JP2012033039A - 材料の曲げ破断予測方法および装置、ならびにプログラムおよび記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属薄板材料のプレス成形や、自動車の衝突時における金属薄板材材料を用いた自動車部品の変形など、一様な応力場ではなく板厚方向にひずみ勾配を有する曲げ変形を受ける際に、曲げ破断の危険性を予測、評価することができる曲げ破断判定方法と、そのための装置、プログラム、および記録媒体を提供することを課題としている。
【解決手段】材料の引張曲げ破断限界強度を推定する第1のステップ(ステップS30)と、曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2のステップ(ステップS40)からなる曲げ変形部の材料の破断予測方法であり、曲げ内側半径riごとの張力と伸びの関係から引張曲げ破断限界強度qcr =g(ri)を求め(ステップS32)、シミュレーションあるいは実験から推定される曲げ変形部の引張張力qが曲げ破断限界強度qcrに達したときに、引張曲げにより破断すると判定する。
【選択図】図10

Description

本発明は、自動車の車体部品などを製造するために鋼板などの金属薄板材料をプレス加工する成形工程、あるいは自動車の衝突時におけるボディシートなどの薄板からなる車体部品の衝突変形過程など、材料が曲げ変形を受ける場合、とりわけ張力下での曲げ変形すなわち引張曲げを受ける場合において、金属薄板材料の曲げ破断の危険性を定量的に予測、評価する方法、装置、プログラム、および記録媒体に関するものである。
近年、衝突安全性と軽量化の要請から、自動車車体への高強度鋼板の適用が急速に進展しつつある。これら高強度鋼板によれば、板厚を増加させることなく衝突時の吸収エネルギーや強度を高めることができる。しかし、鋼板の高強度化にともなう延性の低下は、プレス成形や衝突変形時の破断の危険性を高めるため、有限要素法(FEM)による材料の破断予測と、その高精度化のニーズが高まってきている。
破断に対する余裕度は、一般に、板厚減少率や成形限界線図(FLD)を用いて判断される。FLDは、例えば図1に示すように、破断限界を与える最大主ひずみε1を最小主ひずみε2ごとに示した図であり、成形解析や衝突解析での破断評価に広く用いられている。実験によるFLDの測定方法としては、一般に、次のような手法が適用されている。すなわち、あらかじめ金属板の表面にエッチングなどによりサークル状あるいは格子状の模様を描いておき、液圧成形や剛体工具での張出し成形で破断させた後に、サークルや格子の変形量から破断限界ひずみを測定する。そして、様々な面内ひずみ比について金属板を比例負荷し、それぞれのひずみ比で測定された破断限界ひずみの値を主ひずみ軸上にプロットし、線で結ぶことによって破断限界線を得る。
一方、FLDの理論予測の手法としては、Hillの局部くびれモデルとSwiftの拡散くびれモデルの併用,Marciniak−Kuczynski法、Storen−Riceモデルなど、種々のものがある。一般に鋼などの金属材料の延性破壊は、局部くびれにより変形が局所化した位置で発生するのが通常であり、この局部くびれの発生は、その箇所でのいわゆる塑性不安定化現象の発生と捉えることができ、このように塑性不安定化により局部くびれが発生すれば、極めて短時間で破断に至ってしまう。そこで実用上、破断限界は局部くびれ発生限界と考えることが多い。このように破断限界予測は、通常は、塑性不安定性の枠組みで取り扱うことが多い。そして従来の破断予測手法としては、前述のようにして得た破断限界線と、有限要素法による数値シミュレーションの結果から得られる各部位のひずみ状態とその位置との関係を比較することによって破断の危険性を評価し、変形過程のひずみがこの限界ひずみに達したときに破断する、あるいはその危険性が高い、と判断するのが一般的である。
Hosford, W.F. and Caddell, R.M.:Metal Forming (2nd ed.), (1993), Prentice0Hall. p.309−p.326
従来、実験や理論予測から得られていた成形限界線図(FLD)は、一様な応力状態のもとで材料が分離するとき、もしくは局部くびれが生じるときを対象にしたものである。例えば一様応力状態の例として、図2に、板厚h0の薄板について、その板面と平行な方向に引張りを付与した平面応力状態で局部くびれが発生したときの、引張り方向と平行な板断面の板厚方向ひずみ分布を示す。図2に示しているように、この場合は、板厚方向に歪が一様に分布する。一方、板に曲げ変形を与えた場合の板断面における板厚方向のひずみ分布の代表的な例を図3に模式的に示す。このような曲げ変形の場合は、曲げの外側では引張りが作用して減肉する一方、曲げの内側では圧縮が作用して増肉する傾向を示し、したがって曲げ方向と平行な板断面における歪は板厚方向に一様ではなく、曲げ外側から曲げ内側に向かって大きなひずみ勾配が存在する。そのため、曲げ外側が一様分布応力状態における破断条件を満足するに至っても、曲げ内側では未だその条件に達していないため、曲げ内側による支持効果が働き、板厚方向全体としては塑性不安定状態とはならず、直ちには材料の破断に至らないのが通常である。このように曲げによる破断は、単軸引張りや張出し、深絞りのような一様応力場での局所くびれ発生、塑性不安定化による破断とは異なり、そのため一様応力場を想定した従来の破断予測手法は、曲げ変形による破断の予測にそのまま適用することができないか、または仮に適用したとしても、予測結果が実際と大幅に食い違ってしまうのが実情である。
前述のように、曲げ変形の如く板厚方向にひずみ勾配が存在する場合については、塑性不安定化およびそれによる破断の発生条件について未だ十分な解明がなされておらず、そのため、曲げ変形を受けるプレス成形加工の成形過程における材料の破断や、曲げ変形を主体とする自動車の衝突変形過程での材料の破断について、従来は有効かつ確実な予測手法が確立されていなかったのである。
さらに、自動車部品、例えばボデイシートやパネルのプレス加工においては、単なる曲げではなく、板の両側や外周部分が拘束されて引張りを受けた状態での曲げ、すなわちいわゆる引張曲げが加わることが多く、また自動車部品の衝突変形過程でも、周囲が拘束された状態で曲げ変形することが多く、したがってこの場合も引張曲げ変形と考えられるが、このような引張り曲げ変形による破断については、従来は、まったくその予測手法が確立していなかったのが実情である。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、金属薄板材料のプレス成形や、自動車の衝突時における金属薄板材材料を用いた自動車部品の変形など、一様な応力場ではなく板厚方向にひずみ勾配を有する曲げ変形を受ける際に、曲げ破断の危険性を予測、評価することができる曲げ破断判定方法と、そのための装置、プログラム、および記録媒体を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下に示すような本発明の諸様態に想到した。
すなわち本発明の基本的な態様(第1の態様)は、金属材料からなる薄板の曲げ変形過程について、材料の曲げ破断限界強度を推定する第1のステップと、曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2のステップとを含むことを特徴とする材料の曲げ破断予測方法にある。
また第2の態様は、前記第1の態様において、前記曲げ変形過程が、引張曲げ変形であり、前記第1のステップにおいて曲げ破断限界強度として引張曲げ破断強度を推定することを特徴とする曲げ破断予測方法にある。
さらに第3の態様は、前記第1の態様において、前記薄板の曲げ変形過程として、薄板をプレス加工するプレス成形工程における変形過程、もしくは自動車の車体部品の衝突時の変形過程を対象としていることを特徴とする曲げ破断予測方法にある。
そして第4の態様は、前記第1の態様において、曲げ変形過程での材料の変形状態を数値解析により評価し、それにより得られる曲げ内側半径riにおける曲げ変形部の引張張力qが材料固有の曲げ破断限界強度qcrに達して、
となったときに曲げにより破断すると判定することを特徴とする材料の曲げ破断予測方法にある。
また第5の態様は、前記第1の態様において、曲げ変形過程での材料の変形状態を実験により評価し、それにより得られる曲げ内側半径riと曲げ部の表裏面の塑性ひずみから計算した引張張力qが材料固有の曲げ破断限界強度qcrに達して、
となったときに曲げにより破断すると判定することを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
更に第6の態様は、前記第1の態様において、材料の曲げ破断限界強度を推定する際に、曲げ内側半径riごとの張力と伸びの関係から張力の最大値を求め、これを曲げ破断限界強度qcr =g(ri )とすることを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
また第7の態様は、前記第6の態様において、材料の曲げ破断限界強度qcrを求める場合に、曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係、および塑性不安定条件として次の〔3〕式の条件、
を用いることを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
また第8の態様は、前記第7の態様において、曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係を、下記の〔4〕式により求めることを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
但し、〔4〕式中のcとnは、相当応力と相当塑性ひずみの関係をn乗硬化則で近似したときの材料固有のパラメータ、ri は曲げ内側半径、ro は曲げ外側半径、tは変形前の板厚、tは変形後の板厚、Rは円周方向のひずみが零となる中立面の半径であり、それぞれは次の〔5〕式、〔6〕式、および〔7〕式の関係にある。
さらに第9の態様は、前記第7の態様において、曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係を求める場合に、成形高さを変化させたV曲げ試験を行い、実測したポンチ荷重と曲げ部の板厚から曲げ部に作用する張力と伸びの関係を求めることを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
また第10の態様は、前記第1、第4、第6〜第9の態様のうちのいずれか1の態様において、数値解析により曲げ破断を評価する際に、解析から得られる曲げ部の表裏面弾塑性ひずみの差と板厚から曲げ内側半径riを計算することを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
そしてまた第11の態様は、前記第1、第4、第6〜第10のうちのいずれか1の態様において、数値解析の手段として、有限要素法を用いることを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
さらに第12の態様は、前記第11の態様において、数値解析の手段として、有限要素法のうちの動的陽解法を用いる場合に、数値解析から得られる表裏面の塑性ひずみから曲げ部に作用する張力を算出したものを用いて曲げ破断限界強度と比較することを特徴とする曲げ破断予測方法である。
また第13の態様は、前記第1、第4、第6〜第12の態様のうちのいずれか1の態様において、材料の変形応力の速度依存性を考慮した数値解析を用いて曲げ破断を評価する場合に、数値解析から得られる表裏面の塑性ひずみから基準ひずみ速度での曲げ部に作用する張力を求め、基準ひずみ速度での曲げ破断限界強度と比較することを特徴とする材料の曲げ破断予測方法である。
さらに第14の態様は、金属材料からなる薄板を用いた自動車の車体部品をプレス加工する成形工程あるいは自動車の車体部品の衝突変形過程において、引張曲げの曲げ破断限界強度を推定する第1の手段と、曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2の手段とを有することを特徴とする、材料の曲げ変形部破断評価装置である。
また第15の態様は、コンピュータに、前記第1〜第13の態様のうちのいずれか1の態様の曲げ破断予測方法の各手順を実行させるように構成されたプログラムである。
さらに第16の態様は、前記第15の態様に記載のプログラムを記録した、コンピュータが読取り可能な記録媒体である。
本発明によれば、曲げ変形、とりわけ引張曲げ変形を伴う金属薄板材料のプレス成形時や、自動車などの衝突時における薄板部品の破断の危険性を、高い精度で定量的に評価することができ、そのため例えばボディシートなどの自動車部品用の薄板材料の開発、設計に本発明を適用すれば、材料・工法・構造を同時に考慮した自動車車体の効率的・高精度な開発が可能となる。
従来技術の説明に用いた成形限界線図(FLD)である。 発明が解決しようとする課題の説明に用いた、平面応力状態での板厚方向ひずみ分布を示す模式図である。 曲げ変形における曲げ部の板厚方向ひずみ勾配を示す模式図である。 引張曲げ試験に用いた工具を示す略解図である。 引張曲げ試験による板厚残存率と成形高さの関係を示す特性図である。 引張曲げ試験による板厚残存率と張力の関係を示す特性図である。 有限要素法による引張り曲げ破断限界強度の導出に用いた、曲げ変形部の模式図である。 引張り曲げ変形部における張力とひずみの関係、および張力を増加させた場合の中立面の遷移状況を示す特性図である。 引張曲げ変形における張力の最大値と曲げ半径の関係を示す特性図である。 本発明の破断予測方法を実施するためのシステムのフローチャート図である。 本発明の実施例において、V曲げによる成形シミュレーション結果として、本発明法を用いて求めた曲げ半径と破断危険度の等値線を示す斜視図である。 本発明の実施例において、V曲げによる成形シミュレーション結果として、本発明法を用いて求めた曲げ半径に対する破断限界高さの関係を、従来法による場合および実際の実験結果と比較して示す特性図である。 本発明の破断予測方法を実施するためのパーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
以下,図面を用いて本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明の破断予測方法の基本アイデアについて、引張曲げ試験結果に基づいて説明する。
引張曲げ試験の供試材として、板厚0.7mmのIF鋼板からなり、特性値が、降伏応力145Mpa、引張強さ304Mpa、全伸び50%、ランクフォード値(r値)1.8の板を用い、試験片幅w0を50mmとした。引張曲げ試験装置としては、図4に概略的に示すように、供試材1の長さ方向の両側をブランクホルダ2とダイ3との間に挟み、かつ曲げ部に対する材料の流入を抑止するべく、供試材の両側部分がビード5により拘束されるようにした。パンチ4としては、先端半径Rが0.5, 1.0, 2.0, 3.0mmの4種類のものを用いて、種々のパンチ荷重Qで、V曲げによる引張曲げ試験を実施し、引張曲げ変形過程における板厚と成形高さを調べた。
上記の引張曲げ試験による成形高さと板厚との関係を、各パンチ先端半径Rについて図5に示す。なお図5において、板厚としては、成形前の元板厚みt0に対する成形後厚みtの比、すなわち板厚残存率t/t0を示した。この結果から、
(1) 成形高さhの増加にともない板厚tは減少し、板厚減少率(1−t/t0)が25%を超えるとネッキングが生じること、
(2) 成形高さhが同じなら、パンチ先端半径Rが小さいほど、すなわち曲げ内側半径が小さいほど、板厚は減少すること、
が明らかになった。これは、力学的観点から、曲げ半径の減少に伴って、曲げ内側の圧縮領域と曲げ外側の引張領域との境界に相当する中立面が、曲げ内側へ移動することにより板厚が減少することによる、と推察される。
また前記引張曲げ試験による結果から、パンチ荷重Qにより計算した張力q(=Q/ w0t0)と板厚の関係を、各パンチ先端半径Rについて図6に示す。なお図6においても板厚をその残存率t/t0で示しており、また張力q(=Q/ w0t0)は、材料の引張り強度TSに対する比で示している。この図6において、張力qが最大になる点が引張曲げの塑性不安定点と考えることができ、その場合、qの最大値は引張曲げにおける破断耐力とみなせ、したがって図6から、曲げ半径が小さいほど破断耐力が低下することがわかる。
次に、単位幅(w0)当りのQの張力とMの曲げモーメントが作用している平面ひずみ変形下での引張曲げ破断耐力を計算する方法を考える(図7)。ここでは、
(1)曲げ部の変形は均等曲げとし、せん断変形は考慮せず(すなわち、τθr=0、rθr=0とみなす)、
(2)板幅方向の歪がないこと、すなわちεz=0の平面ひずみ変形、
(3) 体積一定則、
(4) von Misesの降伏関数、
(5) 相当応力σeqと相当塑性ひずみεeqの関係を一定とする等方硬化、
を仮定した。以下に、具体的な方法について説明する。
まず、平面ひずみを仮定すれば、体積一定則から半径方向のひずみεrと円周方向のひずみεθは、εr =−εθ、dεr=−dεθとなり、円周ひずみεθ=0となる中立面、すなわち曲げ内側の圧縮応力と曲げ外側の引張り応力の遷移位置となる中立面の半径をRとすれば、円周ひずみεθは次の〔8〕式で近似できる。
また、全ひずみ理論を仮定すれば、von Misesの相当応力σeqと相当塑性ひずみεeqは、それぞれ次の〔9〕式、〔10〕式で表わされる。
相当応力σeqと相当塑性ひずみεeqの関係をn乗硬化則で近似すれば、次の〔11〕式、
と表現できる。なおc、nは、n乗硬化則を適用する際の材料固有のパラメーターである。この〔11〕式と、前述の〔8〕式、〔9〕式から、次の〔12〕式が導かれる。
また、微小要素の力の釣合い条件は次の〔13〕式で与えられ、
これに〔12〕式を代入して解く。ここで、εθ=0の中立面より曲げ外側のR<rの引張り領域では、σθ−σr >0、中立面より曲げ内側のri <rの圧縮領域では、σθ−σr <0であること、さらに境界条件として、r=r でσr=0、r=ri で、σr =−p=−Q/riであることを考慮すれば、次の〔14〕式、〔15〕式、〔16〕式が得られる。
ここで、各式における符号は、中立面より曲げ外側のR<ro の引張り領域では+(プラス)、中立面より曲げ内側のri <rの圧縮領域では−(マイナス)としている。
さらに〔16〕式において、
を考慮すれば、張力qと伸びεと の関係式が、次の〔21〕式によって得られる。
図8の右側には、実験に供した供試材(板厚0.7mmのIF鋼、降伏応力145MPa、引張強さ304MPa、全伸び50%、r値1.8)について、種々の曲げ半径rで計算した張力qと伸びεとの関係曲線を示し、また図8の左側には、張力qの上昇に伴う中立面の遷移状況を模式的に示す。図8に示す結果から、
(1)張力qは、曲げ半径rが小さくなると急減する、
(2)引張初期には、張力qと伸びεの関係が直線硬化を示し、曲げ半径が小さいほどこの直線硬化領域が拡大する、
(3)直線硬化から曲線硬化への遷移点は、張力により曲げの中立面が板厚(t)内から板厚外へシフトする点に相当する、
など、図6の実験結果を良く再現することが明らかになった。
ここで、図8で張力qが最大になる点は、平面ひずみ変形と仮定した引張曲げの塑性不安定点と考えることができ、このときの張力qの最大値は、平面ひずみ変形の引張曲げ強さ、曲げ破断耐力とみなせる。この張力qの最大値と曲げ半径riとの関係を図9に示す。図9から明らかなように、曲げ半径riの減少に伴って張力qの最大値、したがって引張曲げ破断耐力(引張曲げ破断限界強度qcr)は低下しており、このような計算結果は、図6の実験結果を良く再現していることがわかる。このことから、曲げ半径riと引張曲げ破断限界強度qcrとの関係を破断判定基準として用いれば、引張曲げ破断の危険性を定量的に評価できることが明らかとなった。
したがって本発明の曲げ変形部の破断予測方法は、基本的には、第1の態様として記載したように、金属材料からなる薄板の曲げ変形過程において、材料の曲げ破断限界強度を推定する第1のステップと、曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2のステップとを含むものであって、特に予測対象とするプレス成形工程における曲げ変形、あるいは自動車部品の衝突時の変形が、引張曲げが主体となるところから、この種の引張曲げ変形過程における破断予測に有効である。
そして、上述のような破断予測によって具体的に破断の危険性を判定するにあたっては、曲げ変形、特に引張曲げ変形過程での材料の変形状態を、例えば第4の態様として記載しているように、数値解析により評価し、それにより得られる曲げ内側半径riにおける曲げ変形部の引張張力qが材料固有の曲げ破断限界強度qcrに達して、
となったときに引張曲げにより破断すると判定すればよい。
あるいはまた、第5の態様として記載しているように、曲げ変形過程での材料の変形状態を実験により評価し、それにより得られる曲げ内側半径riと曲げ部の表裏面の塑性ひずみから計算した引張張力qが材料固有の曲げ破断限界強度qcrに達して、
となったときに引張曲げにより破断すると判定することもできる。ここで、実験による曲げ部の板の表裏面の塑性ひずみの測定は、例えば成形限界線図(FLD)の実験による作成の場合と同様に、板の表裏面にあらかじめエッチングなどによりサークル状あるいは格子状の模様を描いておき、その曲げ変形後のサークルの形状から表裏面の塑性ひずみを得ることができる。
また一方、前記第1のステップとして、材料の曲げ破断限界強度を推定するに当たっては、第6の態様として記載しているように、、曲げ内側半径riごとの張力と伸びの関係から張力の最大値を求め、これを引張曲げ破断限界強度qcr =g(ri )とすればよい。ここで、上述のように材料の引張曲げ破断限界強度qcrを求める際には、第7の態様として記載しているように、曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係、および塑性不安定条件として〔24〕式
を用いればよい。この塑性不安定条件とした[24]式は、既に説明した図8のひずみー張力曲線における傾きが、近似的に零になるとき(すなわち図8で張力qが最大となる点)を塑性不安定状態(塑性不安定点)とみなしていることを意味している。
上述のような曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係を数値解析によって求める場合は、第8の態様として記載したように、解析から得られる曲げ部の表裏面塑性ひずみの差と板厚から曲げ内側半径riを計算すればよい。具体的には、曲げ外側の最大主ひずみをεo 、曲げ内側の最大主ひずみをεi 、曲げ部の板厚をtとすれば、曲げ内側半径riは次の〔25〕式、
によって与えられるから、この〔25〕式により曲げ内側半径riを求めることができる。
数値解析の手法としては、図7に模式的に示したように、曲げ部を多数の微小要素に分割して、第11の態様として記載しているように、有限要素法(FEM)を適用することが有効であるが、特に本願発明で対象としているような、自動車のボディシートやパネルなどの大きな成形体をプレス成形する際の曲げ変形、あるいはこれらの衝突時の変形のごとく、大規模な要素からなる構造体の大変形を解析するためには、有限要素法のうちでも、特に動的陽解法が適している。
但し、数値シミュレーションに動的陽解法を用いる場合、得られる応力は時間ステップ内での繰り返し計算を行わず微小時間刻みで応力波の伝播を解いていくため、大きく振動しながら増加する。このように大きく増加しながら増加する応力(さらには応力から計算される張力)と破断クライテリアの関係を比較して破断判定をする方法では、十分な精度で予測することが困難となるという問題がある。そこで、このような応力(応力から計算される張力)の振動による問題を回避するため、数値解析の手段として、有限要素法のうちの動的陽解法を用いる場合には、第10の態様として記載したように、数値解析から得られる表裏面の塑性ひずみから曲げ部に作用する張力を算出したものを用いて曲げ破断限界強度と比較することが望ましい。
さらに、自動車部品などの衝突時の変形による破断を予測するにあたって、衝突変形過程のシミュレーションとしては、材料の変形応力の速度依存性を考慮した数値解析を行うことが望ましい。すなわち、自動車の衝突変形時にボディシ−トの鋼板が受けるひずみ速度は10s-1に達することがあり、これは一般の引張試験と比べ、105〜106倍の速度である。そのため面心立方金属に比べてひずみ速度依存性が強い体心立方金属である鋼は、変形速度とともに強度が顕著に上昇する。そこで衝突解析では,このひずみ速度依存性を考慮した近似モデルを用いて計算をすることが望ましい。ただし、衝突解析から得られる応力(張力)を用いて破断を評価する場合、ひずみ速度に応じて無数の動的な破断クライテリアが必要となり、そのため実際上は、破断を高精度で予測、評価することは困難となる。そこで、衝突変形の場合のごとく、材料の変形応力の速度依存性を考慮した数値解析を用いて曲げ破断を評価する場合には、請求項13で規定しているように、数値解析から得られる表裏面の塑性ひずみから基準ひずみ速度での曲げ部に作用する張力を求め、基準ひずみ速度での曲げ破断限界強度と比較することが望ましい。このように、衝突解析から得られる塑性ひずみを基準ひずみ速度(例えば,準静的なひずみ速度)で応力(張力)に変換し,得られた張力と単一の基準ひずみ速度(一般的な引張試験でのひずみ速度)での破断クライテリアと比較すれば、衝突変形における曲げ破断の予測精度を高めることが可能となる。以下に、そのための具体的な方法を説明する。なお、ここでは板面内の直交する2方向をx1およびx2とし、板面法線方向をx3方向と定義する。
衝突解析では、鋼板の加工硬化とひずみ速度依存性は、それぞれSwift則とCowper-Symonds則を用いた近似モデルとして、次の〔26〕を用いる。
ここで、
は、それぞれ、相当応力、相当塑性ひずみ速度、相当塑性ひずみであり、具体的には、用いる降伏関数に応じて、それぞれ応力テンソルの各成分、塑性ひずみ速度テンソルの各成分、相当塑性ひずみ速度の時間積分から計算される。またK、εo、nは、準静的引張試験結果をD、pは種々の速度での引張試験結果を近似するように同定された材料パラメータである。この近似モデルを用いて準静的なひずみ速度での相当応力を得るには、〔26〕式中の相当塑性ひずみ速度
に10-3 s-1を代入すればよい。
続いて、衝突解析から得られる塑性ひずみ速度テンソルDpを基準ひずみ速度で応力テンソルに変換し、得られた応力と単一の基準ひずみ速度での破断クライテリアと比較する方法について説明する。例えば、降伏曲面に、von Misesの降伏関数を用いれば、相当塑性ひずみεeqは、
として表すことができ,相当応力σeqは準静的な加工硬化則による等方硬化として、式〔26〕、式〔29〕から、次の〔30〕により求めることができる。
続いて応力成分σijは、降伏曲面の等方硬化と垂直則、平面応力を仮定して次の式で与えられる。
これらにより板厚方向積分点ごとの最大主応力σ1を求めることができ、さらに、これらの平均値として引張張力qが求められる。
次に本発明の曲げ破断予測方法を実際に適用するためのシステムフローについて、図10を参照して説明する。
先ず、引張曲げ変形を想定したプレス加工の成形シミュレーションもしくは自動車部品の衝突変形シミュレーション(ステップS10)から得られる変形途中の微小要素ごとの板厚、表裏面の最大主ひずみから、中立面の曲げ半径を求める(ステップS20)。
一方、ステップS30は、前述の材料の曲げ破断限界強度を推定するための第1のステップに相当し、この第1のステップS30内では、先ずステップ31において、材料パラメータとして、材料の相当応力σeqと相当塑性ひずみεeqの関係式σeq=f(εeq)を求める。ここで、加工硬化の関数f(εeq)としては、例えばεeqの高次多項式やその他の形式を用いてもよいが、近似の精度が高く、成形や衝突シミュレーションで良く用いられるn乗硬化則や、Swiftモデルによるσeq =K(εeqの式を用いるのが好ましい。またこのステップ31においては、次ステップ(S32)でHillの2次降伏関数を用いる場合には、材料パラメータとして、後述するように塑性異方性パラメータrm 値をも求めておく。
ステップ32では、破断予測のクライテリアとして、〔16〕〜〔20〕式から曲げ内側半径riごとの引張曲げ破断限界強度qcr =g(ri )を求める。ここで、面内等方性を仮定したHillの2次降伏関数を用いれば、〔16〕式は、
として得られる。Hillの2次降伏関数を用いる場合には、塑性異方性パラメータrm 値が必要であり、この塑性異方性パラメータrm 値は、具体的には圧延方向から0゜、45゜、90゜の各方向のランクフォード値ro、45、r90から、次の〔34〕式、
により得られる。なお、必要に応じて高度な異方性降伏関数を用いても良いが、パラメータの数が多く、処理の際に板面内の方向まで考慮する必要が生じるため、煩雑な割には精度の向上代が十分ではなく、したがって実用上は、面内等方性を仮定した降伏関数で十分である。
続いてステップS40は、前述の曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2のステップに相当するものであり、この第2のステップS40内においては、先ずステップ41において、前述の成形あるいは衝突シミュレーション(ステップS10)の結果からステップ20により得られた微小要素ごとの塑性ひずみテンソルに基づいて、引張方向の張力qを求める。具体的には、(1)体積一定則、(2)von Misesの降伏関数、(3)等方硬化、(4)降伏関数と相当塑性ひずみ増分の垂直則、(5)平面応力を仮定することで要素座標系の最大主応力σと最小主応力σを求めることができ、引張方向の張力qは、この最大主応力を公称応力に換算したうえで板厚方向積分点の平均として計算できる。
次いで、ステップS41により得られた曲げ内側半径riにおける曲げ変形部の引張張力qと、ステップS32により得られた曲げ破断限界強度qcrの大きさ(破断クライテリア)を、ステップS42において比較することによって、引張曲げによる破断の危険性を判定する。すなわち、q≧qcrとなった場合に、その曲げ部位(微小要素)について、破断の危険性ありと判定する。そして各微小要素についてこのような破断危険性の判定を行い、全要素について判定が完了すれば(ステップS42)、破断危険部位の表示を行う(ステップS43)。この破断危険部位表示は、例えば各部位のq/qcrの値をコンター表示すればよい。
以下に本発明の実施例を説明する。なおこの実施例は、本発明の曲げ破断予測方法の有効性を確認するためのものであって、この発明の技術的範囲を限定するものでないことはもちろんである。
先端ポンチ半径を0.5,1.0, 2.0, 3.0mmと変化させたV曲げのプレス成形シミュレーションに本発明の破断予測方法を適用し、本発明の有効性を検討した。供試材は、板厚0.7mmのIF鋼(降伏応力145Mpa、引張強さ304Mpa、全伸び50%、r値1.8)で試験片幅は50mmである。この素材を1mmサイズの微小有限要素に分割し、動的陽解法による有限要素法(FEM)を用いて、プレス成形シミュレーションを行った。
図11に、曲げ半径の計算結果および破断危険度(q/qcr)をコンター表示(等値線表示)した結果を示し、また図12には、破断高さ(成形限界高さ)hと曲げ半径rとの関係を示す。比較のため、従来の一様応力場での破断予測方法に倣い、成形限界線図(FLD)をクライテリアとしてFEMにより得られたひずみから破断を予測した場合の結果を、従来手法として図12中に併記する。また実際の実験によって破断に至ったときの成形高さと曲げ半径との関係をも図12中に併記する。この図12から明らかなように、従来手法による予測結果は、曲げ半径が小さくなるほど実験結果との乖離が大きくなる一方で、本発明の予測方法による予測結果は、実験結果に極めて近く、特に曲げ半径が小さい場合でも実験結果との乖離がちいさく、小R曲げの破断を精度良く予測することができることが確認された。
本発明による予測システムを構成する各機構および本発明による評価方法を構成する各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラムおよび当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、本発明の実施形態に含まれる。
具体的には、このプログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、あるいは各種伝送媒体によりコンピュータに提供される。このプログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気テープ、不揮発性メモリカードなどを用いることができる。他方、このプログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN,インターネットなどのWAN、無線通信ネットワークなどであり、通信媒体とは、光ファイバなどの有線回線や無線回線などである。
また、本発明に含まれるプログラムとしては、供給されたプログラムをコンピュータが実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、そのプログラムがコンピュータにおいて稼動しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフトなどと共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全てあるいは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。
例えば、図13はパーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図13において、1200は、CPU1201を備えたパーソナルコンピュータ(PC)である。PC1200は、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶された、またはフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウエアを実行する。このPC1200は、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。PC1200のCPU1201、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより強度評価システムが実現される。また、1203はRAMで、CPU1201の主メモリ、ワークエリアなどとして機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)1209や図示しないデバイスなどからの指示入力を制御する。1206はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ(CRT)1210の表示を制御する。1207はディスクコントローラ(DKC)である。DKC1207は、ブートプログラム、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラムなどを記憶するハードディスク(HD)1211およびフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。ここで、ブートプログラムとは、起動プログラム、すなわちパソコンのハードやソフトの実行を開始するプログラムである。1208はネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、あるいは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
S30 第1のステップ
S40 第2のステップ

Claims (16)

  1. 金属材料からなる薄板の曲げ変形過程について、材料の曲げ破断限界強度を推定する第1のステップと、曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2のステップとを含むことを特徴とする、材料の曲げ破断予測方法。
  2. 前記曲げ変形過程が、引張曲げ変形であり、前記第1のステップにおいて曲げ破断限界強度として引張曲げ破断強度を推定することを特徴とする、請求項1に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  3. 前記薄板の曲げ変形過程として、薄板をプレス加工するプレス成形工程における変形過程、もしくは自動車の車体部品の衝突時の変形過程を対象としていることを特徴とする、請求項1に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  4. 曲げ変形過程での材料の変形状態を数値解析により評価し、それにより得られる曲げ内側半径riにおける曲げ変形部の引張張力qが材料固有の曲げ破断限界強度qcrに達して、
    となったときに曲げにより破断すると判定することを特徴とする、請求項1に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  5. 曲げ変形過程での材料の変形状態を実験により評価し、それにより得られる曲げ内側半径riと曲げ部の表裏面の塑性ひずみから計算した引張張力qが材料固有の曲げ破断限界強度qcrに達して、
    となったときに曲げにより破断すると判定することを特徴とする、請求項1に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  6. 材料の曲げ破断限界強度を推定する際に、曲げ内側半径riごとの張力と伸びの関係から張力の最大値を求め、これを曲げ破断限界強度qcr =g(ri )とすることを特徴とする、請求項1に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  7. 材料の曲げ破断限界強度qcrを求める場合に、曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係および塑性不安定条件として、
    を用いることを特徴とする、請求項6に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  8. 曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係を、下記の〔4〕式により求めることを特徴とする、請求項7に記載の材料の曲げ破断予測方法。
    但し、〔4〕式中のcとnは、相当応力と相当塑性ひずみの関係をn乗硬化則で近似したときの材料固有のパラメータ、ri は曲げ内側半径、ro は曲げ外側半径、tは変形前の板厚、tは変形後の板厚、Rは円周方向のひずみが零となる中立軸の半径であり、それぞれは次の〔5〕式、〔6〕式、および〔7〕式の関係にある。
  9. 曲げ部に作用する張力qと伸びεの関係を求める場合に、成形高さを変化させたV曲げ試験を行い、実測したポンチ荷重と曲げ部の板厚から曲げ部に作用する張力と伸びの関係から求めることを特徴とする、請求項7に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  10. 数値解析により曲げ破断を評価する際に、解析から得られる曲げ部の表裏面弾塑性ひずみの差と板厚から曲げ内側半径riを計算することを特徴とする、請求項1、請求項4のいずれかの請求項に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  11. 数値解析の手段として、有限要素法を用いることを特徴とする、請求項1、4、請求項6〜10のうちのいずれか1の請求項に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  12. 数値解析の手段として、有限要素法のうちの動的陽解法を用いる場合に、数値解析から得られる表裏面の塑性ひずみから曲げ部に作用する張力を算出したものを用いて曲げ破断限界強度と比較することを特徴とする、請求項11に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  13. 材料の変形応力の速度依存性を考慮した数値解析を用いて曲げ破断を評価する場合に、数値解析から得られる表裏面の塑性ひずみから基準ひずみ速度での曲げ部に作用する張力を求め、基準ひずみ速度での曲げ破断限界強度と比較することを特徴とする、請求項1、4、請求項6〜12のうちのいずれか1の請求項に記載の材料の曲げ破断予測方法。
  14. 金属材料からなる薄板を用いた自動車の車体部品をプレス加工する成形工程あるいは自動車の車体部品の衝突変形過程において、引張曲げの曲げ破断限界強度を推定する第1の手段と、曲げ加工部に作用する張力と前記曲げ破断限界強度から材料の曲げ破断の危険性を判定する第2の手段とを有することを特徴とする、材料の曲げ変形部破断評価装置。
  15. コンピュータに、請求項1〜13のいずれか1の請求項に記載の曲げ破断予測方法の各手順を実行させるように構成したプログラム。
  16. 請求項15に記載のプログラムを記録した、コンピュータが読取り可能な記録媒体。
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