JP2012048831A - 蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】石英ガラスからなり内部にキセノンを含む放電ガスが封入された発光管と、該発光管の長さ方向に形成され、誘電体を介して対向する一対の電極と、前記発光管の内面に形成された蛍光体層とを備えて、紫外線を放射する蛍光ランプにおいて、波長185nmの真空紫外光を効率よく発光する構造を提供することである。
【解決手段】発光管内面に形成される蛍光体層が、ネオジウムで付活されたLaPO蛍光体を含むことを特徴とする。
また、前記ネオジウム付活LaPO蛍光体におけるネオジウム濃度が1〜3モル%の範囲であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は蛍光ランプに関するものであり、特に、真空紫外光を放射する蛍光ランプに係わるものである。
従来、有機質不純物の分解を行う水処理装置には、特開2008−260017号公報(特許文献1)に開示されているように、低圧水銀ランプが広く利用されている。
ところで、このような水処理においては、同文献1にも記載されているように、低圧水銀ランプから放射される紫外線のうち、特に真空紫外光である波長185nmの光が有効であることも知られている。
ところが、この低圧水銀ランプにおいては、水銀の発光を利用しているために、波長254nmを中心波長とする光が発生しているので、波長185nmの真空紫外光は相対的にその発光効率が非常に低い。
図6に該低圧水銀ランプの発光波長ごとのエネルギー比が示されており、最大ピークを有する波長254nmの光のエネルギーを100%としたときの他の波長のエネルギーが相対値で示されている。
これによれば、低圧水銀ランプにおける波長185nmの光の放射は、その全発光強度から考えると、おおむね10%以下という低いものである。すなわち、低圧水銀ランプは投入電力に対して波長185nmの発光効率が極めて低く、電力の使用効率が悪いといった問題がある。
このように、低圧水銀ランプから放射される光では波長185nmの発光効率が低く、投入電力に対して効率の良い水処理ができていなかった。このような背景のもと、波長185nmの光を効率よく放射する光源が望まれていた。
また、低圧水銀ランプでは、点灯時に水銀が充分に蒸発する必要があり、当然のこととしてその特性は水銀の蒸発の状態に依存するものである。ランプを使用する周囲温度条件によっては立ち上がりが遅く発光特性が安定しないことがあり、また、高入力のランプでは発熱が大きくなってしまう。上述した水処理装置に高入力のランプを適用すると、ランプの最適水銀蒸気圧を上回ることによる185nmの発光効率の低下を回避するため、冷却設備が必要で装置が大型化するという問題がある。
特開2008−260017号公報
この発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、石英ガラスからなり内部にキセノンを含む放電ガスが封入された発光管と、該発光管の長さ方向に形成され、誘電体を介して対向する一対の電極と、前記発光管の内面に形成された蛍光体層とを備えてなる蛍光ランプにおいて、波長185nmの光を効率良く発生することができ、且つ、被照射体に対して熱影響が少なく、放射特性が安定な構造を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、この発明に係る蛍光ランプは、前記発光管内面に形成した蛍光体層が、ネオジウムで付活されたLaPO蛍光体を含むことを特徴とする。
また、前記ネオジウム付活LaPO蛍光体におけるネオジウム濃度が1〜3%の範囲であることを特徴とする。
更には、前記一対の電極のうち発光管の外側に配置された外部電極の表面上に保護層を備えていることを特徴とする。
この発明の蛍光ランプによれば、蛍光体層にネオジウム付活LaPO蛍光体を含むので、波長185nm付近にピークを有する真空紫外光を効率的に放射することができる。
特に、前記ネオジウム付活LaPO蛍光体におけるネオジウム濃度を1〜3%の範囲とすることにより、ランプに投入された電力を非常に高い効率で真空紫外光に変換することができる。
また、低圧水銀ランプのように、ランプへの入力を高入力化してもランプの185nm付近の発光効率が低下するといった問題も生じることがなく、冷却設備が小型化できるという利点もある。
本発明の蛍光ランプの断面図。 図1のB部の拡大断面図。 本発明の他の実施形態を示す蛍光ランプの断面図。 本発明の蛍光ランプの発光スペクトルの一例を示す図。 (La1−x,Nd)PO蛍光体のNd濃度(x)と発光強度の 関係を示すグラフである。 従来の低圧水銀ランプの放射波長ごとの光出力を相対値で示す図。
図1は、本発明の蛍光ランプの断面図であり、(A)は軸方向断面図、(B)はそのA−A断面図である。
図において、蛍光ランプ1は、石英ガラスからなる発光管2の外周面上に一対の外部電極3、4が対向配置されている。この外部電極3、4は管軸方向に伸びる概略帯状の形状をなし、例えば、銀(Ag)とフリットガラスを混合した銀ペーストや、金(Au)とフリットガラスを混合した金ペーストなどの導電膜より形成されている。
前記外部電極3、4上にはガラス層からなる保護膜7、8が被覆さていて、該外部電極3、4にはそれぞれリード線W1、W2が接続されており、これらが高周波電圧を発生する電源9に接続されている。
前記発光管2は、波長185nm域の真空紫外光に対して透過性の高い合成石英ガラスからなる。更に、紫外線照度維持率を良好にするため、OH基含有量の高い合成石英ガラスを使うことが好ましく、例えば、信越石英製F310が使用可能である。
そして、該発光管2内には放電ガスとして希ガスが封入されるが、希ガスとしては、キセノンのみ、或いは、キセノンと他の希ガスの混合ガスのいずれであってもよい。
図1(B)および図2に詳細が示されているように、発光管2の内面にはガラス層5がほぼ全域に広がるように形成されていて、このガラス層5の内表面上に積層されるように蛍光体層6が形成されている。なお、後述するように、発光管とガラス層の間に、一部を除いて紫外線反射膜を形成することも可能である。
前記ガラス層5は、発光管2を構成する石英ガラスに対して蛍光体層6を付着させるためのものであり、そのガラスの特性として好ましくは、軟化点が蛍光体の焼成温度(400〜900℃)範囲にあるものである。
例えば、軟質ガラスや硬質ガラスであり、好ましくは、耐熱衝撃性の良好な硬質ガラスである。具体的な材質としては、硬質ガラスの場合、ホウケイ酸ガラス(Si−B−O系ガラス、軟化点:約800℃)、アルミノケイ酸ガラス(Si−Al−O系ガラス、軟化点:約900℃)、または、これらいずれかの組成を元にアルカリ土類酸化物やアルカリ酸化物、金属酸化物を添加したガラスが好ましい。
このようなガラス層5に関しては、特開2010−56007号公報に記載されているように、蛍光体層6と発光管2の間にガラス層5を介在させることにより、蛍光体の焼成温度を低く設定することが可能で、蛍光体層6を安定的に保持することができるという作用効果を奏するものである。しかも、ガラス層5による透過率の低下を抑えられ、所期の紫外光を効率よく放射することができるランプとなる。
蛍光体層6を構成する蛍光体は、発光管内のキセノンガスのエキシマ発光により放射された172nm等の真空紫外光が照射され、これにより励起されて、波長185nmに発光ピークを有するものであって、下記の一般式で表されるネオジウムで付活されたLaPO蛍光体である。
(La1−x,Nd)PO
上記蛍光体を用いることにより、波長185nmの発光特性を最大とし、効率が極めて良好な蛍光ランプを提供することができる。
このような蛍光ランプについて具体的な数値例を挙げると、次の通りである。
発光管の全長:約300〜2000mm、管の肉厚:0.5〜2mmである。また、蛍光体層の平均厚さ:10〜20μmであり、蛍光体層と発光管の間に形成された低軟化点ガラスからなるガラス層の厚さ:1〜30μmである。
図3は、本発明の他の実施形態に係る、蛍光ランプの断面図である。発光管2の内面に紫外線反射膜10を形成し、その円周状の一部を切り欠いてアパーチャ11を形成して、該紫外線反射膜10の上に前記ガラス層5と蛍光体層6を積層形成したものである。
前記紫外線反射膜10は、ピロリン酸カルシウム(Ca)、リン酸カルシウム(Ca(PO)、ピロリン酸マグネシウム(Mg)、及び、Ba−Na−Si−O、SiO、Alのいずれかを含むものであり、これらの総量が膜の中に50%を超える範囲で含まれていることが望ましい。
この実施形態によれば、発光管2内で生成された紫外線は、該発光管内で紫外線反射膜10によって反射されつつ、アパーチャ11部分の蛍光体層6、ガラス層5をこの順に透過して発光管2の外部に指向性をもって放射される。
以下、本発明の具体例を説明する。
1.蛍光体の製法
まず、ネオジウム付活LaPO蛍光体を作製するにあたり、原材料としてLa,HPO,Ndの粉末を用いた。
この具体例では、一般式を(La1−x,Nd)PO で表したときに、
x=0.01〜0.11の組成比となるように調製を行なった。設定した化学両論比となるよう原料粉末を秤量し混合し、焼成を行った。焼成条件は、大気中(または、若干還元性ガスを混入しても良い)で1200〜1400℃で、約2h程度であった。焼成後は、粉砕を行い平均粒子径で約3〜5μmになるように分級を行った。
2.蛍光ランプの作製
図1に示す構成に基づいて外部電極型の希ガス蛍光ランプ1を製作した。発光管2は真空紫外光を透過する合成石英ガラスからなる。この合成石英ガラス製の発光管2の内表面には、低融点ガラスの粉末を被覆してガラス層5を形成し、蛍光体層6との付着性を改善している。蛍光体の塗布時には、該蛍光体をニトロセルロース入りの酢酸ブチルと混合して、蛍光体スラリーを作製し、上記の発光管内面に塗布した。
続いて、発光管2の外表面上に金、または、銀とフリットガラスを混合したペースト材をスクリーン印刷し、焼成することで外部電極3、4を形成した。更に、これらの電極3、4の上にSi−B−Oのガラス粉末をペースト状にしたものをスクリーン印刷で印刷して焼成した。こうして電極上に形成したガラス層は、電極表面の保護膜7、8として機能する。ここで用いるガラス材は膨張係数が、30×10−7(1/K)以下のものが好ましい。また、発光管2にはXeガスを21.3kPa(160Torr)封入した。
3.点灯実験
以上のように作製した蛍光体の組成が異なる蛍光ランプ1を、点灯電源9に接続し、V0−p=1700Vの矩形波を印加して点灯させ、放射される光の分光スペクトル測定を行った。測定には、分光器(ウシオ電機製、USR40およびVUV分光器)を用いた。
図4に、ネオジウムのモル濃度x=0.02(2モル%)の分光分布図を示す。
また、図5にネオジウム濃度と波長185nmの放射強度の関係を示す。なお、同図では、ネオジウム濃度が1.5モル%の蛍光体を用いたランプが、最大強度を示したため、これを100%とし、他の強度を相対値で示している。
同図に示すように、ネオジウム濃度が1〜3モル%の範囲が、おおむね70%以上の範囲にあり実用的な範囲とわかった。
以上説明したように、本発明に係る蛍光ランプによれば、蛍光体層がネオジウムで付活されたLaPO蛍光体を含むものとしたことにより、波長185nm付近にピークを有する真空紫外光を効率的に放射することができるものである。
1 蛍光ランプ
2 発光管
3、4 電極
5 ガラス層
6 蛍光体層
7、8 電極保護膜
10 紫外線反射膜
11 アパーチャ


Claims (3)

  1. 石英ガラスからなり内部にキセノンを含む放電ガスが封入された発光管と、該発光管の長さ方向に形成され、誘電体を介して対向する一対の電極と、前記発光管の内面に形成された蛍光体層とを備えてなる蛍光ランプにおいて、
    前記蛍光体層は、ネオジウムで付活されたLaPO蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 前記ネオジウム付活LaPO蛍光体におけるネオジウム濃度は1〜3モル%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
  3. 前記一対の電極のうち発光管の外側に配置された外部電極の表面上に保護膜を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光ランプ。


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