JPH09241671A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH09241671A
JPH09241671A JP8084851A JP8485196A JPH09241671A JP H09241671 A JPH09241671 A JP H09241671A JP 8084851 A JP8084851 A JP 8084851A JP 8485196 A JP8485196 A JP 8485196A JP H09241671 A JPH09241671 A JP H09241671A
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JP
Japan
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group
carbon atoms
lubricating oil
phosphorus compound
oil composition
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JP8084851A
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English (en)
Inventor
Yuichiro Kobayashi
勇一郎 小林
Shiyuuichi Ineya
修一 稲家
Koji Taira
幸治 平
Toshiya Hagiwara
敏也 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】1種以上のリン化合物、ベンゾトリアゾー
ル誘導体、並びに1種以上の基油として用いるエステル
を含有することを特徴とする潤滑油組成物。 【効果】本発明により、特に極性が高い特定構造を有す
るエステルを基油として用いた場合にも耐摩耗性に優れ
た潤滑油組成物を提供することが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造を有す
るリン化合物及びベンゾトリアゾール誘導体を含有し特
定のエステルを基油とする、耐摩耗性に優れた潤滑油組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、更油期間の延長並びに省エネルギ
ー化に対する要望や機械装置の高性能化、小型化等に伴
い、潤滑油に要求される性能もより過酷なものとなって
きており、特に熱安定性並びに酸化安定性に優れた潤滑
油が強く要望されている。また、フロンによるオゾン層
の破壊や二酸化炭素、メタンガスによる地球の温暖化、
排ガス中の亜硫酸ガスやNOX による森林破壊、化学物
質の漏洩による土壌・湖沼の汚染等、地球環境汚染の問
題がクローズアップされており、潤滑油においてもその
対応が求められている。そして、熱安定性、酸化安定性
向上の要望に応えるために、ポリアルキレングリコール
等のエーテルや脂肪族ジエステルやヒンダードエステル
等のエステルが開発され、エンジン油、作動油、グリー
ス基油、ギヤ油、圧延油、精密機械油等に利用されてい
る。
【0003】また、化学物質の漏洩による土壌・湖沼の
汚染の問題から、作動油、グリース、チェーンソー油、
2サイクルエンジン油等に生分解性の良い合成エステル
や動植物油脂が使用されてきている。
【0004】しかしながら、上記のような合成エステ
ル、動植物油脂、ポリアルキレングリコール、炭酸エス
テル等の含酸素化合物は、鉱物油等の炭化水素化合物に
比べ極性が高いために金属表面への吸着性に優れる。そ
のために、油性向上剤や摩耗防止剤、極圧剤等の金属表
面への吸着を阻害し、これらの添加剤の効果を低減させ
てしまうという問題が発生している。
【0005】これらの問題を解決するために、特開平5
−17794号公報には、エステル系化合物を主成分と
する基油に特定のリン系化合物及びアミン化合物を配合
する方法が開示されているが、まだ潤滑性向上効果が充
分とは言えない。また、特開平7−126680号公報
には、トリアリールホスフェート、並びにベンゾトリア
ゾール及び/又はその誘導体を配合した耐摩耗性潤滑油
組成物が開示されている。この潤滑油組成物は、潤滑油
の基油として鉱油系、合成系を問わず使用できるとされ
ているが、合成系潤滑油基油については実施例の中では
触れられておらず、具体的にサポートする記載はない。
鉱油系潤滑油基油は一般に極性が低く、リン化合物やベ
ンゾトリアゾール及び/又はその誘導体との親和性が低
いことにより、それらが金属表面に吸着しやすいので、
リン化合物とベンゾトリアゾール及び/又はその誘導体
による耐摩耗性、熱安定性等が発現されやすい。しかし
ながら、エステルのような極性の高い合成系潤滑油基油
の場合は、鉱油系潤滑油の上述の理由とは逆の理由によ
りそれらの添加物が金属表面に吸着しにくく本来的に耐
摩耗性が発現されにくいとされていた。つまり、本願の
目的である極性が高い基油において耐摩耗性が発現され
る具体的な組成物については述べられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、特に極性が高い基油である合成エステルや動植
物油脂又はその誘導体を用いた場合にも耐摩耗性に優
れ、添加剤による金属の腐蝕のない潤滑油組成物を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を
有する合成エステルや動植物油脂、又はその誘導体に、
特定の構造を有するリン化合物、及び特定の構造を有す
るベンゾトリアゾール誘導体を添加するという特定の組
み合わせによって、意外にも耐摩耗性が飛躍的に向上し
た潤滑油組成物が得られることを見出し、本発明を完成
するに到った。特に、前記の特開平7−126680号
公報で示されるように、鉱油系潤滑油においてはベンゾ
トリアゾールであってもベンゾトリアゾール誘導体であ
っても同様に使用できるものの、エステルのように極性
の高い基油にあっては、本発明で用いるような特定のベ
ンゾトリアゾール誘導体を用いた場合にのみ飛躍的に耐
摩耗性が向上するという顕著な効果を見出した。
【0008】即ち、本発明の要旨は、 (1) (イ)一般式(1)、(2)又は(3)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1 〜R5 及びR7 〜R9 は同一
であっても又は異なっていても良く、炭素数6〜18の
アリール基、炭素数1〜18の直鎖アルキル基、炭素数
3〜18の分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18の直鎖ア
ルケニル基、又は炭素数3〜18の分岐鎖アルケニル基
を表す。ただし、R1 〜R3 のうち少なくとも1つは炭
素数6〜18のアリール基であり、R4 、R5 のうち少
なくとも1つは炭素数6〜18のアリール基であり、そ
してR7 〜R9 のうち少なくとも1つは炭素数6〜18
のアリール基である。R6 は水素原子、炭素数1〜18
の直鎖アルキル基、炭素数3〜18の分岐鎖アルキル
基、炭素数2〜18の直鎖アルケニル基、又は炭素数3
〜18の分岐鎖アルケニル基を表す。)で表される化合
物からなる群より選ばれる1種以上のリン化合物、
(ロ)一般式(4)
【0011】
【化5】
【0012】(式中、R10は窒素原子及び/又は酸素原
子を含有する炭素数0〜20の基を表し、Xは水素原子
又はメチル基を表す。)で表されるベンゾトリアゾール
誘導体、並びに、(ハ)(a)炭素数2〜10の2〜6
価の飽和脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキ
シド付加物と、炭素数5〜24の直鎖又は分岐鎖の脂肪
族モノカルボン酸又はその誘導体とから得られるエステ
ル、(b)動植物油脂、及び(c)動植物油脂の誘導
体、からなる群より選ばれる1種以上の基油として用い
るエステル、を含有することを特徴とする潤滑油組成
物、 (2) 一般式(4)で表されるベンゾトリアゾール
誘導体において、R10がヒドロキシル基又はアミノ基を
表すか、あるいはヒドロキシル基及び/又はアミノ基を
含有する基である前記(1)記載の潤滑油組成物、 (3) 一般式(4)で表されるベンゾトリアゾール
誘導体において、R10
【0013】
【化6】
【0014】である前記(1)又は(2)記載の潤滑油
組成物、 (4) 一般式(1)〜(3)で表されるリン化合物
において、R1 〜R3 のうち少なくとも1つ、R4 、R
5 のうち少なくとも1つ、及びR7 〜R9 のうち少なく
とも1つがフェニル基、クレジル基、キシレニル基のい
ずれかである前記(1)〜(3)いずれか記載の潤滑油
組成物、 (5) リン化合物が、トリクレジルフォスフェー
ト、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォス
ファイト、及びトリフェニルフォスファイトからなる群
より選ばれる1種以上の化合物である前記(1)〜
(4)いずれか記載の潤滑油組成物、 (6) エステル100重量部に対し、リン化合物を
0.03〜5.0重量部、及びベンゾトリアゾール誘導
体を0.001〜5.0重量部配合させてなる前記
(1)〜(5)いずれか記載の潤滑油組成物、 (7) リン化合物とベンゾトリアゾール誘導体との
比率が、リン化合物1モルに対してベンゾトリアゾール
誘導体が0.001〜2.0モルである前記(1)〜
(6)いずれか記載の潤滑油組成物、に関するものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0016】1.リン化合物について 本発明に用いられるリン化合物としては、一般式(1)
〜(3)のいずれかで表される化合物である。
【0017】
【化7】
【0018】(式中、R1 〜R5 及びR7 〜R9 は同一
であっても又は異なっていても良く、炭素数6〜18の
アリール基、炭素数1〜18の直鎖アルキル基、炭素数
3〜18の分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18の直鎖ア
ルケニル基、又は炭素数3〜18の分岐鎖アルケニル基
を表す。ただし、R1 〜R3 のうち少なくとも1つは炭
素数6〜18のアリール基であり、R4 、R5 のうち少
なくとも1つは炭素数6〜18のアリール基であり、そ
してR7 〜R9 のうち少なくとも1つは炭素数6〜18
のアリール基である。R6 は水素原子、炭素数1〜18
の直鎖アルキル基、炭素数3〜18の分岐鎖アルキル
基、炭素数2〜18の直鎖アルケニル基、又は炭素数3
〜18の分岐鎖アルケニル基を表す。)
【0019】(i)R1 〜R5 及びR7 〜R9 について R1 〜R5 及びR7 〜R9 の炭素数は、大きくなると極
性が小さくなり、摩耗防止効果が劣る観点から18以下
である。好ましくは12以下である。
【0020】炭素数6〜18のアリール基としては、フ
ェニル基、クレジル基、キシレニル基、4−エチルフェ
ニル基、4−t−ブチルフェニル基、ナフチル基、2−
メチルナフチル基、4−t−オクチルフェニル基、2,
4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェニル基、2,4,6−トリ−t−ブ
チルフェニル基、4−ノニルフェニル基等が挙げられ
る。
【0021】炭素数1〜18の直鎖アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられ
る。
【0022】炭素数3〜18の分岐鎖アルキル基として
は、イソプロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチ
ルプロピル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3
−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シク
ロペンチル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチ
ル基、2,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、
2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−エ
チルペンチル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘ
キシル基、3,5ージメチルヘキシル基、3,5,5−
トリメチルヘキシル基、2,4,6−トリメチルヘプチ
ル基、2,4,6,8−テトラメチルノニル基、2−
(3’−メチルブチル)−7−メチルオクチル基、2−
ペンチルノニル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘプチ
ルウンデシル基等が挙げられる。
【0023】炭素数2〜18の直鎖アルケニル基として
は、プロペニル基、2−デセニル基、9−デセニル基、
9−ウンデセニル基、10−ウンデセニル基、2−ドデ
セニル基、3−ドデセニル基、2−トリデセニル基、4
−テトラデセニル基、9−テトラデセニル基、9−ペン
タデセニル基、9−ヘキサデセニル基、9−ヘプタデセ
ニル基、9−オクタデセニル基等が挙げられる。
【0024】炭素数3〜18の分岐鎖アルケニル基とし
ては、イソプロペニル基、3−メチル−2−ノネニル
基、2,4−ジメチル−2−デセニル基、2−メチル−
9−ヘプタデセニル基等が挙げられる。
【0025】R1 〜R5 及びR7 〜R9 で示される基
は、ベンゾトリアゾール誘導体との相互作用の観点か
ら、芳香環を含むものが良く、アリール基が好ましい。
従って、一般式(1)におけるR1 〜R3 のうち少なく
とも1つ、一般式(2)におけるR4 、R5 のうち少な
くとも1つ、そして一般式(3)におけるR7 〜R9
うち少なくとも1つはアリール基であることが好まし
い。R1 〜R5 及びR7 〜R9 がすべてアリール基であ
ることがより好ましい。アリール基の中でも、フェニル
基、クレジル基、キシレニル基がより好ましく、フェニ
ル基、クレジル基が特に好ましい。
【0026】(ii)R6 について R6 で示される基のうち、直鎖又は分岐鎖アルキル基、
直鎖又は分岐鎖アルケニル基の炭素数は、大きくなると
極性が小さくなり、摩耗防止効果が劣る観点から18以
下である。好ましくは12以下である。かかるアルキル
基、アルケニル基としては、具体的にはR1 〜R5 及び
7 〜R9 に示したものが挙げられる。
【0027】本発明に用いられるリン化合物の製造方法
は周知であり、また、多くのリン化合物が市販されてお
り、本発明ではこれらを使用することができる。
【0028】従って、本発明において好適に用いられる
リン化合物の具体例としては、トリフェニルフォスファ
イト、トリクレジルフォスファイト、トリス(ノニルフ
ェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)フォスファイト、トリフェニルフォスフ
ェート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェ
ニルフォスフェート、ジフェニルハイドロジェンフォス
ファイト、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェー
ト、2−エチルヘキシルフォスフォン酸ジフェニル等が
挙げられる。これらのうち、トリクレジルフォスファイ
ト、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォス
フェート、トリフェニルフォスフェートが特に好まし
い。なお、本発明においては、上記リン化合物は単独で
用いてもよく、2種以上のリン化合物を用いてもよい。
【0029】2.ベンゾトリアゾール誘導体について 本発明に用いられるベンゾトリアゾール誘導体として
は、一般式(4)で表されるものである。
【0030】
【化8】
【0031】(式中、R10は窒素原子及び/又は酸素原
子を含有する炭素数0〜20の基を表し、Xは水素原子
又はメチル基を表す。)
【0032】R10で示される基は、金属表面に対する吸
着力を良くする観点から、窒素原子及び/又は酸素原子
を含有する基であり、炭素数は、大きくなると極性が小
さくなり、吸着力が弱くなるため20以下である。好ま
しくは18以下である。炭素数が0である場合、R10
ヒドロキシル基又はアミノ基を表す。また、R10はヒド
ロキシル基及び/又はアミノ基を含有する基であっても
良い。かかるR10の具体例としては、例えば以下の化学
【0033】
【化9】
【0034】で表される基が挙げられる。本発明に用い
られるベンゾトリアゾール誘導体は、ベンゾトリアゾー
ルに比べて窒素原子及び/又は酸素原子をより多く有す
るために、金属表面に対する吸着性に優れており、リン
化合物を金属表面に吸着させることに優れている。ま
た、ベンゾトリアゾールに比べて融点が低いため、基油
への溶解性に優れている。
【0035】従って、本発明において好適に用いられる
ベンゾトリアゾール誘導体の具体例としては、一般式
(4)を満たすものであれば特に限定されるものではな
いが、1−〔N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミ
ノメチル〕ベンゾトリアゾール、1−〔N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル〕ベンゾトリア
ゾール、1−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)ベ
ンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ル、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−
(1’,2’−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾー
ル、1−ジオクチルアミノメチル−4−メチルベンゾト
リアゾール、1−ジオクチルアミノメチル−5−メチル
ベンゾトリアゾール等が好適なものとして挙げられ、特
に好ましくは、1−〔N,N−ビス(2−エチルヘキシ
ル)アミノメチル〕ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチル−
4−メチルベンゾトリアゾール、及び1−ジオクチルア
ミノメチル−5−メチルベンゾトリアゾールである。な
お、本発明においては、上記ベンゾトリアゾール誘導体
は単独で用いてもよく、2種以上のベンゾトリアゾール
誘導体を用いてもよい。
【0036】本発明に用いられるベンゾトリアゾール誘
導体の製造方法は周知であり、また、多くのベンゾトリ
アゾール誘導体が市販されており、本発明ではこれらを
使用することができる。
【0037】3.エステルについて 本発明において、基油として用いられるエステルは、炭
素数2〜10の2〜6価の飽和脂肪族多価アルコール又
はその誘導体(成分−1)と、炭素数5〜24の直鎖又
は分岐鎖の脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体(成分
−2)とから得られるエステル(エステル−1)、及び
/又は動植物油脂又はその誘導体(エステル−2)であ
る。
【0038】1)エステル−1について 成分−1について 成分−1のアルコールの価数は2〜6価であり、好まし
くは2〜4価である。適切な粘度を有する観点から価数
は2以上が好ましく、必要以上の粘度を避ける観点から
6以下が好ましい。また、その炭素数は2〜10であ
り、好ましくは3〜6である。適切な粘度を有する観点
から炭素数は2以上が好ましく、必要以上の粘度を避け
る観点から10以下が好ましい。また耐熱性の面から不
飽和の結合を含まない方が好ましい。また、成分−1の
アルコールの誘導体としては、上記アルコールにアルキ
レンオキシドを付加したものが挙げられ、付加の程度は
アルコール分子中の水酸基1個あたりアルキレンオキシ
ド1〜10分子が好ましい。また、2〜6価のアルコー
ルの水酸基のうち少なくとも1個の水酸基にアルキレン
オキシドが付加していれば良い。必要以上の粘度を避け
る観点及び耐熱性の観点から付加の程度はアルコール分
子中の水酸基1個あたりアルキレンオキシド10分子以
下が好ましい。
【0039】成分−1のアルコール又はその誘導体の具
体例としては、ネオペンチルグリコール、トリメチロー
ルエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリスリ
トール等のヒンダードアルコール、並びに、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソル
ビトール、及びマンニトール等の多価アルコール、及び
これらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。アル
キレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられ、単独で使
用しても2種以上で使用しても良い。これらの中で、耐
熱性の面からヒンダードアルコールが特に優れている。
【0040】 成分−2について 成分−2のカルボン酸の炭素数は5〜24であり、好ま
しくは8〜22である。金属に対する腐食性を抑える観
点から炭素数は5以上が好ましく、粘度の面から24以
下が好ましい。耐加水分解性や低温流動性の観点から
は、直鎖脂肪酸よりも分岐鎖脂肪酸の方が好ましい。反
面、粘度指数の観点からは、分岐鎖脂肪酸より直鎖脂肪
酸の方が好ましい。また、耐熱性の面からは、不飽和結
合を含まない方がより好ましい。
【0041】成分−2のカルボン酸の具体例としては、
カプリン酸、バレリン酸、イソバレリン酸、2−メチル
酪酸、カプロン酸、エナント酸、2−エチルペンタン
酸、2−メチルヘキサン酸、カプリル酸、2−エチルヘ
キサン酸、ペラルゴン酸、3,5,5−トリメチルヘキ
サン酸、イソデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステア
リン酸、オレイン酸、エルカ酸、エルシン酸等が挙げら
れる。また、成分−2のカルボン酸誘導体の具体例とし
ては、これらのカルボン酸の炭素数1〜4の低級アルコ
ールのエステル、例えばメチルエステル、エチルエステ
ル、及び酸無水物等が挙げられる。
【0042】かかるエステル−1の具体例としては、ネ
オペンチルグリコールの2−エチルヘキサン酸エステ
ル、トリメチロールプロパンの3,5,5−トリメチル
ヘキサン酸エステル、トリメチロールプロパンのカプリ
ル酸/カプリン酸/ラウリン酸混合脂肪酸エステル、ト
リメチロールプロパンの2−エチルヘキサン酸エステ
ル、トリメチロールプロパンのオレイン酸エステル、ペ
ンタエリスリトールのエナント酸/カプリル酸/iso
−C8 酸混合脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの
2−エチルヘキサン酸/カプリル酸/カプリン酸混合脂
肪酸エステル、ペンタエリスリトールの2−エチルヘキ
サン酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸混合脂肪酸
エステル、ペンタエリスリトールのオレイン酸エステ
ル、グリセリンの2−エチルヘキサン酸エステル等が挙
げられる。
【0043】本発明に用いられるエステル−1は、成分
−1のアルコール又はその誘導体の1種以上と、成分−
2のカルボン酸又はその誘導体の1種以上とから、通常
行われる公知のエステル化反応やエステル交換反応によ
り得ることができる。
【0044】2)エステル−2について 動植物油脂の具体例としては、大豆油、菜種油、サフラ
ワー油、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛
脂等が挙げられる。動植物油脂の誘導体としては、上記
動植物油脂に多価アルコールを加え、アルキレンオキシ
ドを所定量付加したもの等が挙げられる。本発明に用い
られるエステル−2の動植物油脂の誘導体としては、油
脂、多価アルコール及びアルキレンオキシドを所定量混
合した状態でアルキレンオキシドの付加反応とエステル
交換反応を行うことによって得られる誘導体が挙げられ
る。多価アルコールとしては、エチレングリコールやエ
ステル−1の成分−1で挙げたものが挙げられる。アル
キレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。多価ア
ルコールやアルキレンオキシドは、それぞれ単独で使用
しても2種以上で使用してもよい。
【0045】油脂誘導体の製造は、例えば油脂と多価ア
ルコールの混合物に、アルカリ性物質(水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキサイド等)、脂
肪酸石鹸等の触媒を所定量加え、これに50〜200
℃、1〜5Kg/cm2 の温度、圧力条件でアルキレンオキ
シドを反応させること等によって行われる。なお、アル
カリ性触媒を用いた場合は、反応終了後に適当な酸によ
る中和処理あるいは吸着剤による吸着処理等を適宜行っ
てもよい。
【0046】このようにして得られた生成物(油脂誘導
体)は、単一な組成ではなく、一般式(5)〜一般式
(7)で示される多様な組成を含む混合物となる。なぜ
なら、多価アルコール及び中間生成物などの化合物への
アルキレンオキシドの付加反応の進行に伴い、これらの
中間生成物と油脂のグリセリンエステルとの間でエステ
ル交換反応を起こすからである。
【0047】一般式(5)は多価アルコールのアルキレ
ンオキシド付加およびそれと油脂とのエステル交換によ
り得られる化合物の構造を示す。なお、多価アルコール
がグリセリンの場合、一般式(5)と(7)は同一内容
となる。
【0048】
【化10】
【0049】(式中、R11は多価アルコールから水酸基
を除いた炭化水素基、AOはアルキレンオキシド、nは
多価アルコールの水酸基数を表す。a1、a2、・・・
anはそれぞれ独立に0又は正の整数であり、a1+a
2+・・anは1〜150である。X1、X2、・・X
nは水素原子またはR’CO−基(R’は油脂由来のア
ルキル基)、かつ、X1、X2、・・Xnのうち少なく
とも1つがR’CO−基である。)
【0050】一般式(6)は、中間生成物の一つである
アルキレンオキシドの自己重合体と油脂とのエステル交
換体の構造を示す。 Z−O−(AO)c−Z (6) (式中、AOはアルキレンオキシドを表し、c>1、Z
は水素原子またはR’CO−基(R’は油脂由来のアル
キル基)で少なくとも1つはR’CO−基である。) 一般式(7)は、油脂と多価アルコールのアルキレンオ
キシド付加物とのエステル交換反応により得られるグリ
セリン誘導体の遊離の水酸基へのアルキレンオキシドの
付加反応、及びグリセリン誘導体のアルキレンオキシド
付加物と反応混合液中に存在する他の化合物とのエステ
ル交換反応などにより得られる化合物の構造を示したも
のである。
【0051】
【化11】
【0052】(式中、AOはアルキレンオキシド、a
1、a2、a3はそれぞれ独立に0または正の整数、か
つ、a1+a2+a3が1〜150である。X1
2 、X3 はそれぞれ独立に水素原子またはR’CO−
基(R’は油脂由来のアルキル基)、かつX1 、X2
3 のうち少なくとも1つはR’CO−基である。)
【0053】反応に用いる多価アルコールは、油脂中の
グリセリン部1モルに対して0.01〜20モルが好ま
しく、0.1〜10モルがより好ましい。なぜなら、多
価アルコールが0.01モル未満のときはアルキレンオ
キシド付加物がほとんど生成しないためエステル交換反
応が十分に起こらない場合がある。20モル以上用いる
と一般式(5)のモノエステル体の割合が増加して、遊
離の水酸基が多く存在するため、他の油溶性添加剤およ
び潤滑油基油を併用する際の相溶性に問題が生じる場合
がある。
【0054】本発明において用いられる、上記のように
して得られるエステルの酸価は特に限定されないが、金
属材料の腐食、耐摩耗性の低下、熱安定性の低下、及び
電気絶縁性の低下を抑制する観点から1mgKOH/g
以下が好ましく、0.2mgKOH/g以下がより好ま
しく、0.1mgKOH/g以下がさらに好ましく、
0.05mgKOH/g以下が特に好ましい。
【0055】本発明に用いられるエステルの水酸基価は
特に限定されないが、0.1〜50mgKOH/gが好
ましく、0.1〜30mgKOH/gがより好ましく、
0.1〜20mgKOH/gが特に好ましい。耐摩耗性
の観点から0.1mgKOH/g以上が好ましく、吸湿
性の観点から50mgKOH/g以下が好ましい。
【0056】4.潤滑油組成物について 本発明の潤滑油組成物は、前記のようなリン化合物、ベ
ンゾトリアゾール誘導体、及び潤滑油基油としてのエス
テルを含有してなるものである。
【0057】本発明の潤滑油組成物において、エステ
ル、リン化合物及びベンゾトリアゾール誘導体の量的な
関係は、少なくとも本発明の潤滑油組成物が金属表面に
接触している間に摩耗を抑制するのに十分な量であれば
特に限定されるものではないが、好ましくはエステル1
00重量部に対し、リン化合物が0.03〜5.0重量
部、及びベンゾトリアゾール誘導体が0.001〜5.
0重量部である。リン化合物の配合量は、より好ましく
は0.05〜3.0重量部であり、特に好ましくは0.
1〜2.0重量部、さらに好ましくは0.3〜1.0重
量部である。所望の摩耗抑制効果を得る観点から、当該
配合量は0.03重量部以上が好ましく、エステルの熱
安定性の観点から5.0重量部以下が好ましい。また、
5.0重量部を超える量を配合しても摩耗抑制効果は頭
打ちとなり経済的に不利となる。
【0058】ベンゾトリアゾール誘導体の配合量は、よ
り好ましくは0.003〜1.5重量部であり、特に好
ましくは0.005〜0.5重量部であり、さらに好ま
しくは0.005〜0.05重量部である。所望の摩耗
抑制効果を得る観点から、当該配合量は0.001重量
部以上が好ましく、エステルの熱安定性の観点から5.
0重量部以下が好ましい。
【0059】また、リン化合物とベンゾトリアゾール誘
導体の配合比率は特に限定されないが、リン化合物1モ
ルに対しベンゾトリアゾール誘導体が0.001〜2.
0モルである。リン化合物とベンゾトリアゾール誘導体
の配合比率は、より好ましくはリン化合物1モルに対し
ベンゾトリアゾール誘導体が0.005〜1.0モルで
あり、特に好ましくは0.01〜0.5モルであり、さ
らに好ましくは0.01〜0.2モルである。相乗効果
による潤滑性向上効果を発揮させる観点から、リン化合
物とベンゾトリアゾール誘導体の比率は0.001以上
が好ましく、ベンゾトリアゾール誘導体の比率が高くな
ることによる潤滑性の悪化を抑える観点から、2.0以
下が好ましい。
【0060】更に、本発明の潤滑油組成物においては、
その性能を向上させる目的で、公知の各種添加剤を使用
できる。これらの添加剤としては塩基性カルシウムスル
フォネート、塩基性カルシウムフェネート、塩基性カル
シウムサリシレート等の金属系清浄剤、アルケニルコハ
ク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアルケニルアミン等
の清浄分散剤、ポリメタクリレート、オレフィン共重合
物等の粘度指数向上剤、流動点降下剤、酸化防止剤、錆
止め剤、消泡剤等が挙げられる。具体例は桜井俊夫著
「石油製品添加剤(幸書房)」に例示されている。これ
らの各種添加剤は単独で添加しても、数種類併用添加し
てもかまわない。これらの添加量は任意であるが、通
常、潤滑油組成物100重量部に対して30重量部以
下、好ましくは15重量部以下である。
【0061】本発明の潤滑油組成物は、耐摩耗性に優れ
ていることから、特に、油圧作動油、グリース油、チェ
ーンソー油、2−サイクルエンジン油用途に適している
が、その他に4−サイクルエンジン油、ギヤ油等にも使
用可能である。これらの中でも本発明の潤滑油基油は、
環境への影響がより深刻である建設機械等に使用され、
且つ高い熱酸化安定性が要求される油圧作動油およびグ
リース油用途に特に好適に用いられる。
【0062】特定のエステルを基油として、リン化合物
及びベンゾトリアゾール誘導体を組み合わせた本発明の
潤滑油組成物は、優れた耐摩耗性を有する。この理由は
以下のように推定される。リン化合物は潤滑性及び耐摩
耗性を付与するために基油に添加される。基油が鉱物油
の場合、添加による効果を充分に示すが、エステルのよ
うに極性が高い場合、金属表面に吸着し難くなるため、
その効果が充分発揮されない。金属表面に対する吸着に
関与する因子として、吸着する分子の極性と基油に対す
る溶解性とが考えられる。即ち、吸着する分子の極性が
高いほど吸着しやすく、基油に対する溶解性が高いほど
基油の中で安定に存在し、金属表面に吸着し難くなると
考えられる。本発明に使用されるベンゾトリアゾール誘
導体は、ベンゾトリアゾール骨格に窒素原子や酸素原子
を含有する基を導入することでベンゾトリアゾールより
も金属表面に対する吸着力が強い。また本発明に使用さ
れる、特定の構造を有するエステルは、リン化合物やベ
ンゾトリアゾール誘導体に対して良好な溶解力を有す
る。
【0063】一方、リン化合物とベンゾトリアゾール誘
導体との相互作用は、リン化合物のアリール基とベンゾ
トリアゾール誘導体の芳香環を介し、互いの分子が近づ
くものと考えられる。本発明の潤滑油組成物は、ベンゾ
トリアゾール誘導体の窒素原子や酸素原子を含有する基
が極性が高いことにより金属表面に吸着し、リン化合物
は、ベンゾトリアゾール誘導体との相互作用により、金
属表面に近づくことが可能となり、このように優れた耐
摩耗性を有するものと考えられる。これらのことから、
鉱物油の場合にはベンゾトリアゾールであってもベンゾ
トリアゾール誘導体であっても耐摩耗性に差はないもの
と考えられるが、本発明のように極性の高いエステルを
用いる場合には、ベンゾトリアゾール誘導体に導入され
た窒素原子や酸素原子を含有する基が重要な役割を果た
しているものと推定される。
【0064】
【実施例】以下、 実施例及び比較例により本発明をより
詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定
されるものではない。実施例等に用いるリン化合物、ベ
ンゾトリアゾール誘導体、及び基油を下記に示す。 リン化合物 i:トリクレジルフォスフェート リン化合物 ii:トリフェニルフォスフェート リン化合物 iii:トリクレジルフォスファイト リン化合物 iv:トリフェニルフォスファイト リン化合物 v:クレジルジフェニルフォスフェート リン化合物 vi:ジフェニルハイドロジェンフォスフ
ァイト リン化合物 vii:2−エチルヘキシルジフェニルフォ
スフェート リン化合物 viii:2−エチルヘキシルフォスフォン酸
ジフェニル
【0065】ベンゾトリアゾール誘導体a:1−〔N,
N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル〕ベンゾ
トリアゾール ベンゾトリアゾール誘導体b:1−〔N,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)アミノメチル〕ベンゾトリアゾー
ル ベンゾトリアゾール誘導体c:1−(2’,3’−ジヒ
ドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール ベンゾトリアゾール誘導体d:1−ヒドロキシベンゾト
リアゾール ベンゾトリアゾール誘導体e:1−ジオクチルアミノメ
チル−4−メチルベンゾトリアゾール及び1−ジオクチ
ルアミノメチル−5−メチルベンゾトリアゾールとの等
量(v/v)混合物
【0066】基油A:トリメチロールプロパン(1.0
モル)とカプリル酸(2.02モル)、カプリン酸
(0.82モル)及びラウリン酸(0.16モル)のエ
ステル 40℃における粘度(以下、Vis 40と略記する)2
0.0mm2 /s 100℃における粘度(以下、Vis 100と略記する)
4.5mm2 /s 酸価0.02mgKOH/g 水酸基価2.6mgKOH/g 基油B:ペンタエリスリトール(1.0モル)とエナン
ト酸(0.99モル)、セカノイックC8酸(エクソン
社製の分岐C8 混合酸)(1.64モル)及びカプリル
酸(1.37モル)のエステル Vis 40 :31.0mm2 /s Vis 100: 5.7mm2 /s 酸価0.03mgKOH/g 水酸基価1.8mgKOH/g 基油C:ペンタエリスリトール(1.0モル)と2−エ
チルヘキサン酸(1.47モル)、カプリル酸(1.4
7モル)及びカプリン酸(1.06モル)のエステル Vis 40 :33.2mm2 /s Vis 100: 6.0mm2 /s 酸価0.03mgKOH/g 水酸基価2.5mgKOH/g
【0067】基油D: 菜種油(日華油脂(株)製) Vis 40 :35.0mm2 /s Vis 100: 8.1mm2 /s 酸価0.1mgKOH/g 水酸基価2.6mgKOH/g 基油E:菜種油(1.0モル)をグリセリン(0.3モ
ル)及びエチレンオキシド(16モル)でエステル交換
反応及び付加反応により変性した油脂誘導体 Vis 40 :77.6mm2 /s Vis 100:14.3mm2 /s 酸価0.5mgKOH/g 水酸基価38mgKOH/g 基油F:ヤシ油(1.0モル)をグリセリン(0.3モ
ル)及びプロピレンオキシド(16モル)でエステル交
換反応及び付加反応により変性した油脂誘導体 Vis 40 :55.0mm2 /s Vis 100:10.2mm2 /s 酸価0.7mgKOH/g 水酸基価46mgKOH/g
【0068】基油G:ヤシ油(1.0モル)をエチレン
グリコール(0.45モル)、エチレンオキシド(3.
1モル)及びプロピレンオキシド(12.4モル)でエ
ステル交換反応及び付加反応により変性した油脂誘導体 Vis 40 :46.5mm2 /s Vis 100: 9.2mm2 /s 酸価0.6mgKOH/g 水酸基価44mgKOH/g 基油H: 鉱物油(スーパーオイルA、日本石油(株)製) Vis 40 :30.5mm2 /s Vis 100: 5.3mm2 /s なお、上記基油の粘度はJIS K-2283に基づいて測定し
た。また、酸価及び水酸基価はJIS K-2501に基づいて測
定した。
【0069】実施例1及び比較例1 潤滑油組成物の耐摩耗性を調べるために、ASTM D 4172
に準じたシェル式四球試験を行った。ここで、鋼球の摩
耗痕径は、30kgの荷重をかけ、1200rpmで3
0分間試験を行った後に測定した。結果は試験用鋼球の
摩耗痕の直径を計測し、平均摩耗痕径として求めた。結
果を表1及び表2に示す。
【0070】実施例2及び比較例2 潤滑油組成物の耐摩耗性を調べるために、ASTM D 2882
に準じたベーンポンプ試験を行った。即ち、潤滑油組成
物50Lをタンクに入れ、ビッカース104Cのポンプ
を用い、1200rpm、圧力140kgf/cm2
吐出量25L/分、油温60℃で100時間試験を行っ
た後、ベーンとリングの摩耗量を測定した。結果を表3
に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】表1〜表3に示す結果から、本発明におけ
るリン化合物とベンゾトリアゾール誘導体を極性の高い
基油に添加することは、耐摩耗性に大変効果があること
が分かる。即ち、比較例1の番号1〜3及び比較例2の
番号2、3に対し、リン化合物のみを添加した比較例1
の番号4〜7及び比較例2の番号4、5、7は耐摩耗性
の改善が不充分であり、また、ベンゾトリアゾール誘導
体のみを添加した比較例1の番号8においても、その効
果は不充分である。比較例1の番号9〜11及び比較例
2の番号9、10でリン化合物とベンゾトリアゾールを
併用したが、効果が無かった。また、鉱物油を基油とし
た比較例1の番号12、13及び比較例2の番号12、
16の結果からリン化合物は極性の低い鉱物油では単独
でも効果を示しているがエステルのように極性の高い基
油では効果を示さないことが分かる。
【0075】比較例1及び比較例2の番号14及び15
から分かるように、極性の低い鉱物油中ではリン化合物
とベンゾトリアゾールの組み合わせと、リン化合物とベ
ンゾトリアゾール誘導体の組み合わせは同程度の効果を
示したが、実施例1の番号4、5、11、14及び16
と比較例1の番号9〜11から分かるように、極性の高
い基油中ではリン化合物とベンゾトリアゾールの組み合
わせは効果がほとんど無く、リン化合物とベンゾトリア
ゾール誘導体の組み合わせの効果と比較して顕著に差が
あることが分かる。比較例2の番号17に一般に使用さ
れている耐摩耗剤としてZnDTP(ジ−2−エチルヘ
キシルジチオリン酸亜鉛)の結果を示した。本発明のリ
ン化合物及びベンゾトリアゾール誘導体の組み合わせ
は、ZnDTPを用いた例よりもさらに優れた耐摩耗性
を示す。本発明において極性の高いエステルに対してベ
ンゾトリアゾールを用いた場合、比較例2の番号9、1
0に示すように耐摩耗性は極めて弱いが、実施例2の番
号5、11に示すようにベンゾトリアゾール誘導体での
効果は顕著に高いものである。以上のことから、リン化
合物とベンゾトリアゾール誘導体とを併用した本発明
は、極性の高い基油で使用した場合、耐摩耗性に驚くほ
どの効果を示すことが分かる。この知見は、特開平7−
126680号公報の記載からは予測されない意外な発
見である。
【0076】
【発明の効果】本発明により、特に極性が高い特定構造
を有するエステルを基油として用いた場合にも耐摩耗性
に優れた潤滑油組成物を提供することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 133:44 105:38 101:04) C10N 30:06 40:08 40:26 40:32 50:10 (72)発明者 萩原 敏也 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)一般式(1)、(2)又は(3) 【化1】 (式中、R1 〜R5 及びR7 〜R9 は同一であっても又
    は異なっていても良く、炭素数6〜18のアリール基、
    炭素数1〜18の直鎖アルキル基、炭素数3〜18の分
    岐鎖アルキル基、炭素数2〜18の直鎖アルケニル基、
    又は炭素数3〜18の分岐鎖アルケニル基を表す。ただ
    し、R1 〜R3 のうち少なくとも1つは炭素数6〜18
    のアリール基であり、R4 、R5 のうち少なくとも1つ
    は炭素数6〜18のアリール基であり、そしてR7 〜R
    9 のうち少なくとも1つは炭素数6〜18のアリール基
    である。R6 は水素原子、炭素数1〜18の直鎖アルキ
    ル基、炭素数3〜18の分岐鎖アルキル基、炭素数2〜
    18の直鎖アルケニル基、又は炭素数3〜18の分岐鎖
    アルケニル基を表す。)で表される化合物からなる群よ
    り選ばれる1種以上のリン化合物、(ロ)一般式(4) 【化2】 (式中、R10は窒素原子及び/又は酸素原子を含有する
    炭素数0〜20の基を表し、Xは水素原子又はメチル基
    を表す。)で表されるベンゾトリアゾール誘導体、並び
    に、(ハ)(a)炭素数2〜10の2〜6価の飽和脂肪
    族多価アルコール又はそのアルキレンオキシド付加物
    と、炭素数5〜24の直鎖又は分岐鎖の脂肪族モノカル
    ボン酸又はその誘導体とから得られるエステル、(b)
    動植物油脂、及び(c)動植物油脂の誘導体、からなる
    群より選ばれる1種以上の基油として用いるエステル、
    を含有することを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】 一般式(4)で表されるベンゾトリアゾ
    ール誘導体において、R10がヒドロキシル基又はアミノ
    基を表すか、あるいはヒドロキシル基及び/又はアミノ
    基を含有する基である請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 一般式(4)で表されるベンゾトリアゾ
    ール誘導体において、R10が 【化3】 である請求項1又は2記載の潤滑油組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(1)〜(3)で表されるリン化
    合物において、R1〜R3 のうち少なくとも1つ、
    4 、R5 のうち少なくとも1つ、及びR7 〜R9 のう
    ち少なくとも1つがフェニル基、クレジル基、キシレニ
    ル基のいずれかである請求項1〜3いずれか記載の潤滑
    油組成物。
  5. 【請求項5】 リン化合物が、トリクレジルフォスフェ
    ート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォ
    スファイト、及びトリフェニルフォスファイトからなる
    群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1〜4い
    ずれか記載の潤滑油組成物。
  6. 【請求項6】 エステル100重量部に対し、リン化合
    物を0.03〜5.0重量部、及びベンゾトリアゾール
    誘導体を0.001〜5.0重量部配合させてなる請求
    項1〜5いずれか記載の潤滑油組成物。
  7. 【請求項7】 リン化合物とベンゾトリアゾール誘導体
    との比率が、リン化合物1モルに対してベンゾトリアゾ
    ール誘導体が0.001〜2.0モルである請求項1〜
    6いずれか記載の潤滑油組成物。
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