以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の実施の形態であるディジタルミキサ100のハードウエア構成を示すブロック図である。中央処理装置(CPU)101は、このミキサ全体の動作を制御する処理装置である。フラッシュメモリ102は、CPU101が実行する各種のプログラムや各種のデータなどを格納した不揮発性メモリである。ランダムアクセスメモリ(RAM)103は、CPU101が実行するプログラムのロード領域やワーク領域に使用する揮発性メモリである。表示器104は、このミキサの操作パネル上に設けられた各種の情報を表示するためのタッチパネル式のディスプレイであり、タッチ操作を検出できるものである。電動フェーダ105は、操作パネル上に設けられたレベル設定用の操作子である。操作子106は、操作パネル上に設けられたユーザが操作するための各種の操作子(電動フェーダ以外のもの)である。オーディオ入出力インターフェース(オーディオI/O)107は、外部機器との間で音響信号をやり取りするためのインターフェースである。信号処理部(DSP)108は、CPU101の指示に基づいて各種のマイクロプログラムを実行することにより、オーディオI/O107経由で入力した音響信号のミキシング処理、効果付与処理、及び音量レベル制御処理などを行い、処理後の音響信号をオーディオI/O107経由で出力する。その他I/O109は、その他の機器を接続するためのインターフェースである。バス110は、これら各部を接続するバスラインであり、コントロールバス、データバス、およびアドレスバスを総称したものである。なお、本明細書に記載されている「信号」は、特段の説明がない限り(制御信号であると説明されていない限り)、音響信号(オーディオ信号)をあらわすものである。
図2は、図1のミキサにより実現するミキシング処理の機能構成を示すブロック図である。201はマイクなどで入力したアナログ音響信号をディジタル信号に変換して入力する入力部を示す。202はディジタル音響信号の入力部を示す。これらの入力部による音響信号の入力は、それぞれ複数本(その本数は装置構成に応じた上限がある)設けることができる。入力パッチ203は、上述した入力を入力チャンネル(ch)204へ接続する任意結線を行う。その結線の設定は、ユーザが所定の画面を見ながら任意に行うことができる。入力ch204は、シングルで64chが設けられている。各入力ch204は、設定されたパラメータの値に基づいて、入力信号に対するレベル制御や周波数特性の調整処理などの各種の信号処理を行う。各入力ch204の信号は、32本のMIXバス205へ選択的に出力することができ、その送出レベルをそれぞれ独立に設定することができる。
MIXバス205の32本の各バスは、入力ch204から入力した信号をミキシングする。ミキシングされた信号は、そのMIXバスに対応する出力ch206(1〜32ch)に出力される。MIXバス205と出力ch206とは1対1の対応で各chが対応づけられている。各出力chは、設定されたパラメータの値に基づいて出力側の各種の信号処理を行う。出力ch206の出力は、出力パッチ207に入力する。出力パッチ207は、出力ch206からアナログ出力部208またはディジタル出力部209への任意の結線を行う。その結線の設定は、ユーザが所定の画面を見ながら任意に行うことができる。
なお、入力部201,202および出力部208,209は図1のオーディオI/O107により実現する。その他の部分203〜207は、DSP108が所定のマイクロプログラムを実行することにより実現する。該マイクロプログラムは、CPU101がDSP108に送って設定する。DSP108が該マイクロプログラムを実行するときに使用する係数データも、CPU101がDSP108に送って設定する。
また、図2の各部はそれぞれ各種のパラメータを有する。パラメータの現在値(カレントデータ)は、フラッシュメモリ102またはRAM103に設けられたカレントメモリへ記憶される。ミキサ100における、各部の信号処理の設定や、パネル状態の設定は、カレントメモリに記憶されているカレントデータに基づいて行われる。すなわち、カレントメモリ上の各種パラメータの値を設定・変更することにより、ミキサ100の各部の動作が制御できるように構成されている。カレントメモリにはミキサ100が備えるすべてのパラメータのカレントデータが記憶され、該カレントメモリ内のカレントデータは、操作子105,106や表示器104などを使って行われる各種の操作の内容に応じて変更(調整)される。
図3は、本実施形態のディジタルミキサの操作パネルの外観(一部)を示す。301は、各種の情報を表示するディスプレイ(図1の104)である。ディスプレイ301の下側にchストリップ部304(図1の105,106)が設けられている。chストリップ部304は8本のchストリップ304−1〜304−8からなる。1本のchストリップ、例えば304−1は、ロータリエンコーダや幾つかのスイッチや電動フェーダを備える。chストリップ部306,307も、chストリップ部304と同様の8本のchストリップからなる。
chストリップ部304の上側のディスプレイ301内の領域302には、chストリップ部304の各chストリップ304−1〜304−8の上方に当たる位置に、それぞれのchストリップに割り当てられているchの複数パラメータの表示領域(chパラメータ表示領域と呼ぶ)が配置されて、表示される。chパラメータ表示領域は、chストリップ部304に設けられたchストリップと同じ数(ここでは8個)だけ表示される。chパラメータ表示領域は、割り当てられたchにおける各種パラメータの値を表示するパラメータの表示機能を実現する。すなわち、各chパラメータ表示領域の割当chは、対応するchストリップの割当chを踏襲する。対応するchストリップとは、chパラメータ表示領域の下方に配置されたchストリップのことである。また、chパラメータ表示領域には、割り当てられたchにおける各種パラメータの値の調整に使うソフトウェア操作子が表示され、該ソフトウェア操作子を直接タッチ操作したり、該ソフトウェア操作子をタッチして選択状態とした後に所定の操作子を操作することで、当該chにおける各種パラメータの調整機能を実現している。パラメータの値を調整するための調整操作子とは、chストリップ部304に物理的に備えられたハードウェア操作子(電動フェーダ、ロータリエンコーダ、スイッチ)、および、領域302の各chパラメータ表示領域内の各種のソフトウェア操作子を指す。いずれかの調整操作子が操作されたことを検出したとき、操作された調整操作子が属するchストリップあるいはchパラメータ表示領域に割り当てられているchにおける、操作された調整操作子が処理対象としているパラメータの値(カレントメモリ内のカレントデータの値)を、今回の(検出した)操作内容に応じた値へ調整(変更)する。
311〜314はchストリップ部304に対応するレイヤデータを操作するためのスイッチ、315〜318はchストリップ部306に対応する同様のスイッチであるが、これらのスイッチについては後述する。なお、ここではchストリップ部307に対応するスイッチを図示していないが、全てのchストリップ部に対して同様のスイッチが設けられているものとする。
ここで、各chストリップ部304,306,307へchを割り当てるためのレイヤについて説明する。各chストリップ部へのchの割り当ては、各chストリップ部に対応する階層(レイヤ)にレイヤデータを配置することにより行う。
各chストリップ部はレイヤデータを配置するためのレイヤを複数備える。具体的にはレイヤとしてのレイヤデータの格納領域をカレントメモリ上へ設けている。本実施形態では、chストリップ部ごとに、展開レイヤ、フィックスレイヤ、ベースレイヤの3つのレイヤを持ち、当該各レイヤに相当する格納領域として、展開レイヤデータ領域、フィックスレイヤデータ領域、ベースレイヤデータ領域を設けている。1つのchストリップ部における1つのレイヤに相当する1つの格納領域には1つのレイヤデータのみを格納できる。本実施形態では、レイヤで使用するレイヤデータが新たに指示されたときに、当該指示されたレイヤデータを、当該レイヤに相当する格納領域へ格納することを「レイヤにレイヤデータを配置する」と呼ぶ。なお、レイヤにレイヤデータを配置するときには各chストリップへのchの「割当処理」は行わない。「割当処理」については後述する。
レイヤデータの配置は、レイヤごとに独立に行う。すなわち、1つのchストリップ部(例えば、chストリップ部304)に対し、そのchストリップ部の複数のレイヤ(ここでは展開レイヤとフィックスレイヤとベースレイヤ)のそれぞれにレイヤデータを配置することで、1つのchストリップ部に複数のレイヤデータを同時に配置することができる。ベースレイヤに配置するためのレイヤデータをベースレイヤデータと呼び、フィックスレイヤに配置するためのレイヤデータをフィックスレイヤデータと呼び、展開レイヤに配置するためのレイヤデータを展開レイヤデータと呼ぶ。これらのレイヤデータは、何れもchストリップ部の8本のchストリップのそれぞれに割り当てるchを規定するデータである。ベースレイヤには、常に何れか1つのベースレイヤデータが配置されている。フィックスレイヤと展開レイヤには、それぞれレイヤデータが配置されていない状態もあり得る。レイヤデータは、配置する対象であるレイヤごとに複数用意(記憶)されている。異なるレイヤでは流用できない。例えば、ベースレイヤデータはベースレイヤにのみ配置でき、フィックスレイヤなどベースレイヤ以外の他のレイヤには配置できない。
ベースレイヤについて説明する。ベースレイヤは、本ミキサ装置においてchストリップ部の各chストリップへのch割り当ての基本となるレイヤであり、主としてchをその種類や番号の順にchストリップへ割り当てるためのレイヤである。ベースレイヤに配置するベースレイヤデータとしては、例えば入力ch1〜8を8本のchストリップに左側から順に割り当てることを規定するベースレイヤデータ1、入力ch9〜16を8本のchストリップに左側から順に割り当てることを規定するベースレイヤデータ2、…などがファクトリプリセットで予め備えられている。本ミキサ装置においてユーザが調整できる全てのch(例えば入力chや出力chなど)は、予め用意されているベースレイヤデータのうちの何れかに必ず含まれている。また、1つのベースレイヤデータは、必ずchストリップ部内の8本の全chストリップに対して割り当てるchを規定するものとする。
ただし、特殊なベースレイヤデータとして、カスタムレイヤデータとDCAレイヤデータがある。カスタムレイヤデータはユーザが作成したレイヤデータである。すなわち、ユーザは、任意にchストリップ部内の各chストリップへのchの割り当てを規定するカスタムレイヤデータを作成できる。カレントメモリ上には、カスタムレイヤデータを格納する領域が設けられている。カスタムレイヤデータでは、chが割り当てられていないchストリップがあってもよい。ベースレイヤに配置したカスタムレイヤデータが割当chなしのchストリップを含む場合、そのchストリップについては、直前にベースレイヤに配置されていたレイヤデータの割当chを継続して配置する。DCAレイヤデータは、chストリップ部内の各chストリップに割り当てるDCAグループを規定するレイヤデータであり、1本のchストリップで1つのDCAグループに属する複数chを一括して制御するためのレイヤデータである。ここではchストリップ部は8本のchストリップから構成されているので、それに対応してDCAグループ1〜8が用意されている。各DCAグループには、ユーザが任意に選択した一括して制御したい複数chを登録できる。カレントメモリ上には、DCAレイヤデータを格納する領域が設けられている。DCAレイヤデータは、例えばDCAグループ1〜8を8本のchストリップに左から順に割り当てることを規定するレイヤデータである。
上述のDCAグループは、ベースレイヤにおいて複数chをグループ化して1本のchストリップで制御する機能を提供するが、同様の機能を提供するものとしてchセットグループがある。chセットグループは、ユーザが任意に選択した複数のchでchセットグループを構成するものである。ユーザは、カスタムレイヤデータまたは後述するフィックスレイヤデータを作成する際、上記chセットグループを、任意の1本のchストリップに割り当てることができる。例えば、ステレオLRの2chを1本のchストリップで連動制御したい場合や、サラウンド5.1chを構成する複数chをグループ化して1本のchストリップで連動制御したい場合、当該ステレオLRの2chやサラウンド5.1chを1つのchセットグループとし、1つのchセットグループを1本のchストリップに割り当てる。
なお、ベースレイヤや後述するフィックスレイヤでは、1本のchストリップに対して単一のchもしくは単一のグループ(単一のDCAグループあるいは単一のchセットグループ)が配置される。また、ベースレイヤデータや後述するフィックスレイヤデータにおける割当chの規定は、1本のchストリップに対して単一のchもしくは単一のグループが配置されるような規定である。
また、DCAグループやchセットグループが割り当てられた1本のchストリップの上方に表示されるchパラメータ表示領域には、割り当てられたグループの複数chに関するパラメータ表示やソフトウェア操作子が表示されるものとする。
図3の312は、chストリップ部304のベースレイヤに配置するベースレイヤデータを選択するための複数のスイッチ(BASEスイッチと呼び、個々のスイッチはB1〜Bnスイッチと呼ぶ)である。B1〜Bnスイッチには、それぞれベースレイヤデータが対応付けられている。例えば、B1スイッチには上述のベースレイヤデータ1が、B2スイッチには上述のベースレイヤデータ2が、・・・Bnスイッチにはベースレイヤデータnが対応付けられている。この場合、B1スイッチをオンすると、chストリップ部304のベースレイヤにベースレイヤデータ1が配置される。また、B1〜Bnスイッチは、カスタムレイヤデータをベースレイヤに配置するためのスイッチと、DCAレイヤデータをベースレイヤに配置するためのスイッチを含む。
次に、フィックスレイヤについて説明する。フィックスレイヤは、主としてユーザが常時監視したいあるいは頻繁に調整したい所望のchを所望のchストリップへ固定するためのレイヤである。ユーザは、任意にchストリップ部内の各chストリップへのchの割り当てを規定するデータであるフィックスレイヤデータを作成できる。フィックスレイヤデータにおける規定では、chが割り当てられていないchストリップがあってもよい。例えば、ボーカル音が入力ch22に割り当てられており、このchを固定的にchストリップ1で操作したい場合は、入力ch22をchストリップ1に割り当て、他のchストリップ2〜8は割り当てch無しと規定するフィックスレイヤデータを作成しておき、フィックスレイヤに配置する。なお、フィックスレイヤデータと上述のカスタムレイヤデータとは、ユーザが任意にchの割り当てを規定できる点で共通するものだが、配置するレイヤが異なるものである。なお上述したが、フィックスレイヤデータを作成する際には、1つのchセットグループを1つの割当単位として1つのchストリップに割り当てることができる。
図3の313は、chストリップ部304のフィックスレイヤに配置するフィックスレイヤデータを選択するための3つのスイッチ(FIXスイッチと呼び、個々のスイッチはFIX1〜FIX3スイッチと呼ぶ)である。FIX1〜FIX3スイッチには、それぞれフィックスレイヤデータ1〜3が対応付けられている。例えば、FIX1スイッチをオンすると、chストリップ部304のフィックスレイヤにフィックスレイヤデータ1が配置される。フィックスレイヤデータ1〜3は、予めユーザが作成しておくものとし、上述したようにchセットグループを利用することができる。
次に、展開レイヤについて説明する。上述のDCAグループやchセットグループを利用することにより複数chを一括して制御することができるが、一方では、一時的にこれらのグループを構成する複数chを個々のch毎に個別に操作したい場合がある。そのため、本ミキサ装置では、グループ化した複数chを個々のchストリップに展開して個別に操作できるようにする機能が設けられている。このようなグループ化した複数chを展開してchストリップに割り当てるためのレイヤが展開レイヤである。
図3の314は、グループ化した複数chの展開を指示するための展開スイッチである。展開スイッチ314を押下することで、ユーザは、DCAグループやchセットグループなどの複数chを含むグループを展開する指示を行うことができる。展開対象のグループは、展開スイッチ314を押下する前に指定されているものとする(指定方法は任意である)。展開スイッチ314が押下されると、本ミキサ装置は、指定されたグループの複数chをそれぞれ個別にchストリップに割り当てることを規定する展開レイヤデータを作成し、展開レイヤデータ領域に配置する。例えば、入力ch1〜5をグループ化したDCAグループ1を指定して展開の指示があったときは、8本のchストリップに左側から順に入力ch1〜5を割り当てることを規定する展開レイヤデータが作成され展開レイヤデータ領域に配置される。展開レイヤデータにおける規定では、chが割り当てられていないchストリップがあってもよい。また、展開レイヤデータを作成する際、グループ化された複数の各chをどのchストリップに割り当てるよう規定するかは任意であるが、ここではch番号の昇順に左側のchストリップから割り当てるよう規定するものとする。
次に、「割当処理」について説明する。カレントメモリには、各chストリップ部毎に、そのchストリップ部の各chストリップに実際に割り当てられるch(割当ch)を格納する割当ch格納領域が設けられている。割当処理とは、3つのレイヤデータ領域にそれぞれ配置されている(ただし、フィックスレイヤデータ領域と展開レイヤデータ領域はレイヤデータが配置されていない状態もある)レイヤデータを使って、そのchストリップ部の各chストリップの操作対象となるch(割当ch)を設定する処理であり、具体的には、各レイヤに配置されているレイヤデータに基づいて各chストリップごとの割当chを決定し(chの割当状態を決定し)、当該決定した割当状態に沿って、そのchストリップ部の各chストリップに対応するカレントメモリ上の割当ch格納領域に割当chを格納することを言う。割当処理は、電源オン時の初期設定のとき、および、chストリップ部に対応するカレントメモリの3階層の何れかのレイヤデータが変更されたとき、そのchストリップ部の全chストリップについて行う。割当処理には、そのchストリップ部のレイヤごとに配置されている全てのレイヤデータを使う。割当処理が行われてカレントメモリ上の割当ch格納領域に割当chが格納されると、以後、何れかのchストリップの操作子(あるいは、そのchストリップに対応するchパラメータ表示領域に表示されているソフトウェア操作子)が操作されたときには、そのchストリップに対応するカレントメモリ上の割当ch格納領域に格納されている割当chが操作対象のchとなる。操作されたchストリップに対応するカレントメモリ上の割当ch格納領域に格納されている割当chがDCAグループやchセットグループに属する複数のchであった場合は、それら複数のchが操作対象となって一括した制御が行われる。
次に、3階層の各レイヤの関係について説明する。概念的には、ベースレイヤが最下層に位置し、その上にフィックスレイヤが位置し、その上に展開レイヤが位置する。すなわち、まずベースレイヤに配置されたベースレイヤデータに基づいて各chストリップへの基本的なchの割り当てが為されるが、フィックスレイヤにフィックスレイヤデータが配置されているときは、フィックスレイヤデータに基づく割当chが優先(上書き)され、展開レイヤに展開レイヤデータが配置されているときは、展開レイヤデータに基づく割当chがさらに優先(上書き)される。このとき、フィックスレイヤデータにおいて割当ch無しのchストリップについては、下層のベースレイヤデータに基づく割当chが採用される。また、展開レイヤデータにおいて割当ch無しのchストリップについては、下層のフィックスレイヤデータに基づく割当chが採用され、このときフィックスレイヤデータでも割当ch無しであったときは下層のベースレイヤデータに基づく割当chが採用される。割当ch無しのchストリップについては、上層の展開レイヤやフィックスレイヤが透過状態になっているような取扱いである。
具体的には、割当処理の際には、まず、カレントメモリ上の当該chストリップ部のベースレイヤデータ領域に格納されているベースレイヤデータが規定する割当chをカレントメモリ上の割当ch格納領域にコピーし、その後、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域に格納されているフィックスレイヤデータで割り当てchが規定されているchストリップについてはその割当chをカレントメモリ上の対応するchストリップの割当ch格納領域に上書きし、さらにカレントメモリ上の当該chストリップ部の展開レイヤデータ領域に格納されている展開レイヤデータで割り当てchが規定されているchストリップについてはその割当chをカレントメモリ上の対応するchストリップの割当ch格納領域に上書きする。フィックスレイヤの処理の際、フィックスレイヤデータで割当ch無しと規定されているchストリップについては、割当ch格納領域の割当chの上書きはしない。また、展開レイヤの処理の際、展開レイヤデータで割当ch無しと規定されているchストリップについては、割当ch格納領域の割当chの上書きはしない。要するに、割当処理では、上層に配置されたレイヤデータで指示されているchを、下層に配置されたレイヤデータで指示されているchよりも優先する。
図4は、3階層のレイヤの説明図である。図4(a)において、401,402,403は、それぞれカレントメモリ上の展開レイヤデータ領域、フィックスレイヤデータ領域、およびベースレイヤデータ領域の設定内容(カレントデータ)を示す。各レイヤデータ領域は、8つの矩形に分けられているが、各矩形は8本のchストリップの並びに対応している。「none」は、そのchストリップに対して規定されている割当chがないことを示す。図4(a)では、展開レイヤデータ領域401およびフィックスレイヤデータ領域402は、何れもレイヤデータが配置されていないので、全てのchストリップが「none」に設定されている。ベースレイヤデータ領域403には、上述のベースレイヤデータ1が配置されている。404は上記各レイヤのカレントデータ401〜403に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域の格納内容(カレントデータ)を示す。展開レイヤデータとフィックスレイヤデータが配置されていないので、ベースレイヤデータのみに基づいてchの割当状態が決定されており、chストリップ1〜8(8本のchストリップを左から順にchストリップ1〜8と呼ぶ)に入力ch1〜8が割り当てられている。
図4(a)の状態から、FIX1スイッチをオンして新規にフィックスレイヤデータを配置したとする。図4(b)は、そのときの状態を示す。展開レイヤデータが配置されていない状態には変更がない(411)。412は、新たに配置されたフィックスレイヤデータ領域のカレントデータを示す。配置されたフィックスレイヤデータは、chストリップ1に入力ch22を割り当て、chストリップ2にchセットグループU1を割り当て、その他のchストリップ3〜8は割当ch無しと規定するデータである。chセットグループU1は、入力ch9,11,13,15,17,19をグループ化したものとする。ベースレイヤのカレントデータ413は、403の状態から書き換えられずそのまま維持される。414は、各レイヤのカレントデータ411〜413に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。この割当処理では、展開レイヤデータが配置されておらず、またベースレイヤより上層のレイヤであるフィックスレイヤのカレントデータに基づく割り当てが優先されるので、フィックスレイヤで割当chが規定されているchストリップ(つまりchストリップ1と2)についてはフィックスレイヤデータに基づく割り当てが為される。フィックスレイヤデータで割当chが規定されていないchストリップについては(つまりchストリップ3〜8)、その直下の階層のレイヤデータで規定されている割当chを割り当てる。これにより、chストリップ1に入力ch22が割り当てられ、chストリップ2にchセットグループU1が割り当てられ、chストリップ3〜8にはベースレイヤデータで規定される各chが割り当てられる。
図4(b)の状態から、chセットグループU1を指定して展開の指示(展開スイッチの押下)があったとする。図4(c)は、そのときの状態を示す。なお、展開するグループを指定する構成としては、展開したいグループが割り当てられているchストリップ内の選択用のスイッチを押して当該グループを指定する構成、あるいは、ディジタルミキサに記録されている各種グループのリストをユーザへ提示してその中からユーザが任意の1つのグループを指定する構成などがある。421は、新たに配置された展開レイヤデータ領域のカレントデータを示す。配置された展開レイヤデータは、指定されたchセットグループU1の各入力ch9,11,13,15,17,19を個別にchストリップ1〜6に順に割り当て、その他のchストリップ7,8は割当ch無しと規定するデータである。フィックスレイヤとベースレイヤのカレントデータ422,423は、412,413の状態から書き換えられずそのまま維持される。424は、各レイヤのカレントデータ421〜423に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。この割当処理では、最上層の展開レイヤデータ421が最優先されるので、まずchストリップ1〜6にchセットグループU1を構成する6つの入力chが順に割り当てられる。また、chストリップ7,8については、展開レイヤデータ421およびフィックスレイヤデータ422の何れも割当ch無しであるので、ベースレイヤデータ423で規定されるch7,8が割り当てられる。
なお、図4において太線の枠は前の状態から変更された部分を示す。後述する図6,8,10,12でも同様である。
割当処理は上述の通りであるが、各レイヤのレイヤデータの変更が指示された場合に当該指示されたレイヤデータのみを変更した状態で割当処理を行うと、不都合が生じるケースがある。例えば、最上位階層の展開レイヤに展開レイヤデータが配置されている状態では、当該展開レイヤデータが最優先でchストリップへ割り当てられるため、それよりも下の階層のレイヤデータを変更しても、それが実際のchストリップに即座には現れない不都合が生じる。展開レイヤに展開レイヤデータが配置されている状態であっても、それより下層のレイヤデータを変更したときには、ユーザは当該変更したレイヤデータの割り当てを利用したいという意図があると考えられる。それにもかかわらず、当該変更したレイヤデータが現れないのは不都合である。そのような不都合を無くすために、単に新たにレイヤデータを配置したときに、そのレイヤよりも上位階層のレイヤをクリア(レイヤデータが配置されていない状態)してしまうことが考えられるが、そのようにすると、chストリップに割り当てられるchがユーザの意図からずれる可能性がある。例えば、各レイヤにそれぞれレイヤデータが配置されている状態でベースレイヤのレイヤデータを変更すると、展開レイヤおよびフィックスレイヤに配置されているレイヤデータがそれぞれクリアされることになるが、この場合、ユーザが意図する典型的な状態は、一時的に使用していた展開レイヤのレイヤデータはクリアし、固定的に使用したいフィックスレイヤのレイヤデータをクリアせず、現状のフィックスレイヤのレイヤデータと新たに配置したベースレイヤのレイヤデータとがchストリップに現れる状態にするということである。にもかかわらず、フィックスレイヤのレイヤデータまでクリアされることになるのはユーザの意図に反しており、不都合である。
そこで、本ミキサ装置では、3階層の何れかのレイヤに新たなレイヤデータが配置された場合は、当該配置された階層(レイヤの種類)に応じて、その上位階層のレイヤデータを制御することとした。すなわち、まずフィックスレイヤデータが配置された場合は、上位の展開レイヤのレイヤデータをクリアして、割当処理のやり直しを行う。これにより、ユーザが新たに配置したフィックスレイヤのレイヤデータがchストリップに即座に現れるようになる。また、ベースレイヤデータが配置された場合は、上位の展開レイヤのレイヤデータをクリアし、フィックスレイヤのレイヤデータはクリアせずそのまま保持して、割当処理のやり直しを行う。これにより、フィックスレイヤで規定されている割当chは、常時利用したいというユーザの意図通り、chストリップへの割り当てが保持され、そのフィックスレイヤで割当ch無しのchストリップについては新たに配置したベースレイヤデータの割当chが即座に現れるようになる。
図5は、CPU101によるベースレイヤデータを配置するために実行する処理(配置処理)のフローを示す。何れかのBASEスイッチが操作されたとき(新たなベースレイヤデータを配置する指示が検出されたとき)に本処理が起動される。何れかのBASEスイッチが操作されると、該操作されたBASEスイッチに対応するchストリップ部とベースレイヤデータが特定され、本処理にはそれらの情報が与えられる。
ステップ501では、特定されたベースレイヤデータを、特定されたchストリップ部のベースレイヤに配置する。すなわち、カレントメモリ上の当該chストリップ部のベースレイヤデータ領域に、カレントデータとして、当該ベースレイヤデータを書き込む(当該ベースレイヤデータが規定する割当chを書き込む)。図4(a)の403は、ベースレイヤにベースレイヤデータを新規に配置した様子を示す。ステップ501で既に当該ベースレイヤデータ領域にカレントデータとして他のベースレイヤデータが配置されていた場合は、該データを上書きする形で新たなベースレイヤデータが配置される(ただし、ベースレイヤにカスタムレイヤデータを配置し、そのカスタムレイヤデータが割当chなしのchストリップを含む場合、そのchストリップについては、直前にベースレイヤに配置されていたレイヤデータの割当chを継続して配置するものとする)。ステップ502では、カレントメモリ上の当該chストリップの展開レイヤデータ領域にカレントデータが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ503で当該カレントデータを展開レイヤから削除し(展開レイヤをクリアし)、配置されていないときは、ステップ503をスキップする。図4(a)の401の状態にするということである。
ステップ504では、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域にカレントデータが配置されているかチェックする。図4(a)の402の状態では、フィックスレイヤデータ領域にはカレントデータが配置されていない。配置されているときは、ステップ505で、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域それぞれに配置されているカレントデータに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決める。次に、ステップ507で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。なお、chストリップ部304の割当状態が変更された場合は、領域302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。ステップ504でフィックスレイヤデータ領域にカレントデータが配置されていないときは、ステップ506で、ベースレイヤデータ領域に配置されているカレントデータのみに沿って、chストリップ部の新たな割当状態を決め、ステップ507に進む。図4(a)では、ステップ501→502→504→506→507の処理により、404に示すように、割当ch格納領域のカレントデータが設定される。なお、ステップ504〜507の処理は上述の割当処理に相当する。
図6は、図5の処理によりベースレイヤを変更する例を示す。図6(a)は、図4(c)と同じ状態であり、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(603)、フィックスレイヤのカレントデータとしてFIX1スイッチのフィックスレイヤデータが配置され(602)、展開レイヤのカレントデータとしてchセットグループU1を展開した展開レイヤデータが配置されている(601)。604は、このときの割当状態を示す。図6(a)の状態から、B3スイッチをオンして図5の処理を行ったとする。図6(b)は、図5の処理後の状態を示す。ベースレイヤのカレントデータが、図5のステップ501により613に示すように変更されているが、この変更はフィックスレイヤには影響しないので、フィックスレイヤのカレントデータ612は602と同じである。ただし、ステップ502→503の処理により展開レイヤはクリアされ、611に示す状態となる。614は、ステップ504→505→507の処理によりベースレイヤとフィックスレイヤのカレントデータ613,612に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。chストリップ1,2にフィックスレイヤデータで規定されるch22とchセットグループU1が割り当てられ、chストリップ3〜8に新たなベースレイヤデータで規定される各chが割り当てられている。これにより、一時的に展開して利用していた展開レイヤの割り当てが残ることなく、かつ、フィックスレイヤで規定されている割当chは固定的に使用しつつ、フィックスレイヤで割当ch無しのchストリップについてはベースレイヤでの新たな割当chに切り替えることができる。
図7は、CPU101によるフィックスレイヤデータを配置するために実行する処理(配置処理)のフローを示す。何れかのFIXスイッチが操作されたとき(新たなフィックスレイヤデータを配置する指示が検出されたとき)に本処理が起動される。何れかのFIXスイッチが操作されると、該操作されたFIXスイッチに対応するchストリップ部とフィックスレイヤデータが特定され、本処理にはそれらの情報が与えられる。
ステップ701では、特定されたフィックスレイヤデータを、特定されたchストリップ部のフィックスレイヤに配置する。すなわち、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域に、カレントデータとして、当該フィックスレイヤデータを書き込む。図4(b)の412は、フィックスレイヤにフィックスレイヤデータを新規に配置した様子を示す。ステップ701で既に当該フィックスレイヤデータ領域にカレントデータとして他のフィックスレイヤデータが配置されていた場合は、該データを上書きする形で新たなフィックスレイヤデータが配置される。ステップ702では、カレントメモリ上の当該chストリップの展開レイヤデータ領域にカレントデータが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ703で当該カレントデータを展開レイヤから削除し(展開レイヤをクリアし)、配置されていないときは、ステップ703をスキップする。ステップ704では、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域それぞれに配置されているカレントデータに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決める。次に、ステップ705で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。図4(b)では、ステップ701→702→704→705の処理により、414に示すように、割当ch格納領域のカレントデータが設定される。なお、chストリップ部304の割当状態が変更された場合は、領域302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。また、ステップ704〜705の処理は上述の割当処理に相当する。
図8は、図7の処理によりフィックスレイヤを変更する例を示す。図8(a)は、図4(c)と同じ状態であり、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(803)、フィックスレイヤのカレントデータとしてFIX1スイッチのフィックスレイヤデータが配置され(802)、展開レイヤのカレントデータとしてchセットグループU1を展開した展開レイヤデータが配置されている(801)。804は、このときの割当状態を示す。図8(a)の状態から、FIX2スイッチをオンして図7の処理を行ったとする。図8(b)は、図7の処理後の状態を示す。図7のステップ701の処理により新たなフィックスレイヤデータ812が配置されている。このフィックスレイヤデータ812は、chストリップ8に入力ch24を割り当て、その他のchストリップ1〜7は割当ch無しと規定するデータである。この変更はベースレイヤには影響しないので、ベースレイヤのカレントデータ813は803と同じである。ただし、ステップ702→703の処理により展開レイヤはクリアされ、811に示す状態となる。814は、ステップ704→705の処理によりベースレイヤとフィックスレイヤのカレントデータ813,812に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。chストリップ8にフィックスレイヤデータ812で規定されるch24が割り当てられ、chストリップ1〜7にベースレイヤデータ813で規定される各chが割り当てられている。これにより、一時的に展開して利用していた展開レイヤで規定されている割当chが残ることなく、かつ、新たなフィックスレイヤでの割当chに切り替えつつ、フィックスレイヤでの割当ch無しのchストリップについてはベースレイヤでの割当chを保持することができる。
図9は、CPU101による展開レイヤデータを配置するために実行する処理(配置処理)のフローを示す。何れかのグループが指定されて展開スイッチが操作されたとき(新たな展開レイヤデータを配置する指示が検出されたとき)に本処理が起動される。展開スイッチが操作されると、該操作された展開スイッチに対応するchストリップ部と、展開を指示されたグループが特定され、本処理にはそれらの情報が与えられる。
ステップ901では、特定されたグループに含まれる複数chを個々のchに展開して作成した展開レイヤデータを、特定されたchストリップ部の展開レイヤに配置する。図4(c)の421は、展開レイヤに展開レイヤデータを新規に配置した様子を示す。既に展開レイヤデータ領域にカレントデータとして他の展開レイヤデータが配置されていた場合は、該データを上書きする形で新たな展開レイヤデータが配置される。ステップ902では、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域にカレントデータが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ903で、カレントメモリ上の当該chストリップ部の展開レイヤデータ領域とフィックスレイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域それぞれに配置されているカレントデータに沿って、新たな割当状態を決める。次に、ステップ905で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。図4(c)では、ステップ902→903→905の処理により、424に示すように、割当ch格納領域のカレントデータが設定される。なお、chストリップ部304の割当状態が変更された場合は、領域302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。ステップ902でフィックスレイヤデータ領域にカレントデータが配置されていないときは、ステップ904で、カレントメモリ上の当該chストリップ部の展開レイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域それぞれに配置されているカレントデータに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決め、ステップ905に進む。以上のように、最上位層のレイヤ(本実施形態では展開レイヤ)のカレントデータを変更した場合は、他のレイヤのカレントデータはいずれも保持するように(いずれのレイヤのカレントデータもクリアしないように)制御する。なお、ステップ902〜905の処理は上述の割当処理に相当する。
図10は、図9の処理により展開レイヤを変更する例を示す。図10(a)は、図4(c)と同じ状態であり、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(1003)、フィックスレイヤのカレントデータとしてFIX1スイッチのフィックスレイヤデータが配置され(1002)、展開レイヤのカレントデータとしてchセットグループU1を展開した展開レイヤデータが配置されている(1001)。1004は、このときの割当状態を示す。図10(a)の状態から、chセットグループU2を指定して展開スイッチをオンして図9の処理を行ったとする。図10(b)は、図9の処理後の状態を示す。図9のステップ901の処理により展開レイヤのカレントデータが、1011に示すように変更されているが、この変更はベースレイヤやフィックスレイヤには影響しないので、ベースレイヤのカレントデータ1013は1003と同じで、フィックスレイヤのカレントデータ1012は1002と同じである。1014は、ステップ902→903→905の処理により各レイヤのカレントデータ1011〜1013に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。chストリップ1〜4に新たな展開レイヤデータ1011で規定されるchセットグループU2を構成する各chが割り当てられ、展開レイヤで割当ch無しのchストリップ5〜8については、フィックスレイヤデータ1012とベースレイヤデータ1013に基づいて各chが割り当てられている。これにより、新たな展開レイヤデータが規定している割当chを採用しつつ、当該展開レイヤデータで割当ch無しのchストリップについてはベースレイヤとフィックスレイヤでの割当chを保持することができる。
次に、レイヤの解除について説明する。図3の解除スイッチ311は、chストリップ部304の3階層のレイヤデータのうち最上位層に配置されているカレントデータをクリアすることを指示するスイッチである。解除スイッチ311が押下されたときは、レイヤデータが配置されている最上位のレイヤを確認し、(1)それが展開レイヤなら当該展開レイヤのみをクリアし、(2)それがフィックスレイヤなら当該フィックスレイヤのみをクリアし、割当処理のやり直しを行う。レイヤデータが配置されている最上位のレイヤがベースレイヤなら、レイヤのクリアはせず、chストリップへの割当状態は現状維持する。
図11は、解除スイッチがオンされたときに起動される解除処理のフローを示す。本処理には、オンされた解除スイッチに対応するchストリップ部を特定する情報が与えられる。
ステップ1101では、カレントメモリ上の当該chストリップ部の展開レイヤにカレントデータが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ1102で、当該展開レイヤのカレントデータをクリアする。次に、ステップ1103で、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤにカレントデータが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ1104で、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域それぞれに配置されているカレントデータに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決める。次に、ステップ1105で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。なお、chストリップ部304の割当状態が変更された場合は、領域302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。ステップ1103でフィックスレイヤデータ領域にカレントデータが配置されていないときは、ステップ1108で、カレントメモリ上の当該chストリップ部のベースレイヤデータ領域に配置されているカレントデータのみに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決め、ステップ1105に進む。
ステップ1101で展開レイヤにカレントデータが配置されていない場合は、ステップ1106で、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤにカレントデータが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ1107で、カレントメモリ上の当該chストリップ部のフィックスレイヤデータ領域のカレントデータをクリアし、ステップ1108に進む。ステップ1106でフィックスレイヤにカレントデータが配置されていない場合は、ステップ1109で、当該chストリップ部のchストリップの割当状態を変更せず、現状を維持する。なお、ステップ1103〜1105の処理は上述の割当処理に相当する。
図12は、レイヤの解除例を示す。図12(a)は、図4(c)と同じ状態であり、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(1203)、フィックスレイヤのカレントデータとしてFIX1スイッチのフィックスレイヤデータが配置され(1202)、展開レイヤのカレントデータとしてchセットグループU1を展開した展開レイヤデータが配置されている(1201)。1204は、このときの割当状態を示す。図12(a)の状態から、解除スイッチをオンして図11の処理を行ったとする。図12(b)は、図11の処理後の状態を示す。レイヤデータが配置されているレイヤのうちの最上位である展開レイヤは、ステップ1101→1102の処理により1211に示すようにクリアされ、展開レイヤデータが配置されていない状態となる。フィックスレイヤとベースレイヤの状態は、1212,1213に示すように、1202,1203から変化しない。1214は、ステップ1103→1104→1105の処理によりベースレイヤとフィックスレイヤのカレントデータ1213,1212に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。
図12(b)の状態から、さらに解除スイッチをオンして新たに図11の処理を行ったとする。図12(c)は、新たな図11の処理後の状態を示す。図12(b)でレイヤデータが配置されているレイヤのうちの最上位であるフィックスレイヤは、ステップ1101→1106→1107の処理により1222に示すようにクリアされ、フィックスレイヤデータが配置されていない状態となる。展開レイヤとベースレイヤの状態は、1221,1223に示すように、1211,1213から変化しない。1224は、ステップ1108→1105の処理によりベースレイヤのカレントデータ1223に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。
なお、フィックスレイヤデータを予め用意せず、セレクテッド(selected)チャンネルとして選択されたch、つまりセル(SEL)スイッチ(各chストリップに設けられているスイッチ)が操作されたchストリップに割り当てられている割当chをフィックスレイヤデータが規定する割当chに相当する割当chとし、当該割当chをカレントメモリ上のフィックスレイヤデータ領域にカレントデータとして配置するようにしてもよい。この場合、操作パネル上のFIXスイッチは不要となり、その代わり、例えばフィックスレイヤを配置するモードのオン/オフを指示するスイッチ等を設ける。
次に、図13〜図23を用いて、本発明の第2の実施形態を説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態に係るディジタルミキサの操作パネルの外観を示す。第2の実施形態は、フィックスレイヤデータを予め用意することなく、SELスイッチが操作されたchストリップに割り当てられている割当chをフィックスレイヤで規定するchとして配置するものである。第2の実施形態のディジタルミキサのハード構成は図1と同じであり、ミキシング処理のブロック構成も図2と同じである。
図13の操作パネル上の各部は図3と同様のものであり、1301,1302,1304,1306,1307,1311,1312,1314,1315,1316,1318はそれぞれ図3の301,302,304,306,307,311,312,314,315,316,318と対応するものであるので説明は省略する。なお、第1の実施形態の説明では割愛しているが、各chストリップ部304,306,307,1304,1306,1307の各chストリップにはSELスイッチが配置されている(図3、図13のロータリエンコーダの下に配置されているスイッチ)。各chストリップ部1304,1306,1307の各chストリップにはSELスイッチが配置されている(図13のロータリエンコーダの下に配置されているスイッチ)。また、第1の実施形態では複数のFIXスイッチ313,317を設けたが、第2の実施形態ではフィックスレイヤをセットするモード(FIXセットモードと呼ぶ)のオン/オフを指示するFIXセットスイッチ1313,1317を設ける。例えばchストリップ部1304において、入力ch16をフィックスレイヤに配置したい場合、まずフィックスレイヤがクリアされている状態で、BASEスイッチ1312のうちのB2スイッチをオンしてベースレイヤに入力ch9〜16を配置する。これによりchストリップ8(図13のchストリップ1304−8)に入力ch16が割り当てられる。次に、FIXセットスイッチ1313を押下してフィックスセットモードをオンにし、そのモード下で、chストリップ8のSELスイッチをオンする。これがその時点でchストリップ8に割り当てられているchをフィックスレイヤに配置する指示に相当する。chストリップ8には入力ch16が割り当てられているので、当該入力ch16がフィックスレイヤに割り当てられる。
なお、フィックスレイヤのどのchストリップに割り当てるかは、予め固定的に決めておいてもよいし、ユーザが任意のchストリップを選択できるようにしてもよい。ここでは、フィックスレイヤの8本のchストリップ1〜8の左側から順に割り当てるものとする。従って、上記の例では、chストリップ1に入力ch16が割り当てられる。さらに、FIXセットモード下で、複数のchストリップのSELスイッチを押下した場合は、次のchストリップ2,3,…に順にchを割り当てる。SELスイッチをオンするchストリップは、FIXセットモードをオンしたchストリップ部内のchストリップに限ることはなく、別のchストリップ部のchストリップのSELスイッチをオンして割り当てることもできる。
次に、FIXセットスイッチ1313を再度押下してFIXセットモードをオフする。以後は、ベースレイヤを切り替えてもchストリップ1には入力ch16が割り当てられた状態が継続する。フィックスレイヤにおけるchストリップ1の割り当てを解除したいときは、FIXセットモードをオンにした状態で、chストリップ8のSELスイッチ(オン状態であることを示すためにスイッチに埋め込まれているLEDが点灯しているものとする)をオフにすればよい。この場合、フィックスレイヤのchストリップ2,3,…に割り当てが存在するときは、それらは左詰めにされ、chストリップ1,2,…への割り当てに変更するものとする。
上記第1の実施形態では、例えば図4,6,8,10,12で説明したようにカレントメモリ上に展開レイヤデータ領域とフィックスレイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域を設けたが、第2の実施形態では、カレントメモリ上には割当ch格納領域のみを設け、展開レイヤデータ領域とフィックスレイヤデータ領域とベースレイヤデータ領域は設けない。その代わりに、ワークレジスタとして、展開レイヤ用レジスタとフィックスレイヤ用レジスタとベースレイヤ用レジスタを設ける。なお、第2の実施形態における展開レイヤ用レジスタやフィックスレイヤ用レジスタやベースレイヤ用レジスタに相当するデータ領域をカレントメモリ上に設ける構成を採用してもよい。
なお、上記第1の実施形態では、レイヤに相当する格納領域(カレントメモリ上の展開レイヤデータ領域、フィックスレイヤデータ領域、およびベースレイヤデータ領域)にレイヤデータを格納することを「レイヤにレイヤデータを配置する」と呼んだが、第2の実施形態では、展開レイヤ用レジスタ、フィックスレイヤ用レジスタ、およびベースレイヤ用レジスタの各chストリップに対応する領域に、割り当てるchを示す情報を、格納することを「配置する」と呼ぶ。
第2の実施形態において、ベースレイヤは、上記第1の実施形態のベースレイヤと同じく、レイヤデータを使用して各chストリップにchを割り当てる階層(レイヤ)である。ベースレイヤは、chの配置にレイヤデータを使う唯一のレイヤであり、他のレイヤ(フィックスレイヤと展開レイヤ)ではレイヤデータを使わない。ベースレイヤ用レジスタは、各chストリップ部毎に設けられ、当該chストリップ部のベースレイヤにおいて8つのchストリップのそれぞれに割り当てるchを格納する領域を持つ。何れかのBASEスイッチが押下されたとき、そのBASEスイッチに対応するベースレイヤデータがベースレイヤ用レジスタに配置される。
なお、ベースレイヤ用レジスタには、1つのレイヤデータを配置でき、複数用意されているベースレイヤデータのいずれか1つをBASEスイッチにより選択して配置するものとする。ベースレイヤ用レジスタには、常にいずれかのベースレイヤデータが配置されており、(初期状態の場合を除いて)ベースレイヤデータが配置されていない状態はない。また、ベースレイヤ用レジスタには、常に8本の全chストリップ分のchが配置されている。ベースレイヤにおいて、chが配置されていないchストリップはない。
フィックスレイヤは、上記第1の実施形態のフィックスレイヤと同様のユーザが指定したchを割り当てることができるレイヤであるが、第2の実施形態のフィックスレイヤではレイヤデータを使用しない。フィックスレイヤに割り当てたいchは、個々のchストリップ毎にユーザが指定するものとする。従って、第2の実施形態ではフィックスレイヤデータは存在しない。フィックスレイヤ用レジスタは、各chストリップ部毎に設けられ、当該chストリップ部のフィックスレイヤにおいて8つのchストリップのそれぞれに割り当てるchを格納する領域を持つ。フィックスレイヤ用レジスタには、常に全chストリップ分のchを配置する必要はなく、chが配置されていないchストリップがあってもよい。また、全chストリップのいずれにもchが配置されていない状態でもよい。
展開レイヤは、上記第1の実施形態の展開レイヤと同様の、DCAグループやchセットグループなどのグループ化した複数chを、個々のchストリップに展開して割り当てるためのレイヤであるが、第2の実施形態の展開レイヤではレイヤデータを使用しない。展開したいグループを、グループ単位で、ユーザが指定するものとする。展開レイヤ用レジスタは、各chストリップ部毎に設けられ、当該chストリップ部の展開レイヤにおいて8つのchストリップのそれぞれに割り当てるchを格納する領域を持つ。展開レイヤ用レジスタには、展開されたch分のchストリップにだけchが配置される。展開レイヤ用レジスタには、展開対象のグループに属する複数chが配置されるので、そのch数が8個より少なければ、chが配置されていないchストリップが有り得る。もちろん、展開が指示されていないときは、展開レイヤ用レジスタの8つのchストリップの各領域には、割当無しを示すnoneが設定されている。
図14は、第2の実施形態においてCPU101が実行するベースレイヤの更新処理のフローを示す。何れかのBASEスイッチが操作されたとき(新たなベースレイヤデータを配置する指示が検出されたとき)に本処理が起動される。何れかのBASEスイッチが操作されると、該操作されたBASEスイッチに対応するchストリップ部とベースレイヤデータが特定され、本処理にはそれらの情報が与えられる。
ステップ1401では、指示されたベースレイヤデータを、指示されたchストリップ部のベースレイヤに配置する。すなわち、当該chストリップ部のベースレイヤ用レジスタに当該ベースレイヤデータを書き込む(当該ベースレイヤデータが規定する割当chを書き込む)。ステップ1401で既に当該ベースレイヤ用レジスタに他のベースレイヤデータが配置されていた場合は、当該既に配置されているデータを上書きする形で新たなベースレイヤデータが配置される(ただし、ベースレイヤにカスタムレイヤデータを配置し、そのカスタムレイヤデータが割当ch無しのchストリップを含む場合、そのchストリップについては、直前にベースレイヤに配置されていたレイヤデータの割当chを継続して配置するものとする)。ステップ1402では、当該chストリップ部の展開レイヤ用レジスタにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ1403で展開レイヤ用レジスタの内容をクリアし(展開レイヤ用レジスタの各chストリップの領域を全てnoneにする)、配置されていないときは、ステップ1403をスキップする。
ステップ1404では、当該chストリップ部のフィックスレイヤ用レジスタにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ1405で、当該chストリップ部のフィックスレイヤ用レジスタとベースレイヤ用レジスタそれぞれに配置されているchに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決める。次に、ステップ1407で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる(カレントメモリの割当ch格納領域への設定を行う)。なお、chストリップ部1304の割当状態が変更された場合は、領域1302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。ステップ1404でフィックスレイヤ用レジスタにchが配置されていないときは、ステップ1406で、ベースレイヤ用レジスタに配置されているchのみに沿って、chストリップ部の新たな割当状態を決め、ステップ1407に進む。なお、ステップ1404〜1407の処理は上述の割当処理に相当する。
図15は、図14の処理によりベースレイヤを変更する第1の例を示す。図15(a)は、図4(a)と同様の状態であり、ベースレイヤ用レジスタにB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(1503)、フィックスレイヤ用レジスタと展開レイヤ用レジスタには何れもchが配置されていない(1501,1502)。1504は、このときの割当状態を示す。図15(a)の状態から、B3スイッチをオンして図14の処理を行ったとする。図15(b)は、図14の処理後の状態を示す。複数用意されたベースレイヤデータ1515からベースレイヤデータB3が選択され、ベースレイヤ用レジスタの内容が、図14のステップ1401により、1513に示すようにベースレイヤデータB3で規定される内容へ変更されている。フィックスレイヤおよび展開レイヤは、何れも割り当て無しの状態に変更はないので(1511,1512)、ステップ1402→1404→1406と進む。ステップ1406,1407の処理により、ベースレイヤに配置されているchのみに沿って割当状態が決められるので、結果として、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータは1514に示すようなものとなる。
図16は、図14の処理によりベースレイヤを変更する第2の例を示す。図16(a)は、ベースレイヤ用レジスタにB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(1603)、フィックスレイヤ用レジスタにはchストリップ1にchセットグループU1が配置され(1602)、展開レイヤにはchセットグループU1を展開したchが配置されている(1601)。1604は、このときの割当状態を示す。図16(a)の状態から、B3スイッチをオンして図14の処理を行ったとする。図16(b)は、図14の処理後の状態を示す。複数用意されたベースレイヤデータ1615からベースレイヤデータB3が選択され、ベースレジスタの内容が、図14のステップ1401により1613に示すようにベースレイヤデータB3で規定される内容へ変更されているが、この変更はフィックスレイヤには影響しないので、フィックスレイヤ用レジスタの内容1612は1602と同じである。ただし、ステップ1402→1403の処理により展開レイヤはクリアされ、1611に示す状態となる。1614は、ステップ1404→1405→1407の処理によりベースレイヤ用レジスタの内容1613とフィックスレイヤ用レジスタの内容1612に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。chストリップ1にフィックスレイヤ用レジスタの内容1612で規定されるchセットグループU1が割り当てられ、chストリップ2〜8に新たなベースレイヤデータ1613で規定される各chが割り当てられている。これにより、一時的に展開して利用していた展開レイヤの割り当てが残ることなく、かつ、フィックスレイヤで規定されている割当chは固定的に使用しつつ、フィックスレイヤで割当ch無しのchストリップについてはベースレイヤでの新たな割当chに切り替えることができる。
図17は、第2の実施形態においてCPU101が実行するフィックスレイヤの更新処理のフローを示す。何れかのFIXセットスイッチが操作されてFIXセットモードオンとし、そのモード下で何れかのchストリップ内のSELスイッチがオンされたとき(フィックスレイヤへ新たなchをセットする指示が検出されたとき)に本処理が起動される。操作されたFIXセットスイッチに対応するchストリップ部が特定され、オンされたSELスイッチに対応するch(オンされたSELスイッチが属するchストリップに割り当てられているch)が特定されるので、本処理にはそれらの情報が与えられる。
ステップ1701では、指示されたchを、指示されたchストリップ部のフィックスレイヤに配置する。すなわち、当該chストリップ部のフィックスレイヤ用レジスタ中の1つのchストリップに対応する領域に、指示されたchを書き込む。なお、フィックスレイヤ用レジスタ中のどの1つのchストリップに対応する領域に書き込むかであるが、基本的にchストリップの並び順で左側から順に、chが配置されていないchストリップに対応する領域を見つけて書き込むものとする(既にchが配置されている領域はそのまま保持される)。なお、指示されたchを書き込むフィックスレイヤ用レジスタ中のchストリップに対応する領域を、ユーザが指定できるようにしてもよい(その領域に既にchが配置されている場合は上書きしてよい)。また、フィックスレイヤ用レジスタのデータは、ユーザが希望のchストリップを選んで、chストリップ単位でクリアできるものとする。また、フィックスレイヤ用レジスタに既に書き込まれていたchをすべてクリア(消去)した上で今回chを書き込む構成としてもよい。
ステップ1702では、当該chストリップの展開レイヤ用レジスタにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ1703で展開レイヤ用レジスタの内容を消去し(展開レイヤ用レジスタの各chストリップの領域を全てnoneにする)、配置されていないときは、ステップ1703をスキップする。
ステップ1704では、当該chストリップ部のフィックスレイヤ用レジスタとベースレイヤ用レジスタそれぞれに配置されているchに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決める。次に、ステップ1705で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。なお、chストリップ部1304の割当状態が変更された場合は、領域1302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。また、ステップ1704〜1705の処理は上述の割当処理に相当する。
図18は、図17の処理によりフィックスレイヤを変更する第1の例を示す。図18(a)は、図4(a)と同じ状態であり、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(1803)、フィックスレイヤ用レジスタと展開レイヤ用レジスタには何れもchが配置されていない(1801,1802)。1804は、このときの割当状態を示す。図18(a)の状態から、FIXセットスイッチ1313が操作されてFIXセットモードオンとされ、そのモード下でパネル面のchストリップのうちの、ch22が割り当てられているchストリップ内のSELスイッチがオンされて、図17の処理を行ったとする。図18(b)は、図17の処理後の状態を示す。図17のステップ1701の処理により、フィックスレイヤ用レジスタのchストリップ1に対応する領域にch22が新たに配置されている(1812)。この変更はベースレイヤには影響しないので、ベースレイヤ用レジスタの内容1813は1803と同じである。また、展開レイヤは割り当て無しの状態で変更はないので(1811)、ステップ1702→1704→1705と進む。ステップ1704,1705の処理により、フィックスレイヤとベースレイヤそれぞれに配置されているchに沿って割当状態が決められるので、結果として、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータは1814に示すようなものとなる。
図19は、図17の処理によりフィックスレイヤを変更する第2の例を示す。図19(a)は、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(1903)、フィックスレイヤ用レジスタにはchの配置が無く(1902)、展開レイヤ用レジスタにはchセットグループを展開したchが配置されている(1901)。1904は、このときの割当状態を示す。図19(a)の状態から、FIXセットスイッチ1313が操作されてFIXセットモードオンとされ、そのモード下でパネル面のchストリップのうちの、ch22が割り当てられているchストリップ内のSELスイッチがオンされて、図17の処理を行ったとする。図19(b)は、図17の処理後の状態を示す。図17のステップ1701の処理により、フィックスレイヤ用レジスタのchストリップ1に対応する領域にch22が新たに配置されている(1912)。この変更はベースレイヤには影響しないので、ベースレイヤ用レジスタの内容1913は1903と同じである。ただし、ステップ1702→1703の処理により展開レイヤはクリアされ、1911に示す状態となる。1914は、ステップ1704→1705の処理によりベースレイヤ用レジスタの内容1913とフィックスレイヤ用レジスタの内容1912に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。chストリップ1にフィックスレイヤ用レジスタの内容1912で規定されるch22が割り当てられ、chストリップ2〜8にベースレイヤデータ1913で規定される各chが割り当てられている。これにより、一時的に展開して利用していた展開レイヤで規定されている割当chが残ることなく、かつ、新たなフィックスレイヤでの割当chに切り替えつつ、フィックスレイヤでの割当ch無しのchストリップについてはベースレイヤでの割当chを保持することができる。
図20は、第2の実施形態においてCPU101が実行する展開レイヤの更新処理のフローを示す。展開レイヤの更新を指示する操作が行われたとき、本処理が起動される。展開レイヤの更新を指示する操作とは、展開する1つのグループ(DCAグループやchセットグループなど)を指定するとともに展開を指示する操作、つまり、1つのグループが指定されている状態で展開スイッチ1314,1318を押下する操作である。本処理には、該操作された展開スイッチに対応するchストリップ部を特定する情報と、展開を指示されたグループを特定する情報が与えられる。
ステップ2001では、指示されたグループに含まれる複数chを個々のchに展開して、指示されたchストリップ部の展開レイヤに、配置する。すなわち、指示されたグループに含まれる複数chのそれぞれを、当該chストリップ部の展開レイヤ用レジスタ中のchストリップの左側から順に1つずつ書き込む。既に展開レイヤに幾つかのchが配置されていた場合は、該データを上書きする形で新たなchが配置される。あるいは、新たに指示されたグループのchを書き込む前に展開レイヤ用レジスタの内容をすべてクリアしておく。ステップ2002では、当該chストリップ部のフィックスレイヤにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ2003で、当該chストリップ部の展開レイヤ用レジスタとフィックスレイヤ用レジスタとベースレイヤ用レジスタそれぞれに配置されているchに沿って、新たな割当状態を決める。次に、ステップ2005で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。なお、chストリップ部1304の割当状態が変更された場合は、領域1302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。ステップ2002でフィックスレイヤにchが配置されていないときは、ステップ2004で、当該chストリップ部の展開レイヤ用レジスタとベースレイヤ用レジスタそれぞれに配置されているchに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決め、ステップ2005に進む。以上のように、最上位層のレイヤ(本実施形態では展開レイヤ)に配置されるchを変更した場合は、他のレイヤに配置されているchはいずれも保持するように(いずれのレイヤのレジスタもクリアしないように)制御する。なお、ステップ2002〜2005の処理は上述の割当処理に相当する。
図21は、図20の処理により展開レイヤを変更する例を示す。図21(a)は、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(2103)、フィックスレイヤ用レジスタにはchストリップ1にchセットグループU1が配置され(2102)、展開レイヤ用レジスタにはchが配置されていない(2101)。2104は、このときの割当状態を示す。図21(a)の状態から、chセットグループU1を指定して展開スイッチ1314をオンして図20の処理を行ったとする。図21(b)は、図20の処理後の状態を示す。図20のステップ2001の処理により、chセットグループU1に属するch(ch9,ch11,ch13,ch15,ch17,ch19)が展開レイヤ用レジスタに配置されている(2111)。この展開レイヤの変更はベースレイヤやフィックスレイヤには影響しないので、ベースレイヤ用レジスタの内容2113は2103と同じで、フィックスレイヤ用レジスタの内容2112は2102と同じである。2114は、ステップ2002→2003→2005の処理により各レイヤの配置2111〜2113に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。chストリップ1〜6に新たな展開レイヤ用レジスタの内容2111で規定されるchセットグループU1を構成する各chが割り当てられ、展開レイヤおよびフィックスレイヤで割当ch無しのchストリップ7,8については、ベースレイヤ用レジスタの内容2113に基づいて各chが割り当てられている。これにより、新たな展開レイヤ用レジスタの内容が規定している割当chを採用しつつ、当該展開レイヤで割当ch無しのchストリップについてはベースレイヤとフィックスレイヤでの割当chを保持することができる。
次に、レイヤの解除について説明する。図13の解除スイッチ1311は、chストリップ部1304の3階層のレイヤのうち最上位層に配置されているchをクリアすることを指示するスイッチである。解除スイッチ1311が押下されたときは、chが配置されている最上位のレイヤを確認し、(1)それが展開レイヤなら当該展開レイヤのみをクリアし、(2)それがフィックスレイヤなら当該フィックスレイヤのみをクリアし、割当処理のやり直しを行う。chが配置されている最上位のレイヤがベースレイヤなら、レイヤのクリアはせず、chストリップへの割当状態は現状維持する。
図22は、第2の実施形態においてCPU101が実行するレイヤ解除処理のフローを示す。レイヤの解除を指示する操作が行われたとき、本処理が起動される。レイヤの解除を指示する操作とは、chが配置されているレイヤのうちの最上位層にあるレイヤのクリアを指示する操作、つまり、解除スイッチ1311,1315を押下する操作である。本処理には、押下された解除スイッチに対応するchストリップ部を特定する情報が与えられる。
ステップ2201では、当該chストリップ部の展開レイヤにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ2202で、当該展開レイヤ用レジスタの内容を全てクリアする(展開レイヤ用レジスタの各chストリップの領域を全てnoneにする)。次に、ステップ2203で、当該chストリップ部のフィックスレイヤにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ2204で、当該chストリップ部のフィックスレイヤ用レジスタとベースレイヤ用レジスタそれぞれに配置されているchに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決める。次に、ステップ2205で、新たな割当状態に沿って各chストリップにchを割り当てる。なお、chストリップ部1304の割当状態が変更された場合は、領域1302の表示内容も新たな割当chにあわせて更新する。ステップ2203でフィックスレイヤ用レジスタにchが配置されていないときは、ステップ2208で、当該chストリップ部のベースレイヤ用レジスタに配置されているchのみに沿って、当該chストリップ部の新たな割当状態を決め、ステップ2205に進む。
ステップ2201で展開レイヤにchが配置されていない場合は、ステップ2206で、当該chストリップ部のフィックスレイヤにchが配置されているかチェックする。配置されているときは、ステップ2207で、当該chストリップ部のフィックスレイヤ用レジスタの内容をクリアし(フィックスレイヤ用レジスタの各chストリップの領域を全てnoneにする)、ステップ2208に進む。ステップ2206でフィックスレイヤ用レジスタにchが配置されていない場合は、ステップ2209で、当該chストリップ部のchストリップの割当状態を変更せず、現状を維持する。なお、ステップ2203〜2205の処理は上述の割当処理に相当する。
図23は、レイヤの解除例を示す。図23(a)は、図21(b)と同じ状態であり、ベースレイヤのカレントデータとしてB1スイッチのベースレイヤデータが配置され(2303)、フィックスレイヤ用レジスタにはchストリップ1にchセットグループU1が配置され(2302)、展開レイヤ用レジスタにはchセットグループU1を展開したchが配置されている(2301)。2304は、このときの割当状態を示す。図23(a)の状態から、解除スイッチ1311をオンして図22の処理を行ったとする。図23(b)は、図22の処理後の状態を示す。chが配置されているレイヤのうちの最上位である展開レイヤは、ステップ2201→2202の処理により2311に示すようにクリアされ、chが配置されていない状態となる。フィックスレイヤとベースレイヤの状態は、2312,2313に示すように、2302,2303から変化しない。2314は、ステップ2203→2204→2205の処理によりベースレイヤとフィックスレイヤの内容2313,2312に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。
図23(b)の状態から、さらに解除スイッチをオンして新たに図22の処理を行ったとする。図23(c)は、新たな図22の処理後の状態を示す。図23(b)でchが配置されているレイヤのうちの最上位であるフィックスレイヤは、ステップ2201→2206→2207の処理により2322に示すようにクリアされ、chが配置されていない状態となる。展開レイヤとベースレイヤの状態は、2321,2323に示すように、2311,2313から変化しない。2324は、ステップ2208→2205の処理によりベースレイヤ用レジスタの内容2323に基づいて割当処理を行ったときの、カレントメモリ上の割当ch格納領域のカレントデータを示す。これにより、解除スイッチがオンされる毎に、最上位のレイヤからクリアしていくことができる。
上記第1の実施形態では、例えば図4の401,402に示すような「展開レイヤやフィックスレイヤにレイヤデータが配置されていない状態」を前提に説明したが、レイヤデータとして全chストリップを割り当てch無しと規定するレイヤデータを用意し、該レイヤデータが配置されたとき、上記実施形態の「レイヤデータが配置されていない状態」と同等とみなして処理できることはもちろんである。
上記第1および第2の実施形態では、カレントメモリ上に割当ch格納領域を設けたが、必ずしもこの領域を設ける必要はない。chストリップに割り当てられているchを特定する必要がある毎に、各レイヤの配置の状態に基づいて各chストリップの割当chを決定してもよい。
上記第1および第2の実施形態では、複数のchをグループ化し一括して制御する機能の例としてDCAグループとchセットグループを挙げて説明したが、本発明は、他のグループ化の機能にも適用可能である。例えば、ミュートグループやリンクグループである。