JP2012037300A - トルクセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で高剛性をもち、構造が単純なトルクセンサを提供する。
【解決手段】左側支持体10と右側支持体20との間に環状変形体30を配置する。環状変形体30の左側面の上下2箇所には、左側支持体10から右方へ突出した凸状部11,12が接合され、環状変形体30の右側面の左右2箇所には、右側支持体20から左方へ突出した凸状部21,22が接合される。右側支持体20に負荷がかかった状態で、左側支持体10にZ軸まわりのトルクが作用すると、環状変形体30は楕円状に変形し、その内周面の長軸位置はZ軸から離れ、短軸位置はZ軸に近づく。この内周面の長軸位置および短軸位置には図示しない変位電極が形成され、各変位電極に対向する位置には図示しない固定電極が配置され、各固定電極は右側支持体20に固定される。作用したトルクは、各変位電極と各固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動として検出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、トルクセンサに関し、特に、所定の回転軸まわりに作用したトルクを電気信号として出力する機能をもったセンサに関する。
所定の回転軸まわりに作用したトルクを検出するトルクセンサは、様々な輸送機械や産業機械に広く利用されている。たとえば、下記の特許文献1には、トルクの作用によって生じた機械的な変形を歪みゲージによって検出するタイプのトルクセンサが開示されている。また、特許文献2には、シャフト表面にメッキ処理により磁歪膜を形成し、この磁歪膜の磁気特性の変化を測定することによりシャフトに作用したトルクを検出するセンサが開示されている。一方、特許文献3には、トーションバーの端部に磁気発生部を設け、この磁気発生部によって発生される磁気の磁束密度の変化を集磁リングを用いて検出するタイプのトルクセンサが開示されており、特許文献4には、N極とS極とが周方向に交互に並ぶように円筒状に多数の磁石を配置し、これら磁石によって生じる磁界を検出するタイプのトルクセンサが開示されている。更に、特許文献5には、トルクの作用により環状部材の形状を径方向に変形させるリンク機構を用意し、環状部材の変形によってその径方向に加わる力を荷重センサで検出するトルクセンサが開示されている。
特開2009−058388号公報 特開2007−024641号公報 特開2009−244134号公報 特開2006−292423号公報 特開2000−019035号公報
産業界では、小型で高剛性をもち、構造が単純なトルクセンサが要求されている。特に、ロボットアームを用いて自動組立を行う産業機器では、アームの先端部に生じる力を監視し、これを制御することが不可欠である。このようなトルクフィードバック型のロボットアームには、アームの関節部分に組み込んで用いるのに適した小型で高剛性をもち、構造が単純なトルクセンサが望まれている。
一般に、ロボットアームの関節部分は軸長が短いため、関節部分に組み込むトルクセンサも、できるだけ軸長の短い小型のものが好ましい。しかしながら、従来のトーションバーを用いた方式のトルクセンサでは、軸長を短く設計することは困難である。これは、トルクの作用によってトーションバーにねじれが生じた際に、当該ねじれに起因して軸長に変化が生じることになるので、この変化分が無視できる程度にトーションバーの全長を長く設定せざるを得ないためである。
通常、関節部分に組み込まれたトルクセンサの軸長が、トルクの作用によって変動すると、軸方向の力が新たに生じることになり、軸の偏心や傾斜を誘発し、正確なトルク検出を阻む要因になる。このような弊害に対処するためには、軸長の変化分を吸収する固有の仕組みが必要になるが、そのような仕組みを設ければ、それだけ構造が複雑化することになり好ましくない。結局、軸長の変化分が無視できる程度にトーションバーの全長を長く設定せざるを得ず、従来のトルクセンサでは、軸長を短く設計することは困難である。
また、安定したトルクフィードバックを行うためには、電気的な観点において、信号処理の高速応答性を確保するとともに、機械的な観点において、センサ構造体に高い剛性を確保する必要がある。一般的なトルクセンサの基本原理は、何らかの構造体に機械的なねじれを生じさせ、このねじれを電気的に検出することにある。したがって、ねじれを生じさせる対象物としては、当然、完全な剛体を用いることはできず、ある程度の弾性変形を生じる構造体を用いる必要がある。しかしながら、トルク検出に伴って生じるねじれ角が大きいと、ハンチング現象により制御系の周波数特性が劣化し、高速応答性を確保することができなくなる。
したがって、安定したトルクフィードバックを行うためには、トルク検出に伴って生じるねじれ角はできるだけ小さく抑える必要があり、できるだけ高い剛性をもった構造体によりトルクセンサを構成するのが好ましい。しかしながら、従来提案されている磁気方式のねじれ角検出手法では、小さなねじれ角を高精度で検出することが困難である。
更に、産業利用の観点からは、トルクセンサにも、当然ながらコストダウンが要求される。そのためには、できるだけ構造を単純化するのが好ましい。しかしながら、従来提案されているトルクセンサでは、トーションバーに歪みゲージを貼り付けたり、磁歪膜を形成したり、あるいは、磁石やコイルを取り付けたりする必要があり、構造はかなり複雑なものにならざるを得ない。
そこで本発明は、小型で高剛性をもち、構造が単純なトルクセンサを提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、所定の回転軸まわりのトルクを検出するトルクセンサにおいて、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸が挿通する貫通開口部を有する環状変形体と、
回転軸が左右に伸びる水平線をなすような基準観察方向から見たときに、環状変形体の左側に隣接する位置に配置された左側支持体と、
基準観察方向から見たときに、環状変形体の右側に隣接する位置に配置された右側支持体と、
環状変形体の左側の側面上の左側接続点を、左側支持体に接続する左側接続部材と、
環状変形体の右側の側面上の右側接続点を、右側支持体に接続する右側接続部材と、
環状変形体の内周面もしくは外周面に固定され、環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる変位電極と、
変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体もしくは右側支持体に固定された固定電極と、
変位電極と固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、右側支持体および左側支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用した回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、
を設け、
回転軸に直交する投影面についての左側接続点の正射影投影像と右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係るトルクセンサにおいて、
環状変形体の左側の側面上に第1の左側接続点および第2の左側接続点が設けられ、
左側接続部材は、第1の左側接続点を左側支持体に接続する第1の左側接続部材と、第2の左側接続点を左側支持体に接続する第2の左側接続部材と、を有し、
環状変形体の右側の側面上に第1の右側接続点および第2の右側接続点が設けられ、
右側接続部材は、第1の右側接続点を右側支持体に接続する第1の右側接続部材と、第2の右側接続点を右側支持体に接続する第2の右側接続部材と、を有し、
回転軸に直交する投影面に環状変形体を投影して正射影投影像を得た場合に、環状変形体の輪郭に沿った環状路に、第1の左側接続点、第1の右側接続点、第2の左側接続点、第2の右側接続点の順に、各接続点の正射影投影像が配置されているようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係るトルクセンサにおいて、
回転軸に直交する投影面上に、回転軸の投影点を通り互いに直交する2直線を引いた場合に、第1の左側接続点および第2の左側接続点の正射影投影像が第1の直線上に配置され、第1の右側接続点および第2の右側接続点の正射影投影像が第2の直線上に配置されているようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係るトルクセンサにおいて、
左側支持体および右側支持体として、中心部に貫通開口部を有する環状の構造体を用い、回転軸に沿って、左側支持体、環状変形体、右側支持体の各貫通開口部を貫く挿通孔が確保されるようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係るトルクセンサにおいて、
環状変形体が、回転軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなるようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係るトルクセンサにおいて、
左側支持体および右側支持体が、回転軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなるようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第6の態様に係るトルクセンサにおいて、
変位電極を、環状変形体の内周面に形成された導電層によって構成し、
固定電極を、この導電層に対向する位置に配置され、左側支持体もしくは右側支持体から回転軸に沿った方向に突き出した導電板によって構成したものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1〜第7の態様に係るトルクセンサにおいて、
環状変形体の各部分のうち、所定回転方向のトルクが作用したときに、回転軸に近づく方向に変位する第1の部分に固定された第1の変位電極と、回転軸から離れる方向に変位する第2の部分に固定された第2の変位電極と、第1の変位電極に対向する位置に配置された第1の固定電極と、第2の変位電極に対向する位置に配置された第2の固定電極と、を有し、
検出回路が、第1の変位電極と第1の固定電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、第2の変位電極と第2の固定電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力するようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係るトルクセンサにおいて、
所定回転方向のトルクが作用したときに、電極間隔が狭まる容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が増加し、電極間隔が広がる容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が減少するように、互いに対向する変位電極と固定電極とをオフセットをもたせて配置するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1〜第8の態様に係るトルクセンサにおいて、
所定回転方向のトルクが作用した結果、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が変化しないように、固定電極および変位電極のうちの一方の面積を他方の面積よりも大きく設定するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第1〜第10の態様に係るトルクセンサにおいて、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸が挿通する貫通開口部を有し、環状変形体の内側に配置された内側環状変形体と、
内側環状変形体の左側の側面上の内側左側接続点を左側支持体に接続する内側左側接続部材と、
内側環状変形体の右側の側面上の内側右側接続点を右側支持体に接続する内側右側接続部材と、
内側環状変形体の内周面もしくは外周面に固定され、内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
内側変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体もしくは右側支持体に固定された内側固定電極と、
を更に設け、
回転軸に直交する投影面についての内側左側接続点の正射影投影像と内側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにし、
検出回路が、内側変位電極と内側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量を更に利用して、回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1の態様に係るトルクセンサにおいて、
XYZ三次元座標系におけるZ軸まわりのトルクを検出するために、環状変形体が原点Oを中心としてXY平面上に配置され、左側支持体がZ軸負領域に配置され、右側支持体がZ軸正領域に配置され、
環状変形体のZ軸負側の側面上に第1の左側接続点および第2の左側接続点が設けられ、
左側接続部材は、第1の左側接続点を左側支持体に接続する第1の左側接続部材と、第2の左側接続点を左側支持体に接続する第2の左側接続部材と、を有し、
環状変形体のZ軸正側の側面上に第1の右側接続点および第2の右側接続点が設けられ、
右側接続部材は、第1の右側接続点を右側支持体に接続する第1の右側接続部材と、第2の右側接続点を右側支持体に接続する第2の右側接続部材と、を有し、
環状変形体の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の右側接続点の投影像が正のX軸上、第2の右側接続点の投影像が負のX軸上、第1の左側接続点の投影像が正のY軸上、第2の左側接続点の投影像が負のY軸上に配置されているようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係るトルクセンサにおいて、
環状変形体が、Z軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなるようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係るトルクセンサにおいて、
XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義した場合に、V軸上に配置された第1の変位電極および第1の固定電極と、W軸上に配置された第2の変位電極および第2の固定電極と、を有し、
検出回路が、第1の変位電極と第1の固定電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、第2の変位電極と第2の固定電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力するようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第14の態様に係るトルクセンサにおいて、
所定回転方向のトルクの作用により環状変形体のXY平面上への正射影投影像の輪郭が円から楕円に変化する場合に、この楕円の短軸方向にV軸、長軸方向にW軸をとり、
トルクが作用していない状態において、第1の固定電極の位置が、第1の変位電極の位置に比べて、所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第2の固定電極の位置が、第2の変位電極の位置に比べて、所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれているようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第13の態様に係るトルクセンサにおいて、
XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなし、符号をもったV軸およびW軸を定義した場合に、正のV軸上に配置された第1の変位電極および第1の固定電極と、正のW軸上に配置された第2の変位電極および第2の固定電極と、負のV軸上に配置された第3の変位電極および第3の固定電極と、負のW軸上に配置された第4の変位電極および第4の固定電極と、を有し、
検出回路が、「第1の変位電極と第1の固定電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、第3の変位電極と第3の固定電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量値と、の和」と、「第2の変位電極と第2の固定電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、第4の変位電極と第4の固定電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量値と、の和」と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第16の態様に係るトルクセンサにおいて、
所定回転方向のトルクの作用により環状変形体のXY平面上への正射影投影像の輪郭が円から楕円に変化する場合に、この楕円の短軸方向にV軸、長軸方向にW軸をとり、
トルクが作用していない状態において、第1の固定電極の位置が、第1の変位電極の位置に比べて、所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第2の固定電極の位置が、第2の変位電極の位置に比べて、所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれ、第3の固定電極の位置が、第3の変位電極の位置に比べて、所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第4の固定電極の位置が、第4の変位電極の位置に比べて、所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれているようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第14または第16の態様に係るトルクセンサにおいて、
所定回転方向のトルクが作用した結果、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が変化しないように、固定電極および変位電極のうちの一方の面積を他方の面積よりも大きく設定したものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第18の態様に係るトルクセンサにおいて、
各変位電極を、環状変形体の内周面に形成された共通導電層によって構成したものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第19の態様に係るトルクセンサにおいて、
環状変形体を導電性の弾性材料によって構成し、環状変形体の内周面自身を共通導電層として用いるようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述の第12の態様に係るトルクセンサにおいて、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部を有し、原点Oを中心としてXY平面上に、環状変形体の内側にくるように配置された内側環状変形体を更に設け、
内側環状変形体のZ軸負側の側面上に第1の内側左側接続点および第2の内側左側接続点が設けられ、
内側環状変形体のZ軸正側の側面上に第1の内側右側接続点および第2の内側右側接続点が設けられ、
第1の内側左側接続点を左側支持体に接続する第1の内側左側接続部材と、第2の内側左側接続点を左側支持体に接続する第2の内側左側接続部材と、第1の内側右側接続点を右側支持体に接続する第1の内側右側接続部材と、第2の内側右側接続点を右側支持体に接続する第2の内側右側接続部材と、
内側環状変形体の内周面もしくは外周面に固定され、内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
内側変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体もしくは右側支持体に固定された内側固定電極と、
を更に設け、
内側環状変形体の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の内側右側接続点の投影像が正のY軸上、第2の内側右側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側左側接続点の投影像が正のX軸上、第2の内側左側接続点の投影像が負のX軸上に配置されており、
検出回路が、内側変位電極と内側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量を更に利用して、回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、所定の回転軸まわりのトルクを検出するトルクセンサにおいて、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸が挿通する貫通開口部を有する外側環状変形体と、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸が挿通する貫通開口部を有し、外側環状変形体の内側に配置された内側環状変形体と、
回転軸が左右に伸びる水平線をなすような基準観察方向から見たときに、外側環状変形体および内側環状変形体の左側に隣接する位置に配置された左側支持体と、
基準観察方向から見たときに、外側環状変形体および内側環状変形体の右側に隣接する位置に配置された右側支持体と、
外側環状変形体の左側の側面上の外側左側接続点を、左側支持体に接続する外側左側接続部材と、
外側環状変形体の右側の側面上の外側右側接続点を、右側支持体に接続する外側右側接続部材と、
内側環状変形体の左側の側面上の内側左側接続点を、左側支持体に接続する内側左側接続部材と、
内側環状変形体の右側の側面上の内側右側接続点を、右側支持体に接続する内側右側接続部材と、
外側環状変形体の内周面に固定され、外側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる外側変位電極と、
外側変位電極に対向するように、内側環状変形体の外周面に固定され、内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
外側変位電極と内側変位電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、右側支持体および左側支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用した回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、
を設け、
回転軸に直交する投影面について、外側左側接続点の正射影投影像と外側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成され、内側左側接続点の正射影投影像と内側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、XYZ三次元座標系におけるZ軸まわりのトルクを検出するトルクセンサにおいて、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部を有し、原点Oを中心としてXY平面上に配置された外側環状変形体と、
検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部を有し、原点Oを中心としてXY平面上に配置され、かつ、外側環状変形体の貫通開口部内に配置された内側環状変形体と、
外側環状変形体および内側環状変形体のZ軸負領域側に隣接する位置に配置された左側支持体と、
外側環状変形体および内側環状変形体のZ軸正領域側に隣接する位置に配置された右側支持体と、
を設け、
外側環状変形体のZ軸負側の側面上に、第1の外側左側接続点および第2の外側左側接続点が設けられ、外側環状変形体のZ軸正側の側面上に、第1の外側右側接続点および第2の外側右側接続点が設けられ、
内側環状変形体のZ軸負側の側面上に、第1の内側左側接続点および第2の内側左側接続点が設けられ、内側環状変形体のZ軸正側の側面上に、第1の内側右側接続点および第2の内側右側接続点が設けられ、
第1の外側左側接続点を左側支持体に接続する第1の外側左側接続部材と、第2の外側左側接続点を左側支持体に接続する第2の外側左側接続部材と、第1の外側右側接続点を右側支持体に接続する第1の外側右側接続部材と、第2の外側右側接続点を右側支持体に接続する第2の外側右側接続部材と、
第1の内側左側接続点を左側支持体に接続する第1の内側左側接続部材と、第2の内側左側接続点を左側支持体に接続する第2の内側左側接続部材と、第1の内側右側接続点を右側支持体に接続する第1の内側右側接続部材と、第2の内側右側接続点を右側支持体に接続する第2の内側右側接続部材と、
外側環状変形体の内周面に固定され、外側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる外側変位電極と、
内側環状変形体の外周面における外側変位電極に対向する位置に固定され、内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
外側変位電極と内側変位電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、右側支持体および左側支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、
を更に設け、
外側環状変形体および内側環状変形体の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の外側右側接続点の投影像が正のX軸上、第2の外側右側接続点の投影像が負のX軸上、第1の外側左側接続点の投影像が正のY軸上、第2の外側左側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側右側接続点の投影像が正のY軸上、第2の内側右側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側左側接続点の投影像が正のX軸上、第2の内側左側接続点の投影像が負のX軸上に配置されているようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述の第23の態様に係るトルクセンサにおいて、
外側環状変形体および内側環状変形体が、Z軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなるようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述の第24の態様に係るトルクセンサにおいて、
左側支持体および右側支持体として、中心部に貫通開口部を有する環状の構造体を用い、Z軸に沿って、左側支持体、内側環状変形体、右側支持体の各貫通開口部を貫く挿通孔が確保されるようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述の第24または第25の態様に係るトルクセンサにおいて、
XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義した場合に、V軸上に配置された第1の外側変位電極および第1の内側変位電極と、W軸上に配置された第2の外側変位電極および第2の内側変位電極と、を設け、
検出回路が、第1の外側変位電極と第1の内側変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、第2の外側変位電極と第2の内側変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力するようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述の第24または第25の態様に係るトルクセンサにおいて、
XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなし、符号をもったV軸およびW軸を定義した場合に、正のV軸上に配置された第1の外側変位電極および第1の内側変位電極と、正のW軸上に配置された第2の外側変位電極および第2の内側変位電極と、負のV軸上に配置された第3の外側変位電極および第3の内側変位電極と、負のW軸上に配置された第4の外側変位電極および第4の内側変位電極と、を設け、
検出回路が、「第1の外側変位電極と第1の内側変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、第3の外側変位電極と第3の内側変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量値と、の和」と、「第2の外側変位電極と第2の内側変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、第4の外側変位電極と第4の内側変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量値と、の和」と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力するようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述の第26または第27の態様に係るトルクセンサにおいて、
各外側変位電極を、外側環状変形体の内周面に形成された共通導電層によって構成するか、もしくは、各内側変位電極を、内側環状変形体の外周面に形成された共通導電層によって構成したものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述の第28の態様に係るトルクセンサにおいて、
外側環状変形体を導電性の弾性材料によって構成し、外側環状変形体の内周面自身を共通導電層として用いるようにするか、もしくは、内側環状変形体を導電性の弾性材料によって構成し、内側環状変形体の外周面自身を共通導電層として用いるようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述の第1〜第29の態様に係るトルクセンサにおいて、
左側接続部材が、左側支持体の右側面から右方に突出した凸状部によって構成され、右側接続部材が、右側支持体の左側面から左方に突出した凸状部によって構成され、各凸状部の頂面が環状変形体の各接続点に接合されているようにしたものである。
本発明に係るトルクセンサでは、回転軸が挿通する貫通開口部を有する環状変形体を利用してトルク検出が行われる。この環状変形体の左右両脇には、左側支持体と右側支持体とが配置され、それぞれが異なる接続点に接合される。このため、一方の支持体に負荷がかかった状態で、他方の支持体にトルクが加わると、環状変形体に歪みが生じることになり、環状変形体の各部の回転軸からの距離に変化が生じる。本発明では、この距離の変化を容量素子の静電容量値によって検出できる。すなわち、環状変形体の内周面もしくは外周面に固定された変位電極と、この変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体もしくは右側支持体に固定された固定電極と、によって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、環状変形体の変形態様を認識することができ、作用したトルクの検出が可能になる。
環状変形体、左側支持体、右側支持体は、軸方向の厚みが小さな扁平構造体によって構成することができるので、センサ全体の軸長を短く設定することが可能になる。また、環状変形体の形状の歪みによってトルク検出が行われるので、環状変形体としては、弾性変形を生じる材質を用いる必要があるものの、比較的高い剛性をもった材質を利用しても、高精度の検出が可能になる。更に、環状変形体の形状の歪みは、一対の電極からなる容量素子によって検出できるので、構造も単純化され、コストダウンに貢献することができる。
特に、環状変形体の上下の2箇所を左側支持体に接合し、左右の2箇所を右側支持体に接合して、各接続点が90°ずつずれるようにすれば、トルクの作用によって、環状変形体を効率的に変形させることができる。環状変形体として円環状の構造体を用いると、トルクが作用していない無負荷状態では円形を維持するため、各部の回転軸からの距離は等しくなるが、トルクの作用により楕円形に変形すると、長軸位置では回転軸からの距離は伸び、短軸位置では回転軸からの距離が縮むことになる。そこで、長軸位置と短軸位置とにそれぞれ容量素子を設けておけば、同一のトルクが加わった場合、長軸位置では電極間隔が広がり静電容量値が減少するのに対して、短軸位置では電極間隔が狭まり静電容量値が増加するので、両静電容量値の差分として、作用したトルクを検出することができる。
このような差分検出は、同相ノイズやゼロ点ドリフトを抑えた安定したトルク検出に有効であり、また、温度による各部の膨張の影響を相殺して、精度の高い検出値を得るのに貢献する。更に、4組の容量素子を、長軸の両端位置および短軸の両端位置に設けるようにすれば、静電容量値が増加する2組の容量素子と、静電容量値が減少する2組の容量素子と、を用いた差分検出が可能になり、検出精度は更に向上する。
本発明に係るトルクセンサでは、環状変形体だけでなく、左側支持体および右側支持体にも、回転軸を挿通する貫通開口部を形成することが可能である。これにより、回転軸に沿って、左側支持体、環状変形体、右側支持体の各貫通開口部を貫く挿通孔を確保することができ、内部が中空となる構造を採ることができる。したがって、本発明に係るトルクセンサを、ロボットアームの関節部分に組み込んで利用する場合、この中空部分に減速機などを配置することができ、総合的に省スペースのロボットアームを設計することが可能になる。
なお、本発明に係るトルクセンサでは、トルクが作用した状態において、環状変形体のねじれ角は比較的小さく抑えることが可能であるが、それでも環状変形体の各部はトルクが加わった回転方向に移動することになる。そのため、トルクが作用すると、変位電極の位置が固定電極の位置に対してオフセットを生じることになり、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積に変動が生じ、この面積変動によって静電容量値に影響が及ぶことになる。
そこで、トルクが作用していない無負荷状態において、予め一方の電極を所定方向にオフセットをもたせて配置しておくようにすると、トルクが作用したときに、容量素子の実効面積の変動によって検出結果に悪影響が及ぶことを阻止することができる。あるいは、固定電極および変位電極のうちの一方の面積を他方の面積よりも大きく設定しておけば、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子の実効面積を一定に維持することができ、面積変動によって検出結果に悪影響が及ぶことを阻止することができる。また、検出対象となるトルク以外の外乱成分の影響を受けない正確なトルク検出が可能になる。
本発明に係るトルクセンサでは、2組の環状変形体を組み込む構成を採ることも可能である。すなわち、外側環状変形体の内側に、更に内側環状変形体を組み込むようにすれば、2組の環状変形体のそれぞれから別個の検出結果を得ることができ、検出感度および精度を向上させることができる。また、センサ構造全体の剛性も向上する。特に、両環状変形体として円環状の構造体を用い、トルクが作用した際にいずれも楕円形に変形するようにし、一方の楕円の長軸方向が他方の楕円の短軸方向となるように、互いに90°ずらした接続点を設けるようにすれば、検出感度を更に向上させることができる。
また、外側と内側とに配置された2組の環状変形体を組み込む構成を採った場合、変位電極と固定電極とによって容量素子を構成する代わりに、外側環状変形体の内周面に形成した外側変位電極と、内側環状変形体の外周面に形成した内側変位電極と、によって容量素子を形成することも可能になる。この場合も、両環状変形体として円環状の構造体を用い、トルクが作用した際にいずれも楕円形に変形するようにし、一方の楕円の長軸方向が他方の楕円の短軸方向となるように、互いに90°ずらした接続点を設けるようにすれば、外側変位電極と内側変位電極との間の電極間隔の変動量を大きくとることができ、検出感度を更に向上させることができる。
本発明の基本的な実施形態に係るトルクセンサの基本構造部の分解斜視図である。 図1に示す3つの構成要素を相互に接合することにより得られるトルクセンサの基本構造部の側面図である。 図2に示す基本構造部をYZ平面で切断した側断面図である。 図1に示す左側支持体10および凸状部11,12を図1の右方向から見た正面図である。 図1に示す環状変形体30を図1の右方向から見た正面図である。 図1に示す右側支持体20および凸状部21,22を図1の右方向から見た正面図である。 図2に示す基本構造部をXY平面で切断し、図2の左方向から見た断面図である。 図2に示す基本構造部にZ軸正まわりのトルクが作用したときの変形状態を示すXY平面での断面図である(図2に示す基本構造部をXY平面で切断し、図2の左方向から見た断面図である。破線は変形前の状態を示す)。 内周面に変位電極E31,E32を形成した状態の環状変形体30を、図2の左方向から見た平面図である。 固定電極E21,E22を取り付けた状態の右側支持体20を、図2の左方向から見た平面図である。 図10に示す右側支持体20の側面図である。 図3に示す基本構造部に変位電極および固定電極を付加した構造体をVZ平面で切断した側断面図である(図12の上方は、図9および図10に示すV軸方向)。 図2に示す基本構造部に上述した変位電極および固定電極を付加した構造体をXY平面で切断し、図2の左方向から見た断面図である。 図13に示す基本構造部に対して、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示す断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 本発明の基本的な実施形態に係るトルクセンサに用いる検出回路の一例を示す回路図である。 図13に示す基本構造部に対して、Z軸正まわりのトルクが作用したときの変位電極の回転方向のずれを強調して描いた断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 固定電極をオフセット配置した変形例に係るトルクセンサを示すXY平面での断面図である。 図17に示すトルクセンサについて、環状変形体30を時計まわりに若干回転させたときの各電極の位置関係を示す断面図である。 4組の容量素子を用いる変形例に係るトルクセンサのXY平面での断面図である。 図19に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示す断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 図19に示すトルクセンサに用いる検出回路の一例を示す回路図である。 固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子の実効面積を一定に維持する原理を示す図である。 図19に示すトルクセンサに図22に示す原理を適用した変形例を示すXY平面での断面図である。 図23に示すトルクセンサをVZ平面で切断した側断面図である(図24の上方は、図23に示すV軸方向)。 図23に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのモーメントMz(検出対象となるトルク)が作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 図23に示すトルクセンサについて、X軸方向の力Fxが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 図23に示すトルクセンサについて、X軸正まわりのモーメントMxが作用したときの状態を示すZV平面での断面図である。 図23に示すトルクセンサについて、右側支持体20に負荷がかかった状態において、左側支持体10から環状変形体30に対して各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントが作用したときの4組の容量素子の静電容量値の変化態様を示す表である。 図23に示すトルクセンサにおいて、4組の変位電極E31L〜E34Lを共通導電層E35に置き換えた変形例を示すXY平面での断面図である。 図29に示すトルクセンサにおいて、導電性材料からなる環状変形体30Aを用いることにより、環状変形体30Aの内周面を共通導電層として利用した変形例を示すXY平面での断面図である。 2組の環状変形体を用いた本発明の変形例に係るトルクセンサの基本構造部の分解斜視図である。 図31に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 図31に示す基本構造部に、具体的な電極配置を行うことによって構成されたトルクセンサのXY平面での断面図である。 図33に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 2組の環状変形体を用いた本発明の別な変形例に係るトルクセンサのXY平面での断面図である。 図35に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示す)。 図35に示すトルクセンサにおいて、4組の外側変位電極E81〜E84を共通導電層E85に置き換えた変形例を示すXY平面での断面図である。 図37に示すトルクセンサにおいて、導電性材料からなる環状変形体80Aを用いることにより、環状変形体80Aの内周面を共通導電層として利用した変形例を示すXY平面での断面図である。 2組の環状変形体を用いた本発明の更に別な変形例に係るトルクセンサのXY平面での断面図である。 図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、環状変形体80,90に対してZ軸正まわりのトルク(モーメント+Mz)が作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示し、電極は図示省略。+−の符号は、当該位置の容量素子の静電容量値の増減を示す)。 図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、環状変形体80,90に対してX軸正方向の力+Fxが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示し、電極は図示省略。+−の符号は、当該位置の容量素子の静電容量値の増減を示す)。 図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、環状変形体80,90に対してY軸正方向の力+Fyが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示し、電極は図示省略。+−の符号は、当該位置の容量素子の静電容量値の増減を示す)。 図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、環状変形体80,90に対して各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントが作用したときの8組の容量素子の静電容量値の変化態様を示す表である。 本発明に係るトルクセンサの更に別な電極構成を示すXY平面での断面図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 本発明に係るトルクセンサの基本構造部 >>>
図1は、本発明の基本的な実施形態に係るトルクセンサの基本構造部の分解斜視図である。図示のように、この基本構造部は、左側支持体10と右側支持体20との間に、環状変形体30を配置し、これら3つの構成要素を相互に接合することによって構成される。ここでは、便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義して、以下の説明を行うことにする。ここで、図の水平方向に描かれたZ軸が、検出対象となるトルクの回転軸に相当し、このトルクセンサは、この回転軸まわり(Z軸まわり)のトルクを検出する機能を果たすことになる。
図の中央に配置された環状変形体30は、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、その内部には、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H30が形成されている。一方、図の左側に配置された左側支持体10は、環状変形体30の左側面を支持する部材であり、図の右側に配置された右側支持体20は、環状変形体30の右側面を支持する部材である。ここに示す基本的な実施形態の場合、左側支持体10は、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H10が形成された環状部材であり、右側支持体20は、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H20が形成された環状部材である。
なお、一般に右側および左側という概念は、特定の観察方向から見た場合にのみ意味をもつ概念であるが、ここでは説明の便宜上、図1に示すとおり、回転軸(Z軸)が左右に伸びる水平線をなすような基準観察方向(右方向がZ軸の正方向となるような観察方向)から見たときに、環状変形体30の左側に隣接する位置に配置された支持体を左側支持体10と呼び、環状変形体30の右側に隣接する位置に配置された支持体を右側支持体20と呼ぶことにする。
ここでは、環状変形体30の中心位置にXYZ三次元座標系の原点Oを定義しており、左側支持体10,環状変形体30,右側支持体20は、いずれもZ軸を中心軸とする円環状の部材によって構成されている。より具体的には、環状変形体30は、Z軸(回転軸)を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部H30を形成することにより得られる円環状の部材からなる。同様に、左側支持体10および右側支持体20も、Z軸(回転軸)を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部H10,H20を形成することにより得られる円環状の部材からなる。
一方、左側支持体10の右側面には、右方に突出した2つの扇形の凸状部11,12が設けられており、この凸状部11,12の頂面が環状変形体30の左側面に接合されている。図示のとおり、凸状部11は環状変形体30の上部(Y軸正方向に位置する部分)に接合され、凸状部12は環状変形体30の下部(Y軸負方向に位置する部分)に接合される。同様に、右側支持体20の左側面には、左方に突出した2つの扇形の凸状部21,22が設けられており、この凸状部21,22の頂面が環状変形体30の右側面に接合されている。図示のとおり、凸状部21は環状変形体30の奥の部分(X軸正方向に位置する部分)に接合され、凸状部22は環状変形体30の手前の部分(X軸負方向に位置する部分)に接合される。
図2は、図1に示す3つの構成要素を相互に接合することにより得られるトルクセンサの基本構造部の側面図であり、図3は、この基本構造部をYZ平面で切断した側断面図である。ここに示す例の場合、図3に示すとおり、凸状部11,12は、左側支持体10と一体となった構造体であり、その頂面が環状変形体30の左側面に接合されている。同様に、凸状部21,22は、右側支持体20と一体となった構造体であり、その頂面が環状変形体30の右側面に接合されている。
結局、凸状部11,12は、環状変形体30の左側支持体10に対向する左側の側面上の左側接続点を、左側支持体10に接続する左側接続部材として機能し、凸状部21,22は、環状変形体30の右側支持体20に対向する右側の側面上の右側接続点を、右側支持体20に接続する右側接続部材として機能する。
図4は、左側支持体10および凸状部11,12を図1の右方向から見た正面図、図5は、環状変形体30を図1の右方向から見た正面図、図6は、右側支持体20および凸状部21,22を図1の右方向から見た正面図である。図4において、凸状部11,12の中心位置に示されている点P11,P12は左側接続点であり、§2において、環状変形体30に対する接続位置を説明するために用いられる。同様に、図6において、凸状部21,22の中心位置に示されている点P21,P22は右側接続点であり、やはり§2において、環状変形体30に対する接続位置を説明するために用いられる。
なお、図4に示す部品(左側支持体10および凸状部11,12)と図6に示す部品(右側支持体20および凸状部21,22)とは、実際には、全く同一のものにするのが好ましい。この場合、図4に示す部品をY軸を回転軸として180°回転させて裏返し、更に、Z軸を回転軸として90°回転させれば、図6に示す部品に完全に一致する。したがって、実際には、図4に示す部品を2組用意し、図5に示す部品を1組用意すれば、図2に示す基本構造部を構成することができる。
図5に示すとおり、環状変形体30には、円形の貫通開口部H30が設けられているが、これは、検出に必要な弾性変形を生じさせるためのものである。後述するように、この基本構造体に検出対象となるトルクが作用した場合、環状変形体30は楕円形に変形する必要がある。このような環状変形体30の弾性変形のしやすさは、センサの検出感度を左右するパラメータになる。弾性変形しやすい環状変形体30を用いれば、微小なトルクでも検出可能な感度の高いセンサを実現することができるが、検出可能なトルクの最大値は抑制されることになる。逆に、弾性変形しにくい環状変形体30を用いれば、検出可能なトルクの最大値を大きくとることができるが、感度は低下するため、微小なトルクの検出はできなくなる。
環状変形体30の弾性変形のしやすさは、Z軸方向の厚み(薄くするほど弾性変形しやすい)および貫通開口部H30の径(大きくするほど弾性変形しやすい)に依存して決まり、更に、その材質にも依存して決まる。したがって、実用上は、トルクセンサの用途に応じて、環状変形体30の各部の寸法や材質を適宜選択すればよい。
一方、左側支持体10および右側支持体20は、本発明の検出原理上、弾性変形を生じる部材である必要はない。むしろ、作用したトルクが環状変形体30の変形に100%寄与するようにするためには、左側支持体10および右側支持体20は、完全な剛体である方が好ましい。図示の例において、左側支持体10および右側支持体20として、中心部に貫通開口部H10,H20を有する環状の構造体を用いた理由は、弾性変形しやすくするためではなく、回転軸(Z軸)に沿って、左側支持体10、環状変形体30、右側支持体20の各貫通開口部H10,H30,H20を貫く挿通孔が確保されるようにするためである。
図3の側断面図を見れば明らかなように、この基本構造部は、内部が中空となる構造を採っている。このような中空部分を有するトルクセンサを、ロボットアームの関節部分に組み込んで利用する場合、この中空部分に減速機などを配置することができ、総合的に省スペースのロボットアームを設計することが可能になる。これは、中実丸棒形状をしたトーションバーのねじれを利用する従来型のトルクセンサでは実現困難であった利点のひとつである。
このように、本発明に係るトルクセンサでは、環状変形体30は、トルク検出に必要な程度の弾性変形を生じる材質で構成する必要があるが、左側支持体10および右側支持体20は、弾性変形を生じる必要はなく、むしろ剛性の高い材質を用いて構成するのが好ましい。実用上、左側支持体10,右側支持体20,環状変形体30の材料としては、絶縁材料を利用するのであれば、プラスチックなどの合成樹脂を用いれば十分であり、導電材料を利用するのであれば(この場合、後述するように、電極が短絡しないよう必要箇所に絶縁を施す必要がある)、ステンレス、アルミニウムなどの金属を用いれば十分である。もちろん、絶縁材料と導電材料とを組み合わせて利用してもかまわない。
左側支持体10、右側支持体20、環状変形体30は、いずれも軸方向の厚みが小さな扁平構造体によって構成することができるので、センサ全体の軸長を短く設定することが可能になる。また、環状変形体30の形状の歪みによってトルク検出が行われるので、環状変形体30としては、弾性変形を生じる材質を用いる必要があるものの、比較的高い剛性をもった材質を利用しても、高精度の検出が可能になる。
<<< §2. 本発明におけるトルクの検出原理 >>>
続いて、ここでは、§1で述べた基本構造体にトルクが作用した場合、各部がどのように変形するかを考えてみる。図7は、図2に示す基本構造部をXY平面で切断し、図2の左方向から見た断面図である。なお、この図7に示されたXY座標系は、通常のXY座標系を裏側から見たものになる(X軸正方向は図の左方向になる)。したがって、このXY座標系では、左上領域が第1象限、右上領域が第2象限、右下領域が第3象限、左下領域が第4象限になる。図示のI〜IVは、この座標系の各象限を示すものである。図にハッチングを施した断面部分は、環状変形体30の部分に相当し、その奥に、右側支持体20が見えている。図の点P11〜P22は、図4および図6に示した各接続点P11〜P22のXY平面上への正射影投影像である。
すなわち、図7において、Y軸上に配置された点P11,P12は、左側支持体10の凸状部11,12の接合位置(接合面の中心点)を示しており、X軸上に配置された点P21,P22は、右側支持体20の凸状部21,22の接合位置(接合面の中心点)を示している。結局、環状変形体30の左側面は、Y軸に沿った2箇所の接続点P11,P12において左側支持体10に接合され、環状変形体30の右側面は、X軸に沿った2箇所の接続点P21,P22において右側支持体20に接合されていることになる。
このように、環状変形体30の上下の2箇所を左側支持体10に接合し、左右の2箇所を右側支持体20に接合して、各接続点が90°ずつずれるようにすれば、トルクの作用によって、環状変形体30を効率的に変形させることができる。
図7に示す例の場合、環状変形体30の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の右側接続点P21の投影像が正のX軸上、第2の右側接続点P22の投影像が負のX軸上、第1の左側接続点P11の投影像が正のY軸上、第2の左側接続点P12の投影像が負のY軸上に配置されていることになる。このような配置を行うと、環状変形体30を軸対称性をもった楕円に変形させることができるので、軸対称性をもった検出値を得ることができる。
本発明に係るトルクセンサは、図2に示す基本構造部において、左側支持体10と右側支持体20との間に相対的に加わるトルク(回転モーメント)を検出するものであり、検出値は、両支持体10,20間に相対的に作用する力を示すものである。そこで、ここでは説明の便宜上、右側支持体20に負荷がかかった状態において、左側支持体10に加わった回転モーメントを検出対象となるトルクとして考えることにする(もちろん、左側支持体10に負荷がかかった状態において、右側支持体20に加わった回転モーメントを検出対象となるトルクとしても等価である。)。
たとえば、ロボットアームの関節部分にこのトルクセンサを利用した一例として、左側支持体10にモータなどの駆動源を取り付け、右側支持体20にロボットハンドを取り付けた例を考えてみよう。ロボットハンドに重量のある物体が把持されている状態で、駆動源から左側支持体10に対して回転駆動力を加えたとすると、この回転駆動力が関節部分を構成する基本構造部を介して、ロボットハンド側へと伝達されることになる。この場合、右側支持体20を回転駆動させようとするトルクが作用することになり、当該トルクは、右側支持体20を固定した状態において、左側支持体10に加わった回転モーメントに相当する。
さて、このような回転モーメントが、図7に示す構造体にどのような変化をもたらすかを考えてみる。右側支持体20を固定すると、図7に示すX軸上の接続点P21,P22の位置は固定状態となる。一方、左側支持体10に対して、たとえば、図7において時計まわりの方向に回転モーメントが加わったとすると、Y軸上の接続点P11,P12は時計まわりに移動しようとする。そうなると、必然的に、第1象限Iに位置する円弧P21−P11の部分は内側方向に縮み、第2象限IIに位置する円弧P11−P22の部分は外側に膨らみ、第3象限IIIに位置する円弧P22−P12の部分は内側方向に縮み、第4象限IVに位置する円弧P12−P21の部分は外側に膨らむことになる。
図8は、図7に示す構造体に、このような変形が生じた状態を示す断面図である。すなわち、図2に示す基本構造部にZ軸正まわりのトルクが作用した場合に、この基本構造部をXY平面で切断し、図2の左方向から見た断面図である。なお、本願では、任意の座標軸に関して、右ねじを当該座標軸の正方向に進めるための回転方向を正方向と定義し、右ねじを当該座標軸の負方向に進めるための回転方向を負方向と定義している。したがって、図8において、Z軸正まわりのトルクは、図に白抜き矢印で示すとおり時計まわりの方向に作用するトルクということになる。
図8に描かれた破線は、環状変形体30の変形前の状態(図7の状態)を示している。この破線を参考にすれば、Z軸正まわりのトルクが作用したことにより、環状変形体30は楕円形に変形していることが容易に把握できよう。ここでは、説明の便宜上、XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義する。V軸は第1象限Iを正方向とする座標軸であり、W軸は第2象限IIを正方向とする座標軸である。図示のとおり、環状変形体30は、V軸を短軸方向、W軸を長軸方向とする楕円に変形しており、V軸およびW軸に対して軸対称性を有している。このような軸対称性は、§3で述べる方法でトルクの検出値を得る場合に好都合である。
図示の実施形態において、軸対称性をもった変形が生じるのは、図7に示すとおり、無負荷時(トルクが作用していない時)に環状変形体30が完全な円形をしており、環状変形体30の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の右側接続点P21の投影像が正のX軸上、第2の右側接続点P22の投影像が負のX軸上、第1の左側接続点P11の投影像が正のY軸上、第2の左側接続点P12の投影像が負のY軸上に配置されているためである。
作用したトルクが大きければ大きいほど、環状変形体30はより扁平した楕円に変形することになる。したがって、図8において、環状変形体30のV軸上に位置する部分の原点Oからの距離や、環状変形体30のW軸上に位置する部分の原点Oからの距離を測定することができれば(これらの距離は、破線で示す変形前の位置からの変位量を示す情報になる)、作用したトルクの大きさを求めることができる。別言すれば、環状変形体30の内周面もしくは外周面の径方向の変位を測定することができればよい。
一方、逆向きにトルクが作用した場合、すなわち、Z軸負まわりのトルクが作用した場合は、図8に示す例とは逆に、環状変形体30(の接続点P11,P12)に対して反時計まわりの回転力が作用するため、環状変形体30は、V軸を長軸方向、W軸を短軸方向とする楕円に変形する。したがって、環状変形体30のV軸上に位置する部分あるいはW軸上に位置する部分の変位方向は、図8に示す例とは逆の方向になる。
結局、環状変形体30のV軸上に位置する部分あるいはW軸上に位置する部分の変位を測定すれば、作用したトルクの方向および大きさの双方を検出することが可能になる。たとえば、環状変形体30の内周面とV軸との交点の位置をモニタした場合、破線で示す基準位置から内側方向に変位した場合はZ軸正まわりのトルクが加わっており、外側方向に変位した場合はZ軸負まわりのトルクが加わっていると判断できる。あるいは、環状変形体30の内周面とW軸との交点の位置をモニタした場合、破線で示す基準位置から外側方向に変位した場合はZ軸正まわりのトルクが加わっており、内側方向に変位した場合はZ軸負まわりのトルクが加わっていると判断できる。もちろん、変位量の絶対値は、作用したトルクの大きさを示すものになる。
本発明に係るトルクセンサにおいて生じる環状変形体30の径方向の変位は、環状変形体30に生じたねじれ角度が小さくても、環状変形体の径次第で比較的大きな変位になる。このため、比較的剛性が高い環状変形体30を用いたとしても、十分な感度をもったトルク検出が可能になる。
以上が、本発明におけるトルクの検出原理である。本発明では、このような原理に基づくトルク検出を行うために、これまで述べてきた基本構造体に、更に、容量素子と検出回路とを付加することになる。
<<< §3. 容量素子と検出回路 >>>
上述したとおり、本発明では、図2に示す基本構造体に、更に、容量素子と検出回路を付加し、トルクセンサを構成することになる。図8に示すように、トルクの作用により、環状変形体30は楕円に変形する。このような変形により、最も大きな変位を生じる部分は、V軸上に位置する部分あるいはW軸上に位置する部分であるから、環状変形体30の特定部分の変位に基づいて、環状変形体30の変形量(作用したトルクの大きさ)を測定するには、V軸上に位置する部分あるいはW軸上に位置する部分の変位を測定するのが最も効率的である。
そこで、ここで述べる実施形態では、環状変形体30の内周面のV軸上に位置する部分およびW軸上に位置する部分に変位電極を形成している。図9は、内周面に変位電極E31,E32を形成した状態の環状変形体30を、図2の左方向から見た平面図である。説明の便宜上、X,Y,V,W軸が重ねて描かれている。変位電極E31は、V軸の正の領域と環状変形体30の内周面との交差位置に形成された電極であり、変位電極E32は、W軸の正の領域と環状変形体30の内周面との交差位置に形成された電極である。これら変位電極E31,E32の奥行き寸法(図9の紙面に垂直方向の寸法)は、環状変形体30の奥行き寸法に等しい。この例の場合、変位電極E31,E32は、環状変形体30の内周面に、蒸着やメッキ等の方法で形成された金属膜などの導電層によって構成されている。もちろん、環状変形体30がアルミニウムやステンレスのような金属でできている場合は、環状変形体30自体が導電性をもつため、絶縁層を介して変位電極E31,E32を形成する必要がある。
一方、これら変位電極E31,E32に対向する位置には、それぞれ固定電極E21,E22が設けられ、右側支持体20に固定される。図10は、これら固定電極E21,E22を取り付けた状態の右側支持体20を、図2の左方向から見た平面図である。ここでも、説明の便宜上、X,Y,V,W軸が重ねて描かれている。固定電極E21は、V軸の正の領域に配置され、変位電極E31に対向する。固定電極E22は、W軸の正の領域に配置され、変位電極E32に対向する。
図11は、図10に示す右側支持体20の側面図である。図示のとおり、固定電極E22は、右側支持体20の左側面から回転軸に沿った方向(Z軸負方向)に突き出した導電板によって構成されている。なお、固定電極E21は、固定電極E22の奥に隠れているため、図11には現れていない。
図12は、図3に示す基本構造部に変位電極および固定電極を付加した構造体をVZ平面で切断した側断面図である。図3がYZ平面で切断した側断面図であるのに対して、図12はVZ平面で切断した側断面図であるため、図12の上方は、Y軸方向ではなく、図9および図10に示すV軸方向となっている。この図12の側断面図には、V軸上に配置された変位電極E31と固定電極E21とが互いに対向している状態が明瞭に示されている。変位電極E31は、環状変形体30の内周面に固着された電極であるため、環状変形体30の変形に依存して変位する。一方、固定電極E21は、右端が右側支持体20に固定されており、環状変形体30の変形にかかわらず、常に一定の位置を保つことになる。
結局、変位電極E31の固定電極E21に対する相対位置は、環状変形体30の変形に依存して変化することになる。別言すれば、変位電極E31と固定電極E21との電極間距離は、環状変形体30の変形に依存して変化する。図12には示されていないが、W軸上に配置された変位電極E32と固定電極E22との関係も全く同様である。
図13は、図2に示す基本構造部に上述した変位電極および固定電極を付加した構造体をXY平面で切断し、図2の左方向から見た断面図である。この断面図では、V軸上に配置された変位電極E31と固定電極E21とが互いに対向し、W軸上に配置された変位電極E32と固定電極E22とが互いに対向した状態が明瞭に示されている。
ここに示す実施形態の場合、変位電極E31,E32は、環状変形体30の内周面に形成された導電層によって構成されているため、その表面は環状変形体30の内周に沿った曲面になる。そこで、これらに対向する固定電極E21,E22も、曲面状の電極にしている。別言すれば、変位電極E31,E32や固定電極E21,E22の表面は、Z軸を中心軸とした同心状の円柱表面によって構成されている。もっとも、各電極の表面形状は容量素子を構成する役割を果たすことができれば、どのような形状であってもよいので、表面が平面となる平板状の電極を用いてもかまわない。
なお、本願図面では、図示の便宜上、各変位電極および各固定電極の厚みの実寸を無視して描いてある。たとえば、変位電極E31,E32を、環状変形体30の内周面に形成された導電層(蒸着層やメッキ層)によって構成した場合、その厚みは、数μm程度に設定することができる。これに対して、固定電極E21,E22を、右側支持体20の左側面から突き出した導電板(金属板)によって構成した場合、実用上の強度を確保するために、その厚みは、数mm程度確保するのが好ましい。したがって、図13等では、便宜上、変位電極の厚みと固定電極の厚みを同じ寸法で描いてあるが、これら電極の厚みの実寸は、製造工程や実用上の強度を考慮して、それぞれ適当な値に設定されるべきものである。
図14は、図13に示す基本構造部に対して、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY断面図である。§2で述べたとおり、このようなトルクが作用すると、環状変形体30は楕円状に変形し、V軸は当該楕円の短軸方向、W軸は当該楕円の長軸方向になる。その結果、V軸上に配置された一対の電極E21,E31の電極間隔は狭まり、W軸上に配置された一対の電極E22,E32の電極間隔は広がることになる。そこで、一対の電極E21,E31により容量素子C1を構成し、一対の電極E22,E32により容量素子C2を構成しておけば、これら容量素子C1,C2の静電容量値の変動量として、作用したトルクの方向および大きさを検出することが可能になる。
たとえば、図13に示す無負荷状態(トルクが作用していない状態)を基準として、電極E21,E31からなる容量素子C1の静電容量値の変動に着目すると、図14に示すようにZ軸正まわりのトルクが作用すると、電極間隔が狭まるため、静電容量値は増加することになり、逆に、Z軸負まわりのトルクが作用すると、電極間隔が広がるため、静電容量値は減少することになる。したがって、静電容量値の増加変動はZ軸正まわりのトルクが作用していることを示し、静電容量値の減少変動はZ軸負まわりのトルクが作用していることを示すことになる。もちろん、変動量の絶対値は、作用したトルクの大きさを示すことになる。
同様に、電極E22,E32からなる容量素子C2の静電容量値の変動に着目すると、図14に示すようにZ軸正まわりのトルクが作用すると、電極間隔が広がるため、静電容量値は減少することになり、逆に、Z軸負まわりのトルクが作用すると、電極間隔が狭まるため、静電容量値は増加することになる。したがって、静電容量値の減少変動はZ軸正まわりのトルクが作用していることを示し、静電容量値の増加変動はZ軸負まわりのトルクが作用していることを示すことになる。もちろん、変動量の絶対値は、作用したトルクの大きさを示すことになる。
結局、容量素子C1を用いても、容量素子C2を用いても、Z軸まわりのトルク検出が可能であり、理論的には、いずれか一方の容量素子のみを用いれば足りる。ただ、実用上は、容量素子C1,C2の双方を用いた検出を行うのが好ましい。すなわち、環状変形部30が楕円に変形した際の短軸位置(V軸上)と長軸位置(W軸上)とにそれぞれ容量素子C1,C2を設けておけば、同一のトルクが加わった場合、短軸位置(V軸上)では電極間隔が狭まり静電容量値が増加するのに対して、長軸位置(W軸上)では電極間隔が広がり静電容量値が減少するので、両静電容量値C1,C2の差分として、作用したトルクを検出することができる。このような差分検出は、同相ノイズやゼロ点ドリフトを抑えた安定したトルク検出に有効であり、また、温度による各部の膨張の影響を相殺して、精度の高い検出値を得るのに貢献する。
このような差分検出を行うためには、要するに、環状変形体30の各部分のうち、所定回転方向のトルクが作用したときに、回転軸に近づく方向に変位する第1の部分(この例ではV軸との交差部分)に固定された第1の変位電極E31と、回転軸から離れる方向に変位する第2の部分(この例ではW軸との交差部分)に固定された第2の変位電極E32と、第1の変位電極E31に対向する位置に配置された第1の固定電極E21と、第2の変位電極E32に対向する位置に配置された第2の固定電極E22と、を設けておけばよい。
そして、このような差分検出を行うための検出回路として、第1の変位電極E31と第1の固定電極E21とによって構成される第1の容量素子C1の静電容量値と、第2の変位電極E32と第2の固定電極E22とによって構成される第2の容量素子C2の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力する回路を設けておけばよい。
図15は、このような差分検出を行う機能をもった検出回路の一例を示す回路図である。この回路図に示すE21,E31,E22,E32は、図13および図14に示す各電極であり、C1,C2は、これらの電極によって構成される容量素子である。C/V変換回路41,42は、それぞれ容量素子C1,C2の静電容量値を電圧値V1,V2に変換する回路であり、変換後の電圧値V1,V2は、それぞれ各静電容量値に対応した値になる。差分演算器43は、電圧値の差分「V1−V2」を求め、これを出力端子T1に出力する機能を有する。
図13に示す例において、変位電極E31,E32を同一形状、同一サイズの電極によって構成し、固定電極E21,E22を同一形状、同一サイズの電極によって構成し、V軸に対する電極E31,E21の位置関係と、W軸に対する電極E32,E22の位置関係と、が同一になるように設定すれば、図13に示す無負荷状態において、容量素子C1,C2の静電容量値は等しくなる。したがって、図15に示す検出回路から出力端子T1に出力される電圧値は0になる。
これに対して、図14に示す例のように、Z軸正まわりのトルクが作用すると、容量素子C1の静電容量値は大きくなり、容量素子C2の静電容量値は小さくなるので、図15に示す検出回路から出力端子T1に出力される電圧値は正の値となり、トルクが大きいほどその絶対値は大きくなる。逆に、Z軸負まわりのトルクが作用すると、容量素子C1の静電容量値は小さくなり、容量素子C2の静電容量値は大きくなるので、図15に示す検出回路から出力端子T1に出力される電圧値は負の値となり、トルクが大きいほどその絶対値は大きくなる。かくして、出力端子T1には、符号を含めたトルクの検出値が得られる。
なお、ここに示す実施形態では、各固定電極E21,E22を、右側支持体20に固定しているが、固定電極は左側支持体10に固定してもかまわない。たとえば、図12に示す例の場合、固定電極E21は、右側支持体20の左側面から左側へ突き出した導電板によって構成されているが、左側支持体10の右側面から右側へ突き出した導電板によって固定電極E21を構成してもかまわない。要するに、固定電極E21は、変位電極E31に対向する定位置に、環状変形体30の変形にかかわらず維持されるように設けられていればよい。
また、ここに示す実施形態では、変位電極E31,E32を、環状変形体30の内周面に固定しているが、変位電極は、環状変形体30の外周面に固定してもかまわない。図14を見れば明らかなように、環状変形体30が楕円に変形した際に変位を生じるのは、環状変形体30の内周面だけではなく、外周面も同じように変位を生じる。したがって、変位電極は環状変形体30の外周面に形成してもよい。この場合、変位電極に対向する固定電極は、変位電極の更に外側に配置すればよい。もっとも、環状変形体30の外側に各電極を配置する構造を採ると、センサの全体的なサイズが大きくなり、また、各電極部分が破損しやすくなるので、実用上は、これまで述べた実施形態のように、環状変形体30の内周面に変位電極を設けるのが好ましい。
結局、本発明に係るトルクセンサは、§1で説明した基本構造体(左側支持体10,右側支持体20,環状変形体30)に、環状変形体30の内周面もしくは外周面に固定され環状変形体30の弾性変形に起因した変位を生じる変位電極と、この変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体10もしくは右側支持体20に固定された固定電極と、これら変位電極および固定電極によって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、右側支持体20に負荷がかかった状態において左側支持体10に作用した回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、を付加することにより構成されるセンサということになる。
容量素子は、変位電極と固定電極という一対の電極を設けるだけで構成できるので、トルクセンサ全体の構造は単純化され、コストダウンに貢献することができる。また、図15に示すC/V変換回路41,42や、差分演算器43は、古くから知られている単純な回路であり、低コストで実現可能な回路である。
なお、変位電極および固定電極は、それぞれ1枚ずつでもかまわないが、実用上は、より精度の高い検出を行うことができるように、V軸上に配置された第1の変位電極E31および第1の固定電極E21と、W軸上に配置された第2の変位電極E32および第2の固定電極E22と、を設け、検出回路が、第1の変位電極E31と第1の固定電極E21とによって構成される第1の容量素子C1の静電容量値と、第2の変位電極E32と第2の固定電極E22とによって構成される第2の容量素子C2の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力するようにするのが好ましい。この場合、容量素子C1,C2の検出感度が異なる場合には、所定の係数を乗じる補正を行えばよい。
<<< §4. 電極をオフセット配置する変形例 >>>
§3では、図13に示す無負荷状態のセンサに対して、Z軸正まわりのトルクが作用すると、図14に示す変形状態へと遷移するので、この変形状態を、一対の容量素子C1,C2の静電容量値の変動により検出する基本原理を述べた。しかしながら、図14は、説明の便宜上、変位電極E31,E32の回転方向に関する変位を無視して描いた図であり、実際には、変位電極E31,E32の位置は、時計まわりに若干ずれ、オフセットを生じることになる。
図16は、この変位電極E31,E32の回転方向のずれを強調して描いた断面図である。§3で説明したとおり、Z軸正まわりのトルクが作用すると、環状変形体30は楕円状に変形するため、V軸上に配置された一対の電極E21,E31の電極間隔は狭まり、W軸上に配置された一対の電極E22,E32の電極間隔は広がることになる。しかしながら、実際には、環状変形体30に対しては、図に白抜き矢印で示すように、時計まわりへ回転させる力が加わるため、環状変形体30の内周面に固着された変位電極E31,E32は、図の時計まわりの方向へ若干移動することになる。
なお、図16では、説明の便宜上、この回転方向のオフセット量をかなり大きくとって示してあるが、実際には、環状変形体30として、プラスチックや金属など、ある程度、高い剛性をもった材質を用いれば、変位電極の回転方向のオフセット量はこれほど大きくはならない。
結局、図16に示すような変形状態において、V軸上に配置された一対の電極E21,E31の位置関係をみると、相互の電極間隔は狭まり、変位電極E31の位置が時計まわりに若干ずれるため、実効対向面積は小さくなることがわかる。同様に、W軸上に配置された一対の電極E22,E32の位置関係をみると、相互の電極間隔は広がり、変位電極E32の位置が時計まわりに若干ずれるため、実効対向面積は小さくなることがわかる。
ここで、一対の対向電極によって構成される容量素子の静電容量値の変化を検討すると、電極E21,E31によって構成される容量素子C1の静電容量値は、電極間隔が狭まった要因により増加するものの、実効対向面積が小さくなった要因により減少することになる。一方、電極E22,E32によって構成される容量素子C2の静電容量値は、電極間隔が広がった要因により減少し、実効対向面積が小さくなった要因により更に減少することになる。
こうして、各容量素子C1,C2の静電容量値は、電極間隔の変化要因と実効対向面積の変化要因との双方の影響を受けて変化することになる。ここで、図16に示す変化態様では、容量素子C2に関しては、電極間隔の変化要因と実効対向面積の変化要因との双方が、静電容量値を減少させる方向に作用する感度増幅効果が得られる。ところが、容量素子C1に関しては、電極間隔の変化要因は静電容量値を増加させる方向に作用するが、実効対向面積の変化要因は逆に静電容量値を減少させる方向に作用することになり、両変化要因は互いに逆方向に作用し合い、結果的に感度が減少してしまうことになる。また、図16に示す変化態様とは逆に、Z軸負まわりのトルクが作用した場合は、容量素子C1に関しては、感度増幅効果が得られるが、容量素子C2に関しては、感度が減少してしまうことになる。
前述したとおり、環状変形体30として、高い剛性をもった材質を用いれば、トルクが作用した状態において、環状変形体30のねじれ角は比較的小さく抑えることが可能であり、変位電極の固定電極に対するオフセット量を小さく抑えることができる。しかしながら、両電極の位置関係に生じたオフセットによって、検出感度を低下させる悪影響が及ぶことは確かである。
そこで、この§4では、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積の変化に起因して生じる検出感度の低下に対処する工夫を述べる。この工夫の基本概念は、トルクが作用していない無負荷状態において、予め一方の電極を所定方向にオフセットをもたせて配置しておくようにする、というものである。このような工夫により、トルクが作用したときに、容量素子の実効面積の変動によって検出結果に悪影響が及ぶことを阻止することができる。
具体的には、たとえば、図17に示すように、トルクが作用していない無負荷状態において、第1の固定電極E21の位置が、第1の変位電極E31の位置に比べて、所定回転方向(この例では、図における時計まわり方向)に所定のオフセット量だけずれ、第2の固定電極E22の位置が、第2の変位電極E32の位置に比べて、前記所定回転方向とは逆の方向(この例では、図における反時計まわり方向)に所定のオフセット量だけずれているような電極配置を採ればよい。
図18は、図17に示すトルクセンサについて、環状変形体30を時計まわりに若干回転させたときの各電極の位置関係を示す断面図である。実際には、Z軸正まわりのトルクが作用した場合、環状変形体30は楕円形に変形することになるが、図18では、各電極の回転方向に関する位置関係の変化を示すため、環状変形体30は円形形状を維持したままの状態で描かれている(右側支持体20の凸状部21,22が、環状変形体30に接合されておらず、環状変形体30が時計まわりに空転した状態と考えればよい)。
ここで、V軸上に配置された一対の電極E21,E31の位置関係をみると、図17に示す状態に比べて、図18に示す状態では、変位電極E31の位置が時計まわりに若干ずれるため、実効対向面積は大きくなることがわかる。一方、W軸上に配置された一対の電極E22,E32の位置関係をみると、図17に示す状態に比べて、図18に示す状態では、変位電極E32の位置が時計まわりに若干ずれるため、実効対向面積は小さくなることがわかる。結局、実効対向面積の変化という要因のみを考慮すると、図17に示す状態から図18に示す状態に遷移することにより、容量素子C1の静電容量値は増加し、容量素子C2の静電容量値は減少することになる。
一方、電極間隔の変化という要因のみを考慮した場合は、既に§3で述べたとおり、図13に示す状態から図14に示す状態に遷移することにより、容量素子C1の静電容量値は増加し、容量素子C2の静電容量値は減少する。実際に、図17に示すトルクセンサに、Z軸正まわりのトルクが作用した場合は、図18に示す状態ではなく、更に、環状変形体30の楕円変形が加わった状態ということになるので、各容量素子C1,C2の静電容量値は、実効対向面積の変化という要因と電極間隔の変化という要因との2通りの影響を受けて変化することになる。
その場合でも、図17に例示するようなオフセット配置を採っていれば、両変化要因は常に同じ方向に作用し合い、結果的に感度を増加させる効果が得られる。たとえば、容量素子C1に関しては、Z軸正まわりのトルクが作用した場合、電極間隔の変化という要因では、図14に示すとおり、電極間隔が狭まり静電容量値が増加する作用が生じ、実効対向面積の変化という要因では、図18に示すとおり、実効対向面積が大きくなり、やはり静電容量値が増加する作用が生じる。すなわち、両変化要因は、いずれも静電容量値を増加させる方向に作用する。
一方、容量素子C2に関しては、Z軸正まわりのトルクが作用した場合、電極間隔の変化という要因では、図14に示すとおり、電極間隔が広がり静電容量値が減少する作用が生じ、実効対向面積の変化という要因では、図18に示すとおり、実効対向面積が小さくなり、やはり静電容量値が減少する作用が生じる。すなわち、両変化要因は、いずれも静電容量値を減少させる方向に作用する。
また、Z軸負まわりのトルクが作用した場合は、容量素子C1に関しては、電極間隔が広がり静電容量値が減少する作用が生じ、実効対向面積は小さくなり、やはり静電容量値が減少する作用が生じる。同様に、容量素子C2に関しては、電極間隔が狭まり静電容量値が増加する作用が生じ、実効対向面積は大きくなり、やはり静電容量値が増加する作用が生じる。
このように、無負荷状態において、図17に例示するようなオフセット配置を採っていれば、電極間隔の変化という要因に基づく静電容量値の変化と、実効対向面積の変化という要因に基づく静電容量値の変化とが、常に同じ方向に作用するため、常に検出感度を増幅させる効果が得られることになる。
要するに、所定回転方向のトルクが作用したときに、電極間隔が狭まる位置に配置された第1の容量素子と、電極間隔が広がる位置に配置された第2の容量素子と、の双方を用いてトルク検出を行う場合、前記トルクが作用したときに、第1の容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が増加し、第2の容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が減少するように、トルクが作用していない無負荷状態において、互いに対向する変位電極と固定電極とを予めオフセットをもたせて配置しておけばよい。
<<< §5. 4組の容量素子を用いる変形例 >>>
§3では、円環状の環状変形体30をトルクの作用により楕円形に変形させる基本構造部を用いて、楕円の短軸方向および長軸方向にそれぞれV軸,W軸を定義し、V軸およびW軸の位置にそれぞれ容量素子を1組ずつ配置してトルクを検出する例を述べた。ここでは、合計4組の容量素子を用いて、検出精度を更に向上させた変形例を説明する。
この§5で述べるトルクセンサも、§3で述べた実施形態と同様に、図2に示す基本構造部を用いる。§3で述べた実施形態との相違点は、合計4組の容量素子を用い、検出回路が、この4組の容量素子の静電容量値に基づくトルク検出を行う点である。
図19は、この4組の容量素子を用いる変形例に係るトルクセンサのXY平面での断面図である。図13に示す基本的な実施形態と比べると、新たに2枚の変位電極E33,E34と2枚の固定電極E23,E24が付加されていることがわかる。すなわち、正のV軸上には、第1の変位電極E31および第1の固定電極E21が配置され、正のW軸上には、第2の変位電極E32および第2の固定電極E22が配置され、負のV軸上には、第3の変位電極E33および第3の固定電極E23が配置され、負のW軸上には、第4の変位電極E34および第4の固定電極E24が配置されている。
もちろん、各変位電極E31〜E34はいずれも環状変形体30の内周面に固定されており、各固定電極E21〜E24は、それぞれ各変位電極E31〜E34に対向する位置にくるように、端部が右側支持体20(左側支持体10でもよい)に固定されている。
結局、XY座標系において、第1象限Iには、第1の変位電極E31と第1の固定電極E21とによって構成される第1の容量素子C1が配置され、第2象限IIには、第2の変位電極E32と第2の固定電極E22とによって構成される第2の容量素子C2が配置され、第3象限IIIには、第3の変位電極E33と第3の固定電極E23とによって構成される第3の容量素子C3が配置され、第4象限IVには、第4の変位電極E34と第4の固定電極E24とによって構成される第4の容量素子C4が配置されている。
ここで、前述した基本原理に基づくトルク検出に関して、第3の容量素子C3の挙動は、第1の容量素子C1の挙動と同じであり、第4の容量素子C4の挙動は、第2の容量素子C2の挙動と同じである。たとえば、図19に示す無負荷状態のセンサに対して、Z軸正まわりのトルクが作用すると、図20に示す変形状態へと遷移し、容量素子C1,C3の電極間隔は狭まるため静電容量値は増加し、容量素子C2,C4の電極間隔は広がるため静電容量値は減少する。Z軸負まわりのトルクが作用した場合は、これと逆の現象が生じる。
したがって、この変形例の場合、図21の回路図に示されているような検出回路を用いれば、Z軸まわりのトルクを検出することができる。この回路図に示すE21〜E34は、図19および図20に示す各電極であり、C1〜C4は、これらの電極によって構成される容量素子である。C/V変換回路51〜54は、それぞれ容量素子C1〜C4の静電容量値を電圧値V1〜V4に変換する回路であり、変換後の電圧値V1〜V4は、それぞれ各静電容量値に対応した値になる。演算器55は、「V1−V2+V3−V4」なる演算を行い、その結果を出力端子T2に出力する機能を有する。当該演算は、電圧値の和「V1+V3」と、電圧値の和「V2+V4」と、の差を求める演算に相当する。
結局、図21に示す検出回路は、「第1の変位電極E31と第1の固定電極E21とによって構成される第1の容量素子C1の静電容量値と、第3の変位電極E33と第3の固定電極E23とによって構成される第3の容量素子C3の静電容量値と、の和」と、「第2の変位電極E32と第2の固定電極E22とによって構成される第2の容量素子C2の静電容量値と、第4の変位電極E34と第4の固定電極E24とによって構成される第4の容量素子C4の静電容量値と、の和」と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力する機能を有する。
このように、合計4組の容量素子を、V軸およびW軸の正負両側に設けるようにすれば、静電容量値が増加する2組の容量素子と、静電容量値が減少する2組の容量素子と、を用いた差分検出が可能になり、検出精度は更に向上する。
もちろん、この4組の容量素子を用いた変形例についても、§4で述べた電極のオフセット配置を行うことにより、容量素子の実効対向面積の変化という要因に基づく検出感度の低下を防ぐこともできる。すなわち、所定回転方向のトルクの作用により環状変形体30のXY平面上への正射影投影像の輪郭が円から楕円に変化する場合に、この楕円の短軸方向にV軸、長軸方向にW軸をとり、V軸およびW軸の正負両側にそれぞれ容量素子C1〜C4を配置する構成をとり、トルクが作用していない状態において、第1の固定電極E21の位置が、第1の変位電極E31の位置に比べて、前記所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第2の固定電極E22の位置が、第2の変位電極E32の位置に比べて、前記所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれ、第3の固定電極E23の位置が、第3の変位電極E33の位置に比べて、前記所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第4の固定電極E24の位置が、第4の変位電極E34の位置に比べて、前記所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれているようにすればよい。
<<< §6. 容量素子の実効面積を一定に維持する変形例 >>>
§4では、トルクが作用した場合に、変位電極が回転方向に若干のずれを生じるため、対向する一対の変位電極/固定電極間にオフセットが生じ、容量素子の実効面積が変化する現象が生じることを説明し、その結果、検出感度の低下を招くことを説明した。そして、そのような感度低下を防ぐための工夫として、無負荷状態において、予め電極をオフセット配置しておく方法を述べた。ここでは、変位電極が回転方向に若干のずれを生じた場合にも、すなわち、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子の実効面積に変化が生じないようにする工夫を述べることにする。
図22は、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子の実効面積を一定に維持する原理を示す図である。いま、図22(a) に示すように、一対の電極EL,ESを互いに対向するように配置した場合を考える。両電極EL,ESは、互いに所定間隔をおいて平行になるように配置されており、容量素子を構成している。ただ、電極ELは電極ESに比べて面積が大きくなっており、電極ESの輪郭を電極ELの表面に投影して正射影投影像を形成した場合、電極ESの投影像は、電極ELの表面内に完全に含まれる。この場合、容量素子としての実効面積は、電極ESの面積になる。
図22(b) は、図22(a) に示す一対の電極ES,ELの側面図である。図にハッチングを施した領域は、実質的な容量素子としての機能を果たす部分であり、容量素子としての実効面積は、このハッチングを施した電極の面積(すなわち、電極ESの面積)ということになる。
いま、図に一点鎖線で示すような鉛直面Uを考える。電極ES,ELは、いずれも鉛直面Uに平行になるように配置されている。ここで、電極ESを鉛直面Uに沿って垂直上方に移動させたとすると、電極EL側の対向部分は上方に移動するものの、当該対向部分の面積に変わりはない。電極ESを下方に移動させても、紙面の奥方向や手前方向に移動させても、やはり電極EL側の対向部分の面積は変わらない。
要するに、電極ELの表面に形成された電極ESの正射影投影像が、電極ELの表面内に完全に含まれている状態(すなわち、一部でもはみ出ることがない状態)であれば、容量素子としての実効面積は、常に電極ESの面積に一致する。すなわち、容量素子の実効面積は、電極ESの移動にかかわらず、一定に維持される。これは、電極EL側を移動させた場合も同様である。
したがって、所定回転方向のトルクが作用した結果、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が変化しないように、固定電極および変位電極のうちの一方の面積を他方の面積よりも大きく設定しておけば、トルクが作用した場合でも、容量素子の実効面積は一定に維持されることになる。より厳密に言えば、面積が小さい方の電極ESの輪郭を、面積が大きい方の電極ELの表面に投影して正射影投影像を形成した場合、電極ESの投影像が、電極ELの表面内に完全に含まれる状態を維持している限り、両電極によって構成される容量素子の実効面積は、電極ESの面積に等しくなり、常に一定になる。
図23は、§5で述べた図19に示すトルクセンサに、図22に示す原理を適用した変形例を示すXY平面での断面図である。図19に示すセンサとの相違点は、4枚の変位電極E31〜E34を、より面積の大きな変位電極E31L〜E34Lに置き換え、4枚の固定電極E21〜E24を、より面積の小さな固定電極E21S〜E24Sに置き換えた点のみである。図23を見れば明らかなように、XY平面に沿った断面図において、円周方向に関する各電極の幅を比較すると、常に、変位電極E31L〜E34Lの幅が、固定電極E21S〜E24Sの幅よりも広くなっている。
図24は、図23に示すトルクセンサをVZ平面で切断した側断面図である。図24の上方は、Y軸方向ではなく、図23に示すV軸方向である。図の原点O近傍には、変位電極E34Lと固定電極E24Sとの位置関係が明瞭に示されている。この例では、固定電極E24Sは、絶縁板D24を介して右側支持体20に固定されている。容量素子C4を構成する電極として機能する部分は、原点O近傍に配置された固定電極E24Sの部分のみであり、絶縁板D24は、固定電極E24Sを支持するための単なる台座としての役割を果たすだけである。
同様に、図24の上方には、変位電極E31Lと固定電極E21Sとの位置関係が明瞭に示されている。ここでも、絶縁板D21は、固定電極E21Sを支持するための台座としての役割を果たす。また、図24の下方には、変位電極E33Lと固定電極E23Sとの位置関係が明瞭に示されている。ここでも、絶縁板D23は、固定電極E23Sを支持するための台座としての役割を果たす。
結局、この実施例の場合、変位電極E31L〜E34Lが図23における円周方向に変位しても、図24におけるZ軸方向に変位しても、その変位量が所定の許容範囲を超えない限り(すなわち、固定電極の投影像が変位電極の表面からはみ出さない限り)、各容量素子C1〜C4の実効面積は一定に維持されることになる。したがって、各容量素子C1〜C4の静電容量値の変動は、専ら、電極間距離の変化という要因に起因して生じることになり、実効対向面積の変化という要因に起因した静電容量値の変動は生じない。これは、§4で述べた理由による検出感度の低下が生じないことを意味する。
なお、この図23に示す実施例は、検出対象となるトルク以外の余分な力成分(以下、外乱成分という)が作用した場合にも、これら外乱成分の影響を受けない正確なトルク検出が可能になるという付加的な特徴を有しており、実用上、極めて有益である。以下、この付加的な特徴を詳細に説明する。
一般に、XYZ三次元座標系に作用する力は、X軸方向の力Fx,Y軸方向の力Fy,Z軸方向の力Fzという各座標軸方向に作用する力成分と、X軸まわりのモーメントMx,Y軸まわりのモーメントMy,Z軸まわりのモーメントMzという各座標軸まわりに作用するモーメント成分という、合計6つの成分に分けられる。そして、これら6成分のうちの特定成分を検出するセンサには、他の成分の影響を受けずに、当該特定成分のみを独立して検出する機能が備わっているのが好ましい。
そこで、図23に示すトルクセンサに対して、上記6つの成分が作用した場合に、どのような検出結果が得られるかを検討してみる。ここでは、便宜上、右側支持体20に負荷がかかった状態(右側支持体20を固定した状態)において、環状変形体30に対して、個々の力成分が作用した場合を別個に考える。
まず、図25は、図23に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのモーメントMzが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。このZ軸正まわりのモーメントMzは、このトルクセンサにおいて、検出対象となるトルクに他ならない。図23に示す無負荷状態のセンサに対して、Z軸正まわりのモーメントMz(検出対象トルク)が作用すると、図25に示す変形状態へと遷移し、容量素子C1,C3の電極間隔は狭まるため静電容量値は増加し、容量素子C2,C4の電極間隔は広がるため静電容量値は減少する。したがって、既に§5で述べたとおり、図21に示されているような検出回路を用いれば、出力端子T2に、モーメントMz(検出対象トルク)の検出値を得ることができる。
一方、図26は、図23に示すトルクセンサについて、X軸方向の力Fxが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。この場合、環状変形体30を構成する上方の円弧部分についても、下方の円弧部分についても、白抜き矢印で示すとおり、図の左方向へ移動させようとする力が加わることになるので、環状変形体30は図示の状態に変形する。その結果、容量素子C2,C3の電極間隔は狭まるため静電容量値は増加し、容量素子C1,C4の電極間隔は広がるため静電容量値は減少する。ところが、図21に示す検出回路では、容量素子C2,C3の静電容量値の変動分は相互に相殺され、容量素子C1,C4の静電容量値の変動分も相互に相殺されてしまうため、出力端子T2に出力される検出値は0になる。結局、X軸方向の力Fxが作用しても、その値は検出されないことになる。
Y軸方向の力Fyが作用したときも同様である。この場合、容量素子C1,C2の電極間隔は広がるため静電容量値は減少し、容量素子C3,C4の電極間隔は狭まるため静電容量値は増加する。ところが、図21に示す検出回路では、容量素子C1,C2の静電容量値の変動分は相互に相殺され、容量素子C3,C4の静電容量値の変動分も相互に相殺されてしまうため、出力端子T2に出力される検出値は0になる。結局、Y軸方向の力Fyが作用しても、その値は検出されないことになる。
また、Z軸方向の力Fzが作用した場合は、図24において、環状変形体30が図の右方へ平行移動することになるが、各容量素子の電極間隔は変化せずに一定値を維持し、また、変動量が上述した所定の許容範囲内である限り、各容量素子の実効面積も一定のままである。したがって、各容量素子に静電容量値の変動は生じず、Z軸方向の力Fzが作用しても、その値は検出されないことになる。
一方、図27は、図23に示すトルクセンサについて、X軸正まわりのモーメントMxが作用したときの状態を示すZV平面での断面図である。図示のとおり、環状変形体30は、図面上での時計まわりに回転変位することになるので、各変位電極と各固定電極との位置関係は変化する。しかしながら、各容量素子の静電容量値に変化は生じない。たとえば、原点O近傍に描かれている変位電極E34Lと固定電極E24Sとは、相互の向きが変化するものの、電極間隔や実効面積に変わりはないので、容量素子C4の静電容量値に変動は生じない。容量素子C2についても同様である。
また、図の上方に描かれている変位電極E31Lと固定電極E21Sとについては、変位電極E31Lが傾斜したため、相互の位置関係は変化するが、実効面積に変わりはない。しかも、電極間隔については、右側半分では狭くなるが左側半分では広くなる関係にあるので、トータルでは、電極間隔が一定の場合と同等になる。したがって、容量素子C1,C3についても、静電容量値の変動は生じない。
結局、X軸まわりのモーメントMxが作用がしても、その値は検出されないことになる。Y軸まわりのモーメントMyについても、全く同様である。
図28は、図23に示すトルクセンサについて、右側支持体20に負荷がかかった状態において、左側支持体10から環状変形体30に対して各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントが作用したときの4組の容量素子C1〜C4の静電容量値の変化態様を示す表である。図において、「+」の欄は静電容量値が増加することを示し、「−」の欄は静電容量値が減少することを示し、「0」の欄は静電容量値が変化しないことを示している。このような結果が得られる理由は、既に、図25〜図27を参照して説明したとおりである。この図28の表を参照しながら、図21に示す検出回路の動作を考えると、Z軸まわりのモーメントMz(検出対象となるトルク)が作用した場合にのみ、出力端子T2に検出値が得られ、それ以外の5つの外乱成分Fx,Fy,Fz,Mx,Myが作用しても、出力端子T2には検出値は得られないことが理解できよう。結局、図23に示す実施例に係るトルクセンサでは、検出対象となるトルク以外の余分な力成分(外乱成分)が作用した場合にも、これら外乱成分の影響を受けない正確なトルク検出が可能になる。
なお、この図23に示す実施例に係るトルクセンサでは、X軸方向の力FxおよびY軸方向の力Fyを、
Fx=(C2+C3)−(C1+C4)
Fy=(C3+C4)−(C1+C2)
なる演算によって求めることも可能である。ここで、C1〜C4は、それぞれ容量素子C1〜C4の静電容量値である。このような演算によって、力Fx,Fyが求まる理由は、図28の表に示す結果を踏まえれば、容易に理解できよう。
なお、実際には、図21の検出回路に示すように、各静電容量値C1〜C4を、C/V変換器51〜54により電圧値V1〜V4に変換し、これら電圧値を用いて演算を行うことになる。その場合は、
Fx=(V2+V3)−(V1+V4)
Fy=(V3+V4)−(V1+V2)
なる演算を行う演算器を設けておけばよい。
このように、図23に示す実施例に係るセンサは、Z軸まわりのトルクを検出するトルクセンサとしての機能を果たすとともに、X軸方向の力FxおよびY軸方向の力Fyを検出する力センサとしての機能を果たすことができる。
<<< §7. 共通導電層を用いる変形例 >>>
これまで述べた実施形態では、個々の変位電極と個々の固定電極とを、それぞれ別個の物理的に独立した電極として形成していたが、複数の変位電極もしくは複数の固定電極を、単一の共通電極によって構成することも可能である。特に、各変位電極を、環状変形体30の内周面に形成された共通導電層によって構成すると、構造を単純化することができ、製造コストを低減することができる。
たとえば、§6で述べた図23に示す実施形態の場合、4枚の変位電極E31L〜E34Lと、4枚の固定電極E21S〜E24Sとが、それぞれ物理的に独立した電極として形成されており、製造時には、8枚の別個独立した電極を形成するプロセスが必要になる。そこで、4枚の変位電極E31L〜E34Lを、単一の共通電極によって構成すると、構造は単純化され、製造プロセスも簡単になる。
図29は、図23に示すトルクセンサにおいて、4組の変位電極E31L〜E34Lを共通導電層E35に置き換えた変形例を示すXY平面での断面図である。共通導電層E35は、環状変形体30の内周面全面を覆うように形成された導電層であり、たとえば、環状変形体30の内周面に蒸着やメッキにより形成した金属膜によって、この共通導電層E35を構成することができる。この場合、内周面の全面に広がる共通導電層E35のうち、個々の固定電極E21S〜E24Sに対向する部分領域が、それぞれ変位電極E31L〜E34Lとしての機能を果たすことになる。変位電極E31L〜E34Lは相互に短絡した状態になるが、図21に示す検出回路の動作上、何ら支障は生じない。
図30は、図29に示すトルクセンサにおいて、導電性材料からなる環状変形体30Aを用いることにより、環状変形体30Aの内周面を共通導電層として利用した変形例を示すXY平面での断面図である。たとえば、環状変形体30Aを金属などの導電性の弾性材料によって構成しておけば、環状変形体30Aの内周面自身が、図29に示す共通導電層E35として機能することになる。したがって、実質的には、環状変形体側には、何ら電極を形成する工程を行う必要はなくなり、製造プロセスは非常に単純化される。
以上、変位電極側を共通電極とする例を述べたが、もちろん、固定電極側を共通電極とすることも可能である。たとえば、図19に示すトルクセンサにおいて、4枚の固定電極E21〜E24の代わりに、導電性材料からなる円筒状の共通固定電極を設けるようにしてもよい。この場合、この円筒状の電極の部分部分(変位電極E31〜E34に対向する部分)が、それぞれ固定電極E21〜E24として機能することになる。
<<< §8. 2組の環状変形体を用いる変形例(その1) >>>
図31は、2組の環状変形体を用いた本発明の変形例に係るトルクセンサの基本構造部の分解斜視図である。図示のように、この基本構造部は、左側支持体60と右側支持体70との間に、2組の環状変形体80,90を配置し、これら4つの構成要素を相互に接合することによって構成される。ここで、図の水平方向に描かれたZ軸が、検出対象となるトルクの回転軸に相当し、このトルクセンサが、この回転軸まわり(Z軸まわり)のトルクを検出する機能を果たす点は、これまで述べてきた実施例と全く同じである。
図の中央に配置された環状変形体80は、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、その内部には、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H80が形成されている。実は、この環状変形体80は、図1に示す環状変形体30と全く同じ構成要素である。一方、環状変形体90も、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、その内部には、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H90が形成されている。環状変形体90は、環状変形体80の貫通開口部H80内に組み込まれている。すなわち、環状変形体90は、環状変形体80の内部の同心位置に配置されており、両者の厚み(Z軸方向の寸法)は同一である。そこで、ここでは、環状変形体80を外側環状変形体と呼び、環状変形体90を内側環状変形体と呼ぶことにする。
一方、図31の左側に配置された左側支持体60は、外側環状変形体80および内側環状変形体90の左側面を支持する部材であり、図31の右側に配置された右側支持体70は、外側環状変形体80および内側環状変形体90の右側面を支持する部材である。ここに示す例の場合、左側支持体60は、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H60が形成された環状部材であり、右側支持体70は、回転軸(Z軸)が挿通する貫通開口部H70が形成された環状部材である。
左側支持体60の右側面には、右方に突出した4つの扇形の凸状部61〜64が設けられている。凸状部61,62は、図1に示す左側支持体10に形成された凸状部11,12と全く同じ構成要素であり、これらの頂面が外側環状変形体80の左側面に接合されている。また、凸状部63,64の頂面は、内側環状変形体90の左側面に接合されている。一方、右側支持体70の左側面には、左方に突出した4つの扇形の凸状部71〜74が設けられている(図には、凸状部72のみが現れている)。凸状部71,72は、図1に示す右側支持体20に形成された凸状部21,22と全く同じ構成要素であり、これらの頂面が外側環状変形体80の右側面に接合されている。また、凸状部73,74の頂面は、内側環状変形体90の右側面に接合されている。なお、左側支持体60に4つの凸状部61〜64を加えた部品と、右側支持体70に4つの凸状部71〜74を加えた部品とは、物理的には全く同じ部品である。
ここで、凸状部61は外側環状変形体80の上の部分(Y軸正方向に位置する部分)に接合され、凸状部62は外側環状変形体80の下の部分(Y軸負方向に位置する部分)に接合され、凸状部63は内側環状変形体90の奥の部分(X軸正方向に位置する部分)に接合され、凸状部64は内側環状変形体90の手前の部分(X軸負方向に位置する部分)に接合されている。また、凸状部71は外側環状変形体80の奥の部分(X軸正方向に位置する部分)に接合され、凸状部72は外側環状変形体80の手前の部分(X軸負方向に位置する部分)に接合され、凸状部73は内側環状変形体90の上の部分(Y軸正方向に位置する部分)に接合され、凸状部74は内側環状変形体90の下の部分(Y軸負方向に位置する部分)に接合されている。
このように、外側環状変形体80についての各接続点の位置は、図1に示す基本的な実施形態における環状変形体30についての各接続点の位置と全く同じである。すなわち、外側環状変形体80は、左側支持体60に対しては、凸状部61,62によってY軸に沿った2点が接続され、右側支持体70に対しては、凸状部71,72によってX軸に沿った2点が接続される。これに対して、内側環状変形体90についての各接続点の位置は、90°ずれた位置になる。すなわち、内側環状変形体90は、左側支持体60に対しては、凸状部63,64によってX軸に沿った2点が接続され、右側支持体70に対しては、凸状部73,74によってY軸に沿った2点が接続される。
結局、図31に示すトルクセンサの基本構造部は、図1に示すトルクセンサの基本構造部に、更に、内側環状変形体90と、この内側環状変形体90の左側の側面上の内側左側接続点を、左側支持体60に接続する内側左側接続部材(凸状部63,64)と、この内側環状変形体90の右側の側面上の内側右側接続点を、右側支持体70に接続する内側右側接続部材(凸状部73,74)と、を付加したものということになる。
図32は、図31に示すトルクセンサの基本構造部について、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。外側環状変形体80と内側環状変形体90とは、直接的には接合されていないので、トルクが作用した場合、それぞれが別個独立して楕円状に変形することになる。しかも、それぞれの楕円の長軸と短軸の関係は逆になる。すなわち、図32に示されているとおり、Z軸正まわりのトルクが作用した場合、外側環状変形体80はV軸方向を短軸、W軸方向を長軸とする楕円に変形するのに対して、内側環状変形体90はV軸方向を長軸、W軸方向を短軸とする楕円に変形する。
図32に白抜き矢印で示すとおり、同じ方向のトルクが作用しているにもかかわらず、外側環状変形体80と内側環状変形体90とでは、変形により得られる楕円の長軸と短軸とが90°ずれた関係になる理由は、上述したとおり、各接続点の位置が、90°ずれているためである。もちろん、外側環状変形体80と内側環状変形体90とで、楕円変形時の長軸方向を90°ずれた関係にすることは必須ではない。楕円変形時の長軸方向が全く同じ方向であっても、何ら支障なくトルク検出が可能である。ただ、90°ずれた関係にすると、後述するように、4組の容量素子を片側に寄せた配置をとることが可能になり、スペースの利用効率を向上させることができる。また、後の§9で述べる実施形態を採る場合では、検出感度を高める効果が得られる。
さて、このように楕円の長軸と短軸とが90°ずれた関係になるものの、外側環状変形体80と内側環状変形体90とは、いずれもトルクの作用によって楕円形に変形するので、これまで述べてきた実施形態と同様に、長軸位置および短軸位置に容量素子を設けておくようにすれば、これら容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、作用したトルクの方向と大きさとを検出することが可能である。実際、外側環状変形体80の変形に基づく検出原理は、これまで述べてきた実施形態と全く同様である。たとえば、貫通開口部H80内の正のV軸上、負のV軸上、正のW軸上、負のW軸上にそれぞれ容量素子を配置すれば、図19に示す実施例と同様に、図21の検出回路によりトルク検出が可能である。
また、内側環状変形体90の変形に基づくトルク検出も、全く同様の原理に基づいて行うことができる。たとえば、貫通開口部H90内の正のV軸上、負のV軸上、正のW軸上、負のW軸上にそれぞれ容量素子を配置すれば、やはり、図21の検出回路によりトルク検出が可能である。あるいは、内側環状変形体90の外周面側に、容量素子を配置してもかまわない。要するに、内側環状変形体90の内周面もしくは外周面に固定され、内側環状変形体90の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、この内側変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体60もしくは右側支持体70に固定された内側固定電極と、を更に設けておけばよい。
そうすれば、検出回路は、外側変位電極と外側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に加えて、内側変位電極と内側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量を更に利用して、回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力することができる。
このように、外側環状変形体80の変形に基づくトルク検出の結果と、内側環状変形体90の変形に基づくトルク検出の結果との双方を利用すれば、より精度の高いトルク検出が可能になる。具体的には、両方の検出結果について、スケーリングを整合させる処理(検出感度に応じた係数を乗じる補正)を行った上で、その平均値を求めるようにすればよい。
このように2組の環状変形体80,90を組み込む構成を採れば、個々の環状変形体80,90のそれぞれから別個の検出結果を得ることができ、検出感度および精度を向上させることができる。また、2組の環状変形体80,90を同時にねじることになるため、センサ構造全体の剛性も向上する。
特に、ここに述べる実施例のように、両環状変形体として円環状の構造体を用い、トルクが作用した際にいずれも楕円形に変形するようにし、一方の楕円の長軸方向が他方の楕円の短軸方向となるように、互いに90°ずらした接続点を設けるようにすれば、4組の容量素子を片側に寄せた配置をとることが可能になり、スペースの利用効率の向上を図ることができる。以下、これを図面で示そう。
図33は、図31に示す基本構造部に、具体的な電極配置を行うことによって構成されたトルクセンサのXY平面での断面図である。図示のとおり、外側環状変形体80の内周面には、2枚の外側変位電極E81,E82が形成され、内側環状変形体90の外周面には、2枚の内側変位電極E91,E92が形成されている。一方、電極E81,E91間に配置された固定電極E101と、電極E82,E92間に配置された固定電極E102とは、右側支持体70に固定された固定電極である。
ここで、電極E81,E91,E101は、いずれも正のV軸上に配置されており、固定電極E101は、変位電極E81に対する固定電極としての機能と、変位電極E91に対する固定電極としての機能と、の両方を果たす共通固定電極になる。このため、電極E81,E101によって第1の容量素子C1が構成され、電極E91,E101によって第3の容量素子C3が構成される。
同様に、電極E82,E92,E102は、いずれも正のW軸上に配置されており、固定電極E102は、変位電極E82に対する固定電極としての機能と、変位電極E92に対する固定電極としての機能と、の両方を果たす共通固定電極になる。このため、電極E82,E102によって第2の容量素子C2が構成され、電極E92,E102によって第4の容量素子C4が構成される。
図34は、図33に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である(破線は変形前の状態を示す)。図示のとおり、容量素子C1,C3は電極間隔が狭まり静電容量値が増加し、容量素子C2,C4は電極間隔が広がり静電容量値が減少する。これは、図19,図20に示すトルクセンサと全く同じ動作であり、図21に示す検出回路を利用して、Z軸まわりのトルクを検出できることになる。このような特性が得られるのは、外側環状変形体80と内側環状変形体90とについて、変形により得られる楕円の長軸と短軸とが90°ずれた関係になるように、各接続点の位置を90°ずらすようにしたためである。
結局、図33に示すトルクセンサは、図19に示すトルクセンサと同様に、4組の容量素子を用いた差分検出を行うことができるため、高い検出精度が得られるという利点を有する。しかも、図33に示すトルクセンサの場合、4組の容量素子を片側(図の上半分の領域、すなわち、Y軸正領域)に寄せた配置をとることが可能になるので、スペースの利用効率を向上させることが可能になるというメリットも得られる。すなわち、図の下半分の領域では、外側環状変形体80と内側環状変形体90との間の空隙部に電極が配置されていないので、この空間を利用して、配線を通したり、付加的な部品を配置したりすることができる。
このように、図33に示すトルクセンサは、図19に示すトルクセンサと同様に高い検出精度を維持しつつ、機能付加のためのスペースを確保できる利点があり、装置全体を小型化できるメリットが得られる。ただ、この図33に示すトルクセンサでは、力Fx,Fyという外乱成分が作用した場合にも、図21に示す検出回路に出力が得られる。したがって、その用途は、力Fx,Fyという外乱成分が作用しない環境下に制限されることになる。
なお、図33に示す構造において、図の下半分のスペースを利用する必要がない場合には、この部分にも検出用の電極を配置して、検出精度を更に高めることも可能である。具体的には、上半分に形成されている4組の容量素子C1〜C4と全く同じ容量素子C5〜C8をXZ平面に関して面対称となる下半分の位置に配置し、合計8組の容量素子による検出を行うようにすればよい。上半分の容量素子による検出結果と下半分の容量素子による検出結果との平均をとれば、より正確な検出値を得ることができる。
結局、この§8で述べる変形例は、§3で述べた基本的な実施形態に係るトルクセンサにおいて、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部H90を有し、原点Oを中心としてXY平面上に、外側環状変形体80の内側にくるように配置された内側環状変形体90を付加したものであり、内側環状変形体90のZ軸負側の側面上に第1の内側左側接続点および第2の内側左側接続点を設定し、内側環状変形体90のZ軸正側の側面上に第1の内側右側接続点および第2の内側右側接続点を設定し、第1の内側左側接続点を左側支持体60に接続する第1の内側左側接続部材(凸状部63)と、第2の内側左側接続点を左側支持体60に接続する第2の内側左側接続部材(凸状部64)と、第1の内側右側接続点を右側支持体70に接続する第1の内側右側接続部材(凸状部73)と、第2の内側右側接続点を右側支持体70に接続する第2の内側右側接続部材(凸状部74)と、内側環状変形体90の内周面もしくは外周面に固定され、内側環状変形体90の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、内側変位電極に対向する位置に配置され、左側支持体60もしくは右側支持体70に固定された内側固定電極と、を更に設けたものである。
しかも、内側環状変形体90の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の内側右側接続点の投影像が正のY軸上、第2の内側右側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側左側接続点の投影像が正のX軸上、第2の内側左側接続点の投影像が負のX軸上に配置されており、検出回路が、内側変位電極と内側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量を更に利用して、回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力するようにしたものである。
<<< §9. 2組の環状変形体を用いる変形例(その2) >>>
さて、§8では、図31に示すように、外側環状変形体80と内側環状変形体90という2組の環状変形体を用いる変形例を述べた。このように、§8に示す例は、2組の環状変形体を用いてはいるが、個々の環状変形体を用いたトルク検出の原理は、これまで述べた基本的実施形態と全く同じである。すなわち、図32には、容量素子を構成する各電極の配置は描かれていないが、外側環状変形体80に関しては、その内周面もしくは外周面に変位電極を固定し、これに対向する固定電極を左側支持体もしくは右側支持体に固定し、変位電極と固定電極とによって容量素子を形成することになる。同様に、内側環状変形体90に関しても、その内周面もしくは外周面に変位電極を固定し、これに対向する固定電極を左側支持体もしくは右側支持体に固定し、変位電極と固定電極とによって容量素子を形成することになる。
このように、これまで述べてきた実施例は、いずれも、環状変形体側に固定された変位電極と、左側支持体もしくは右側支持体側に固定された固定電極と、によって、検出用の容量素子を形成することが前提となっていた。これに対して、この§9で述べる変形例は、外側環状変形体80の内周面に固定された外側変位電極と、内側環状変形体90の外周面に固定された内側変位電極と、によって、検出用の容量素子を形成する点に特徴がある。
図35は、そのような実施例に係るトルクセンサをXY平面で切断した断面図である。このトルクセンサの基本構造部の構造は、§8で述べたトルクセンサの構造(図31に示す構造)と全く同じである。§8で述べたトルクセンサとの相違は、電極の配置にある。すなわち、ここで述べる実施例では、図35に示すとおり、4枚の外側変位電極E81〜E84が外側環状変形体80の内周面に形成され、これに対向するように、4枚の内側変位電極E91〜E94が内側環状変形体90の外周面に形成されている。
より具体的には、正のV軸上には、第1の外側変位電極E81および第1の内側変位電極E91が配置され、正のW軸上には、第2の外側変位電極E82および第2の内側変位電極E92が配置され、負のV軸上には、第3の外側変位電極E83および第3の内側変位電極E93が配置され、負のW軸上には、第4の外側変位電極E84および第4の内側変位電極E94が配置されている。
結局、XY座標系において、第1象限Iには、第1の外側変位電極E81と第1の内側変位電極E91とによって構成される第1の容量素子C1が配置され、第2象限IIには、第2の外側変位電極E82と第2の内側変位電極E92とによって構成される第2の容量素子C2が配置され、第3象限IIIには、第3の外側変位電極E83と第3の内側変位電極E93とによって構成される第3の容量素子C3が配置され、第4象限IVには、第4の外側変位電極E84と第4の内側変位電極E94とによって構成される第4の容量素子C4が配置されている。
図36は、このトルクセンサについて、Z軸正まわりのトルクが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。外側環状変形体80および内側環状変形体90の変形態様自体は、§8で述べたセンサ(図32参照)と同様であるが、図36に示すトルクセンサでは、対向する一対の電極がいずれも変位電極であり、容量素子を構成する双方の電極が共に変位する。しかも、対向する一対の変位電極は、双方が共に接近する方向に動くか、もしくは、双方が共に遠ざかる方向に動くか、のいずれかになる。このため、電極間隔は、一方を固定電極とした場合に比べて、より大きく変化し、検出感度を向上させることができる。
たとえば、図36において、V軸上に配置された第1の容量素子C1および第3の容量素子C3に着目すると、外側変位電極E81,E83は内側へ移動しているのに対して、内側変位電極E91,E93は外側へ移動しており、相互に接近する方向に動いている。このため、一方を固定電極とした場合に比べて、電極間隔の減少はより大きくなり、静電容量値の増加変動量も大きくなる。また、W軸上に配置された第2の容量素子C2および第4の容量素子C4に着目すると、外側変位電極E82,E84は外側へ移動しているのに対して、内側変位電極E92,E94は内側へ移動しており、相互に遠ざかる方向に動いている。このため、一方を固定電極とした場合に比べて、電極間隔の増加はより大きくなり、静電容量値の減少変動量も大きくなる。
このように、ここで述べるトルクセンサの場合、静電容量値の変動量は、これまで述べてきた実施例よりも大きくなるが、トルク検出の基本原理は、これまで述べてきた実施例と全く同じであり、図21の回路図に示されているような検出回路を用いれば、Z軸まわりのトルクを検出することができる。
結局、この§9で述べるトルクセンサは、XYZ三次元座標系におけるZ軸まわりのトルクを検出するトルクセンサであり、その基本構造部は、図31に示すとおり、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部H80を有し、原点Oを中心としてXY平面上に配置された外側環状変形体80と、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部H90を有し、原点Oを中心としてXY平面上に配置され、かつ、外側環状変形体80の貫通開口部H80内に配置された内側環状変形体90と、外側環状変形体80および内側環状変形体90のZ軸負領域側に隣接する位置に配置された左側支持体60と、外側環状変形体80および内側環状変形体90のZ軸正領域側に隣接する位置に配置された右側支持体70と、各環状変形体80,90と各支持体60,70とを接続する接続部材と、によって構成されていることになる。
ここで、図31に示すとおり、外側環状変形体80のZ軸負側の側面上には、第1の外側左側接続点(凸状部61の接続点)および第2の外側左側接続点(凸状部62の接続点)が設けられ、外側環状変形体80のZ軸正側の側面上には、第1の外側右側接続点(凸状部71の接続点)および第2の外側右側接続点(凸状部72の接続点)が設けられ、内側環状変形体90のZ軸負側の側面上には、第1の内側左側接続点(凸状部63の接続点)および第2の内側左側接続点(凸状部64の接続点)が設けられ、内側環状変形体90のZ軸正側の側面上には、第1の内側右側接続点(凸状部73の接続点)および第2の内側右側接続点(凸状部74の接続点)が設けられている。
そして、第1の外側左側接続点を左側支持体60に接続する第1の外側左側接続部材(凸状部61)と、第2の外側左側接続点を左側支持体60に接続する第2の外側左側接続部材(凸状部62)と、第1の外側右側接続点を右側支持体70に接続する第1の外側右側接続部材(凸状部71)と、第2の外側右側接続点を右側支持体70に接続する第2の外側右側接続部材(凸状部72)と、によって、外側環状変形体80が左右から支持されることになる。
また、第1の内側左側接続点を左側支持体60に接続する第1の内側左側接続部材(凸状部63)と、第2の内側左側接続点を左側支持体60に接続する第2の内側左側接続部材(凸状部64)と、第1の内側右側接続点を右側支持体70に接続する第1の内側右側接続部材(凸状部73)と、第2の内側右側接続点を右側支持体70に接続する第2の内側右側接続部材(凸状部74)と、によって、内側環状変形体90が左右から支持されることになる。
ここで、各接続点は、外側環状変形体80および内側環状変形体90の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の外側右側接続点の投影像が正のX軸上、第2の外側右側接続点の投影像が負のX軸上、第1の外側左側接続点の投影像が正のY軸上、第2の外側左側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側右側接続点の投影像が正のY軸上、第2の内側右側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側左側接続点の投影像が正のX軸上、第2の内側左側接続点の投影像が負のX軸上にくるように配置されている。
実際のトルクセンサは、このような基本構造部に、更に、検出用の電極と検出回路を付加することによって構成される。すなわち、外側環状変形体80の内周面に固定され、外側環状変形体80の弾性変形に起因した変位を生じる外側変位電極と、内側環状変形体90の外周面における外側変位電極に対向する位置に固定され、内側環状変形体90の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、これら互いに対向する電極によって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、右側支持体70に負荷がかかった状態において左側支持体60に作用したZ軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路が設けられる。
なお、原理上は、図35に示す4組の容量素子のうち、少なくとも1組の容量素子があれば、トルク検出が可能である。ただ、実用上は、同相ノイズやゼロ点ドリフトを抑えた安定したトルク検出を行うために、差分検出を行うのが好ましい。そのためには、図35に示す4組の容量素子のうち、少なくとも、V軸上に配置された1組の容量素子と、W軸上に配置された1組の容量素子とを設けておけばよい。
すなわち、XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義した場合に、V軸上に配置された第1の外側変位電極および第1の内側変位電極と、W軸上に配置された第2の外側変位電極および第2の内側変位電極と、設け、検出回路が、第1の外側変位電極と第1の内側変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、第2の外側変位電極と第2の内側変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力すればよい。
もちろん、更に精度の高い検出を行う上では、図35に示す4組の容量素子のすべてを用いるのが好ましい。この場合、XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなし、符号をもったV軸およびW軸を定義した場合に、正のV軸上に配置された第1の外側変位電極E81および第1の内側変位電極E91と、正のW軸上に配置された第2の外側変位電極E82および第2の内側変位電極E92と、負のV軸上に配置された第3の外側変位電極E83および第3の内側変位電極E93と、負のW軸上に配置された第4の外側変位電極E84および第4の内側変位電極E94と、を設け、検出回路が、「第1の外側変位電極E81と第1の内側変位電極E91とによって構成される第1の容量素子C1の静電容量値と、第3の外側変位電極E83と第3の内側変位電極E93とによって構成される第3の容量素子C3の静電容量値と、の和」と、「第2の外側変位電極E82と第2の内側変位電極E92とによって構成される第2の容量素子C2の静電容量値と、第4の外側変位電極E84と第4の内側変位電極E94とによって構成される第4の容量素子C4の静電容量値と、の和」と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力すればよい。
このように、外側と内側とに配置された2組の環状変形体を組み込む構成を採った場合、変位電極と固定電極とによって容量素子を構成する代わりに、外側環状変形体80の内周面に形成した外側変位電極と、内側環状変形体90の外周面に形成した内側変位電極と、によって容量素子を形成することが可能になる。そして、図示の例のように、両環状変形体として円環状の構造体を用い、トルクが作用した際にいずれも楕円形に変形するようにし、一方の楕円の長軸方向が他方の楕円の短軸方向となるように、互いに90°ずらした接続点を設けるようにすれば、外側変位電極と内側変位電極との間の電極間隔の変動量を大きくとることができ、検出感度を更に向上させることができる。
もっとも、両環状変形体が変形したときに、一方の楕円の長軸方向が他方の楕円の短軸方向となるように、互いに90°ずらした接続点を設けることは、トルク検出を行う上で、必ずしも必須の要件ではない。変形後の楕円の長軸方向が同じであっても、無負荷時の真円の状態における外側変位電極と内側変位電極との距離と、変形後の楕円の状態における同距離とは異なるため、やはり容量素子の静電容量値の変動量として、トルク検出が可能である。ただ、感度をより高める上では、ここに示した実施例のように、一方の楕円の長軸方向が他方の楕円の短軸方向となるように、互いに90°ずらした接続点を設けるのが好ましい。
結局、この§9で述べた実施例に係る技術思想は、所定の回転軸まわりのトルクを検出するトルクセンサに係る発明であり、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸Zが挿通する貫通開口部H80を有する外側環状変形体80と、検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸Zが挿通する貫通開口部H90を有し、外側環状変形体80の内側に配置された内側環状変形体90と、回転軸Zが左右に伸びる水平線をなすような基準観察方向から見たときに、外側環状変形体80および内側環状変形体90の左側に隣接する位置に配置された左側支持体60と、基準観察方向から見たときに、外側環状変形体80および内側環状変形体90の右側に隣接する位置に配置された右側支持体70と、各接続部材と、によって構成される基本構造部を有するセンサの発明ということになる。
ここで、各接続部材は、外側環状変形体80の左側支持体60に対向する左側の側面上の外側左側接続点を、左側支持体60に接続する外側左側接続部材と、外側環状変形体80の右側支持体70に対向する右側の側面上の外側右側接続点を、右側支持体70に接続する外側右側接続部材と、内側環状変形体90の左側支持体60に対向する左側の側面上の内側左側接続点を、左側支持体60に接続する内側左側接続部材と、内側環状変形体90の右側支持体70に対向する右側の側面上の内側右側接続点を、右側支持体70に接続する内側右側接続部材と、によって構成されている。
そして、この基本構造部に、外側環状変形体80の内周面に固定され、外側環状変形体80の弾性変形に起因した変位を生じる外側変位電極と、内側環状変形体90の外周面に固定され、内側環状変形体90の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、外側変位電極と内側変位電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、右側支持体70に負荷がかかった状態において左側支持体60に作用した回転軸Zまわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路を付加することにより、トルクセンサが実現できる。
ここで、各環状変形体80,90に変形を生じさせるために、回転軸Zに直交する投影面について、外側左側接続点の正射影投影像と外側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成され、内側左側接続点の正射影投影像と内側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにする必要がある。
なお、この§9で述べる実施例についても、§7で述べた「共通導電層を用いる変形例」を適用することが可能である。図37は、図35に示すトルクセンサにおいて、4組の外側変位電極E81〜E84を共通導電層E85に置き換えた変形例を示すXY平面での断面図である。このように、各外側変位電極E81〜E84を、外側環状変形体80の内周面に形成された共通導電層E85によって構成しても、検出系は電気的には同じであり、これまで述べた実施例と同様の原理でトルク検出が可能である。もちろん、外側変位電極は、4組の独立した電極E81〜E84としておき、各内側変位電極E91〜E94を、内側環状変形体90の外周面に形成された共通導電層によって構成してもかまわない。
一方、図38は、図37に示すトルクセンサにおいて、導電性材料からなる環状変形体80Aを用いることにより、環状変形体80Aの内周面を共通導電層として利用した変形例を示すXY平面での断面図である。外側環状変形体80Aを導電性の弾性材料によって構成したため、その内周面が図37に示す共通導電層E85と同等の機能を果たすことになる。もちろん、外側変位電極は、4組の独立した電極E81〜E84としておき、内側環状変形体90を導電性の弾性材料によって構成し、内側環状変形体90の外周面自身を、4組の内側変位電極の代用となる共通導電層として用いるようにしてもよい。
<<< §10. 2組の環状変形体を用いる変形例(その3) >>>
図39は、2組の環状変形体を用いた更に別な変形例に係るトルクセンサのXY平面での断面図である。この変形例は、容量素子を構成する一方の電極を変位電極、他方の電極を固定電極とする例であり、この点において、§8で述べた変形例に類似している。実際、この変形例に係るトルクセンサの基本構造部は、§8で述べた変形例と全く同一であり、その分解斜視図は、図31に示すとおりである。ただ、§8で述べた変形例とは、電極の構成および配置が若干異なっている。
図39に示すとおり、外側環状変形体80の内周面におけるV軸およびW軸との交差部分には、大面積外側変位電極E81L,E82L,E83L,E84Lが固定されており、内側環状変形体90の外周面におけるV軸およびW軸との交差部分には、大面積内側変位電極E91L,E92L,E93L,E94Lが固定されている。また、これらの中間位置には、右側支持体70に固定された4枚の固定電極E101,E102,E103,E104が設けられている。これら4枚の固定電極E101,E102,E103,E104は、大面積外側変位電極E81L,E82L,E83L,E84Lに対向する対向電極としての機能と、大面積内側変位電極E91L,E92L,E93L,E94Lに対向する対向電極としての機能と、を兼ねている。
ここでは説明の便宜上、変位電極E81Lと固定電極E101とによって構成される容量素子をC1−1とし、変位電極E91Lと固定電極E101とによって構成される容量素子をC1−2とする。また、変位電極E82Lと固定電極E102とによって構成される容量素子をC2−1とし、変位電極E92Lと固定電極E102とによって構成される容量素子をC2−2とする。同様に、変位電極E83Lと固定電極E103とによって構成される容量素子をC3−1とし、変位電極E93Lと固定電極E103とによって構成される容量素子をC3−2とし、変位電極E84Lと固定電極E104とによって構成される容量素子をC4−1とし、変位電極E94Lと固定電極E104とによって構成される容量素子をC4−2とする。結局、合計8組の容量素子が構成されている。
大面積外側変位電極E81L,E82L,E83L,E84L、および大面積内側変位電極E91L,E92L,E93L,E94Lを、それぞれ「大面積電極」と呼んでいる理由は、中間位置に介挿されている固定電極E101,E102,E103,E104に比べて面積の大きな電極になっているためである。すなわち、各大面積変位電極E81L〜E84L,E91L〜E94Lと各固定電極E101〜E104との関係は、図22に示す大面積電極ELと小面積電極ESとの関係と同様であり、各固定電極E101〜E104に対する各大面積変位電極E81L〜E84L,E91L〜E94Lの相対位置が変化した場合にも、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が変化しないようになっている。このため、8組の容量素子の静電容量値の変化は、対向する両電極の間隔の変化によってのみ生じることになる。
さて、この図39に示すトルクセンサに対して、6つの成分が作用した場合に、8組の容量素子の静電容量値にどのような変化が生じるかを検討してみる。図40は、図39に示すトルクセンサについて、Z軸正まわりのモーメントMzが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。このZ軸正まわりのモーメントMzは、このトルクセンサにおける検出対象となるトルクに他ならない。図40では、図が繁雑になるのを避けるために各電極の図示は省略している。その代わりに、図39に示す8組の容量素子の配置位置に「+」もしくは「−」の符号を記している。これらの符号は、当該位置に配置された容量素子の静電容量値の増減を示している。すなわち、符号「+」は静電容量値が増加することを示し、符号「−」は静電容量値が減少することを示している。
図40に示すとおり、右側支持体70に負荷がかかった状態において、左側支持体60から環状変形体80,90に対して、Z軸正まわりのモーメントMzが作用すると、外側環状変形体80はW軸を長軸とする楕円に変形し、内側環状変形体90はV軸を長軸とする楕円に変形する。その結果、V軸上に配置された4組の容量素子C1−1,C1−2,C3−1,C3−2は、いずれも電極間隔が狭まり静電容量値が増加するのに対して、W軸上に配置された4組の容量素子C2−1,C2−2,C4−1,C4−2は、いずれも電極間隔が広がり静電容量値が減少する。
一方、図41は、図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、左側支持体60から環状変形体80,90に対して、X軸正方向の力+Fxが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。このような変形態様が生じるのは、外側環状変形体80には、X軸上の両接続点が右側支持体70に支持されている状態でY軸上の両接続点に左側支持体60からの力+Fxが加わるのに対して、内側環状変形体90には、Y軸上の両接続点が右側支持体70に支持されている状態でX軸上の両接続点に左側支持体60からの力+Fxが加わるためである。
結局、外側環状変形体80および内側環状変形体90ともに、第1象限Iおよび第4象限IVに位置する円弧部分は外側に膨らみ、第2象限IIおよび第3象限IIIに位置する円弧部分は内側にしぼむことになる。その結果、4組の容量素子C1−1,C2−2,C3−2,C4−1は、いずれも電極間隔が広がり静電容量値が減少するのに対して、残りの4組の容量素子C1−2,C2−1,C3−1,C4−2は、いずれも電極間隔が狭まり静電容量値が増加する。
図42は、図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、左側支持体60から環状変形体80,90に対して、Y軸正方向の力+Fyが作用したときの状態を示すXY平面での断面図である。このような変形態様が生じるのは外側環状変形体80には、X軸上の両接続点が右側支持体70に支持されている状態でY軸上の両接続点に左側支持体60からの力+Fyが加わるのに対して、内側環状変形体90には、Y軸上の両接続点が右側支持体70に支持されている状態でX軸上の両接続点に左側支持体60からの力+Fyが加わるためである。
結局、外側環状変形体80および内側環状変形体90ともに、第1象限Iおよび第2象限IIに位置する円弧部分は外側に膨らみ、第3象限IIIおよび第4象限IVに位置する円弧部分は内側にしぼむことになる。その結果、4組の容量素子C1−1,C2−1,C3−2,C4−2は、いずれも電極間隔が広がり静電容量値が減少するのに対して、残りの4組の容量素子C1−2,C2−2,C3−1,C4−1は、いずれも電極間隔が狭まり静電容量値が増加する。
図43は、図39に示すトルクセンサについて、右側支持体70に負荷がかかった状態において、左側支持体60から環状変形体80,90に対して各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントが作用したときの8組の容量素子の静電容量値の変化態様を示す表である。ここで、Mz,Fx,Fyの各欄の「+」,「−」の結果は、図40〜図42に示す結果に対応するものである。また、Fzの欄がすべて0になっている理由は、Z軸方向の力Fzが作用した場合は、環状変形体80,90がZ軸方向に変位するものの、対向する電極の間隔には変化が生じないためである。また、Mx,Myの欄がすべて0になっている理由は、容量素子を構成する一対の電極の間隔は、一部では狭くなり、別な一部では広くなるため、トータルでは静電容量値に変化は生じないためである。
この図43の表に示す結果を踏まえると、Z軸まわりのモーメントMz(検出対象となるトルク)は、各容量素子の静電容量値を当該容量素子の符号と同一符号で表すことにすれば、
Mz=((C1−1)+(C1−2)+(C3−1)+(C3−2))
−((C2−1)+(C2−2)+(C4−1)+(C4−2))
なる式に基づく差分演算によって求めることができることになる。しかも、各容量素子を構成する電極の形状および配置が、XZ平面およびYZ平面に関して対称性を維持していれば、力Fxもしくは力Fyの作用によって生じる各容量素子の静電容量値の変動分は、上記差分演算によって相殺されるので、たとえ力Fxや力Fyが作用していたとしても、上記差分演算によって得られるZ軸まわりのモーメントMzの検出値は、他軸成分の干渉を受けない正確な値になる(Fz,Mx,Myの欄はすべて0であるから、これらの成分はもともと干渉を生じさせない)。
更に、この図43の表に示す結果を踏まえると、Z軸まわりのモーメントMzだけでなく、力Fx,Fyの検出も可能である。すなわち、力Fxは、
Fx=((C1−2)+(C2−1)+(C3−1)+(C4−2))
−((C1−1)+(C2−2)+(C3−2)+(C4−1))
なる式に基づく差分演算によって求めることができ、力Fyは、
Fy=((C1−2)+(C2−2)+(C3−1)+(C4−1))
−((C1−1)+(C2−1)+(C3−2)+(C4−2))
なる式に基づく差分演算によって求めることができる。なお、実際には、図21の検出回路に示すように、各静電容量値を、C/V変換器により電圧値に変換し、これら電圧値を用いて演算を行うことになる。
このように、図39に示す実施例に係るセンサは、Z軸まわりのトルクを検出するトルクセンサとしての機能を果たすとともに、X軸方向の力FxおよびY軸方向の力Fyを検出する力センサとしての機能を果たすことができる。もっとも、力Fx,Fyの検出に関しては、各容量素子を構成する電極の形状および配置が、XZ平面およびYZ平面に関して対称性を維持していたとしても、他軸成分の干渉があると、上記差分演算式における静電容量値の増加分の絶対値と減少分の絶対値とは必ずしも等しくならないため、他軸成分が多少の誤差として検出される。
<<< §11. その他の変形例 >>>
最後に、本発明についての更に別な変形例を列挙しておく。
(1) これまでの実施例では、環状変形体として、トルクが作用しない無負荷状態において円環状をなす部材を用いた例を示したが、本発明に係るトルクセンサに用いる環状変形体は、必ずしも円環状である必要はない。たとえば、八角形の環状変形体を用いることも可能である。ただ、実用上は、円環状の環状変形体を用いるのが好ましい。また、左側支持体や右側支持体は、環状変形体を左右から支持することができればよいので、その形状は任意でかまわない。ただ、実用上は、環状変形体の外形と同じ形状のものを用いると、基本構造部の全体形状を単純化することができるので好ましい。
(2) これまでの実施例では、環状変形体の左側面の2箇所に接続点を設定して左側支持体に接続するとともに、環状変形体の右側面の2箇所に接続点を設定して右側支持体に接続する構造を採っていたが、左右の支持体に対する接続点は、必ずしも2箇所にする必要はなく、3箇所以上設けるようにしてもかまわない。あるいは、左右1箇所ずつ接続する構造を採ってもかまわない。ただ、トルクの作用により、環状変形体の一部を変形させる必要があるため、左右の接続点は異なる位置に設定する必要がある。より正確に言えば、回転軸に直交する投影面についての左側接続点の正射影投影像と右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにする必要がある。
(3) これまでの実施例では、環状変形体の左側面の接続点に接続する左側接続部材として、左側支持体の右側面から右方に突出した凸状部を用い、環状変形体の右側面の接続点に接続する右側接続部材として、右側支持体の左側面から左方に突出した凸状部を用い、各凸状部の頂面を環状変形体の各接続点に接合する構造を採っていた。しかしながら、各接続部材には、必ずしも支持体側面から突出した凸状部を用いる必要はなく、環状変形体の接続点を各支持体に接続する機能をもった部材であれば、どのような部材を接続部材として用いてもかまわない。
(4) §1で述べた基本構造部では、環状変形体30の左側の側面上には、第1の左側接続点P11および第2の左側接続点P12が設定され、第1の左側接続点P11の位置には、左側支持体10に接続するための第1の左側接続部材(凸状部11)が接合され、第2の左側接続点P12の位置には、左側支持体10に接続するための第2の左側接続部材(凸状部12)が接合されている。同様に、環状変形体30の右側の側面上には、第1の右側接続点P21および第2の右側接続点P22が設定され、第1の右側接続点P21の位置には、右側支持体20に接続するための第1の右側接続部材(凸状部21)が接合され、第2の右側接続点P22の位置には、右側支持体20に接続するための第2の右側接続部材(凸状部22)が接合されている。
そして、図7に示すように、XY平面を投影面として、回転軸(Z軸)の投影点(すなわち、原点O)を通り、互いに直交する2直線(すなわち、X軸およびY軸)を引いた場合に、第1の左側接続点P11および第2の左側接続点P12の正射影投影像が第1の直線(Y軸)上に配置され、第1の右側接続点P21および第2の右側接続点P22の正射影投影像が第2の直線(X軸)上に配置されている。このような配置を採ると、環状変形体30を軸対称性をもった楕円に変形させることができるので、軸対称性をもった検出値を得ることができる。
しかしながら、この4つの接続点P11〜P22は、必ずしも正確にX軸およびY軸上に位置させる必要はない。すなわち、XY平面上に環状変形体30の正射影投影像を得た場合、環状変形体30の輪郭に沿った環状路に、第1の左側接続点P11、第1の右側接続点P22、第2の左側接続点P12、第2の右側接続点P21の順に、各接続点の正射影投影像が配置されていれば、すなわち、左側接続点と右側接続点とが、環状路に沿って交互に配置されるようにすれば、トルクの作用によって環状変形体30の各部を変形させることができる。
(5) 本発明に係るトルクセンサにおいて、作用したトルクの大きさと、環状変形体30の各部の変位量との関係は、必ずしも線形関係にはならない。したがって、作用したトルクの大きさに正確に比例した検出値を得る必要がある場合には、たとえば、図15に示す検出回路の出力端子T1や、図21に示す検出回路の出力端子T2に出力される電圧値を、線形検出値に変換するような補正テーブルを用意し、この補正テーブルを用いて変換された線形検出値が出力されるようにすればよい。
(6) 図15に示す検出回路や図21に示す検出回路では、アナログ電圧に対する演算器が用いられているが、もちろん、C/V変換器で変換されたアナログ電圧値Vを、A/D変換器を用いてデジタル信号に変換し、デジタル演算によって検出値を求めるようにしてもかまわない。
(7) これまでの実施形態では、環状変形体30,80,90の径方向の変位を効率良く検出できるように、容量素子を構成する固定電極や変位電極として、環状変形体30,80,90の内周面もしくは外周面に沿った形状および配置をもった電極を用いる例を述べた。しかしながら、本発明に係るトルクセンサの基本構造部に、Z軸まわりのモーメント(トルク)や、X軸方向の力FxまたはY軸方向の力Fyが作用すると、図40〜図42に示す変形態様からもわかるとおり、環状変形体は接線方向(円周方向)にも変位する。したがって、容量素子を構成する固定電極や変位電極は、必ずしも環状変形体の内周面もしくは外周面に沿った形状および配置をもった電極にする必要はなく、環状変形体の接線方向(円周方向)の変位検出に適した形状や配置をもった電極にしてもかまわない。
図44は、本発明に係るトルクセンサの更に別な電極構成を示すXY平面での断面図である。ここでは、説明の便宜上、同一のトルクセンサに様々な形態の電極を用いた例を示す。たとえば、第1象限Iには、環状変形体30の半径方向に沿った変位電極E31Aと固定電極E21Aとによって、容量素子C1を構成した例が示されている。また、第2象限IIには、環状変形体30の半径方向に沿った固定電極E22Aと、環状変形体30の内周面に掘られた溝部壁面E32Aとによって、容量素子C2を構成した例が示されている。この場合、環状変形体30自身を導電性材料で構成しておくか、もしくは溝部壁面E32Aに導電膜を形成する必要がある。
また、第3象限IIIには、断面三角形の突起部を環状変形体30の内周面に設けて変位電極E33Aとし、この突起部の傾斜面に対向する位置に固定電極E23Aを配置し、両電極によって容量素子C3を構成した例が示されている。更に、第4象限IVには、環状変形体30の半径方向に沿った変位電極E34Aと、この変位電極E34Aの両側にそれぞれ固定電極E24A,E24Bを設けた例が示されている。この場合、変位電極E34Aと固定電極E24Aとによって第1の容量素子C4Aが構成されるとともに、変位電極E34Aと固定電極E24Bとによって第2の容量素子C4Bが構成される。
この図44に示す容量素子C1〜C4Bは、いずれも環状変形体30の接線方向(円周方向)の変位検出に適した容量素子ということができる。もちろん、外側環状変形体80および内側環状変形体90を用いた実施形態についても、図44に例示するような接線方向(円周方向)の変位検出に適した容量素子を用いることができる。また、この図44に示すセンサは、トルクだけでなく、力Fx,Fyの検出を行うことも可能である。なお、図44では、説明の便宜上、各象限に4種類の異なるタイプの容量素子を配置した例を示したが、もちろん、同一タイプの容量素子を4ヶ所に配置してもよいし、様々なタイプの容量素子を適宜組み合わせて4ヶ所に配置してもよい。
10:左側支持体
11:凸状部(第1の左側接続部材)
12:凸状部(第2の左側接続部材)
20:右側支持体
21:凸状部(第1の右側接続部材)
22:凸状部(第2の右側接続部材)
30:環状変形体
30A:導電性材料からなる環状変形体
41,42:C/V変換回路
43:差分演算器
51〜54:C/V変換回路
55:演算器
60:左側支持体
61:凸状部(第1の外側左側接続部材)
62:凸状部(第2の外側左側接続部材)
63:凸状部(第1の内側左側接続部材)
64:凸状部(第2の内側左側接続部材)
70:右側支持体
72:凸状部(第2の外側右側接続部材)
80:外側環状変形体
80A:導電性材料からなる外側環状変形体
90:内側環状変形体
C1〜C4,C4A,C4B:容量素子
C1−1〜C4−2:容量素子
D21〜D24:絶縁板
E21〜E24,E21A〜E24A,E24B:固定電極(右側支持体20に固定)
E21S〜E24S:小面積固定電極(右側支持体20に固定)
E31〜E34,E31A〜E34A:変位電極(環状変形体30の内周面に固定)
E31L〜E34L:大面積変位電極(環状変形体30の内周面に固定)
E35:共通導電層
E81〜E84:外側変位電極(外側環状変形体80の内周面に固定)
E81L〜E84L:大面積外側変位電極(外側環状変形体80の内周面に固定)
E85:共通導電層
E91〜E94:内側変位電極(内側環状変形体90の外周面に固定)
E91L〜E94L:大面積内側変位電極(内側環状変形体90の外周面に固定)
E101〜E104:固定電極(右側支持体70に固定)
EL:大面積電極
ES:小面積電極
Fx:X軸方向の力
Fy:Y軸方向の力
Fz:Z軸方向の力
H10:左側支持体10に形成された貫通開口部
H20:右側支持体20に形成された貫通開口部
H30:環状変形体30に形成された貫通開口部
H60:左側支持体60に形成された貫通開口部
H70:右側支持体70に形成された貫通開口部
H80:外側環状変形体80に形成された貫通開口部
H90:内側環状変形体90に形成された貫通開口部
Mx:X軸まわりのモーメント
My:Y軸まわりのモーメント
Mz:Z軸まわりのモーメント(検出対象トルク)
O:XYZ三次元座標系の原点
P11〜P22:接続点/その投影像
T1,T2:出力端子
U:鉛直面
V:XY平面上でX軸およびY軸に対して45°をなす座標軸
V1〜V4:電圧
W:XY平面上でV軸に直交する座標軸
X:XYZ三次元座標系の座標軸
Y:XYZ三次元座標系の座標軸
Z:XYZ三次元座標系の座標軸

Claims (30)

  1. 所定の回転軸まわりのトルクを検出するトルクセンサであって、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、前記回転軸が挿通する貫通開口部を有する環状変形体と、
    前記回転軸が左右に伸びる水平線をなすような基準観察方向から見たときに、前記環状変形体の左側に隣接する位置に配置された左側支持体と、
    前記基準観察方向から見たときに、前記環状変形体の右側に隣接する位置に配置された右側支持体と、
    前記環状変形体の左側の側面上の左側接続点を、前記左側支持体に接続する左側接続部材と、
    前記環状変形体の右側の側面上の右側接続点を、前記右側支持体に接続する右側接続部材と、
    前記環状変形体の内周面もしくは外周面に固定され、前記環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる変位電極と、
    前記変位電極に対向する位置に配置され、前記左側支持体もしくは前記右側支持体に固定された固定電極と、
    前記変位電極と前記固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、前記右側支持体および前記左側支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用した前記回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、
    を備え、
    前記回転軸に直交する投影面についての前記左側接続点の正射影投影像と前記右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにしたことを特徴とするトルクセンサ。
  2. 請求項1に記載のトルクセンサにおいて、
    環状変形体の左側の側面上に第1の左側接続点および第2の左側接続点が設けられ、
    左側接続部材は、前記第1の左側接続点を左側支持体に接続する第1の左側接続部材と、前記第2の左側接続点を左側支持体に接続する第2の左側接続部材と、を有し、
    環状変形体の右側の側面上に第1の右側接続点および第2の右側接続点が設けられ、
    右側接続部材は、前記第1の右側接続点を右側支持体に接続する第1の右側接続部材と、前記第2の右側接続点を右側支持体に接続する第2の右側接続部材と、を有し、
    回転軸に直交する投影面に環状変形体を投影して正射影投影像を得た場合に、環状変形体の輪郭に沿った環状路に、第1の左側接続点、第1の右側接続点、第2の左側接続点、第2の右側接続点の順に、各接続点の正射影投影像が配置されていることを特徴とするトルクセンサ。
  3. 請求項2に記載のトルクセンサにおいて、
    回転軸に直交する投影面上に、回転軸の投影点を通り互いに直交する2直線を引いた場合に、第1の左側接続点および第2の左側接続点の正射影投影像が第1の直線上に配置され、第1の右側接続点および第2の右側接続点の正射影投影像が第2の直線上に配置されていることを特徴とするトルクセンサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    左側支持体および右側支持体として、中心部に貫通開口部を有する環状の構造体を用い、回転軸に沿って、左側支持体、環状変形体、右側支持体の各貫通開口部を貫く挿通孔が確保されるようにしたことを特徴とするトルクセンサ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    環状変形体が、回転軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなることを特徴とするトルクセンサ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    左側支持体および右側支持体が、回転軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなることを特徴とするトルクセンサ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    変位電極を、環状変形体の内周面に形成された導電層によって構成し
    固定電極を、この導電層に対向する位置に配置され、左側支持体もしくは右側支持体から回転軸に沿った方向に突き出した導電板によって構成したことを特徴とするトルクセンサ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    環状変形体の各部分のうち、所定回転方向のトルクが作用したときに、回転軸に近づく方向に変位する第1の部分に固定された第1の変位電極と、回転軸から離れる方向に変位する第2の部分に固定された第2の変位電極と、前記第1の変位電極に対向する位置に配置された第1の固定電極と、前記第2の変位電極に対向する位置に配置された第2の固定電極と、を有し、
    検出回路が、前記第1の変位電極と前記第1の固定電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、前記第2の変位電極と前記第2の固定電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力することを特徴とするトルクセンサ。
  9. 請求項8に記載のトルクセンサにおいて、
    所定回転方向のトルクが作用したときに、電極間隔が狭まる容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が増加し、電極間隔が広がる容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が減少するように、互いに対向する変位電極と固定電極とをオフセットをもたせて配置したことを特徴とするトルクセンサ。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    所定回転方向のトルクが作用した結果、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が変化しないように、固定電極および変位電極のうちの一方の面積を他方の面積よりも大きく設定したことを特徴とするトルクセンサ。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、回転軸が挿通する貫通開口部を有し、環状変形体の内側に配置された内側環状変形体と、
    前記内側環状変形体の左側の側面上の内側左側接続点を左側支持体に接続する内側左側接続部材と、
    前記内側環状変形体の右側の側面上の内側右側接続点を右側支持体に接続する内側右側接続部材と、
    前記内側環状変形体の内周面もしくは外周面に固定され、前記内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
    前記内側変位電極に対向する位置に配置され、前記左側支持体もしくは前記右側支持体に固定された内側固定電極と、
    を更に備え、
    回転軸に直交する投影面についての前記内側左側接続点の正射影投影像と前記内側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにし、
    検出回路が、前記内側変位電極と前記内側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量を更に利用して、回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力することを特徴とするトルクセンサ。
  12. 請求項1に記載のトルクセンサにおいて、
    XYZ三次元座標系におけるZ軸まわりのトルクを検出するために、環状変形体が原点Oを中心としてXY平面上に配置され、左側支持体がZ軸負領域に配置され、右側支持体がZ軸正領域に配置され、
    環状変形体のZ軸負側の側面上に第1の左側接続点および第2の左側接続点が設けられ、
    左側接続部材は、前記第1の左側接続点を左側支持体に接続する第1の左側接続部材と、前記第2の左側接続点を左側支持体に接続する第2の左側接続部材と、を有し、
    環状変形体のZ軸正側の側面上に第1の右側接続点および第2の右側接続点が設けられ、
    右側接続部材は、前記第1の右側接続点を右側支持体に接続する第1の右側接続部材と、前記第2の右側接続点を右側支持体に接続する第2の右側接続部材と、を有し、
    環状変形体の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の右側接続点の投影像が正のX軸上、第2の右側接続点の投影像が負のX軸上、第1の左側接続点の投影像が正のY軸上、第2の左側接続点の投影像が負のY軸上に配置されていることを特徴とするトルクセンサ。
  13. 請求項12に記載のトルクセンサにおいて、
    環状変形体が、Z軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなることを特徴とするトルクセンサ。
  14. 請求項13に記載のトルクセンサにおいて、
    XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義した場合に、V軸上に配置された第1の変位電極および第1の固定電極と、W軸上に配置された第2の変位電極および第2の固定電極と、を有し、
    検出回路が、前記第1の変位電極と前記第1の固定電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、前記第2の変位電極と前記第2の固定電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力することを特徴とするトルクセンサ。
  15. 請求項14に記載のトルクセンサにおいて、
    所定回転方向のトルクの作用により環状変形体のXY平面上への正射影投影像の輪郭が円から楕円に変化する場合に、この楕円の短軸方向にV軸、長軸方向にW軸をとり、
    トルクが作用していない状態において、第1の固定電極の位置が、第1の変位電極の位置に比べて、前記所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第2の固定電極の位置が、第2の変位電極の位置に比べて、前記所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれていることを特徴とするトルクセンサ。
  16. 請求項13に記載のトルクセンサにおいて、
    XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなし、符号をもったV軸およびW軸を定義した場合に、正のV軸上に配置された第1の変位電極および第1の固定電極と、正のW軸上に配置された第2の変位電極および第2の固定電極と、負のV軸上に配置された第3の変位電極および第3の固定電極と、負のW軸上に配置された第4の変位電極および第4の固定電極と、を有し、
    検出回路が、「前記第1の変位電極と前記第1の固定電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、前記第3の変位電極と前記第3の固定電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量値と、の和」と、「前記第2の変位電極と前記第2の固定電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、前記第4の変位電極と前記第4の固定電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量値と、の和」と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力することを特徴とするトルクセンサ。
  17. 請求項16に記載のトルクセンサにおいて、
    所定回転方向のトルクの作用により環状変形体のXY平面上への正射影投影像の輪郭が円から楕円に変化する場合に、この楕円の短軸方向にV軸、長軸方向にW軸をとり、
    トルクが作用していない状態において、第1の固定電極の位置が、第1の変位電極の位置に比べて、前記所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第2の固定電極の位置が、第2の変位電極の位置に比べて、前記所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれ、第3の固定電極の位置が、第3の変位電極の位置に比べて、前記所定回転方向に所定のオフセット量だけずれ、第4の固定電極の位置が、第4の変位電極の位置に比べて、前記所定回転方向とは逆の方向に所定のオフセット量だけずれていることを特徴とするトルクセンサ。
  18. 請求項14または16に記載のトルクセンサにおいて、
    所定回転方向のトルクが作用した結果、固定電極に対する変位電極の相対位置が変化した場合にも、容量素子を構成する一対の電極の実効対向面積が変化しないように、固定電極および変位電極のうちの一方の面積を他方の面積よりも大きく設定したことを特徴とするトルクセンサ。
  19. 請求項18に記載のトルクセンサにおいて、
    各変位電極を、環状変形体の内周面に形成された共通導電層によって構成したことを特徴とするトルクセンサ。
  20. 請求項19に記載のトルクセンサにおいて、
    環状変形体を導電性の弾性材料によって構成し、環状変形体の内周面自身を共通導電層として用いることを特徴とするトルクセンサ。
  21. 請求項12に記載のトルクセンサにおいて、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部を有し、原点Oを中心としてXY平面上に、環状変形体の内側にくるように配置された内側環状変形体を更に備え、
    前記内側環状変形体のZ軸負側の側面上に第1の内側左側接続点および第2の内側左側接続点が設けられ、
    前記内側環状変形体のZ軸正側の側面上に第1の内側右側接続点および第2の内側右側接続点が設けられ、
    前記第1の内側左側接続点を左側支持体に接続する第1の内側左側接続部材と、前記第2の内側左側接続点を左側支持体に接続する第2の内側左側接続部材と、前記第1の内側右側接続点を右側支持体に接続する第1の内側右側接続部材と、前記第2の内側右側接続点を右側支持体に接続する第2の内側右側接続部材と、
    前記内側環状変形体の内周面もしくは外周面に固定され、前記内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
    前記内側変位電極に対向する位置に配置され、前記左側支持体もしくは前記右側支持体に固定された内側固定電極と、
    を更に備え、
    前記内側環状変形体の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の内側右側接続点の投影像が正のY軸上、第2の内側右側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側左側接続点の投影像が正のX軸上、第2の内側左側接続点の投影像が負のX軸上に配置されており、
    検出回路が、前記内側変位電極と前記内側固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量を更に利用して、回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力することを特徴とするトルクセンサ。
  22. 所定の回転軸まわりのトルクを検出するトルクセンサであって、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、前記回転軸が挿通する貫通開口部を有する外側環状変形体と、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、前記回転軸が挿通する貫通開口部を有し、前記外側環状変形体の内側に配置された内側環状変形体と、
    前記回転軸が左右に伸びる水平線をなすような基準観察方向から見たときに、前記外側環状変形体および前記内側環状変形体の左側に隣接する位置に配置された左側支持体と、
    前記基準観察方向から見たときに、前記外側環状変形体および前記内側環状変形体の右側に隣接する位置に配置された右側支持体と、
    前記外側環状変形体の左側の側面上の外側左側接続点を、前記左側支持体に接続する外側左側接続部材と、
    前記外側環状変形体の右側の側面上の外側右側接続点を、前記右側支持体に接続する外側右側接続部材と、
    前記内側環状変形体の左側の側面上の内側左側接続点を、前記左側支持体に接続する内側左側接続部材と、
    前記内側環状変形体の右側の側面上の内側右側接続点を、前記右側支持体に接続する内側右側接続部材と、
    前記外側環状変形体の内周面に固定され、前記外側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる外側変位電極と、
    前記外側変位電極に対向するように、前記内側環状変形体の外周面に固定され、前記内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
    前記外側変位電極と前記内側変位電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、前記右側支持体および前記左側支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用した前記回転軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、
    を備え、
    前記回転軸に直交する投影面について、前記外側左側接続点の正射影投影像と前記外側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成され、前記内側左側接続点の正射影投影像と前記内側右側接続点の正射影投影像とが異なる位置に形成されるようにしたことを特徴とするトルクセンサ。
  23. XYZ三次元座標系におけるZ軸まわりのトルクを検出するトルクセンサであって、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部を有し、原点Oを中心としてXY平面上に配置された外側環状変形体と、
    検出対象となるトルクの作用により弾性変形を生じる材質からなり、Z軸が挿通する貫通開口部を有し、原点Oを中心としてXY平面上に配置され、かつ、前記外側環状変形体の貫通開口部内に配置された内側環状変形体と、
    前記外側環状変形体および前記内側環状変形体のZ軸負領域側に隣接する位置に配置された左側支持体と、
    前記外側環状変形体および前記内側環状変形体のZ軸正領域側に隣接する位置に配置された右側支持体と、
    を備え、
    前記外側環状変形体のZ軸負側の側面上に、第1の外側左側接続点および第2の外側左側接続点が設けられ、前記外側環状変形体のZ軸正側の側面上に、第1の外側右側接続点および第2の外側右側接続点が設けられ、
    前記内側環状変形体のZ軸負側の側面上に、第1の内側左側接続点および第2の内側左側接続点が設けられ、前記内側環状変形体のZ軸正側の側面上に、第1の内側右側接続点および第2の内側右側接続点が設けられ、
    前記第1の外側左側接続点を前記左側支持体に接続する第1の外側左側接続部材と、前記第2の外側左側接続点を前記左側支持体に接続する第2の外側左側接続部材と、前記第1の外側右側接続点を前記右側支持体に接続する第1の外側右側接続部材と、前記第2の外側右側接続点を前記右側支持体に接続する第2の外側右側接続部材と、
    前記第1の内側左側接続点を前記左側支持体に接続する第1の内側左側接続部材と、前記第2の内側左側接続点を前記左側支持体に接続する第2の内側左側接続部材と、前記第1の内側右側接続点を前記右側支持体に接続する第1の内側右側接続部材と、前記第2の内側右側接続点を前記右側支持体に接続する第2の内側右側接続部材と、
    前記外側環状変形体の内周面に固定され、前記外側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる外側変位電極と、
    前記内側環状変形体の外周面における前記外側変位電極に対向する位置に固定され、前記内側環状変形体の弾性変形に起因した変位を生じる内側変位電極と、
    前記外側変位電極と前記内側変位電極とによって構成される容量素子の静電容量値の変動量に基づいて、前記右側支持体および前記左側支持体の一方に負荷がかかった状態において他方に作用したZ軸まわりのトルクを示す電気信号を出力する検出回路と、
    を更に備え、
    前記外側環状変形体および前記内側環状変形体の両側面をXY平面上に投影して正射影投影像を得た場合に、第1の外側右側接続点の投影像が正のX軸上、第2の外側右側接続点の投影像が負のX軸上、第1の外側左側接続点の投影像が正のY軸上、第2の外側左側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側右側接続点の投影像が正のY軸上、第2の内側右側接続点の投影像が負のY軸上、第1の内側左側接続点の投影像が正のX軸上、第2の内側左側接続点の投影像が負のX軸上に配置されていることを特徴とするトルクセンサ。
  24. 請求項23に記載のトルクセンサにおいて、
    外側環状変形体および内側環状変形体が、Z軸を中心軸として配置された円盤の中央部に、より径の小さな同心円盤の形状をした貫通開口部を形成することにより得られる円環状の部材からなることを特徴とするトルクセンサ。
  25. 請求項24に記載のトルクセンサにおいて、
    左側支持体および右側支持体として、中心部に貫通開口部を有する環状の構造体を用い、Z軸に沿って、左側支持体、内側環状変形体、右側支持体の各貫通開口部を貫く挿通孔が確保されるようにしたことを特徴とするトルクセンサ。
  26. 請求項24または25に記載のトルクセンサにおいて、
    XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義した場合に、V軸上に配置された第1の外側変位電極および第1の内側変位電極と、W軸上に配置された第2の外側変位電極および第2の内側変位電極と、を有し、
    検出回路が、前記第1の外側変位電極と前記第1の内側変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、前記第2の外側変位電極と前記第2の内側変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力することを特徴とするトルクセンサ。
  27. 請求項24または25に記載のトルクセンサにおいて、
    XY平面上に、原点Oを通りX軸およびY軸に対して45°をなし、符号をもったV軸およびW軸を定義した場合に、正のV軸上に配置された第1の外側変位電極および第1の内側変位電極と、正のW軸上に配置された第2の外側変位電極および第2の内側変位電極と、負のV軸上に配置された第3の外側変位電極および第3の内側変位電極と、負のW軸上に配置された第4の外側変位電極および第4の内側変位電極と、を有し、
    検出回路が、「前記第1の外側変位電極と前記第1の内側変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量値と、前記第3の外側変位電極と前記第3の内側変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量値と、の和」と、「前記第2の外側変位電極と前記第2の内側変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量値と、前記第4の外側変位電極と前記第4の内側変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量値と、の和」と、の差に相当する電気信号を、作用したトルクを示す電気信号として出力することを特徴とするトルクセンサ。
  28. 請求項26または27に記載のトルクセンサにおいて、
    各外側変位電極を、外側環状変形体の内周面に形成された共通導電層によって構成するか、もしくは、各内側変位電極を、内側環状変形体の外周面に形成された共通導電層によって構成したことを特徴とするトルクセンサ。
  29. 請求項28に記載のトルクセンサにおいて、
    外側環状変形体を導電性の弾性材料によって構成し、外側環状変形体の内周面自身を共通導電層として用いるようにするか、もしくは、内側環状変形体を導電性の弾性材料によって構成し、内側環状変形体の外周面自身を共通導電層として用いるようにしたことを特徴とするトルクセンサ。
  30. 請求項1〜29のいずれかに記載のトルクセンサにおいて、
    左側接続部材が、左側支持体の右側面から右方に突出した凸状部によって構成され、右側接続部材が、右側支持体の左側面から左方に突出した凸状部によって構成され、各凸状部の頂面が環状変形体の各接続点に接合されていることを特徴とするトルクセンサ。
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