以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る塑性加工用潤滑油組成物は、鉱油、合成油及び油脂から選ばれる少なくとも1種の基油と、パーフルオロアルキル基を有する化合物と、油性剤とを含有する。
(基油)
基油としては、鉱油、合成油及び油脂からなる群から選ばれる1種以上であれば、その種類に制限はないが、鉱油及び/又は合成油が特に好ましい。
前記鉱油としては、例えば、パラフィン系又はナフテン系の原油の蒸留により得られる灯油留分;灯油留分からの抽出操作等により得られるノルマルパラフィン;及びパラフィン系又はナフテン系の原油の蒸留により得られる潤滑油留分、あるいは潤滑油脱ろう工程により得られる、スラックワックス等のワックス及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる、フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等の合成ワックスを原料とし、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を1つ又は2つ以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油が挙げられる。
鉱油中の芳香族分の割合は特に制限されないが、作業環境を重視するのであれば、鉱油全量を基準として、好ましくは30容量%以下、より好ましくは20容量%以下であり、さらに好ましくは10容量%以下である。芳香族分が30容量%を超えると臭気や皮膚刺激性が強くなり作業環境を悪化させるため好ましくない。
ここで、芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
鉱油中のナフテン分の割合は特に制限されないが、鉱油全量を基準として、10容量%以上であることが好ましく、より好ましくは15容量%以上、更に好ましくは20容量%以上、更により好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。ナフテン分を10容量%以上とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性や加工性が良好となる。一方、ナフテン分の割合は、鉱油全量を基準として、90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは75容量%以下、最も好ましくは70容量%以下である。ナフテン分を90容量%以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。
鉱油中のパラフィン分の割合は、鉱油全量を基準として、5容量%以上であることが好ましく、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは20容量%以上である。パラフィン分を5容量%以上とすることにより、油剤の臭気を防止することができる。一方、パラフィン分の割合は、鉱油全量を基準として、90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは70容量%以下である。パラフィン分を90容量%以下とすることにより、加工時における凝着発生防止効果を向上させることができる。
ここで、ナフテン分及びパラフィン分とは、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定するものである。以下にその測定法を具体的に示す。
(1)径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
(2)n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
(3)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(5)溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(6)飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
測定条件は、加速電圧:3.0kV、カソード電圧:−5〜−6kV、分解能:約500、エミッター:カーボン、エミッター電流:5mA、測定範囲:質量数35〜700、補助オーブン温度:300℃、セパレータ温度:300℃、主要オーブン温度:350℃、試料注入量:1μl。
上記質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(CnH2n+2)とナフテン類(CnH2n、CnH2n−2、CnH2n−4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
鉱油の初留点は、150℃以上であることが好ましく、より好ましくは155℃以上、更に好ましくは160℃以上である。鉱油の初留点を150℃以上とすることにより、室温での油剤の揮発を十分に防止することができる。一方、鉱油の終点は480℃以下であることが好ましく、より好ましくは470℃以下、更に好ましくは450℃以下である。鉱油の終点を480℃以下とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性を良好にすることができる。また、鉱油の初留点と終点の温度差は100℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。かかる温度差を100℃以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立させることができる。ここで、初留点及び終点とは、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定された値を意味する。
合成油としては、例えば、プロピレンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等のオレフィンオリゴマー又はその水素化物;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;ポリグリコール;シリコーン油;ジアルキルジフェニルエーテル又はポリフェニルエーテルが挙げられる。これらの中で、プロピレンオリゴマー水素化物、イソブチレンオリゴマー水素化物及びポリブテン水素化物は総称してイソパラフィンと呼ばれている。中でもプロピレンオリゴマー及び/又はイソブチレンオリゴマーが好ましく用いられる。
油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、これらの水素添加物あるいはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本実施形態に係る基油の40℃における動粘度は、基油の最適粘度は使用目的によって異なるが、通常、1.0〜50mm2/s、好ましくは1.2〜40mm2/s、さらに好ましくは1.4〜35mm2/sの範囲である。粘度が低すぎると潤滑性低下、高すぎると加工部への油剤の供給に問題を生ずる可能性がある。
さらに、本実施形態に係る潤滑油組成物をアルミニウム圧延に用いる場合、基油の40℃における動粘度は、通常1.0〜10mm2/s、好ましくは1.2〜8.0mm2/s、より好ましくは1.4〜6.0mm2/sの範囲である。また、本実施形態に係る潤滑油組成物をアルミニウム以外の金属の圧延に用いる場合、基油の40℃における動粘度は2.0〜50mm2/s、好ましくは2.5〜40mm2/s、より好ましくは3.0〜30mm2/sの範囲である。圧延以外の金属加工に使用される場合の最適な基油の40℃における動粘度は6.0〜500mm2/s、好ましくは8.0〜300mm2/s、より好ましくは10〜250mm2/sの範囲である。基油の40℃における動粘度が上記の下限値未満であると、引火による火災等の危険性が増すおそれがある。一方、当該動粘度が上記の上限値を超えると、焼鈍後にステインと呼ばれる潤滑油成分の焼き付きが生じ易くなり、また被加工材表面にオイルピットと呼ばれる表面損傷が発生することによる表面光沢の悪化、過潤滑によるスリップ、摩耗粉発生量の増加、被加工材表面の傷つき、スリップが著しい場合には加工不能、をもたらすおそれがある。
本実施形態に係る潤滑油組成物において、基油の配合割合は、潤滑油組成物全量を基準として、通常50質量%以上、好ましくは60〜99.99質量%である。
(パーフルオロアルキル基を有する化合物)
パーフルオロアルキル基を有する化合物において、パーフルオロアルキル基は、直鎖でも分岐でもよいが直鎖が好ましく、飽和でも不飽和でもよく、炭素数1以上18以下、好ましくは1以上12以下、より好ましくは1以上6以下、もっとも好ましくは1以上4以下である。炭素数が19以上であると分解性に劣るため外部に放出された際に環境負荷となり得るため好ましくない。
パーフルオロアルキル基を有する化合物としては、パーフルオロアルキルスルホンアミド、パーフルオロアルキルのアルキレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルアミン、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、及びこれらの塩や誘導体が挙げられる。
※ R1,アルケニル基のC2〜の訂正
パーフルオロアルキルスルホンアミドとしては、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が好ましい。
[式(1)中、R1は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルケニル基を示し、Aは炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基を示し、Bは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルカノール基、炭素数6〜18のアリール基、又は一般式(2):
(式(2)中、R2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基を示し、R3は炭素数1〜12のアルキレン基又は炭素数2〜12のアルケニレン基を示す。)
で示される基を示す。]
Aは直鎖でも分岐でもよいが直鎖が好ましく、飽和でも不飽和でもよいが飽和が好ましく、炭素数1以上18以下、好ましくは1以上12以下、より好ましくは1以上6以下、もっとも好ましくは1以上4以下である。炭素数が19以上であると分解性に劣るため外部に放出された際に環境負荷となり得るため好ましくない。Bは好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは3〜8、もっとも好ましくは4〜6であり、直鎖でも分岐でも良く、飽和でも不飽和でも良い。R1は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、より好ましくは1〜6、もっとも好ましくは1〜4であり、直鎖でも分岐でも良く、飽和でも不飽和でも良い。R2は、油剤組成物として用いる場合は、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基が好ましく、8〜18のアルキル基、アルケニル基がより好ましく、12〜18のアルキル基、アルケニル基がもっとも好ましい。アルキル基、アルケニル基は直鎖でも分岐でも良いが、分岐が好ましい。加工液組成物として用いる場合は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、1〜4のアルキル基、2〜4のアルケニル基がより好ましく、2〜3のアルケニル基がもっとも好ましい。アルキル基、アルケニル基は直鎖でも分岐でも良く、飽和でも不飽和でも良い。R3は炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。
パーフルオロアルキルスルホンアミドは、1級アミド、2級アミド、3級アミドのいずれでもよいが、3級アミドが好ましい。
パーフルオロアルキルのアルキレンオキサイド付加物としては、下記一般式(6)で表される化合物が好適である。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられ、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は1以上20以下、好ましくは1以上12以下、より好ましくは1以上8以下、もっとも好ましくは1以上6以下である。単一のアルキレンオキサイドの付加物でも良く、複数のアルキレンオキサイドが混ざった付加物でも良い。この場合、アルキレンオキサイド重合部分はブロック重合体でもランダム重合体でも良いが、ランダム重合体が好ましい。
R4−O−(R5O)a−A (3)
[式(3)中、Aは炭素数1〜18のパーフルオロアルキルを示し、R4は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアシル基を示し、R5は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、aは1〜20の整数を示す。]
パーフルオロアルキルアミンとしては、下記一般式(4)で表される化合物が好適である。窒素に結合したパーフルオロアルキル基の数は1〜3個のいずれでも良いが、好ましくは1個である。また、窒素に結合した3−b個のR6は水素原子を含んでも含まなくてもよいが、1個が水素原子であることが好ましい。さらに、当該化合物が有し得る水素原子以外のR6としては、アルキル基、アルカノール基が好ましい。なお、R6で示されるアルキル基及びアルカノール基は、それぞれ直鎖でも分岐でもよく、飽和でも不飽和でも良い。
(R6)(3−b)−N−Ab (4)
[式(4)中、Aは炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基を示し、R6は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルカノール基又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアルキルアリール基、炭素数6〜12のシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアルキルシクロアルキル基を示し、bは1〜3の整数を示す。]
パーフルオロアルキルスルホン酸は、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸である。また、その塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩などが挙げられる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、アルカリ土類としてはマグネシウム、カルシウム、バリウムが用いられる。なかでもナトリウム、カリウムが好ましい。アミンとしてはモノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
モノアミンとしては、炭素数1〜22のアルキル基を1〜3個有するアルキルアミン、炭素数2〜23のアルケニル基を有するアルケニルアミン、メチル基を2個と炭素数2〜23のアルケニル基1個を有するモノアミン、芳香族置換アルキルアミン、炭素数5〜16のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアミン、メチル基2個とシクロアルキル基を有するモノアミン、メチル基及び/又はエチル基が置換したシクロアルキル基を有するアルキルシクロアルキルアミンが挙げられる。ここでいうモノアミンには、油脂から誘導される牛脂アミン等のモノアミンも含まれる。
ポリアミンとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を1〜5個有するアルキレンポリアミン、炭素数1〜23のアルキル基を有するN−アルキルエチレンジアミン、炭素数2〜23のアルケニル基を有するN−アルケニルエチレンジアミン、N−アルキル又はN−アルケニルアルキレンポリアミンが挙げられる。ここでいうポリアミンには油脂から誘導されるポリアミン(牛脂ポリアミン等)も含まれる。
アルカノールアミンとしては、炭素数1〜16のアルコールのモノ、ジ、トリアルカノールアミンが挙げられる。
スルホン酸塩を構成するスルホン酸は、常法によって製造された公知のものを使用することができる。具体的には、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に副生するいわゆるマホガニー酸等の石油スルホン酸、あるいは洗剤等の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生するポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したものやジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等の合成スルホン酸等、が挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸は、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基にカルボキシル基が結合した化合物である。また、その塩の具体例としては、パーフルオロスルホン酸の塩の場合と同様の塩が挙げられる。
上記のパーフルオロアルキル基を有する化合物の含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.08〜2質量%、もっとも好ましくは0.10〜1質量%である。5質量%を超えると摩擦係数が上昇し加工性に悪影響を及ぼす可能性がある。0.01質量%よりも少ないと効果が得られにくい。
(油性剤)
油性剤としては、例えば、(B1)エステル、(B2)一価アルコール及び(B3)カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の油性剤を使用することが好ましい。なお、油性剤としては、通常潤滑油の油性剤として用いられているものも含まれる。
(B1)エステル(以下、「(B1)成分」ということもある。)は、アルコールとカルボン酸とを反応させることにより得られる。アルコールとしては、一価アルコールでも多価アルコールでもよい。また、カルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。
(B1)成分を構成する一価アルコールとしては、通常炭素数1〜26、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8、最も好ましくは1〜6の一価アルコールが用いられる。このようなアルコールは、直鎖状のものでも分枝状のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。
炭素数1〜26の一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、直鎖又は分枝のプロパノール、直鎖又は分枝のブタノール、直鎖又は分枝のペンタノール、直鎖又は分枝のヘキサノール、直鎖又は分枝のヘプタノール、直鎖又は分枝のオクタノール、直鎖又は分枝のノナノール、直鎖又は分枝のデカノール、直鎖又は分枝のウンデカノール、直鎖又は分枝のドデカノール、直鎖又は分枝のトリデカノール、直鎖又は分枝のテトラデカノール、直鎖又は分枝のペンタデカノール、直鎖又は分枝のヘキサデカノール、直鎖又は分枝のヘプタデカノール、直鎖又は分枝のオクタデカノール、直鎖又は分枝のノナデカノール、直鎖又は分枝のエイコサノール、直鎖又は分枝のヘンエイコサノール、直鎖又は分枝のトリコサノール、直鎖又は分枝のテトラコサノール、オレイルアルコール又はこれらの混合物が挙げられる。
(B1)成分を構成する一塩基酸としては、通常炭素数6〜24を有する直鎖又は分枝の脂肪酸が挙げられる。また、一塩基酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又はこれらの混合物であってもよい。
飽和脂肪酸としては、例えば、直鎖又は分枝のへキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、例えば、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のエイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸が挙げられる。これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましい。
(B1)成分を構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸及びトリメリット酸が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸は、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸又はこれらの混合物であってもよい。
飽和二塩基酸としては、例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖又は分枝のブタン二酸、直鎖又は分枝のペンタン二酸、直鎖又は分枝のへキサン二酸、直鎖又は分枝のオクタン二酸、直鎖又は分枝のノナン二酸、直鎖又は分枝のデカン二酸、直鎖又は分枝のウンデカン二酸、直鎖又は分枝のドデカン二酸、直鎖又は分枝のトリデカン二酸、直鎖又は分枝のテトラデカン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデカン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン二酸が挙げられる。
不飽和二塩基酸としては、例えば、直鎖又は分枝のヘキセン二酸、直鎖又は分枝のオクテン二酸、直鎖又は分枝のノネン二酸、直鎖又は分枝のデセン二酸、直鎖又は分枝のウンデセン二酸、直鎖又は分枝のドデセン二酸、直鎖又は分枝のトリデセン二酸、直鎖又は分枝のテトラセン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデセン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン二酸が挙げられる。
(B1)成分のエステル油性剤としては、例えば、以下の(1b)〜(7b)成分が挙げられる。エステル油性剤としては、これらの例示成分のように、任意のアルコールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルが使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステル、
(2b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル、
(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステル、
(4b)多価アルコールと多塩基酸とのエステル、
(5b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、多塩基酸との混合エステル、
(6b)多価アルコールと、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル、
(7b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル。
なお、上記アルコール成分として多価アルコールを用いる場合には、エステルとして、多価アルコール中の水酸基が全てエステル化された完全エステルを意味する。また、上記カルボン酸成分として多塩基酸を用いる場合には、エステルとしては、多塩基酸中のカルボキシル基が全てエステル化された完全エステルでもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
(B1)成分のエステル油性剤としては、上記何れのものも使用可能であるが、加工性に優れる点から、(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステル及び(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステルが好ましい。特にアルミフィン加工及びアルミニウム圧延においては、(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステルがより好ましく、アルミニウム以外の金属の圧延においては、(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステルがより好ましく、(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステルと(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステルの併用が最も好ましい。
(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステルにおける合計炭素数は特に制限はないが、加工性の向上の点からエステルの合計炭素数は7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、エステルの合計炭素数は26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下が最も好ましい。前記一価アルコールの炭素数には特に制限はないが、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらにより好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。前記一塩基酸の炭素数には特に制限はないが、炭素数8〜22が好ましく、炭素数10〜20がより好ましく、炭素数12〜18が最も好ましい。前記合計炭素数、前記アルコールの炭素数及び前記一塩基酸の炭素数を前述のように設定することが好ましいのは、上限値に関してはステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる点、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる点及び基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなる点を考慮したものであり、下限値に関しては、潤滑性能の点及び臭気による作業環境悪化の点を考慮したものである。
(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステルの形態は特に制限されないが、式(5)で表されるジエステル、又はトリメリット酸のエステルであることが好ましい。特に銅、ステンレスに対しては炭素数が18以上26以下のジエステルの使用が好ましい。
R7−O−CO(CH2)cCO−O−R8 (5)
式(4)中、R1及びR2は互いに同一又は異なる基であって、炭素数3〜10の炭化水素基を示し、cは4〜8の整数を示す。
潤滑性能の向上効果が期待できなくなるおそれがある、臭気により作業環境が悪化するなどの点から、式(5)においてR7及びR8は炭素数3以上の炭化水素基であることが好ましい。また、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、式(5)においてR7及びR8は炭素数10以下の炭化水素基であることが好ましい。また、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、cは8以下の整数であることが好ましい。一方、潤滑性能の向上効果が期待できなくなるおそれがある、臭気により作業環境が悪化するなどの点から、cは4以上の整数であることが好ましい。このうち、原料の入手のしやすさ、及び価格の点からc=4又は6が特に好ましい。
式(5)のR7及びR8としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基が挙げられ、特にアルキル基が好ましい。このアルキル基には直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が含まれ、直鎖アルキル基と分岐アルキル基が混在していてもよいが、分岐アルキル基単独が好ましい。前記R1及びR2としては、例えば、直鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、直鎖又は分岐のペンチル基、直鎖又は分岐のヘキシル基、直鎖又は分岐のヘプチル基、直鎖又は分岐のオクチル基、直鎖又は分岐のノニル基、直鎖又は分岐のデシル基が挙げられる。
式(5)で表されるジエステルは任意の方法で得られるが、例えば、炭素数6〜10の直鎖飽和ジカルボン酸(炭素数6から順に、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸)又はその誘導体と、炭素数3〜10のアルコールとをエステル化させる方法が例示される。
トリメリット酸をエステル化する1価アルコールの炭素数は特に制限はないが、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。また、トリメリット酸のエステルは、部分エステル(モノエステル又はジエステル)でも完全エステル(トリエステル)でもよい。
(B2)一価アルコール(以下、「(B2)成分」ということもある。)としては、例えば、エステル油性剤の説明においてエステルを構成する一価アルコールとして例示した化合物が挙げられる。
一価アルコールの合計炭素数は、加工性により優れる点から6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、一価アルコールの合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい。
(B3)カルボン酸(以下、「(B3)成分」ということもある。)は、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。このようなカルボン酸としては、例えば、上記(B1)成分の説明においてエステルを構成するカルボン酸として例示した化合物が挙げられる。これらの中では、加工性により優れる点から一塩基酸が好ましい。また、加工性に優れる点から、カルボン酸の合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、カルボン酸の合計炭素数は22以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下が最も好ましい。
本実施形態においては、油性剤として上記(B1)、(B2)及び(B3)成分から選ばれる1種のみを単独で又は2種以上の混合物として用いてもよいが、加工性をより向上できることから、(1)一価アルコールと一塩基酸とから得られる合計炭素数7〜26のエステル、(2)一価アルコールと二塩基酸とから得られる合計炭素数18〜26のエステル、(3)炭素数6〜20の一価アルコール、(4)炭素数6〜20の一塩基酸、又はこれらの混合物であることが好ましい。
油性剤として上記(B1)、(B2)及び(B3)成分から選ばれる少なくとも1種を用いる場合、その含有割合は、潤滑油組成物の用途に応じて適宜選択することが好ましい。
例えば、アルミニウム用圧延油の場合、潤滑油組成物全量基準で通常0.05〜20質量%である。この場合の油性剤の含有割合の下限値は、0.05%であり、加工性の点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。一方、油性剤の含有割合の上限値は20質量%以下であり、油剤除去性の点から、好ましくは16質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
一方、アルミニウム用圧延油以外の金属加工油の場合の含有割合は、潤滑油組成物全量基準で通常3〜70質量%である。この場合の油性剤の含有割合の下限は3%であり、加工性の点から、好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。一方、油性剤の含有割合の上限値は70質量%以下であり、油剤除去性の点から、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。油性剤の添加量は少なすぎると十分な潤滑効果が得られず、多すぎると添加量に見合った効果が得られず、また熱脱脂時にステインの原因となる。
また、本実施形態における油性剤としては、以下の(B4)〜(B11)を用いることができる。
(B4)数平均分子量が100以上1000以下である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物
(B5)上記(B4)成分のヒドロカルビルエーテル
(B6)数平均分子量が100以上1000以下のポリアルキレングリコール
(B7)上記(B6)成分のヒドロカルビルエーテル
(B8)炭素数2〜20の2価アルコール
(B9)上記(B8)成分のヒドロカルビルエーテル
(B10)炭素数3〜20の3価アルコール
(B11)上記(B10)成分のヒドロカルビルエーテル
(B4)数平均分子量が100以上1000以下である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(以下、「(B4)成分」ということもある。)を構成する多価アルコールは、水酸基を3〜6個有する。水酸基を3〜6個有する多価アルコールとしては、以下の多価アルコールに加え、糖類も使用可能である。
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン;グリセリンの2〜4量体、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等のトリメチロールアルカン及びこれらの2〜4量体;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトールが挙げられる。
上記糖類としては、例えば、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、シュクロースが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、グリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトールが好ましい。
(B4)成分を構成するアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキシド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキシド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサンが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。
なお、2種以上のアルキレンオキシドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキシドを付加させる際、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、全ての水酸基に付加させた方が好ましい。
(B4)成分の数平均分子量(Mn)は、通常100以上1000以下であり、好ましくは100以上800以下である。Mnが100未満の場合には、基油に対する溶解性が低下するおそれがある。一方、Mnが1000より大きい場合には、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存するおそれがある。なお、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
(B4)成分としては、例えば、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキシドを付加反応させたMnが100以上1000以下のものを用いてもよい。また、任意の方法で得られる、水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000以下となるように分離したものを用いてもよい。なお、(B4)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(B5)上記(B4)成分のヒドロカルビルエーテル(以下、「(B5)成分」ということもある。)は、通常Mnが100以上1000以下、好ましくは100以上800以下である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を、ヒドロカルビルエーテル化させたものを用いることができる。なお、上記(B4)成分のヒドロカルビルエステルは、(B1)エステルに包含される。
(B5)成分としては、(B4)成分のアルキレンオキシド付加物の末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここで、ヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を表す。
炭素数1〜24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基が挙げられる。
炭素数2〜24のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、直鎖又は分枝のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のへキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基が挙げられ、これらのうち構造異性体のあるものはそれらを全てが挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。炭素数7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基、直鎖又は分枝のブチルフェニル基、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基、直鎖又は分枝のノニルフェニル基、直鎖又は分枝のデシルフェニル基、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基、直鎖又は分枝のドデシルフェニル基が挙げられ、これらのうち構造異性体のあるものはそれらを全てが挙げられる。
炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む。)フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む。)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む。)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む。)が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
(B6)数平均分子量が100以上1000以下のポリアルキレングリコール(以下、「(B6)成分」ということもある。)は、通常Mnが100以上1000以下のポリアルキレングリコールであり、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドを単独重合又は共重合したものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキシドとしては、(B4)成分の説明において列挙したアルキレンオキシドが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。
なお、ポリアルキレングリコールの調製時に2種以上のアルキレンオキシドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。
(B6)成分としては、通常Mnが100以上1000以下、好ましくは120以上700以下のポリアルキレングリコールが用いられる。Mnが100未満の場合は、鉱油への溶解性が低下するおそれがある。一方、Mnが1000より大きい場合は、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存するおそれがある。
(B6)成分としては、その製造時におけるアルキレンオキシドを重合させる際にMnが100以上1000以下となるように反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000以下となるように分離したものを用いてもよい。なお、(B6)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(B7)上記(B6)成分のヒドロカルビルエーテル(以下、「(B7)成分」ともいう。)としては、Mnが100以上1000以下、好ましくは120以上700以下のポリアルキレングリコールを、ヒドロカルビルエーテル化させたものが用いられる。(B7)成分としては、(B6)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものも使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(B5)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。なお、上記(B7)成分のヒドロカルビルエステルは、(B1)エステルに包含される。
(B8)炭素数2〜20の2価アルコール(以下、「(B8)成分」ということもある。)は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコールである。ここでいう2価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数2〜20の2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,2−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,2−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,15−ヘプタデカンジオール、1,2−ヘプタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,2−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,2−ノナデカンジオール、1,20−イコサデカンジオール、1,2−イコサデカンジオールが挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく挙げられる。なお、(B8)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(B9)上記(B8)成分のヒドロカルビルエーテル(以下、「(B9)成分」ということもある。)としては、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ヒドロカルビルエーテル化させたものが用いられる。なお、上記(B8)成分のヒドロカルビルエステルは、(B1)エステルに包含される。
(B9)成分としては、(B8)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものも使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(B5)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)が更に好ましい。
(B10)炭素数3〜20の3価アルコール(以下、「(B10)成分」ということもある。)は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコールである。ここでいう3価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数3〜20の3価アルコールとしては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,4,5−ヘキサントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−へキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオール、1,2,19−ノナデカントリオール、1,2,20−イコサントリオールが挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−ヘキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオールが好ましい。なお、(B10)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(B11)上記(B10)成分のヒドロカルビルエーテル(以下、「(B11)成分」ということもある。)としては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ヒドロカルビルエーテル化させたものが用いられる。なお、上記(B10)成分のヒドロカルビルエステルは、(B1)エステルに包含される。
(B11)成分としては、(B10)成分の3価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものも使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(B5)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましく挙げられる。
(B11)成分としては、(B10)成分のうち、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−へキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−へキサントリオール又は1,4,5−へキサントリオールのヒドロカルビルエーテルが好ましく挙げられる。なお、(B11)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
本実施形態において、上記(B4)〜(B11)成分は、これらの中から選ばれる1種の含酸素化合物を単独で用いてもよいし、異なる構造を有する2種以上の含酸素化合物の混合物を用いてもよい。上記(B4)〜(B11)成分の中では、加工性に優れる点から、(B6)成分、(B7)成分、(B8)成分及び(B11)成分の少なくとも1種の使用が好ましく、(B6)成分、(B7)成分及び(B11)成分の少なくとも1種の使用がより好ましい。
また、(B4)〜(B11)から選ばれる少なくとも1種を用いる場合は、上記の(B1)〜(B3)から選ばれる少なくとも1種と組み合わせて用いると、加工性を更に向上させることができる。
本実施形態に係る潤滑油組成物において、(B4)〜(B11)成分から選ばれる少なくとも1種を用いる場合、その含有割合は、潤滑油組成物全量基準で通常0.005〜10.0質量%である。すなわち、当該含有割合は、通常0.005質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。一方、当該含有割合は、通常10質量%以下であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。含有割合が上記の下限値未満であると加工性の更なる向上効果が不十分となることがあり、一方、上記の上限値を超えても含有割合に見合う効果が得られないことがある。
本実施形態に係る潤滑油組成物においては、その優れた効果をより一層向上させるため、必要に応じて極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、ミスト防止剤、消泡剤、抗乳化剤、かび防止剤、フッ素系以外の界面活性剤、等の添加剤を単独で又は2種以上を組み合わせて更に含有させることができる。特に圧延油以外の金属加工油として用いる場合は極圧剤の併用が効果的である。
極圧添加剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート等のリン系化合物、硫化油脂、硫化エステル、ポリサルファイドなどの硫黄系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。
さび止め剤としては、例えば、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
ミスト防止剤としては、例えば、エチレンプロピレンコポリマー、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系のものが挙げられる。
抗乳化剤としては、界面活性剤が用いられ、例えば、カチオン系として四級アンモニウム塩、イミダゾリン型、アニオン系として硫酸化油、エアロゾル型、ノニオン系としてひまし油のエチレンオキシド付加物、エーテル型非イオン活性剤のリン酸エステル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合物、ダイマー酸とのエステルが挙げられる。
かび防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、ホルムアルデヒド供与体化合物、サリチルアニリド系化合物が挙げられる。
フッ素系以外の界面活性剤としては、例えば、アミン系のものが挙げられる。
なお、上記添加剤の合計含有割合は、潤滑油組成物全量基準で通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、意図的に水を含有させない不水の状態でも、水の含有が前提の水系でも使用することができる。
水を含有する場合、本発明の組成物は、水を連続層とし、これに油成分が微細に分散しエマルションを形成した乳化状態、水が油成分に溶解している可溶化状態、もしくは強攪拌により水と油剤を混合した懸濁状態のいずれの形態をもとりうる。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、水と別に加工部位に供給し使用することもできる。
本実施形態に係る潤滑油組成物(原液)を水で希釈、もしくは水と併用するだけで、実際に使用する金属加工油剤とすることができる。希釈倍率(併用使用する際は、原液に対する原液+水の倍率を希釈倍率とする。)は使用条件によって任意に選択されるが、一般には原液を重量比で2〜100倍に、好ましくは3〜70倍に水で希釈して実用の金属加工油剤を得るのが通例である。この場合の希釈水には、例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水が使用可能で、硬水であるか軟水であるかを問わない。
エマルション型の場合、本実施形態に係る潤滑油組成物を水で希釈すると、水を連続相とし、これに油成分が微細に分散した状態のエマルションが得られる。この場合、水に分散する油滴の平均粒径は300nm以下、特に100nm以下であることが好ましい。分散油滴の平均粒径が大きいと、オイルピットが生成し易くなって加工製品の表面光沢が損なわれるばかりでなく、金属加工油剤の清浄化に微細なフィルターを使用できなくなるおそれがある。
本実施形態に係る潤滑油組成物の40℃における動粘度は、格別の限定はないが、アルミニウム圧延加工においては、潤滑性と表面品質の点から、好ましくは1.0〜10mm2/s、より好ましくは1.0〜8.0mm2/sである。アルミニウム以外の金属の圧延加工においては、好ましくは1.0〜50mm2/s、より好ましくは2.0〜40mm2/s、最も好ましくは3.0〜30mm2/sである。圧延以外の金属加工においては通常6.0〜500mm2/s、好ましくは8.0〜300mm2/s、より好ましくは10〜250mm2/sの範囲である。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、種々の金属の加工油として用いることができる。適用可能な金属としては、例えば、アルミニウム、マグネシウムや、銅、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛、スズ、チタン等の遷移金属、並びにそれらの合金を挙げることができる。
加工方法としては、冷間圧延、温間及び熱間圧延、プレス、打ち抜き、しごき、絞り、引き抜き、鍛造、の塑性加工に適用することができ、特に冷間圧延、温間及び熱間圧延に適用することができる。
以下、本発明の好適な実施例について更に詳細な説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜24、比較例1〜8]
実施例1〜24及び比較例1〜8においては、それぞれ以下に示す各種基油及び各種添加剤を配合して潤滑油組成物を調製し、さらに、潤滑油組成物に水を混合して加工液組成物を調製した。得られた潤滑油組成物及び加工液組成物の組成を表1〜4に示す。
(基油)
基油1:鉱油(40℃における動粘度2.3mm2/s)
基油2:鉱油(40℃における動粘度10.4mm2/s)
基油3:イソブチレンオリゴマー(40℃における動粘度2.2mm2/s)
(パーフルオルアルキル基を有する化合物)
A1:パーフルオロブチルエチレンオキサイド付加物(平均付加数5)
A2:パーフルオロアルキルアミン(C3F7−NH2)
A3:パーフルオロブチルスルホン酸ナトリウム塩(C4F9−SO3Na)
A4:パーフルオロブチルカルボン酸カリウム塩(C4F9−COOK)
A5:パーフルオロブチルスルホンアミド(C4F9−SO2NH2)
A6:下記式で示されるパーフルオロアルキルスルホンアミド誘導体
(油性剤)
B1:ラウリルアルコール
B2:ステアリン酸ブチル60%とパルミチン酸ブチル40%の混合物
B3:アジピン酸ジイソノニル
B4:オレイン酸
B5:トリプロピレングリコール
(圧延試験)
次に、実施例1〜24及び比較例1〜8で得られた各加工液組成物を用いて、下記の圧延試験材料について下記の圧延試験を行い、金属加工性の評価を行った。
まず、試験に用いた材料は以下の通りである。
1.純アルミニウム系(JIS A1050) 0.6mm厚/70mm幅
2.合金系アルミニウム(JIS A5052) 0.6mm厚/70mm幅
3.黄銅(JIS C2600) 0.34mm厚/50mm幅
4.ステンレスSUS304 0.30mm厚/50mm幅
また、試験条件は以下の通りである。
ワークロール直径:50mm
バックアップロール直径:204mm
圧延速度:65m/分
圧下率20%から圧延を開始し、段階的に圧下率を上昇させて圧延し、正常に圧延できる最大の圧下率(%)を求めた。最大圧下率として材料1では60%以上が、材料2、3では55%以上が、材料4では45%以上が得られた場合を良好と判定した。結果を表1〜4に示す。なお、表1〜4の最大圧下率の欄において、「×」は初期の圧下率を20%とすることができなかったことを意味する。