JP4621217B2 - 破断予測方法及び装置、並びにプログラム及び記録媒体 - Google Patents

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本発明は、金属材料からなる薄板の破断予測方法及び装置、並びにプログラム及び記録媒体に関し、特にプレス成形を受けた自動車部材の衝突過程での材料破断の破断判定基準として好適である。
破断に対する余裕度は、一般に、板厚減少率や成形限界線図(FLD)を用いて判断される。FLDは、破断限界を与える最大主歪みを最小主歪み毎に示した図であり、衝突解析で用いることもできる。実験によるFLDの測定方法は、一般に、あらかじめ金属板の表面にエッチングなどによりサークル状あるいは格子状の模様を描いておき、液圧成形や剛体工具での張出し成形で破断させた後に、サークルの変形量から破断限界歪みを測定する。破断限界線は、様々な面内歪み比について金属板を比例負荷し、それぞれの歪み比での破断限界歪みを主歪み軸上にプロットして線で結ぶことで得られる。
図1に実験により測定した破断限界線を示す。
FLD予測手法としては、Hillの局部くびれモデルとSwiftの拡散くびれモデルの併用、Marciniak-Kuczynski法、
Figure 0004621217
などがあり、Keelerの経験則で板厚の影響を補正することで得られる。従来の破断評価方法は、これら破断限界線と塑性変形過程の有限要素法によるシミュレーションの結果から得られる各部位の歪み状態との位置関係を比較することで評価し、変形過程の歪みがこの限界歪みに達したときに破断、もしくは、その危険性が高いと判断する。
2004、 塑性と加工 45、 123 2004、 CAMP-ISIJ 17、 1063
図2の破断限界線に示されるように、破断限界線は歪み経路に依存して大きく変化することが知られている。例えば、(1)変形経路の変化がなく線形の経路変化で負荷したときの破断限界線に比べ、(2)単軸引張り予歪み後に等2軸引張り変形を施す経路変化の場合、破断限界線は大きく増加し、(3)等2軸引張り予歪み後に単軸引張りを施す経路変化や、(4)等2軸引張り予歪み後に平面歪み引張り変形を施す経路変化の場合、破断限界線は減少することが多くの実験や数値解析から明らかになっている。
プレス成形あるいはプレス成形での予変形を受けた自動車車体部品の衝突変形過程では変形経路が大きく変化することが多く、実験から得られる破断限界線を用いて破断を評価する場合、変形経路に応じて無数の限界線を準備せざるを得ない。従って、実用上、破断の評価は比例負荷経路に対する破断限界線を用いることとなり、高い予測精度は期待できない。
更に、伸びフランジ破断は材料端部の周方向の伸び歪みが材料固有の限界値に達したときに発生する。材料端部の応力状態は単軸引張りに近いが、材料端部から内側に向かって急激な応力と歪みの勾配が存在するため、破断限界は単軸引張試験で得られる破断限界歪みや応力と比べて大きく異なる値を示す。即ち、伸びフランジ破断の場合、材料端部が塑性不安定条件に達し局部くびれ(板厚くびれ)が生じても材料、端部を除いた内側の材料ではまだ塑性不安定条件を満たしていないので、内側の材料に拘束され、全体として塑性不安定条件とはなり得ず、板厚くびれの進展が遅延する。
更には、伸びフランジ破断では、材料端部の周方向に多数の板厚くびれが生じるため、破断が遅延する。例えば、材料端部の一箇所に板厚くびれが生じたとすると、板厚くびれ近傍の周方向の応力は緩和される。しかしながら、板厚くびれから遠ざかるにつれ、この応力緩和の影響は少なくなり、更に変形が進行すると、最初の板厚くびれから離れたところに次の板厚くびれが生じる。更に変形が進展すると、新たなくびれが生じる。この過程を繰り返すことで材料端部の周方向に多数の板厚くびれが生じるとともに、板厚くびれが成長する。ここで、それ以前に生じた板厚くびれが成長して破断に至らないのは、歪みの少ない材料に拘束され、材料端部周方向全体で塑性不安定を満たさないからである。従って、伸びフランジ破断では、材料端部の周方向一箇所に板厚くびれが生じても破断に至らずに遅延する。
このように、伸びフランジ破断の予測方法は、材料端部から内側に向かう歪み勾配の存在と、周方向一箇所が局部くびれを満たしても破断しない遅延効果により容易ではなく、これまでに提案されていない。
本発明は上述した従来技術の問題を解決することを技術課題としており、1つ以上の変形経路変化を含む過程における薄板の破断発生の有無を予測するに際して、破断限界線を容易且つ効率的に求め、高い予測精度をもって破断発生の有無を予測することを可能とし、プレス成形や衝突時の破断の危険性を定量的に評価することができ、材料・工法・構造を同時に考慮した自動車車体の効率的・高精度な開発を実現させる破断予測方法及び装置、並びにプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の破断予測方法は、金属材料からなる薄板の破断限界を評価する破断予測方法であって、1つ以上の変形経路変化に応じた塑性変形過程における前記薄板の破断発生を予測するにするに際して、歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換する手順と、得られた前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を予測する手順とを含む。
本発明の破断予測装置は、金属材料からなる薄板の破断限界を評価する破断予測装置であって、1つ以上の変形経路変化に応じた塑性変形過程における前記薄板の破断発生を予測するに際して、歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換する変換手段と、得られた前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を予測する予測手段とを含む。
更に、本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。伸びフランジ破断限界と良い相関がある穴広げ率を破断のクライテリアに用いること、更に、歪み空間ではなく変形履歴の影響を考慮することができる応力空間上で破断判定をすることで、高い精度で予測可能なことを明らかにした。
本発明によれば、1つ以上の変形経路変化を含む過程における薄板の破断発生の有無を予測するに際して、破断限界線を容易且つ効率的に求め、高い予測精度をもって破断発生の有無を予測することが可能となる。これにより、プレス成形や衝突時の破断の危険性を定量的に評価することができ、材料・工法・構造を同時に考慮した自動車車体の効率的・高精度な開発が実現する。
成形性評価時の破断に対する余裕度は、一般に、板厚減少率やFLDを用いて判断され、これは衝突解析での破断予測にも用いることができる。このうち、FLDは変形経路に依存し大きく変化することが知られており、プレス成形やプレス成形での予変形を受けた自動車車体部品の衝突のように、変形経路が大きく変化するような塑性変形過程の破断評価方法としては高い予測精度が期待できない。
しかしながら、最近、桑原ら(非特許文献1,2を参照)は、アルミ押し出し材や軟鋼板を対象に、応力空間内で表記した破断限界線を用いると変形の経路によらず、破断限界をほぼ一義的に表現できることを実験と解析で検証している。これら知見は、アルミや軟鋼板に関するものであり、引張強さにして440MPa級以上の鋼板では明らかにされておらず、現在のように高強度鋼板を多用した自動車車体の開発には用いることはできない。
そこで本発明者らは、以下の事項に初めて想到した。
(1) 440MPa以上の引張強さの高強度鋼板について詳細な実験を行い、応力空間内で表記した破断限界線を用いると変形の経路によらず、単一の破断限界線で表現できること。(2) 応力空間に表記した破断限界線を用いることで、プレス成形やプレス成形での予変形を受けた自動車車体部品の衝突のように、変形経路が大きく変化するような塑性変形過程の破断評価を高い精度で予測できること。
以下、本発明の概括的構成について説明する。
(実施例1)
先ず、応力空間の破断限界線の取得方法について説明する。以下の表1に示す鋼板を対象に、(1)比例負荷経路での破断限界歪み、(2)変形経路変化下での破断限界歪みを測定した。ここで、tは薄板の厚み、YPは降伏強さ、TSは引張り強さ、U.Elは均一伸び、Elは全伸び、rmは平均r値(ランクフォード値を示し、圧延方向のr値をr0,圧延方向に対し45゜方向のr値をr45,圧延方向に対し90゜方向のr値をr90とした場合、rm=(r0+2r45+r90)/4で表される。)、K,ε0,nは単軸引張試験から得られる応力−歪み曲線を
Figure 0004621217
の関数式にフィッティングしたときに得られる材料パラメータを表す。
比例負荷経路での破断限界歪みは、スクライブドサークル径を6mmとし、単軸引張、中島法(テフロン(登録商標)シートを用いた球頭張出し)、液圧バルジ試験での破断歪みを測定した。一方、変形経路変化下での破断限界線は、1次変形として圧延方向に10%の引張を施した後、1次引張方向より90゜の方向が最大主応力となるよう単軸引張、中島法により破断歪みを測定した。
Figure 0004621217
歪みから応力へは、(1)体積一定則、(2)Misesの降伏関数、(3)加工硬化則による等方硬化、(4)垂直則、(5)平面応力を仮定することで換算することができる。以下に、歪み空間の破断限界線を応力空間に変換する具体的な方法について説明する。
歪み空間のFLDは破断限界を与える最大主歪みε11を最小主歪みε22ごとに示した図であり、板厚歪みε33はこれらと体積一定則
Figure 0004621217
より求めることができる。通常、成形解析や衝突解析で用いられている構成則では、変形の経路によらず相当塑性応力σeqは相当塑性歪みεeqの一義的関数と仮定する等方硬化則を用いており、Swiftの加工硬化則を用いれば、
Figure 0004621217
で表現できる。加工硬化の関数としては例えば、相当塑性歪みの高次多項式やその他の形式を用いてもよいが、近似の精度が高く、薄鋼板の数値シミュレーションでよく用いられるSwiftの式を用いるのが好ましい。
相当塑性歪みεeqは、例えば降伏曲面にMisesの降伏関数を用いれば、
Figure 0004621217
として表すことができ、また面内等方性を仮定したHillの2次降伏関数を用いれば、
Figure 0004621217
により得られる。Hillの2次降伏関数を用いる場合には塑性異方性パラメータr値が必要であり、具体的には圧延方向から0゜、45゜、90゜の方向のr値(r0,r45,r90)から、r=(r0+2r45+r90)/4により得られる。
なお、必要に応じて高度な異方性降伏関数を用いても良いが、パラメータが多く、処理の際に板面内の方向まで考慮する必要が生じるため、煩雑な割には精度の向上代が十分ではなく、実用上は面内等方性を仮定した降伏関数で十分である。いずれの降伏関数でも、相当塑性歪み増分dεeqを歪み経路で積分した相当塑性歪みεeqと加工硬化則を用いることで、変形経路変化を考慮した相当塑性応力σeqを求めることができる。
次に、偏差応力成分σij 'は、図3に示す降伏曲面の等方硬化と垂直則
Figure 0004621217
により得られる。最後に平面応力(σ33=0)を仮定することで応力成分σijは、
Figure 0004621217
より得られる。
なお、図4に示すように、歪みの主軸と圧延方向が一致しない場合は下記に示す座標変換操作が必要である。図中、xiは材料座標系の座標軸であるx1軸//RD、x2軸//TD、x3軸//NDを表し、Xiはn次変形での歪みの主軸を表す。
Figure 0004621217
座標変換テンソルをRとすると、(1)実験座標系で計測した歪み成分εijは座標変換則により材料座標系を基準座標とした歪み成分
Figure 0004621217
へ変換できる。次に、(2)材料座標系を基準座標系としてモデル化されている降伏関数と垂直則から
Figure 0004621217
を求め、最後に、(3)座標変換則を用いて実験座標系を基準座標とした応力成分
Figure 0004621217
を求めることができる。
図5に、実験により測定したFLDと、これを前記した方法で最大主応力と最小主応力の応力空間に変換した破断限界線を示す。
歪み空間のFLDは変形経路に依存し破断限界線は大きく変化するが、応力空間に表記した破断限界線は単一の破断限界線となる。
更に本発明者らは、以下の表2に示す440MPa〜980MPa級の高強度鋼板について実験を行い調べた結果、材料の引張強さや強化機構によらず、幅広い範囲で単一の破断限界線となることを明らかにした。この応力空間に表記した破断限界線を用いることで、プレス成形やプレス成形での予変形を受けた自動車車体部品の衝突のように、変形経路が大きく変化するような塑性変形過程の破断評価を高い精度で予測することができる。
なお、当然のことながら、中島法以外の実験方法で測定したFLDを応力空間に変換した破断限界線を用いても良いし、Hillの局部くびれモデルやSwiftの拡散くびれモデル、Marciniak-Kuczynski法、Storen-Riceモデルなどの理論FLDを応力空間に変換した破断限界線を破断予測に用いても良い。
Figure 0004621217
次に、破断限界の評価方法について説明する。
有限要素法(FEM)による数値シミュレーションで材料の破断を予測するには、以下に
示す技術的な課題がある。
(1)実験により測定したFLDは、評点間距離や摩擦状態の影響を強く受けるため、これを破断判定基準として用いる場合、数値シミュレーションの解析条件に合わせ補正が必要である。
(2)数値シミュレーションでは、均一変形までの歪みの増加は正確にシミュレーションできるが、板厚程度の領域に生じる局部くびれや、更に狭い領域内に歪みが局所化したせん断帯をシミュレーションするためには有限要素を十分細分化しなければならず、現状の計算機能力では予測が困難である。
(3)汎用ソフトウェアで標準的に採用されている材料構成則では歪みの局所化が遅れるため、実測したFLDを破断判定基準とした場合、危険側での評価を与える。
本発明者らは、これら課題に対し鋭意研究した結果、数値シミュレーションに適した破断判定基準を明らかにした。表1に示す鋼板を対象に、球頭張出し成形のFEM数値シミュレーションを行い、要素サイズや材料構成式が歪みの局所化過程におよぼす影響を調査した。
図6にポンチストロークとプレス成形により導入された最大主歪みの関係を示す。
成形初期からポンチストローク25mm程度までは要素サイズ、材料構成式の影響がほとんど現れないが、歪みの局所化が始まる25mm以降では、これらの影響が顕著となる。
図7に種々の解析条件で数値シミュレーションを行い、実験から得られたFLDと局部くびれ発生限界を破断判定基準として用いたときの予測精度の比較を示す。
破断判定基準に実測したFLDを用いた場合、歪みの局所化過程を正確にシミュレーションできないため、破断の予測精度は高くない。一方、局部くびれ発生限界を破断限界に用いた場合、要素サイズや用いる材料構成式によらず比較的高い精度で予測可能であり、かつ安全側の評価を得ることができる。これは、薄鋼板の延性破壊は局部くびれにより変形が局所化した位置で発生し、局部くびれが発生すると極めて短時間で破断に至るため、実用上は局部くびれ発生限界を破断判定基準に用いればよいことを示唆している。
局部くびれ発生限界は塑性不安定性の枠組みで取り扱うことができ、Hillの局部くびれモデルやSwiftの拡散くびれモデル、Marciniak-Kuczynski法、シュテーレン−ライスモデルなどの理論FLDで予測できる。
この事例で示すように、本発明者らは鋭意研究をした結果、有限要素法を用いた数値解析シミュレーションで破断を評価する場合、歪み空間でのくびれ開始線を応力空間に変換した破断限界線を破断判定基準に用いることで高い予測精度が確保できることに想到した。
次に、破断限界の評価方法の事例について説明する。
表1に示す鋼板を対象に、1次変形として圧延方向に10%の引張を施した後、球頭張出し成形により平面歪み変形を施すような非線形経路での破断予測事例を示す。
図8に数値シミュレーションにより得られた成形過程の応力履歴と歪み空間でのくびれ開始線を応力空間に変換した破断限界線の関係を示す。
数値シミュレーションに動的陽解法を用いる場合、得られる応力は時間ステップ内での繰り返し計算を行わず、微小時間刻みで応力波の伝播を解いていくため大きく振動しながら増加する。この応力と破断限界応力の位置関係を比較し破断を評価する方法では高い予測精度を確保することが困難である。
本発明者らは鋭意研究をした結果、数値シミュレーションに動的陽解法を用いる場合、塑性歪みをポスト処理で応力へ変換することで応力の振動を回避でき、精度良く破断を判定する方法に想到した。
図9に本発明方法により破断を予測した結果を示す。
従来のFLDによる破断予測方法では、変形経路に依存し破断限界線が大きく変化するため高い精度で予測することは困難であるが、本発明を適用することで変形経路が変化する場合でも良好な精度で破断を予測できることが判る。なお、本発明は、有限要素法を用いた数値シミュレーションの代わりに、実験の歪み測定結果を応力に変換した値と破断限界線の位置関係を比較することでも破断を評価することが可能である。
次に、破断予測方法を衝突解析に適用した例について説明する。
表1に示す鋼板を対象に、図10に示すハット断面で長さ900mmの部材の3点曲げ衝突解析において本発明の破断予測方法を適用した。
先ず、動的陽解法の数値シミュレーションを用いてハット形状の絞り曲げ成形の解析を行った。図11に成形シミュレーションの結果を示す。次に、フランジ部で平板と30mm間隔の点溶接処理(2接点間の相対変位を固定)を施した衝突解析用有限要素モデルを作成した。
更に、この衝突解析用有限要素モデルに、得られた成形解析結果を反映させ、衝突解析を動的陽解法による数値シミュレーションにて行った。プレス成形後の衝突過程での材料の破断を評価する場合、プレス成形の数値シミュレーションにより得られる板厚と相当塑性歪み、あるいは板厚と相当塑性歪み、応力テンソル、歪みテンソルを衝突解析の初期条件へ引き継ぐことで成形時の変形履歴を考慮することができる。
なお、当然のことながら、数値シミュレーションの代わりに実験によりプレス成形品の板厚、相当塑性歪みを測定し、これらの何れかを衝突解析の初期条件へ引き継ぐことで成形時の変形履歴を考慮することができる。
これまでの事例では、プレス成形のような準静的な塑性変形過程を取り扱っていたが、衝突解析では材料の高速変形挙動を考慮する必要がある。鉄鋼材料には歪み速度依存性があり、変形速度が速いと変形抵抗が上昇することが知られている。自動車の衝突時、変形が集中する稜線部では歪み速度が1000/sまで達することがあり、衝突解析の予測精度を確保するためには正確な高速変形挙動を考慮する必要がある。
一般に、有限要素法による数値シミュレーションで衝突解析を行う場合、歪み速度に応じた応力の増加を表現する材料モデルとしてCowper-Symonds式を用いる。
図12に相当塑性歪みと歪み速度に応じた相当応力の関係を、図13に応力空間での動的な破断応力限界線と衝突シミュレーションから得られる動的な応力の位置関係をそれぞれ示す。
衝突シミュレーションから得られる動的応力を用いて破断を評価する場合、歪み速度に応じて無数の動的な破断応力限界線が必要であり、実用上、破断を予測することは困難である。
本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究をした結果、衝突シミュレーションから得られる塑性歪みを変換して得た基準歪み速度での応力を用い、破断判定に用いる破断限界(破断クライテリア)は単一の基準歪み速度での破断応力限界線のみを利用すればよいことに想到した。検討の結果、基準歪み速度は準静的な歪み速度として良いことが判った。準静的な歪み速度の範囲は材料により異なるが実用上0.001/s〜1/sの範囲内で計測した破断限界線を用いて良い。
図14に本発明の方法により破断を予測した結果を示す。
従来のFLDによる破断予測方法ではプレス成形での予変形を受けた後の衝突現象のように変形経路が大きく変化するような塑性変形過程は高い精度で予測することが困難であったが、本発明を適用することでプレス成形後の衝突プロセスでも良好な精度で破断を予測できることが判る。
以上の例に示したように、本発明によれば、薄鋼板のプレス成形、衝突プロセスを有限要素法によりシミュレーションし、得られたデータから破断の危険性を定量的に評価できる。ここでは、変形応力の歪み速度依存性としてCowper-Symonds式を代表例として用いたが、歪み速度依存性を考慮できる任意の構成式、例えばm乗硬化式、Johnson-Cook式等を用いても本発明の有効性は変わらない。
(実施例2)
以下、本発明の具体的な諸実施例として、応力空間で穴広げ率lをクライテリアとした伸びフランジ破談評価方法を示す。
供試材は、冷間圧延−連続焼鈍により製造された板厚1.2mmの複合組織鋼板(Dual Phase)で、表3に示す機械的性質を有する。機械特性値はインストロン型試験機によりクロスヘッド速度10mm/min(歪み速度3×10-3/s)で引張試験をしたもので、試験片は圧延方向と平行に採取したJIS5号試験片を用いた。
Figure 0004621217
先ず、供試材を200mm×200mmの大きさにせん断し、ポンチとダイを用いて中央部に径25mmの大きさの穴を打ち抜いた。この中央に穴のあいた素板を直径100mm、ダイ肩R15mmの平底ポンチにより穴縁に破断が生じるまで成形し(テフロン(登録商標)シート潤滑)、破断発生時の穴径と成形限界高さを測定した。実験の概要を図15に示す。更に、数値シミュレーションで破断予測のクライテリアとして用いるため、中島法(テフロン(登録商標)シートを用いた球頭張出し)によりFLDを測定した。
続いて、動的陽解法FEMによる数値シミュレーションを行い、材料端部から破断する伸びフランジ破断の予測精度を検証した。なお、数値シミュレーションに供した材料パラメータは実験に用いたものとし、工具は実験に倣った。解析モデルを図16に示す。要素サイズはFLD測定時の評点間距離と同じ2mmを用い、降伏関数にはHillの2次異方性降伏関数を用いて検討した。
図17に平底ポンチによる伸びフランジ成形のシミュレーション結果、図18に穴縁からの距離と最大主歪みの関係を示す。これらから,材料端部の穴縁に大きな歪みが導入されていることと、穴縁から内側に向けて大きな歪み勾配が存在していることが判る。図19に数値シミュレーションから得られた塑性歪みを応力空間に変換し成形高さごとにプロットした応力履歴と、比例負荷経路で測定した成形限界線を平面歪みでの限界値がn値と等しくなるようにオフセットして得た「くびれ発生限界線」を応力空間に変換した「くびれ発生限界応力線」との関係を示す。穴縁の応力がくびれ発生限界応力線に至るのは14mmの成形高さのときであり、実験で計測した18.5mmの成形限界高さとは大きな乖離がある。これに対し、破断クライテリアを穴広げ率として応力空間で破断を評価した。なお、穴広げ率は次式で定義される。
Figure 0004621217
但し、dは破断時の穴径(mm)を、d0は素板の穴径(mm)である。応力空間でのクライテリアへの変換は、この穴広げ率の真歪みε0と相当塑性応力σeqと相当塑性歪みεeqの関係式、例えば、Swiftの加工硬化則
Figure 0004621217
を用いればよい。なお、相当塑性歪み増分dεeqを歪み経路で積分した相当塑性歪みεeqと加工硬化則を用いることで、変形経路変化を考慮した相当塑性応力σeqを求めることができる。
図20、21に本発明方法により破断を予測した結果を示す。従来の「くびれ発生限界応力線」を伸びフランジ変形での破断クライテリアに用いた場合、材料端部から内側に向かう歪み勾配の存在と、周方向一箇所が局部くびれを満たしても破断しない遅延効果により成形限界高さを低く見積もるが、穴広げ率を応力空間に変換したクライテリアを破断判定に用いることで良好な精度で破断を予測できることが判る。
(実施例3)
以下、上述した本発明の概括的構成を踏まえ、具体的な実施例について図面を参照しながら説明する。
図22は、本実施例による破断予測装置の主要構成を示すブロック図である。
この破断予測装置は、金属材料からなる薄板について、1つ以上の変形経路変化を含む過程における薄板の破断発生の有無を予測するものであり、比例負荷経路で歪み空間の破断限界線を推定する推定部1と、比例負荷経路で得られた歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換する変換部2と、応力空間の破断限界線により破断発生の有無を判断する破断判定部3と、破断判定部3による判定結果等を表示する表示部4とを備えて構成されている。
推定部1は、例えば単軸引張試験から得られる応力−歪み曲線の近似式
Figure 0004621217
と、局部くびれモデル
Figure 0004621217
と、拡散くびれモデル
Figure 0004621217
とを併用して歪み空間のくびれ発生限界を求め、比例負荷経路で歪み空間の破断限界線を推定する。
推定部1は、単軸引張試験から得られる応力−歪み曲線の近似式
Figure 0004621217
と、塑性歪み増分則として塑性歪み増分テンソルの方向が応力増分テンソルに依存する構成式と、塑性歪み増分テンソルの方向を規定する材料パラメータKcと、シュテーレン−ライスの局所くびれモデルとを用いて歪み空間のくびれ発生限界を求め、比例負荷経路で歪み空間の破断限界線を推定するようにしても良い。ここで、推定部1は、1つ以上の最大破断限界歪みε1及び最小破断限界歪みε2の測定値に基づいて、材料パラメータKcを同定する。
なお、本例では、歪み空間の破断限界線を推定部1を用いて理論的に推定する場合について例示したが、歪み空間の破断限界線を推定部1を用いずに実験的に測定しても良い。具体的には、歪み空間の破断限界線は、薄板について複数の面内歪み比を比例負荷実験により求めた後、それぞれの歪み比における最大破断限界歪みε1及び最小破断限界歪みε2の測定値を用いて得られる。
変換部2は、歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換する際に、塑性歪みの増分則として降伏曲面の垂直則を用いて上記の変換を行う。具体的には、上述したように、相当塑性歪みεeqと各歪み成分εijとの関係式であるMisesの降伏関数
Figure 0004621217
を用いる。
破断判定部3は、変換部1により変換された応力空間の破断限界線と、塑性変形過程の有限要素法によるシミュレーションの結果から得られる各部位の歪み状態との位置関係を比較することで評価し、変形過程の歪みがこの限界歪みに達したときに破断、もしくは、その危険性が高いと判断する。ここで、数値解析の手法として有限要素法の1つである動的陽解法を用いる。この場合、動的陽解法により得られる塑性歪みを応力に変換し、応力空間の破断限界線と比較する。
なお、破断判定部3は、上記のシミュレーションを行う代わりに、実験により評価された薄板の変形状態から得られた歪みを応力に換算し、応力空間の破断限界線を用いて破断発生の有無を定量的に評価するようにしても良い。
ここで、自動車部材の衝突解析のように、薄板に高速変形が生じる場合には、破断判定部3は、薄板の変形応力の速度依存性を考慮して数値解析を実行し、当該数値解析から得られた塑性歪みを変換して基準歪み速度における応力を算出し、基準歪み速度に対応した応力空間の破断限界線と比較する。
図23は、本実施例による破断予測方法により、金属材料からなる薄板の成形過程において破断予測を行う場合の各ステップを示すフロー図である。
先ず、ユーザが入力した薄板の材料及び機械的特性値(t,YP,TS,El,U.El,r値、
n乗硬化則/Swift硬化則)に基づき、推定部1は、比例負荷経路で歪み空間の破断限界線を推定する(ステップS1)。
続いて、変換部2は、例えばMisesの降伏関数を用いて、実験的に測定された歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換し、応力FLDを作成する(ステップS2)。
続いて、破断判定部3は、変換部1により変換された応力空間の破断限界線と、塑性変形過程の有限要素法(ここでは動的陽解法)によるシミュレーションの結果から得られる各部位の歪み状態との位置関係を比較することで評価し、破断或いはその危険性を判断する(ステップS3)。
ステップS3において、限界歪みに達し、薄板に破断が生じる、或いはその危険性が高いと判定された場合には、破断判定部3は、以下の緒処理を実行する(ステップS4)。
要素ID、薄板の板厚、歪み、応力情報をログファイルに出力する。更に、クライテリアに達した要素を消去し、破断後の解析を継続する。
続いて、表示部4に以下の各種表示が行われる(ステップS5)。
薄板に破断が生じる危険性がスカラー量でコンター表示される。また、応力空間で破断危険部位の応力履歴及びクライテリアが表示される。併せて、薄板におけるしわ発生の危険性もコンター表示される。ここで、出荷試験値の規格内におけるばらつき(平均値、下限値)に対して、破断の危険性を表示するようにしても良い。
一方、ステップS3において、破断が生じる可能性がない、或いはその危険性が低いと判定された場合には、ステップS6においてその旨が表示部4に表示される。
図24は、本実施例による破断予測方法により、図23の成形過程における破断予測に引き続き、衝突過程における破断予測を行う場合の各ステップを示すフロー図である。
この場合、図23のステップS2で作成された応力FLDを引き継いで用いる。
そして、破断判定部3は、薄板の変形応力の速度依存性を考慮して数値解析を実行し、当該数値解析から得られた塑性歪みを変換して基準歪み速度における応力を算出し、基準歪み速度に対応した応力空間の破断限界線と比較し、破断、もしくは、その危険性を判断する(ステップS11)。
このステップS11において、破断判定部3は、図23の成形過程において数値解析により評価された薄板の変形状態を、衝突過程における数値解析の初期条件として引き継ぐ。この変形状態は、薄板の板厚及び相当塑性歪み、或いは板厚、相当塑性歪み、応力テンソル及び歪みテンソルである。
ステップS11において、薄板に破断が生じる、或いはその危険性が高いと判定された場合には、破断判定部3は、以下の緒処理を実行する(ステップS12)。
要素ID、薄板の板厚、歪み、応力情報をログファイルに出力する。更に、クライテリアに達した要素を消去し、破断後の解析を継続する。
続いて、表示部4に以下の各種表示が行われる(ステップS13)。
薄板に破断が生じる危険性がスカラー量でコンター表示される。また、応力空間で破断危険部位の応力履歴及びクライテリアが表示される。併せて、薄板におけるしわ発生の危険性もコンター表示される。ここで、出荷試験値の規格内におけるばらつき(平均値、下限値)に対して、破断の危険性を表示するようにしても良い。
一方、ステップS11において、薄板に破断が生じる可能性がない、或いはその危険性が低いと判定された場合には、ステップS14においてその旨が表示部4に表示される。
以上説明したように、本実施例によれば、1つ以上の変形経路変化を含む過程における薄板の破断限界を判定するに際して、破断限界線を容易且つ効率的に求め、高い予測精度をもって破断限界を判定することが可能となる。これにより、プレス成形や衝突時の破断の危険性を定量的に評価することができ、材料・工法・構造を同時に考慮した自動車車体の効率的・高精度な開発が実現する。
(実施例4)
上述した実施例等による破断予測装置を構成する各構成要素(表示部4を除く)の機能は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。同様に、破断予測方法の各ステップ(図23のステップS1〜S6,図24のステップS11〜S14等)は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
また、本発明に含まれるプログラムとしては、供給されたプログラムをコンピュータが実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。
例えば、図25は、パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図25において、1200はCPU1201を備えたパーソナルコンピュータ(PC)である。PC1200は、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶された、又はフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行する。このPC1200は、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
PC1200のCPU1201、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより、実施例の図23におけるステップS1〜S6や、図24におけるステップS11〜S14の手順等が実現される。
1203はRAMで、CPU1201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)1209や不図示のデバイス等からの指示入力を制御する。
1206はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ(CRT)1210の表示を制御する。1207はディスクコントローラ(DKC)である。DKC1207は、ブートプログラム、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)1211、及びフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。ここで、ブートプログラムとは、起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラムである。
1208はネットワーク・インターフェースカード(NIC)で、LAN1220を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、あるいは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
従来の技術の説明に用いた成形限界線図(FLD)を示す図である。 本発明が解決しようとする課題の説明に用いた成形限界線図である。 歪みから応力への変換を説明するための図である。 座標変換則を説明するための図である。 歪み空間のFLDは変形経路に依存し破断限界線が大きく変化するのに対し、応力空間の破断限界線は単一の曲線で表現できることを示した図である。 成形高さと最大主歪みの関係を示す図である。 種々の解析条件で数値シミュレーションを行い、実験から得られたFLDと局部くびれ発生限界を破断判定基準として用いたときの予測精度の比較を示す図である。 数値シミュレーションにより得られた成形過程の応力履歴と破断限界線の位置関係を示す図である。 本発明方法の予測精度を示す図である。 衝突解析の予測精度の検証対象であるハット断面形状の部品と3点曲げ落重試験概要を示す図である。 数値シミュレーションによるハット形状の絞り曲げ成形の解析結果を示す図である。 相当塑性歪みと歪み速度に応じた相当応力の関係を示す図である。 応力空間での動的な破断応力限界線と衝突シミュレーションから得られる動的な応力の位置関係を示す図である。 数値シミュレーションにより得られた成形過程の応力履歴と破断限界線の位置関係と、本発明方法の予測精度とを示す図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、実験方法を説明した図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、解析モデルを説明した図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、解析結果を最大主ひずみ分布に対しコンター表示した図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、解析結果に関して穴縁からの距離と最大主ひずみの関係を示した図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、解析結果に関して穴縁からの距離と最大主ひずみの関係を示した図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、数値シミュレーションにより得られた成形過程の応力履歴とくびれ発生限界応力線の位置関係を示す図である。 本発明の実施例の説明に用いた図であり、数値シミュレーションにより得られた成形過程の応力履歴とくびれ発生限界応力線、穴広げ率を応力空間に変換した破断判定基準の位置関係を示す図である。 本実施例による破断予測装置の主要構成を示すブロック図である。 本実施例による破断予測方法により、金属材料からなる薄板の成形過程において破断予測を行う場合の各ステップを示すフロー図である。 本実施例による破断予測方法により、図23の成形過程における破断予測に引き続き、衝突過程における破断予測を行う場合の各ステップを示すフロー図である。 パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
符号の説明
1 推定部
2 変換部
3 破断判定部
4 表示部

Claims (27)

  1. 金属材料からなる薄板の破断限界を評価する破断予測方法であって、
    1つ以上の変形経路変化に応じた塑性変形過程における前記薄板の破断発生を予測するにするに際して、
    歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換する手順と、
    得られた前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を予測する手順と
    を含むことを特徴とする破断予測方法。
  2. 前記破断発生の有無を予測する手順において、
    前記薄板の変形状態を数値解析により評価し、得られた歪みを応力に換算し、前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を定量的に評価することを特徴とする請求項1に記載の破断予測方法。
  3. 複数の前記塑性変形過程の各々に対応して前記薄板の破断発生を予測するに際して、
    前段階の前記塑性変形過程において前記数値解析により評価された前記薄板の変形状態を、後段階の前記塑性変形過程における前記数値解析の初期条件として引き継がせることを特徴とする請求項2に記載の破断予測方法。
  4. 前記薄板の変形状態は、前記薄板の板厚及び相当塑性歪み、或いは前記板厚、相当塑性歪み、応力テンソル及び歪みテンソルであることを特徴とする請求項3に記載の破断予測方法。
  5. 前記前段階の前記塑性変形過程は前記薄板の成形過程であり、前記後段階の前記塑性変形過程は前記薄板の衝突過程であることを特徴とする請求項3又は4に記載の破断予測方法。
  6. 前記応力空間の破断限界線に変換する手順において、
    前記歪み空間の破断限界線は、実験から得られるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の破断予測方法。
  7. 前記応力空間の破断限界線に変換する手順において、
    前記歪み空間の破断限界線を、機械的特性値から理論的に推定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の破断予測方法。
  8. 前記歪み空間におけるくびれ開始線を前記応力空間に変換し、前記応力空間の破断限界線を取得することを特徴とする請求項7に記載の破断予測方法。
  9. 前記破断発生を予測する手順において、
    実験により評価された前記薄板の変形状態から得られた歪みを応力に換算し、前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を定量的に評価することを特徴とする請求項1に記載の破断予測方法。
  10. 前記数値解析の手法として有限要素法を用いることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の破断予測方法。
  11. 前記数値解析の手法として前記有限要素法の1つである動的陽解法を用いる場合に、前記動的陽解法により得られる塑性歪みを応力に変換し、前記応力空間の破断限界線と比較することを特徴とする請求項10に記載の破断予測方法。
  12. 前記破断発生を予測する手順において、
    前記薄板の変形応力の速度依存性を考慮して前記数値解析を実行し、当該数値解析から得られた塑性歪みを変換して基準歪み速度における応力を算出し、前記基準歪み速度に対応した前記応力空間の破断限界線と比較することを特徴とする請求項1〜8,10,11のいずれか1項に記載の破断予測方法。
  13. 前記薄板は、引張り強さが440MPa級以上の高強度材料からなるものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の破断予測方法。
  14. 材料の破断予測を穴広げ試験から得られた穴広げ率を応力空間に変換したクライテリアを用いて判定することを特徴とする請求項1〜6、9〜13のいずれか1項に記載の破断予測方法。
  15. 金属材料からなる薄板の破断限界を評価する破断予測装置であって、
    1つ以上の変形経路変化に応じた塑性変形過程における前記薄板の破断発生を予測するに際して、
    歪み空間の破断限界線を応力空間の破断限界線に変換する変換手段と、
    得られた前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を予測する予測手段と
    を含むことを特徴とする破断予測装置。
  16. 前記予測手段は、前記薄板の変形状態を数値解析により評価し、得られた歪みを応力に換算し、前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を定量的に評価することを特徴とする請求項15に記載の破断予測装置。
  17. 前記歪み空間の破断限界線は、実験から得られるものであることを特徴とする請求項15又は16に記載の破断予測装置。
  18. 前記歪み空間の破断限界線を、機械的特性値から理論的に推定する推定手段を更に含むことを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の破断予測装置。
  19. 前記変換手段は、前記歪み空間におけるくびれ開始線を前記応力空間に変換し、前記応力空間の破断限界線を取得することを特徴とする請求項18に記載の破断予測装置。
  20. 前記予測手段は、実験により評価された前記薄板の変形状態から得られた歪みを応力に換算し、前記応力空間の破断限界線を用いて前記破断発生の有無を定量的に評価することを特徴とする請求項15に記載の破断予測装置。
  21. 前記予測手段は、前記数値解析の手法として有限要素法を用いることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載の破断予測装置。
  22. 前記予測手段は、前記数値解析の手法として前記有限要素法の1つである動的陽解法を用いる場合に、前記動的陽解法により得られる塑性歪みを応力に変換し、前記応力空間の破断限界線と比較することを特徴とする請求項21に記載の破断予測装置。
  23. 前記予測手段は、前記薄板の変形応力の速度依存性を考慮して前記数値解析を実行し、当該数値解析から得られた塑性歪みを変換して基準歪み速度における応力を算出し、前記基準歪み速度に対応した前記応力空間の破断限界線と比較することを特徴とする請求項15〜19、22のいずれか1項に記載の破断予測装置。
  24. 前記薄板は、引張り強さが440MPa級以上の高強度材料からなるものであることを特徴とする請求項15〜23のいずれか1項に記載の破断予測装置。
  25. 材料の破断予測を穴広げ試験から得られた穴広げ率を応力空間に変換したクライテリアを用いて判定することを特徴とする請求項15、16、20〜24のいずれか1項に記載の破断予測装置。
  26. コンピュータに、請求項1〜14のいずれか1項に記載の破断予測方法の各手順を実行させるプログラム。
  27. 請求項26に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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