JP2012056090A - ポリエステルフィルム及びその製造方法、太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュール - Google Patents

ポリエステルフィルム及びその製造方法、太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】耐加水分解性に優れ、被着物との間の密着性と耐電圧性を長期に亘り保持できるポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合触媒として含むと共に極限粘度が0.71以上0.90以下であるポリエステル原料樹脂を、該押出機の吐出量(Q/N;Qは単位時間当たりの押出量[kg/hr]を表し、Nはスクリュ回転数[rpm]を表す。)を理論最大吐出量の50%〜80%として、押出機により溶融押出する押出工程と、溶融押出されたポリエステル樹脂をキャストロール上で冷却固化することにより未延伸フィルムを形成する未延伸フィルム形成工程と、形成された未延伸フィルムを縦方向及び横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸して形成された延伸フィルムを熱固定する熱固定工程とを有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルム及びその製造方法、太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する意識の高まりから、クリーンエネルギー源としての太陽光発電が注目され、種々の形態からなる太陽電池が開発されている。この太陽電池は、一般的には直列又は並列に配線された複数枚の太陽電池セルをパッケージングし、ユニット化した複数の太陽電池モジュールから構成されている。
太陽電池モジュールは、屋外で長期間にわたり使用することができる高度な耐久性、耐候性等が要求される。一般的な太陽電池モジュールとしては、ガラス等からなる透光性基板と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂からなる充填剤層と、光起電力素子としての複数枚の太陽電池セルと、上記充填剤層と同様の充填剤層と、バックシートとがこの順に積層され、真空加熱ラミネーション法等により一体成形された構造となっている。
太陽電池モジュールにおいて、内部に水蒸気、酸素ガス等が侵入すると、充填剤層の剥離及び変色、配線の腐食、太陽電池セルの機能低下等を招来するおそれがある。そのため、太陽電池モジュールに配設されるバックシートには、強度、耐候性、耐熱性等の基本性能に加えて、水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性が要求される。
また今日では、発電効率のロスを減らすために、太陽電池システムのシステム電圧をできるだけ大きくする傾向にある。特に最近は、システム電圧が1000V以上の太陽電池システムの需要が拡大しており、従来の600V程度から1000V以上の高耐電圧性が必要とされてきている。そのため、太陽電池モジュール用のバックシートには、高い耐電圧性が与えられていることが不可欠である。
太陽電池モジュール用のバックシートとしては、近年、ポリエステルフィルムが使用されている。
これに関連して、太陽電池用バックシート等の用途では、強度、寸法安定性が要求されるという観点から、比較的厚手の太陽電池用のフィルムとして、フィルムの厚みが70μm以上400μm以下のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電気絶縁性のために、複数層のポリエステル樹脂層を積層して一体化してなる層厚み200μm以上の太陽電池用裏面保護シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−149065号公報 特開2006−253264号公報
しかしながら、上記従来のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムでは、強度、寸法安定性が要求されるという点から、二軸延伸する際の横延伸条件(延伸ゾーン温度条件)を改良することにより厚手製膜での熱収縮性や加工適性(裁断性やたるみ)の改善が図られているものの、太陽電池用のバックシートとして長期間使用した際に、太陽電池上で剥がれが発生しやすく、長期使用に対する耐加水分解性や絶縁性が低下するという課題がある。つまり、太陽電池は一般に、例えばガラス基板上に太陽電池セルを配置し、このセルをEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の樹脂(いわゆる封止材)で包埋し、更にこの上にバックシートを貼り付けた構造に構成されるが、屋外等の風雨に曝されるような環境下に長期間置かれると耐加水分解性や耐電圧性が低下し、発電効率が大きく低下する。
また、複数のポリエステル樹脂層を積層してなる上記の太陽電池用裏面保護シートでは、貼り合わせで厚手化されるために工数が増え、剥れの懸念が残るほか、必ずしもバックシートとEVA等の封止材との間で生じやすい剥がれを回避することはできない。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、耐加水分解性に優れ、被着物(例えば、太陽電池モジュールの電池側基板に配された太陽電池素子を封止する封止材等の樹脂材料)との間の密着性と耐電圧性を長期に亘り保持できるポリエステルフィルム及びその製造方法並びに太陽電池用バックシート、並びに長期耐久性を具えた太陽電池モジュールを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> アルミニウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合触媒として含むと共に極限粘度が0.71〜0.90であるポリエステル原料樹脂を、押出機の吐出量(Q/N;Qは単位時間当たりの押出量[kg/hr]を表し、Nはスクリュ回転数[rpm]を表すである。)を理論最大吐出量の50%〜80%として、押出機により溶融押出する押出工程と、溶融押出されたポリエステル樹脂をキャストロール上で冷却固化することにより未延伸フィルムを形成する未延伸フィルム形成工程と、形成された未延伸フィルムを縦方向及び横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸して形成された延伸フィルムを熱固定する熱固定工程と、を有するポリエステルフィルムの製造方法である。
<2> 前記押出工程は、前記押出機の内部で発生する最大剪断応力(σ)が1〜1000KPaである範囲で溶融押出する前記<1>に記載のポリエステルフィルムの製造方法である。
<3> 前記押出工程は、前記押出機内の酸素濃度を0〜500ppmの範囲とし、前記押出機内のスクリュ圧縮部と計量部とにおける平均滞留時間を30〜120秒として溶融押出する前記<1>又は前記<2>に記載のポリエステルフィルムの製造方法である。
<4> 前記ポリエステル原料樹脂の末端カルボン酸基の量が8〜25eq/トン以下である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のポリエステルフィルムの製造方法である。
<5> 前記ポリエステル原料樹脂を、下記式
Tg−30℃ ≦ポリエステル樹脂の温度(℃)≦ Tg+80℃
〔Tg:ガラス転移温度〕
を満たす温度範囲に調節して前記押出機に投入する前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のポリエステルフィルムの製造方法である。
<6> 前記未延伸フィルム形成工程は、前記押出機から溶融押出されたポリエステル樹脂の温度が140℃〜230℃である領域において、平均冷却速度を230℃/分〜500℃/分の範囲として冷却固化する前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のポリエステルフィルムの製造方法である。
<7> 前記ポリエステル原料樹脂は、全質量に対して0質量%超10質量%以下の範囲のポリエステル樹脂の回収屑を含み、前記回収屑の極限粘度と、前記回収屑以外の原料樹脂の極限粘度との差が0.01〜0.2である前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のポリエステルフィルムの製造方法である。
<8> 前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のポリエステルフィルムの製造方法により作製されたポリエステルフィルムである。
<9> 重合触媒由来のアルミンウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、極限粘度が0.71〜0.90であり、温度120℃、相対湿度100%の雰囲気下で湿熱処理した後の破断伸度が前記湿熱処理前の破断伸度に対して50%となる時間が65〜150時間である前記<8>に記載のポリエステルフィルムである。
<10> 前記<8>又は前記<9>に記載のポリエステルフィルムを含む太陽電池用バックシートである。
<11> 前記<8>又は前記<9>に記載のポリエステルフィルムを備えた太陽電池モジュールである。
本発明によれば、耐加水分解性に優れ、被着物(例えば、太陽電池モジュールの電池側基板に配された太陽電池素子を封止する封止材等の樹脂材料)との間の密着性と耐電圧性を長期に亘り保持できるポリエステルフィルム及びその製造方法並びに太陽電池用バックシートを提供することができる。また、
本発明によれば、長期耐久性を具えた太陽電池モジュールを提供することができる。
単軸押出機の構成例を説明するための概略断面図である。 太陽電池モジュールの構成例を示す概略断面図である。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法、並びにこれを用いたポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、及び太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<ポリエステルフィルム及びその製造方法>
本発明のポリエステルフィルムの製造方法は、アルミニウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合触媒として含むと共にIVが0.71〜0.90であるポリエステル原料樹脂を、該押出機の吐出量(Q/N)を理論最大吐出量の50%〜80%として、押出機により溶融押出する押出工程と、溶融押出されたポリエステル樹脂をキャストロール上で冷却固化することにより未延伸フィルムを形成する未延伸フィルム形成工程と、形成された未延伸フィルムを縦方向及び横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸して形成された延伸フィルムを熱固定する熱固定工程と、を設けて構成されたものである。
なお、前記Q/Nにおいて、Qは単位時間当たりの押出量[kg/hr]を表し、Nはスクリュ回転数[rpm]を表す。
熱安定性の比較的高いポリエステルが得られやすいアルミニウム系の重合触媒を用いても、耐候性向上のために0.71≦IV≦0.90の比較的高いIV(極限粘度;=高分子量化)のポリエステル樹脂を原料樹脂として溶融押出する場合、溶融押出時の機内で生じる剪断発熱によりポリエステルの分解を招き、発生する低分子分解物が密着不良を引き起こす。一般に、押出機から押し出す際の吐出量は、製造コスト等の観点から、押出機が持つ吐出能力、すなわち理論最大吐出量の近傍に設定されるが、太陽電池用途などのために耐候性をより高める目的でポリエステル原料樹脂の高IV化を図ると、それに伴ない剪断発熱が生じやすくなる。
本発明においては、溶融押出する際の押出機の吐出量(Q/N)を、理論上求められる理論最大吐出量に対して50%〜80%の範囲として吐出を行なうことで、高IV化を図ると同時に、ある程度の吐出性を保ちながら剪断発熱を小さく保って、被着物(例えば、太陽電池モジュールの電池側基板に配された太陽電池素子を封止する封止材等の樹脂材料)との間の密着性と耐電圧性を長期間保持する。押出機内での摩擦減によるゲル化防止とは別に耐候性向上の点において押出後の冷却が影響しやすく、本発明においては、末端COOHの量(末端カルボン酸基量)が大きくなり過ぎないように所定の押出工程の後に未延伸フィルム形成に際して溶融樹脂がキャストロール上で冷却固化される構成にする。すなわち、冷却はヘイズ(白濁)改善を目的に一般に行なわれるが、本発明では押出後に冷却することでフィルム成形される樹脂の球晶を抑制することにより、高延伸配向の状態が得られるように調整される。このようにして、本発明では、製造されるポリエステルフィルムは耐加水分解性に優れており、例えば屋外等の高温、高湿環境や曝光下に長期に亘っておかれた場合でも高い耐久性能を示す。
−押出工程−
本発明における押出工程は、アルミニウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合触媒として含むと共に極限粘度(IV)が0.71〜0.90であるポリエステル原料樹脂を、該押出機の吐出量(Q/N)を理論最大吐出量の50%〜80%として、押出機により溶融押出する。
本工程では、予め重合触媒としてアルミニウム及び/又はアルミニウム化合物を用いて合成したポリエステル樹脂を原料樹脂として用いる。合成は、エステル化反応及び重縮合反応を設けてポリエステルを生成するエステル化工程を設けて行なえる。このエステル化工程では、(a)エステル化反応、及び(b)エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させる重縮合反応を設けることができる。なお、エステル化反応及び重縮合反応の詳細については後述する。
ポリエステルフィルムの極限粘度(IV:Intrinsic Viscosity)は、0.71以上0.90以下の範囲とする。IVの値が前記範囲内であることで、分子の運動性を低下させ、球晶の生成が抑制され、含水量が低く抑えられる。さらに、分子量低下により発生する脆化に伴なう被着物(特に太陽電池モジュールの電池側基板に設けられた封止材(例えばEVA)との間の界面における破壊(剥がれ)を抑制する効果も有する。IVが0.71未満であると、球晶生成が多く、耐加水分解性に劣り、脆く、耐電圧性も低くなる。逆にIVが0.90を超えると、押出時の剪断発熱が大きくなり過ぎ、耐加水分解性及び耐電圧性の低下を招く。また、IVの値が前記範囲内である場合、延伸性が良好であり、延伸ムラがより抑制される。
このようなIV値に調節するには、液相重合時の重合時間の調節及び/又は固相重合により行なうことができる。
前記IVは、0.71以上0.85以下がより好ましく、さらに好ましくは0.72以上0.82以下である。本発明におけるポリエステル原料樹脂は、固相重合を経て得られたポリエステル樹脂を用いてもよい。固相重合を経ることにより、前記IVを持つポリエステル樹脂を原料樹脂として用いることができる。固相重合の詳細については後述する。
なお、極限粘度(IV)は、溶液粘度(η)と溶媒粘度(η)の比η(=η/η;相対粘度)から1を引いた比粘度(ηsp=η−1)を濃度で割った値を濃度がゼロの状態に外挿した値である。IVは、1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(=2/3[質量比])混合溶媒中の30℃での溶液粘度から求められる。
本発明においては、押出機によりポリエステル原料樹脂を、押出機の吐出量(Q/N)を理論最大吐出量の50%〜80%、つまり、押出機内部の充満率を50〜80%として溶融押出する。
ここで、押出機の吐出量(Q/N)は、スクリュ一回転の吐出量を表す。Qは、吐出量[cm/min]を表し、Nはスクリュ回転数[rpm]を表す。
押出機の吐出量(Q/N)が理論最大吐出量の50%未満であると、バレル−フライト間で逆流するメルト成分が増加してポリエステル樹脂の溶融不足を招いたり、滞留時間が長くなり過ぎてポリエステルの分解物が多く、結果的に耐加水分解性が低下する。また、押出機のQ/Nが理論最大吐出量の80%を超えると、剪断発熱による温度上昇で分子切断が発生して末端COOHの量が増加し、耐加水分解性が著しく低下する。
本発明においては、理論最大吐出量に対するQ/Nを前記範囲にすることで、押出機内部の摩擦を抑えることができ、上記のような高IVの原料樹脂を用いた場合においても、溶融押出時に生じる剪断発熱をポリエステルの分解を低減できる程度に低く抑えることが可能であり、ポリエステルの耐加水分解性を良好に維持することができる。
理論最大吐出量(Q/N)は、押出機の内部にポリエステル樹脂が充満した場合の一回転数あたりに押出される量をいい、このときのQは下記より求められる。
Q=αN−(β/η)×(dp/dl)
α:スクリュ推進流定数
N:スクリュ速度
β:圧力流定数
η:溶融樹脂の平均粘度
dp/dl:スクリュ長さ方向の圧力勾配(樹脂圧力計により求める)
中でも、吐出量(Q/N)は、理論最大吐出量に対して65〜80%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜80%の範囲である。
押出工程での溶融押出時における溶融樹脂(メルト)の温度としては、275℃〜300℃の範囲とすることができる。通常はIVを高く維持するためにメルト温度を上げるが、本発明においては、下記のように最大剪断応力(σ)を所定の範囲とすることにより、メルト温度を大幅に低下させることなく、末端COOH量(AV)の低いポリエステルフィルムを得ることができる。
溶融押出は、溶融樹脂を押し出すための一軸スクリュ又は二軸スクリュを備えた従来公知の押出機を使用して行なうことができる。押出機は、小型ないし大型のいずれの装置を使用してもよい。本発明においては、大量製造する場合に生じやすい剪断発熱を抑えつつも、ポリエステルフィルムの加水分解耐性の向上効果がより期待できる観点から、スクリュ外径がφ150mm以上(より好ましくはφ200〜400mm)の一軸(単軸)又は二軸の押出機が好ましい。
押出工程における溶融押出は、押出機の内部で発生する最大剪断応力(σ)が1〜1000KPaである範囲で行なうことが好ましい。最大剪断応力を上記範囲とすることにより、ポリエステルの分解を抑制することができる。具体的には、最大剪断応力が1KPa以上であると、バレル−フライト間で逆流するメルト成分が減り、滞留時間がある程度長くなるために分解物が発生するのを防ぐことができる。また、最大剪断応力が1000以下であると、ポリエステル分子の切断を防ぎ、IVを高く維持し末端COOH量(AV)を低く抑えることができる。このような範囲で剪断力を付与することにより、メルトのバレル表面での流れを促進して逆流を抑えることができる。
上記のうち、押出機内部で発生する最大剪断応力σは、10〜800KPaの範囲であるのが好ましく、より好ましくは50〜500KPaの範囲である。
なお、剪断速度γ及び最大剪断応力σは、下記の式(1)、(2)により求められる。
γ=π・D・N/60h ・・・式(1)
σ=γ×η=(π・D・N/60h)×η ・・・式(2)
σ:最大剪断応力[Pa]
γ:剪断速度[s−1
η:粘度[Pa・s]
D:スクリュ径[mm]
N:スクリュ回転数[rpm]
h:フライトクリアランス[mm]
上記の最大剪断応力σは、溶融樹脂(メルト)が押出されるシリンダ(バレル)出口での背圧を適度に高めることにより実現できる。背圧を高めることで、メルトとスクリュとの間の摩擦熱で剪断応力が上昇する。
具体的には、バレル出口の背圧を1〜30MPaとするのが好ましく、2〜20MPaとするのがより好ましく、さらに好ましくは3〜15Mpaの範囲とする。背圧が1MPa以上であると、単に回転数を高めること以上に、バレル内のメルトの撹拌効率が向上し、メルトに及ぼす剪断応力を均一に高めることができる。背圧が30MPa以下であると、メルトの逆流が防止される。
押出工程では、押出機内の酸素濃度は0〜1000ppmとすることが好適であるが、本発明においては、酸素濃度を0〜500ppmの範囲とすることがより好ましい。酸素濃度が前記範囲内であると、押出機内の残存酸素による溶融樹脂の酸化を防止することができる。この酸素濃度は、押出機内を不活性(窒素等)気流中で、あるいはベント付き押出機を用いて真空排気しながら、実施することにより調節することができる。
中でも、前記酸素濃度は、0〜300ppmの範囲がより好ましく、更に好ましくは0〜100ppmの範囲である。
また、押出機内のスクリュ圧縮部と計量部とにおける平均滞留時間を30〜120秒として好適に溶融押出することができる。スクリュ圧縮部から計量部にかけての領域は、押出機内でも最も温度が高くなる領域であり、ここでの平均滞留時間を前記範囲内に制御することにより、スクリュ混練の効果を得ながらも、ポリエステルの分解が抑えられる。具体的には、平均滞留時間が30秒以上であることで、溶融樹脂の混練効果を保つことができ、120秒以下であることで、ポリエステルの分解の発生を防ぐことができる。
平均滞留時間は、より好ましくは30秒〜100秒であり、さらに好ましくは40秒〜90秒である。
ここで、平均滞留時間は、下記式により求められる。
平均滞留時間=(スクリュ圧縮部から計量部までの容積[cm])/吐出量[cm/min]
なお、図1に示すように、押出機は、スクリュ5及び原料樹脂8を供給するためのホッパー7を有するシリンダ(バレル)6を備えており、その内部にはホッパー側から、原料供給部、スクリュ圧縮部、計量部が設けられている。スクリュ圧縮部は、シリンダ内においてスクリュ溝深さが供給部のスクリュ溝深さより減少する(例えばスクリュ溝深さが供給部のスクリュ溝深さから漸減する)領域をさす。このようにスクリュ溝深さが減少するシリンダ内は、樹脂が移動できる容積(シリンダ空隙容積)が樹脂押出方向に向かって小さくなり、よってスクリュ圧縮部から計量部にかけて樹脂にかかる剪断応力が大きくなり、発熱しやすい。そのため、この領域において、平均滞留時間を前記範囲内に制御する。
上記のように酸素濃度と平均滞留時間を制御することにより、ポリエステルの分解を抑制することが可能であり、IV低下及びAV上昇の現象を抑え、耐加水分解性を飛躍的に向上することができる。
ポリエステル原料樹脂の末端カルボン酸基量(AV;以下、末端COOH量又はAVということがある。)としては、8〜25eq/ton(トン)以下であることが好ましい。原料樹脂として用いるポリエステル樹脂の末端COOH量を前記範囲とすることにより、溶融押出後に得られるポリエステルフィルムの末端COOH量も低く抑えやすく、最終的なフィルムの耐加水分解性、すなわち耐久性を飛躍的に向上させることができる。
本発明における押出工程では、ホッパーに投入するポリエステル原料樹脂を、あらかじめ下記式を満たす温度範囲に調節した後、押出機に投入する。
Tg−30℃ ≦ポリエステル樹脂の温度≦ Tg+80℃
前記式中、Tgは、ポリエステル原料樹脂のガラス転移温度[℃]を表し、原料樹脂として複数種のポリエステルを用いる場合は、各ポリエステルがそれぞれのTgに対して前記式を満たすように温度調節して投入する。
このように、溶融前の原料樹脂をそのTg−30℃以上の範囲で加熱することで、原料樹脂の粘度を迅速に下げることができるので、可塑化途中の摩擦時間を短くすることができ、剪断応力の低下及び剪断発熱の発生抑制を図ることができる。また、前述の樹脂充満率を本発明の範囲内に制御することが可能である。さらに、溶融前の原料樹脂を加熱することにより、樹脂の溶存酸素量を低減し、押出機内の酸素濃度を低減するのに有効である。逆に、原料樹脂の温度をそのTg+80℃以下にして高すぎない程度に留めることで、ポリエステル樹脂の粘着を抑えてフィード部のスクリュ部分に粘着するのを防ぎ、原料樹脂をスクリュ圧縮部に容易に送ることが可能である。これより、スクリュ圧縮部に送られないために熱で劣化するのを防ぐことができる。
上記のうち、投入前のポリエステル原料樹脂の温度は、Tg−20℃〜Tg+70℃が好ましく、より好ましくはTg−10℃〜Tg+60℃であり、更に好ましくはTg〜Tg+50℃である。
本発明においては、前記ポリエステル原料樹脂として、その全質量に対して(0質量%超)10質量%以下の範囲で、ポリエステル樹脂の回収屑を含むことが好ましい。回収屑には、ポリエステルの粉砕物、回収ポリエステルを再溶融したリサイクル材などが含まれる。回収屑を添加すると、異なる形状の原料樹脂の嵩比重の増減により、上記したような樹脂の充満率と最大剪断応力σを達成するのに有効である。具体的には、例えば、サイズの異なる2種以上の原料樹脂を混合する、あるいは1種のポリエステル樹脂と2種以上の回収フィルムの粉砕材(例:フィルム粉砕したチップなどの粉砕屑)とを原料樹脂として混合する、等の方法により、ポリエステル原料樹脂の嵩を調節することができる。これにより、充満率を調整することが可能である。
このとき、回収屑の極限粘度と、回収屑以外の原料樹脂の極限粘度との差は、0.01〜0.2であることが好ましい。この差の範囲内とすることで、押出時の発熱抑制により末端COOH量の増加をより抑えることができる。
上記の中でも、ポリエステルの回収屑を原料樹脂全質量に対して(0質量%超)8質量%以下の範囲で含有し、回収屑と回収屑以外の原料樹脂との間の極限粘度の差を0.01〜0.1とすることがより好ましく、更に好ましくは、ポリエステルの回収屑を原料樹脂全質量に対して(0質量%超)5質量%以下の範囲で含有し、回収屑と回収屑以外の原料樹脂との間の極限粘度の差を0.01〜0.05の範囲とする。
前記原料樹脂の嵩比重とは、粉末を一定容積の容器の中に一定状態で入れる等して、所定形状にした粉末の質量を、そのときの体積で除算して求められる比重(単位体積あたりの質量)をいい、嵩比重が小さいほど嵩張る。
本発明において、原料樹脂の嵩比重としては、0.6〜0.8の範囲が好ましい。この嵩比重が0.6以上であると、溶融押出をより安定的に行なうことができる。嵩比重が0.8以下であると、局所的な発熱を効果的に抑制することができる。
ここで、本発明のポリエステル原料樹脂を作製するためのエステル化工程及び固相重合工程について詳述する。
−エステル化工程−
エステル化工程では、(a)エステル化反応、及び(b)エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させる重縮合反応を設けることができる。
(a)エステル化反応
ポリエステルを重合する際のエステル化反応において、触媒としては、アルミニウム及び/又はアルミニウム化合物が用いられる。前記アルミニウム化合物としては、例えば、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、安息香酸アルミニウムなどのカルボン酸のアルミニウム塩が挙げられる。中でも、溶剤溶解性の点で、塩基性酢酸アルミニウムが好ましい。また、塩基性酢酸アルミニウムは、水及び/又は有機溶剤に溶解しやすく、かつ安定性や金属に対する腐食性が低い点で好適である。
塩基性酢酸アルミニウムの製法については、特開2002-249558号公報の段落番号[0020]〜[0054]、国際出願2002/022707の7〜15ページ、特開2008-266359号公報の段落番号[0031]〜[0038]に記載されている。
また、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物等の他の重縮合触媒を、これらの添加がポリエステルの特性、加工性、色調等に支障を来たさない範囲内において共存させることができる。他の重縮合触媒の併用は、重縮合時間の短縮による生産性向上の点で有効である。
ポリエステルを製造する際の前記塩基性酢酸アルミニウムの量としては、得られるポリエステルを構成するジカルボン酸や多価カルボン酸等のカルボン酸成分の構成単位の全モル数に対して、アルミニウム元素換算値で0.001〜0.05モル%となる量が好ましく、更に好ましくは0.005〜0.02モル%である。前記量は、0.001モル%以上であると、触媒活性を良好に発揮させることができ、また0.05モル%以下であると、熱安定性や熱酸化安定性を維持し、アルミニウム起因の異物の発生や着色の増加を回避することができる。
アルミニウム成分は、使用量が少なくても良好な触媒活性を示すことができる。
アルミニウム又はその化合物に加えて、さらにリン化合物を用いてもよい。リン化合物の詳細については、特開2002-249558号公報の段落番号[0056]〜[0178]、特開2008-266359号公報の段落番号[0040]〜[0140]に記載がある。リン化合物は、例えば、アルミニウムやアルミニウム化合物のアルキレングリコール溶液にリン化合物のアルキレングリコール溶液を併用することで、重縮合触媒活性が向上すると共に、該重縮合触媒起因の異物形成性を低減できる。
本発明のポリエステルフィルムを形成するポリエステルは、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオール及び/又はそのエステル形成性誘導体とからなるものである。
前記ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらのうち、得られるポリエステルの物性等の点で、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸が好ましく、特には2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。この場合、必要に応じて他のジカルボン酸をさらに用いてもよい。
これらジカルボン酸のほか、少量であれば多価カルボン酸を併用してもよい。多価カルボン酸としては、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸を併用してもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、又はこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。更には、環状エステルの併用も可能である。環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらの化合物のアルキルエステルやヒドロキシルアルキルエステル等が挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコールや、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、及びエチレンオキシドが付加したグリコール、等の芳香族グリコールが挙げられる。
これらのうち、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
前記ジオールのエステル形成性誘導体としては、ジオールの酢酸等の低級脂肪族カルボン酸とのエステルが挙げられる。
これらのほか、少量であれば多価アルコールを併用してもよい。多価アルコールとしては、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
本発明におけるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、及びこれらの共重縮合体が好ましい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート及びこの共重縮合体が特に好ましい。共重縮合体としては、エチレンテレフタレート由来の構成単位が50モル%以上であるものが好ましく、70モル%以上がより好ましい。
(b)重縮合
重縮合は、エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させて重縮合物を生成する。重縮合反応は、1段階で行なってもよいし、多段階に分けて行なうようにしてもよい。
エステル化反応で生成したオリゴマー等のエステル化反応生成物は、引き続いて重縮合反応に供される。この重縮合反応は、多段階の重縮合反応槽に供給することにより好適に行なうことが可能である。
例えば、3段階の反応槽で行なう場合の重縮合反応条件は、第一反応槽は、反応温度が255〜280℃、より好ましくは265〜275℃であり、圧力が13.3×10−3〜1.3×10−3MPa(100〜10torr)、より好ましくは6.67×10−3〜2.67×10−3MPa(50〜20torr)であって、第二反応槽は、反応温度が265〜285℃、より好ましくは270〜280℃であり、圧力が2.67×10−3〜1.33×10−4MPa(20〜1torr)、より好ましくは1.33×10−3〜4.0×10−4MPa(10〜3torr)であって、最終反応槽内における第三反応槽は、反応温度が270〜290℃、より好ましくは275〜285℃であり、圧力が1.33×10−3〜1.33×10−5MPa(10〜0.1torr)、より好ましくは6.67×10−4〜6.67×10−5MPa(5〜0.5torr)である態様が好ましい。
−固相重合工程−
本発明においては、上記に加えて更に、ポリエステルを固相重合する固相重合工程を設けることができる。固相重合は、既述のエステル化反応により重合したポリエステル又は市販のポリエステルをペレット状などの小片形状にし、これを用いて好適に行なえる。小片形状は、チップ、ペレット、フレーク、粉末状のポリエステルなどを含み、好ましくはチップ、ペレットである。小片形状のサイズは、通常は2.0〜5.5mm、好ましくは2.2〜5.0mmの平均粒径を有している場合が好ましい。
固相重合により、ポリエステルの重合度が上がると共に、環状三量体、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等の溶融重合の折に副生した副生成物の量を低減することができる。固相重合は、溶融重縮合法により得られたポリエステルを小片形状(粉粒体状など)にして行なわれる。
固相重合は、小片形状のポリエステルをその融点以下の温度にて、不活性ガス流通下あるいは減圧下で加熱することにより行なえる。固相重合する工程は、少なくとも1段からなり、重合温度は通常190〜235℃であり、好ましくは195〜230℃ である。
不活性ガス流通法による場合、固相重合は、圧力を通常0.98MPa〜0.0013MPa、好ましくは0.49MPa〜0.013MPaの条件下で窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス流通下にて行なわれる。また減圧法による場合、固相重合は、圧力を通常13〜39,000Pa、好ましくは13〜13,300Paの条件下で行なわれる。固相重合の時間は、温度が高いほど短時間で所望の物性に到達するが、通常は1〜50時間、好ましくは5〜30時間、さらに好ましくは10〜25時間である。
なお、固相重合工程は、多段で実施してもよい。
固相重合工程に供給されるポリエステルは、予め固相重合を行なう場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重合工程に移行してもよい。
予備結晶化する工程は、小片形状のポリエステルを乾燥状態で通常120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度領域で1分〜4時間加熱することで行なってもよく、あるいはポリエステルを水蒸気雰囲気もしくは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下あるいは水蒸気含有空気雰囲気下で通常120〜200℃の温度で1分間以上加熱することにより行なってもよい。
溶融重縮合されたポリエステルは、例えば、チップ化された後に輸送配管中を輸送されることにより、固相重合工程あるいは貯蔵用サイロに供給される。このようなチップの輸送は、配管との衝突でチップ表面に大きな衝撃力を与える等により、ファインやフィルム状物が多量に発生し、ポリエステルの結晶化を促進させる一因となるほか、その変動が大きいために白化し、正常な延伸が不可能となって厚み斑が生じやすくなる、そのため、ファインやフィルム状物を除去する工程を設けることが好ましい。
前記ファインやフィルム状物を除去する工程は特に制限されるものではないが、例えば、固相重合工程と固相重合工程後に設けられる後工程との中間工程として、振動篩工程及び空気流による気流分級工程、重力式分級工程等を設けることが挙げられる。
なお、ポリエステルフィルムは、環状三量体などのオリゴマー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気管等に付着することで生じる金型汚れ等をより一層防止するために、固相重合の後に水と接触させる接触処理を設けることができる。該方法は限定されないが、水中に浸ける方法やシャワーでチップ上に水をかける方法等が挙げられる。
接触処理の時間としては、5分〜2日間が好ましく、より好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間であり、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃が好適である。
固相重合は、バッチ法(容器内に樹脂を入れ、この中で所定の時間熱を与えながら撹拌する方法)で実施してもよく、連続法(加熱した筒の中に樹脂を入れ、これを加熱しながら所定の時間滞流させながら筒中を通過させて、順次送り出す方法)で実施してもよい。このうち、得られるポリエステルフィルムの品質均一性や経済性の点から、連続法が好ましい。
本発明においては、原料樹脂として用いるポリエステルフィルムの重合度は、ポリエステルの使用用途の要求特性に合わせて適宜選択すればよいが、一般には、溶融重縮合で0.3≦IV≦0.65のポリエステルを得て、溶融重縮合で得られたポリエステルを固相重縮合により0.71≦IV≦0.90に上昇させるのが好ましい。
本発明においては、ポリエステルの色調を良化するために、コバルト化合物以外の色調改善剤を用いることができる。色調改善剤は、添加により色調を変化させ得る物質である。色調改善剤としては特に限定はされないが、無機及び有機の顔料、染料、蛍光増白剤などが好ましい。
顔料又は染料を使用する場合、含有量が増えると重縮合体の明るさが低下しやすい。そのため、顔料及び染料を用いる場合、これらの総含有量は得られるポリエステルに対して20ppm以下であるのが好ましく、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下である。この領域において、重縮合体の明るさを低下させることなく着色を効果的に消去できる。
また、蛍光増白剤を単独で又は他の色調改善剤と併用すると色調が良好になり、例えば顔料又は染料の量を減らせる点で好ましい。蛍光増白剤としては、従来公知のものを単独で又は組み合わせて用いることができる。蛍光増白剤の具体的な例として、ベンズオキサゾリン系蛍光増白剤が挙げられる。特に好ましい蛍光増白剤は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のUVITEX OB、UVITEX OB-P、UVITEX OB-ONE、クラリアント社製のHOSTALUX KS、特開平10-1563号公報に記載のもの等が挙げられる。
蛍光増白剤は、得られるポリエステルに対して50ppm以下の範囲で用いることができ、5〜25ppmの範囲がより好ましい。
無機顔料としては、色調を変化できるものであれば特に制限はなく、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、鉄黒、ニッケルチタンイエロー、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、黄鉛、クロムチタンイエロー、亜鉛フェライト顔料、弁柄、カドミウムレッド、モリブデンレッド、酸化クロム、スピネルグリーン、クロムオレンジ、カドミウムオレンジ、群青、紺青、コバルトブルー、などが挙げられる。このうち、酸化クロム、群青、紺青、コバルトブルーが好ましく、群青、コバルトブルーがさらに好ましい。
なお、有機顔料及び染料の詳細については、国際出願2002/022707の10〜11ページ、特開2008-266359号公報の段落番号[0162]〜[0165]の記載を参照することができる。また、顔料等の分散性のために分散剤を用いてもよく、該分散剤の詳細については、国際出願2002/022707の11ページ、特開2008-266359号公報の段落番号[0168]に記載されている。
−未延伸フィルム形成工程−
本発明における未延伸フィルム形成工程は、前記押出工程で溶融押出されたポリエステル樹脂をキャストロール(冷却ロール)上で冷却固化することにより未延伸フィルムを形成する。
帯状に吐出された溶融樹脂(メルト)は、キャストロール上で冷却、固化されて所望厚のポリエステルフィルムが得られる。このとき、延伸前のフィルム厚は、2600μm以上6000μm以下の範囲が好ましい。この範囲であると、その後の延伸を経て、厚み260μm以上500μm以下のポリエステルフィルムを得ることができる。
前記メルトの固化後の厚みは、3100μm以上6000μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは3300μm以上5000μm以下であり、さらに好ましくは3500μm以上4500μm以下の範囲である。固化後延伸前の厚みが6000μm以下であることで、メルト押出し中に皺が発生し難く、ムラの発生が抑えられる。また、固化後の厚みが2600μm以上であることで、良好な耐電圧特性が得られる。
前記押出工程で押出機から押出された溶融樹脂をキャストロール上でキャストする際、溶融樹脂の140℃〜230℃における温度領域での平均冷却速度を、230℃/分〜500℃/分の範囲とすることが好ましい。耐候性向上には高延伸倍率が必要であるが、そのために球晶抑制を図る観点から、平均冷却速度は前記範囲であるのが好ましい。ここでの平均冷却速度は、結晶形成に最も大きな影響を及ぼす140℃〜230℃の間の平均の冷却速度であり、球晶形成などに伴なう結晶化が抑えられ、耐候性をより高めることができる。
平均冷却速度は、230℃/分以上であると、球晶形成などに伴なう結晶化を抑え、高延伸倍率に延伸してもフィルムが破断し難く、高配向の延伸フィルムを得られる。また、球晶形成の抑止により、延伸ムラが大幅に低減し、後述の太陽電池用途において塗布する際のムラ発生が生じ難くなる。このように、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が大幅に向上し、球晶抑制によりフィルムの密着不良を抑制することができる。また、平均冷却速度が500℃/分以下であると、急激なメルトの固化を防ぎ、破断やキャストロール上での皺発生による延伸ムラ、密着不良となるのを防止することができる。
前記平均冷却速度としては、280〜500℃/分がより好ましく、更に好ましくは300〜450℃/分である。
前記平均冷却速度は、下記の方法により調節、実現することが可能である。
(1)冷却風量と冷却風の温度とを調整する。
(2)溶融樹脂(メルト)に0.1%〜5%(好ましくは0.2%〜3%、より好ましくは0.3%〜2%)の厚みムラを与える。これにより、冷却ロールへの密着が改善され、冷却効率が向上し、前記平均冷却速度の範囲に調製することが可能である。これは、メルトは冷却ロールに接触した際に収縮するが、上記のように僅かに厚みムラを付与しておくことでメルトがスムースに冷却ロール上で収縮し、均一に冷却ロールと接触させ得るため、冷却効率が向上するためと考えられる。つまり、厚みムラがない場合、メルトの滑りが低下しやすく、一部は冷却ロールに粘着し、他の一部は粘着点間で引き伸ばされ(収縮応力に因る)、冷却ロールと接触できずに冷却速度が低下すると推測される。
厚みムラは、5%以下であることで、冷却効率が増加しすぎず球晶形成がある程度保たれるため、球晶によるフィルム強度の向上効果が得られ。また0.1%以上であることで、フィルム内の凝集破壊による密着力低下を防ぐことができる。
溶融樹脂(メルト)中の未融解物(異物)としては、0.1個/kg以下が好ましい。球晶はメルト中の未融解物を核として形成され易いが、未溶融物(異物)の量が0.1個/kg以下であることで球晶形成が抑えられ、延伸時の延伸ムラの発生をより抑えることができる。なお、未溶融物(異物)は、結晶物や分解生成された不溶物などであり、この異物はサイズが1μm以上10mm以下のものをさす。
未融解物の量としては、溶融樹脂(メルト)中に0.005個/kg以上0.07個/kg以下の範囲であるのがより好ましく、さらに好ましくは0.01個/kg以上0.05個/kg以下である。未融解物(異物)は、位相差顕微鏡及びCCDカメラを用いて、ポリエステルフィルムの拡大画像を撮影し、画像処理装置を用いて異物数を計数することにより求められる。
−二軸延伸工程−
本発明における二軸延伸工程は、前記未延伸フィルム形成工程で形成された未延伸フィルムを縦方向及び横方向に二軸延伸する。
具体的には、未延伸のポリエステルフィルムを、70℃以上140℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3倍以上5倍以下の延伸率で延伸し、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却することが好ましい。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80℃以上150℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3倍以上5倍以下の延伸率で延伸する。
延伸率は、長手方向と幅方向それぞれ3倍以上5倍以下とするのが好ましい。また、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は、9倍以上15倍以下であることが好ましい。面積倍率が9倍以上であると、得られる二軸延伸積層フィルムの反射率や隠蔽性、フィルム強度が良好であり、また面積倍率が15倍以下であると、延伸時の破れを回避することができる。
二軸延伸する方法としては、上述のように、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行なう逐次二軸延伸方法のほか、長手方向と幅方向の延伸を同時に行なう同時二軸延伸方法のいずれであってもよい。
得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて、好ましくは原料となる樹脂のガラス転移温度(Tg)以上融点(Tm)未満の温度で1秒以上30秒以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却する。一般に、熱処理温度(Ts)が低いとフィルムの熱収縮が大きいため、高い熱寸法安定性を付与するためには、熱処理温度は高い方が好ましい。しかしながら、熱処理温度を高くし過ぎると配向結晶性が低下し、その結果形成されたフィルムが耐加水分解性に劣ることがある。そのため、本発明のポリエステルフィルムの熱処理温度(Ts)としては、40℃≦(Tm−Ts)≦90℃であるのが好ましい。より好ましくは、熱処理温度(Ts)を50℃≦(Tm−Ts)≦80℃、更に好ましくは55℃≦(Tm−Ts)≦75℃とすることが好ましい。
更には、本発明のポリエステルフィルムは、太陽電池モジュールを構成するバックシートとして用いることができるが、モジュール使用時には雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがある。そのため、熱処理温度(Ts)としては、160℃以上Tm−40℃(但し、Tm−40℃>160℃)以下であるのが好ましい。より好ましくは170℃以上Tm−50℃(但し、Tm−50℃>170℃)以下、更に好ましくはTsが180℃以上Tm−55℃(但し、Tm−55℃>180℃)以下である。
また必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
−熱固定工程−
本発明における熱固定工程は、前記二軸延伸工程で二軸延伸して形成された延伸フィルムを熱固定する。
熱固定は、180℃以上240℃以下の温度で好適に行なうことができる。熱固定時の温度が180℃以上であると、熱収縮率の絶対値が小さい点で好ましく、逆に熱固定時の温度が240℃以下であると、フィルムが不透明になり難く、また破断頻度が少なくなる点で好ましい。
この場合、熱固定する時間は、2〜60秒が好ましく、3秒〜40秒がより好ましく、4秒〜30秒がさらに好ましい。
一般に、延伸後のフィルムの熱固定は、長尺状の熱風吹き出し口を有する複数本のプレナムダクトを長手方向に垂直に配置した熱固定装置により行なわれる。このような熱固定装置では、加熱効率を良くするために熱風の循環が行なわれている。熱固定装置に取り付けられた循環ファンにより熱固定装置内の空気を吸引し、吸引した空気を温調して再びプレナムダクトの熱風吹き出し口から排出される。このように、熱風の吹き出し→循環ファンによる吸引→吸引した空気の温調→熱風の吹き出しといった熱風循環が行なわれる。
フィルム製造の際の熱固定は、(1)熱固定装置のプレナムダクトの温度・風量の調節、(2)熱固定装置のプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整、(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断を行なうことで好適に行なえる。
前記(1)では、加温・冷却を段階的に行うために、熱固定装置は一般に、温度の異なるいくつかの熱固定ゾーンに分かれており、隣り合う熱固定ゾーン間の温度差と風速差との積が、いずれも250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが好ましい。例えば熱固定装置が第1〜第3の熱固定ゾーンに分割されている場合、第1ゾーン〜第2ゾーン間の温度差と風速差との積、第2ゾーン〜第3ゾーン間の温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節されることが好ましい。熱風の温度、風量を調節することによって、熱風の循環がスムーズになる。これより、高温での熱固定でも平面性の良好なフィルムが得られる。隣り合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が250℃・m/s以下である(例えば隣り合う熱固定ゾーン同士の温度差が20℃となるように設定すると共に隣り合う熱固定ゾーン同士の風速差が10m/sとなるように設定する)と、熱固定装置における熱風の循環がスムーズになる。加えて、隣り合う熱固定ゾーン間の温度差と風速差との積が250℃・m/s以下であると、フィルムの通過により生じる随伴流として上流の熱固定ゾーンから下流の熱固定ゾーンへと流れ込む空気の温度差が小さくなる。そのため、下流の熱固定ゾーンの幅方向における温度が安定する点で好ましい。また、温度差と風速差との積は、200℃・m/s以下が好ましく、150℃・m/s以下がより好ましい。
また、前記(2)及び(3)の詳細については、特開2009-149065号公報の段落番号[0081]〜[0082]の記載を参照することができる。
上記の熱固定に加え、さらにフィルム長手方向の緩和を行なうことで、フィルム端縁部の熱収縮率を小さくすることができる。すなわち、フィルム長手方向の緩和処理は、クリップ間に屈曲可能な構造を持たせ、縦方向のクリップ間隔を調整することで、クリップの進行方向の間隔が収縮して長手方向が緩和される。緩和率は、1%以上8%以下が好ましく、1.5%以上7.0%以下が更に好ましい。このような方法は、特開2009-149065号公報の段落番号[0085]の記載を参照することができる。
熱緩和時における温度(熱緩和温度)としては、170℃〜240℃が好ましく、180℃〜230℃がより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、上記の本発明のポリエステルフィルムの製造方法により作製されたものである。
本発明のポリエステルフィルムは、重合触媒としてアルミニウム及び/又はアルミニウム化合物を用いて得られたものである。アルミニウム及び/又はアルミニウム化合物は、熱安定性の良好なポリエステルを作製することができる。アルミニウム及び/又はアルミニウム化合物の詳細については、前記ポリエステルフィルムの製造方法において詳述した通りである。アルミニウム及び/又はアルミニウム化合物は、フィルム中に1ppm以上50ppm以下の範囲で含まれることが好ましい。より好ましくは2ppm以上30ppm以下の範囲であり、更に好ましくは2ppm以上15ppm以下の範囲である。
ポリエステルフィルムの耐加水分解性については、破断伸度保持時間により評価することができる。これは、強制的に加熱処理(サーモ処理)することで加水分解を促進させた際の破断伸度の低下から求められる。具体的な測定方法は以下に示す。
本発明のポリエステルフィルムでは、実用的な厚みの範囲で高耐電圧特性を付与する観点から、延伸後の厚みを125μm以上500μm以下の範囲とすることが好ましい。ポリエステルフィルムの耐電圧特性として近年必要とされている1000V以上の高耐電圧性を付与するには、延伸後の厚みを180μm以上400μm以下の範囲とすることが好ましい。また、耐加水分解性の低下も少なく抑えることができる。厚みは、125μm以上であると耐電圧を保つことができる。逆に、500μmを越える厚みは実用的でない。
上記の中でも、延伸後のポリエステルフィルムの厚みは、150μm以上380μm以下の範囲が好ましく、更に好ましくは180μm以上350μm以下の範囲である。
前記耐電圧は、JIS規格C2151に準じ、破壊時(短絡する)電圧値を測定することにより求められる値である。
本発明のポリエステルフィルムは、65〜150時間[h]の破断伸度保持時間を持つことが好ましい。破断伸度保持時間が65時間以上であると、上記のように加水分解の進行が抑えられており、剥がれ、密着不良を防ぐことができる。また、破断伸度保持時間が150時間以下であると、フィルム含水率が少なくなるためにフィルムに結晶構造が発達し過ぎるのが抑えられ、弾性率、伸張応力を剥がれが生じない程度に保つことができる。
中でも、好ましい破断伸度保持時間は、80〜150時間であり、さらに好ましくは90〜150時間である。
本発明では上記のように厚膜化した態様が好ましいが、厚膜化は含水率の向上、耐加水分解性の低下に直結し、ただ単に260μm以上に厚くすると寸法安定性、耐加水分解性が低下し、所望とする長期耐久性は得られない。破断伸度保持時間が上記の範囲であることにより、ポリエステルフィルムの加水分解に伴なう脆化が抑制され、密着の際のフィルム中の凝集破壊による密着低下を抑制できる。
破断伸度保持時間は、120℃、100%RHで湿熱処理(サーモ処理)した後の破断伸度保持率が、湿熱処理前の破断伸度に対して50%以上の範囲に保持できる破断伸度半減時間[hr]である。破断伸度保持率は、下記式で求められる。
破断伸度保持率[%]=(サーモ処理後の破断伸度)/(サーモ処理前の破断伸度)×100
具体的には、120℃、100%RHで10時間〜300時間[hr]を10時間間隔で熱処理(サーモ処理)を実施した後、各サーモ処理サンプルの破断伸度を測定し、得られた測定値をサーモ処理前の破断伸度で除算し、各サーモ処理時間での破断伸度保持率を求める。そして、横軸にサーモ時間、縦軸に破断伸度保持率をとってプロットし、これを結んで破断伸度保持率が50%以上となるまでの処理時間[hr]を求める。
前記破断伸度は、引っ張り試験機にポリエステルフィルムのサンプルをセットし、25℃、60%RH環境下で20mm/分で引っ張ることにより破断するまでの伸度を、MD方向(縦方向;Machine Direction)及びTD方向(横方向;Transverse Direction)のそれぞれについて幅方向に10等分した各点にて20cm間隔で5回繰り返して計50点を測定し、得られた値を平均して求められる値である。なお、上記で得られる50点の破断伸度保持時間の最大値と最小値の差(絶対値)を、50点の破断伸度の平均値で除算し百分率で示すことにより、破断伸度保持時間分布[%]を得ることができる。
本発明におけるポリエステルフィルムは、光安定化剤、酸化防止剤などの添加剤を更に含有することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、光安定化剤を含有することが好ましい。光安定化剤を含有することで、紫外線劣化を防ぐことができる。光安定化剤とは、紫外線などの光線を吸収して熱エネルギーに変換する化合物、フィルム等が光吸収して分解して発生したラジカルを捕捉し、分解連鎖反応を抑制する材料などが挙げられる。
光安定化剤として好ましくは、紫外線などの光線を吸収して熱エネルギーに変換する化合物である。このような光安定化剤をフィルム中に含有することで、長期間継続的に紫外線の照射を受けても、フィルムによる部分放電電圧の向上効果を長期間高く保つことが可能になったり、フィルムの紫外線による色調変化、強度劣化等が防止される。例えば紫外線吸収剤は、ポリエステルの他の特性が損なわれない範囲であれば、有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤、及びこれらの併用のいずれも、特に限定されることなく好適に用いることができる。一方、紫外線吸収剤は、耐湿熱性に優れ、フィルム中に均一分散できることが望まれる。
前記紫外線吸収剤の例としては、有機系の紫外線吸収剤として、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系等の紫外線安定剤などが挙げられる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、トリアジン系として2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、ヒンダードアミン系のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、そのほかに、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、及び2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、などが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤のうち、繰り返し紫外線吸収に対する耐性が高いという点で、トリアジン系紫外線吸収剤がより好ましい。なお、これらの紫外線吸収剤は、上述の紫外線吸収剤単体でフィルムに添加してもよいし、有機系導電性材料や、非水溶性樹脂に紫外線吸収剤能を有するモノマーを共重合させた形態で導入してもよい。
光安定化剤のポリエステルフィルム中における含有量は、ポリエステルフィルムの全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.3質量%以上7質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以上4質量%以下である。これにより、長期経時での光劣化によるポリエステルの分子量低下を抑止でき、その結果発生するフィルム内の凝集破壊に起因する密着力低下を抑止できる。
更に、本発明のポリエステルフィルムは、前記光安定化剤の他にも、例えば、易滑剤(微粒子)、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、核剤(結晶化剤)、難燃化剤などを添加剤として含有することができる。
<太陽電池用バックシート>
本発明の太陽電池用バックシートは、既述の本発明のポリエステルフィルムを設けて構成したものであり、被着物に対して易接着性の易接着性層、紫外線吸収層、光反射性のある白色層などの機能性層を少なくとも1層設けて構成することができる。既述のポリエステルフィルムを備えるので、長期使用時において安定した耐久性能を示す。
本発明の太陽電池用バックシートは、例えば、1軸延伸後及び/又は2軸延伸後のポリエステルフィルムに下記の機能性層を塗設してもよい。塗設には、ロールコート法、ナイフエッジコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等の公知の塗布技術を用いることができる。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
−易接着性層−
本発明のポリエステルフィルムは、太陽電池モジュールを構成する場合に太陽電池素子が封止剤で封止された電池側基板の該封止材と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止剤(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の封止剤の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止材との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止材として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐湿熱性を有することが望ましい。
(1)バインダー
本発明における易接着性層はバインダーの少なくとも1種を含有することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。中でも、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものを挙げることができる。
前記ポリオレフィンの例として、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)が挙げられる。前記アクリル樹脂の例として、ジュリマーET−410、同SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)が挙げられる。また、前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例として、セラネートWSA1060、同WSA1070(ともにDIC(株)製)、及びH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
前記バインダーの量は、0.05〜5g/mの範囲が好ましく、0.08〜3g/mの範囲が特に好ましい。バインダー量は、0.05g/m以上であることでより良好な接着力が得られ、5g/m以下であることでより良好な面状が得られる。
(2)微粒子
本発明における易接着性層は、微粒子の少なくとも1種を含有することができる。易接着性層は、微粒子を層全体の質量に対して5質量%以上含有することが好ましい。
微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化錫等の無機微粒子が好適に挙げられる。特にこの中でも、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性の低下が小さい点で、酸化錫、シリカの微粒子が好ましい。
微粒子の粒径は、10〜700nm程度が好ましく、より好ましくは20〜300nm程度である。粒径が前記範囲の微粒子を用いることにより、良好な易接着性を得ることができる。微粒子の形状には特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のものを用いることができる。
微粒子の易接着性層中における添加量としては、易接着性層中のバインダー当たり5〜1000質量%が好ましく、5〜400質量%がより好ましく、更に好ましくは50〜300質量%である。微粒子の添加量は、5質量%以上であると、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性に優れており、1000質量%以下であると、易接着性層の面状がより良好である。
(3)架橋剤
本発明における易接着性層は、架橋剤の少なくとも1種を含有することができる。
架橋剤の例としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。湿熱経時後の接着性を確保する観点から、これらの中でも特にオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS500、同WS700(いずれも(株)日本触媒製)等も利用できる。
架橋剤の易接着性層中における好ましい添加量は、易接着性層のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、反射層の強度低下や接着不良が起こりにくく、50質量%以下であることで塗布液のポットライフをより長く保てる。
(4)添加剤
本発明における易接着性層には、必要に応じて、更にポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の公知のマット剤、アニオン系やノニオン系などの公知の界面活性剤などを添加してもよい。
(5)易接着性層の形成方法
本発明の易接着性層の形成方法としては、易接着性を有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法や塗布による方法があるが、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(6)物性
本発明における易接着性層の厚みには特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であることで必要とする易接着性が得られやすく、8μm以下であることで面状をより良好に維持することができる。
また、本発明における易接着性層は、ポリエステルフィルムとの間に着色層(特に反射層)が配置された場合の該着色層の効果を損なわない観点から、透明性を有していることが好ましい。
−紫外線吸収層−
本発明のポリエステルフィルムには、上記の紫外線吸収剤を含む紫外線吸収層が設けられてもよい。紫外線吸収層は、ポリエステルフィルム上の任意の位置に配置することができる。
紫外線吸収剤は、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースエステル樹脂等とともに、溶解、分散させて用いることが好ましく、400nm以下の光の透過率を20%以下にするのが好ましい。
−着色層−
本発明のポリエステルフィルムには、着色層を設けることができる。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。
着色層の第一の機能は、入射光のうち太陽電池セルで発電に使われずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることにある。第二の機能は、太陽電池モジュールをオモテ面側から見た場合の外観の装飾性を向上することにある。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートに着色層を設けることにより装飾性を向上させることができる。
(1)顔料
本発明における着色層は、顔料の少なくとも1種を含有することができる。顔料は、2.5〜8.5g/mの範囲で含有されるのが好ましい。より好ましい顔料含有量は、4.5〜7.5g/mの範囲である。顔料の含有量が2.5g/m以上であることで、必要な着色が得られやすく、光の反射率や装飾性をより優れたものに調整することができる。顔料の含有量が8.5g/m以下であることで、着色層の面状をより良好に維持することができる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これら顔料のうち、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からは、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどが好ましい。
顔料の平均粒径としては、0.03〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.15〜0.5μm程度が好ましい。平均粒径が前記範囲内であると、光の反射効率が低下する場合がある。
入射した太陽光を反射する反射層として着色層を構成する場合、顔料の反射層中における好ましい添加量は、用いる顔料の種類や平均粒径により変化するため一概には言えないが、1.5〜15g/mが好ましく、より好ましくは3〜10g/m程度である。添加量は、1.5g/m以上であることで必要な反射率が得られやすく、15g/m以下であることで反射層の強度をより一層高く維持することができる。
(2)バインダー
本発明における着色層は、バインダーの少なくとも1種を含有することができる。バインダーを含む場合の量としては、前記顔料に対して、15〜200質量%の範囲が好ましく、17〜100質量%の範囲がより好ましい。バインダーの量は、15質量%以上であることで着色層の強度を一層良好に維持することができ、200質量%以下であることで反射率や装飾性が低下する。
着色層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。バインダーは、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものが挙げられる。
前記ポリオレフィンの例としては、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)などが挙げられる。前記アクリル樹脂の例としては、ジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)などが挙げられる。前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
(3)添加剤
本発明における着色層には、バインダー及び顔料以外に、必要に応じて、さらに架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。架橋剤の着色剤中における添加量は、着色層のバインダーあたり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、着色層の強度や接着性を高く維持することができ、また50質量%以下であることで、塗布液のポットライフをより長く維持することができる。
界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を利用することができる。界面活性剤の添加量は、0.1〜15mg/mが好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/mが好ましい。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m以上であることでハジキの発生が効果的に抑制され、また、15mg/m以下であることで接着性に優れる。
さらに、着色層には、上記の顔料とは別に、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。フィラーの添加量は、着色層のバインダーあたり20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーを含むことにより、着色層の強度を高めることができる。また、フィラーの添加量が20質量%以下であることで、顔料の比率が保てるため、良好な光反射性(反射率)や装飾性が得られる。
(4)着色層の形成方法
着色層の形成方法としては、顔料を含有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法、ポリエステルフィルム成形時に着色層を共押出しする方法、塗布による方法等がある。このうち、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いられる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。しかし、環境負荷の観点から、水を溶媒とすることが好ましい。
溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(5)物性
着色層は、白色顔料を含有して白色層(光反射層)として構成されることが好ましい。反射層である場合の550nmの光反射率としては、75%以上であるのが好ましい。反射率が75%以上であると、太陽電池セルを素通りして発電に使用されなかった太陽光をセルに戻すことができ、発電効率を上げる効果が高い。
白色層(光反射層)の厚みは、1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、更に好ましくは1.5〜10μm程度である。膜厚が1μm以上である場合、必要な装飾性や反射率が得られやすく、20μm以下であると面状が悪化する場合がある。
−下塗り層−
本発明のポリエステルフィルムには、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、例えば、着色層が設けられるときには、着色層とポリエステルフィルムとの間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、バインダー、架橋剤、界面活性剤等を用いて構成することができる。
下塗り層中に含有するバインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。下塗り層には、バインダー以外にエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。
下塗り層を塗布形成するための方法や用いる塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターを利用することができる。前記溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
塗布は、2軸延伸した後のポリエステルフィルムに塗布してもよいし、1軸延伸後のポリエステルフィルムに塗布してもよい。この場合、塗布後に初めの延伸と異なる方向に更に延伸してフィルムとしてもよい。さらに、延伸前のポリエステルフィルムに塗布した後に、2方向に延伸してもよい。
下塗り層の厚みは、0.05μm〜2μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1.5μm程度の範囲が好ましい。膜厚が0.05μm以上であることで必要な接着性が得られやすく、2μm以下であることで、面状を良好に維持することができる。
−フッ素系樹脂層・ケイ素系樹脂層−
本発明のポリエステルフィルムには、フッ素系樹脂層及びケイ素系(Si系)樹脂層の少なくとも一方を設けることが好ましい。フッ素系樹脂層やSi系樹脂層を設けることで、ポリエステル表面の汚れ防止、耐候性向上が図れる。具体的には、特開2007−35694号公報、特開2008−28294号公報、WO2007/063698明細書に記載のフッ素樹脂系塗布層を有していることが好ましい。
また、テドラー(DuPont社製)等のフッ素系樹脂フィルムを張り合わせることも好ましい。
フッ素系樹脂層及びSi系樹脂層の厚みは、各々、1μm以上50μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは1μm以上40μm以下の範囲が好ましく、更に好ましくは1μm以上10μm以下である。
−無機層−
本発明のポリエステルフィルムは、更に、無機層が設けられた形態も好ましい。無機層を設けることで、ポリエステルへの水やガスの浸入を防止する防湿性やガスバリア性の機能を与えることができる。無機層は、ポリエステルフィルムの表裏いずれに設けてもよいが、防水、防湿等の観点から、ポリエステルフィルムの電池側基板と対向する側(前記着色層や易接着層の形成面側)とは反対側に好適に設けられる。
無機層の水蒸気透過量(透湿度)としては、10g/m・d〜10−6g/m・dが好ましく、より好ましくは10g/m・d〜10−5g/m・dであり、さらに好ましくは10g/m・d〜10−4g/m・dである。
このような透湿度を有する無機層を形成するには、下記の乾式法が好適である。
乾式法によりガスバリア性の無機層(以下、ガスバリア層ともいう。)を形成する方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着、及びこれらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。中でも、真空下で蒸着法により膜形成する真空蒸着法が好ましい。
ここで、ガスバリア層を形成する材料が無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、無機ハロゲン化物、無機硫化物などを主たる構成成分とする場合は、形成しようとするガスバリア層の組成と同一の材料を直接揮発させて基材などに堆積させることも可能であるが、この方法で行なう場合には、揮発中に組成が変化し、その結果、形成された膜が均一な特性を呈さない場合がある。そのため、1)揮発源として、形成するバリア層と同一組成の材料を用い、無機酸化物の場合は酸素ガスを、無機窒化物の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に補助的に導入しながら揮発させる方法、2)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させながら、無機酸化物の場合は酸素ガスを、無機窒化物の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に導入し、無機物と導入したガスを反応させながら基材表面に堆積させる方法、3)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、それを無機酸化物の場合は酸素ガス雰囲気下、無機窒化物の場合は窒素ガス雰囲気下、無機酸窒化物の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガス雰囲気下、無機ハロゲン化物の場合はハロゲン系ガス雰囲気下、無機硫化物の場合は硫黄系ガス雰囲気下で保持することにより無機物層と導入したガスを反応させる方法、等が挙げられる。
これらのうち、揮発源から揮発させることが容易であるという点で、2)又は3)がより好ましく用いられる。さらには、膜質の制御が容易である点で2)の方法が更に好ましく用いられる。また、バリア層が無機酸化物の場合は、揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、空気中で放置することで、無機物群を自然酸化させる方法も、形成が容易であるという点で好ましい。
また、アルミ箔を貼り合わせてバリア層として使用することも好ましい。厚みは、1μm以上30μm以下が好ましい。厚みは、1μm以上であると、経時(サーモ)中にポリエステルフィルム中に水が浸透し難くなって加水分解を生じ難く、30μm以下であると、バリア層の厚みが厚くなり過ぎず、バリア層の応力でフィルムにベコが発生することもない。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1〜29、比較例1〜7)
<ポリエステルフィルムの作製>
−1.触媒溶液の調製−
まず、市販の塩基性塩化アルミニウム水溶液(Al換算濃度=14.6質量%、塩素イオン=12.1質量%、pH=3.1、塩基度=59%)を、空間速度2にて酢酸型アニオン交換樹脂カラムに通液して塩基性酢酸アルミニウム水溶液を得た。該水溶液の分析値は、Al=12.5質量%、酢酸イオン=17.5質量%、pH=3.8、塩基度=60.5%であった。塩基性酢酸アルミニウム水溶液にエチレングリコール(EG;以下同様)を容量比で1:1になるように添加・混合し、60℃、減圧下で水を置換・除去し、塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリコール溶液を得た。
続いて、リン化合物としてIrganox 1222(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)をエチレングリコールと共にフラスコに仕込み、窒素置換下、攪拌しながら液温160℃で25時間加熱し、50g/lのリン化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
そして、得られた塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリコール溶液とリン化合物のエチレングリコール溶液とをフラスコに仕込み、室温下、アルミニウム原子とリン原子がモル比で1:2となるように混合して1日攪拌し、触媒溶液を得た。
−2.ポリエステルペレットの作製−
(1)Al触媒PET
2リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールとを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下250℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を行ない、エステル化率が約95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びオリゴマーの混合物を得た。この混合物に重縮合触媒として上記で得た触媒溶液を用い、ポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子及びリン原子を、それぞれ0.014モル%、0.028モル%になるように加えた。その後、窒素雰囲気下、常圧にて250℃で10分間攪拌した。次いで、60分間かけて280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)とし、さらに280℃、13.3Paで溶融重合(重縮合反応)を行なった。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングしてシリンダ形状のポリエステルペレットを作製した。
次に、溶融重合で得られたポリエステルペレットを、減圧乾燥(13.3Pa以下、80℃、12時間)した後、結晶化処理(13.3Pa以下、130℃で3時間、さらに13.3Pa以下、160℃で3時間)を行なった。放冷後、得られたポリエステルペレットを固相重合反応器に投入し、器内の系を13.3Pa以下、220℃に保ちながら固相重合反応を行なわせ、IVが0.73のポリエステルペレット(実施例1〜3、比較例1〜2の原料樹脂)を得た。
また、上記の溶融重合時間、温度、及び固相重合時の温度、時間を適宜変更することによって、実施例4〜29、比較例3〜6の原料樹脂の末端カルボキシル基の濃度(AV)、固有粘度(IV)を下記表1に示すように調整した。なお、IV及びAVの測定は以下に示す方法により行なった。
(2)Sb触媒PET
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部とを、エステル交換触媒として酢酸カルシウム1水塩及び酢酸マグネシウム4水塩を使用して、常法にしたがってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェートを添加し、実質的にエステル交換反応を終了させた。更に、チタニウムテトラブトキサイドと三酸化アンチモンを添加した。その後、高温高真空下で常法にしたがって重縮合を行ない、固有粘度(IV)=0.63、末端カルボキシル基の濃度(AV)=23当量/トンのポリエチレンテレフタレート(比較例7の原料樹脂)のポリエステルペレットを得た。なお、IV及びAVの測定は以下に示す方法により行なった。
−3.押出成形−
PET原料樹脂として、上記のように固相重合を終えたポリエステルペレットあるいは該ポリエステルペレット及びPET回収屑を用い、このPET原料樹脂を含水率20ppm以下に乾燥させた後、下記表1に示す温度に調温し、1軸混練押出機のホッパーに投入し、280℃で溶融して押出した。この溶融体(以下、メルトという。)をギアポンプ、濾過器(孔径20μm)を通した後、下記の押出条件でダイから冷却(チル)ロールに押出した。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
なお、ポリエステルペレットには、Tg:76℃、平均長径:3〜5mm、平均短径:1.5〜2.5mm、平均長さ:4.0〜5.0mmのサイズのものを用いた。また、実施例12〜29で用いるPET回収屑としては、Tg:76℃、サイズが厚さ50〜600μm、嵩比重0.40〜0.60であるポリエステルフィルムの粉砕屑〔IV:=0.78〜0.80(ポリエステルペレットとのIV値の差=0.02〜0.05)、末端COOH量:14〜15eq/トン〕を用いた。
混練押出機は、図1に示すように、φ280、L/D=36のフルフライト単軸スクリュを備えている。この押出機のスクリュの各部の長さは、原料供給部:スクリュ圧縮部:計量部=12D:12D:12Dであり、吐出量(Q/N)の理論最大吐出量は2500kg/h/rpmである。また、混練押出機のシリンダの外壁には、スクリュの各部(原料供給部、スクリュ圧縮部、計量部)に圧力計が取り付けられており、スクリュが回転している押出時において、圧力計によりスクリュ溝の長手方向をスキャンし、溝部の内圧を計測できるようになっている。押出時はスクリュが回転しているため、見かけ上圧力計はスクリュ溝幅方向(スクリュフライト間の最短距離方向)をスキャン(計測)する。なお、圧力計には、温度検出機能も付いており、壁面部樹脂の局所発熱温度を検出することが可能である。
<押出条件とその調整>
(a)投入直前の樹脂温度と酸素濃度
投入直前の樹脂を予熱することで、樹脂温度Tを下記表1に示す温度〔(Tg-30)℃ ≦T≦(Tg+80)℃〕に調整した。また、投入樹脂の真空吸引及び窒素パージにより、下記表1に示す押出機投入口の酸素濃度を制御した。
(b)押出吐出量(Q/N)/理論最大吐出量の比
スクリュの回転数、使用樹脂の嵩比重、スクリュ出口の背圧、樹脂メルト温度の制御により、下記表1に示すように、理論最大吐出量に対する押出吐出量(Q/N)の比率を調整した。
(c)押出機内の最大剪断速度
押出機スクリュの回転速度、及び樹脂温度の制御により、下記表1に示す剪断速度に調整した。なお、剪断速度γ及び最大剪断応力σは、下記の式(1)、(2)により求めることができる。
式(1):γ=π・D・N/60h
式(2):σ=γ×η=(π・D・N/60h)×η
σ:最大剪断応力[Pa]
γ:剪断速度[s−1
η:粘度[Pa・s]
D:スクリュ径[mm]
N:スクリュ回転数[rpm]
h:フライトクリアランス[mm]
(d)ダイからメルトの押出
押出機の吐出量、ダイのスリット高さを調整した。押出したメルトの冷却速度は、冷却キャストドラムの温度、及び冷却キャストドラムに対面して設置された補助冷却装置から吹き出した冷風の温度と風量を調整し、表1の平均冷却速度に調整した。なお、上記の冷却速度は、押し出されたメルト膜状物の140℃〜230℃領域においての平均の冷却速度である。
(e)メルトの冷却速度
冷却キャストドラムの温度、及び冷却キャストドラムに対面して設置された補助冷却装置から吹き出した冷風の温度と風量を調整し、メルト膜状物にあてて冷却を促進させることで、下記表1に示す冷却速度に調整した。さらに、吐出されたメルトに表1に示す微細な厚みムラが付与されることで、メルトとキャストロールへの密着が改善され、冷却効率が向上し、冷却速度が達成される。なお、冷却速度は、押し出されたメルト膜状物の温度が230℃になった時点から140℃になるまでの領域で求めた。
−4.延伸−
上記方法で冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、下記表1に記載の厚みのフィルムを得た。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を95℃、延伸温度を95℃、延伸倍率を3.6倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
・予熱温度:110℃
・延伸温度:130℃
・延伸倍率:4.0倍
・延伸速度:150%/秒
−5.熱固定・熱緩和−
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。更に、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
<熱工程条件>
・熱固定温度:215℃
・熱固定時間:3秒
<熱緩和条件>
・熱緩和温度:210℃
・熱緩和率 :4%
−6.巻き取り−
熱固定及び熱緩和の後、両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は4.8m、巻長は2000mであった。
以上のようにして、本発明及び比較用のPETフィルム(以下、サンプルフィルムという。)を作製した。
−7.フィルムの評価−
以上のようにして作製した各サンプルフィルム(PETフィルム)について、以下の方法により、厚み及び厚みムラ、IV、末端COOH量(AV)、破断伸度保持時間、異物、耐電圧を測定し、評価した。測定結果は、下記表1に示す。
(IV値)
IVは、1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(=2/3[質量比])混合溶媒中の30℃での溶液粘度から求めた。
(末端COOH量)
サンプルフィルムであるポリエステルをベンジルアルコール/クロロホルム(=2/3;体積比)の混合溶液に完全溶解させ、指示薬としてフェノールレッドを用い、これを基準液(0.025N KOH−メタノール混合溶液)で滴定し、その適定量から末端カルボン酸基量(eq/t(当量/トン);=末端COOH量)を算出した。
(破断伸度保持時間=耐加水分解性=)
各サンプルフィルムに対し、120℃、100%RHで10〜300時間[hr]の範囲を10時間間隔にてサーモ処理を実施した後、サーモ処理後の各サンプルの破断伸度とサーモ処理前の各サンプルの破断伸度とを測定し、得られた測定値をもとに、サーモ処理後の破断伸度をサーモ処理前の破断伸度で除算し、各サーモ処理時間での破断伸度保持率を下記式から求めた。横軸にサーモ時間、縦軸に破断伸度保持率をとってプロットし、これを結んで破断伸度保持率が50%になるまでの熱処理の時間(hr;破断伸度保持率半減期)を求めた。
破断伸度(%)は、ポリエステルフィルムから、1cm×20cmの大きさのサンプル片を切り出し、このサンプル片をチャック間5cm、20%/分にて引っ張って求めた。
破断伸度保持率半減期は、その時間が長いほどポリエステルフィルムの耐加水分解性に優れることを示し、破断伸度保持率を50%以上保てることが耐加水分解性として実用上許容できる範囲である。
破断伸度保持率[%]=(サーモ処理後の破断伸度)/(サーモ処理前の破断伸度)×100
(異物)
製膜した2軸延伸サンプルフィルムに対し、CCDカメラ又はベース面状投影機(反射光、透過光にて角度を変えて検査)を用いてフィルム中の異物を検出した後、拡大画像を撮影し、画像処理装置を用いて異物を観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:異物の発生は全くみられなかった。
○:僅かに異物の発生がみられたが、実用上許容可能な程度であった。
△:異物の発生がみられた。
×:異物の発生が顕著であった。
(厚みムラ)
サンプルフィルムの全幅に亘り35mm幅でサンプリングした(TDサンプル)。また、幅方向中央部を、フィルム長手方向に沿って35mm幅で2m長に亘りサンプリングした(MDサンプル)。TDサンプル、MDサンプルを連続厚み計(FILM THICKNESS TESTER KG601A、ANRITSU(アンリツ電気(株)製)で測定し、(最大値−平均値)及び(平均値−最小値)の平均を厚みムラ変動値とした。下記表1に示す厚みムラは、下式より求めた。
厚みムラ[%] = 厚みムラ変動値/厚みの平均値×100
(耐電圧特性)
各サンプルフィルムに対し、120℃、100%RHで100時間のサーモ処理を行ない、サーモ処理前とサーモ処理後のサンプルフィルムを用い、JIS規格C2151に記載のDC試験のうち平板電極法に準拠して、ITS−6003(東京精電株式会社製)を用いて、0.1kV/secの昇圧速度で測定し、破壊時の電圧(絶縁破壊電圧)を測定した。測定はn=50で行い、平均値を耐電圧値とした。なお、測定は25℃の室温で実施した。
サーモ前後の電圧保持率[%]=(サーモ処理後の耐電圧)/(サーモ処理前の耐電圧)×100
<バックシートの作製>
上記より得られた各々のサンプルフィルムの片面に、下記の(i)反射層と(ii)易接着性層とをこの順に塗設した。
(i)反射層(着色層)
まず初めに、下記組成の諸成分を混合し、ダイノミル型分散機により1時間分散処理して顔料分散物を調製した。
<顔料分散物の処方>
・二酸化チタン ・・・39.9部
(タイペークR−780−2、石原産業(株)製、固形分100%)
・ポリビニルアルコール ・・・8.0部
(PVA−105、(株)クラレ製、固形分10%)
・界面活性剤(デモールEP、花王(株)製、固形分:25%)・・・0.5部
・蒸留水 ・・・51.6部
次いで、得られた顔料分散物を用い、下記組成の諸成分を混合することにより反射層形成用塗布液を調製した。
<反射層形成用塗布液の処方>
・上記の顔料分散物 ・・・80部
・ポリアクリル樹脂水分散液 ・・・19.2部
(バインダー:ジュリマーET410、日本純薬工業(株)製、固形分:30質量%)・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・3.0部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・2.0部
(エポクロスWS−700、(株)日本触媒製、固形分:25質量%)
・蒸留水 ・・・7.8部
上記より得られた反射層形成用塗布液をサンプルフィルムにバーコーターにより塗布し、180℃で1分間乾燥して、二酸化チタン塗布量が6.5g/mの反射層(白色層)を形成した。
(ii)易接着性層
下記組成の諸成分を混合して易接着性層用塗布液を調製し、これをバインダー塗布量が0.09g/mになるように反射層の上に塗布した。その後、180℃で1分間乾燥させ、易接着性層を形成した。
<易接着性層用塗布液の組成>
・ポリオレフィン樹脂水分散液 ・・・5.2部
(バインダー:ケミパールS75N、三井化学(株)製、固形分:24質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・7.8部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・オキサゾリン化合物 ・・・0.8部
(エポクロスWS−700、(株)日本触媒製、固形分25質量%)
・シリカ微粒子水分散物 ・・・2.9部
(アエロジルOX−50、日本アエロジル(株)製、固形分:10質量%)
・蒸留水 ・・・83.3部
次に、サンプルフィルムの反射層及び易接着性層が形成されている側と反対側の面に、下記の(iii)下塗り層、(iv)バリア層、及び(v)防汚層をサンプルフィルム側から
順次、塗設した。
(iii)下塗り層
下記組成の諸成分を混合して下塗り層用塗布液を調製し、この塗布液をサンプルフィルムに塗布し、180℃で1分間乾燥させ、下塗り層(乾燥塗設量:約0.1g/m)を形成した。
<下塗り層用塗布液の組成>
・ポリエステル樹脂 ・・・1.7部
(バイロナールMD−1200、東洋紡(株)製、固形分:17質量%)
・ポリエステル樹脂 ・・・3.8部
(ペスレジンA−520、高松油脂(株)製、固形分:30質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・1.5部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・カルボジイミド化合物 ・・・1.3部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:10質量%)
・蒸留水 ・・・91.7部
(iv)バリア層
続いて、形成された下塗り層の表面に下記の蒸着条件にて厚み800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、バリア層とした。
<蒸着条件>
・反応ガス混合比(単位:slm):ヘキサメチルジシロキサン/酸素ガス/ヘリウム=1/10/10
・真空チャンバー内の真空度:5.0×10−6mbar
・蒸着チャンバー内の真空度:6.0×10−2mbar
・冷却・電極ドラム供給電力:20kW
・フィルムの搬送速度 :80m/分
(v)防汚層
以下に示すように、第1及び第2防汚層を形成するための塗布液を調製し、バリア層の上に第1防汚層用塗布液、第2防汚層用塗布液の順に塗布し、2層構造の防汚層を塗設した。
[第1防汚層]
−第1防汚層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、第1防汚層用塗布液を調製した。
<塗布液の組成>
・セラネートWSA1070(DIC(株)製)・・・45.9部
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・7.7部
(エポクロスWS−700、(株)日本触媒製、固形分:25質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・2.0部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・反射層で用いた顔料分散物 ・・・33.0部
・蒸留水 ・・・11.4部
−第1防汚層の形成−
得られた塗布液を、バインダー塗布量が3.0g/mになるように、バリア層の上に塗布し、180℃で1分間乾燥させて第1防汚層を形成した。
[第2防汚層]
−第2防汚層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、第2防汚層用塗布液を調製した。
<塗布液の組成>
・フッ素系バインダー:オブリガード(AGCコーテック(株)製)・・・45.9部
・オキサゾリン化合物 ・・・7.7部
(エポクロスWS−700、(株)日本触媒製、固形分:25質量%;架橋剤)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・2.0部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・前記反射層用に調製した前記顔料分散物 ・・・33.0部
・蒸留水 ・・・11.4部
−第2防汚層の形成−
調製した第2防汚層用塗布液を、バインダー塗布量が2.0g/mになるように、バリア層上に形成された第1防汚層の上に塗布し、180℃で1分間乾燥させて第2防汚層を形成した。
以上のようにして、ポリエステルフィルムの一方の側に反射層及び易接着層を有し、他方の側に下塗り層、バリア層、及び防汚層を有するバックシートを作製した。
−バックシートの評価−
各層が設けられたバックシートを、サーモ処理(120℃、100%RHで100時間)した後、下記の方法で密着性を評価した。評価結果は、下記表1に示す。サーモ条件は、85℃、85%RHと比較すると、極めて過酷な条件である。
(密着性)
より過酷な条件で密着力を評価するため、バックシートを構成するサンプルフィルムの白色層及び易接着性層が塗設された側の表面(オモテ面)と、その裏側(サンプルフィルムの下塗り層、バリア層、及び防汚層が塗設された側)の表面(ウラ面)とを、各々5mm間隔で10本ずつ碁盤目状に切れ込みを入れ、各々の表面に粘着テープ(日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(No.31B))を貼り付け、碁盤目の傷に粘着剤を馴染ませるため、良く擦って2時間放置した。その後、これを一気に引き剥がして剥がれた碁盤目の数を数え、下記式より密着性の度合いを算出し、密着性を評価する指標とした。
密着性(%)=(剥離個所の個数)/(全碁盤目の数)×100
なお、下記表1には、オモテ面の密着性とウラ面の密着性の平均値を示した。密着性は、20%以下が実用上許容できる範囲である。
<評価基準>
◎:密着性は5%以下であった。
○:密着性は5%を超え、10%以下であった。
△:密着性は10%を超え、20%以下であった。
×:密着性は20%を超えていた。
<太陽電池モジュールの作製>
上記のようにして作製したバックシートの各々を用い、特開2009−158952号公報の図2に示す構造になるように透明充填剤(EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体;封止剤))に貼り合わせ、30cm角の太陽電池モジュールを作製した。このとき、バックシートの易接着性層が、太陽電池素子を包埋する透明充填剤に接するように貼り付けた。
前記表1に示すように、実施例では、破断伸度半減に至る時間が長く、高い耐加水分解性を示しており、太陽電池モジュールの電池側基板に配された太陽電池素子を封止する封止材(樹脂材料)との間の密着性に優れていた。また、耐電圧性も良好であった。これより、本発明のポリエステルフィルムは、例えば屋外等の高温、高湿環境や曝光下に長期に亘っておかれる用途でも、高い耐久性能を長期間発揮することができる。
これに対し、比較例では、破断伸度が大きく低下しやすく耐加水分解性の点で大きく劣っていた。これに伴ない、密着性が悪く、耐電圧性も良好に維持できなかった。
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、太陽電池モジュールを構成する裏面シート(太陽電池素子に対し太陽光の入射側と反対側に配置されるシート;いわゆるバックシート)の用途に好適に用いられる。
1・・・バックシート
2・・・封止剤
3・・・太陽電池素子
5・・・スクリュ
6・・・シリンダ
7・・・ホッパー
8・・・原料樹脂

Claims (11)

  1. アルミニウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合触媒として含むと共に極限粘度が0.71〜0.90であるポリエステル原料樹脂を、押出機の吐出量(Q/N;Qは単位時間当たりの押出量[kg/hr]を表し、Nはスクリュ回転数[rpm]を表す。)を理論最大吐出量の50%〜80%として、押出機により溶融押出する押出工程と、
    溶融押出されたポリエステル樹脂をキャストロール上で冷却固化することにより未延伸フィルムを形成する未延伸フィルム形成工程と、
    形成された未延伸フィルムを縦方向及び横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、
    二軸延伸して形成された延伸フィルムを熱固定する熱固定工程と、
    を有するポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 前記押出工程は、前記押出機の内部で発生する最大剪断応力(σ)が1〜1000KPaである範囲で溶融押出する請求項1に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 前記押出工程は、前記押出機内の酸素濃度を0〜500ppmの範囲とし、前記押出機内のスクリュ圧縮部と計量部とにおける平均滞留時間を30〜120秒として溶融押出する請求項1又は請求項2に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 前記ポリエステル原料樹脂の末端カルボン酸基の量が8〜25eq/トン以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 前記ポリエステル原料樹脂を、下記式
    Tg−30℃ ≦ポリエステル樹脂の温度(℃)≦ Tg+80℃
    〔Tg:ガラス転移温度〕
    を満たす温度範囲に調節して前記押出機に投入する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 前記未延伸フィルム形成工程は、前記押出機から溶融押出されたポリエステル樹脂の温度が140℃〜230℃である領域において、平均冷却速度を230℃/分〜500℃/分の範囲として冷却固化する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 前記ポリエステル原料樹脂は、全質量に対して0質量%超10質量%以下の範囲のポリエステル樹脂の回収屑を含み、前記回収屑の極限粘度と、前記回収屑以外の原料樹脂の極限粘度との差が0.01〜0.2である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法により作製されたポリエステルフィルム。
  9. 重合触媒由来のアルミニウム及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、極限粘度が0.71〜0.90であり、温度120℃、相対湿度100%の雰囲気下で湿熱処理した後の破断伸度が前記湿熱処理前の破断伸度に対して50%となる時間が65〜150時間である請求項8に記載のポリエステルフィルム。
  10. 請求項8又は請求項9に記載のポリエステルフィルムを含む太陽電池用バックシート。
  11. 請求項8又は請求項9に記載のポリエステルフィルムを備えた太陽電池モジュール。
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