に優れた冷凍機油として、脂肪族飽和
分岐鎖状カルボン酸モノアルキルエステルの少なくとも1種を含有する冷凍機油が提案さ
れ、またこのエステルと脂肪酸ポリオールエステルとの混合物が開示されている。しかし
ながら、脂肪族飽和分岐鎖状カルボン酸モノアルキルエステルと脂肪酸ポリオールエステ
ルの組み合わせは無数あり、低粘度で、しかも潤滑性に優れ、さらに引火点が高くて安全
性にも優れ、また加水分解安定性を満足できるものを探すことは極めて困難であった。
特開2007−254713号公報 特開2007−248020号公報 再公表特許WO00/68345号公報
上記のように、塩素を含有しない水素含有フロン冷媒や、さらに温室効果が小さいハロ
ゲン原子を含まない炭化水素冷媒を使用する冷凍機において、省エネルギー性を向上させ
るためには粘度の低い潤滑油を冷凍機油として用いることが有効であるが、パラフィン鉱
油あるいはナフテン鉱油を基材とする、いわゆる鉱油系の冷凍機油の場合は、引火点が低
くなり、取り扱いにおいて危険性が高まることが問題である。一方、ポリオールなどの多
価アルコールを用いたエステルを基油とする場合、炭素数の少ない脂肪酸を使用しなけれ
ばならないが、この構造では安定性が著しく低下し、また分解時に発生する脂肪酸による
腐食も懸念される。
本発明は、上記課題を解決するもので、塩素を含有しない水素含有フロン冷媒や、さら
に温室効果が小さいハロゲン原子を含まない炭化水素冷媒とともに使用する、低粘度で、
しかも安全性、安定性に優れた冷媒用冷凍機油を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成するために、鋭意研究を進めた結果、基油として特定のモ
ノエステルにポリオールエステルを配合した冷凍機油が、塩素を含有しない水素含有フロ
ン冷媒や炭化水素冷媒において、低粘度で、また良好な潤滑性を有しており、しかも加水
分解安定性が高く、冷媒圧縮式冷凍サイクル装置用潤滑油、すなわち冷凍機油として、非
常に優れていることを見出し、本発明に想到した。
即ち、本発明は、以下のとおりの冷凍機油および冷凍機用作動流体ならびに冷蔵庫であ
る。
(1)炭素数8の脂肪族モノアルコールと炭素数8の1価脂肪酸とのモノエステルを75
〜95質量%と、2‐エチルヘキサン酸および/または3,5,5‐トリメチルヘキサン酸
と炭素数5〜10のネオペンチルポリオールとのポリオールエステルの少なくとも1種を
5〜25質量%含むことからなる冷凍機油。
(2)40℃における動粘度が2〜4mm2/s、引火点が130℃以上、酸価が0.1mgKOH/
g以下、25℃における体積抵抗率が10GΩm以上である上記(1)に記載の冷凍機油。
(3)前記モノエステルがn‐オクチルアルコールと2‐エチルヘキサン酸のエステルで
ある上記(1)または(2)に記載の冷凍機油。
(4)前記ポリオールエステルが、ネオペンチルグリコール‐ジ‐2エチルヘキサン酸エ
ステルおよび/またはペンタエリスリトール‐テトラ‐2エチルヘキサン酸エステルであ
る上記(1)〜(3)のいずれかに記載の冷凍機油。
(5)エポキシ環を有する化合物またはカルボジイミド化合物からなる酸捕捉剤を0.0
1〜1質量%添加した上記(1)〜(4)のいずれかに記載の冷凍機油。
(6)ベンゾトリアゾールの構造を有する金属不活性化剤を1〜100質量ppm添加した
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の冷凍機油。
(7)分子内に2個以上の水酸基を有する油性剤を0.01〜1質量%添加した上記(1
)〜(6)のいずれかに記載の冷凍機油。
(8)シリコーン油、末端をポリアルキレングリコール又はエステルで変性したシリコー
ン油、またはフッ素化シリコーン油から選ばれる消泡剤の少なくとも1種を1〜100質
量ppm添加した上記(1)〜(7)のいずれかに記載の冷凍機油。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の冷凍機油とエタン、プロパン、ブタン、ま
たはイソブタンから選ばれた少なくとも1種の炭化水素冷媒とを含有する冷凍機用作動流
体。
(10)上記(9)に記載の冷凍機用作動流体と、この流体を圧縮する密閉形圧縮機と、
冷媒を凝縮させる凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張機構と、冷媒を蒸発させる蒸発器から
なり、前記密閉形圧縮機は回転子と固定子を有するモータを備えており、前記モータには
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドイミドコートポ
リエステル、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルエーテルケトンのいずれか1
種の絶縁フィルムを備え、前記固定子にはガラス転移温度120℃以上のエナメル材で被
覆した巻き線を備えた冷蔵庫。
(11)前記密閉形圧縮機が往復動式である上記(10)に記載の冷蔵庫。
本発明の冷凍機油は、低粘度で省エネルギーに優れ、しかも潤滑性に優れており、さ
らに引火点が高くて安全性にも優れ、また加水分解安定性や酸化安定性等を満足できると
いう効果を奏する。また、かかる冷凍機油を用いる本発明の冷凍機用作動流体は、冷凍シ
ステムの各機器や部品を損傷することなく、当該冷凍システムを長期間にわたって、安定
的に運転できるという効果を奏する。さらに、この冷凍機油を用いる冷凍庫にあっては、
省エネルギーで、長期間、安定して稼働することができるという効果を奏する。
本発明では、炭素数8の脂肪族モノアルコールと炭素数8の1価脂肪酸とのモノエステ
ルを用いる。アルコールおよび酸の炭素数が8であることにより、低粘度を達成でき、ま
た引火点を高くでき、加水分解安定性が優れている。
炭素数8の脂肪族モノアルコールとしては、n‐オクチルアルコール、イソオクチルア
ルコール、2‐エチルヘキサノール、1‐メチルヘプタノール、2‐メチルヘプタノール
、2‐プロピルペンタノール、ジメチルシクロヘキサノール等を例示できる。このうちで
も、入手が容易なn‐オクチルアルコールを用いることが好ましい。
炭素数8の1価脂肪酸としては、n‐オクタン酸、イソオクタン酸、2‐エチルヘキサ
ン酸、1‐メチルヘプタン酸、2‐メチルヘプタン酸、2‐プロピルペンタン酸、ジメチ
ルシクロヘキサン酸等を例示できる。入手が容易な2‐エチルヘキサン酸を用いることが
好ましい。
また、本発明では、2‐エチルヘキサン酸および/または3,5,5‐トリメチルヘキサ
ン酸と炭素数5〜10のネオペンチルポリオールとのポリオールエステルを用いる。上記
モノエステルの所定量にこのポリオールエステルを所定量配合することにより、所望の動
粘度に合わせることができ、また加水分解安定性を高めることができる。
ネオペンチルポリオールとは、ネオペンタンの構造をもつ2価以上のアルコールで、本
発明では、炭素数5〜10のものを用いる。炭素数10を超えるものは、動粘度の調整が
難しくなり、また冷媒との相溶性が悪化する。このネオペンチルポリオールとしては、ネ
オペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトールを用いることができるが、特には、ネオペンチルグリコールおよびペンタエリ
スリトールを用いることが好ましい。
本発明に用いるエステルは、上記特定のアルコールまたはポリオールと特定の脂肪酸
との脱水反応によるエステル化反応、あるいは脂肪酸の誘導体である酸無水物、酸クロラ
イド等を経由しての一般的なエステル化反応や各誘導体のエステル交換反応によって得る
ことができる。
なお、本発明の冷凍機油は、モノエステルとポリオールエステルとを含むものであるが
、この調製に当たっては、まず、上記手段により、モノエステルとポリオールエステルと
を別々に合成した後に、両者を所定比率で混合してもよく、先に、モノアルコール、1価
脂肪酸、2‐エチルヘキサン酸および/または3,5,5‐トリメチルヘキサン酸、および
ネオペンチルポリオール、あるいはこれらの誘導体を、必要量、混合して上記手段により
合成してもよい。なお、この場合、ポリオールエステルは1種類であっても、2種類以上
が混合しているようにしてもよい。
上記方法で得られるエステルは、未反応で残存する酸およびアルコールを特に制限する
ものではないが、カルボキシル基はできるだけ残存しないことが好ましい。カルボキシル
基の残存量が多いと、冷凍機内部に使用されている金属との反応により金属石けんなどを
生成し、沈殿するなどの好ましくない現象も起こるため、本発明の冷凍機油の酸価は0.
1mgKOH/g以下のものが好ましい。この酸価は、JIS K2501「石油製品及び潤滑
油―中和価試験方法、指示薬滴定法」に規定する方法によるものである。
本発明の冷凍機油は、上記モノエステルを75〜95質量%とポリオールエステルを5
〜25質量%を含有させたものである。この配合比率にすることにより、低粘度、すなわ
ち、VG3グレードの粘度の冷凍機油とすることができ、また、潤滑性に優れ、引火点お
よび体積抵抗率が高くて安全性、さらに加水分解安定性、相溶性に優れたものとすること
ができる。
また、本発明の冷凍機油は、VG3グレードの粘度の冷凍機油とするためには、40
℃における動粘度が2〜4mm2/sであることが好ましく、また、取扱い上の安全性を確保
するために、引火点が130℃以上、感電防止などの安全上の観点から25℃の体積抵抗
率が10GΩm以上とすることが好ましい。
40℃における動粘度は、JIS K2283「原油及び石油製品―動粘度試験方法及
び粘度指数算出方法」に規定する方法で測定、引火点はJIS K2265−4「引火点
の求め方―第4部:クリーブランド開放法」に規定する方法で測定、25℃の体積抵抗率
はJIS C 2101「電気絶縁油試験方法、24.体積抵抗率試験」に規定する方法に
準じて、試料温度25℃で測定するものである。
上記モノエステルは、n‐オクチルアルコールと2‐エチルヘキサン酸のエステル、す
なわち、2‐エチルヘキサン酸‐n‐オクチルを用いると、VG3グレードの粘度調整が
容易となるため好ましい。
また同様に、ポリオールエステルとして、2‐エチルヘキサン酸とネオペンチルグリコ
ールのエステルであるネオペンチルグリコール‐ジ‐2‐エチルヘキサン酸エステルまた
は2‐エチルヘキサン酸とペンタエリスリトールとのエステルであるペンタエリスリトー
ル‐テトラ‐2‐エチルヘキサン酸エステルを用いることが好ましい。
本発明の冷凍機油においては、加水分解安定性を向上させるために、上記エステルか
らなるものに、さらにエポキシ環を有する化合物やカルボジイミド化合物などの酸捕捉剤
を添加することが好ましい。エポキシ環を有する化合物とは、グリシジルエーテル基含有
化合物、グリシジルエステル基含有化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル類、エポキシ
化油脂、エポキシシクロアルキル基含有化合物などが挙げられる。この中で特にはグリシ
ジルエーテル基含有化合物、グリシジルエステル基含有化合物、エポキシ化脂肪酸モノエ
ステル類、エポキシ化油脂、エポキシシクロアルキル基含有化合物がより好ましい。
この酸捕捉剤の添加量は冷凍機油全体を基準として、0.01〜1質量%が好ましく、
0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。
また、同様に、加水分解安定性を向上させるために、金属不活性化剤であるベンゾトリ
アゾール構造を有する化合物を添加することが好ましい。ベンゾトリアゾール構造を有す
る化合物とは、次の一般式化1で示される化合物で、
Figure 0005572242
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、水素原子、又は窒素原子及び/
又は酸素原子を含有する炭素数0〜20の基を示す)、
冷凍機油全体を基準として1〜100質量ppm、さらには10〜80質量ppm程度含有され
るよう添加することが好ましい。
さらに、潤滑性を向上させるために、分子内に2個以上の水酸基を持つ油性剤を添加
することが好ましい。この分子内に2個以上の水酸基を持つ油性剤としては、グリセリン
モノオレート、グリセリンモノオレイルエーテル、グリセリンモノラウリルエーテル等が
挙げられ、特にはグリセリンモノオレート又はグリセリンモノオレイルエーテルが好まし
い。添加量は、冷凍機油全体を基準として0.01〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5
質量%がさらに好ましい。
また、冷凍機油が冷凍システム内で泡立つのを抑えるために、シリコーン油、末端をポ
リアルキレングリコール又はエステルで変性したシリコーン油、またはフッ素化シリコー
ン油から選ばれる消泡剤の少なくとも1種を添加することが好ましい。添加量としては、
冷凍機油全体を基準として、1〜100ppmが好ましく、特には10〜80ppmが好ましい
本発明の冷凍機油には、必要に応じて上記以外の添加剤をさらに適宜配合してもよい。
このような添加剤として、例えば、2,6‐ジ‐ターシャリーブチルフェノール、2,6‐
ジ‐ターシャリーブチル‐p‐クレゾール、4,4‐メチレン‐ビス‐(2,6‐ジ‐ター
シャリーブチル‐p‐クレゾール)、p,p'‐ジ‐オクチル‐ジ‐フェニルアミンなどの
フェノール系又はアミン系の酸化防止剤、その他、周知の清浄分散剤、粘度指数向上剤、
防錆剤、腐食防止剤、流動点降下剤などの添加剤も必要に応じて適宜配合することができ
る。これらの添加剤は、通常本発明の冷凍機油に1質量ppm〜2質量%程度含有されるよ
うに添加される。特に、フェノール系又はアミン系の酸化防止剤は、0.01〜0.5質量
%程度添加することにより、潤滑剤の安定性、耐久性を大幅に改善することができる。
本発明の冷凍機油は、塩素を含有しない冷媒とともに、さらにはハロゲンを含有しない
冷媒とともに好適に用いることができる。すなわち、本発明の冷凍機油は、塩素を含有せ
ずオゾン層破壊係数の小さい水素含有フロン冷媒、例えば、ジフルオロメタン(R−32
)、テトラフルオロエタン(R−134又はR−134a)や、特にハロゲンを含有せず
オゾン層破壊係数、地球温暖化係数がともに小さい炭化水素冷媒、例えば、エタン(R1
70)、プロパン(R290)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、ある
いはこれらの2種以上の混合冷媒等を使用する冷凍機に好適に用いられる。
本発明の冷凍機油は、これらの冷媒と混合されることにより作動流体 となり、冷凍装
置の潤滑をつかさどる。本発明の冷凍機油と冷媒とを5:95〜80:20の割合で混合
することにより作動流体として使用することが可能である。この範囲を外れ、油が少ない
場合には、潤滑不良になる危険性があり、油が多すぎる場合には、効率が低下するため好
ましくない。
そして、本発明の冷凍機用作動流体は、少なくとも圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発
器を有する冷媒圧縮式冷凍装置、例えば、冷凍機、空調機、冷蔵庫等の作動流体として用
いられるが、特には、主に炭化水素冷媒が使用される冷蔵庫に用いることが好ましい。
本発明の作動流体が用いられる冷蔵庫においては、一般には密閉形のロータリー式ある
いは往復動式の圧縮機が用いられるが、これらの冷媒圧縮機のモータ部の電気絶縁システ
ム材料である絶縁フィルムとしては、ガラス転移温度50℃以上の結晶性プラスチックフ
ィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミ
ドイミドコートポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケト
ン、あるいは、ガラス転移温度の低いフィルム上にガラス転移温度の高い樹脂層を被覆す
る複合フィルムなどが使用されている。
同様にモータ部に使われるマグネットワイヤも、ガラス転移温度120℃以上のエナメ
ル被覆、例えば、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の単一層、ある
いはガラス転移温度の低いものを下層に、ガラス転移温度の高いものを上層に複合したエ
ナメル被膜などが使用されている。
なお、本発明の冷凍機用作動流体は、低粘度であるため、シール性の高い往復動式の密
閉形圧縮機に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより詳しく説明するが、本発明は実施例に
限定されるものではない。
本発明を評価するために、実施例及び比較例の冷媒用冷凍機油(供試油)を用意した。
供試油に使用した基油、添加剤は下記の通りである。
(基油)
ME‐1:n‐ヘキサン酸‐n‐ヘキシル
ME‐2:2‐エチルヘキサン酸‐n‐オクチル
ME‐3:n‐デカン酸‐n‐デシル
PE‐1:ネオペンチルグリコール‐ジ‐n‐ヘキサン酸エステル
PE‐2:ネオペンチルグリコール‐ジ‐2‐エチルヘキサン酸エステル
PE‐3:ペンタエリスリトール‐テトラ‐2‐エチルヘキサン酸エステル
PE‐4:2‐エチルヘキサン酸(50質量%)と3,5,5‐トリメチルヘキサン酸(
50質量%)の混合酸とペンタエリスリトールとのエステル
(添加剤)
酸捕捉剤:2−エチルヘキシルグリシジルエーテル〔EPO〕
ジアルキルフェニルカルボジイミド〔CDI〕
油性剤:グリセリンモノオレート〔GMO〕
金属捕捉剤:ベンゾトリアゾール〔BTA〕
消泡剤:ジメチルシロキサン(1000mPa.s@25℃)〔シリコーン油〕
上記の基油及び添加剤を用い、表1の上部に示す割合(質量%)で調合して、実施例及
び比較例の供試油(冷凍機油)を得た。
Figure 0005572242
これらの実施例及び比較例の冷凍機油について、その物性及び相溶性や安定性などの性
能を測定し、評価した。その結果を表2に示す。
なお、前述した測定法以外の物性測定及び性能評価の試験は以下のようにして行った。
泡立ち:
JIS K2518「石油製品−潤滑油泡立ち試験法」に規定の方法により、24℃で
の泡立ち度、および泡安定度を測定した。
二層分離温度:
JIS K 2211の附属書3「冷媒との相溶性試験方法」に規定の方法により、二
層分離温度を測定した。なお、冷媒としては、イソブタン(R600a)を用い、また、
供試油/冷媒比(重量)は2/8の条件で測定した。
加水分解安定性:
JIS K2211の付属書2「冷媒との化学的安定性試験方法(シールドチューブテ
スト)に規定の方法により、供試油7mlとイソブタン冷媒(R600a)3mlとの混
合物を油中水分量500ppm、温度175℃の環境下に14日間おき、全酸価を測定した

潤滑性(FALEX焼付):
ASTM D3233に準拠するファレックス(Falex)試験(290rpm、室温
)を行い、試験片が焼付きを生じた時の荷重を測定した。
潤滑性(SRV摩耗痕):
ボール(SUJ‐2製)/ディスク(SUJ‐2製)のSRV摩擦試験機を用い、荷重
100N、振幅数50Hz、振幅1mm、温度60℃の条件で、試験時間25分経過後の摩耗
痕を測定した。
コンプレッサーテスト:
冷蔵庫用コンブレッサーに供試油を220ml入れ、冷媒としてイソブタンを30g使用
し、次の条件で耐久テストを行った。
<条件> 吐出圧力:10kg/cm2G、吸入圧力:0kg/cm2G、コンプレッサー表面温度(
頂上):100℃、運転時間:1000時間
耐久テスト後にコンプレッサーを分解し、吐出弁の汚れ及び摺動部の摩耗評価を行った
Figure 0005572242
炭素数8の脂肪族モノアルコールであるn-オクタノールと炭素数8の1価脂肪酸である
2-エチルヘキサン酸とのエステルであるME‐2:2‐エチルヘキサン酸(n‐オクチ
ル)と、2-エチルヘキサン酸または3,5,5-トリメチルヘキサン酸と炭素数5〜10の
ネオペンチルアルコールであるネオペンチルグリコールまたはペンタエリスリトールのエ
ステルであるPE-1〜PE-4の混合物を基油として用いた実施例1〜7は、低粘度油で
ありながら、引火点が高く、また冷媒との相溶性、加水分解安定性、体積抵抗率にも優れ
、しかも潤滑性も良好である。
一方、モノエステルME-1〜ME-3およびネオペンチルポリオールのエステルPE-
1を単独で基油として用いた比較例1〜4は、加水分解安定性が悪く、また、比較例1〜
4では、潤滑性のSRV摩耗痕も悪い。特に比較例1は、引火点、体積抵抗率、潤滑性の
FALEX焼付も悪い。なお、PE-2を単独で用いた比較例5は、粘度が高く、省エネ
ルギーを十分に達成できない。また、炭素数6や炭素数10のアルコールや酸のエステル
を用いたものは、ネオペンチルポリオールのエステルと混合しても(比較例6〜8)、加
水分解安定性が悪く、また、比較例6〜7は体積抵抗率も低い。これらの基油を用いたも
のは、添加剤を添加しても(比較例9〜11)、改善できなかった。
本発明により、塩素を含有しない水素含有フロン冷媒や、さらに温室効果が小さいハロ
ゲン原子を含まない炭化水素冷媒に使用する、低粘度でしかも安定性に優れた冷媒用冷凍
機油を提供することを可能とした。したがって、地球の温暖化等の環境に与える影響が小
さく、しかも、低粘度で省エネルギーにも期待されることから、冷媒圧縮式冷凍サイクル
を利用する冷凍機、空調機、冷蔵庫等に有効に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 2‐エチルヘキサノールまたはn‐オクチルアルコール2‐エチルヘキサン酸またはn‐オクタン酸とのモノエステルを75〜95質量%と、2‐エチルヘキサン酸および/または3,5,5‐トリメチルヘキサン酸とネオペンチルグリコールおよび/またはペンタエリスリトールとのポリオールエステルの少なくとも1種を5〜25質量%含み、エポキシ環を有する化合物またはカルボジイミド化合物からなる酸捕捉剤を0.01〜1質量%添加し、40℃における動粘度が2〜4mm/s、引火点が130℃以上、酸価が0.1mgKOH/g以下、25℃における体積抵抗率が10GΩm以上である、エタン、プロパン、ブタン、またはイソブタンから選ばれた少なくとも1種の炭化水素冷媒に用いられる冷凍機油。
  2. 前記ポリオールエステルが、ネオペンチルグリコール‐ジ‐2エチルヘキサン酸エステルまたはペンタエリスリトール‐テトラ‐2エチルヘキサン酸エステルである請求項1に記載の冷凍機油。
  3. 請求項1または2に記載の冷凍機油と、エタン、プロパン、ブタン、またはイソブタンから選ばれた少なくとも1種の炭化水素冷媒とを含有する冷凍機用作動流体。
  4. 請求項に記載の冷凍機用作動流体と、この流体を圧縮する密閉形圧縮機と、冷媒を凝縮させる凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張機構と、冷媒を蒸発させる蒸発器からなり、前記密閉形圧縮機は回転子と固定子を有するモータを備えており、前記モータにはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドイミドコートポリエステル、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルエーテルケトンのいずれか1種の絶縁フィルムを備え、前記固定子にはガラス転移温度120℃以上のエナメル材で被覆した巻き線を備えた冷蔵庫。
  5. 前記密閉形圧縮機が往復動式である請求項に記載の冷蔵庫。
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