JP2012049424A - 太陽電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明の太陽電池及びその製造方法によれば、高濃度拡散層と低濃度拡散層とを有するセレクティブエミッタ層を有する太陽電池を簡便に製造することができ、容易に低オーミックコンタクトが形成でき、高い少数キャリヤ寿命を維持することで、高性能の太陽電池及びその製造方法を提供することができる。
【選択図】なし
Description
請求項1:
シリコン基板の受光面側に、基板の導電型と反対のドーパント拡散層が形成され、受光面電極が前記ドーパント拡散層と電気的に接続する太陽電池において、前記受光面電極が電気的に接続するドーパント拡散層領域がドーパント高濃度拡散層を構成し、他のドーパント拡散層領域が前記ドーパント高濃度拡散層よりドーパント濃度が低いドーパント低濃度拡散層を構成すると共に、前記ドーパント高濃度拡散層をなすドーパント拡散層領域がシリコンダメージ層にて形成されていることを特徴とする太陽電池。
請求項2:
前記シリコンダメージ層がサンドブラストによって形成された請求項1記載の太陽電池。
請求項3:
受光面電極のドーパント拡散層と接続する部分と、その直下に形成され、ドーパント高濃度拡散層をなすシリコンダメージ層の上記受光面電極と接続する部分とが、同じ幅に形成された請求項1又は2記載の太陽電池。
請求項4:
前記シリコンダメージ層の深さが0.1〜20μmである請求項1乃至3のいずれか1項記載の太陽電池。
請求項5:
シリコン基板の受光面側の受光面電極配置位置に対応した領域にシリコンダメージ層を形成した後、該シリコン基板の受光面側に基板の導電型と反対のドーパントを含む塗布剤を塗布し、熱処理を行うことにより、前記シリコンダメージ層が形成された領域にドーパントを高濃度で拡散させてドーパント高濃度拡散層を形成すると共に、前記シリコンダメージ層が形成されていない領域に前記ドーパント高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低いドーパント低濃度拡散層を形成し、その後シリコン基板の受光面側に受光面電極を前記ドーパント高濃度拡散層と電気的に接続するように形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
請求項6:
前記シリコンダメージ層をサンドブラストにて形成する請求項5記載の太陽電池の製造方法。
請求項7:
受光面電極のドーパント拡散層と接続されるべき部分に対応した位置で該部分と同じ幅に開口したマスクを用いて該開口部のみにシリコンダメージ層を形成した後、上記ドーパントを含む塗布剤を塗布し、熱処理を行って、受光面電極のドーパント拡散層と接続する部分と、その直下に形成され、ドーパント高濃度拡散層をなすシリコンダメージ層の上記受光面電極と接続する部分とを同じ幅に形成する請求項5又は6記載の太陽電池の製造方法。
請求項8:
前記シリコンダメージ層を0.1〜20μmの深さで形成する請求項5乃至7のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
(1)図4(A)において、シリコン基板101はn型でもp型でも本手法を用いてp型拡散層の濃度差を与えることができるが、p型セレクティブエミッタ層を形成する本発明においてはn型基板を使用する。このシリコン単結晶基板はチョクラルスキー(CZ)法及びフロートゾーン(FZ)法のいずれの方法によって作製されていてもよい。シリコン基板の比抵抗は、高性能の太陽電池を作る点から、0.1〜20Ω・cmが好ましく、0.5〜2.0Ω・cmがより好ましい。シリコン基板としては、リンドープn型単結晶シリコン基板が好ましい。リンドープのドーパント濃度は1×1015cm-3〜5×1016cm-3が好ましい。
シリコン基板101を、例えば水酸化ナトリウム水溶液に浸し、シリコン基板を形成した際のダメージ層をエッチングで取り除く。この基板のダメージ除去は、水酸化カリウム等強アルカリ水溶液を用いてもよく、フッ硝酸等の酸水溶液でも同様の目的を達成することが可能である。ダメージエッチングを行った基板にランダムテクスチャを形成する。太陽電池は通常、表面に凹凸形状を形成するのが好ましい。その理由は、可視光域の反射率を低減させるために、できる限り2回以上の反射を受光面で行わせる必要があるためである。これら一つ一つの山のサイズは1〜20μm程度が好ましい。代表的な表面凹凸構造としてはV溝、U溝が挙げられる。これらは、研削機を利用して形成可能である。また、ランダムな凹凸構造を作るには、水酸化ナトリウムにイソプロピルアルコールを加えた水溶液に浸してウェットエッチングしたり、他には、酸エッチングやリアクティブ・イオン・エッチング等を用いることができる。なお、図では両面に形成したテクスチャ構造は微細なため省略する。
ついで、シリコン基板101には、受光面電極形成位置に対応した領域にダメージ層102を選択的に形成する。この場合、ダメージ層は特にフィンガー電極形成位置に対応して設けることが好ましい。
シリコン基板1の表面に選択的にダメージ層を形成する手法としては、サンドブラスト、レーザー、イオンインプランテーション、プラズマエッチング、酸エッチングなど、所望するダメージ層に応じて選択することが可能である。
サンドブラスト加工の一例を挙げる。サンドブラスト加工は、例えば5〜40μmの粒径である、シリコン基板よりも硬度の高いアルミナや炭化ケイ素等の砥粒を含む高圧の空気をノズル(図示せず)から対象に吹き付ける方法で、これによりシリコン基板の表面に選択的にダメージ層を形成する。ここで、選択的にダメージ層を形成する方法として、電極パターンに開口されたマスクを用いる。マスクの材料としては、ガラスマスクやメタルマスク、あるいは有機レジストなど任意のマスクを用いることができるが、コスト面や繰り返し耐久性の観点からメタルマスクを用いるのが好ましい。また、マスクの開口幅は、電極直下のみにダメージ層を形成する目的であるため、電極パターンの開口幅以下である50〜100μmとすることが望ましい。この場合、図2におけるマスク12を用いて選択的に所定の箇所にサンドブラストする際に、予め受光面電極6(602)と高濃度p型拡散層3(302)を形成する位置を決めておき、その位置を所定の箇所として、ダメージ層を形成するという工程を得て直下に形成される。特に、受光面電極のドーパント拡散層と接続する部分と、その直下に形成されドーパント高濃度拡散層をなすダメージ層の受光面電極と接続する部分とが同じ幅であることが好ましい。サンドブラスト加工後、シリコン基板を洗浄して表面に付着した砥粒や削られたシリコン屑等の汚れを十分除去する。
ダメージ層の評価方法としては、角度研磨したダメージ層をX線トポグラフィー測定することにより、深さ測定が可能である。
受光面側にp型セレクティブエミッタ2(高濃度p型拡散層302及び低濃度p型拡散層303)を形成する。具体的には、シリコン基板1(101)全体に酸化膜801を形成する。この酸化膜の形成方法においては、ドライ酸化やウェット酸化、またプラズマCVDによるデポなど種々の方法が利用できる。拡散マスクとして使用する酸化膜の膜厚は100〜200nmとするのが望ましい。
次に、受光面の酸化膜801をフッ酸等の薬液を用いて除去し、それ以外の面をマスクした状態にする。更に、受光面にドーパントを含む塗布剤301を塗布(図4(C))後、900〜1,000℃で熱処理を行うことでp型セレクティブエミッタを受光面に形成する。この塗布拡散はBBr3を用いた気相拡散で行ってもよい。熱処理後、シリコン基板1(101)に付いたガラス成分はガラスエッチング等により洗浄する。ドーパントはp型であればどれでもよいが、特にボロンを用いるのが好ましい。
なお、図4(D)は、p型セレクティブエミッタ形成後、ガラス層を除去した状態を示す。
同様の処理を裏面で行い、n型拡散層502を裏面に形成する。具体的には、裏面以外をシリコン酸化膜でマスク処理し、裏面にドーパントを含む塗布剤501をスクリーン印刷又はスピン塗布して熱処理を行い、n型拡散層502を形成する。この塗布拡散はPOCl3を用いた気相拡散であってもよい。熱処理後、シリコン基板1(101)に付いたガラス成分はガラスエッチング等により洗浄する。なお、図4(E)は、受光面をシリコン酸化膜801で保護し、裏面にn型ドーパントを含む塗布剤501を製膜した状態、(F)はn型拡散層502を形成後、ガラス層を除去した状態を示す。ドーパントはn型であればどれでもよいが、特にリンを用いるのが好ましい。n型拡散層5(502)の表面ドーパント濃度は、1×1018cm-3〜5×1020cm-3が好ましく、5×1018cm-3〜1×1020cm-3がより好ましい。
続いて、図4(G)に示したように、拡散層を形成したシリコン基板は酸素雰囲気下で800〜1,000℃で0.5〜2時間処理して、パッシベーション膜となるシリコン酸化膜801を形成する。シリコン酸化膜801の膜厚は3〜30nmが好ましい。
引き続き、図4(H)に示したように、ダイレクトプラズマCVD装置を用い、シリコン基板の受光面及び裏面となるシリコン酸化膜801上に反射防止効果のあるシリコン窒化膜901を堆積する。この膜厚は、50〜200nm、特に50〜150nmが好ましい。他の反射防止膜として酸化膜、二酸化チタン膜、酸化亜鉛膜、酸化スズ膜等があり、代替が可能である。また、形成法も上記以外にリモートプラズマCVD法、コーティング法、真空蒸着法等があるが、経済的な観点から、上記、シリコン窒化膜をプラズマCVD法によって形成するのが好適である。
スクリーン印刷装置等を用い、受光面側及び裏面側に、例えば銀からなるペーストを、スクリーン印刷装置を用いてp型高濃度拡散層及びn型拡散層上に印刷し、櫛形電極パターン状に塗布して乾燥させる(601,701)。最後に、焼成炉において、500〜900℃で1〜30分焼成を行い、前記p型拡散層及びn型拡散層と電気的に接続する受光面電極602、裏面電極702を形成する。この場合、焼成中に電極ペースト中のガラスフリットがシリコン窒化膜801、及びシリコン酸化膜901をファイアスルーすることにより、電極と拡散層との電気的な導通が達成される(図4(I)、(J))。
図4及び表1に示す製造方法フローチャートにより、図1に示す太陽電池を製造した。
結晶面方位(100)、15.65cm角200μm厚、アズスライス比抵抗2Ω・cm(ドーパント濃度7.2×1015cm-3)リンドープn型単結晶シリコン基板を、水酸化ナトリウム水溶液に浸してダメージ層をエッチングで取り除き、水酸化カリウム水溶液にイソプロピルアルコールを加えた水溶液に浸してアルカリエッチングすることでテクスチャ形成を行った。
次に、図2に示すように、サンドブラスト加工を受光面に対して選択的に行い、ダメージ層を形成した。具体的には、フィンガー電極に対応する開口は100μmとし、バスバー電極に対応する開口は2.0mmとしたメタルマスクを使用した。砥粒は10μmの炭化ケイ素を用い、0.1MPaの加工圧力で20秒間吹き付けを行った。その後表面に残った砥粒やシリコン屑をフッ酸溶液や超音波装置を用いて洗浄した。
ダメージ層を形成したウェハー表面を角度研磨して、X線トポグラフでダメージ層の深さを測定したところ、5μmであった。
再度、シリコン基板表面にシリコン酸化膜を形成し、裏面にリンドーパントを含む塗布剤501を塗布した後に、900℃、1時間熱処理を行い、n型拡散層502を裏面全体に形成した。
酸化熱処理後のn型拡散層502、p型高濃度拡散層302、p型低濃度拡散層303におけるドーパント濃度は、それぞれ7.8×1019cm-3、3.2×1019cm-3、4.8×1018cm-3であった。なお、ドーパント濃度は、SIMS測定で分析を行った。
引き続き、ダイレクトプラズマCVD装置を用い、受光面側及び裏面側のシリコン酸化膜801上にシリコン窒化膜901を積層した。この膜厚は共に80nmであった。
受光面側及び裏面側にそれぞれ銀ペーストを電極印刷し、乾燥後800℃で20分焼成を行い、受光面電極6(602)及び裏面電極7(702)を形成した。この場合、焼成中に電極ペースト中のガラスフリットがシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜をファイアスルーすることにより、電極と拡散層との電気的な導通が達成された。
図5及び表2に示す製造方法フローチャートにより、太陽電池を製造した。
サンドブラスト加工に関連するp型セレクティブエミッタ形成工程以外は上記実施例と同様の処理を行い、通常の拡散工程においてp型セレクティブエミッタを形成した。
まず、テクスチャ形成後のシリコン基板の受光面に高濃度p型拡散層302を選択的に形成した。具体的には、シリコン基板101の全面にダイレクトプラズマCVD装置を用いて酸化膜801を形成した。次に、受光面の電極形成領域の酸化膜801をフォトリソグラフィ技術により除去し、受光面全体にボロンドーパントを含む塗布剤301を塗布した後に、1,000℃、1時間熱処理して、高濃度p型拡散層302を形成した。熱処理後、基板のガラス成分は高濃度フッ酸溶液により除去後、洗浄した。
同様に、受光面に低濃度p型拡散層303を形成した。具体的には、シリコン基板101全面にダイレクトプラズマCVD装置を用いて酸化膜801を形成し、受光面の酸化膜のみフッ酸等の薬液を用いて除去後、受光面にボロンドーパントを含む塗布剤をスピン塗布して、950℃、1時間熱処理を行った。熱処理後、基板に付いたガラス成分は高濃度フッ酸溶液により除去後、洗浄した。
次に、裏面側に低濃度n型拡散層502を形成した。具体的には、シリコン基板101全面にダイレクトプラズマCVD装置を用いて酸化膜801を形成し、裏面にリンドーパントを含む塗布剤501をスピン塗布して、900℃、1時間熱処理を行った。熱処理後、基板に付いたガラス成分は高濃度フッ酸溶液等により除去後、洗浄した。
実施例の製造フローチャートを表1に、比較例の製造フローチャートを表2に示す。
なお、上記では半導体装置の一つである太陽電池について詳述したが、本発明は太陽電池だけに限定されるものでなく、面内に表面濃度の異なる拡散層を形成しなければならない、又は所望の拡散濃度を保持しなければならない他の半導体装置についても、本発明のダメージ層を用いたセレクティブエミッタ形成方法が適用できることはいうまでもない。
2 p型セレクティブエミッタ層
3 高濃度p型拡散層
4 低濃度p型拡散層
5 n型拡散層
6 受光面電極
7 裏面電極
8 シリコン酸化膜
9 シリコン窒化膜
10 ノズル
11 砥粒
12 マスク
Claims (8)
- シリコン基板の受光面側に、基板の導電型と反対のドーパント拡散層が形成され、受光面電極が前記ドーパント拡散層と電気的に接続する太陽電池において、前記受光面電極が電気的に接続するドーパント拡散層領域がドーパント高濃度拡散層を構成し、他のドーパント拡散層領域が前記ドーパント高濃度拡散層よりドーパント濃度が低いドーパント低濃度拡散層を構成すると共に、前記ドーパント高濃度拡散層をなすドーパント拡散層領域がシリコンダメージ層にて形成されていることを特徴とする太陽電池。
- 前記シリコンダメージ層がサンドブラストによって形成された請求項1記載の太陽電池。
- 受光面電極のドーパント拡散層と接続する部分と、その直下に形成され、ドーパント高濃度拡散層をなすシリコンダメージ層の上記受光面電極と接続する部分とが、同じ幅に形成された請求項1又は2記載の太陽電池。
- 前記シリコンダメージ層の深さが0.1〜20μmである請求項1乃至3のいずれか1項記載の太陽電池。
- シリコン基板の受光面側の受光面電極配置位置に対応した領域にシリコンダメージ層を形成した後、該シリコン基板の受光面側に基板の導電型と反対のドーパントを含む塗布剤を塗布し、熱処理を行うことにより、前記シリコンダメージ層が形成された領域にドーパントを高濃度で拡散させてドーパント高濃度拡散層を形成すると共に、前記シリコンダメージ層が形成されていない領域に前記ドーパント高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低いドーパント低濃度拡散層を形成し、その後シリコン基板の受光面側に受光面電極を前記ドーパント高濃度拡散層と電気的に接続するように形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
- 前記シリコンダメージ層をサンドブラストにて形成する請求項5記載の太陽電池の製造方法。
- 受光面電極のドーパント拡散層と接続されるべき部分に対応した位置で該部分と同じ幅に開口したマスクを用いて該開口部のみにシリコンダメージ層を形成した後、上記ドーパントを含む塗布剤を塗布し、熱処理を行って、受光面電極のドーパント拡散層と接続する部分と、その直下に形成され、ドーパント高濃度拡散層をなすシリコンダメージ層の上記受光面電極と接続する部分とを同じ幅に形成する請求項5又は6記載の太陽電池の製造方法。
- 前記シリコンダメージ層を0.1〜20μmの深さで形成する請求項5乃至7のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
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